JP2009000896A - 平版印刷版材料、アルミニウム支持体および平版印刷版材料の製造方法 - Google Patents

平版印刷版材料、アルミニウム支持体および平版印刷版材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、平版印刷版材料の製造時、製版作業時、印刷時に工程への汚染がなく作業が可能である、CTPに用いられる平版印刷版材料およびそれに用いられるアルミニウム支持体を提供することにある。
【解決手段】陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、親水性無機粒子を含有する親水性層を有し、該親水性層上に画像形成層を有する平版印刷版材料であって、前記陽極酸化皮膜の量の分布が、少なくとも1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版材料(以下単に、印刷版材料ともいう。)に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な感熱画像形成層を有する平版印刷版材料およびそれに用いられるアルミニウム支持体に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
プロセスレスCTPとしては、印刷機上で湿し水やインクを用いて画像形成層の非画像部を除去する、機上現像タイプが多く知られており、この例として例えば、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する画像形成層を設けた印刷版材料が挙げられる。
この構成においては、赤外線レーザー露光により画像形成層中の光熱変換素材が発熱し、熱可塑性微粒子を熱融着させることで耐水性を有する画像部とするが、アルミ砂目は熱伝導性が比較的良好であるため、画像形成層の露光部で生成した熱は、急速にアルミ砂目へと伝導する。
このため、特に画像部画像形成層とアルミ砂目との界面近傍の温度を上昇させることが困難となり、画像形成層素材のアルミ砂目への融着が進行しにくくなって、画像形成に要するエネルギーが高く(低感度)、また画像部の接着性も不十分(低耐刷)となりやすい。
上記の問題を解決する印刷版材料構成のひとつとして、光熱変換素材として光熱変換剤粒子を含有する親水性層を有する赤外線レーザー記録用の印刷版材料が種々検討されている。
例えば、このような光熱変換剤粒子を含有し、光熱変換剤を含有する親水性層上に、例えば上述の熱可塑性微粒子と水溶性素材とを含有するような感熱画像形成層を設けた構成の印刷版材料や、光熱変換剤を含有する親水性層上に疎水性の薄層を設けた構成の印刷版材料が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
これらの印刷版材料は、親水性層用の塗布液を塗布し、乾燥してその上に感熱画像形成層を設層している。また、アルミニウム支持体の上に親水性層を設け、その上に感熱画像形成層を設けた平版印刷版材料が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの印刷版材料においては親水性層の無機粒子成分が脱落しやすく印刷時、特に刷りだし時において、非画像部に汚れがでる場合がある、あるいは色濁りが発生する場合があるなど、印刷適性において充分なものではなかった。これらを改善すべく親水性層塗布後に表面の脱落しやすい粒子を磁力等を用いてクリーニングする技術が知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、この場合、印刷版表面からの脱落は防止できる反面、印刷版材料を所定のサイズに断裁する際に粉落ち(親水性層などの粒子の脱落)が生じ、これが印刷版作製時に画像再現性不良などの原因となる場合があった。
特開2000−225780号公報 特開2000−355178号公報 特開2005−88330号公報 特開2004−189439号公報
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平版印刷版材料の製造時、製版作業時、印刷時に工程への汚染がなく作業が可能である、CTPに用いられる平版印刷版材料およびそれに用いられるアルミニウム支持体を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、親水性無機粒子を含有する親水性層を有し、該親水性層上に画像形成層を有する平版印刷版材料であって、前記陽極酸化皮膜の量の分布が、少なくとも1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とする平版印刷版材料。
2.前記画像形成層が、感熱画像形成層であることを特徴とする1に記載の平版印刷版材料。
3.1または2に記載の平版印刷版材料に用いられるアルミニウム支持体であって、アルミニウム板上に陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の量の分布が、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とするアルミニウム支持体。
4.1に記載の平版印刷版材料を製造する製造方法であって、平版印刷版材料のアルミニウム支持体として3に記載のアルミニウム支持体を用いることを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
本発明によれば、平版印刷版材料の生産時に所定のサイズに断裁する際の粉落ちによる工程汚染、平版印刷版材料を印刷機に取り付ける際の印刷機汚染、および作業者の平版印刷版材料取り扱い時の汚れを著しく軽減する平版印刷版材料及びそれに用いられるアルミニウム支持体が提供できる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、親水性無機粒子を含有する親水性層を有し、該親水性層上に画像形成層を有する平版印刷版材料であって、前記陽極酸化皮膜の量の分布が、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とする。
