JPWO2019026813A1 - 機上現像型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法 - Google Patents

機上現像型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法 Download PDF

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Abstract

陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版、及び、上記平版印刷版原版を用いる平版印刷版の作製方法を提供する。

Description

本発明は、機上現像型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキとが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
現在、平版印刷版原版から平版印刷版を作製する製版工程においては、CTP(コンピュータ・トゥ・プレート)技術による画像露光が行われている。即ち、画像露光は、リスフィルムを介することなく、レーザーやレーザーダイオードを用いて直接平版印刷版原版に走査露光などにより行われる。
一方、地球環境への関心の高まりから、平版印刷版原版の製版に関して、現像処理などの湿式処理に伴う廃液に関する環境問題がクローズアップされ、これに伴い、現像処理の簡易化又は無処理化が指向されている。簡易な現像処理の一つとして、「機上現像」と呼ばれる方法が提案されている。機上現像は、平版印刷版原版を画像露光後、従来の湿式現像処理を行わず、そのまま印刷機に取り付け、画像記録層の非画像部の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
平版印刷版を用いて印刷する場合、通常の枚葉印刷機のように印刷版のサイズよりも小さい紙への印刷においては、印刷版の端部は紙面外の位置にあるので端部が印刷品質に影響することはない。しかし、新聞印刷のような輪転機を用いてロール状の紙に連続して印刷する場合には、印刷版の端部はロール紙面内にあるため、端部に付着したインキが紙に転写されて線状の汚れ(エッジ汚れ)を発生させ、印刷物の商品価値を著しく損ねることになる。
上記エッジ汚れの発生を防止する手段として、特許文献1には、親水性表面を有する金属支持体上に水溶性化合物からなる下塗層および水不溶性樹脂からなる非感光性樹脂層が設けられ、支持体の対向する2辺若しくは4辺の端部が20μmから100μmの裁断だれ高さを有する平版印刷版が提案されている。
また、特許文献2には、支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版の端部から内側に5mmまでの画像記録層側版面の領域に含まれる分子量が60〜300であり、20℃における水に対する溶解度が10g/L以上の水溶性化合物の単位面積当たりの含有量が、上記領域以外の領域における上記水溶性化合物の単位面積当たりの含有量より、50mg/m以上多い平版印刷版原版が提案されている。
日本国特開平11−240268号公報 WO2016/052443
上記特許文献1には、ダレ幅を0.1mm〜0.3mmとすることも記載されている。
ところで、上記特許文献1に記載の平版印刷版は、いわゆる捨版として使用されるため、通常の平版印刷版原版と異なり、画像記録層の代りにアルカリ水溶液に溶解又は膨潤する樹脂からなる非感光性樹脂層を有している。そして、当該平版印刷版は、通常の湿式現像処理と同様に、アルカリ水溶液で処理して非感光性樹脂層を除去した後、不感脂化処理が施されることにより上記エッジ汚れを防止することが可能となる。
ところが、機上現像型平版印刷版原版の場合、上記特許文献1に記載のようにアルカリ水溶液で処理されたり、不感脂化処理が施されることがない。従って、機上現像型平版印刷版原版の場合には、上記エッジ汚れを防止することは出来ない。
上記特許文献2には、当該平版印刷版原版が機上現像により製版されること、当該平版印刷版原版の端部にダレ量Xが35〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有することも記載されている。
ところで、上記特許文献2に記載の平版印刷版原版においては、エッジ汚れを防止するために、平版印刷版原版の端部から内側に5mmまでの画像記録層側版面の領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの手段により、端部領域における水溶性化合物の含有量を高めている。
しかしながら、平版印刷版原版の端部領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの親水化処理を施すと、端部領域における画像形成性能が低下するという問題が生じる傾向がある。このことは、親水化処理を施すことにより、水溶性化合物が画像記録層に移動し、画像記録層の機械的強度が低下すること、及び、画像記録層と支持体との密着力が低下することに起因して、機上現像時に、端部領域における画像記録層が保持されず、非画像部と共に除去されることが原因と考えられる。
本発明が解決しようとする課題は、機上現像性、キズ汚れ防止性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れが防止された機上現像型平版印刷版原版、及び機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段を以下に記載する。
(1)
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版。
(2)
上記クラックの面積率が10%以下である(1)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(3)
上記クラックの面積率が6%以下である(2)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(4)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(5)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.5〜5.0g/mである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(6)
上記陽極酸化皮膜量が0.8〜1.2g/mである(5)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(7)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さい(1)〜(6)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(8)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が5〜100nmである(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(9)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(10)
上記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する(1)〜(9)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(11)
上記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である(10)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(12)
上記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する(1)〜(11)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(13)
(1)〜(12)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
本発明によれば、機上現像性、キズ汚れ防止性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れが防止された機上現像型平版印刷版原版、及び機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することができる。
平版印刷版原版の端部の断面形状を示す模式図である。 スリッター装置の裁断部の1例を示す概念図である。
以下に、発明を実施するための形態を詳細に記載する。
本明細書において、式で表される化合物における基の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、当該基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」の用語は「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」を意味する。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリル樹脂」等も同様である。
[機上現像型平版印刷版原版]
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体と画像記録層とから少なくとも構成され、平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有しており、ダレ幅Yに相当する領域の陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版である。
〔陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体〕
機上現像型平版印刷版原版を構成する陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体について記載する。
アルミニウム支持体に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属、即ちアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板から選ばれることが好ましい。
アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは製錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有する合金板でもよい。アルミニウム支持体に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来から公知のアルミニウム板、例えばJISA 1050、JISA 1100、JISA 3103、JISA 3005などを適宜利用することが出来る。
アルミニウム板の厚さは、0.1〜0.6mm程度が好ましい。
陽極酸化皮膜は、陽極酸化処理によりアルミニウム板の表面に形成される、皮膜表面に略垂直であり、個々が均一に分布した極微細孔(マイクロポアともいう)を有する陽極酸化アルミニウム皮膜を意味する。マイクロポアは、陽極酸化皮膜表面から厚み方向に向かってのびている。
〔アルミニウム支持体の製造方法〕
アルミニウム支持体の製造方法は、特に限定されるものではない。アルミニウム支持体の製造方法の好ましい態様としては、アルミニウム板に粗面化処理を施す工程(粗面化処理工程)、粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程(陽極酸化処理工程)、陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させ、陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程(ポアワイド処理工程)を含む方法が挙げられる。
以下に、各工程を詳細に説明する。
<粗面化処理工程>
粗面化処理工程は、アルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施す工程である。粗面化処理工程は、後述する陽極酸化処理工程の前に実施されることが好ましいが、アルミニウム板の表面がすでに好ましい表面形状を有していれば、実施しなくてもよい。
粗面化処理は、電気化学的粗面化処理のみを施してもよいが、電気化学的粗面化処理と機械的粗面化処理および/または化学的粗面化処理とを組み合わせて施してもよい。
機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせる場合には、機械的粗面化処理の後に、電気化学的粗面化処理を施すのが好ましい。
電気化学的粗面化処理は、硝酸や塩酸の水溶液中で施すのが好ましい。
機械的粗面化処理は、一般的には、アルミニウム板の表面を表面粗さRa:0.35〜1.0μmとする目的で施される。
機械的粗面化処理の諸条件は特に限定されないが、例えば、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って施すことができる。機械的粗面化処理は、パミストン懸濁液を使用したブラシグレイン処理により施したり、転写方式で施したりすることができる。
また、化学的粗面化処理も特に限定されず、公知の方法に従って施すことができる。
機械的粗面化処理の後には、以下の化学エッチング処理を施すのが好ましい。
機械的粗面化処理の後に施される化学エッチング処理は、アルミニウム板の表面の凹凸形状のエッジ部分をなだらかにし、印刷時のインキの引っかかりを防止し、平版印刷版の耐汚れ性を向上させるとともに、表面に残った研磨材粒子等の不要物を除去するために行われる。
化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理(以下、「アルカリエッチング処理」ともいう。)が挙げられる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、メタケイ酸ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、グルコン酸ソーダ等が好適に挙げられる。
また、アルカリ剤は、アルミニウムイオンを含有してもよい。アルカリ溶液の濃度は、0.01質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上であるのがより好ましく、また、30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましい。
