JP2009258348A - 平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法 - Google Patents

平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生抑制、耐刷性に優れた平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法を提供することにある。
【解決手段】親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を赤外レーザ光源により画像情報を露光記録した後、該平版印刷版材料の未露光部分をpHが3から9の範囲の現像液で除去できる平版印刷版材料において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法に関し、詳しくは、比較的中性pHの現像液で処理するのに好適な平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法に関する。
近年、製版データのデジタル化にともない、デジタルデータを直接レーザ信号に変調し、平版印刷版材料を露光するいわゆるCTPシステムが普及してきている。
その中でも赤外線レーザで露光し画像を形成できる平版印刷版材料が知られている。
従来これらの赤外線レーザ露光される平版印刷版材料は、露光後に強アルカリ性の現像液で処理し不要な部分を除去して印刷可能な平版印刷版を作製していた。
最近、環境及び安全の観点から強アルカリ性の現像液を使わずに比較的中性pHの現像液で処理し平版印刷版を得ることが提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、これらの従来の技術では、平版印刷版材料を長期間保存した場合に、感度変動や印刷での非画像部汚れが発生したり、耐刷性能が劣っていたりするという問題があった。
特開2003−255527号公報 特開2006−106744号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生抑制、耐刷性に優れた平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を赤外レーザ光源により画像情報を露光記録した後、該平版印刷版材料の未露光部分をpHが3から9の範囲の現像液で除去できる平版印刷版材料において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
2.支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする1に記載の平版印刷版材料。
3.前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする1または2に記載の平版印刷版材料。
4.親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を、赤外レーザ光源により画像情報を露光、記録した後、pHが3から9の範囲の現像液で未露光部を除去する平版印刷版材料の処理方法において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料の処理方法。
5.支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする4に記載の平版印刷版材料の処理方法。
6.前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする4または5に記載の平版印刷版材料の処理方法。
7.親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を、赤外レーザ光源により画像情報を露光、記録した後、pHが3から9の範囲の現像液で未露光部を除去する平版印刷版の作製方法において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
8.支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする7に記載の平版印刷版の作製方法。
9.前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする7または8に記載の平版印刷版の作製方法。
本発明によれば、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生抑制、耐刷性に優れた平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法を提供することにある。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を赤外レーザ光源により画像情報を露光記録した後、該平版印刷版材料の未露光部分を、pHが3から9の範囲の現像液で除去できる平版印刷版材料、該現像液で除去する平版印刷版材料の処理方法、および平版印刷版の作製方法において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする。
本発明においては、特に、平版印刷版材料の未露光部分をpHが3から9の範囲の現像液で除去できる平版印刷版材料において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することで、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生抑制、耐刷性に優れた平版印刷版材料を提供できる。
以下、本発明を詳しく説明する。
《熱溶融粒子》
本発明に係る熱溶融粒子とは、溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、保存性、インク着肉性の面から、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、平版印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は、現像性、解像度の面から、0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、本発明に係る熱溶融粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
本発明に係る熱溶融粒子は、「本発明に係る親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する」側の構成層、いわゆる、親水性表面を有する支持体上の画像を形成する側の構成層、中に含有される。好ましくは構成層のうち、後述の画像形成層に含有される。
構成層中の熱溶融粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
(光熱変換材料)
本発明における画像形成層としては、画像形成層が感熱画像形成層であるので、親水性層に光熱変換材料を含むことが好ましい。
光熱変換材料としては、色素、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられるが、後記の親水性無機粒子の機能をも備える金属酸化物、金属が好ましく用いられる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄(Fe)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者としては、例えばSbをドープしたSnO(ATO)、Snを添加したIn(ITO)、TiO、TiOを還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。
