JP2008163382A - アルミニウム合金の表面処理方法及び平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金の表面処理方法及び平版印刷版用支持体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶湯圧延法を適用してPS版用アルミニウム合金支持体を製造するにあたって、粗面化処理、陽極酸化処理を施した後の表面に黒スジ欠陥が生じることを確実に防止でき、他のストリーク等の外観表面欠陥が生じないような表面外観品質が優れ、及び印刷性能が優れたPS版用アルミニウム合金支持体を得る。
【解決手段】アルミニウム合金板に粗面化処理及び陽極酸化処理を施す平版印刷版用支持体の製造方法である。粗面化処理の前及び/又は粗面化処理の後に、若しくは、陽極酸化処理の前に、アルミニウム合金板を電解質溶液中に浸漬しカソード分極処理を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明はアルミニウム合金の表面処理方法に係り、特に、オフセット印刷又は平版印刷の印刷版であるPS版に使用される平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
一般に、オフセット印刷版や平版印刷版に使用される平版印刷版としては、アルミニウム合金板からなる支持体の表面に粗面化処理(グレイニング処理)を施した後、必要に応じて陽極酸化処理などの表面処理を施し、更に感光性塗料を塗布、乾燥させてなる、いわゆるPS版と称するものが知られている。
このPS版を実際に印刷に使用するにあたっては、PS版上に画像露光、現像、ガム引き等の製版処理を施すのが通常である。このような製版処理の過程において、現像処理により未溶解で残留した感光層は画像部を形成し、一方、現像処理により感光層が除去されてその下のアルミニウム表面が露出した部分は、親水性のため水受容部となって非画像部を形成する。
ところで、このようなPS版用のアルミニウム合金支持体としては、一般に以下の性能が求められる。1)印刷版支持体として充分な強度を有すること。2)印刷精度を損なわない寸法精度と平面性を有すること。3)粗面化処理において均一な粗面を容易に形成できること。4)商品として表面外観が美麗であること。
そしてこのようなPS版用支持体のアルミニウム合金板としては、従来よりJIS A1050、JIS A1100、JIS A3003等からなる板厚0.1〜0.5mm程度のアルミニウム合金圧延板が使用されている。また、このようなアルミニウム合金圧延板に対する粗面化処理としては、機械的方法、化学的方法、電気化学的方法のうちいずれか1種、又は2種以上の組合わせが考えられているが、一般的には電気化学的粗面化処理(電解エッチング)が適用されることが多く、また粗面化処理後には陽極酸化処理を施すのが通常である。
ここで、電解エッチング等のエッチングが施されるアルミニウム合金板の表面の組織が不均一であれば、エッチングを施した板の表面にストリークと称される筋状の外観欠陥が生じることがあるので、表面外観品質が良好なPS版用アルミニウム合金支持体を得るためには、表面組織が均一に微細となっていることが必要である。
また、電気化学的粗面化処理によって容易に均一な粗面が得られること、すなわち、粗面化処理性(グレイニング処理性)が良好であることも当然必要である。
このような厳しい要求を満たすため、従来のPS版用のアルミニウム合金支持体の製造方法としては、アルミニウム合金溶湯をDC鋳造法(半連続鋳造法)によって厚さが400〜700mm程度のスラブに鋳造し、得られたスラブ鋳塊に均質化処理を施した後、面削し、更に、加熱処理を行ってから熱間圧延し、その後冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を施して所要の板厚に仕上げるのが通常であった。
ところで、一般的なアルミニウム合金板の製造方法としては、前述のようにアルミニウム合金溶湯を400〜700mm程度の厚さのスラブにDC鋳造してから熱間圧延、冷間圧延等の工程を経て所要の板厚に仕上げる方法の他、溶湯から数mm程度の厚さに直接溶湯圧延する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
この溶湯圧延法は、連続鋳造圧延法とも称されており、この溶湯圧延法を適用すれば、DC鋳造を行なってスラブを圧延する方法の場合とは異なり、面削工程や均質化処理工程、熱間圧延前の加熱処理工程、熱間圧延工程等を省くことができるため、製造コストを格段に引下げることができる。
そのため、最近では、PS版用アルミニウム合金支持体の製造にあたっても、製造コストを低下させるために溶湯圧延法を採用することが考慮されている。
PS版用アルミニウム合金支持体の製造に溶湯圧延法を適用した場合のメリットとしては、前述の如く製造コストを低下できることの他、急速凝固によってFe固溶量の多い板を製造できることが挙げられる。Fe固溶量が増加すれば、冷間圧延における加工硬化量が大きくなるため、強度を高めることが可能となる。
そして、一般にPS版支持体の強度を高めれば、輪転機の高速化など、取り扱い性等を向上させることもできる。また、Fe固溶量が増加すれば、焼鈍軟化が遅れるため、耐刷性向上のために通常適用されているバーニング処理(200〜300°Cでの短時間加熱処理)における強度低下が小さくなり、腰の強い印刷版を得ることが可能となる。
特開2001−191654号公報
しかしながら、PS版用アルミニウム合金支持体の製造に溶湯圧延法を適用した場合には、次のような問題が生じることが本発明者等の実験により判明している。第1には、鋳造方向又は圧延方向に対して直角な方向に周期的なむら、すなわち、いわゆるリップル模様が生じる場合がある。第2には、形状精度が不安定となりやすい。第3には、粗面化処理及び陽極酸化処理を施した時に、表面に細長い黒スジ状の模様、すなわち、いわゆる黒スジ欠陥が生じやすく、表面外観品質が劣る。また、汚れ、耐刷等の印刷性能が劣る問題点もあった。
上記の問題点のうち、第1の問題点(リップル模様)及び第2の問題点(形状精度)の点については、現状ではある程度解決することが可能である。
すなわち、リップル模様の発生原因としては、溶湯圧延法の主流となっている双ロール方式の溶湯圧延法の場合は、ロールへの溶湯接触位置の周期的変動が考えられるが、このような双ロール方式の溶湯圧延の場合は、ノズル位置、ノズル形状、湯溜め部を低ヘッドに保持しての安定した溶湯供給を図るとともに、鋳込み速度、鋳込み温度等の鋳込み条件を適切に設定することによって、リップル模様をある程度軽減することが可能である。そのため、最終板厚まで圧延した段階では、溶湯圧延板で生じていたリップル模様がほとんど問題ならない程度とすることができる。
また形状精度についても、近年の連続鋳造圧延機の改良に伴なって、板幅1500mm以上の広幅材でも板クラウン率が1.5〜0.5%程度に過ぎない溶湯圧延板を製造し得るようになっており、その場合には形状精度は実用上ほとんど問題とならない。
一方、第3の問題点(黒スジ欠陥)においては、黒スジ欠陥が粗面化処理や陽極酸化処理を経て初めて出現するため、その発生原因を明確に把握することが困難である。そして、それに伴ない、適切な対策を施すのが困難であって、現状でも未だ解決され得ない重要な問題点となっている。
これに対し、既述の特許文献1では、溶湯圧延法によりアルミニウム合金を製造する際に、TiやBの添加量を迎えることにより、黒すじを解消する方法が開示されているが、満足な結果が得られるものではなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、溶湯圧延法を適用してPS版用アルミニウム合金支持体を製造するにあたって、粗面化処理、陽極酸化処理を施した後の表面に黒スジ欠陥が生じることを確実に防止できるとともに、その他のストリーク等の外観表面欠陥が生じないような表面外観品質が優れ、且つ、印刷性能が優れたPS版用アルミニウム合金支持体を得ることができ、また、その他のPS版用アルミニウム合金支持体に要求される特性をも充分に満たし得るPS版支持体向けのアルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、アルミニウム合金板に粗面化処理及び陽極酸化処理を施す平版印刷版用支持体の製造方法において、前記粗面化処理の前及び/又は前記粗面化処理の後に、若しくは、前記陽極酸化処理の前に、前記アルミニウム合金板を電解質溶液中に浸漬しカソード分極処理を施すことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
前述の課題を解決するため、本発明者等は溶湯圧延法を適用してPS版支持体用アルミニウム合金板を製造した場合の黒スジ欠陥の発生状況、発生原因について鋭意実験・検討を重ねたところ、次のように新規な知見を得た。
黒スジ欠陥は、既に述べたように、粗面化処理に続いて陽極酸化処理を施したときに、全体的に光沢のない灰明色のPS版表面に長さ1〜100mm、幅0.1〜1mm程度の黒スジとして現れるものであるが、このような黒スジ欠陥について本発明者等がSEM(走査型電子顕微鏡)による観察を行なったところ、黒スジ部分は、正常な部位と比較して直径が数μm〜数百μmの粒子が分散していることが判明した。
更に、EPMA(電子プローブ解析)による調査を行なった結果、これらの粒子は主にTiとBから構成されていること、したがってTi−B系化合物(主としてTiB)からなるものであることが判明した。
ところで、一般に、アルミニウム合金のDC鋳造においては、TiやBを鋳塊結晶粒微細化のために添加することが多く、PS版用アルミニウム合金支持体製造のためのDC鋳造の場合にも、Al−Ti−B母合金を用いてTiを0.01%〜0.50%程度、Bを0.0008%〜0.02%程度添加するのが通常である。
一方、溶湯圧延法を適用してPS版アルミニウム合金支持体を製造する場合も、通常はDC鋳造法を適用した場合と同程度のTi及びBを結晶粒微細化剤として添加することが考えられ、実際本発明者等の実験でも、DC鋳造の場合と同程度のTiやBを添加して溶湯圧延を行なっていた。
このような事実及び前述の調査結果から、溶湯圧延法を適用してPS版用支持体を製造した場合の黒スジ欠陥の発生原因は、次のように考えられる。結晶粒微細化剤としてのTiやBの添加量が不適切であったり、溶湯の濾過が不充分であったりしてTi−B系化合物の凝集物が溶湯圧延板中に鋳込まれ、その後の冷間圧延工程でTi−B系化合物凝集物が破砕されて圧延方向に沿って粒子が分散し、そのTi−B粒子が圧延方向に沿ってスジ状に分散した部位が、粗面化処理時に通常の部位と異なるエッチング特性を示す結果、黒スジ状の欠陥となると推測される。
したがって、黒スジ欠陥自体の解消のためには、結晶粒微細化剤として添加するTiやBの量を減らすことによって、Ti−B系化合物粒子の凝集を防止すればよいと考えられる。しかしながら、不用意に結晶粒微細化剤としてのTiやBの添加量を減らせば、結晶粒が粗大化して、前述のようなストリークが発生してしまうおそれがある。
一方、黒スジ欠陥を解消するための別の方法としては、溶湯圧延板の板厚を大きくし、その後の冷間圧延における圧下率を高めることが考えられる。このように溶湯圧延板に対する冷間圧延での圧下率を高めれば、粒大に凝集した粒子を微細に破砕して、エッチングむらが目立たないレベルの粒子分散を達成して、黒スジ欠陥の発生をある程度軽減できると考えられる。
実際、DC鋳造法により得られた厚いスラブを圧延して製造したアルミニウム合金板の場合に、溶湯圧延法を適用して得られたアルミニウム合金板ほど黒スジが問題とならないのは、熱間圧延及び冷間圧延での圧下率が大きく、そのため粗大な粒子も充分に微細化されて分散されるためと考えられる。
しかしながら溶湯圧延法の場合、溶湯圧延板の厚さを大きくしようとすれば、生産コストが嵩み、溶湯圧延後の利点を損なってしまう。したがって、このように溶湯圧延板の厚さを大きくすることにより黒スジ欠陥を解消しようとする対策は実用的ではない。
以上のような事情から、本発明者等は溶湯圧延法を適用して製造したアルミニウム合金を用いて、粗面化処理、陽極酸化処理して作成した平版印刷版用支持体において、カソード分極処理により黒スジ欠陥を解消する方向で更に実験・検討を重ねた結果、粗面化処理の前及び/又は後に、若しくは、陽極酸化処理の前に、カソード分極処理を行うことにより、ストリークの発生を招くことなく、黒スジ欠陥の発生を確実かつ安定して防止し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
また、本発明は、アルミニウム合金を電解質溶液中に浸漬し、カソード分極処理することにより、Ti及び/又はBから構成される金属間化合物を除去できることを見いだし、この発明を成すに至った。
なお、カソード分極処理(Cathode Polarization Treatment)とは、アルミニウム合金板をカソードに帯電させて行う電気化学的処理を意味する。
本発明において、前記電解質溶液が硝酸及び/又は硫酸を含むことが好ましい。このような電解質溶液であれば、カソード分極処理による黒スジ欠陥の発生を確実かつ安定して防止し得る。
また、本発明において、前記アルミニウム合金板が、アルミニウム溶湯から直接板状に連続鋳造された後、冷間圧延処理及び熱処理が施され、更に矯正処理が施された合金板であることが好ましい。
また、本発明において、前記カソード分極処理によりTi及び/又はBから構成される金属間化合物を除去することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、黒スジ欠陥が生じることを防止できるとともに、表面外観品質が優れ、且つ、印刷性能が優れた平版印刷版用支持体を得ることができる。
以下、本発明に係るアルミニウム合金の表面処理方法及び平版印刷版用支持体の製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
[アルミニウム合金版の製造方法]
先ず、この発明に適用される溶湯圧延におけるアルミニウム合金板の製造方法を説明する。以下、アルミニウム合金成分組成の限定理由について、個別に説明する。
Fe:Fe量が0.05%未満では表面処理性が劣り、機械的特性も不足する。一方Fe量が1.0%を超えれば、インク汚れ性が劣化し、粗面化処理後の色調が黒味を帯び過ぎて好ましくない。したがって、Fe量は、0.05〜1.0%の範囲内とした。
