JP2005254807A - 印刷版材料の製造方法及び印刷版材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷適性に優れ耐刷性に優れる印刷版材料及びそれを作製する印刷版材料の製造方法を提供する。
【解決手段】基材上に親水性層を有する印刷版材料の該親水性層を設ける製造方法であって、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を該基材上に塗布する工程、乾燥して塗膜を形成する工程及びこの塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱する工程とを有することを特徴とする印刷版材料の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】基材上に親水性層を有する印刷版材料の該親水性層を設ける製造方法であって、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を該基材上に塗布する工程、乾燥して塗膜を形成する工程及びこの塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱する工程とを有することを特徴とする印刷版材料の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は印刷版材料の製造方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料の親水性層の製造方法に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し、この機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有するものとして、汎用タイプのプロセスレスプレートが求められている。
サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有する赤外線レーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて、アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、露光装置には特別な吸引装置が必要となる場合があり、露光装置に対する汎用性は低い。
一方、アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり、かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば、特許2938397号や特許2938397号に開示されているような、感熱画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性高分子化合物の結合剤とを用いた、印刷機上で湿し水またはインクを用いて現像することが可能なCTP用印刷版材料が挙げられる。
しかしながら、このような機上現像CTPにおいて、親水性基材としてアルミ砂目を用いた場合には、アルミ砂目表面の複雑な表面凹凸形状に起因する機上現像不良や、アルミ砂目の良好な熱伝導性に起因する感度低下や画像形成不良(耐刷性の低下)といった種々の問題があり、機上現像性、感度および耐刷性をすべて満足させることは困難であった。
一方、基材上に親水性層を設け、その上に光熱変換不物質を含む水可溶性層を設けた印刷版材料が提案されているおり、親水性層は含有する粒子の径や含有量の調整によって表面凹凸形状の制御が可能であり、機上現像性が良好な表面凹凸形状を形成しやすいという利点を有する(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの親水性層を用いた印刷版材料においても、印刷条件によっては親水性層の親水性が低下し地汚れを生ずる場合が有る、耐刷性が不充分である等の問題があった。
さらに上記のような親水性の低下を生じない親水性層として、親水性層中の炭素原子を含まない素材の比率が91質量%以上、好ましくは95質量%以上である親水性層が提案されている(特許文献2参照)。このような親水性層は非常に良好な印刷性能を有し、IPA(イソプロパノール)を含有しない湿し水を用いた印刷条件であっても地汚れを生じる懸念がない、水溶性樹脂の含有量が少ない(層のほとんどが金属酸化物より形成されている)ため、耐磨耗性が高く、比較的良好な耐刷性を示す。
しかし、近年、サーマルプロセスレスCTPにおいても、耐刷性の向上が望まれており、さらに高い耐刷性が必要になってきている現状では、上記印刷版材料は耐刷性が不充分であった。
特開2001−105759号公報
特開2002−370465号公報
本発明の目的は、印刷適性に優れ耐刷性に優れる印刷版材料及びそれを作製する印刷版材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記達成手段により達成される。
(請求項1)
基材上に親水性層を有する印刷版材料の該親水性層を設ける製造方法であって、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を該基材上に塗布する工程、乾燥して塗膜を形成する工程及びこの塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱する工程とを有することを特徴とする印刷版材料の製造方法。
基材上に親水性層を有する印刷版材料の該親水性層を設ける製造方法であって、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を該基材上に塗布する工程、乾燥して塗膜を形成する工程及びこの塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱する工程とを有することを特徴とする印刷版材料の製造方法。
(請求項2)
前記球状金属酸化物がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料の製造方法。
前記球状金属酸化物がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項3)
前記球状金属酸化物の粒径が1nm〜15nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料の製造方法。
前記球状金属酸化物の粒径が1nm〜15nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項4)
前記親水性層用水系塗布液が光熱変換素材を含有し、かつ前記加熱が赤外線の照射によるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
前記親水性層用水系塗布液が光熱変換素材を含有し、かつ前記加熱が赤外線の照射によるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項5)
前記光熱変換素材がカーボンブラック、グラファイト、金属または金属化合物からなる粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
前記光熱変換素材がカーボンブラック、グラファイト、金属または金属化合物からなる粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項6)