本発明は、特にアルミニウム支持体の特定の端部の陽極酸化皮膜の量を制御することにより、平版印刷版材料の製造時、製版作業時、印刷時に工程への汚染がなく作業が可能である、CTPに用いられる平版印刷版材料およびそれに用いられる平版印刷版材料用の支持体が提供できる。
一般に画像様加熱により画像を形成するタイプの平版印刷版材料においては、親水性層中の光熱変換剤の含有比率が感度に影響し、高感度化のためには、光熱変換剤の含有比率を増加させる必要がある。
しかしながら、単に光熱変換剤の含有比率を増加させると、親水性層の塗膜としての結合強度が低下する場合があるなどの問題があった。
これは、親水性層中の光熱変換剤の含有比率が増加すると、光熱変換剤粒子を層中に保持固定する親水性バインダの比率が減少することになり、光熱変換剤の保持能力が低下するためと推定された。
光熱変換剤の脱落を抑制する方法としては、親水性バインダの架橋を制御して強度を向上させたり、光熱変換剤を表面処理してバインダとの結合力を向上させたりするなどして親水性層自体の塗膜強度を向上させることで光熱変換剤の保持能力を向上させることが考えられるが、この方法は親水性層の親水性の低下が大きい。
本発明者が鋭意検討した結果、親水性層成分の脱落を、陽極酸化皮膜の付量を特定の分布に調整することによって、製造、取り扱い、印刷工程での親水性層成分の粉落ちによる汚染を低減する平版印刷版材料を製造できることを見出し本発明に至ったものである。
(アルミニウム支持体)
本発明に係るアルミニウム支持体は、アルミニウム板であり、その厚みは50〜500μmであることが好ましい。
アルミニウム板としては、純アルミニウム板、およびアルミニウム合金板が用いられる アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウム支持体は、粗面化されていることが好ましい。アルミニウム支持体は、粗面化に先立ってアルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合には、燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
粗面化の前処理として、適度な処理量の化学的粗面化や機械的粗面化を適宜くみあわせた粗面化を行なってもかまわない。
化学的粗面化は脱脂処理と同様に苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いる。処理後には燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
機械的粗面化法は特に限定されないがブラシ研磨、ホーニング研磨を挙げることができる。ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛を植毛した円筒状ブラシを回転し、接触面に研磨材を水に分散させたスラリーを供給しながら、支持体表面に押しつけて粗面化を行なう。
ホーニング研磨では、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行なう。研磨材としては、火山灰、アルミナ、炭化珪素等の一般に研磨に使用されるものが挙げられ、その粒度は#200〜#2000、好ましくは#400〜#800である。
機械的に粗面化された支持体は、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑等を取り除いたり、ピット形状をコントロールする等のために、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。
上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましく、また、中和処理の次に陽極酸化処理を行なう場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
電気化学的粗面化は一般に酸性電解液中で交流電流を用いて粗面化を行なう。酸性電解液は通常電気化学的粗面化法に用いられるものが使用できるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましく、本発明での分割電解処理には塩酸系電解液を用いるのが特に好ましい。電解に使用する電源波形は、矩形波、台形波、のこぎり波等さまざまな波形を用いることができるが、特に正弦波が好ましい。硝酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2、好ましくは200〜1500C/dm2、より好ましくは200〜1000C/dm2である。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。塩酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2が更に好ましい。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
また、特開平10−869号に記載されているような、電気化学的粗面化を複数回に分割して行う方法も好ましく用いることができる。
電気化学的に粗面化された支持体は、表面のスマット等を取り除いたり、ピット形状をコントロールしたりする等のために、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に陽極酸化処理を行なう場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行なうことで、陽極酸化皮膜を形成する。