Si:Siが0.30%を超えて含有されれば粗面化処理後の色調が黒味を帯び過ぎ、また、電気化学的粗面化処理後の粗面の均一性が悪くなるとともにインク汚れ性も低下する。したがって、Si量は、0.30%以下に規制することとした。
Cu:Cuは表面処理性を改善するために添加されるが、Cu量が0.002%未満ではその効果が充分に得られず、一方、0.05%を超えて含有されれば、電解粗面化処理により生成するピットの径が大きくなり過ぎるとともに、径の均一性が低下するため、インク汚れ性が低下する。したがって、Cu量は、0.002〜0.05%の範囲内とした。
Ti:Tiは鋳塊の結晶粒を均一微細化するために効果的な元素であるが、Bとともに添加された場合にはTi−B系化合物を生成し、黒スジ欠陥の発生を招くおそれのある元素である。
ここで、後述するように、ストリークの発生を防止するためには、溶湯圧延上りの状態で表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径が200μm以下となるように調整することが好ましいが、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるように溶湯圧延を制御しない場合には、溶湯圧延上りで表面の板幅方向の平均結晶粒径200μm以下を達成するために結晶粒微細化剤として微量のTiを添加することが好ましい。
ただし、Ti量が0.0025%未満では結晶粒微細化の効果が得られず、一方、Ti量が0.10%を超えればその効果が飽和し、いたずらにコスト上昇を招くばかりでなく、Bとともに添加されれば黒スジ欠陥の発生を助長するおそれがあるから、Tiを積極添加する場合のTi量は0.0025〜0.10%の範囲内とすることが好ましい。特に好ましくは0.010〜0.040%である。
一方、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるように溶湯圧延を制御する場合には、結晶粒微細化剤としてのTiは積極的に添加しなくてもよいが、その場合でもより確実に表面の板幅方向平均結晶粒径200μm以下を達成して、黒スジ欠陥発生をより確実に防止するため、0.10%以下のTiを添加することは許容される。
BはTiとともに添加することによって、鋳塊の結晶粒を均一微細化するために効果的な元素であるが、Tiとともに添加された場合にはTi−B系化合物を生成し、黒スジ欠陥の発生を招くおそれが強い元素である。
ここで、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるように溶湯圧延を制御しない場合には、溶湯圧延上りで表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径200μm以下を達成するために、結晶粒微細化剤として微量のBがTiとともに添加されてもよい。
ただし、Bの量が0.0001%未満では結晶粒微細化の効果が得られず、一方、B量が0.0007%を超えれば、フィルタによって溶湯を濾過してもTi−B系化合物の粗大凝集を防ぐことが困難となり、黒スジ欠陥の発生を招くおそれがあるから、BをTiとともに積極添加する場合のBの量は0.0001%以上0.0007%以下(好ましくは0.0004%以下)の範囲内とすることが好ましい。
一方、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるように溶湯圧延を制御する場合には、結晶粒微細化剤としてのBの添加は不要であり、したがって、黒スジ欠陥発生をより確実に防止するため、Bは不純物として0.0001%未満に規制することとした。
以上の各元素の他は、基本的にはAl及び不可避的不純物とすればよい。なお不純物としては、JIS 1050相当の不純物量(Mnが0.05%以下、Mgが0.05%以下、Znが0.05%以下、その他合計で0.05%以下)程度であれば、PS版支持体用アルミニウム合金としてその特性を損なうことはない。
次に、この発明に適用されるPS版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造プロセスについて説明する。
先ず、前述のような成分組成の合金を一般的な手法により溶製する。得られた溶湯は直ちに溶湯圧延に供してもよいが、通常はフィルタにより溶湯濾過を行なってから溶湯圧延に供することが望ましい。溶湯濾過は、Ti−B系化合物の粗大凝集物を除去して、黒スジ欠陥の発生を防止するとともに、その他の介在物を除去して、介在物による表面外観不良の発生を防止するために有効であり、そのためには30〜40ppi程度のメッシュのフィルタを用いて溶湯濾過を行なうことが望ましい。
なお、結晶粒微細化剤としてAl−Ti−B母合金を溶湯に添加する場合、その添加は濾過の前に行なうことが望ましいが、介在物の少ない結晶粒微細化剤を用いる場合や、結晶粒微細化剤の添加量が少ない場合には、濾過後に結晶粒微細化剤を添加してもよい。
溶湯圧延を行なうための連続鋳造圧延機としては、双ロール方式、片ロール方式、キャタピラ方式等種々のものがあるが、最も一般的なものは双ロール方式の連続鋳造圧延機であり、本発明の場合も双ロール方式の連続鋳造圧延機を用いることが好ましい。双ロール方式の連続鋳造圧延機は、ノズルを介して一対の冷却ロール(通常は水冷ロール)の間にアルミニウム合金溶湯を流入させ、その冷却ロールによって溶湯を冷却して凝固させると同時に、一対の冷却ロールによって圧下力を加えて、溶湯圧延を行なうものである。
また双ロール方式の発展形式として、前述の一対の冷却ロールの前方に更に一対以上の圧延ロールを設けておいて、冷却ロールから出た板を圧延ロールにより直ちに圧延する方式、すなわち、タンデム方式により溶湯圧延を行なう連続鋳造圧延機もあり、このようなタンデム方式も適用できる。
なおここで、一対の冷却ロール間へ溶湯を供給するためのノズルとしては、カーボン、窒化ホウ素などの離型材を塗布した耐火材を使用するのが通常であり、また溶湯圧延時には冷却ロールの表面にグラファイトを含む液を潤滑材として吹付けるのが通常である。
溶湯圧延を行なうにあたってのアルミニウム合金溶湯温度(鋳込み温度)は、連続鋳造圧延機の種類や溶湯圧延条件等によっても異なるが、通常は680〜730°C程度が好ましい。
また、この溶湯圧延は、溶湯圧延後の仕上がり板厚が2mm〜10mmの範囲内となるように行なう必要がある。仕上り板厚が2mm未満では、表面性状が良好でかつ反りや曲がり等のないプロフィールの良好な板を得ることが困難となる。一方、仕上り板厚が10mmを超えれば板をコイルに巻取ることが困難となり、また板厚が増大すれば最終的にPS版用支持体の板に仕上げるための冷間圧延の圧延パス数を増加させる必要が生じ、低コストという溶湯圧延法の利点が薄められてしまう。
更に、本発明では、溶湯圧延上りの板の表面における結晶粒の、板幅方向の平均結晶粒径を200μm以下に制御することが好ましい。溶湯圧延上りの板の表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径が200μmを超えれば、その後の冷間圧延中途での中間焼鈍による再結晶粒が微細となっても、もとの母結晶粒の影響によって母結晶粒と方位が近い再結晶粒が形成され、そのため電気化学的粗面化処理(電解エッチング)によって母結晶粒に近い形状、寸法で同じようにエッチングがなされ、その結果母結晶粒相当のサイズで外観上筋状に見える表面外観不良、すなわちストリークが生じてしまうおそれがある。
したがって溶湯圧延上りの状態で板幅方向の平均結晶粒径を200μm以下とすることが好ましい。なおここで、溶湯圧延上りの状態とは、前述のようなタンデム式の連続鋳造圧延機を用いた場合には、最終段の圧延ロールを出た後の状態を意味している。
上述したように、溶湯圧延上りの状態で、板表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径を200μm以下とするための具体的方法としては、溶湯に結晶粒微細化剤としてのTi、Bを積極添加して、凝固時の結晶粒を微細にする方法がある。ただし、この場合、既に述べたように、粗面化処理及び陽極酸化処理後の黒スジ欠陥の発生を防止するため、Ti、Bの添加量、特に、Bの添加量を最小限に抑えることが好ましい。
一方、凝固時の結晶粒径が200μmを超えていても、溶湯圧延時の圧下による歪と熱により、溶湯圧延板の少なくとも表面を再結晶させれば、溶湯圧延上りの状態で表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径200μm以下を達成することが可能である。
図1は、双ロール方式の連続鋳造圧延機を用いる場合の溶湯圧延時の状態を示す模式図である。図1に示されるように、1対の冷却ロール1A、1B間に溶湯3を連続的に供給してその冷却ロール1A、1Bからの冷熱により溶湯3を凝固させると同時に冷却ロール1A、1Bにより圧下力を加えて溶湯圧延板5を得る双ロール方式の連続鋳造圧延機を用いる場合、溶湯圧延上りで少なくとも表面を再結晶させるためには、板厚中心部の凝固が開始されるポイント7が冷却ロール1A、1Bの中心間を結ぶ直線9よりも溶湯供給側となるように設定すればよい。このようにすれば、中心部まで凝固を開始した溶湯圧延板5に冷却ロール1A、1B間で歪が加わって、その歪と残留熱とによって再結晶を開始させ、少なくとも表面が微細に再結晶して表面の板幅方向平均結晶粒径が200μm以下の溶湯圧延板を得ることが可能となる。
また、タンデム方式の連続鋳造圧延機を使用する場合には、最初の冷却ロール間で溶湯が板厚方向中心部まで凝固を開始していなくても、後段の圧延ロールに達するまでの間に中心部までの凝固を開始させておけば、後段の圧延ロールにより加えられる歪と残留熱とによって少なくとも表面を再結晶させ、板幅方向平均結晶粒径200μm以下の溶湯圧延板を得ることが可能となる。
以上のようにして得られた溶湯圧延板をPS版用支持体として必要な板厚、強度(調質度)まで仕上げるためには、溶湯圧延版に対し更に冷間圧延を行なって中間板厚とし、その中間板厚で再結晶のために中間焼鈍を行ない、その後最終冷間圧延を行なって、板厚0.1〜0.5mm程度、調質度H16〜H18程度に仕上げるのが一般的である。
ここで、中間焼鈍はバッチ式焼鈍炉、連続焼鈍炉(CAL)のいずれで行なってもよいが、再結晶粒をより微細にするためには、連続焼鈍炉を用いることが望ましい。このように連続焼鈍で中間焼鈍を施す場合、450〜550°Cに加熱して保持なし又は5分以下の保持とすることが好ましい。なお場合によっては、溶湯圧延板に対して直ちに再結晶のための焼鈍を施し、その後、最終板厚まで冷間圧延してもよい。
最終冷間圧延後は、トリミングやレベリングを行ない、PS版用支持体として要求される寸法、形状、強度に仕上げればよい。
上述のようにして得られたPS版支持体用アルミニウム合金板をPS版支持体とするために、更に粗面化処理(グレイニング処理)の前及び/又は後に、若しくは、陽極酸化処理の前に、カソード分極処理を行う。以下、各処理について説明する。
[カソード分極処理]
この発明における特徴事項は、粗面化処理の前及び/又は後に、若しくは、陽極酸化処理の前に、カソード分極処理を行うことにより、表面の金属間化合物を選択的にほぼ完全に極めて効率的に除去できることである。このことは、カソード分極処理により金属間化合物表面で起こる水素ガスによる刺激作用と金属間化合物表面の浸食作用との相乗効果によるものである。この処理により所望の粗面化形状を損なうことなく、金属間化合物をほぼ完全に除去できるものである。
特に、アルミニウム溶湯から直接、板状に連続鋳造して製造する連続鋳造材の場合においては、粗面化処理後にカソード分極処理を行うことにより、Ti−Bから構成されている金属間化合物を選択的に除去でき、黒スジを確実に防止できる。その後に、陽極酸化処理を行うことにより、平版印刷版に適した表面状態とすることができる。
本発明の表面処理方法が対象としている軽金属材料としては、不純物元素として鉄と銅(水素の交換電流密度の大きい元素)を含有するアルミニウム合金が代表的なものとして例示される。
またカソード分極処理は、本発明においては、対象とする軽金属材料の電位−pH図において金属状態が安定な領域で行うことが好ましい。ここで、電位−pH図については、世界的にも著名な文献;M.Poubaix: Atlas of equilibria in aqueous solutions. (1966) Pergamon Press. London.にまとめられており、その作成方法についても詳しく記載されている。また、「金属状態が安定な領域」についても上記文献にその区画が記載されている。
本発明では、カソード分極処理における電流密度としては−10〜−100A/dmが採用され、好ましくは−20〜−50A/dmの範囲が採用される。電気量としては、−10〜−20000C/dmの範囲であり、好ましくは−30〜−1000C/dmの範囲であり、更に好ましくは−50〜−500C/dmの範囲である。
カソード分極処理における電解質溶液としては、酸性水溶液を用いることができる。なかでも好適には硝酸又は硝酸金属塩水溶液、硫酸又は硫酸金属塩水溶液又はそれら両者の混合水溶液が使用される。
このような電解質溶液における酸濃度としては、一般的には0.5〜65%の範囲であり、好ましくは5〜50%の範囲であり、更に好ましくは10〜30%の範囲である。温度としては、10〜95℃の範囲であり、好ましくは30〜80℃の範囲であり、更に好ましくは40〜70℃の範囲である。処理時間としては、1〜600秒の範囲であり、好ましくは2〜100秒の範囲であり、更に好ましくは2〜10秒の範囲である。
[粗面化処理]
粗面化処理としては、一般に機械的粗面化処理、化学的粗面化処理(化学エッチング)、電気化学的粗面化処理(電解エッチング)が知られているが、本発明の場合、電解エッチングを適用することが望ましいが、電解エッチングとその他の粗面化処理方法(たとえば機械的粗面化処理や化学的粗面化処理)とを組合せてもよい。
上述のようにして粗面化処理を施した後には、通常は板をアルカリ溶液に浸漬させてデスマット処理を行ない、その後に陽極酸化処理を施すことが望ましい。
以下、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、デスマット処理、電解粗面化処理、陽極酸化処理のそれぞれについて説明する。
[機械的粗面化処理]