前記金属化合物が金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
前記金属化合物が金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項7)
前記基材がプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
前記基材がプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
(請求項8)
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法により製造されたことを特徴とする印刷版材料。
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法により製造されたことを特徴とする印刷版材料。
本発明の上記構成により、印刷時刷り出し性が良好であって印刷適性に優れ、かつ耐刷性に優れる印刷版材料及びそれを作製する製造方法が提供できる。
本発明の特徴は、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を基材上に塗布し、乾燥して塗膜を形成し、この塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱することによって、親水性層を設けることにある。
本発明では、特に親水性層の親水性物質として球状金属酸化物を有し、親水性層を設ける際に親水性層用塗膜を130〜300℃に加熱することを特徴とする。
球状金属酸化物のコロイドを含む水系の親水性層用塗布液をpH8〜12として塗布し、塗膜表面の温度を130〜300℃に加熱することにより、印刷時の刷りだし性を損なわずに耐刷性を向上させることができる。
加熱される塗膜表面の温度は130〜300℃が必要であるが、150℃以上が好ましく、さらに170℃以上が好ましい。
塗膜表面温度を130℃以上に維持する加熱処理時間は1〜1200秒程度が好ましいが、到達温度が高くなるほど加熱処理時間を短くしても塗膜強度は向上するようになり、200℃以上の加熱処理では数秒〜数十秒の処理時間で十分な塗膜強度が得られるようになる。
塗膜表面温度は市販の非接触温度測定器により測定することができる。
本発明の水系塗布液とは、溶媒の80質量%以上が水であることを意味する。
本発明においては、溶媒の90質量%以上が水であることがより好ましく、溶媒が実質的に水であることがさらに好ましい。
水系塗布液のpHは、耐刷性向上効果及び塗布液安定性の観点よりpH8〜12である必要があるが、9〜11であることがより好ましい。
球状金属酸化物のコロイドを含有するとは、球状の金属酸化物粒子を分散状態で含むことをいい、球状の金属酸化物粒子とは金属酸化物からなる粒子の針状比が1〜1.5のものをいう。針状比とは、SEMで観察した画像から計測した長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)をいう。
金属酸化物のコロイドとしては、pH8〜12の水系塗布液中に安定して存在可能なものであればどのような金属酸化物のコロイドでもよいが、そのなかでもコロイダルシリカを用いたものが好ましい。
また、球状金属酸化物の粒径としては塗膜強度向上の観点より、1〜15nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。
ここで、粒径とは1次粒子径のことをいう。
粒径は、粒子の投影面積に相当する面積を有する円の直径をいう。
粒径が15nm以下で、かつpH8〜12の水系塗布液中で安定な金属酸化物のコロイドとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−S(粒径8〜11nm)」、「スノーテックス−NS(粒径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒径4〜6nm)」、「スノーテックス−NXS(粒径4〜6nm)」等を用いたものが挙げられる。
本発明に用いられる親水性層の乾燥付量としては、0.1〜20g/m2であることが好ましく、0.5〜15g/m2あることがより好ましく、1〜10g/m2であることがさらに好ましい。
親水性層中に含まれる、球状金属酸化物の含有量は30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%が特に好ましい。
また、親水性層は複数の層から形成されていてもよい。
親水性層の塗布方法としては、上記付量範囲で均一に塗布できる方法であればどのような公知の塗布方法も用いることができる。
また、本発明の加熱する工程は、乾燥して塗膜を形成する工程と同一もしくは連続である方法であってもよく、また塗布乾燥後、親水性層を一旦冷却した後に再度加熱する方法であってもよい。
乾燥して塗膜を形成する際の温度は、30℃〜300℃の範囲で、時間は、0.1秒〜10分で行うことが好ましい。
また、加熱工程が段階的にもしくは無段階に温度を変化させるものであってもよい。
本発明の親水性層には、親水性物質として球状金属酸化物を含むが親水性層に含有させることのできるその他の素材としては、下記のような素材が挙げられる。
(多孔質化材)
本発明の親水性層には、多孔質化材として、ネックレス状コロイダルシリカや多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。ただし、本発明の親水性層は層の多孔質度が低くても画像保持性が良好であるため、これらの多孔質化材の含有量は親水性層の0〜30質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
本発明の親水性層には、多孔質化材として、ネックレス状コロイダルシリカや多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。ただし、本発明の親水性層は層の多孔質度が低くても画像保持性が良好であるため、これらの多孔質化材の含有量は親水性層の0〜30質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
<ネックレス状コロイダルシリカ>
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに複数結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに複数結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
これらの中でも、本発明においては、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いることが好ましい。
これらの中でも、本発明においては、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いることが好ましい。
また、その他の多孔質化材として、多孔質金属酸化物粒子を含有させることもできる。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
<多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子>
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。
