JP2005225022A - 印刷版材料及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、印刷時の地汚れがなく、スクラッチ汚れ耐性に優れかつ耐刷性に優れるCTP方式用の印刷版材料を提供することにある。
【解決手段】 基材上に親水性層を有する印刷版材料において、該親水性層が酸化銅(CuO)からなる粒子を含有し、かつ該基材の該親水性層または該親水性層の隣接層に還元剤を含有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料及び画像形成方法に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し、この機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有するものとして、汎用タイプのプロセスレスプレートが求められている。
サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有する赤外線レーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて、アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、露光装置には特別な吸引装置が必要となる場合があり、露光装置に対する汎用性は低い。
一方、アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり、かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば、特許2938397号や特許2938397号に開示されているような、感熱画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性高分子化合物の結合剤とを用いた、印刷機上で湿し水またはインクを用いて現像することが可能なCTP用印刷版材料が挙げられる。
一般的に、上記のような感熱画像形成層には、光熱変換素材(一般的には可視光にも着色している)を画像形成層に添加する必要があり、機上現像した際に湿し水またはインクに光熱変換素材が含有され、印刷機を汚染する懸念がある。
そこで、機上現像した際の印刷の汚染をなくす方法としては、親水性層として、光熱変換素材を含有した親水性層を形成したものを使用する方法も検討されている。この親水性層を用いることで、画像形成層からは実質的に光熱変換素材を除くことが可能となる。また、高感度化への対応も親水性層への光熱変換素材の含有量を増加させたり、画像形成層へ微量の光熱変換素材を含有させたりすることで行なうことができるため、印刷機汚染の懸念なしに高感度化を行なうことができる。
そして、これらのCTP用の印刷版材料の親水性層として、親水性層の機能を向上させる目的で、例えば印刷性能および画像保持機能を向上させるために、光熱変換素材以外に粒子径1.0μm以下の多孔質無機フィラーを含有した親水性層や(例えば特許文献1参照。)、複数種の凹凸形成無機フィラーを含有し、多孔質度の高い無機バインダを結合剤とした親水性層(例えば特許文献2参照。)が提案されており、これらの親水性層に光熱変換素材を含むことが知られている。
また、耐刷性、印刷汚れ防止を改善するために、表面が親水性である光熱変換性の微粒子を含有し、熱の作用により疎水性となる画像記録層を基板上に設けた印刷版用材料が知られている(たとえば特許文献3参照。)
他方、CTP用印刷版材料のプロセスレスプレートに領域において、さらに感度が高く印刷性能が良好な印刷版材料が求められてる。
しかしながら、上記のような親水性層を用いても、感度、耐刷性を含めた印刷性能を両立させるには困難であった。
さらに、機上現像可能なCTP用印刷版材料では一般に印刷版材料の表面に対するスクラッチ等によるこすり跡が機上現像不能となって、印刷物上に汚れとして現れる場合があり、この改良が求められていた。
特開2000−225780号公報 特開2002−370465号公報 特開2000−335131号公報
本発明の目的は、印刷時の地汚れがなく、スクラッチ汚れ耐性に優れかつ耐刷性に優れるCTP方式用の印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(請求項1)
基材上に親水性層を有する印刷版材料において、該親水性層が酸化銅(CuO)からなる粒子を含有し、かつ該基材の該親水性層または該親水性層の隣接層に還元剤を含有することを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
前記酸化銅(CuO)粒子の平均粒子径が0.01μm〜1μmであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
(請求項3)
前記基材の親水性層側に光熱変換素材を含有する層を有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
前記光熱変換素材を含有する層が前記親水性層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
(請求項5)
請求項1乃至4に記載の印刷版材料を画像様に加熱し、前記酸化銅(CuO)の少なくとも一部を金属銅に還元して、加熱部を画像部として形成することを特徴とする画像形成方法。
(請求項6)
前記加熱の手段が赤外線レーザー露光であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
(請求項7)
基材上に酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層および熱可塑性親油性素材を含有する構成層とを有する画像形成材料を画像様に加熱し、画像様に疎水性領域を形成した後に、画像形成材料表面を還元剤を含有する水溶液に接触させ、該酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層の加熱した領域以外の構成層の酸化銅(CuO)の少なくとも一部を銅に還元することを特徴とする画像形成方法。
(請求項8)
前記加熱が赤外線レーザー露光によるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
本発明の構成により、印刷時の地汚れがなく、スクラッチ汚れ耐性に優れかつ耐刷性に優れるCTP方式用の印刷版材料が提供できる。
本発明の印刷版材料は、基材上に親水性層を有し、この親水性層が酸化銅(CuO)からなる粒子を含有し、かつこの親水性層またはこの親水性層の隣接層に還元剤を含有することを特徴とする印刷版材料。