陽極酸化処理の方法には、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理により支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理には、硫酸および/または燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に米国特許第1、412、768号に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3、511、661号に記載されている燐酸を用いて電解する方法等を用いることができる。
陽極酸化処理されたアルミニウム支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行なうことができる。
(陽極酸化皮膜の付量分布の調整)
本発明においては、陽極酸化被膜の付き量分布が以下のような分布である。
平版印刷版材料の1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である。
本発明に用いられるアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の付量の分布を制御する手段として、処理時の電流密度を支持体端部のみ高くなる様に電極の配置を近づけたり、端部のみ複数回陽極酸化処理を行う方法が挙げられる。
本発明に係る平版印刷版材料は、矩形である。
本発明に係る、1辺の内側5%の領域Eとは、平版印刷版材料内の領域であって、1辺とこの1辺に平行な直線に囲まれた領域で平版印刷版材料の5%(面積)を占める領域である。
本発明に係る、領域Eを除く中心部90%の領域Cとは、平版印刷版材料内の領域であって、領域Eと、領域Eの辺と平行で平版印刷版材料を2分割する直線に対して線対象である領域E′、とを除いた領域をいう。
また、平均付き量Eaとは、領域Eを辺に沿って7等分し、1等分目、3等分目、5等分目、7等分目の4領域について付き量を測定したときの4点の平均値をいう。
平均付き量Caとは、領域Cを縦横各々、7等分する。縦の1等分目、3等分目、5等分目、7等分目の4領域に各々対応する、横の1等分目、3等分目、5等分目、7等分目の計16の領域について付き量を測定したときの16点の平均値をいう。
陽極酸化皮膜の付き量の測定は、下記のようにして行う。
陽極酸化を施した試料について、電子天秤で試料の質量を測定し、93℃に加熱した、リン酸クロム酸溶液に5分浸漬す。5分後に取り出し、純水で十分に水洗を行い表面を洗い流す。40℃に設定した乾燥機に20分放置して乾燥する。乾燥後の板の質量を測定し、質量変化から陽極酸化皮膜の付量を算出する。
(親水性層)
本発明の親水性層は、親水性無機粒子を含有する。
親水性無機粒子は、親水性層を印刷時に湿し水を保持する層となし得る無機物の粒子であり、親水性無機粒子としては、金属酸化物が好ましく用いられる。
金属酸化物としては、金属酸化物粒子の状態で用いるのが好ましい。
例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
この金属酸化物粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。
コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
親水性層は親水性無機粒子としてさらに多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂、糖類が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
上記の糖類としては、オリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
(光熱変換剤)
本発明に係る画像形成層としては、特に制限はないが、画像形成層が感熱画像形成層である場合が本発明の好ましい態様である。この場合、親水性層に光熱変換剤を含むことが好ましい。
光熱変換剤としては、色素、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられるが、上記の親水性粒子の機能をも備える金属酸化物、金属が好ましく用いられる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。
又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。
これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換剤のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。
したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
色素としては、下記のような化合物等を用いることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
光熱変換剤の添加量としては、親水性層に対して0.1〜90質量%であることが好ましいが、15質量%以上であることが好ましい。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
また、親水性層はリン酸塩を含むことができる。親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
親水性層を塗設するための親水性層用塗布液を支持体上に塗布する塗布方法としては、公知の塗布方法、例えばバー塗布、ロール塗布、押し出し塗布等、どのような塗布方法であっても用いることができる。
親水性層を塗布、乾燥する際の乾燥温度としては、70℃以上であることが好ましい。