多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒子径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
粒子径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
粒子径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
<ゼオライト粒子>
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
<粗大突起形成粒子>
本発明の親水性層には粗大突起形成粒子として、粒子径が1μm以上の無機もしくは無機素材で被覆された粒子を含有させることができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
本発明の親水性層には粗大突起形成粒子として、粒子径が1μm以上の無機もしくは無機素材で被覆された粒子を含有させることができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
上記の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子やゼオライト粒子といった多孔質金属酸化物粒子は、粗大突起形成粒子としても好ましく使用できる。
無機素材で被覆された粒子としては、例えばPMMAやポリスチレンといった有機粒子の芯材を芯材粒子よりも粒子径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒子径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
さらに、本発明の親水性層には粗大突起形成粒子として、粒子径が1μm以上の親水性有機粒子を含有させることができる。親水性有機粒子としては、例えば、アルギン酸Ca粒子やキトサン粒子を挙げることができる。キトサン粒子は顔料粒子Aの分散安定効果や親水性層塗布液の塗布性改善効果も有するため、特に好ましく使用できる。
これらの粗大突起形成粒子の粒子径は1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2μm〜6μmがさらに好ましい。
<層状粘土鉱物粒子>
また、本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として、層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒子径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
また、本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として、層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒子径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒子径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒子径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒子径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。
粒子径が上記範囲をはずれると、引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、柔軟性が不充分となり、同様に引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作製した後、塗布液に添加することが好ましい。
<その他の素材>
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、親水性層には水溶性樹脂もしくは水分散性樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
また、本発明の親水性層の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
[基材]
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。
アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。
例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。
陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができ、本発明においては、特にプラスチックを基材をする場合に効果が発揮される。そのなかでも特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御するために粗面を有する裏面コート層を設けた基材や公知の導電性素材を含有する裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
親水性層の塗布方法としては、公知の塗布方法、例えばバー塗布、ロール塗布、押し出し塗布等、どのような塗布方法であっても用いることができる。
親水性層の塗布方法としては、公知の塗布方法、例えばバー塗布、ロール塗布、押し出し塗布等、どのような塗布方法であっても用いることができる。
(画像形成)
本発明の印刷版材料の構成としては、基材上に構成層のひとつとして親水性層が設けられていれば良く、画像形成の方法は特定されない。
本発明の印刷版材料の構成としては、基材上に構成層のひとつとして親水性層が設けられていれば良く、画像形成の方法は特定されない。
例えば、親水性層上に公知のインクジェット記録方法を用いて親油性素材を画像様に付与して印刷版とすることもできる。
また、上述したアブレーションタイプのプロセスレスCTPの親水性層として用いることもできる。
特に好ましい態様としては、親水性層上に後述する機上現像可能な画像形成層を設けた機上現像タイプのプロセスレスCTP用の親水性層として用いる態様である。
上記いずれのタイプの印刷版材料においても、本発明の製造方法を用いて形成された親水性層を適用することで耐刷性を向上させることが可能となる。
(光熱変換素材を含有する態様)
本発明において、さらに好ましい態様は、親水性層の水系塗布液(球状金属酸化物コロイドを含有するpH8〜12の水系塗布液)がさらに光熱変換素材を含有し、かつ加熱が赤外線の照射によるものであることである。
本発明において、さらに好ましい態様は、親水性層の水系塗布液(球状金属酸化物コロイドを含有するpH8〜12の水系塗布液)がさらに光熱変換素材を含有し、かつ加熱が赤外線の照射によるものであることである。
この態様では、加熱は、親水性層に赤外線を照射することにより行われるので、親水性層に含有される光熱変換素材が発熱し、加熱する雰囲気温度以上に親水性層の温度を上昇させることができるという利点を有している。
この態様においては、プラスチックフィルム基材を用いた場合でも、基材温度上昇を抑制しつつ親水性層温度を上昇することができるため、加熱によるプラスチックフィルム基材へのダメージ(局所的な伸びや変形、弾性率の低下等)を抑えることが可能となる。
