JPH05104872A

JPH05104872A - 平版印刷版材

Info

Publication number: JPH05104872A
Application number: JP3294762A
Authority: JP
Inventors: Katsuyuki Ota; 勝行大田; Hiroyuki Suzuki; 啓之鈴木; Toshimi Aoyama; 俊身青山
Original assignee: Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Current assignee: Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date: 1991-10-16
Filing date: 1991-10-16
Publication date: 1993-04-27
Anticipated expiration: 2015-04-10
Also published as: JP3031438B2

Abstract

(57)【要約】【構成】あらかじめ所望形状に裁断されたアルミニウ
ム支持体表面に、粗面化処理と陽極酸化処理を順次施し
たのち、感光層を設けたもの、及びアルミニウム支持体
表面に、粗面化処理と陽極酸化処理を順次施し、次いで
クラック発生を伴わないカッターで所望形状に裁断した
のち、感光層を設けるか、又は該陽極酸化処理後に感光
層を設けたのち、前記カッターで所望形状に裁断したも
のであって、支持体端面の内側ヘリの陽極酸化皮膜にク
ラックが発生していない平版印刷版材。【効果】印刷物の周辺部に汚れの発生をもたらすこと
のない、特に新聞印刷に好適な印刷版を与える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新規な平版印刷版材、さ
らに詳しくは、アルミニウム支持体端面の内側へりの陽
極酸化皮膜に、実質上クラックの発生がないため、印刷
物の周辺に汚れの発生をもたらすことのない、特に新聞
印刷に好適に用いられる平版印刷版を与える版材に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】平版印刷版材としては、アルミニウム支
持体上に感光層を設けたＰＳ版材が主流を占めている。
このＰＳ版材は、通常、シート状あるいはコイル状のア
ルミニウム支持体を種々の方法で脱脂洗浄後、機械的方
法や電気的方法により砂目立て（研磨）し、さらに化学
的エッチング処理するなど、粗面化処理したのち、陽極
酸化処理及び必要に応じて親水化処理を施し、次いで所
望の印刷機に合ったサイズに該支持体を裁断してから感
光層を設けるか、又は感光層を設けてから、そのサイズ
に合うように裁断するといった方法で作成されている。
そして前記裁断処理には、例えばロータリーシャー、フ
ラングシャー、ダウンカットシャーなどが使用されてい
る。このようにして得られたＰＳ版材は、使用時には該
感光層上に所要の原画フイルムを載せ、紫外線などの活
性光を照射したのち、現像処理を施せば印刷版として供
することができる。

【０００３】ところで、前記の方法で得られたＰＳ版材
においては、アルミニウム支持体の端面付近の陽極酸化
皮膜にクラックが発生し、その結果、該版材から得られ
た印刷版を用いて印刷する際に、このクラック部に印刷
インキが付着するのを免れず、特に新聞印刷のような輪
転機を用いてロール状の紙に連続して印刷する際に、紙
の幅に対して印刷版の幅が小さい場合には、印刷版の端
部に付着した印刷インキが紙に転写され、これが新聞端
部の直線的汚れとなって現れるという問題がある。

【０００４】このような汚れを防止する方法として、例
えばアルミニウム支持体の端部の角部をヤスリなどで削
り取る方法が知られている（特公昭５７−４６７５４号
公報）。しかしながら、この方法は、実際には印刷開始
直後ではその効果が現れない上、印刷版を１枚ずつ処理
せねばならず、大量処理には適さないし、またその端部
の角部を削り取ったクズが印刷版の表面を傷付けるおそ
れがあるなどの欠点を有している。

【０００５】また、アルミニウム支持体の端面を、画像
形成処理する前に不感脂化処理する方法が開示されてい
るが（特公昭６２−６１９４６号公報）、この方法にお
いては、不感脂化処理を１版材ごと手作業で行った場
合、感光層やアルミニウム支持体の裏面に不感脂化剤が
まわり込み、これを積み重ねて包装した際に印刷版材が
剥がれなくなるという欠点を伴う。これを防ぐため、包
装単位に積み重ねたのち、不感脂化剤を塗布する方法も
考えられるが、この場合においても、版材間に該不感脂
化剤が染み込み、剥離を妨げるという欠点があり、実用
化に至っていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、印刷物の周辺に汚れの発生をもたらすこ
とがなく、特に新聞印刷に好適な印刷版を与えうる平版
印刷版材を提供することを目的としてなされたものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、印刷物の
周辺に汚れの発生をもたらさない印刷版を与える平版印
刷版材を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、アルミニウ
ム支持体表面に粗面化処理及び陽極酸化処理を順次施し
たのち、感光層を設けた平版印刷版材において、該アル
ミニウム支持体として、あらかじめ所望形状に裁断され
たものを用いるか、又は陽極酸化処理後に、クラック発
生を伴わないカッターを用いて所望形状に裁断したの
ち、感光層を設けるか、又は感光層を設けたのち、クラ
ック発生を伴わないカッターを用いて所望形状に裁断す
ることにより、該支持体端面の内側へりの陽極酸化皮膜
に実質上クラックが発生せず、その目的を達成しうるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。