又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO、TiO、9Al・2BO、KO・nTiO等)を被覆したものも使用することができる。
これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換材料のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。
したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
色素としては、下記のような化合物等を用いることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
光熱変換材料の添加量としては、各構成層に対して0.1〜90質量%であることが好ましいが、15質量%以上であることが好ましい。
これらの光熱変換材料のうち、金属酸化物、金属及び色素が好ましく用いられる。
《親水性表面を有する支持体》
(支持体)
本発明に係る支持体は、親水性表面を有する。
親水性表面を有する支持体は、印刷時、画像形成層が除去された部分が水受容性となり非画像部となり得る表面を有する支持体であり、支持体表面を親水化処理し、親水性の表面層を有する支持体、親水性物質を含む親水性層を設けた支持体を用いることができる。
支持体としては、表面形状が本発明で規定する範囲にあれば、平版印刷版の支持体として使用される公知の材料を使用することができ、例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合支持体等が挙げられるが、その中でも好ましくは金属板である。
支持体の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
支持体としては、支持体表面を親水化処理した金属板が好ましく用いられる。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、本発明においては、比重と剛性との関係から、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下両者含めてアルミニウム板と称する)が好ましく、親水性表面としては、粗面化処理及び陽極酸化処理がなされたもの(所謂アルミ砂目板)がより好ましい。
支持体として用いるアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
支持体として用いられるアルミニウム板は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
粗面化処理の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が好ましく用いられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×10〜10×10個/cmの密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法としては、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号公報、英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、20〜100A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、50〜150A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm、更には200〜1000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
本発明においては、粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことが好ましい。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dmで電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、好ましくは1〜3g/mである。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りすることが好ましい。また、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理支持体も好適に用いられる。
《構成層》
本発明においては、前記、親水性表面を有する支持体上の光熱変換材料を含有する層を有する側の構成層、としては、親水性層、画像形成層、保護層などがあげられる。
[親水性層]
(親水性無機粒子)
本発明における親水性層は、親水性無機粒子を含有することが好ましい。
親水性無機粒子は、親水性層を印刷時に湿し水を保持する層となし得る無機物の粒子であり、親水性無機粒子としては、金属酸化物が好ましく用いられる。
金属酸化物としては、金属酸化物粒子の状態で用いるのが好ましい。
例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
この金属酸化物粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。
コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
親水性層は親水性無機粒子としてさらに多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
(親水性有機樹脂)
親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂、糖類が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
上記の糖類としては、オリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
また、親水性層はリン酸塩を含むことができる。親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
[画像形成層]
画像形成層は、露光部の画像形成層が熱によって除去されにくくなる方向へと変化する、いわゆるネガ版が好ましい。未露光部の画像形成層は後述のpHが3から9の範囲の現像液で除去される。
このような、露光部が熱によって親水性層上から除去されにくくなる方向へと変化する画像形成層としては、前述の熱溶融粒子を含有することが好ましい。
画像形成層には水溶性素材を有してもよい。好ましく用いられる水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
(画像形成層に含有可能なその他の素材)
また、画像形成層には光熱変換材料として、前述の光熱変換材料を含有させることが好ましい。
さらに、画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
画像形成層の膜厚としては、0.01〜30μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜8μmである。
[保護層]
本発明において、取り扱い時の傷つき防止のために、画像形成層の上層に保護層を有することが好ましい。保護層は画像形成層のすぐ上の層であってもよいし、また画像形成層と保護層の間に中間層が設けられてもよい。保護層は印刷機上で除去可能であることが好ましい。