この態様においても、親水性層は複数の層から形成されていてもよく、また、親水性層が複数の層から形成されている場合は、その中の少なくとも1層に光熱変換素材が含有されていればよい。
光熱変換素材としては、例えば公知の赤外線吸収色素を挙げることができる。
具体的には、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
本発明においては300℃の温度においても安定した光熱変換素材を用いることが好ましく、カーボンブラック、グラファイト、金属または金属化合物からなる粒子を光熱変換素材として用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち、金属酸化物からなる粒子が好ましく用いられ、特に黒色酸化鉄および二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄粒子としては、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒子径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒子径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒子径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒子径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒子径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒子径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒子径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒子径0.2μm)が挙げられる。
二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物は、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。これらの光熱変換素材の添加量としては、親水性層に対して0.1〜80質量%であり、1〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。
加熱工程においての親水性層への赤外線照射に関しては、750nm〜数十μmといった近赤外線〜遠赤外線を照射できるどのような装置であっても用いることができるが、公知の赤外線照射乾燥装置を用いることが好ましい。具体的には、セラミックパネルヒーターや日本電化工機社製のアステックパワーヒーター等を挙げることができる。
この態様の印刷版材料は、親水性層が光熱変換素材を含有するため、近赤外線から赤外線レーザーによる露光で露光部の親水性層が発熱する。
したがって、熱によって画像形成する素材を含有する画像形成層を親水性層上に設けることでサーマルCTPとすることができる。
画像形成は、露光部の画像形成層が熱によって親水性層上から除去されやすくなる方向へと変化する、いわゆるポジ版であってもよいし、あるいは、露光部の画像形成層が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する、いわゆるネガ版であってもよい。
本発明の印刷版材料の好ましい態様としては、露光部の画像形成層が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する、ネガ版であり、かつ、未露光部の画像形成層が印刷機上で水またはインクによって除去されて親水性層表面が露出する機上現像タイプの印刷版材料である。
<画像形成層>
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する感熱画像形成層としては、例えば、後述する疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する感熱画像形成層を挙げることができる。
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する感熱画像形成層としては、例えば、後述する疎水化前駆体と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する感熱画像形成層を挙げることができる。
疎水化前駆体としては、熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマーを用いることができる。具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
本発明においては、疎水化前駆体としては、熱可塑性疎水性粒子、もしくは、疎水性物質を内包するマイクロカプセルを用いることが好ましい。
熱可塑性微粒子としては、熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明の熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
又、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
<マイクロカプセル>
本発明の印刷版材料に用いられるマイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
本発明の印刷版材料に用いられるマイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
マイクロカプセルの含有量は画像形成層全体の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセルその製法・性質・応用(近藤保、小石真純著/三共出版株式会社発行)」に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を用いることができる。
水溶性素材、水分散性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
<水溶性高分子化合物>
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に可溶もしくは膨潤する公知の高分子化合物が挙げられる。
画像形成層に含有される水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に可溶もしくは膨潤する公知の高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
<オリゴ糖>
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
<画像形成層に含有可能なその他の素材>
画像形成層には光熱変換素材として、赤外線吸収色素を含有させることができる。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
画像形成層には光熱変換素材として、赤外線吸収色素を含有させることができる。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