【０００８】すなわち、本発明は、あらかじめ所望形状
に裁断されたアルミニウム支持体表面に、粗面化処理と
陽極酸化処理を順次施したのち、感光層を設けたもの、
及びアルミニウム支持体表面に、粗面化処理と陽極酸化
処理を順次施し、次いでクラック発生を伴わないカッタ
ーを用いて所望形状に裁断したのち、感光層を設けたも
の、及びアルミニウム支持体表面に粗面化処理と陽極酸
化処理を順次施し、次いで感光層を設けたのち、クラッ
ク発生を伴わないカッターを用いて所望形状に裁断した
ものであって、該支持体端面の内側へりの陽極酸化皮膜
に実質上クラックが発生していない平版印刷版材を提供
するものである。

【０００９】本発明の平版印刷版材に用いられるアルミ
ニウム支持体としては、従来ＰＳ版材に慣用されている
ものの中から任意のものを選び使用することができ、形
状についてはシート状、コイル状のいずれであってもよ
い。

【００１０】本発明の平版印刷版材は、粗面化処理及び
陽極酸化処理が順次施されたアルミニウム支持体上感光
層が設けられたものであるが、本発明においては、該ア
ルミニウム支持体端面の内側へりの陽極酸化皮膜に実質
上クラックが発生していないことが必要である。該皮膜
にクラックが発生していると、該版材から得られた印刷
版を用いて印刷する際、このクラック部に印刷インキが
付着し、紙に転写されて印刷物に直線的な汚れをもたら
す。

【００１１】本発明においては、前記クラックの発生を
防止するために、３種の方法が用いられる。すなわち、
第１の方法は、あらかじめアルミニウム支持体を所望形
状に裁断しておき、この表面に粗面化処理及び陽極酸化
処理を順次施したのち、感光層を設ける方法である。

【００１２】該アルミニウム支持体を所望形状に裁断す
るには、従来アルミニウム支持体の裁断に慣用されてい
るカッター、例えばロータリーシャー、フラングシャ
ー、ダウンカットシャー、アップカットシャー、スリッ
ター、枚葉断裁機などの中から任意のものを選び用いる
ことができる。このようにして所望形状に裁断されたア
ルミニウム支持体は、通常その表面を公知の方法で脱脂
洗浄したのち、粗面化処理が施される。この粗面化処理
は、一般に、機械的方法や電気的方法により砂目立て
（研磨）を行うか、又は化学的エッチングすることによ
り、あるいはこれらの処理を組み合わせることにより行
われる。

【００１３】このようにして粗面化処理されたアルミニ
ウム支持体は、硫酸浴などの中で陽極酸化処理して、そ
の表面に陽極酸化皮膜を形状させ、次いで必要に応じて
親水化処理を施したのち、感光層を設けることにより、
本発明の平版印刷版材が得られる。該感光層については
特に制限はなく、従来ＰＳ版材における感光層として慣
用されているもの、例えばジアゾ樹脂と疎水性樹脂とか
ら成るもの、ｏ‐キノンジアジド化合物とノボラック樹
脂とから成るもの、付加重合性不飽和モノマー、光重合
開始剤及び有機高分子化合物から成るものなどを用いる
ことができる。

【００１４】なお、アルミニウム支持体をあらかじめ所
望形状に裁断しておくと、陽極酸化処理時において、該
支持体を保持する部分が陽極酸化処理むらとなる場合が
あり、一方印刷時においては、通常上下くわえ部分は実
際の印刷には影響がないので、前記の陽極酸化処理時の
保持部を印刷時のくわえ部側辺にすることが望ましい。

【００１５】第２の方法は、アルミニウム支持体に、前
記第１の方法と同様にして脱脂処理、粗面化処理、陽極
酸化処理及び必要に応じて親水化処理を順次施したの
ち、クラック発生を伴わないカッターを用いて所望形状
に裁断し、次いで感光層を設ける方法である。