乾燥時間としては1秒間〜5分間の範囲が好ましく、5〜2分間の範囲がより好ましい。また、乾燥温度と乾燥時間との組み合わせによっては、支持体に熱ダメージを与える可能性があるため、支持体が熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
(画像形成層)
本発明に係る画像形成層は、画像様の露光、加熱などにより画像を形成しうる層である。本発明においては、画像形成層は感熱画像形成層であることが好ましい態様である。
(感熱画像形成層)
感熱画像形成層は、露光部の画像形成層が熱によって親水性表面を有する支持体上から除去されやすくなる方向へと変化する、いわゆるポジ版であってもよいし、あるいは、露光部の画像形成層が熱によって除去されにくくなる方向へと変化する、いわゆるネガ版であってもよい。
本発明に係る平版印刷版材料の好ましい態様としては、露光部の画像形成層が熱によって親水性表面を有する支持体上から除去されにくくなる方向へと変化する、ネガ版タイプの平版印刷版材料である。
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する画像形成層としては、例えば、親水性層を熱により親水性層から疎水性へと変化させ得る疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する画像形成層を挙げることができる。
疎水化前駆体としては、例えば熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
本発明に係る画像形成層には、疎水化前駆体として、熱溶融性粒子および熱融着性粒子等の熱可塑性疎水性粒子などを好ましく用いることができる。
熱可塑性粒子としては、後述する熱溶融性粒子および熱融着性粒子を挙げることができる。
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、保存性、インク着肉性の面から、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は、現像性、解像度の面から、0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
画像形成層は水溶性素材を含んでもよく水溶性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
[オリゴ糖]
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
また、画像形成層には光熱変換素剤として、赤外線吸収色素を含有させることができる。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましい。
赤外線吸収色素の具体例としては公知のものが挙げられる。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
(支持体の作製)
厚さ0.24mmのシート状のアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行ない水洗した後、25℃の5質量%硝酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸11g/L、アルミを5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が80A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は8回に分割して行ない、一回の処理電気量(陽極時)を50C/dm2とし、合計で400C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた10質量%リン酸水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が0.65g/m2になるようにエッチングし、水洗した。
陽極酸化皮膜の形成1
次いで、20%硫酸水溶液中で、4A/dm2の電流密度で陽極酸化処理を行ない、陽極酸化皮膜を形成させた。
陽極酸化皮膜の形成2
次に、20%硫酸水溶液中の電極と支持体との間に、幅が支持体試料の90%の長さのアルミニウム板を中央に介在させ、それ以外は同様にして、支持体の陽極酸化皮膜の付量分布が最終的に表1の値となるように、陽極酸化処理を行ない、さらに水洗した。
予め、陽極酸化皮膜の量と、陽極酸化の条件(電流密度および処理時間)との関係を求めておき、概ね目的とする陽極酸化皮膜の量になる条件で行った。(陽極酸化皮膜量の測定は、下記のように行った。)
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、30℃に保たれた1質量%の3号ケイ酸Na水溶液に15秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、支持体1〜12を得た。また、各々支持体1〜12と全く同じ操作を行い、支持体1′〜12′を得た。
(陽極酸化皮膜付量の測定)
支持体1′について、陽極酸化皮膜の形成2で追加した辺の一方の辺を基に、前記の領域E、領域Cの部分から各々4領域、16領域を切り出して、測定試料とした。
測定試料について、電子天秤で試料の質量を測定した。次いで、93℃に加熱した、リン酸クロム酸溶液に5分浸漬した。次いで、5分後に取り出し、純水で十分に水洗を行い表面を洗い流した。次いで、40℃に設定した乾燥機に20分放置して乾燥した。次いで、乾燥後の板の質量を測定し、質量変化から陽極酸化皮膜の付量を算出した。同様にして、支持体2′〜12′についても陽極酸化皮膜の付き量を測定した。
(平版印刷版材料の作製)
支持体1〜12上に、下記組成の親水性層用塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が2.5g/m2となるように塗布し、110℃で3分間乾燥して、親水性層を有する基材1〜12を得た。
Figure 2009000896