赤外線吸収色素の具体例としては上述のものが挙げられる。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
また、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
<機上現像方法>
本発明の印刷版材料は、画像形成層の赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の画像形成層が除去されて親水性層表面が露出して非画像部となる印刷版材料に用いられるのが好ましい態様である。
本発明の印刷版材料は、画像形成層の赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の画像形成層が除去されて親水性層表面が露出して非画像部となる印刷版材料に用いられるのが好ましい態様である。
未露光部の画像形成層の除去は、水洗によっても可能であるが、印刷機上で湿し水およびまたはインクを用いて除去する、いわゆる機上現像することも可能である。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2) 印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(基材1の作製)
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、しそれぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材1を得た。
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行ないながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、しそれぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材1を得た。
《下引き塗布液a》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)(固形分基準) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)(固形分基準) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
《下引き塗布液c》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(固形分基準) 0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》;
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(固形分基準) 0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》;
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒子径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
(基材2の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は10回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を60C/dm2とし、合計で600C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた0.5質量%のリン酸水素2Na水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材2を得た。
基材2の表面粗さはRaで0.7μmであった。
(表面粗さの測定方法)
試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RSTplusを用いて、20倍の条件(222.4μmx299.4μmの測定範囲)で測定し、傾き補正およびMedianSmoothingのフィルターをかけて測定データを処理してRa値を求めた。測定は一試料について測定箇所を変えて5回行ない、その平均を求めてRa値とした。
試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RSTplusを用いて、20倍の条件(222.4μmx299.4μmの測定範囲)で測定し、傾き補正およびMedianSmoothingのフィルターをかけて測定データを処理してRa値を求めた。測定は一試料について測定箇所を変えて5回行ない、その平均を求めてRa値とした。
実施例1
親水性層形成基材1の作製
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数10000回転で10分間混合分散した後、ろ過して固形分20質量%の親水性下層用塗布液Aを得た。この塗布液AのpHは10.1であった。
親水性層形成基材1の作製
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数10000回転で10分間混合分散した後、ろ過して固形分20質量%の親水性下層用塗布液Aを得た。この塗布液AのpHは10.1であった。
親水性下層用塗布液A組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
次に、下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数10000回転で10分間混合分散した後、ろ過して固形分20質量%の親水性上層用塗布液Bを得た。この塗布液BのpHは9.8であった。
親水性上層用塗布液B組成 (表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
(親水性層形成基材1の作製)
基材1の下引きA面上に、塗布液Aを乾燥付量が3.0g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却した。乾燥開始から2分経過した時点での親水性下層表面温度は120℃であった(非接触式温度計で測定、以下同様の方法で測定)。
基材1の下引きA面上に、塗布液Aを乾燥付量が3.0g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却した。乾燥開始から2分経過した時点での親水性下層表面温度は120℃であった(非接触式温度計で測定、以下同様の方法で測定)。
次いで、親水性下層上に、塗布液Bを乾燥付量が0.7g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材1を得た。
乾燥開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は120℃であった。
また、親水性層形成基材1および親水性層形成基材1上に後述する画像形成層を塗布した印刷版材料は、画像形成層塗布時の乾燥およびその後のエイジング処理で加熱される以外は20℃で保存した。この保存条件は特に記載がない限りその他の親水性層形成基材にもあてはまるものである。
(親水性層形成基材2の作製)
親水性下層および親水性上層の塗布時の乾燥を170℃に設定した乾燥炉に5分間入れた以外は、親水性層形成基材1と同様にして親水性層形成基材2を得た。乾燥開始から5分経過した時点での親水性下層および親水性上層表面温度は170℃であった。