前記機械的粗面化処理においては、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、ローラ状ブラシで擦って粗面化するブラシグレイニングを施すことができる。
前記機械的粗面化処理は、処理後の粗面化面の中心線平均粗さ(Ra)は0.3〜0.6μmの範囲になるように行うことが好ましい。
以下、ブラシグレイニングについて説明する。
前記ブラシグレイニングを行なうに先立ち、必要に応じて、前記アルミニウム板の表面に付着した圧延油を除去するための脱脂処理を行うことができる。前記脱脂処理としては、例えば界面活性剤による処理、有機溶剤による処理、およびアルカリ性水溶液による処理などを行うことができる。但し、圧延油の付着が少い場合は、前記脱脂処理を省略することができる。
引き続いて、研磨材スラリーを前記アルミニウム板表面に供給しながら、1種類、または毛径が異なる2種類以上のローラ状ブラシを用いてブラシグレイニングを行う。
前記ブラシグレイニングは、特開平6−135175、特公昭50−40047に詳しく記載されているように、粗面化しようとするアルミニウム板を挟んで上方にローラ状ブラシを配置して下方に支持ローラを配置し、前記アルミニウム板を一定速度で搬送しつつ、前記ローラ状ブラシと前記アルミニウム板との間に研磨材スラリーを供給しながら前記ローラ状ブラシを回転させることにより、行うことができる。
前記支持ローラは、前記ローラ状ブラシ1本につき、2本づつ配置することができる。前記ローラ状ブラシの下方に位置する1対の支持ローラは、外面の最短距離がローラ状ブラシの外径より小さくなるように配置することが好ましい。
前記ブラシグレイニング時においては、前記アルミニウム板を、前記ローラ状ブラシにより、前記2本の支持ローラの間に押し入れるように加圧することが好ましい。
本発明に用いられるローラ状ブラシは、ナイロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいはスチールワイヤなどから形成したブラシ毛を均一な毛長及び植毛分布で円筒状の胴の側面全体に植設したもの、前記胴の表面全体に多数の小穴を開け、前記ブラシ毛の束であるブラシ毛束を前記小穴のそれぞれに植設したもの、およびチャンネルローラ型のものなどが好ましく用いられる。
前記ブラシ毛の材質としてはナイロンが最も好ましい。前記ブラシ毛の植毛後の毛長は、10〜200mmが好ましく、特に25〜100mmが好ましい。なおローラ状ブラシに植え込む際の植毛密度は1cm2当り30〜1000本が好ましく、さらに好ましくは50〜300本である。
前記ブラシ毛の好ましい毛径は、好ましくは0.2mm〜0.83mmであり、特に好ましくは0.25mm〜0.8mmである。ブラシ毛の断面形状は円が好ましい。毛径が0.2mm以上であれば、得られる平版印刷版のシャドウ部での汚れ性能が良好であり、0.83mm以下であれば、ブランケット汚れの生じ難い平版印刷版が得られる。
前記ブラシ毛の材質は、ナイロンが好ましく、特にナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10などが好ましいが、引っ張り強さ、耐摩耗性、吸水による寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性などに優れている点から、ナイロン6・10が最も好ましい。
ローラ状ブラシの本数は、好ましくは1本以上10本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以下であり、最も好ましくは3本または4本である。特開平6−135175号公報に記載されているように、ブラシ毛の毛径が異なる2以上のローラ状ブラシを組み合わせてもよい。
ローラ状ブラシの回転数は、100〜500rpmの範囲が好ましい。ローラ状ブラシは、アルミニウム板の搬送方向と同じ方向に回転(順転)させることが好ましいが、ローラ状ブラシが多数本の場合には、一部のローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向と同じ方向に回転(逆転)させてもよい。前記ローラ状ブラシを3本用いるときは、アルミニウム板の搬送方向に対して最も上流側に位置するローラ状ブラシを順転させ、中央のローラ上ブラシを逆転させ、アルミニウム板の搬送方向に対して最も下流側に位置するローラ状ブラシを順転させることが特に好ましい。ローラ状ブラシを4本用いるときには、前記4本のローラ状ブラシの回転方向は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側(以下、単に「上流側」という。)からアルミニウム板の搬送方向に対して下流側(以下、単に「下流側」という。)に向かって、順転、逆転、順転、順転が好ましい。
また、前記ローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向に対して直角の方向に沿って0.0001〜1Hzの周期および10〜200mmの振幅でオシレートさせることにより、処理ムラのない表面を有する平版印刷版用アルミニウム支持体が得られる。
ローラ状ブラシの押し込み量は、前記モータの消費電力が、1.0〜15kw、更に好ましくは2〜10kwになるように、前記ローラ状ブラシを回転させるモーターの負荷に基いて管理することが好ましい。
前記ブラシグレイニングにおいて、太いブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで粗面化した後、細いブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで処理することにより、親水性、保水性及び密着性のすべてを兼ね備えた平版印刷版が得られるから好ましい。前記平版印刷版は、湿し水が少ない場合のシャドー部のつぶれがないため、水幅が広く、地汚れが発生しにくく、さらに感光層との密着劣化がないという特長を有する。
本発明に用いられる研磨材スラリーとしては、珪砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、パミス粉末、カーボランダム、金剛砂等の研磨材を、比重1.05〜1.3となるような範囲で水に分散させたものが好ましい。前記研磨材のの平均粒子径は、一般的には1〜50μmであり、好ましくは5〜45μmであり、更に好ましくは15−45μmの範囲である。前記平均粒子径は、スラリー液中に含まれる全研磨材の体積に対し、各径の粒子の占める割合の累積度数をとったとき、前記累積割合が50%となる粒子径として求められる。
前記ブラシグレイニングにおいては、前記範囲の中心線平均粗さ(Ra)が得られるように、ローラ状ブラシの押し込み量、回転数、回転方向の組み合わせ、ローラ状ブラシの本数、それぞれのローラ状ブラシの直径、ブラシ毛の密度、アルミニウム板に加える張力、前記研磨材スラリーに配合する研磨材の種類、平均粒子径、粒度分布、および前記研磨材スラリーをアルミニウム板に吹きつける流量・方向・角度などを選択することが好ましい。
前記機械的粗面化処理においては、前記ブラシグレイニングのほか、側面に研磨面を設けた研磨ローラで擦って粗面化するローラ研磨、研磨材スラリーを吹き付ける方式、ワイヤーブラシによる粗面化、凹凸を付けた圧延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55−074898、特開昭61ー162351、特開昭63−104889等に記載された方式が挙げられる。
[アルカリエッチング処理]
前記アルカリエッチング処理により、前記アルミニウム板の表面に食い込んだ研磨材やアルミニウム屑などが除去され、その後に施される電解粗面化処理を、より均一に、しかも効果的に行うことができる。また、電解粗面化処理でアルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの被膜を除去できる。
前記アルカリエッチング処理においては、前記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチング処理を行なう。
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば前記アルカリ溶液を収容する槽中を連続的に通過させる方法、前記アルカリ溶液を収容する槽中に浸漬する方法、および前記アルカリ溶液を前記アルミニウム板の表面に噴霧する方法などがある。
前記アルカリエッチング処理におけるアルミニウム板の溶解量、換言すればエッチング量は、前記機械的粗面化処理に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(1)においては2〜15g/m2の範囲が好ましく、特に3〜10g/m2の範囲が好ましい。複数回、電解粗面化処理を行う場合、最初の電解粗面化処理である電解粗面化処理(1)に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(2)においては0.1〜4g/m2の範囲が好ましく、特に0.2〜3.5g/m2の範囲が好ましい。そして、最後の電解粗面化処理である電解粗面化処理(2)に引き続いて行なうアルカリエッチング処理、換言すれば最後のアルカリエッチング処理であるアルカリエッチング処理(3)においては、0.05〜1g/m2の範囲が好ましく、特に0.1〜0.3g/m2の範囲が好ましい。
前記アルカリ溶液としては、苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。
苛性アルカリとしては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等が挙げられる。
前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、および珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、アルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウム等のアルカリ金属アルミン酸塩、グルコン酸ナトリウムおよびグルコン酸カリウム等のアルカリ金属アルドン酸塩、並びに第二燐酸ナトリウム、第二燐酸カリウム、第三燐酸ナトリウム、および第三燐酸カリウム等のアルカリ金属燐酸水素塩等が挙げられる。前記アルカリ溶液としては、エッチング速度が速い点および安価である点から、苛性アルカリの溶液、および前記苛性アルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との溶液が特に好ましい。
前記アルカリ溶液としては、アルミニウムイオンを所定量含有する水酸化ナトリウム溶液が特に好ましい。
前記水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナトリウムおよびアルミニウムイオンの濃度は、前記アルカリエッチング処理(1)および前記アルカリエッチング処理(2)においては、それぞれ20〜30重量%および5〜9重量%の範囲が好ましく、前記アルカリエッチング処理(3)においては、4〜6重量%および0.3〜0.7重量%の範囲が好ましい。
前記アルカリ溶液の液温は、前記アルカリエッチング処理(1)においては40〜80℃の範囲が好ましく、前記アルカリエッチング処理(2)においては30〜80℃の範囲が好ましい。そして、前記アルカリエッチング処理(3)においては、25〜80℃の範囲が好ましい。
前記アルカリエッチング処理は、アルミニウム板のエッチング処理に通常に使用されるエッチング装置を用いて行うことができる。前記エッチング装置としては、アルカリ溶液を貯留する槽を有し、前記槽中に前記アルミニウム板を浸漬する形態のもの、およびスプレーノズルを有し、前記スプレーノズルから前記アルミニウム板に向って前記アルカリ溶液を吹き付ける形態のものが挙げられる。前記エッチング装置は、バッチ式であっても連続式であってもよい。
前記アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
[デスマット処理]
前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および(3)においては、前記アルミニウム板をアルカリ溶液で処理するので、表面にスマットが生成する。
そこで、前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および(3)が終了する毎に、前記アルミニウム板を酸性溶液に接触させてデスマット処理し、表面のスマットを除去する。
前記デスマット処理は、前記アルミニウム板を酸性溶液中に浸漬するか、酸性溶液中を通過させるかして行なうことができ、また、前記酸性溶液を、スプレーノズルを用いて吹付けるスプレー処理により行うことができるが、前記スプレー処理が好ましい。
酸性溶液としては、主要な酸成分として、硝酸、硫酸、塩酸、およびクロム酸から選択される1種または2種以上の酸を含有する溶液が挙げられる。前記酸性溶液における前記酸性分の濃度は0.5〜60重量%が好ましい。前記酸性溶液中には、アルミニウムイオン、および前記微量元素のうち前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれるもののイオンが0〜5重量%溶解していても良い。具体的には、前記アルカリエッチング処理(1)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(1)においては、前記酸性溶液としては、硝酸を5〜15g/リットル含有する硝酸水溶液または硫酸を80〜200g/リットル含有する硫酸溶液が好ましく、前記アルカリエッチング処理(2)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(2)および前記アルカリエッチング処理(3)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(3)においては、前記酸性溶液としては、硫酸を80〜350g/リットル含有する硫酸溶液が好ましい。
また、前記デスマット処理(1)および(2)においては、前記酸性溶液として、後述する電解粗面化処理(1)または後述する陽極酸化処理で排出される廃液を使用すれば、前記電解粗面化処理(1)および前記陽極酸化処理において排出される廃液の量を削減できるから好ましい。また、前記デスマット処理(3)においては、前記酸性溶液として、前記陽極酸化処理で排出される廃液を使用すれば、廃液の量を大幅に削減できるだけでなく、前記デスマット処理(3)後に前記アルミニウム板を洗浄することなく、直ちに前記陽極酸化処理に移行できるから、デスマット処理装置と陽極酸化処理装置との間の洗浄設備を省略できる点でも好ましい。