保護層は、水溶性樹脂または水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有することが好ましい。かかる水溶性樹脂は、親水性の天然高分子及び合成高分子から選ばれる。本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の具体例としては、オリゴ糖、多糖類、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、ポリビニルアルコール(好ましくは鹸化度70モル%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらを二種以上混合して用いることもできる。
これらのなかでは、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
本発明においては、保護層は前述する光熱変換材料を含有することができる。
またレーザ記録装置あるいは印刷機に本発明の平版印刷版材料を装着するときの傷つき防止のために、本発明において保護層に平均粒径1μm以上、20μm未満のマット剤を含有させることが好ましい。
好ましく用いられるマット剤としては、新モース硬度5以上の無機微粒子や有機マット剤が挙げられる。新モース硬度5以上の無機微粒子としては、例えば、金属酸化物粒子(シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化クロム等)や金属炭化物粒子(炭化珪素等)、窒化ホウ素粒子、ダイアモンド粒子等が挙げられる。有機マット剤としては、例えば、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートが挙げられる。これらマット剤の添加量は1m当たり0.1g以上、10g未満であることが好ましい。
その他、保護層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。このような非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることができる。上記非イオン界面活性剤の保護層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
保護層の乾燥塗布量は0.05〜1.5g/mが好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜0.7g/mである。この範囲内で印刷機上での保護層の除去性を損なうことなく、良好な汚れ防止、傷付き防止、指紋跡付着防止及びアブレーションカスの発生低減ができる。
《塗布》
各構成層を塗設するための各構成層用塗布液を支持体上に塗布する塗布方法としては、公知の塗布方法、例えばバー塗布、ロール塗布、押し出し塗布等、どのような塗布方法であっても用いることができる。
各構成層を塗布、乾燥する際の乾燥温度としては、70℃以上であることが好ましい。
乾燥時間としては1秒間〜5分間の範囲が好ましく、5〜2分間の範囲がより好ましい。また、乾燥温度と乾燥時間との組み合わせによっては、支持体に熱ダメージを与える可能性があるため、支持体が熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
《露光》
本発明に係る平版印刷版材料は、赤外レーザ光源により画像情報を露光記録されることが特徴である。
その中でも、700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザを使用した走査露光が好ましい。
レーザとしてはガスレーザを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザを用いてコンピュータからの画像信号に応じて平版印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された平版印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザビームを用いて2次元的な走査を行って平版印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された平版印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて平版印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された平版印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて平版印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。又特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
《現像》
(pHが3から9の範囲の現像液)
本発明に係る平版印刷版材料は、平版印刷版の作製の際、赤外レーザ光源により画像情報を露光・記録した後の未露光部(非画像部)が、pHが3〜9の範囲にある現像液で除去され得ることを特徴とする。本発明に係る現像液のpHは、温度25℃での測定値である。
本発明に係る現像液には、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に係る上記水溶性樹脂としては、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの水溶性樹脂の含有量は、組成物中に0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜3.0質量%が適当である。
また、本発明に係る上記界面活性剤としてはアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。例えば、アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、ポリオキシエチレンアリールエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンナフチルエーテルスルホン酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミドニナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硝酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硝酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
又、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリエキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。又、弗素系、シリコン系のアニオン、ノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
また、好ましい界面活性剤の例として、特開2004−167903号、特開2004−230650号、特開2005−43393号公報に記載の平版印刷版用版面保護剤に添加する界面活性剤が挙げられる。
これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。例えば互いに異なる2種以上を併用することもできる。例えば互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤の併用やアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の併用が好ましい。上記界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、好ましくは後処理液の0.01〜20質量%である。
本発明に係る現像液のpHは、3から9の範囲で用いられる。酸性領域pH3〜7の範囲で使用する場合には現像液中に鉱酸、有機酸又は無機塩等を添加して調節する。その添加量は0.01〜2質量%が好ましい。例えば鉱酸としては硝酸、硫酸、リン酸及びメタリン酸等が挙げられる。
又、有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸及び有機ホスホン酸等が挙げられる。
更に無機塩としては、硝酸マグネシウム、第1リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、硫酸ニッケル、ヘキサメタン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上を併用してもよい。
塩基性領域pH7〜9で用いる場合には、水溶性有機塩基、無機塩基を添加して該pHに調節することが出来る。好ましいのは水溶性有機塩基で、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
また本発明に係る現像液には、防腐剤、消泡剤等を添加することができる。
例えば防腐剤としてはフェノール又はその誘導体、o−フェニルフェノール、p−クロロメタクレゾール、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体等が挙げられる。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の版面保護剤に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、又種々のカビ、殺菌に対して効力のある様に2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。又、消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化等が何れも使用できる。好ましくは0.01〜1.0質量%の範囲が最適である。
更にキレート化合物を添加してもよい。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのナトリウム塩;エチレンジアミンジコハク酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩:ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩等の様な有機ホスホン酸類或いはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることが出来る。
上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代わりに有機アミンの塩も有効である。これらキレート剤はガム液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては0.001〜1.0質量%が適当である。
上記成分の他、必要により感脂化剤も添加することができる。例えばテレピン油、キシレン、トルエン、ローヘプタン、ソルベントナフサ、ケロシン、ミネラルスピリット、沸点が約120℃〜約250℃の石油留分等の炭化水素類、例えばジブチルフタレート、ジヘブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸ジエステル剤、例えばジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル類、例えばエポキシ化大豆油等のエポキシ化トリグリセリド類、例えばトリクレジルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェート等のリン酸エステル類、例えば安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル類等の凝固点が15℃以下で、1気圧下での沸点が300℃以上の可塑剤が含まれる。
更にカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ヘラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、イソ吉草酸等の飽和脂肪酸とアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、ニルカ酸、ブテシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、イワシ酸、タリリン酸、リカン酸等の不飽和脂肪酸も挙げられる。より好ましくは50℃において液体である脂肪酸であり、更に好ましくは炭素数が5〜25であり、最も好ましくは炭素数が8〜21である。これらの感脂化剤は1種もしくは2種以上併用することもできる。使用量として好ましい範囲は0.01〜10質量%、より好ましい範囲は0.05〜5質量%である。
本発明に係る現像液にて、露光部を除去した後は、乾燥することが好ましい。
乾燥時間は1〜5秒が好ましい。乾燥方式としては、温風ヒーター、遠赤外線ヒーターなど公知の乾燥方式を用いることができ、乾燥温度は55℃以上であることが好ましい。
(自動現像機)
本発明の平版印刷版材料の未露光部を水溶性樹脂及び界面活性剤を含有しpHが3〜9である現像液により除去するのには一般平版印刷版材料の現像処理に用いる自動現像機を使用するのが好ましい。
未露光部をpHが3〜9である現像液により除去する工程には、通常の一般感光性平版印刷版材料の現像処理に用いる自動現像機の現像浴を用いることが出来る。該現像浴は該現像液を一定温度に調整できる機構を有していることが好ましい。温度調節は20〜35℃の範囲で任意に設定できることが好ましい。また、自動的に該現像液を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは一定量を超える該現像液は、排出する機構が付与されており、好ましくは、通版を検知する機構が付与されており、好ましくは通版の検知を基に版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知及び/又は処理面積の推定を基に補充しようとする補充液の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは該現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは該現像液のpH及び/又は電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは該現像液のpH及び/又は電導度を基に補充しようとする補充液及び/又は水の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されている。
(印刷)
印刷は、一般的な平版印刷機を用いて行うことができる。