親水性下層および親水性上層の塗布時の乾燥を170℃に設定した乾燥炉に5分間入れた以外は、親水性層形成基材1と同様にして親水性層形成基材2を得た。乾燥開始から5分経過した時点での親水性下層および親水性上層表面温度は170℃であった。
(親水性層形成基材3の作製)
親水性層形成基材1と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材3を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
親水性層形成基材1と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材3を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
(親水性層形成基材4の作製)
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数5000回転で5分間混合分散した後、ろ過して固形分30質量%の親水性層(親水性下層)用塗布液Cを得た。この塗布液CのpHは9.5であった。
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数5000回転で5分間混合分散した後、ろ過して固形分30質量%の親水性層(親水性下層)用塗布液Cを得た。この塗布液CのpHは9.5であった。
親水性層(親水性下層)用塗布液C組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
基材1の下引きA面上に、塗布液Cを乾燥付量が4.5g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材4を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
(親水性層形成基材5の作製)
親水性層形成基材4と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材5を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
親水性層形成基材4と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材5を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
(親水性層形成基材6の作製)
下表の組成の素材を、十分に混合分散した後、ろ過して固形分5質量%の親水性層用塗布液Dを得た。この塗布液DのpHは9.6であった。
下表の組成の素材を、十分に混合分散した後、ろ過して固形分5質量%の親水性層用塗布液Dを得た。この塗布液DのpHは9.6であった。
親水性層用塗布液D組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
親水性層形成基材4と同様にして得られた親水性層形成基材の親水性層上に、塗布液Dを乾燥付量が0.3g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、170℃に設定した乾燥炉に入れて、5分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材5を得た。乾燥開始から5分経過した時点での親水性層表面温度は170℃であった。
(親水性層形成基材7の作製)
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数5000回転で5分間混合分散した後、ろ過して固形分30質量%の親水性層(親水性下層)用塗布液Eを得た。この塗布液EのpHは4.1であった。
下表の組成の素材を、ホモジナイザを用いて、回転数5000回転で5分間混合分散した後、ろ過して固形分30質量%の親水性層(親水性下層)用塗布液Eを得た。この塗布液EのpHは4.1であった。
親水性層用塗布液E組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
基材1の下引きA面上に、塗布液Eを乾燥付量が4.5g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材7を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
(親水性層形成基材8の作製)
親水性層形成基材7と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材8を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
親水性層形成基材7と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に2分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材8を得た。この際、親水性層形成基材の熱変形を防止するため、親水性層形成基材は平坦なアルミ板に貼り付けて加熱処理を行なった。加熱開始から2分経過した時点での親水性上層表面温度は200℃であった。
(親水性層形成基材9の作製)
親水性層形成基材4と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、130℃に設定した乾燥炉に入れ、赤外線ヒーターとの併用で加熱処理を行なった。親水性層表面温度が200℃になった時点で、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材9を得た。加熱処理時間は約1分30秒間であった。また、基材のダメージ(熱変形等)は特に見られなかった。
親水性層形成基材4と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、130℃に設定した乾燥炉に入れ、赤外線ヒーターとの併用で加熱処理を行なった。親水性層表面温度が200℃になった時点で、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材9を得た。加熱処理時間は約1分30秒間であった。また、基材のダメージ(熱変形等)は特に見られなかった。
(印刷版材料の作製)
下表の各組成の素材を十分に混合攪拌し、ろ過して、固形分10質量%の機上現像可能な画像形成層用塗布液Fを作製した。
下表の各組成の素材を十分に混合攪拌し、ろ過して、固形分10質量%の機上現像可能な画像形成層用塗布液Fを作製した。
画像形成層用塗布液F組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
次いで、作製した親水性層形成基材1〜9の親水性層上に、塗布液Fを乾燥付量が0.5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、55℃に設定した乾燥炉に入れて、3分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却した。さらに、恒温炉で55℃24時間のエイジング処理を行って、表7に示す印刷版材料1〜9を得た。
(赤外線レーザー方式による画像形成)