本発明の印刷版材料は、親水性層中の酸化銅(CuO)からなる粒子(酸化銅粒子)が画像様に選択的に還元されて金属銅となることで、親水性層に画像様にインク着肉性を付与し、印刷版として用いることができる。
親水性層中の酸化銅(CuO)粒子の画像様の還元は、画像様の加熱により行うことができる。
加熱の方法は、サーマルヘッドなどの熱源により直接加熱する方法やレーザー光などの露光により発生した熱で加熱する方法があるが、本発明においては、レーザー露光により加熱する方法が好ましく用いられる。
本発明に用いられる印刷版材料について説明する。
[親水性層]
本発明の親水性層は、親水性物質の一つとして酸化銅(CuO)粒子を含む。
親水性層に含まれる酸化銅(CuO)粒子の平均粒子径は、還元の効率及び親水性層用塗布液の調整し易さなどの観点から0.01μm〜1μmであることが好ましい。
ここで平均粒子径とは、SEM観察で得られた粒子画像の投影面積を円換算した際の円の直径をその粒子の粒径とし、各粒子の粒径を平均したものをいう。
親水性層に含まれる酸化銅粒子の含有量は、画像の識別性の面で、5質量%〜95質量%が好ましく、特に10質量%〜80質量%が好まい。
親水性層に用いることのできる素材は下記のような素材である。
[金属酸化物微粒子]
金属酸化物微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒子径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒子径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒子径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒子径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
[多孔質化材]
本発明の親水性層には、多孔質化材として、ネックレス状コロイダルシリカや多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。ただし、本発明の親水性層は層の多孔質度が低くても画像保持性が良好であるため、これらの多孔質化材の含有量は親水性層の0〜30質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
また、その他の多孔質化材として、多孔質金属酸化物粒子を含有させることもできる。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
粒子径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
[粗大突起形成粒子]
本発明の親水性層には粗大突起形成粒子として、粒子径が1μm以上の無機もしくは無機素材で被覆された粒子を含有させることができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
上記の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子やゼオライト粒子といった多孔質金属酸化物粒子は、粗大突起形成粒子としても好ましく使用できる。
無機素材で被覆された粒子としては、例えばPMMAやポリスチレンといった有機粒子の芯材を芯材粒子よりも粒子径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒子径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
さらに、本発明の親水性層には粗大突起形成粒子として、粒子径が1μm以上の親水性有機粒子を含有させることができる。親水性有機粒子としては、例えば、アルギン酸Ca粒子やキトサン粒子を挙げることができる。
これらの粗大突起形成粒子の粒子径は1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2μm〜6μmがさらに好ましい。
粒子径が10μmを超えると、画像形成の解像度の低下や、ブランケット汚れの劣化が生じる懸念がある。
[層状粘土鉱物粒子]
また、本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として、層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒子径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒子径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒子径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒子径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。
また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲をはずれると、引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、柔軟性が不充分となり、同様に引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作成した後、塗布液に添加することが好ましい。
[その他の素材]
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、親水性層には水溶性樹脂もしくは水分散性樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
また、本発明の親水性層の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
(還元剤)
本発明の印刷版材料は親水性層又はその隣接層に還元剤を含む層を有するが、特に親水性層に含む場合が好ましい態様である。
還元剤は、印刷版材料への画像様加熱により酸化銅を還元し得るものであれば特に制限はなく、例えば、加熱により炭素や水素を発生する素材を好ましく用いることができる。
これらのうちでも特にグルコース(加熱で炭素を生成)や分解してグルコースを生じる還元性のオリゴ糖(マルトース等)や多糖(デンプン等)を用いることが好ましい。
エリソルビン酸Naも好ましく用いることができる。
還元剤を親水性層に含む場合、含有量は0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%が特に好ましい。
又隣接層に含む場合、含有量は0.1質量%〜100質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%が特に好ましい。