【００１６】この際、用いられるクラック発生を伴わな
いカッターとしては、例えばスリッターが好適である。
ロータリーシャー、フラングシャー、ダウンカットシャ
ー、アップカットシャーなどを用いて裁断すると、支持
体端面の内側ヘリの陽極酸化皮膜にクラックが発生しや
すい。なお、これらのカッターでも刃を調整することに
より、該クラックの発生を防止することができる。

【００１７】第３の方法は、アルミニウム支持体に、前
記第１の方法と同様にして脱脂処理、粗面化処理、陽極
酸化処理及び必要に応じて親水化処理を順次施したの
ち、感光層を設け、次いで、前記第２の方法と同様にし
てクラック発生を伴わないカッターを用いて所望形状に
裁断する方法である。

【００１８】このようにして、支持体端面の内側ヘリの
陽極酸化皮膜に実質上クラックが発生していない本発明
の平版印刷版材が得られる。

【００１９】次に、本発明版材を用いて印刷版を製版す
る好適な方法の１例について説明すると、まず該版材の
感光層表面に所望の原画フイルムを真空密着させたの
ち、これに紫外線などの活性光を選択的に照射して、照
射部と非照射部とに現像液に対する溶解度差を生じさ
せ、次いで現像処理して原画フイルムに対応するレリー
フ画像を形成させる。次に必要ならばガム処理を施すこ
とにより、印刷物の周辺部に汚れの発生をもたらすこと
のない平版印刷版が得られる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の平版印刷版材は、支持体端面の
内側ヘリの陽極酸化皮膜に実質上クラックが発生してい
ないため、この版材から得られた印刷版は印刷物の周辺
部に汚れの発生をもたらすことがなく、特に新聞などの
大型紙面への印刷に好適に用いられる。

【００２１】

【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。

【００２２】実施例１厚さ０．３ｍｍ、１０９９ｍｍ×４００ｍｍサイズのシ
ート状アルミニウム板を、水酸化ナトリウム水溶液にて
脱脂処理したのち、４００メッシュのパーミュトンを用
い、ナイロンブラシで研磨後、よく洗浄してから、７０
℃の１０ｗｔ％水酸化ナトリウム水溶液中に１０秒間浸
漬し、次いで４ｗｔ％硫酸水溶液中で陽極酸化皮膜が
２．０ｇ／ｍ^２となるように陽極酸化処理した。この
際、アルミニウム板の４００ｍｍ辺側を保持具にて保持
して陽極酸化処理を行った。

【００２３】陽極酸化処理後、水洗し乾燥したのち、８
０℃のＪＩＳ３号ケイ酸ナトリウムの４ｗｔ％水溶液中
に１０秒間浸漬し、水洗を十分に行ってから乾燥した。

【００２４】次に、このアルミニウム板に、Ｎ‐（４‐
ヒドロキシフェニル）メタクリルアミド単位／２‐ヒド
ロキシエチルメタクリレート単位／アクリロニトリル単
位／メチルメタクリレート単位／メタクリル酸単位モル
比が１５／１５／２５／３５／１０共重合体５ｇ、ｐ‐
ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物
の２‐メトキシ‐４‐ヒドロキシ‐５‐ベンゾイルベン
ゼンスルホン酸塩０．５ｇ、ビクトリア・ピュア・ブル
ーＢＯＨ［保土谷化学（株）製］０．１ｇ、メチルアル
コール３０ｇ及び２‐メトキシエチルアルコール３０ｇ
から成る感光液を、乾燥重量が１．７ｇ／ｍ^２となるよ
うにロールコーターにて塗布し、１００℃で２分間乾燥
してネガ型ＰＳ版材を作成した。

【００２５】このようにして得られたＰＳ版材の感光層
に、画像形成露光を施したのち、ベンジルアルコール３
０ｇ、メタケイ酸ナトリウム２ｇ、亜硫酸ナトリウム５
ｇ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム１０ｇ及び
水１００ｇから成る現像液で現像処理を施し、次いで水
洗してから１４°ボーメのアラビアガム水溶液を用いて
ガム引き処理を行った。