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のラインアンドスペース細線画像とを含むものである。露光エネルギーはそれぞれの印刷版材料で最適となるように調整して露光を行なった。各印刷版材料に適用した露光エネルギーを表1に示した。
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像と2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のラインアンドスペース細線画像とを含むものである。露光エネルギーはそれぞれの印刷版材料で最適となるように調整して露光を行なった。各印刷版材料に適用した露光エネルギーを表1に示した。
(印刷方法)
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用して印刷を行なった。
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用して印刷を行なった。
露光後の印刷版材料をそのまま版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて印刷を行なった。
なお、親水性層塗布形成から印刷評価までは約3日間の経時があった。
(印刷評価)
[刷り出し性評価]
刷り出しから何枚目の印刷物で良好な画像が得られるかを求めた。良好な画像とは、地汚れがなく、かつ、ベタ画像部の濃度が1.5以上であることとした。結果を表7に示した。
[刷り出し性評価]
刷り出しから何枚目の印刷物で良好な画像が得られるかを求めた。良好な画像とは、地汚れがなく、かつ、ベタ画像部の濃度が1.5以上であることとした。結果を表7に示した。
[耐刷性評価]
50000枚までの印刷を行ない、1000枚ごとに印刷物をサンプリングして、5%網点の欠落、もしくはベタ画像部のカスレのどちらかが先に確認された時点での印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表7に示した。
50000枚までの印刷を行ない、1000枚ごとに印刷物をサンプリングして、5%網点の欠落、もしくはベタ画像部のカスレのどちらかが先に確認された時点での印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表7に示した。
表7から、本発明の製造方法により得られた印刷版材料は、刷り出し性を損なうことなく、耐刷性が大きく向上していることがわかる。
実施例2
(親水性層形成基材10の作製)
基材2の砂目表面上に、実施例1で用いた親水性層用塗布液Cを乾燥付量が5.0g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材10を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
(親水性層形成基材10の作製)
基材2の砂目表面上に、実施例1で用いた親水性層用塗布液Cを乾燥付量が5.0g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材10を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
(親水性層形成基材11の作製)
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材の親水性層上に、実施例1で用いた塗布液Dを乾燥付量が0.3g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材11を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材の親水性層上に、実施例1で用いた塗布液Dを乾燥付量が0.3g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、120℃に設定した乾燥炉に入れて、2分間乾燥し、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材11を得た。乾燥開始から2分経過した時点での親水性層表面温度は120℃であった。
(親水性層形成基材12の作製)
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、250℃に設定した乾燥炉に1分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材12を得た。加熱開始から1分経過した時点での親水性上層表面温度は250℃であった。
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、250℃に設定した乾燥炉に1分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材12を得た。加熱開始から1分経過した時点での親水性上層表面温度は250℃であった。
(親水性層形成基材13の作製)
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に入れ、赤外線ヒーターとの併用で加熱処理を行なった。親水性層表面温度が280℃になった時点で、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材13を得た。加熱処理時間は約2分間であった。
親水性層形成基材10と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、200℃に設定した乾燥炉に入れ、赤外線ヒーターとの併用で加熱処理を行なった。親水性層表面温度が280℃になった時点で、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材13を得た。加熱処理時間は約2分間であった。
(親水性層形成基材14の作製)
親水性層形成基材11と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、250℃に設定した乾燥炉に1分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材14を得た。加熱開始から1分経過した時点での親水性上層表面温度は250℃であった。
親水性層形成基材11と同様にして得られた親水性層形成基材を、さらに、250℃に設定した乾燥炉に1分間入れて加熱処理を行ない、すぐに乾燥炉から取り出して室温(20℃)まで冷却して、親水性層形成基材14を得た。加熱開始から1分経過した時点での親水性上層表面温度は250℃であった。
(インクジェット方式による画像形成)
[インクの作製]
以下の組成にて顔料分散物を作製した。平均粒径は0.2〜0.3μmとなるよう分散した。
[インクの作製]
以下の組成にて顔料分散物を作製した。平均粒径は0.2〜0.3μmとなるよう分散した。
マゼンタ顔料分散物
ピグメントレッド57:1 15質量部
高分子分散剤 5質量部
ステアリルアクリレート 80質量部
次いで、下記の組成のマゼンタインクを作製し、絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過し、インクとした。インクの25℃における粘度は120mPa・s、70℃における粘度は15mPa・s、25℃における表面張力は250μN/cmであった。
ピグメントレッド57:1 15質量部
高分子分散剤 5質量部
ステアリルアクリレート 80質量部
