JP2005231231A - 印刷版材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は機上現像可能であり、機上現像性に優れ、傷による汚れ(スクラッチ汚れ)防止性に優れ、耐刷性に優れた印刷版材料を提供することである。
【解決手段】 基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し、この機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有するものとして、汎用タイプのサーマルプロセスレスプレートが求められている。
サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有する赤外線レーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて、アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、露光装置には特別な吸引装置が必要となる場合があり、露光装置に対する汎用性は低い。
一方、アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり、かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば、特許2938397号、特許2938397号、特開2001−143815号に開示されているような、感熱画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性高分子化合物の結合剤とを用いた、印刷機上で湿し水またはインクを用いて現像することが可能なCTP用印刷版材料が挙げられる。
このようなタイプの印刷版材料において、印刷適性、耐刷力等の改良を目的として、特定の融点を持つ熱溶融性物質を含有する画像形成層を有する印刷版材料(例えば特許文献1参照。)、あるい熱で溶融する素材を含有する画像形成層と、多孔質無機粒子を含有する光熱変換機能を有する親水性層とを用いる印刷版材料(例えば特許文献2参照。)が知られている。
しかしながらこのような機上現像CTP用印刷版材料において、機上現像の際、印刷初期の損紙の発生量が増える場合がある、製版の作業中に受けるキズなどによる汚れを生ずる場合がある(所謂、スクラッチ汚れ)等の問題があった。
又近年、サーマルプロセスレスCTPにおいても、耐刷性の向上が望まれており、さらに高い耐刷性が必要になってきている現状では、上記印刷版材料は耐刷性が不充分であった。
特開2001−200059号公報
特開2000−225780号公報
本発明の目的は機上現像可能であり、機上現像性に優れ、傷による汚れ(スクラッチ汚れ)防止性に優れ、耐刷性に優れた印刷版材料を提供することである。
本発明の上記目的は、下記手段により達成される。
(請求項1)
基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする印刷版材料。
基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
前記熱溶融性微粒子がポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
前記熱溶融性微粒子がポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
(請求項3)
前記画像形成層が水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
前記画像形成層が水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
前記隣接層が親水性層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
前記隣接層が親水性層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
(請求項5)
前記親水性層上に前記画像形成層を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷版材料。
前記親水性層上に前記画像形成層を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷版材料。
本発明の構成により機上現像可能であり、印刷開始時の損紙が低減され、傷による汚れ(スクラッチ汚れ)防止性に優れ、耐刷性に優れた印刷版材料が提供できる。
本発明は、基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機微粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする。
特に、特定の溶融粘度を有する熱溶融性微粒子を含有し無機の微粒子を実質的に含有しない画像形成層及びそれに隣接する隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする。
本発明においては、上記隣接層が親水性層であり、基材上に基材/親水性層/画像形成層の順で有する態様が好ましい態様である。
(画像形成層)
本発明に用いられる熱溶融性微粒子は150℃に加熱され溶融した際の粘度が200〜5000mPa・sの範囲にあることが耐刷性、機上現像性の面から必要である。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子は150℃に加熱され溶融した際の粘度が200〜5000mPa・sの範囲にあることが耐刷性、機上現像性の面から必要である。
上記の粘度は市販のB型粘度計(例えば東機産業株式会社製B型粘度計(BL型、BM型、BH型等))を用いて測定できる。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子の融点は保存性、インキ着肉性の面から60℃〜300℃であることが好ましい。
熱溶融性微粒子の素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも特にポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのワックスまたは樹脂物が耐刷力、機上現像性の点で好ましい。