更に、アルカリ溶液の温度は室温以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、80℃以下であるのが好ましく、75℃以下であるのがより好ましい。
エッチング量は、0.1g/m2以上であるのが好ましく、1g/m2以上であるのがより好ましく、また、20g/m2以下であるのが好ましく、10g/m2以下であるのがより好ましい。
また、処理時間は、エッチング量に対応して2秒〜5分であるのが好ましく、生産性向上の点から2〜10秒であるのがより好ましい。
機械的粗面化処理後にアルカリエッチング処理を施した場合、アルカリエッチング処理により生じる生成物を除去するために、低温の酸性溶液を用いて化学エッチング処理(以下、「デスマット処理」ともいう。)を施すのが好ましい。
酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。酸性溶液の濃度および温度がこの範囲であると、アルミニウム支持体を用いた平版印刷版の耐ポツ状汚れ性がより向上する。
上記粗面化処理は、所望により機械的粗面化処理および化学エッチング処理を施した後に、電気化学的粗面化処理を施す処理であるが、機械的粗面化処理を行わずに電気化学的粗面化処理を施す場合にも、電気化学的粗面化処理の前に、カセイソーダ等のアルカリ水溶液を用いて化学エッチング処理を施すことができる。これにより、アルミニウム板の表面近傍に存在する不純物等を除去することができる。
電気化学的粗面化処理は、アルミニウム板の表面に微細な凹凸(ピット)を付与することが容易であるため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適している。
電気化学的粗面化処理は、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流または交流を用いて行われる。
また、電気化学的粗面化処理の後には、以下の化学エッチング処理を行うのが好ましい。電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板の表面には、スマットや金属間化合物が存在する。電気化学的粗面化処理の後に行われる化学エッチング処理においては、特にスマットを効率よく除去するため、まず、アルカリ溶液を用いて化学エッチング処理(アルカリエッチング処理)をするのが好ましい。アルカリ溶液を用いた化学エッチング処理の諸条件は、処理温度は20〜80℃であるのが好ましく、また、処理時間は1〜60秒であるのが好ましい。また、アルカリ溶液中にアルミニウムイオンを含有するのが好ましい。
更に、電気化学的粗面化処理後にアルカリ溶液を用いる化学エッチング処理を行った後、それにより生じる生成物を除去するために、低温の酸性溶液を用いて化学エッチング処理(デスマット処理)を行うのが好ましい。
また、電気化学的粗面化処理後にアルカリエッチング処理を行わない場合においても、スマットを効率よく除去するため、デスマット処理を行うのが好ましい。
上記化学エッチング処理は、いずれも浸せき法、シャワー法、塗布法等により行うことができ、特に限定されない。
<陽極酸化処理工程>
陽極酸化処理工程は、上記粗面化処理が施されたアルミニウム板に陽極酸化処理を施すことにより、アルミニウム板表面に深さ方向(厚み方向)にのびるマイクロポアを有するアルミニウムの酸化皮膜を形成する工程である。この陽極酸化処理によりアルミニウム板の表面に、マイクロポアを有するアルミニウムの陽極酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理は、この分野で従来から行われている方法で行うことができるが、上記マイクロポアを最終的に形成できるように適宜製造条件が設定される。具体的には、陽極酸化処理工程において形成されるマイクロポアの平均径(平均開口径)は、通常、4〜14nm程度であり、好ましくは5〜10nmである。上記範囲内であれば、所定の形状を有するマイクロポアが形成しやすく、得られる平版印刷版原版および平版印刷版の性能もより優れる。
また、マイクロポアの深さは、通常、10nm以上100nm未満程度であり、好ましくは20〜60nmである。上記範囲内であれば、所定の形状を有するマイクロポアが形成しやすく、得られる平版印刷版原版および平版印刷版の性能もより優れる。
マイクロポアのポア密度は特に限定されないが、ポア密度が50〜4000個/μm2であることが好ましく、100〜3000個/μm2であることがより好ましい。上記範囲内であれば、得られる平版印刷版の耐刷性および放置払い性、並びに、平版印刷版原版の機上現像性に優れる。
陽極酸化処理工程においては、硫酸、リン酸、シュウ酸、等の水溶液を主に電解浴として用いることができる。場合によっては、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等またはこれらの二種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液を用いることもできる。電解浴中でアルミニウム板に直流または交流を流すと、アルミニウム板表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。なお、電解浴にはアルミニウムイオンが含まれていてもよい。アルミニウムイオンの含有量は特に限定されないが、1〜10g/Lが好ましい。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%(好ましくは5〜20質量%)、液温5〜70℃(好ましくは10〜60℃)、電流密度0.5〜60A/dm2(好ましくは5〜50A/dm2)、電圧1〜100V(好ましくは5〜50V)、電解時間1〜100秒(好ましくは5〜60秒)の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中にて高電流密度で陽極酸化する方法が好ましい。
陽極酸化処理は複数回行うこともできる。各陽極酸化処理において使用する電解液の種類、濃度、液温、電流密度、電圧、電解時間などの条件の1つ以上を変更することができる。陽極酸化処理の回数が2の場合、最初の陽極酸化処理を第1陽極酸化処理、2回目の陽極酸化処理を第2陽極酸化処理と称することもある。第1陽極酸化処理と第2陽極酸化処理を行うことにより、異なる形状を有する陽極酸化皮膜を作製することができ、印刷性能に優れた平版印刷版原版を提供することが可能となる。
更に、陽極酸化処理に引き続いて下記のポアワイド処理を行い、その後再度陽極酸化処理を行うこともできる。この場合、第1陽極酸化処理、ポアワイド処理、第2陽極酸化処理を行うこととなる。
陽極酸化処理によって形成されるマイクロポアの形状は、通常マイクロポアの径が深さ方向(厚み方向)に向かってほぼ変わらない略直管状(略円柱状)であるが、深さ方向(厚み方向)に向かって径が連続的に小さくなる円錐状であってもよい。また、深さ方向(厚み方向)に向かって径が不連続で小さくなる形状であってもよい。
深さ方向(厚み方向)に向かって径が不連続で小さくなる形状のマイクロポアとしては、具体的には、陽極酸化皮膜表面から深さ方向に延びる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ方向に延びる小径孔部とから構成されるマイクロポアが挙げられる。このような形状のマイクロポアを形成するためには、上記の第1陽極酸化処理、ポアワイド処理、第2陽極酸化処理を行う方法が利用できる。
大径孔部と小径孔部を有する上記マイクロポアにおいて、大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径は、10〜100nmであり、好ましくは、15〜60nmである。
大径孔部は陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に10〜1000nmのびる孔部である。上記深さは、10〜200nmが好ましい。
大径孔部の底部は、陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に10〜1000nmに位置する。
大径孔部の形状は特に制限されず、例えば、略直管状(略円柱状)、および、深さ方向(厚み方向)に向かって径が連続的に小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。
小径孔部は、大径孔部の底部と連通して、連通位置よりさらに深さ方向(厚み方向)に20〜2000nm延びる孔部である。上記深さは、300〜1500nmが好ましい。
小径孔部の連通位置における平均径は、13nm以下が好ましく、11nm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、通常8nm以上である。
小径孔部の形状は特に制限されず、例えば、略直管状(略円柱状)、および、深さ方向(厚み方向)に向かって径が連続的に小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。
大径孔部と小径孔部を有するマイクロポアとしては、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下であるマイクロポアが、本発明に係るダレ幅Yに相当する領域における、陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率を30%以下に調整する及び/又はクラックの平均幅を20μm以下に調整する観点から好ましい。
<ポアワイド処理工程>
ポアワイド処理工程は、上記陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。このポアワイド処理により、マイクロポアの径が拡大され、より大きな平均径を有するマイクロポアを有する陽極酸化皮膜が形成される。
ポアワイド処理は、上記陽極酸化処理工程により得られたアルミニウム板を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
ポアワイド処理工程においてアルカリ水溶液を使用する場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。なお、アルカリ水溶液のpHを11〜13に調整した後、10〜70℃(好ましくは20〜50℃)の条件下で、アルミニウム板をアルカリ水溶液に1〜300秒(好ましくは1〜50秒)接触させることが適当である。この際、アルカリ処理液中に炭酸塩、硼酸塩、燐酸塩等の多価弱酸の金属塩を含んでもよい。
ポアワイド処理工程において酸水溶液を使用する場合、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は、1〜80質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。なお、酸水溶液の液温5〜70℃(好ましくは10〜60℃)の条件下で、アルミニウム板を酸水溶液に1〜300秒(好ましくは1〜150秒)接触させることが適当である。なお、アルカリ水溶液または酸水溶液中にはアルミニウムイオンが含まれていてもよい。アルミニウムイオンの含有量は特に限定されないが、1〜10g/Lが好ましい。
<端部ポアワイド処理工程>
ポアワイド処理工程は支持体上の一部の領域(端部)でのみ実施されることも好ましい。上記のようにポアワイド処理を支持体の全面ではなく、一部の領域で実施することにより、耐キズ性の低下を防止することができる。
一部の領域でのみポアワイド処理を実施する方法としては、ダイコート方、ディップコート方、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、スライドコート法、インクジェットコート法、ディスペンサーコート法、スプレー法等の公知の方法を利用することができるが、酸水溶液またはアルカリ水溶液を支持体上の一部に塗布する必要がある点から、インクジェットコート法、又は、ディスペンサーコート法が好ましい。また、塗布する領域は裁断後の平版印刷原版の対向する2辺にあたることが好ましい。
酸水溶液またはアルカリ水溶液は、支持体の端部から塗布してもよいし、支持体の端部以外の位置に塗布してもよく、これらの塗布する位置を組み合わせてもよい。また、支持体の端部から塗布する場合と、支持体の端部以外の位置に塗布する場合のどちらの場合でも、一定の幅を持った帯状に塗布することが好ましい。好ましい塗布幅は1〜50mmである。塗布幅の塗布領域上を裁断し、裁断後の端部より1cm以内に塗布領域が存在することが好ましい。裁断は、塗布領域上の1箇所を裁断してもよいし、同一塗布領域上の2箇所で裁断していてもよい。
<親水化処理工程>
アルミニウム支持体の製造方法は、上記ポアワイド処理工程の後、親水化処理を施す親水化処理工程を有していてもよい。親水化処理としては、特開2005−254638号公報の段落0109〜0114に開示される公知の方法が使用できる。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸漬させる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。
アルミニウム支持体は、必要に応じて、画像記録層とは反対側の面に、特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物又は特開平6−35174号公報に記載のケイ素のアルコキシ化合物などを含むバックコート層を有していてもよい。
〔画像記録層〕
機上現像型平版印刷版原版を構成する画像記録層について記載する。
<ポリマー粒子>
画像記録層は、ポリマー粒子を含有することが好ましい。ポリマー粒子は、機上現像性の向上に寄与する。ポリマー粒子は、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できるポリマー粒子であることが好ましい。ポリマー粒子は、疎水性熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー粒子が好適に挙げられる。
疎水性熱可塑性ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルが挙げられる。疎水性熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
熱反応性ポリマー粒子としては、熱反応性基を有するポリマー粒子が挙げられる。熱反応性基を有するポリマー粒子は、熱反応による架橋及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
熱反応性基を有するポリマー粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよく、重合性基が好ましい。その例としては、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナト基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などが好適に挙げられる。
マイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報及び特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものが挙げられる。画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセルを含有する画像記録層としては、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)は、その内部及び表面の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、ラジカル重合性基をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が画像形成感度や耐刷性の観点から好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化又はミクロゲル化するためには、公知の方法を用いることができる。
マイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましく、0.05〜2.0μmがより好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
ポリマー粒子としては、機上現像性への寄与の観点から、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子が好ましい。また、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルメタクリレート化合物に由来するモノマー単位を更に含むポリマーの粒子が好ましい。
ポリマー粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリマー粒子の含有量は、画像記録層の全固形分中、5〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜75質量%が更に好ましい。
画像記録層は、重合開始剤、赤外線吸収剤、重合性化合物を含有することが好ましい。
<重合開始剤>
重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルやカチオン等の重合開始種を発生する化合物であり、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、赤外線感光性重合開始剤が好ましい。また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤は、電子受容性重合開始剤及び電子供与性重合開始剤のいずれであってもよい。
(電子受容性重合開始剤)
電子受容性重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化物、カルボニル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、メタロセン化合物、アジド化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、及び、オニウム塩化合物が挙げられる。
有機ハロゲン化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0022〜0023に記載の化合物が好ましい。
カルボニル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0024に記載の化合物が好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0025に記載の化合物が好ましい。
メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0026に記載の化合物が好ましい。
アジド化合物としては、例えば、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0027に記載の化合物が好ましい。
ジスルホン化合物としては、例えば、特開昭61−166544号、特開2002−328465号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0028〜0030に記載の化合物が好ましい。
電子受容性重合開始剤の中でも、より好ましいものとして、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましい。ヨードニウム塩及びスルホニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に、電子供与性基を置換基として有する、例えば、アルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、また、非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、トリアリールスルホニウム塩が好ましく、特に電子求引性基を置換基として有する、例えば、芳香環上の基の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたトリアリールスルホニウム塩が好ましく、芳香環上のハロゲン原子の総置換数が4以上であるトリアリールスルホニウム塩が更に好ましい。具体例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリス(2,4−ジクロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
電子受容性重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電子受容性重合開始剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、0.8〜20質量%が更に好ましい。
(電子供与性重合開始剤)
電子供与性重合開始剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版の耐刷性向上に寄与する。電子供与性重合開始剤としては、例えば、以下の5種類が挙げられる。(i)アルキル又はアリールアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、ボレート化合物等が挙げられる。(ii)アミノ酢酸化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシ基、トリメチルシリル基又はベンジル基が好ましい。具体的には、N−フェニルグリシン類(フェニル基に置換基を有していてもよい。)、N−フェニルイミノジ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。(iii)含硫黄化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を硫黄原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。具体的には、フェニルチオ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。(iv)含錫化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。(v)スルフィン酸塩類:酸化により活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等が挙げられる。
電子供与性重合開始剤の中で、ボレート化合物が好ましい。ボレート化合物としては、テトラアリールボレート化合物又はモノアルキルトリアリールボレート化合物が好ましく、化合物安定性の観点から、テトラアリールボレート化合物がより好ましい。
ボレート化合物が有する対カチオンとしては、アルカリ金属イオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はテトラブチルアンモニウムイオンがより好ましい。
ボレート化合物の具体としては、以下に示す化合物が挙げられる。ここで、X は一価のカチオンを表し、アルカリ金属イオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンが好ましく、アルカリ金属イオン又はテトラブチルアンモニウムイオンがより好ましい。また、Buはn−ブチル基を表す。
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
電子供与性重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電子供与性重合開始剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜25質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が更に好ましい。
<赤外線吸収剤>
赤外線吸収剤は、赤外線により励起して重合開始剤等に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。また、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有する。赤外線吸収剤は、750〜1,400nmの波長域に極大吸収を有することが好ましい。赤外線吸収剤としては、染料又は顔料が挙げられ、染料が好ましく用いられる。
染料としては、市販の染料、及び、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知の染料が利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
染料のうち、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩が好ましく、シアニン色素がより好ましく、インドレニンシアニン色素が特に好ましい。
シアニン色素としては、下記式(a)で表されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2019026813
式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−N(R9)(R10)、−X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、R9及びR10は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルキル基又は水素原子を表すか、あるいは、R9とR10とが互いに結合して環を形成してもよい。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数1〜8のアルキル基は置換基を有していてもよい。R9とR10は共にフェニル基が好ましい。X2は酸素原子又は硫黄原子を表し、L1は、炭素数1〜12の炭化水素基又はヘテロ原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基を表す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを表す。以下に示す基において、Xa-は後述するZa-と同義であり、Raは、水素原子、又はアルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基及びハロゲン原子から選択される置換基を表す。
Figure 2019026813
式(a)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素数2以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1及びR2とは互いに結合して、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
式(a)中、Ar1、Ar2は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ芳香族炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基及びナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ硫黄原子又は炭素数12以下のジアルキルメチレン基を表す。R3、R4は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ炭素数20以下の炭化水素基を表す。炭素数20以下の炭化水素基は置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数12以下の炭化水素基を表す。原料の入手容易性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。Za-は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又はスルホン酸イオンが好ましく、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又はアリールスルホン酸イオンがより好ましい。
式(a)で表されるシアニン色素において、X1がジフェニルアミノ基であることがより好ましい。また、X1がジフェニルアミノ基であり、Y1及びY2が共にジメチルメチレン基であることが更に好ましい。
シアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019に記載の化合物、特開2002−023360号公報の段落0016〜0021、特開2002−040638号公報の段落0012〜0037に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号公報の段落0034〜0041、特開2008−195018公報の段落0080〜0086に記載の化合物、特に好ましくは特開2007−90850号公報の段落0035〜0043に記載の化合物が挙げられる。
また、特開平5−5005号公報の段落0008〜0009、特開2001−222101号公報の段落0022〜0025に記載の化合物も好ましく使用することができる。
顔料としては、特開2008−195018号公報の段落0072〜0076に記載の化合物が好ましい。
赤外線吸収剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が更に好ましい。
<重合性化合物>