前記酸性溶液の液温は、前記デスマット処理(1)、(2)、および(3)の何れにおいても、常温〜95℃の範囲が好ましく、特に、25〜80℃の範囲が好ましい。処理時間は1〜30秒が好ましく、特に1〜5秒が好ましい。
デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましいが、酸性溶液として、次の工程で用いる液と同じ種類・組成の液、または次の工程で排出される廃液を使用する場合には、廃液量を少なくすべく、前記液切りおよび水洗を省略することができる。
[電解粗面化処理]
電解粗面化処理は(1)硝酸を主体とする水溶液(2)塩酸を主体とする水溶液を好適に用いることができる。
(1)硝酸を主体とする水溶液
前記硝酸水溶液は、硝酸を1〜100g/リットル含む硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、および塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩から選択される1種以上の塩を、1g/リットル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げることができる。前記硝酸水溶液には、銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるように添加することもできる。前記硝酸水溶液中には、さらに、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次亜塩素酸または過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度で含有していてもよい。
前記硝酸水溶液としては、硝酸を5〜15g/リットル含有する希硝酸に、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
また、硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行っていると、還元反応により、前記硝酸水溶液中にアンモニウムイオンが生成するので、前記硝酸水溶液中に、アンモニウムイオン濃度が50〜150ppmになるように、予め硝酸アンモニウムを添加することがとくに好ましい。
前記硝酸水溶液の液温は、30〜80℃が好ましく、35〜60℃が特に好ましい。
(2)塩酸を主体とする水溶液
前記塩酸水溶液は、塩酸濃度が1〜100g/リットルの塩酸水溶液に、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩、および硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩から選択された1種以上の塩を、1g/リットル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げることができる。前記塩酸水溶液には、また、銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるように添加することもできる。前記塩酸水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、珪素等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度で含有していてもよい。
前記塩酸水溶液としては、塩酸を2〜15g/リットル含有する希塩酸に塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。前記塩酸水溶液の液温は、20〜50℃が好ましい。
(3)電解粗面化処理の条件
前記(1)硝酸を主体とする水溶液(2)塩酸を主体とする水溶液の何れの水溶液を用いて、電解粗面化処理する何れにおいても、交流および直流の何れを印加してもよいが、交流を印加することが好ましい。前記交流は、前記アルミニウム板が前記電解粗面化処理の間に陽極反応にあずかる電気量が20〜500C/dm2になるように印加することが好ましい。
前記交流としては、サイン波電流、矩形波電流、台形波電流、および三角波電流など、各種の波形を有する交流電流を用いることができるが、矩形波電流および台形波電流が好ましく、台形波電流が特に好ましい。
前記交流の周波数は、0.1〜500Hzが好ましいが、前記電解粗面化処理(1)においては40〜70Hzの範囲が特に好ましく、電解粗面化処理(2)においては、40〜150Hzが特に好ましい。
前記台形波の一例を図2に示す。図2に示す台形波を用いる場合は、電流が0からピークに達するまでの立上り時間tp(tpaまたはtpc)は0.1〜10msecの範囲が好ましく、0.5〜2msecの範囲がとくに好ましい。立上り時間tpが0.1以上であれば、電源回路のインピーダンスの影響が小さいので、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要であるから、電源回路が安価に構成できる。また、立上り時間tpが10msec以下であれば、前記水溶液(1)および(2)の何れにおいても、硝酸水溶液または塩酸水溶液中の微量成分の影響を受け難いから、均一な粗面化がおこなわれる。
電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間taが交流の周期Tに占める割合ta/Tは、0.33〜0.66が好ましく、0.45〜0.55が更に好ましく、0.5が特に好ましい。
主極に対向するアルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウム板がカソード反応時の電気量Qcとアノード反応時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.9〜1の範囲にあることが好ましい。この電気量比のコントローラは電源が発生する電圧を制御しておこなうことができる。後述の図3に示す電解槽を用いるときは、サイリスタThの点弧角を制御して前記電気量比を調整する。
電流密度は台形波のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10〜200A/dm2の範囲が好ましく、15〜35A/dm2の範囲が特に好ましい。
電解槽としては、縦型、フラット型、ラジアル型などの公知の電解槽が使用できる。電解槽は、1槽のみ使用してもよく、2槽以上を直列に使用してもよい。
前記電解槽の内部には、前記アルミニウム板に交流または直流を印加する主電極が設けられる。
前記電解槽においては、内部を搬送されるアルミニウム板と前記主電極との距離が5〜100mm、好ましくは8〜15mmになるように前記アルミニウム板の走路および主電極を配置することが望ましい。前記主電極はカーボンで形成することが好ましい。
前記電解槽内を搬送されるアルミニウム板と前記電解槽の内部を流通する硝酸水溶液または塩酸水溶液との平均相対流速は、1〜1000m/minの範囲が好ましく、15〜300m/minの範囲が特に好ましい。前記平均相対流速が前記範囲内である限り、前記硝酸水溶液または塩酸水溶液の流通方向は、前記アルミニウム板の搬送方向と同方向および逆方向の何れの方向であってもよい。
また、前記アルミニウム板の走路と前記主電極との距離、および前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の流速は一定に保持されていることが、均一な電解粗面化を行う上で望ましい。
フラット型および縦型の電解槽においては、特公昭61−30036号公報に記載されているように、走行するアルミニウム板が摺動できるように形成された面を内部に設け、静圧を利用して前記アルミニウム板を圧接させつつ走行させることにより、前記距離を一定に保つことができる。また、ラジアル型の電解槽においては、特開平8−300843号公報に記載されているように、内部に、前記アルミニウム板を搬送する直径の大きなローラを設け、前記ローラを取り囲むように、複数の主電極を円周上に配設し、前記主電極とアルミニウム板の距離を一定に保つことができる。
また、前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の流速を一定にするには、電解槽の内部に液溜り室を設け、内部を走行するアルミニウム板の巾方向に沿って幅1〜5mmの液吹き出し用のスリットを設けた給液ノズルを用いて前記硝酸水溶液および塩酸水溶液を供給すればよい。また、複数の液溜り室を設け、それぞれの液溜り室を、バルブと流量計とを備える管路で接続し、前記給液ノズルのそれぞれのスリットから吹き出す液量を調整してもよい。
前記電解槽内部を走行するアルミニウム板への給電方式としては、たとえばコンダクタローラを用いる直接給電方式と、前記コンダクタローラを用いない液給電方式、換言すれば間接給電方式とがある。
前記電解槽において、間接給電方式を用いる場合は、変圧器および可変式誘導電圧調整器などを用いて電流値を制御できる。
また、前記電解槽の内部に前記主電極のほかに、直流を印加する補助陽極を設け、前記補助電極に流れる直流電流の強さを制御することにより、アルミニウム板に加わる陽極時の電気量と陰極時の電気量の比を調整することができる。前記補助電極は、フェライト等により形成できる。
補助陽極に流れる電流を制御する方法としては、特公平6−37716号公報および特公平5−42520号公報に記載されているように、サイリスタおよびGTOなどの制御整流器による位相制御、およびダイオードと可変抵抗器とによる制御などが挙げられる。前記方法により、前記補助陽極に流れる電流を制御すれば、変圧器の偏磁の影響を小さくすることができ、また、電源装置を安価に製作できるから、コスト的に非常に有利である。
直接給電方式を用いる場合は、コンダクタローラとしては、特開昭58−177441号公報に記載されているように、工業用アルミニウムを用いて鋳造し、高温均質化処理を施して表面部分のAl−Fe系晶出物をAl3Feの単一相に変化させて耐食性を向上させたコンダクタローラを用いることができる。また、特開昭56−123400に記載されているように、フラット型または縦型の電解槽におけるアルミニウム板の導入部、または前記導入部と前記アルミニウム板の導出部との両方に前記コンダクタローラを配設した電解槽を使用することができる。
前記電解槽においては、コンダクタローラは、アルミニウム板の上面または下面に接触するように設けることが可能であるが、アルミニウム板の上面に接触するように設け、ニップ装置にてアルミニウム板に押しつけるようにするのが特に好ましい。アルミニウム板がコンダクタローラに接する長さは、アルミ進行方向に対して1mm〜300mmが好ましい。アルミニウム板を挟んでコンダクタローラに対向するパスローラはゴム製の胴を有するゴムローラが好ましい。前記コンダクタローラの押しつけ圧、およびゴムローラの胴の硬度は、前記コンダクタローラと前記アルミニウム板との接する箇所においてアークスポットが発生しない条件で任意に設定できる。コンダクタローラがアルミニウム板の上面に接触するように設置することで、コンダクタローラの交換作業・点検作業が簡単になる。コンダクタローラの端部には給電ブラシを回転体に摺動させながら通電する方式を用いるのが好ましい。
前記コンダクタローラは、アークスポットの発生を防止するために、前記硝酸水溶液または塩酸水溶液により常に冷却することが好ましい。
図3は、ラジアル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面模式図である。この電解粗面化処理装置10は、酸性水溶液が貯留される交流電解槽本体22を備える交流電解槽40と、交流電解槽本体22内部に収容され、水平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設され、アルミニウム合金板Wを、図3における左方から右方に向かって、搬送方向aで送る送りローラ24と、を備える。
交流電解槽本体22内部には、上述した酸性水溶液が貯留される。交流電解槽本体22の内壁面は、送りローラ24を囲むように略円筒状に形成され、その内壁面上には、半円筒状の主極26Aおよび26Bが送りローラ24を挟んで設けられる。主極26Aおよび26Bは、複数の小電極に分割され、それぞれの小電極の間には、絶縁性のスペーサーが介装される。小電極は、例えば、グラファイトや金属を用いて形成され、スペーサーは、例えば、塩化ビニル樹脂により形成される。スペーサーの厚さは1〜10mmであるのが好ましい。また、図3においては簡略的に示したが、主極26Aおよび26Bのいずれにおいても、スペーサーにより分割された小電極のそれぞれが交流電源Tacに接続される。
交流電解槽40の上部には、アルミニウム合金板Wを交流電解槽本体22に導入され、また、導出するための開口部22Aが形成される。交流電解槽本体22における開口部22Aの近傍には、交流電解槽本体22に酸性水溶液を補充する給液ノズル28Aが設けられる。また、給液ノズル28Bも別途設けられる。交流電解槽40の上方における開口部22A近傍には、アルミニウム合金板Wを交流電解槽本体22内部に案内する一群の上流側案内ローラ30Aと、交流電解槽本体22内で電解粗面化処理されたアルミニウム合金板Wを外部に案内する一群の下流側案内ローラ30Bとが配設される。
交流電解槽40においては、交流電解槽本体22の下流側に隣接して溢流槽32が設けられる。溢流槽32内部には、上述した酸性水溶液が貯留される。溢流槽32は、交流電解槽本体22から溢流した酸性水溶液を一時貯留し、交流電解槽本体22における酸性水溶液の液面の高さを一定に保持する機能を有する。