【００２６】この版の１０９９ｍｍ辺の端面付近を拡大
して観察したが、陽極酸化皮膜にクラックの発生は認め
られなかった。

【００２７】次に、この版を用い、三菱重工（株）製新
聞用輪転機リソピアで５万部印刷したところ、印刷物の
周辺部に汚れの発生はみられなかった。

【００２８】比較例１厚さ０．３ｍｍ、１１００ｍｍ×４５０ｍｍサイズのシ
ート状アルミニウム板を用い、実施例１と同様にして脱
脂処理、研磨処理、アルカリエッチング処理、陽極酸化
処理、ケイ酸ナトリウム処理を行ったのち、感光液を塗
布し、乾燥してネガ型ＰＳ版材を作成した。

【００２９】次に、このＰＳ版材をダウンカットシャー
にて１０９９ｍｍ×４００ｍｍのサイズに裁断したの
ち、実施例１と同様にして画像形成露光、現像処理及び
ガム引き処理を行った。

【００３０】このようにして得られた版の端面付近を拡
大して観察したところ、陽極酸化皮膜にクラックが発生
していた。

【００３１】この版を用いて、実施例１と同様にして印
刷を行ったところ、印刷物の周辺部に直線状の汚れが発
生していた。

【００３２】実施例２コイル状の厚さ０．３ｍｍ、幅１２００ｍｍのアルミニ
ウム板をリン酸ナトリウム水溶液にて脱脂処理したの
ち、塩酸浴中で３Ａ／ｄｍ^２の電流密度で電解研磨し、
次いで、硫酸浴中にて陽極酸化処理して、その表面に陽
極酸化皮膜を形成させた。

【００３３】陽極酸化処理後、十分に水洗し、乾燥した
のち、このアルミニウム支持体上に、ナフトキノン‐
１，２‐ジアジド‐５‐スルホニルクロリドとピロガロ
ール‐アセトン樹脂とのエステル化物２．５ｇ、クレゾ
ール‐ホルムアルデヒド樹脂５ｇ、ｔ‐ブチルフェノー
ル‐ホルムアルデヒド樹脂０．１５ｇ、メチルエチルケ
トン４０ｇ及びシクロヘキサノン５０ｇから成る感光液
を、乾燥後の膜厚が２ｇ／ｍ^２となるように塗布し、次
いで１００℃で２分間乾燥してポジ型ＰＳ版材を作成し
た。

【００３４】次に、このようにして得られたＰＳ版材を
スリッターにて１０９９ｍｍ×４００ｍｍのサイズに裁
断し、その感光層に画像形成露光を施したのちＪＩＳ３
号ケイ酸ナトリウム５０ｇ、４０ｗｔ％水酸化カリウム
水溶液３０ｇ及び水１リットルから成る現像液で現像処
理を施し、次いで水洗してから、１４°ボーメアラビア
ガム水溶液を用いてガム引き処理を行った。

【００３５】この版の端面付近を拡大して観察したとこ
ろ、陽極酸化皮膜にクラックの発生はみられなかった。

【００３６】次に、この版を用い、輪転機リソピアにて
２万部印刷したところ、印刷物の周辺部に汚れの発生は
みられなかった。

【００３７】比較例２実施例２において、スリッターの代りに、ダウンカット
シャーを用いて、ポジ型ＰＳ版材を１０９９ｍｍ×４０
０ｍｍのサイズに裁断した以外は、実施例２と同様にし
て実施したところ、印刷物の周辺部に直線状の汚れが発
生した。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｇ０３Ｆ 7/022 7124−2Ｈ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】あらかじめ所望形状に裁断されたアルミ
ニウム支持体表面に、粗面化処理及び陽極酸化処理を順
次施したのち、感光層を設けたことを特徴とする該支持
体端面の内側へりの陽極酸化皮膜に、実質上クラックが
発生していない平版印刷版材。
【請求項２】アルミニウム支持体表面に、粗面化処理
及び陽極酸化処理を順次施し、次いでクラック発生を伴
わないカッターを用いて所望形状に裁断したのち、感光
層を設けたことを特徴とする該支持体端面の内側へりの
陽極酸化皮膜に実質上クラックが発生していない平版印
刷版材。
【請求項３】アルミニウム支持体表面に、粗面化処理
及び陽極酸化処理を順次施し、次いで感光層を設けたの
ち、クラック発生を伴わないカッターを用いて所望形状
に裁断したことを特徴とする該支持体端面の内側へりの
陽極酸化皮膜に実質上クラックが発生していない平版印
刷版材。
【請求項４】クラック発生を伴わないカッターがスリ
ッターである請求項２又は３記載の平版印刷版材。