重合性化合物は、例えば、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよいが、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物が好ましく、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物がより好ましい。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体若しくはオリゴマー、又は、それらの混合物などの化学的形態を持つことができる。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン原子、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することもできる。これら化合物は、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。メタクリル酸エステルとして、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、その具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に下記式(M)で表されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させて得られる1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(RM4)COOCHCH(RM5)OH (M)
式(M)中、RM4及びRM5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報、特開2003−344997号公報、特開2006−65210号公報に記載のウレタンアクリレート類、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報、特開2000−250211号公報、特開2007−94138号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類、米国特許第7153632号明細書、特表平8−505958号公報、特開2007−293221号公報、特開2007−293223号公報に記載の親水基を有するウレタン化合物類も好適である。
重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、平版印刷版原版の最終的な用途等を考慮して任意に設定できる。
重合性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分中、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
画像記録層は、バインダーポリマー、連鎖移動剤、低分子親水性化合物、感脂化剤、その他の成分を含有することができる。
<バインダーポリマー>
バインダーポリマーとしては、皮膜性を有するポリマーが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられる。
機上現像型平版印刷版原版の画像記録層に用いられるバインダーポリマー(以下、機上現像用バインダーポリマーともいう)について、詳細に記載する。
機上現像用バインダーポリマーとしては、アルキレンオキサイド鎖を有するバインダーポリマーが好ましい。アルキレンオキサイド鎖を有するバインダーポリマーは、ポリ(アルキレンオキサイド)部位を主鎖に有していても側鎖に有していてもよい。また、ポリ(アルキレンオキサイド)を側鎖に有するグラフトポリマーでも、ポリ(アルキレンオキサイド)含有繰返し単位で構成されるブロックと(アルキレンオキサイド)非含有繰返し単位で構成されるブロックとのブロックコポリマーでもよい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位を主鎖に有する場合は、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリ(アルキレンオキサイド)部位を側鎖に有する場合の主鎖のポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられ、特に(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
アルキレンオキサイドとしては炭素数が2〜6のアルキレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが特に好ましい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位におけるアルキレンオキサイドの繰返し数は2〜120が好ましく、2〜70がより好ましく、2〜50が更に好ましい。
アルキレンオキサイドの繰返し数が120以下であれば、摩耗による耐刷性、インキ受容性による耐刷性の両方が低下することがなく好ましい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位は、バインダーポリマーの側鎖として、下記式(AO)で表される構造で含有されることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂の側鎖として、下記式(AO)で表される構造で含有されることがより好ましい。
Figure 2019026813
式(AO)中、yは2〜120を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは水素原子又は一価の有機基を表す。
一価の有機基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
式(AO)において、yは2〜70が好ましく、2〜50がより好ましい。Rは水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。Rは水素原子又はメチル基が特に好ましい。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。ポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合などの架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、ポリマー反応により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンなどが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又は−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CHCR1A=CR2A3A、−(CHO)CHCR1A=CR2A3A、−(CHCHO)CHCR1A=CR2A3A、−(CHNH−CO−O−CHCR1A=CR2A3A、−(CH−O−CO−CR1A=CR2A3A及び−(CHCHO)−X(式中、RA1〜RA3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、RA1とRA2又はRA3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCH−NHCOO−CHCH=CH及び−CHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCH−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)及び−CHCH−OCO−CH=CHが挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、良好な感度と良好な保存安定性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、0.1〜10.0mmolが好ましく、1.0〜7.0mmolがより好ましく、2.0〜5.5mmolが更に好ましい。
以下にバインダーポリマーの具体例1〜11を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記例示化合物中、各繰返し単位に併記される数値(主鎖繰返し単位に併記される数値)は、繰返し単位のモル百分率を表す。側鎖の繰返し単位に併記される数値は、繰返し部位の繰返し数を示す。また、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
Figure 2019026813
Figure 2019026813
バインダーポリマーの分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)が、2,000以上であり、5,000以上が好ましく、10,000〜300,000がより好ましい。
必要に応じて、特開2008−195018号公報に記載のポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーを併用することができる。また、親油的なポリマーと親水的なポリマーとを併用することもできる。
バインダーポリマーは、1種単独で使用してよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分中、1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版における耐刷性の向上に寄与する。
連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、沸点(揮発し難さ)の観点で炭素数7以上のチオールがより好ましく、芳香環上にメルカプト基を有する化合物(芳香族チオール化合物)が更に好ましい。チオール化合物は単官能チオール化合物であることが好ましい。
連鎖移動剤の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
連鎖移動剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜40質量%がより好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましい。
<低分子親水性化合物>
低分子親水性化合物は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版の耐刷性を低下させることなく、平版印刷版原版の機上現像性の向上に寄与する。低分子親水性化合物は、分子量1,000未満の化合物が好ましく、分子量800未満の化合物がより好ましく、分子量500未満の化合物が更に好ましい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類等が挙げられる。
低分子親水性化合物は、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類及びベタイン類から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
有機スルホン酸塩類の具体例としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩、特開2007−276454号公報の段落0026〜0031及び特開2009−154525号公報の段落0020〜0047に記載の化合物等が挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩類としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位の数は1〜4が好ましく、塩はナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩が好ましい。具体例としては、特開2007−276454号公報の段落0034〜0038に記載の化合物が挙げられる。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナート等が挙げられる。
低分子親水性化合物は疎水性部分の構造が小さく、界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持することができる。
低分子親水性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
低分子親水性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。
<感脂化剤>
感脂化剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版におけるインキの着肉性(以下、単に「着肉性」ともいう)の向上に寄与する。感脂化剤としては、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどが挙げられる。特に、平版印刷版原版が保護層に無機層状化合物を含有する場合、これらの化合物は、無機層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機層状化合物による印刷途中の着肉性低下を抑制する機能を有する。
感脂化剤としては、ホスホニウム化合物と、含窒素低分子化合物と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することが好ましく、ホスホニウム化合物と、第四級アンモニウム塩類と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することがより好ましい。
ホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物が挙げられる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナート等が挙げられる。
含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。中でも、第四級アンモニウム塩類及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008−284858号公報の段落0021〜0037、特開2009−90645号公報の段落0030〜0057に記載の化合物等が挙げられる。
アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すればよく、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。具体例としては、特開2009−208458号公報の段落0089〜0105に記載のポリマーが挙げられる。