還元剤を含有する層には、還元剤を担持するバインダーを含むことができるが、還元剤が製膜性を有する場合には、特に必要はない。
バインダーとしては、上述の水溶性樹脂や水分散性樹脂などが挙げられる。
(光熱変換素材)
本発明の印刷版材料の好ましい態様としては、基材上のいずれかの構成層に光熱変換素材を含有する印刷版材料が挙げられる。
光熱変換素材を含有させることで、酸化銅(CuO)粒子の還元を、後述する赤外線レーザー露光によって生じる熱で行なうことができるようになる。
光熱変換素材としては、下記のような色素、顔料等を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
また、本発明に用いられる酸化銅(CuO)も概略黒色を呈しており、光熱変換素材を兼ねることも可能である。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
[基材]
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。
また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。
また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に用いる基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的や、導電性を制御する目的等で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
本発明の印刷版材料には、印刷時の画像部のインク着肉性を補助する目的で、親水性層上に親油化素材を含有する機上現像性の画像形成層を設けてもよい。
親油化素材としては、親油性熱可塑性粒子、もしくは、親油性物質を内包するマイクロカプセルを用いることが好ましい。
親油性熱可塑性粒子としては、後述する熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明の熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
又、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
[マイクロカプセル]
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている親油性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
マイクロカプセルの含有量は画像形成層全体の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセル その製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著 / 三共出版株式会社発行)に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を用いることができる。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
水溶性樹脂としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
また、画像形成層には赤外線吸収色素を含有させることができる。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
赤外線吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
[機上現像方法]
本発明の印刷版材料は、機上現像性を有する印刷版材料である場合に特に効果が大きい。機上現像性を有するとは、印刷版材料を画像露光後特に現像工程を経ることなく、印刷機に印刷版材料を装着し、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させることによりインキ着肉部である画像部とインキを着肉しない非画像部とが形成可能なことをいう。本発明の印刷版材料では、画像露光後、機上での現像操作を経ることなく印刷することもできる。
印刷の操作としては、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行なうことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
本発明のもう一つの態様を以下に説明する。
本発明は、基材上に酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層および熱可塑性親油性素材を含有する構成層とを有する画像形成材料を画像様に加熱し、画像様に疎水性領域を形成した後に、画像形成材料表面を還元剤を含有する水溶液に接触させ、該酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層の加熱した領域以外の構成層の酸化銅(CuO)の少なくとも一部を銅に還元することを特徴とする画像形成方法である。
特に、酸化銅粒子を含有する層の加熱された部分を疎水性領域として形成し、それ以外の領域の酸化銅を還元剤を含む水溶液で銅に還元して画像部とするものである。
本発明においても、好ましい態様としては、画像形成材料が光熱変換素材を含む層を有することが好ましく、画像形成材料を画像様に加熱する手段が赤外線レーザー露光である画像形成方法が好ましく用いられる。
また、基材上に酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層と熱可塑性親油性素材を含有する構成層とは、同一層であることが好ましい。
酸化銅粒子の構成層中の含有量は、10質量%から90質量%が好ましく30質量%から80質量%が特に好ましい。
粒径については、前記態様と同様平均粒径が、還元の効率及び構成層用塗布液の調整し易さなどの観点から0.01μm〜1μmであることが好ましい。
本発明の画像形成方法においては、加熱部分は酸化銅は、還元されないか、還元されても目視では判別できない程度のわずかであることが好ましく、これは酸化銅を含有するする層に還元剤を含有させず、還元剤を含有する水溶液に接触する時にのみ還元剤を用いることにより達成される。
酸化銅粒子を含有する層には、前記の親水性層に用いられる素材を用いることができる。又光熱変換素材およびこれを含む層、基材についても前記態様と同様の用いることができる。
本発明においては、画像形成に必要なエネルギー、例えば赤外線レーザーによる露光エネルギーは、熱可塑性親油性素材を溶融して、水反撥領域を形成するために必要なエネルギーのみでよく、低エネルギーで画像形成が可能となるため、感度の高い画像形成方法とすることが可能となる。