交流電解槽本体22と溢流槽32との間には、補助電解槽34が設けられる。補助電解槽34は、交流電解槽本体22よりも浅く、底面34Aが平面状に形成される。そして、底面34A上には、円柱状の補助電極36が複数本設けられる。補助電解槽34内部には上述した酸性水溶液が貯留される。補助電極36は、白金等の高耐食性の金属、フェライト等により形成されているのが好ましい。また、補助電極36は板状であってもよい。補助電極36は、交流電源Tacにおける主極26Bが接続される側に、主極26Bに対して並列に接続され、中間には、サイリスタTh4が、点弧時に交流電源Tacにおける前記側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続される。また、交流電源Tacにおける主極26Aが接続された側も、サイリスタTh5を介して補助電極36に接続される。サイリスタTh5も、点弧時に交流電源Tacにおける主極26Aが接続された側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続されている。サイリスタTh4およびTh5のいずれを点弧したときも、補助電極36にはアノード電流が流れる。したがって、サイリスタTh4およびTh5を位相制御することにより、補助電極36に流れるアノード電流の電流値を制御することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御することができる。
図3の電解粗面化処理装置10によれば、左方から交流電解槽40に案内されたアルミニウム合金板Wは、まず、上流側案内ローラ30Aによって交流電解槽本体22に案内される。そして、送りローラ24によって図3における左方から右方に向かって送られ、下流側案内ロ一ラ30Bによって補助電解槽34内に導かれる。交流電解槽本体22および補助電解槽34の内部において、アルミニウム合金板Wは、主極26Aおよび26Bに印加された交流電流と、補助電極36に印加されたアノード電流とにより、主極26Aおよび26Bに面する側の表面が粗面化され、ほぼ均一なハニカムピットが形成される。
以上に説明した電解粗面化処理装置10は電解粗面化処理の一例であり、これに限定されるものではない。
[陽極酸化処理]
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる酸性電解液としては、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、およびそれらの混合物を主要な酸成分とする酸性溶液が用いられるが、陽極酸化処理により多孔質酸化皮膜を形成できる溶液であれば、前記の酸性溶液には限定されない。
陽極酸化の処理条件は、用いる酸性電解液の組成によって変わるので、一概には特定できないが、一般的には、前記酸成分の濃度が1〜80重量%であり、液温が5〜70℃であり、電流密度が1〜60A/dm2であり、電圧が1〜100Vであり、処理時間が10秒〜300秒の範囲が適当である。
陽極酸化皮膜の量は、1〜5g/m2の範囲が適当である。陽極酸化皮膜の量が1g/m2以上であれば、充分な耐刷性が得られるから、平版印刷版の非画像部に傷が付き難く、したがって、傷の部分にインキが付着する所謂きず汚れが生じ難い。陽極酸化皮膜量が多くなると、アルミニウム板のエッジ部分に酸化皮膜が集中しやすくなるが、陽極酸化皮膜の量が5g/m2以下であれば、このような問題が生じることはない。但し、アルミニウム板のエッジの部分と中心部分の酸化皮膜量の差は1g/m2以下であることが好ましく、0.5g/m以下であるとより好ましい。
前記酸性電解液として硫酸水溶液を用いる場合には、通常は、前記アルミニウム板に直流電流を印加して陽極酸化処理を行なうが、交流を印加して陽極酸化処理を行なってもよい。
硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なう場合には、特開昭54−128453号公報および特開昭48−45303号各公報に詳しく記載されているように、硫酸濃度が10〜300g/リットルであり、アルミニウムイオンの濃度が1〜25g/リットルの硫酸水溶液が好ましく、硫酸濃度が80〜200g/リットルであり、アルミニウムイオンの濃度が2〜10g/リットルである硫酸水溶液が特に好ましい。液温は30〜60℃が好ましく、特に30〜55℃の範囲が好ましい。
直流を用いて陽極酸化処理を行なうときは、電流密度は、1〜60A/dm2の範囲が好ましく、特に5〜40A/dm2の範囲が好ましい。アルミニウム板を連続的に陽極酸化する場合は、アルミニウム板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために、最上流側においては5〜10A/dm2の低電流密度で陽極酸化処理をおこない、下流側に向かって徐々に電流密度を高め、30〜50A/dm2またはそれよりも高い値にまで電流密度を高くすることが好ましい。電流密度は、5〜15ステップで徐々に上げることが好ましく、各ステップごとに独立した電源装置を設けて前記電源装置のそれぞれにおいて電流密度を制御することにより、下流側に向かって徐々に電流密度を高めることができる。
陽極酸化処理工程においては大電流を流すため、ブスバーに流れる電流により発生する磁界により、アルミニウム板にローレンツ力が働く。その結果ウェブが蛇行する問題が生じるため、特開昭57−51290に記載のような方法を用いることが特に好ましい。
また、アルミニウム板には大電流が流れるため、アルミニウム板自身を流れる電流による磁界により、アルミニウム板の幅方向において中央に向かってローレンツ力が働く。その結果アルミニウム板に折れが発生しやすくなるため、陽極酸化処理槽内に直径100〜200mmのパスローラーを100〜3000mmピッチで複数設け、1度から15度の角度でラップさせてローレンツ力による折れを防止する方法をとることが特に好ましい。
また、陽極酸化皮膜は、アルミニウム板のエッジに近づくほど生成量が多くなり、厚さが厚くなるから、巻き取り装置においてアルミニウム板をうまく巻きとれないという問題が生じることがある。前記問題は、特公昭62−30275公報および特公昭55−21840号公報に記載されているように、酸性電解液を撹拌することにより解決できる。酸性電解液を攪拌しても前記問題が十分に解決できない場合には、巻き取り装置を0.1〜10Hzの周期で5〜50mmの振幅でアルミニウム板の幅方向にオシレートさせれば、前記アルミニウム板の巻取りの問題を解決できる。
アルミニウム板に電流を通電するための陽極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトなどを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とするものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により基材に被覆できる。基材としてはチタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられるが、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、その周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好ましい。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あまり複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割して作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後にボルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てるのが一般的である。
[封孔処理・親水化処理]
陽極酸化処理されたアルミニウム板は、現像液への陽極酸化皮膜の溶解および非画像部における画像形成層の残膜の抑制、陽極酸化皮膜の強度、親水性、および感光層との密着性の向上等を目的に、水洗処理した後、親水化処理を施すことができる。
前記親水化処理としては陽極酸化皮膜をアルカリ金属珪酸塩の水溶液と接触させて処理するシリケート処理があげられる。
前記シリケート処理は、アルカリ金属珪酸塩濃度が通常0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜15重量%であり、25℃でのpHが10〜13.5であるアルカリ金属珪酸塩の水溶液に、前記アルミニウム板を、5〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触させることにより、行なうことができる。
前記アルミニウム板を前記アルカリ金属珪酸塩の水溶液に接触させる方法としては、浸漬およびスプレーによる吹き付けなどが挙げられるが、これらの方法には限定されない。
なお、アルカリ金属珪酸塩水溶液は、pHが10より低いとゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶解されてしまうから、前記ゲル化および陽極酸化皮膜の溶解の問題が生じないpH10〜13.5の範囲が好ましい。中でもpH10.8〜pH12.3の範囲が特に好ましい。
前記アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。
アルカリ金属珪酸塩の水溶液のpH調整には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が使用される。
なお、前記水溶液には、アルカリ土類金属塩または第IVB族金属塩を配合してもよい。
アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、硼酸塩などの水溶性塩が挙げられる。
第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属および第IVB族金属塩は、単独でも、2種以上の組み合わせでも使用できる。前記アルカリ土類金属および第IVB族金属塩の好ましい配合量は、0.01〜10重量%であり、更に好ましい配合量は、0.05〜5重量%である。
前記アルミニウム板には、前記親水化処理に加え、封孔処理を施すこともできる。
前記封孔処理としては、水蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによる)など、陽極酸化皮膜の封孔処理として公知の処理が挙げられるが、印刷版用支持体としての性能(感光層との密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性等の面から、水蒸気封孔が好ましい。
水蒸気封孔としては、たとえば、加圧または常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70%以上、蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極酸化皮膜に接触させる特開平4−176690号公報に開示された方法などが挙げられる。
他の封孔処理法としては、熱水またはアルカリ水溶液への浸漬、熱水またはアルカリ吹き付け処理、亜硝酸塩水溶液への浸漬、および亜硝酸塩水溶液の吹き付け処理などが挙げられる。前記亜硝酸塩水溶液への浸漬および噴き付け処理は、前記熱水またはアルカリ水溶液への浸漬および吹き付け処理に代えて行なってもよく、前記処理に引き続いて行なってもよい。
前記亜硝酸塩の例としては、周期律表のIa、IIa 、IIb 、IIIb、IVb 、IVa 、VIa、VIIa、VIII族の金属の亜硝酸塩である金属亜硝酸塩、および亜硝酸アンモニウムが挙げられる。
前記金属亜硝酸塩としては、例えばLiNO2、NaNO2、KNO2、Mg(NO22、Ca(NO22、Zn(NO22、Al(NO23、Zr(NO24、Sn(NO23、Cr(NO23、Co(NO22、Mn(NO22、Ni(NO22等が好ましく、特にアルカリ金属硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩は2種以併用することもできる。
処理条件は、前記アルミニウム板の状態および亜硝酸塩の種類により異なるので一義的には決定できないが、例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、濃度は一般的には0.001〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜2重量%である。浴温度は一般的には室温から約100℃前後であり、より好ましくは60〜90℃である。処理時間は一般的には10〜300秒であり、より好ましくは15〜180秒である。
亜硝酸塩水溶液のpHは8.0〜11.0に調整されていることが好ましく、8.5〜9.5に調整されていることが特に好ましい。亜硝酸塩水溶液のpHを上記の範囲に調製するには、例えばアルカリ緩衝液等を用いて好適に調製することができる。該アルカリ緩衝液としては、例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適に用いることができるが、これらには限定されない。また、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以外のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩等も用いることができる。
前記親水化処理および封孔処理の少なくとも一方を施した後、感光層との密着性をアップさせるために、特開平5−278362号公報に開示されている酸性水溶液処理と親水性下塗りを行なってもよく、特開平4−282637号公報や特願平6−108678号明細書に開示されている有機層を設けてもよい。特に酸基とオニウム基を有する高分子化合物を含む中間層を設けるとよい。
[水洗処理]
なお、前記処理のそれぞれにおいて使用された薬液や研磨材をアルミニウム板表面から除去すべく、前記各処理の間に、前記アルミニウム板を水洗処理する水洗工程を設けてもよい。
前記水洗工程においては、水洗処理は、種類および組成の異なる薬液を使用する処理槽の間において行なうのが普通である。前記アルミニウム板が一の処理槽から出て洗浄工程に入る時間、および前記洗浄工程が終了してから前記一の洗浄槽に隣接する次の処理槽に入るまでの時間は、10秒以下が好ましく、0.1〜10秒が特に好ましい。前記時間が10秒以下であれば、前記アルミニウム板の表面の化学的な変性がそれほど進まないから、処理ムラが発生し難い。また、前記一の処理槽を出てから次の処理槽までのアルミニウム板の通過時間は、15秒以下が好ましく、特に5秒以下が好ましい。前記通過時間が15秒以下であれば、前記アルミニウム板の表面の化学的な変性が進むことが殆どなく、次工程で均一な粗面化処理を行うことができる。
前記アルミニウム板の水洗工程においては、ニップローラーにて液切りした表面を、水洗槽において、スプレーチップから水を噴射して洗浄するのが一般的である。水は下流に向かって45度〜90度の角度で噴射することが好ましい。