アンモニウム基含有ポリマーは、特開2009−208458号公報に記載の測定方法に従って求められる還元比粘度(単位:ml/g)の値が、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。上記還元比粘度を重量平均分子量(Mw)に換算した場合、10,000〜150,0000が好ましく、17,000〜140,000がより好ましく、20,000〜130,000が特に好ましい。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90、Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70、Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60、Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比25/75、Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw7.5万)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5、Mw6.5万)
感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
<その他の成分>
画像記録層は、その他の成分として、界面活性剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機層状化合物等を含有することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落0114〜0159に記載の各成分を用いることができる。
画像記録層の一つの形態によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、重合性化合物、重合開始剤、並びに、バインダーポリマー及びポリマー粒子の少なくとも1つを含有する。画像記録層は、更に、連鎖移動剤を含有することが好ましい。
画像記録層のもう一つの形態によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、熱融着性粒子、及び、バインダーポリマーを含有する。
<画像記録層の形成>
画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落0142〜0143に記載のように、必要な上記各成分を適宜公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得る観点から、0.3〜3.0g/m程度が好ましい。
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある。)を、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層と呼ばれることもある。)を有することができる。
〔下塗り層〕
下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわずに現像性を向上させることに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合に、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ効果も有する。
下塗り層に用いられる化合物としては、支持体表面に吸着可能な吸着性基及び親水性基を有するポリマーが挙げられる。画像記録層との密着性を向上させるために吸着性基及び親水性基を有し、更に架橋性基を有するポリマーが好ましい。下塗り層に用いられる化合物は、低分子化合物でもポリマーであってもよい。下塗り層に用いられる化合物は、必要に応じて、2種以上を混合して使用してもよい。
下塗り層に用いられる化合物がポリマーである場合、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。
支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−、−COCHCOCHが好ましい。親水性基としては、スルホ基又はその塩、カルボキシ基の塩が好ましい。架橋性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基などが好ましい。
ポリマーは、ポリマーの極性置換基と、当該極性置換基と対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005−238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報に記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面と相互作用する官能基及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物も好ましく用いられる。
より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層に用いられるポリマー中のエチレン性不飽和結合基の含有量は、ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは0.2〜5.5mmolである。
下塗り層に用いられるポリマーの質量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。
下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時による汚れ防止のため、キレート剤、第二級又は第三級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基と支持体表面と相互作用する基とを有する化合物(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)等を含有してもよい。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/mが好ましく、1〜30mg/mがより好ましい。
〔保護層〕
保護層は酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報及び特開2006−259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
保護層は、酸素遮断性を高めるために無機層状化合物を含有することが好ましい。無機層状化合物は、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、天然雲母、合成雲母等の雲母群、式:3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2−510(OH,F,O)〔ただし、Aは、K、Na、Caのいずれか、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。合成雲母としてはフッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及び、NaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、膨潤性合成雲母は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換し得る。特に、層間の陽イオンがLi、Naの場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、特に好ましく用いられる。
雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きい程よい。従って、アスペクト比は、好ましくは20以上であり、より好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。アスペクト比は粒子の厚さに対する長径の比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母化合物の粒子径は、その平均長径が、好ましくは0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。粒子の平均の厚さは、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母の場合、好ましい態様としては、厚さが1〜50nm程度、面サイズ(長径)が1〜20μm程度である。
無機層状化合物の含有量は、保護層の全固形分に対して、0〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。複数種の無機層状化合物を併用する場合でも、無機層状化合物の合計量が上記の含有量であることが好ましい。上記範囲で酸素遮断性が向上し、良好な感度が得られる。また、着肉性の低下を防止できる。
保護層は可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御するための無機微粒子など公知の添加物を含有してもよい。また、画像記録層において記載した感脂化剤を保護層に含有させてもよい。
保護層は公知の方法で塗布される。保護層の塗布量(固形分)は、0.01〜10g/mが好ましく、0.02〜3g/mがより好ましく、0.02〜1g/mが特に好ましい。
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、端部に、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有する。
図1は、平版印刷版原版の端部の断面形状を模式的に示す図である。
図1において、平版印刷版原版1はその端部にダレ2を有している。平版印刷版原版1の端面1cの上端(ダレ2と端面1cとの境界点)と、画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)1aの延長線との距離Xを「ダレ量」といい、平版印刷版原版1の画像記録層面1aがダレ始める点と端面1cの延長線上との距離Yを「ダレ幅」という。
端部のダレ量は35μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。ダレ量の上限は、端部表面状態の悪化による機上現像性の劣化を防止する観点から150μmが好ましい。機上現像性が劣化すると残存する画像記録層にインキが付着しエッジ汚れ発生の原因となる。ダレ量が25μmを下回ると、端部に付着したインキがブランケットに転写しやすくなりエッジ汚れ発生の原因となる場合がある。ダレ量の範囲が25〜150μmの場合、ダレ幅が小さいと、端部におけるクラックの発生が増大し、そこに印刷インキが溜まることによりエッジ汚れの原因となる。このような観点から、ダレ幅は70〜300μmの範囲が適当であり、80〜250μmの範囲が好ましい。なお、上記ダレ量とダレ幅の範囲は、平版印刷版原版1の支持体面1bのエッジ形状には関わらない。
通常、平版印刷版原版1の端部において、画像記録層と支持体との境界B、及び、支持体面1bも、画像記録層面1aと同様に、ダレが発生している。
上記ダレ形状を有する端部の形成は、例えば、平版印刷版原版の裁断条件を調整することにより行うことができる。
具体的には、平版印刷版原版の裁断時に使用するスリッター装置における上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量、刃先角度などを調整することにより行うことができる。
例えば、図2は、スリッター装置の裁断部を示す概念図である。スリッター装置には、上下一対の裁断刃10、20が左右に配置されている。裁断刃10、20は円板上の丸刃からなり、上側裁断刃10a及び10bは回転軸11に、下側裁断刃20a及び20bは回転軸21に、それぞれ同軸上に支持されている。上側裁断刃10a及び10bと下側裁断刃20a及び20bとは、相反する方向に回転される。平版印刷版原版30は、上側裁断刃10a、10bと下側裁断刃20a,20bとの間を通されて所定の幅に裁断される。スリッター装置の裁断部の上側裁断刃10aと下側裁断刃20aとの隙間及び上側裁断刃10bと下側裁断刃20bとの隙間を調整することによりダレ形状を有する端部を形成することができる。
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、ダレ幅Yに相当する領域における、陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である。
ここで、ダレ幅Yに相当する領域とは、上記図1における画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)1aの延長線と端面1cの延長線との交点から1aの延長線が画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)の接するまでの領域を意味する。
陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率は、以下の方法で算出される。
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactorPR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、Pt-Pd膜を3nm蒸着して導電処理して試料を作成する。この試料を、(株)日立ハイテクノロジーズ製S-4800型電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、加速電圧30kVでSEM観察を行い、観察倍率1,500倍で端部から中央部に向かって連続写真を取得し、150×50μmの画像を得る。この画像に対して、画像処理ソフト「ImageJ」により、クラック部と陽極酸化皮膜層表面の輝度差を利用してクラック形状を抽出、2値化処理を行い、150×50μm範囲におけるクラックの割合を算出し、クラックの面積率とする。
クラックの面積率は、エッジ汚れの発生を防止する観点から、10%以下がより好ましく、6%以下が特に好ましい。
ダレ幅Yに相当する領域における、陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅もエッジ汚れの発生に関与する因子である。陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅は、20μm以下であることが好ましい。
陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅は、以下の方法で算出される。