(画像形成層用塗布液の調製)
下記組成の素材を十分に混合攪拌し、濾過して固形分10質量%の画像形成層(a)の塗布液を作製した。
基材1〜12上に、画像形成層(a)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.7g/m2となるように塗布し、55℃で1分間乾燥した。次いで、40℃24時間のエイジング処理を行って、平版印刷版材料1〜12を得た。
画像形成層(a)
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、軟化点65℃、融点80℃、140℃での溶融粘度8cps、固形分40質量%)
17部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20質量% 12部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 6部
光熱変換色素:ADS830WS(American Dye Source社製)の1質量%水溶液 55部
純水 10部
平版印刷版材料の断裁
エイジング処理後の平版印刷版材料の陽極酸化皮膜の付量分布のある1対の辺を含む様に、シート状の試料の両端(領域Eおよびそれと対向する辺)のそれぞれ5%の幅分を、カッティングマット上でエヌティー株式会社製カッターL−300RPを用いて断裁を行った。
(赤外線レーザーによる露光)
上記平版印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpiのラインアンドスペース細線画像および印刷版の四隅に位置確認用のトンボとを含むものである。トンボの位置は、画像端から3cmの位置に配置した。
印刷方法
K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各印刷版を、次いで小森コーポレーション(株)製リスロン426印刷機にてOKトップコート(王子製紙(株)製)、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティネオ墨、藍、紅、黄)を用いて9000枚/時の印刷速度で印刷を行った。印刷の順序はK→C→M→Yの刷り順で行った。
印刷版は、上記のカッターによる断裁方向と、印刷版胴の回転軸方向とが平行となるように取り付けた。
《評価方法》
[非画像部汚れの評価]
1)1000枚目の印刷物の端部から5mmの点、2)トンボから5mm外側の点、および、印刷物の中央部、の3箇所の濃度をX−Rite社製X−Rite520でvis濃度を10点測定し、その平均値の濃度と、印刷前の紙白の濃度との差を比較した。
○:濃度差が0.01未満
△:濃度が0.01以上、0.05未満
×:濃度が0.05以上
[断裁時の粉落ち(断裁による汚れ)]
断裁後のカッティングマット上の断裁部分を目視および、5倍ルーペで観察し、断裁による汚れを確認した。
○:粉落ちはルーペでも確認されない
△:目視では確認できないが、ルーペでわずかに観察される
×:目視で粉落ちが確認される
[印刷機汚染評価]
刷り出しから100枚終了後の各色ブランケットの両端部を観察した。
○:汚れの発生はみられず。
△:刷りだしから10枚目までの印刷用紙に黒い粉汚れが観察されたがブランケット汚れの発生は、みられず
×:ブランケットの両端に印刷インキと黒色粉が混ざった色のすじ状の汚れが付着
[露光機汚染の評価]
あらかじめ清掃を行ったPlateRite4300を用いて上記の試料の断裁辺側パンチされる様に向きを揃えてパンチ処理を40枚分行い、パンチかす受けおよび装置内のクリーニングローラーを、水を湿した白色ウエスでふき取り、汚れを確認した。
○:粉落ちに起因する汚れが目視で確認できなかった
×:黒色の粉汚れが付着した
結果を表2示した。(Ca、Eaの値は、基材1′〜基材12′の値を示した)
表2から、本発明の平版印刷版材料は、製造時、製版時、印刷工程における粉落ち汚染を発生することない、平版印刷版材料であり、非画像部に実害となる地汚れのない良好な印刷物を与えることが分かる。
Figure 2009000896

Claims (4)

  1. 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、親水性無機粒子を含有する親水性層を有し、該親水性層上に画像形成層を有する平版印刷版材料であって、前記陽極酸化皮膜の量の分布が、少なくとも1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 前記画像形成層が、感熱画像形成層であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
  3. 請求項1または2に記載の平版印刷版材料に用いられるアルミニウム支持体であって、アルミニウム板上に陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮膜の量の分布が、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが1.0g/m2〜3.0g/m2であり、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caが0.5g/m2〜2.0g/m2であり、1辺の内側5%の領域Eの陽極酸化皮膜の平均付量Eaが、領域Eを除く中心部90%の領域Cの陽極酸化皮膜の平均付量Caの1.5倍以上である分布であることを特徴とするアルミニウム支持体。
  4. 請求項1に記載の平版印刷版材料を製造する製造方法であって、平版印刷版材料のアルミニウム支持体として請求項3に記載のアルミニウム支持体を用いることを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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