水の噴射圧力は、噴射ノズル直前の圧力で0.5〜5kg/cm2が好ましく、水温は10〜80℃が好ましい。
前記アルミニウム板の搬送速度は20〜200m/minが好ましい。
アルミニウム板に吹き付ける洗浄水の量は、洗浄工程1回当り0.1〜10リットル/m2が好ましい。
前記水洗槽においては、アルミニウム板の表面および裏面に、最低2本以上のスプレー管から洗浄水を噴射することが好ましい。一つのスプレー管にはピッチ50mmから200mmの間隔でスプレーチップを5〜30本設置することが好ましい。スプレーチップの噴霧角度は10〜150度が好ましく、アルミニウム板とスプレーチップ噴射面の間隔は10〜250mmが好ましい。スプレーチップの噴霧の断面形状(スプレーパターン)は環状、円形、楕円形、正方形、長方形などがあるが、円形・惰円形または正方形・長方形が好ましい。流量分布(アルミニウム板の表面における噴霧の水量分配状態)は環状分布、均等分布、山型分布などがあるが、スプレーチップをスプレー管に複数並べて使用するときは、幅全域での均一な流量分布を容易にする山型分布が好ましい。流量分布は噴霧圧力とスプレーチップとアルミニウム板の距離により変化する。噴霧の粒子径はスプレーチップの構造、噴霧圧力、噴霧量によって変わるが、10μm〜10000μmの範囲が好ましく、とくに100μm〜1000μmの範囲が好ましい。スプレーノズルの材質は高速で流れる液体に対して耐摩耗性があることが好ましく、真鍮、ステンレス、セラミックなどが用いられるが、セラミックノズルが特に好ましい。
スプレーチップを設置したスプレーノズルは、アルミニウム板の進行方向に対して45〜90°の角度で配置することができるが、スプレーパターンの中心線のうち長さが長い方の中心線がアルミニウム板の進行方向と直角になるようにすることが好ましい。
水洗処理の時間は、1回の水洗工程当り10秒以下が工業的に好ましく、特に0.5秒から5秒が好ましい。
[パスローラの材質]
前記各処理を行なう処理槽および水洗槽においては、前記アルミニウム板を搬送または支持するパスローラを設けることができる。
前記パスローラとしては、鉄鋼ライン、メッキライン、電解コンデンサ製造ライン、PS版製造ラインなどの連続生産ラインに用いる表面にメッキ処理またはライニング処理された金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ、不織布ローラなどを用いることができる。
前記パスローラの材質、表面の物性値は、前記処理に使用される薬液やアルミニウム板の表面の状態に応じて、要求される耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などを考慮して選定する。
金属ローラとしては、ハードクロムメッキローラが一般的に用いられる。
ゴムローラとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクローラヒヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴムなどのゴム類、および前記ゴム類に微量の添加物を添加したものから製した胴を有するローラを用いることができる。ゴムローラの胴の硬度は60〜90がとくに好ましい。
また、アルミニウム板が濡れて滑りやすい箇所において、アルミニウムウェブの搬送速度を制御するときには、アルミニウムウェブが濡れた状態でもスリップしにくい不織布ローラを用いることがとくに好ましい。前記箇所においてゴムローラを用いるときは、ローラに補助駆動用のモータを設けることがとくに好ましい。
<中間層>
上記の平版印刷版用支持体の上に直接感光層を設けることができるが、必要に応じて、上記各支持体上に中間層を設け、該中間層上に感光層を設けることもできる。
(酸基とオニウム基とを有する高分子化合物の中間層)
中間層形成に用いる高分子化合物として、酸基を有する、又は、酸基を有する構成成分と共にオニウム基を有する構成成分をも有する高分子化合物が一層好適に用いられる。この高分子化合物の構成成分の酸基としては、酸解離指数(pKa)が7以下の酸基が好ましく、より好ましくは−COOH、−SOH、−OSOH、−PO、−OPO、−CONHSO、−SONHSO−であり、特に好ましくは−COOHである。好適なる酸基を有する構成成分は、下記の一般式(1)又は一般式(2)で表される重合可能な化合物である。
Figure 2008163382
式中、Aは2価の連結基を表す。Bは芳香族基又は置換芳香族基を表す。D及びEはそれぞれ独立して2価の連結基を表す。Gは3価の連結基を表す。X及びX′はそれぞれ独立してpKaが7以下の酸基又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩を表す。R1 は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0または1を表す。tは1〜3の整数である。酸基を有する構成成分の中でより好ましくは、Aは−COO−または−CONH−を表し、Bはフェニレン基又は置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基、ハロゲン原子又はアルキル基である。D及びEはそれぞれ独立してアルキレン基又は分子式がCnHnO、CnHnS又はCnHn+1Nで表される2価の連結基を表す。Gは分子式がCnHn−1、CnHn−1O、CnHn−1S又はCnHnNで表される3価の連結基を表す。ただし、ここでnは1〜12の整数を表す。X及びX′はそれぞれ独立してカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、硫酸モノエステル又は燐酸モノエステルを表す。R1は水素原子またはアルキル基を表す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0または1を表すが、aとbは同時に0ではない。酸基を有する構成成分の中で特に好ましくは一般式(1)で示す化合物であり、Bはフェニレン基又は置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。D及びEはそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキレン基又は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表す。R1は水素原子又はメチル基を表す。Xはカルボン酸基を表す。aは0であり、bは1である。
酸基を有する構成成分の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、更に下記のものが挙げられる。
Figure 2008163382
Figure 2008163382
Figure 2008163382
上記のような酸基を有する構成成分は、1種類又は2種類以上組み合わせてもよい。
(オニウム基を有する高分子化合物の中間層)
また、上記中間層形成に用いられる高分子化合物の構成成分のオニウム基として好ましいものは、周期律表第V族又は第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子又はイオウ原子からなるオニウム基であり、特に好ましくは窒素原子からなるオニウム基である。また、この高分子化合物は、その主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマー又はウレタン樹脂又はポリエステル又はポリアミドであるポリマーが好ましい。中でも、主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーが更に好ましい。特に好ましい高分子化合物は、オニウム基を有する構成成分が下記の一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される重合可能な化合物であるポリマーである。
Figure 2008163382
式中、Jは2価の連結基を表す。Kは芳香族基又は置換芳香族基を表す。Mはそれぞれ独立して2価の連結基を表す。Yは周期律表第V族の原子を表し、Yは周期律表第VI族の原子を表す。Z- は対アニオンを表す。Rは水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。R,R,R,Rはそれぞれ独立して水素原子又は場合によっては置換基が結合してもよいアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、Rはアルキリジン基又は置換アルキリジンを表すが、RとR又はR67R7はそれぞれ結合して環を形成してもよい。j,k,mはそれぞれ独立して0または1を表す。uは1〜3の整数を表す。オニウム基を有する構成成分の中でより好ましくは、Jは−COO−または−CONH−を表し、Kはフェニレン基又は置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基、ハロゲン原子又はアルキル基である。Mはアルキレン基又は分子式がCnHnO、CnHnS又はCn Hn+1Nで表される2価の連結基を表す。ただし、ここでnは1〜12の整数を表す。Y は窒素原子またはリン原子を表し、Yはイオウ原子を表す。Z- はハロゲンイオン、PF- 、BF- 又はRSO- を表す。Rは水素原子またはアルキル基を表す。R,R,R,Rはそれぞれ独立して水素原子又は場合によっては置換基が結合してもよい炭素数1〜10のアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキリジン基又は置換アルキリジンを表すが、RとR又はRとRはそれぞれ結合して環を形成してもよい。j,k,mはそれぞれ独立して0または1を表すが、jとkは同時に0ではない。オニウム基を有する構成成分の中で特に好ましくは、Kはフェニレン基又は置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。Mは炭素数1〜2のアルキレン基又は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表す。Z- は塩素イオン又はRSO- を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。jは0であり、kは1である。
[バックコート]
層現像時のアルミ溶解をなくし、画像形成層と平版印刷版用アルミニウム支持体との擦れによるキズを無くす目的で、特開平6−32115に記載されているように、有機高分子化合物ならびに界面活性剤を含む厚さ0.01〜8μmのバックコート層を設けることができる。
このバックコート層の主成分としては、ガラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニリデン共重合樹脂の群から選ばれる少なくとも一種の樹脂が用いられる。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからなる。
本発明に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、およびアジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
バックコート層には更に、着色のための染料や顔料、アルミニウム支持体との密着性向上のためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸およびカチオン性ポリマー等、更には滑り剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンよりなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等が適宜加えられる。
バックコート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆するには種々の方法が適用できる。このような方法としては、たとえば、前記樹脂の溶液または乳化分散液を塗布、乾燥する方法、予めフィルム状に成形した前記樹脂を接着剤や熱でアルミニウム支持体に貼り合わせる方法、および溶融押し出し機で前記樹脂の溶融皮膜を形成して支持体に貼り合わせる方法等が挙げられるが、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは、前記樹脂の溶液または乳化分散液を塗布、乾燥する方法である。
[画像形成層]
(1)可視光露光型画像形成層
前記可視光露光型画像形成層は、感光性樹脂および必要に応じて着色剤などを含有する組成物により形成できる。
前記感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
前記着色剤としては、通常の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、および露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色素等が挙げられる。
前記可視光露光型画像形成層は、前記感光性樹脂と前記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液を塗布して乾燥することにより形成できる。
前記感光性樹脂溶液に使用される溶剤としては、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、エタノール、プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
(2)レーザ露光型画像形成層
レーザ露光型画像形成層としては、露光・現像後に、レーザ光を照射した部分が残存するネガ型レーザ画像形成層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ画像形成層、およびレーザ光を照射すると光重合する光重合型レーザ画像形成層などが主なものとして挙げられる。
A.ネガ型レーザ画像形成層
前記ネガ型レーザ画像形成層は、(A)熱または光により分解して酸を発生する酸前躯体、(B)前記酸前躯体(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性化合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたネガ型レーザ画像形成層形成液から形成できる。