本発明に用いられる熱可塑性親油性素材としては、上述の画像形成層に用いられる親油化剤を好ましく用いることができる。
本発明に用いられる還元剤を含有する水溶液としては、酸化銅を還元できる水系溶液であればどのようなものでも用いることができるが、例えば公知のジメチルアミノボランを含有する水溶液を用いることができる。また、特表2000−513410号に記載のモルホリンボラン、エチレンジアミンボラン、エチレンジアミンビスボラン、t−ブチルアミンボラン、ピペラジンボラン、イミダゾールボラン、メトキシエチルアミンボラン等を含有する水溶液を用いることもできる。これら還元剤の含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。また、水以外の溶媒としては、例えばアルコールを含有させることができる。
還元剤を含有する水系溶液を用いた処理時の温度は、5〜90℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。還元剤を含有する水系溶液のpHは5〜13が好ましい。
処理時間としては、酸化銅の還元の程度に合わせて適宜調整することができるが、1〜600秒程度とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(基材1の作製)
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。
また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、しそれぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
塗布後の25℃、相対湿度25%での表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材2を得た。
《下引き塗布液a》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
Figure 2005225022
《下引き塗布液c》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》;
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2005225022
(基材2の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は10回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を60C/dm2とし、合計で600C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた0.5質量%のリン酸水素2Na水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材2を得た。基材2の表面粗さはRaで0.7μmであった。
[表面粗さの測定方法]
試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RSTplusを用いて、20倍の条件(222.4μmx299.4μmの測定範囲)で測定し、傾き補正およびMedianSmoothingのフィルターをかけて測定データを処理してRa値を求めた。測定は一試料について測定箇所を変えて5回行ない、その平均を求めてRa値とした。
(実施例1)
親水性層1塗布液の作製
酸化銅(CuO)微粒子(ケミライト社製、平均粒子径0.6μm):15質量部、コロイダルシリカ:スノーテックスXS(日産化学社製、固形分20質量%):74.25質量部、10質量%リン酸三Na水溶液:1.5質量部、純水:9.25質量部を、ホモジナイザで5000rpm、5分間の条件で混合攪拌し、ろ過して、固形分30質量%の親水性層1の塗布液を作成した。
親水性層2塗布液の作成(比較)
親水性層1塗布液の酸化銅(CuO)微粒子を、黒色酸化鉄微粒子:BL200(チタン工業社製、平均粒子径0.2μm)に変えた以外は親水性層1塗布液と同様にして、親水性層2の塗布液を作成した。
印刷版材料1の作成
基材として基材2を用い、基材上に親水性層1塗布液を乾燥付き量が5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布して120℃で1分間乾燥した。親水性層は灰黒色の外観を呈していた。次いで、親水性層上に10質量%グルコース水溶液を乾燥付き量が1.5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、70℃で3分間乾燥して、印刷版材料1を得た。
印刷版材料2の作製
親水性層1塗布液を親水性層2塗布液に変えた以外は印刷版材料1と同様にして、印刷版材料2を得た。
印刷版材料3の作成
グルコース水溶液をカルナバワックス分散液:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm)とグルコースとを固形分比で7/3の質量比率で含有する10質量%の水系塗布液とした以外は印刷版材料2と同様にして、印刷版材料3を得た。
(画像形成およびインク着肉性の確認)
印刷版材料1の一部をヒーターで200℃に加熱したところ、加熱部分が赤色に変化し、金属銅に還元されたことが確認できた。
印刷版材料を室温に冷却した後、加熱しなかった部分の印刷版材料表面に0.8mmφのサファイア触針を用いて、300gの荷重でスクラッチ跡をつけた。
次に、版面全面に純水を含ませたスポンジで薄く均一に水を付与し、次いで、不織布を用いて印刷インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を版面全面に薄く均一に塗布した。
次に、版面全面を純水を含ませたスポンジでこすると、加熱されていない部分の版面からはインクが除去され、加熱部分(金属銅に還元された部分)にのみインクが着肉することが確認できた。
また、スクラッチ跡の部分にはインク着肉は全く見られなかった。
印刷版材料2に対しても印刷版材料1と同様の画像形成を行ったが、加熱部分に特に変化は見られなかった。また、加熱部およびスクラッチ跡にインク着肉性も見られなかった。
印刷版材料3に対しても印刷版材料1と同様の画像形成を行った。加熱部分は上層のカルナバワックス粒子が溶融して、未加熱の部分よりも上層の透明度が増加して、加熱部分が明瞭に識別できた。
加熱部分のインク着肉性も見られた。スクラッチ跡にも明瞭なインク着肉が見られた。
このように、本発明の印刷版材料は加熱によってインク着肉性の画像が得られることがわかる。
また、構成層に親油性素材を実質的に含まない状態で画像形成が可能であるため、耐スクラッチ汚れ性が非常に高い印刷版材料として用いることができる。