上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率の算出方法と同様にして、150×50μmの画像を得る。この画像に対して、画像処理ソフト「ImageJ」により、クラック部と陽極酸化皮膜層表面の輝度差を利用してクラック形状を抽出、2値化処理を行い、150×50μm範囲におけるクラック15本の幅を測定し、その平均値をクラックの平均幅とする。
ダレ幅Yに相当する領域における、陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率を30%以下に調整する及び/又はクラックの平均幅を20μm以下に調整するためには、上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量を0.5〜5.0g/mの範囲に制御することが好ましい。陽極酸化皮膜量は、エッジ汚れの発生を防止する観点から、0.8〜1.2g/mの範囲に制御することがより好ましい。
陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量は、以下の方法で算出される。
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactor PR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、蛍光X線分析装置((株)リガク製ZSX PrimusII)で測定し、別途作成した検量線を用いて陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量(g/m)を算出する。検量線は蛍光X線分析装置から得られるコンプトン散乱線強度とメイソン法で算出した陽極酸化皮膜量の関係から作成した。メイソン法の測定精度を上げるため、メイソン液は全て新液を用いた。蛍光X線分析の条件は以下のとおりである。X線管球:Rh、測定スペクトル:RhLα、管電圧:50kV、管電流:60mA、スリット:S2、分光結晶:Ge、検出器:PC、分析面積:30mmφ、ピーク位置(2θ):89.510deg.、バックグランド(2θ):87.000deg.及び92.000deg.、積算時間:60秒/sample
陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量を制御するには、例えば、陽極酸化処理における電解時間を調整する方法が挙げられる。
平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量は、平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さいことが好ましい。陽極酸化皮膜量を下げると、平版印刷版原版の取り扱い時及び印刷時に陽極酸化皮膜に破損が生じ、これに起因したキズ汚れが発生することがある。そこで、エッジ汚れに関わる端部のみ、陽極酸化皮膜量を下げることにより、キズ汚れの発生を抑制することができる。
ダレ幅Yに相当する領域における、陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率を30%以下に調整する及び/又はクラックの平均幅を20μm以下に調整するためには、上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径を5〜100nmの範囲に制御することが好ましく、5〜35nmの範囲に制御することがより好ましい。
陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径は、以下の方法で算出される。
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactorPR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、カーボン又はPt-Pd膜を3nm蒸着して導電処理して試料を作成する。この試料を、(株)日立ハイテクノロジーズ製S-4800型電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、観察倍率150,000倍で端部から中央部に向かって連続写真を取得し、400×600nmの画像を4枚得る。この4枚の画像に存在するマイクロポア90個の直径を測定し、平均してマイクロポアの平均径とする。なお、マイクロポアの形状が円形でない場合には、マイクロポアの投影面積と同じ投影面積を持つ円を想定し、その円の直径をマイクロポアの直径とする。
マイクロポアが大径孔部と小径孔部を有する場合には、大径孔部表面および小径孔部表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nm2の範囲に存在するマイクロポア(大径孔部および小径孔部)の径を測定し、平均した値である。なお、大径孔部の深さが深く、小径孔部の径が測定しづらい場合は、陽極酸化皮膜上部を切削し、その後各種径を求めた。
陽極酸化皮膜のマイクロポアの深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面をFE−SEMで観察し(大径孔部深さ観察:15万倍、小径孔部深さ観察:5万倍)、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、平均した値である。
陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径を制御するには、例えば、ポアワイド処理における処理時間を調整する方法が挙げられる。
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、端部にダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有することと、ダレ幅Yに相当する領域の陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下であることとが相まって、機上現像性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れの発生を防止することができるという特徴を有する。端部にダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有することのみでは、このような特徴は得られない。また、ダレ幅Yに相当する領域の陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下であることのみでは、このような特徴は得られない。
更に、本発明に係る機上現像型平版印刷版原版においては、端部領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの親水化処理を施すことなく、エッジ汚れの発生を防止することができるという特徴を有する。
[平版印刷版の作製方法]
本発明に係る平版印刷版の作製方法は、本発明に係る平版印刷版原版を画像露光する工程(露光工程)、及び、画像露光後の平版印刷版原版を印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方により、画像記録層の未露光部を除去する工程(機上現像工程)を含む。
〔露光工程〕
画像露光は、デジタルデータを赤外線レーザー等により走査露光する方法により行うことが好ましい。
露光光源の波長は、750〜1,400nmが好ましく用いられる。750〜1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。露光機構は内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。
露光工程はプレートセッターなどにより公知の方法で行うことができる。また、露光装置を備えた印刷機を用いて、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で露光を行ってもよい。
〔機上現像工程〕
機上現像工程においては、画像露光後の平版印刷版原版に何らの現像処理を施すことなく、印刷機上において印刷インキ及び湿し水を供給して印刷を開始すると、印刷途上の初期の段階で平版印刷版原版の未露光部分が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出し非画像部が形成される。印刷インキ及び湿し水としては、公知の平版印刷用の印刷インキ及び湿し水が用いられる。最初に平版印刷版原版表面に供給されるのは、印刷インキでも湿し水でもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給することが好ましい。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
本発明に係る平版印刷版の作製方法は、上記工程以外に、公知の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、各工程の前に平版印刷版原版の位置や向き等を確認する検版工程や、機上現像工程の後に、印刷画像を確認する確認工程等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値とした質量平均分子量(Mw)であり、繰り返し単位の比率はモル百分率である。また、「部」、「%」は、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
[実施例1〜20及び比較例1〜2]
<支持体(1)の作製>
アルミニウム板に、下記(a)〜(g)の各処理を順次施し、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体(支持体(1))を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
(a)アルカリエッチング処理
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS 1052)に、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/m2であった。
(b)デスマット処理
アルミニウム板に、温度35℃の硫酸水溶液(濃度300g/L)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(c)電気化学的粗面化処理
アルミニウム板を、1質量%塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電源を用いて、フラットセル型の電解槽を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源の波形は、正弦波を用いた。電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、30A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量総和とカソード反応時の電気量総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量総和で480C/dm2であった。電解液はポンプを用いて液を循環させることで、電解槽内の撹拌を行った。
(d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.05g/m2であった。
(e)デスマット処理
アルミニウム板に、硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、液温35℃の水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(f)陽極酸化処理
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、40℃、電流密度15A/dmの条件で厚さ1,000nmの直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で2秒間アルカリ処理して支持体(1)を作製した。
<支持体(2)の作製>
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更し、(g)ポアワイド処理を行わなかった他は、支持体(1)の作製と同様にして、支持体(2)を作製した
(f1)第1陽極酸化処理
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、60℃、電流密度30A/dmの条件で直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f2)第2陽極酸化処理
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、60℃、電流密度15A/dmの条件で直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(2)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
<支持体(3)の作製>
支持体(2)の作製において、第2陽極酸化処理の処理時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを300nmとした以外は、支持体(2)の作製と同様にして、支持体(3)を作製した。
<支持体(4)の作製>
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(4)を作製した。支持体(4)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で4秒間アルカリ処理した。
<支持体(5)の作製>
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(5)を作製した。支持体(5)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で6秒間アルカリ処理した。
<支持体(6)の作製>
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(6)を作製した。支持体(6)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で7秒間アルカリ処理した。
<支持体(7)の作製>
支持体(4)の作製において、陽極酸化処理の時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを500nmとする他は、支持体(4)の作製方法と同様にして、支持体(7)を作製した。
<支持体(8)の作製>
支持体(6)の作製において、陽極酸化処理の時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを300nmとする他は、支持体(6)の作製方法と同様にして、支持体(8)を作製した。