酸前躯体(A)としては、例えばイミノフォスフェート化合物等のように、紫外光、可視光、または熱により分解してスルホン酸を発生する化合物が挙げられる。他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されている化合物も、酸前躯体(A)として使用できる。
酸架橋性化合物(B)としては、アルコキシメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、およびエポキシ化合物などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(C)としては、ノボラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などの側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーなどが挙げられる。
赤外線吸収剤(D)としては、760nm〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられ、具体的には、黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素などが挙げられる。
フェノール性水酸基含有化合物(E)としては、一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、端結合、O、S、COO、またはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の自然数である。)で示される化合物が挙げられる。前記化合物としては、具体的にはノニルフェノールなどのアルキルフェノール類などが挙げられる。
前記ネガ型レーザ画像形成層形成液には、さらに可塑剤なども配合できる。
B.ポジ型レーザ画像形成層
前記ポジ型レーザ画像形成層は、(F)アルカリ可溶性高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)赤外線吸収剤を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたポジ型レーザ画像形成層形成液により形成できる。
アルカリ可溶性高分子(F)としては、たとえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーなどが使用できる。
アルカリ溶解阻害剤(G)としては、加熱などによりアルカリ可溶性高分子(F)と反応してアルカリ可溶性高分子(F)のアルカリ可溶性を低下させる化合物が挙げられ、具体的には、スルホン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、およびアミド化合物などが挙げられる。たとえば、アルカリ可溶性高分子(F)として前記ノボラック樹脂を用いる場合には、アルカリ溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシアニン色素が好ましい。
赤外線吸収剤(H)としては、スクワリリウム色素、ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染料、アントラキノン系染料など、750〜1200nmの赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有する色素、染料、および顔料が挙げられる。
C.光重合型レーザ画像形成層
光重合型レーザ画像形成層は、(I)分子末端にエチレン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を含有する光重合型レーザ画像形成層形成液により形成できる。前記光重合型レーザ画像形成層形成液には、必要に応じて、(J)光重合開始剤、および(K)増感剤などを配合できる。
ビニル重合性化合物(I)としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸多価アミドなどが挙げられる。
ビニル重合性化合物(I)としては、他に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルなども使用できる。
光重合開始剤(J)としては、ビニル系モノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用できる。
増感剤(K)としては、チタノセン化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素などが挙げられる。
前記ネガ型レーザ画像形成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、または光重合型レーザ画像形成層形成液に使用される溶剤、および前記ネガ型レーザ画像形成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、または光重合型レーザ画像形成層形成液の塗布方法については、「(1)可視光露光型画像形成層」のところで述べた溶剤および塗布方法と同様である。
なお、前記光重合型レーザ画像形成層を形成するときは、シラン化合物を水、アルコール、またはカルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で平版印刷版用支持体の粗面化面を予め処理すると、平版印刷版用支持体と前記光重合型レーザ画像形成層との接着性が向上するから好ましい。
[塗布方法]
前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ画像形成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、および光重合型レーザ画像形成層形成液を前記平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面に塗布する方法としては、コーティングロッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、スライドビードコーターを用いる方法など、従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って行うことができる。
前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ画像形成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、および光重合型レーザ画像形成層形成液を塗布後のアルミニウム板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、前記パスロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびローラを加熱し、前記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥するローラドライヤー等がある。
次に、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法の各実施例及び比較例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下に本発明の実施例1〜10及び比較例1〜3を示す。
1.アルミニウム合金
表1に示される成分組成の各アルミニウム合金A−1〜A−4について、双ロール方式の連続鋳造圧延機を用い、常法に従って溶湯圧延を行って、板厚6mmの溶湯圧延板を製造した。なお結晶粒微細化剤として、Ti−B合金を溶湯に添加し、添加後にフィルタにより濾過してから溶湯圧延に供した。
更に、上述のようにして得られた溶湯圧延板について、厚さ1.0mmまで冷間圧延し、次いで、連続焼鈍炉で500°Cの焼鈍を行なった。続いて厚さ0.30mmまで最終冷間圧延した。
Figure 2008163382
また、表1に示される合金成分を有するアルミニウム合金A−5に使用するアルミニウム合金の圧延板(アルミニウム板)を作製した。この圧延板は、鋳造工程及び圧延工程を経て製造されており、鋳造工程では、アルミニウム合金溶湯に脱ガスと濾過とからなる清浄化処理を施した後、これをDC鋳造により鋳塊とした。
圧延工程では、鋳塊表面を10mm面削した後、均熱化処理を行うことなく鋳塊を加熱し、400°Cに加熱された鋳塊を熱間圧延し、熱間圧延中の加工熱を利用して熱間圧延中に金属結晶を再結晶させ、その後に焼鈍を行わずに冷間圧延で0.30mmの厚さの圧延板に仕上げ、この圧延板の平坦性を矯正して本発明の実施例へ供するためのアルミニウム板とした。
2.平版印刷版支持体の作成
[実施例1]
表1に示したアルミニウム合金A−1を使用し、以下に示される(1)機械的粗面化処理、(2)第1アルカリエッチング処理、(3)第1デスマット処理、(4)第1電気化学的粗面化処理、(5)第2アルカリエッチング処理、(6)第2デスマット処理、(7)第2電気化学的粗面化処理、(8)第3アルカリエッチング処理、(9)第3デスマット処理、(10)カソード分極処理、(11)陽極酸化処理、(12)親水化処理の順に各処理を行い、平版印刷版用支持体を作成した。
(1)機械的粗面化処理
機械的粗面化処理は、図4に示される装置を使用して行った。この図4は、機械的粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
図4の装置において、平均粒径20μmの研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液(比重1.12)53として、スプレー管でアルミニウム合金板51の表面に供給しながら、回転するローラ状ポリアミド(登録商標名:ナイロン)ブラシ52、54により機械的粗面化処理を行った。なお、図4において、55、56、57及び58は支持ローラである。
ポリアミドブラシ52、54の材質は、6・10ナイロン(登録商標)、毛長は60mm、毛の直径は0.295mmであった。ポリアミドブラシ52、54はφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。
ブラシローラは、ブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム合金板51に押さえつける前の負荷に対して管理し、その差は1.5kWであった。ブラシの回転方向はアルミニウム合金板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は250rpmであった。機械的粗面化処理後の算術平均粗さ(JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.3mm、評価長さ3mmで測定した。)は、いずれも0.5μm以下の範囲の値であった。
(2)第1アルカリエッチング処理
アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、アルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液に液温70°Cで浸漬させて、第1アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を5g/m溶解させた。
(3)第1デスマット処理
液温35°Cの酸性水溶液の中にアルミニウム合金板を10秒間浸漬させて、第1デスマット処理を行った。なお、酸性水溶液としては、次の電気化学的粗面化処理で用いる酸性水溶液の廃液を用いた。
(4)第1電気化学的粗面化処理
硝酸10g/L、硝酸アルミニウム・9水和物を用いてアルミニウムイオンが5g/Lになるよう調整した電解液を用いて、液温40°Cで電気化学的粗面化処理を行った。電気化学的粗面化処理は、周波数60Hz、duty比0.5の台形波の交流電流を用い、交流における電流値がゼロから正又は負のピークに達するまでの時間Tを0.8msecとし、交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapを30A/dm、カソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpを28.5A/dmとし、電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量を200C/dmとし、陽極時電気量Qと陰極時電気量Qとの比Q/Qを0.95として行った。
(5)第2アルカリエッチング処理
アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、アルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液に液温70°Cで浸漬させて、第1アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を3g/m溶解させた。
(6)第2デスマット処理
液温35°Cの酸性水溶液の中にアルミニウム合金板を10秒間浸漬させて、第2デスマット処理を行った。なお、酸性水溶液としては、次の電気化学的粗面化処理で用いる酸性水溶液の廃液を用いた。
(7)第2電気化学的粗面化処理
塩酸6.5g/L、塩化アルミニウム・6水和物を用いてアルミニウムイオンが5g/Lになるよう調整した電解液を用いて、液温35°Cで電気化学的粗面化処理を行った。電気化学的粗面化処理は、周波数60Hz、duty0.5の台形波の交流電流を用い、交流における電流値がゼロから正又は負のピークに達するまでの時間TPを0.8msecとし、交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapを20A/dm 、カソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpを19A/dm とし、電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量を55C/dmとし、陽極時電気量Qa と陰極時電気量Qc との比Qc /Qa を0.95として行った。
(8)第3アルカリエッチング処理