これらの素材は加熱時の熱応答性に優れており、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は機上現像性、地汚れ、解像度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
画像形成層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
画像形成層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜99質量%が好ましく、30〜97質量%がさらに好ましい。
本発明における画像形成層は、無機粒子を実質的に含有しない。
実質的に含有しないとは無機粒子の含有量が、画像形成層を構成する組成物の全質量に対して質量比が5%以下のことをいう。
ここでの無機粒子とは、後述の親水層で例示される金属酸化物などが挙げられる。その他、露光時の熱で質量や相変化の生じない無機化合物は出来るだけ含有されないことが好ましく、粒子径が10nmを超えるものはその粒径が大きいほど耐刷性等に悪影響を及ぼす。
また、本発明の画像形成層においては、後述の光熱変換材を実質的に含有していない態様が、熱溶融性微粒子の含有量確保、画像形成層と隣接する層との熱溶融後の密着性の面で好ましく、感度、耐刷性、印刷時の水・インキ供給バランスの調整等の印刷適性に優れている。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
本発明に用いられる画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
本発明に用いられる画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。ただし、素材Aとポリカルボン酸とを併用した場合はゲル化するため、素材Aと併用する場合はオリゴ糖を用いることが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
本発明の画像形成層は、前記の熱溶融性微粒子と水溶性樹脂とを含むことが機上現像性、耐刷性の面で特に好ましい。
熱溶融性微粒子と共に含有される水溶性樹脂は、熱溶融性微粒子に対して、0.1質量%〜99質量%の範囲が好ましく、特に0.5質量%〜80質量%の範囲が好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができる。さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
(基材)
本発明の印刷版材料の基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
本発明の印刷版材料の基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。
陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に用いる基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
(親水性層)
本発明の印刷版材料は画像形成層と隣接するように親水性層を設けることが好ましく、この場合光熱変換材を含む態様が好ましい。また基材上に親水性層を有しさらにその上に画像形成層を有することが好ましい。
本発明の印刷版材料は画像形成層と隣接するように親水性層を設けることが好ましく、この場合光熱変換材を含む態様が好ましい。また基材上に親水性層を有しさらにその上に画像形成層を有することが好ましい。
親水性層に用いられる親水性素材としては、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
・多孔質シリカ多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
・多孔質シリカ多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。この効果は多糖類である素材Aも有しているものである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。
表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
また、本発明の親水性層を設ける場合、親水性用の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することが好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
本発明の好ましい態様として、親水性層には後述の光熱変換素材を含有させることができる。
(光熱変換材)
本発明に用いられる光熱変換材は、画像露光により画像を形成し得るものであり、光熱変換材としては下記のような色素、顔料など挙げることができる。
本発明に用いられる光熱変換材は、画像露光により画像を形成し得るものであり、光熱変換材としては下記のような色素、顔料など挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe3O4)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
本発明の印刷版材料の好ましい態様としては、親水性層上に画像形成層を設け、画像形成層以外の基材上の構成層のいずれかに、光熱変換素材を含有する印刷版材料である。
画像形成層に熱溶融性微粒子を用い、隣接する層に光熱変換材を含有する層を有することで、印刷機上で湿し水もしくはインクを用いて除去可能な構成になり機上現像可能な印刷版材料とすることができる。
[保護層]
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。
保護層に用いる素材としては、素材Aや、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。
また、特開2002−019318号や特開2002−086948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。
保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
[画像形成−機上現像方法]