<支持体(9)の作製>
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(9)を作製した。支持体(9)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
(f)陽極酸化処理
22質量%リン酸水溶液を電解液として、38℃、電流密度15A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
<支持体(10)の作製>
支持体(5)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(5)の作製方法と同様にして、支持体(10)を作製した。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、端部のみをNaOH5%水溶液を用い30℃で2秒間アルカリ処理した。ダレ部の最終的な陽極酸化皮膜の厚さは1000nmであった。
<支持体(11)及び(12)の作製>
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を行わなかったこと、及び、陽極酸化処理の時間を制御し、表1に記載の陽極酸化皮膜の厚さに変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(11)及び(12)を作製した。
<支持体(13)の作製>
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更し、(g)ポアワイド処理を行わなかった他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(13)を作製した。
(f)陽極酸化処理
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体(13)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
<支持体(14)の作製>
支持体(13)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更した他は、支持体(13)の作製方法と同様にして、支持体(14)を作製した。
(f1)第1陽極酸化処理
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/mであった。
(f2)第2陽極酸化処理
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(14)における陽極酸化皮膜の厚さは、800nmであった。
<支持体(15)の作製>
支持体(13)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更した他は、支持体(13)の作製方法と同様にして、支持体(15)を作製した。
(f1)第1陽極酸化処理
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は、処理時間を調節して、0.3g/mとした。
(f2)第2陽極酸化処理
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.3A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(15)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
<支持体(16)の作製>
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理及び(g)ポアワイド処理を以下のように変更した他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(16)を作製した。
(f1)第1陽極酸化処理
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/mであった。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い40℃で4秒間アルカリ処理した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f2)第2陽極酸化処理
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度13A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(16)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。支持体(16)における陽極酸化皮膜のマイクロポアは大径孔部と小径孔部から構成されており、大径孔部の深さ、大径孔部の平均径、小径孔部の深さ、小径孔部の連通位置における平均径は、各々100nm、100nm、900nm、8nmであった。
<支持体(17)の作製>
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理及び(g)ポアワイド処理を以下のように変更した他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(17)を作製した。
(f1)第1陽極酸化処理
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/mであった。
(g)ポアワイド処理
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い40℃で3秒間アルカリ処理した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f2)第2陽極酸化処理
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dmの条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(17)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。支持体(17)における陽極酸化皮膜のマイクロポアは大径孔部と小径孔部から構成されており、大径孔部の深さ、大径孔部の平均径、小径孔部の深さ、小径孔部の連通位置における平均径は、各々100nm、30nm、900nm、10nmであった。
<下塗り層の形成>
支持体上に、下記組成の下塗り層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で30秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が20mg/mの下塗り層を形成した。
(下塗り層塗布液(1))
・下塗り化合物1(下記) 0.18部
・メタノール 55.24部
・蒸留水 6.15部
Figure 2019026813
<画像記録層(1)の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が1.0g/mの画像記録層(1)を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)及びミクロゲル液を塗布直前に混合し攪拌することにより調製した。
<感光液(1)>
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.245g
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造〕 0.046g
・ボレート化合物 0.010g
TPB〔下記構造〕
・重合性化合物 0.192g
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステル A−9300、新中村化学(株)製)
・低分子親水性化合物 0.062g
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 0.055g
ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕
・感脂化剤 0.018g
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩
・感脂化剤 0.035g
アンモニウム基含有ポリマー(1)
〔下記構造、還元比粘度44ml/g〕
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記感光液(1)に用いたバインダーポリマー(1)、重合開始剤(1)、赤外線吸収剤(1)、TPB、低分子親水性化合物(1)、ホスホニウム化合物(1)、アンモニウム基含有ポリマー(1)及びフッ素系界面活性剤(1)の構造を以下に示す。
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
Figure 2019026813
上記ミクロゲル液に用いたミクロゲル(1)の調製法を以下に示す。
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78g(80mmol)と下記多価フェノール化合物(1)7.35g(20mmol)との酢酸エチル(25.31g)懸濁溶液に、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)(ネオスタン U−600、日東化成(株)製)43mgを加えて攪拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間攪拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
Figure 2019026813
<ミクロゲル(1)の調製>
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間攪拌後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−オクチル酸塩(U−CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20gを加え、室温で30分攪拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を20質量%になるように調整し、ミクロゲル(1)の水分散液が得られた。光散乱法により平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
(油相成分)
(成分1)酢酸エチル:12.0g
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル辺末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製):3.76g
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として):15.0g
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR−399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.54g
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA−41−C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液:4.42g
(水相成分)蒸留水:46.87g
<画像記録層(2)の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、94℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量0.85g/mの画像記録層を形成した。
(画像記録層塗布液(2))
・重合性化合物1*1 0.325部
・グラフトコポリマー1*2 0.060部
・グラフトコポリマー2*3 0.198部
・メルカプト−3−トリアゾール*4 0.180部
・Irgacure250*5 0.032部
・赤外線吸収剤1(下記) 0.007部
・テトラフェニルホウ酸ナトリウム(下記) 0.04部
・Klucel 99M*6 0.007部
・Byk 336*7 0.015部
・n−プロパノール 7.470部
・水 1.868部
*1:重合性化合物1は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製)である。
*2:グラフトコポリマー1は、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−メトキシ−,エテニルベンゼンでグラフトされたポリマーであり、これを、80%n−プロパノール/20%水の溶剤中25%の分散物である。
*3:グラフトコポリマー2は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート/スチレン/アクリロニトリル=10:9:81のグラフトコポリマーのポリマー粒子であり、これを、n−プロパノール/水の質量比が80/20である溶媒中に、24質量%含有している分散物である。ポリマー粒子の体積平均粒径は193nmである。
*4:メルカプト−3−トリアゾールは、PCAS社(フランス)から入手可能な3−メルカプト−1H,2,4−トリアゾールである。
*5:Irgacure 250は、Ciba Specialty Chemicals社から入手可能な、ヨードニウム (4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェートの75%プロピレンカーボネート溶液である。
*6:Klucel 99Mは、Hercules社から入手可能な、ヒドロキシプロピルセルロース増粘剤の1%水溶液である。
*7:Byk 336は、Byk Chemie社から入手可能な、変性ジメチルポリシロキサンコポリマーの25%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液である。
Figure 2019026813
Figure 2019026813
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.15g/mの保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
<保護層塗布液>
・無機層状化合物分散液(1)〔下記〕 1.5g
・ポリビニルアルコール(CKS50、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール(PVA−405、(株)クラレ製、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エマレックス710、