アルミニウム合金板に、カセイソーダを5質量%、アルミニウムイオンを0.5質量%含有する水溶液に液温35℃で浸漬させて、第2アルカリエッチング処理を行い、アルミニウム合金板の処理面を0.2g/m溶解させた。
(9)第3デスマット処理
硫酸濃度170g/Lの水溶液の中にアルミニウム合金板を温度60°Cに5秒間浸漬させて、第3デスマット処理を行った。
(10)カソード分極処理
アルミニウム合金板を下記の表2に示した電解質溶液中に下記温度、時間を浸漬し、下記の電流密度条件でカソード分極処理を行った。なお、実施例1は後述する表3にも示されるように、C−1の条件でカソード分極処理を行った。
Figure 2008163382
(11)陽極酸化処理
硫酸濃度170g/Lの硫酸に、硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度が5g/Lとなるように調製した酸性水溶液を用い、直流電流を用いて、電流密度15A/dm、液温45℃で、陽極酸化皮膜量が2.4g/mになるように陽極酸化処理を行った。
(12)親水化処理
1号ケイ酸ソーダの水溶液を用い、アルミニウム合金板を7秒間浸漬させて、親水化処理を行った。水溶液の濃度は4%、液温は20℃とした。
[実施例2]
(5)第2アルカリエッチング処理のアルカリエッチング量を1g/mに変更し、(6)第2デスマット処理、(7)第2電気化学的粗面化処理、(8)第3アルカリエッチング処理を行わなかった以外は実施例1と同様に行い、実施例2の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例3]
(4)第1電気化学的粗面化処理、(5)第2アルカリエッチング処理を行わなかった以外は実施例2と同様に行い、実施例3の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例4]
(1)機械的粗面化処理を行わずに、(5)第2アルカリエッチング処理のアルカリエッチング量を0.2g/mに変更し、(10)カソード分極処理を表2に示したC−2条件で行った以外は、実施例1と同様に支持体を作成し、実施例4の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例5]
(7)第2電気化学的粗面化処理、(8)第3アルカリエッチング処理を行わなかった以外は実施例4と同様に支持体を作成し、実施例5の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例6]
アルミニウム合金をA−1に代えてA−2を用い、2)第1アルカリエッチング処理、(3)第1デスマット処理の後に、(10)カソード分極処理を表2に示したC−2条件で行い、(9)第3デスマット処理の後に(10)カソード分極処理を行わなかった以外は実施例1と同様に支持体を作成し、実施例6の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例7]
アルミニウム合金をA−1に代えてA−3を用い、(10)カソード分極処理を表2に示したC−3の条件で行った以外は実施例1と同様に作成し、実施例7の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例8]
アルミニウム合金をA−1に代えてA−4を用い、(3)、(4)、(5)を行わず、(7)第2電気化学的粗面化処理の電気量を450C/dmと変更し、(10)カソード分極処理を表2に示したC−4の条件で行った以外は実施例4と同様に作成し、実施例8の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例9]
アルミニウム合金をA−1に代えてA−5を用い、(10)カソード分極処理を表2に示したC−5の条件で行った以外は実施例1と同様に作成し、実施例9の平版印刷版用支持体を作成した。
[実施例10]
実施例1の(7)第2電気化学的粗面化処理の前に、(10)カソード分極処理を表2に示したC−2条件で行い、(9)第3デスマット処理の後の(10)カソード分極処理を表2に示したC−6条件で行った以外は実施例1と同様に支持体を作成し、実施例10の平版印刷版用支持体を作成した。
[比較例1]
(7)カソード分極処理を行わなかった以外は実施例1と同様に支持体を作成し、比較例1の平版印刷版用支持体を作成した。
[比較例2]
(10)カソード分極処理を行わなかった以外は実施例2と同様に支持体を作成し、比較例2の平版印刷版用支持体を作成した。
[比較例3]
(10)カソード分極処理に代えて、アノード分極処理を電流密度を+100A/dm、電気量を+6000C/dmで行った以外は実施例1と同様に支持体を作成し、比較例3の平版印刷版用支持体を作成した。
3.平版印刷版用支持体の黒すじ欠陥の評価
各実施例及び比較例で得られた各平版印刷版用支持体の黒すじ欠陥を(A)目視評価、(B)EPMAによるTi巾、B巾及び(C)SEMによる粒状物の発生頻度を評価した。
(A)目視評価:黒すじ欠陥がないものを○、黒すじ欠陥はあるが許容レベルのものを△、黒すじ欠陥がありNGのものを×とした。
(B)EPMA:各支持体の表面をEPMA JEOL 8800M 日本電子(株)を使用し、加速電圧 20kV、Probe current 1×10−6A、Dwell time 50msecで、マッピング分析し、Ti、Bの検出巾を調べた。
(C)SEM 日立製S−3000N を用いて、加速電圧 12kV、2000倍で観察し、0.5〜10μmの粒状物がないものを○、粒状物はあるが許容レベルのものを△、粒状物があってNGレベルのものを×とした。
4.平版印刷版原版の製造
各実施例及び比較例で得られた平版印刷版用支持体の表面に、下記の工程で感光層を形成させて、各平版印刷版原版を得た。感光層の形成に際しては、あらかじめ中間層を形成させた。
[中間層の形成]
上記のようにして得られたアルミニウム支持体上に、下記[高分子化合物A]の下塗層用塗布液を塗布し、80°Cで15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
[中間層用塗布液組成]
・下記高分子化合物A 0.3g
Figure 2008163382
・メタノール 100g
[感光層処方]
得られた基板に以下の下層用塗布液を塗布量が0.85g/mになるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して140度で50秒間乾燥し、その後、上部画像記録層用塗布液を塗布量が0.15g/mになるよう塗布したのち、130°Cで1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。
〔下層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体(モル比36/34/30:重量平均分子量50000、酸価2.65) 1.920g
・m,p−クレゾールノボラック(m−クレゾールノボラック/p−クレゾールノボラック=6/4、重量平均分子量4000) 0.213g
・下記式で示されるシアニン染料A 0.029g
Figure 2008163382
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.190g
・ビス−p−ヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・2−メトキシ−4−(N−フェニルアミノ)ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・ビクトリアピュアブルーBOの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.078g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF780、大日本インキ化学工業株式会社製) 0.020g
・γ−ブチロラクトン 13.180g
・メチルエチルケトン 25.410g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.970g
[上層用塗布液]
・フェノール/m,p−クレゾールノボラック(フェノール/m−クレゾールノボラック/p−クレゾールノボラック=5/3/2、重量平均分子量4000) 0.274g
・上記式で示されるシアニン染料A(上述の[化7]と同じ) 0.029g
・下記式で示される構造ポリマーB/メチルエチルケトン30%溶液(構造ポリマーB/メチルエチルケトン30%溶液) 0.140g
Figure 2008163382
・下記式で示される4級アンモニウム塩C 0.004g
Figure 2008163382
・下記式で示されるスルホニウム塩D 0.065g
Figure 2008163382
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、大日本インキ化学工業株式会社製) 0.004g
・下記式で示されるフッ素系界面活性剤E 0.020g
Figure 2008163382
・メチルエチルケトン 10.390g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.980g
5.平版印刷版原版の評価
上記で得られた平版印刷版の汚れ、耐刷性を下記の方法で評価した。
(1)汚れ
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetterを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行い、FMスクリーン(Staccato20、Creo社製)で作製されたテストパターンを画像状に描き込みした。
次いで、現像液として、富士写真フイルム(株)製現像液DT-2の1:8水希釈液(電導度約43mS/cm)を仕込み、フィニッシャーとして、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG-1の1:1水希釈液を仕込んだ、富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用いて、現像液及びフィニッシャーの液温を30°Cに維持しつつ、露光後の平版印刷版原版を12秒間現像して平版印刷版を得た。
上記で得られた平版印刷版を三菱社製印刷機に装着して湿し水にIF102 3%、インキにDIC社製GEOA(S)墨を用いて標準の水目盛りから徐々に絞っていき、汚れ性を次のように目視評価した。
結果を表3に示す。表中、非画像部汚れが発生しなかったものを○、非画像部汚れが若干発生したが、実用上問題ないものを△、非画像部汚れが発生しているものを×で示した。
(2)耐刷
得られた平版印刷版を、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC-バリウス(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果を表3に示す。
6.実施例及び比較例の総合評価
以下に説明した本発明の実施例1〜10及び比較例1〜3について、製造条件及び評価結果を表3に纏める。同表の項目は、左より、アルミニウム合金の種別(A−1〜A−5)、機械的粗面化処理の有無、カソード分極処理1の有無、第1電気化学的粗面化処理の有無、カソード分極処理2の有無、第2電気化学的粗面化処理の有無、カソード分極処理3の有無、目視による黒すじ欠陥の評価、EPMAによるTi巾、B巾の評価、SEMによる粒状物の評価、汚れの評価、及び耐刷性の評価である。
Figure 2008163382
以上の表3より、実施例(1〜10)が比較例(1〜3)に比べて、黒すじ、汚れ、耐刷等の印刷性能が優れていることが確認できた。また、ストリーク等の外観表面欠陥も生じずに表面外観品質も優れていた。
本発明を双ロール方式の連続鋳造圧延機を用いて実施する場合の溶湯圧延時の状態を示す模式図 電解粗面化処理で印加することのできる台形波電流の波形の一例を示す波形図 本発明に用いられるラジアル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面図 本発明において機械的粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図
符号の説明
1A、1B…冷却ロール、3…溶湯、5…溶湯圧延板、10…電解粗面化処理装置、22…交流電解槽本体、26A、26B…主極、32…溢流槽、34…補助電解槽、34A…補助電解槽の底面、36…補助電極、40…交流電解槽

Claims (7)

  1. アルミニウム合金板に粗面化処理及び陽極酸化処理を施す平版印刷版用支持体の製造方法において、
    前記粗面化処理の前及び/又は前記粗面化処理の後に、若しくは、前記陽極酸化処理の前に、前記アルミニウム合金板を電解質溶液中に浸漬しカソード分極処理を施すことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  2. 前記電解質溶液が硝酸及び/又は硫酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  3. 前記カソード分極処理により、Ti及び/又はBから構成される金属間化合物を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  4. 前記アルミニウム合金板が、アルミニウム溶湯から直接板状に連続鋳造された後、冷間圧延処理及び熱処理が施され、更に矯正処理が施された合金板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  5. アルミニウム合金板を電解質溶液中に浸漬し、カソード分極処理することにより、
    Ti及び/又はBから構成される金属間化合物を除去することを特徴とするアルミニウム合金の表面処理方法。
  6. 前記電解質溶液が硝酸及び/又は硫酸を含むことを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム合金の表面処理方法。
  7. 前記アルミニウム合金板が、アルミニウム溶湯から直接板状に連続鋳造された後、冷間圧延処理及び熱処理が施され、更に矯正処理が施された合金板であることを特徴とする請求項5又は6に記載のアルミニウム合金の表面処理方法。
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