次いで、下記の組成のマゼンタインクを作製し、絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過し、インクとした。インクの25℃における粘度は120mPa・s、70℃における粘度は15mPa・s、25℃における表面張力は250μN/cmであった。
マゼンタインク1
マゼンタ顔料分散物 20質量部
ステアリルアクリレート 60質量部
2官能芳香族ウレタンアクリレート(分子量1500) 10質量部
6官能脂肪族ウレタンアクリレート(分子量1000) 5質量部
開始剤(Ciba製、イルガキュアー184) 5質量部
[画像形成]
ピエゾ型インクジェットノズルを用いたインクジェット記録装置によって、親水性層形成基材10〜14への記録(画像形成)を行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドから成り、前室インクタンクからヘッド部分まで断熱および加温を行った。温度センサーは前室インクタンクおよびピエゾヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に60℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾヘッドは、ノズル径24μmで、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で射出できるよう駆動した。
マゼンタ顔料分散物 20質量部
ステアリルアクリレート 60質量部
2官能芳香族ウレタンアクリレート(分子量1500) 10質量部
6官能脂肪族ウレタンアクリレート(分子量1000) 5質量部
開始剤(Ciba製、イルガキュアー184) 5質量部
[画像形成]
ピエゾ型インクジェットノズルを用いたインクジェット記録装置によって、親水性層形成基材10〜14への記録(画像形成)を行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドから成り、前室インクタンクからヘッド部分まで断熱および加温を行った。温度センサーは前室インクタンクおよびピエゾヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に60℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾヘッドは、ノズル径24μmで、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で射出できるよう駆動した。
着弾後はUV−A光を露光面照度100mW/cm2に集光し、インク着弾後0.1秒後に照射が始まるよう露光系・主走査速度・射出周波数を調整した。露光時間を可変とし、照射露光エネルギーを調整可能した。
上記インクを用い、環境温度25℃にて、射出し、直後にUV光を照射した。照射した露光エネルギーは300mJ/cm2であった。
形成した画像は、ベタ画像と約40μm径の小点画像である。
(印刷方法)
印刷用紙を上質紙(しらおい)にし、50μm厚の版下シートを用いて印圧を上げた以外は実施例1と同様にして、30000枚まで印刷を行なった。
印刷用紙を上質紙(しらおい)にし、50μm厚の版下シートを用いて印圧を上げた以外は実施例1と同様にして、30000枚まで印刷を行なった。
なお、親水性層塗布形成から印刷評価までは約3日間の経時があった。
(印刷評価)
[親水性層磨耗評価]
印刷前と30000枚印刷後の、非画像部の親水性層表面粗さを測定し、その差から親水性層磨耗の程度を調べた。表面粗さの測定は前述のWYKO RST Plusを用いて同様にして行なった。
[親水性層磨耗評価]
印刷前と30000枚印刷後の、非画像部の親水性層表面粗さを測定し、その差から親水性層磨耗の程度を調べた。表面粗さの測定は前述のWYKO RST Plusを用いて同様にして行なった。
測定データから得られるパラメータとして、Ra(中心線平均粗さ)、Rz(十点平均粗さ)、Rpm(Rzの中心線(面)よりも上の部分を示すパラメータ)、Rvm(Rzの中心線(面)よりも上の部分を示すパラメータ、値は負)を算出した。
ここで、RpmおよびRvmの値の印刷前後での減少の程度が特に親水性層磨耗量と関連している考えられる。これは、親水性層中に含有される粗大粒子(5μm径)の脱落による突起成分の減少(Rpmの減少)、粗大粒子が脱落した跡に現れるピット状の凹みの増加(Rvmの減少)を示しているためであり、これらの減少が大きいほど磨耗していることになる。結果を表8に示す。
[耐刷性評価]
1000枚ごとに印刷物をサンプリングして、小点画像の欠落、もしくはベタ画像部のカスレのどちらかが先に確認された時点での印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表8に示した。
1000枚ごとに印刷物をサンプリングして、小点画像の欠落、もしくはベタ画像部のカスレのどちらかが先に確認された時点での印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表8に示した。
表8から、本発明の製造方法により得られた印刷版材料は、過酷な印刷条件であっても親水性層の磨耗が少なく、耐刷性も大きく向上していることがわかる。
Claims (8)
- 基材上に親水性層を有する印刷版材料の該親水性層を設ける製造方法であって、球状金属酸化物のコロイドを含有するpH8〜12の親水性層用水系塗布液を該基材上に塗布する工程、乾燥して塗膜を形成する工程及びこの塗膜の表面温度が130〜300℃の範囲となるように加熱する工程とを有することを特徴とする印刷版材料の製造方法。
- 前記球状金属酸化物がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料の製造方法。
- 前記球状金属酸化物の粒径が1nm〜15nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料の製造方法。
- 前記親水性層用水系塗布液が光熱変換素材を含有し、かつ前記加熱が赤外線の照射によるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
- 前記光熱変換素材がカーボンブラック、グラファイト、金属または金属化合物からなる粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
- 前記金属化合物が金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
- 前記基材がプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷版材料の製造方法により製造されたことを特徴とする印刷版材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005027445A JP2005254807A (ja) | 2004-02-12 | 2005-02-03 | 印刷版材料の製造方法及び印刷版材料 |
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- 2005-02-03 JP JP2005027445A patent/JP2005254807A/ja not_active Withdrawn
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