本発明の印刷版材料を用いて印刷版を作製するための画像形成は画像露光での加熱により行われる。露光方法として特にレーザーによる露光を用い、レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が非画像部となり印刷機上で除去される態様が好ましい。
本発明の印刷版材料を用いて印刷版を作製するための画像形成は画像露光での加熱により行われる。露光方法として特にレーザーによる露光を用い、レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が非画像部となり印刷機上で除去される態様が好ましい。
本発明の印刷版材料を用いて印刷版を作製するために用いられる露光に関し、より具体的には、赤外および/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明を用いての画像形成に好適な露光装置としては、レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
本発明の画像形成層は機上現像可能な層である。機上現像可能な層とは、熱により画像形成後、印刷装置上で湿し水または湿し水と印刷インキを用いて非画像部を除去することが可能な層であり、いわゆる現像工程を印刷装置上で行うことができる層である。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2) 印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
実施例1
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1質量%のリン酸二水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。基材1のRaは460nmであった(WYKO社製RSTPlusを使用し、40倍で測定した)。
(印刷版材料の作製)
(印刷版材料1の作製)
下記組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層(1)の塗布液を作製した。
(印刷版材料1の作製)
下記組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層(1)の塗布液を作製した。
基材1の下引き面A上に親水性層(1)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥した。次いで、60℃72時間のエイジング処理を行った。
親水性層(1)塗布液組成(表中の数字は質量部を表す)
次に、下記組成の素材を十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分10質量%の画像形成層(1)の塗布液を得た。次いで、親水性層上に、画像形成層(1)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が0.6g/m2となるように塗布し、55℃で3分間乾燥した。次いで、40℃24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料1を得た。表中の質量部比は乾燥後の固形分中の質量比率を表す。
画像形成層(1)塗布液組成
(印刷版材料2〜9の作製)
画像形成層(1)塗布液組成のポリエチレンエマルジョンを表3に示すポリエチレンエマルジョンに変更した以外は印刷版材料1と同様にして、印刷版材料2〜9を得た。
画像形成層(1)塗布液組成のポリエチレンエマルジョンを表3に示すポリエチレンエマルジョンに変更した以外は印刷版材料1と同様にして、印刷版材料2〜9を得た。
(赤外線レーザー露光による画像形成)
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを300mJ/cm2として、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを300mJ/cm2として、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
(印刷方法)
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
(印刷評価)
[機上現像性]
各印刷版材料について、刷り出しから何枚目の印刷で機上現像が終了するか求めた。機上現像終了の指標は、印刷物上で非画像部の汚れがなく、かつ、ベタ画像部の濃度が1.6以上(MacbethRD918を用いてMのモードで測定し)であり、かつ、95%の網点画像が開いていることとした。
[機上現像性]
各印刷版材料について、刷り出しから何枚目の印刷で機上現像が終了するか求めた。機上現像終了の指標は、印刷物上で非画像部の汚れがなく、かつ、ベタ画像部の濃度が1.6以上(MacbethRD918を用いてMのモードで測定し)であり、かつ、95%の網点画像が開いていることとした。
[スクラッチ汚れ評価]
露光後、印刷前の各印刷版材料の非画像部に、HEIDON試験機で触針として0.3mmφのサファイアを用いて荷重を変化させてスクラッチ傷を付けた。荷重は25gから25g刻みで150gまで変化させた。印刷評価での刷り出しから100枚目の印刷物で、スクラッチ傷が汚れとして確認できない最大荷重を測定した。
露光後、印刷前の各印刷版材料の非画像部に、HEIDON試験機で触針として0.3mmφのサファイアを用いて荷重を変化させてスクラッチ傷を付けた。荷重は25gから25g刻みで150gまで変化させた。印刷評価での刷り出しから100枚目の印刷物で、スクラッチ傷が汚れとして確認できない最大荷重を測定した。
[耐刷性評価]
3%網点画像が欠け始めた時点の印刷枚数を画像部耐刷性の指標とした。
3%網点画像が欠け始めた時点の印刷枚数を画像部耐刷性の指標とした。
結果を表3に示した。表3から、本発明の印刷版材料は必要な損紙の枚数が少なく良好な機上現像性を有しかつスクラッチ汚れ防止性、耐刷性に優れていることがわかる。
実施例2
[印刷版材料10]
実施例1の印刷版材料4の画像形成層(1)塗布液組成下記の画像形成層(10)塗布液組成組成に変更した以外は同様にして印刷を行った。又下記の評価を付け加えた。
[印刷版材料10]
実施例1の印刷版材料4の画像形成層(1)塗布液組成下記の画像形成層(10)塗布液組成組成に変更した以外は同様にして印刷を行った。又下記の評価を付け加えた。