(実施例2)
親水性層4〜8塗布液の作製
下表の各素材をホモジナイザで5000rpm、5分間の条件で混合分散し、濾過して、固形分25質量%の親水性層4〜8塗布液を作成した。
親水性層塗布液組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
Figure 2005225022
印刷版材料の作成
基材として基材1を用い、表2に示した組み合わせで基材上に親水性層をワイヤーバーで塗布し(乾燥付き量で5g/m2)、さらに特定サンプルにおいては親水性層の上にさらに表2に示した上層をワイヤーバー塗布した(乾燥付き量1g/m2)。
親水性層4〜7は塗布後、120℃、2分間の乾燥を行った。親水性層8は塗布後、55℃、3分間の乾燥を行った。上層は55℃、3分間の乾燥を行った。構成層の塗布形成の後、55℃、48時間のエイジング処理を行なって、印刷版材料4〜10を得た。
赤外線レーザー方式による画像形成
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光エネルギーは400mJ/m2とした。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のラインアンドスペース細線画像とを含むものである。
印刷方法
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用して1000枚までの印刷を行なった。
露光後の印刷版材料をそのまま版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて印刷を行なった。湿し水供給量を示すデジタル値の値は40であった。
次いで、印刷用紙を上質紙(しらおい)に変えて、20000枚までの印刷を行なった。
印刷評価
[地汚れ評価]
印刷1000枚目の印刷物の非画像部の目視観察で、地汚れの程度を評価した。地汚れが全く確認できないものを○、わずかに地汚れが確認できるものを△、はっきりと汚れが確認できるものを×とした。
[スクラッチ跡汚れ評価]
露光後の印刷版材料の非画像部領域に爪でスクラッチ跡をつけた。スクラッチ跡をつけた印刷版材料を用いて印刷を行ない、刷り出しから50枚目の印刷物を用いてスクラッチ跡汚れを評価した。印刷物での汚れの程度を目視で評価し、汚れがほとんど確認できないものを○、わずかに汚れが確認できるものを△、はっきりと汚れが確認できるものを×とした。
結果を表2に示した。
[耐刷性評価]
20000枚印刷後の印刷物において、2%網点画像の欠けの程度とベタ画像のカスレの程度とおよび非画像部の地汚れの程度を目視で評価した。いずれも問題がなければ:○、2%網点画像に欠け確認できたり、ベタ画像にカスレがわずかでも確認できたり、地汚れがわずかでも確認できたら:△、2%網がすべて欠けていたり、ベタ画像のカスレが明瞭に確認できたり、地汚れが明瞭に確認できた場合は×とした。結果を表2に示した。
表2から、本発明の印刷版材料は、地汚れの懸念がなく、スクラッチ汚れ耐性が良好であり、さらに耐刷性も良好であることがわかる。
また、赤外線レーザー露光による本発明の画像形成方法が印刷版材料に適用可能であることがわかる。
表中のCMCはカルボキシメチルセルロースのNa塩:CMC1220(ダイセル社製)
Figure 2005225022
(実施例3)
画像形成材料1の作成
実施例2の印刷版材料4の上層を、カルナバワックス:A118とCMC1220(ダイセル社製)とを固形分比で90/10の質量比率で含有する上層に変えた以外は、印刷版材料4と同様にして、画像形成材料1を得た。
赤外線レーザー方式による画像形成(撥水性の非画像部の形成)
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光エネルギーは100mJ/m2とした。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のラインアンドスペース細線画像とを含むものである。
還元剤による銅画像形成
還元剤含有水溶液として、モルホリンボランを0.1質量%含有し、水酸化NaでpHを9に調整した水溶液を用いた。
30℃に保たれた上記還元剤含有水溶液に、赤外線露光済みの画像形成材料1を3分間浸漬して還元処理を行った後、純水で十分洗浄して、乾燥した。
還元処理された画像形成材料1は、露光されなかった部分のみが金属銅に還元され、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の高解像度の明瞭な画像が形成されていた。
このように、本発明の画像形成方法を用いることで、低い露光エネルギーを用いても、高精細な金属銅画像を形成可能であることがわかる。

Claims (8)

  1. 基材上に親水性層を有する印刷版材料において、該親水性層が酸化銅(CuO)からなる粒子を含有し、かつ該基材の該親水性層または該親水性層の隣接層に還元剤を含有することを特徴とする印刷版材料。
  2. 前記酸化銅(CuO)粒子の平均粒子径が0.01μm〜1μmであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
  3. 前記基材の親水性層側に光熱変換素材を含有する層を有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
  4. 前記光熱変換素材を含有する層が前記親水性層であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
  5. 請求項1乃至4に記載の印刷版材料を画像様に加熱し、前記酸化銅(CuO)の少なくとも一部を金属銅に還元して、加熱部を画像部として形成することを特徴とする画像形成方法。
  6. 前記加熱の手段が赤外線レーザー露光であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 基材上に酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層および熱可塑性親油性素材を含有する構成層とを有する画像形成材料を画像様に加熱し、画像様に疎水性領域を形成した後に、画像形成材料表面を還元剤を含有する水溶液に接触させ、該酸化銅(CuO)からなる粒子を含有する構成層の加熱した領域以外の構成層の酸化銅(CuO)の少なくとも一部を銅に還元することを特徴とする画像形成方法。
  8. 前記加熱が赤外線レーザー露光によるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
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