日本エマルジョン(株)製)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
上記保護層塗布液に用いた無機層状化合物分散液(1)の調製法を以下に示す。<無機層状化合物分散液(1)の調製>
イオン交換水193.6gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
〔平版印刷版原版の作製〕
上記支持体及び画像記録層を表1に記載のように組み合わせて平版印刷版原版を作製した。なお、画像記録層(1)の上には上記保護層を形成したが、画像記録層(2)の上には保護層は形成しなかった。
〔平版印刷版原版の裁断〕
平版印刷版原版を、図2に示すような回転刃を用いて、上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量及び刃先角度を調整して裁断し、端部に表1に記載のダレ量及びダレ幅を有するダレ形状を形成した。
〔平版印刷版原版の評価〕
<エッジ汚れ防止性>
平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxcel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,4000dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び50%網点チャートを含むようにした。
画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとして、インクテック(株)製 ソイビーKKST−S(紅)と東洋インキ(株)製東洋ALKY湿し水を用いて、100,000枚/時のスピードで印刷し、地汚れ解消の水目盛から2倍の水目盛で、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、エッジ部の汚れの程度を下記の基準で評価した。
5:全く汚れていない
4:5と3の中間レベル
3:うっすらと汚れているが許容レベル
2:3と1の中間レベル(許容レベル)
1:はっきりと汚れており非許容レベル
<機上現像性>
上記エッジ汚れ防止性の評価と同様にして画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとして、インクテック(株)製ソイビーKKST−S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN−1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した新聞用紙の枚数を機上現像枚数として計測し、以下の基準で評価した。
5:機上現像枚数25枚以下
4:機上現像枚数26〜30枚
3:機上現像枚数31〜35枚
2:機上現像枚数36〜40枚
1:機上現像枚数100枚以上であり非許容レベル
<キズ汚れ防止性>
平版印刷版原版を25℃60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機TYPE−18に取り付け、打ち抜いていない平版印刷版原版の表面の上に、打ち抜いた平版印刷版原版の裏面が接触するようにセットし、0gf〜1,500gfの加重で平版印刷版原版の数箇所に擦れ傷をつけた。擦れ傷をつけた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxcel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,4000dpiの条件で露光した。
画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製ソイビーKKST−S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN−1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。印刷過程において、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、擦れ傷に起因するキズ汚れの程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。
3:視認及び6倍率のルーペでキズ汚れが確認できない。
2:視認では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが数か所ある。
1:視認で確認可能なキズ汚れが複数個所にあり非許容レベル。
評価結果を表1に示す。表1において、クラックの面積率、クラックの平均幅、陽極酸化皮膜量、マクロポアの平均径は、先に記載した方法に従って算出した数値である。
Figure 2019026813
表1に記載の結果から、本発明に係る平版印刷版原版は、機上現像性、キズ汚れ防止性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れが防止されていることがわかる。これに対して、比較例の平版印刷版原版では、エッジ汚れが発生していることがわかる。
また、本発明に係る平版印刷版原版では、端部領域における画像形成性能が低下することも認められなかった。
本発明によれば、機上現像性、キズ汚れ防止性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れが防止された機上現像型平版印刷版原版、及び機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2017年7月31日出願の日本特許出願(特願2017−148558)、2018年6月5日出願の日本特許出願(特願2018−107994)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 平版印刷版原版
1a 画像記録層面
1b 支持体面
1c 端面
2 ダレ
X ダレ量
Y ダレ幅
B 画像記録層面と支持体との境界
10 裁断刃
10a 上側裁断刃
10b 上側裁断刃
11 回転軸
20 裁断刃
20a 下側裁断刃
20b 下側裁断刃
21 回転軸
上記課題を解決するための手段を以下に記載する。
[1]
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が6%以下である機上現像型平版印刷版原版。
[2]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である[1]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[3]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.5〜5.0g/m である[1]又は[2]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[4]
上記陽極酸化皮膜量が0.8〜1.2g/m である[3]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[5]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さい[1]〜[4]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[6]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が5〜100nmである[1]〜[5]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[7]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[8]
上記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する[1]〜[7]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[9]
上記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である[8]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[10]
上記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する[1]〜[9]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
本発明は、上記[1]〜[11]に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記(1)〜(13))についても記載している。
(1)
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版。
(2)
上記クラックの面積率が10%以下である(1)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(3)
上記クラックの面積率が6%以下である(2)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(4)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(5)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.5〜5.0g/mである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(6)
上記陽極酸化皮膜量が0.8〜1.2g/mである(5)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(7)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さい(1)〜(6)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(8)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が5〜100nmである(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(9)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(10)
上記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する(1)〜(9)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(11)
上記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である(10)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(12)
上記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する(1)〜(11)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(13)
(1)〜(12)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
表1に記載の結果から、本発明に係る平版印刷版原版は、機上現像性、キズ汚れ防止性などの特性を低下させることなく、エッジ汚れが防止されていることがわかる。これに対して、比較例の平版印刷版原版では、エッジ汚れが発生していることがわかる。
また、本発明に係る平版印刷版原版では、端部領域における画像形成性能が低下することも認められなかった。
なお、実施例2、3、6及び10は、それぞれ参考例2、3、6、及び10に読み替えるものとする。

Claims (13)

  1. 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、前記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版。
  2. 前記クラックの面積率が10%以下である請求項1に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  3. 前記クラックの面積率が6%以下である請求項2に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  4. 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  5. 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.5〜5.0g/mである請求項1〜4のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  6. 前記陽極酸化皮膜量が0.8〜1.2g/mである請求項5に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  7. 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の前記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さい請求項1〜6のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  8. 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が5〜100nmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  9. 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  10. 前記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  11. 前記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である請求項10に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  12. 前記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
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