[地汚れ評価]
刷り出しから100枚目、2500枚目、以降2500枚ごとに20000枚目まで印刷物をサンプリングし、非画像部の地汚れの程度を評価し、刷りだし時の画像品質評価の指標とした。なお、表中の記号は下記の評価結果を示している。
刷り出しから100枚目、2500枚目、以降2500枚ごとに20000枚目まで印刷物をサンプリングし、非画像部の地汚れの程度を評価し、刷りだし時の画像品質評価の指標とした。なお、表中の記号は下記の評価結果を示している。
○:地汚れなし△:わずかに地汚れあり×:地汚れあり
画像形成層(10)塗布液組成
結果を表5に示す。
画像形成層(10)塗布液組成
結果を表5に示す。
実施例3(比較例)
(基材2の作製)
実施例1における基材1を、けい酸ナトリウム溶液3号(昭和化学株式会社製)を固形分濃度0.1質量%の水溶液とし、70℃に液温を保った浴中に、攪拌しながら30秒浸漬処理後、水洗、乾燥して基材2を作製した。
(基材2の作製)
実施例1における基材1を、けい酸ナトリウム溶液3号(昭和化学株式会社製)を固形分濃度0.1質量%の水溶液とし、70℃に液温を保った浴中に、攪拌しながら30秒浸漬処理後、水洗、乾燥して基材2を作製した。
[印刷版材料11]
画像形成層(4)塗布液を下記組成の画像形成層(11)塗布液に変えた以外は印刷版材料1と同様にして、印刷版材料11を得た。実施例2と同様の評価を行った。
画像形成層(4)塗布液を下記組成の画像形成層(11)塗布液に変えた以外は印刷版材料1と同様にして、印刷版材料11を得た。実施例2と同様の評価を行った。
結果を表5に示す。
画像形成層(11)塗布液組成
実施例4(比較例)
[印刷版材料12]
実施例1の印刷版材料1の画像形成層(1)塗布液組成を下記の組成に変更した以外は同様にして印刷を行い、実施例3と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
[印刷版材料12]
実施例1の印刷版材料1の画像形成層(1)塗布液組成を下記の組成に変更した以外は同様にして印刷を行い、実施例3と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
画像形成層(12)塗布液組成
表5から、光熱変換機能を有する層を画像形成層とは別層に有する本発明の印刷版材料は、必要な損紙の枚数が少なく良好な機上現像性を有しかつスクラッチ汚れ防止性、耐刷性に優れていることが分かる。さらに本発明の印刷版材料は画像形成層が熱溶融性微粒子と水溶性樹脂を含有する場合特に優れており、また画像形成層に無機粒子を含有するものに比較して必要な損紙の枚数が少なくまた刷りだし時の画像品質が良好であり機上現像性に優れ、かつスクラッチ汚れ防止性、耐刷性に優れていることが分かる。
Claims (5)
- 基材上に画像形成層及び該画像形成層に隣接する隣接層を有する印刷版材料おいて該画像形成層が150℃における溶融粘度200〜5000mPa・sである熱溶融性微粒子を含有しかつ無機粒子を実質的に含有せず、該隣接層が光熱変換材を含有することを特徴とする印刷版材料。
- 前記熱溶融性微粒子がポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
- 前記画像形成層が水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
- 前記隣接層が親水性層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
- 前記親水性層上に前記画像形成層を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷版材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004044376A JP2005231231A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 印刷版材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004044376A JP2005231231A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 印刷版材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005231231A true JP2005231231A (ja) | 2005-09-02 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005231231A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7955785B2 (en) * | 2003-09-17 | 2011-06-07 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Method for forming fine concavo-convex patterns, method for producing optical diffraction structure, and method for copying optical diffraction structure |
-
2004
- 2004-02-20 JP JP2004044376A patent/JP2005231231A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7955785B2 (en) * | 2003-09-17 | 2011-06-07 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Method for forming fine concavo-convex patterns, method for producing optical diffraction structure, and method for copying optical diffraction structure |
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