近年印刷業界においても環境保全が叫ばれ、印刷インキにおいては石油系の揮発性有機化合物(VOC)を使用しないインキが開発されその普及が進みつつあるが、本発明の効果はこのような環境対応の印刷インキを使用した場合に特に顕著である。環境対応の印刷インキとしては大日本インキ化学工業社製の大豆油インキ“ナチュラリス100”、東洋インキ社製のVOCゼロインキ“TKハイエコーNV”、東京インキ社製のプロセスインキ“ソイセルボ”等があげられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
《支持体1の作製》
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/mになるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、酢酸10g/L、アルミを5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dmの条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は8回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dmとし、合計で320C/dmの処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が2g/mになるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、25℃、20%硫酸水溶液中で、5A/dmの定電流条件で陽極酸化処理を行った。支持体1の陽極酸化皮膜付量は2.0g/mであった。陽極酸化処理後、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、50℃に保たれた0.5質量%のリチウムシリケート45(日産化学社製)水溶液に20秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、支持体1を得た。支持体1の表面粗さはRaで0.33μmであった。
[陽極酸化皮膜付量の測定]
支持体1について、面積を16等分に切り出し測定試料とした。
測定試料について、電子天秤で試料の質量を測定した。次いで、93℃に加熱した、リン酸クロム酸溶液に5分浸漬した。次いで、5分後に取り出し、純水で十分に水洗を行い表面を洗い流した。次いで、40℃に設定した乾燥機に20分放置して乾燥した。次いで、乾燥後の板の質量を測定し、質量変化から陽極酸化皮膜の付量を算出した。16枚のサンプルの平均値を陽極酸化皮膜付量とした。
[表面粗さの測定方法]
試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RST plusを用いて、20倍の条件(222.4μm×299.4μmの測定範囲)で測定し、傾き補正およびMedianSmoothingのフィルターをかけて測定データを処理してRa値を求めた。測定は一試料について測定箇所を変えて5回行い、その平均を求めてRa値とした。
《平版印刷版材料の作製》
支持体1上に、下記組成の親水性層用塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が2.5g/mとなるように塗布し、110℃で3分間乾燥して、親水性層を形成した。
Figure 2009258348
(画像形成層用塗布液の調製)
下記組成の素材を十分に混合攪拌し、濾過して固形分10質量%の表2の画像形成層塗布液を作製した。
前記支持体1の親水性層の上に、下記画像形成層塗布液1〜3を、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.7g/mとなるように塗布し、55℃で1分間乾燥した。
Figure 2009258348
※1)熱可塑性重合体粒子A:下記製造方法で得られた平均粒子径0.063μmのスチレンおよびアクリロニトリルからなる特開2006−106744号報実施例に記載されている重合体粒子
(熱可塑性重合体粒子Aの製造)
スチレンおよびアクリロニトリルを半連続的乳化重合により共重合する。
400リットル反応器に56リットルの脱塩水および2.7kgの脱塩水中の0.429kgのアルブライト・アンド・ウィルソン(ALBRIGHT & WILSON)から市販されているアニオン性界面活性剤であるエンピコル(Empicol)ESB/70を充填する。反応器を窒素下に置きそして80℃に加熱した。次に、0.6kgの過硫酸ナトリウムの2.5%水溶液を反応器に加えた。15分後に、13.26kgのスチレンおよび6.75kgのアクリロニトリルを含有する単量体混合物(50/50モル比)を3時間にわたり加える。同時に、3.4kgの5%過硫酸ナトリウム溶液を3時間にわたり加える。次に、反応混合物を30分間にわたり80℃に加熱する。その後、後−開始段階を行って残存単量体を転化させる。これは、1.25kgの水で希釈された0.144kgのtert−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の2時間20分にわたり添加により行われる。同時に、3.56kgの水で希釈された0.086kgのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物を2時間20分にわたり加える。分散液を20℃に冷却しそして1000ppmの抗生物質であるブロニドックス(Bronidox)(エタノール中15%)を加える。最後に、分散液をP10ガフ(Gaf)−フィルターを用いて濾過する。生じた分散液は2.8のpH、19.8質量%の固体含有量を有していた。またPCS(ブルックハーベン(Brookhaven)BI−90)を用いて測定したところ、平均粒子径は0.063μmであった。
※2)熱可塑性重合体粒子B:下記製造方法で得られた平均粒子径0.094μmのスチレンおよびアクリロニトリルからなる特開2006−106744号報実施例に記載されている重合体粒子
(熱可塑性重合体粒子Bの製造)
この重合体粒子は二段階:(1)単量体B−1の製造および(2)乳化共重合で製造された。
単量体B−1の製造:
1000mlの被覆された反応器に57.6gのメタクリル酸および515.6gの水を充填する。反応器を真空下に置きそして窒素を流した(これを3回繰り返した)。次に、5.8mgのコバルト酸(II)ビス(グリオキシム酸ボロンジフルオロジメチル)錯体(COBF)をメタクリル酸水溶液に不活性条件下で加えた。溶液を80℃に加熱し、そして次に4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)二ナトリウム塩の5%水溶液を含有する5.76gの開始剤溶液を加える。反応混合物を1時間にわたり80℃に加熱した。この単量体B−1の溶液を室温に冷却した。
乳化共重合:
2リットルの別の被覆された反応器に、45.4gのアルブライト・アンド・ウィルソンから市販されているアニオン性界面活性剤であるエンピコルESB/70の水中10%溶液および838.3gの水を充填する。この反応容器に窒素を流しそして単量体B−1の溶液を反応器に、それを不活性条件下に保ちながら、加える。次に、反応器を80℃に加熱しそして5%過硫酸ナトリウム水溶液を含有する6.05gの開始剤溶液を加える。反応混合物を次に15分間にわたり80℃に加熱し、そして引き続き302.4gのスチレンおよび5%過硫酸ナトリウム水溶液を含有する24.2gの開始剤溶液と4.8gの水との混合物を180分間にわたり投与する。その後、反応混合物をさらに60分間にわたり加熱し、そして残存単量体を減圧下で(60分間にわたり)除去する。分散液を次に冷却しそして濾過する。生じた分散液は21.61質量%の固体含有量、2.70のpHを有していた。またPCS(ブルックハーベン(Brookhaven)BI−90)を用いて測定したところ、平均粒子径は0.094μmであった。
※3)本発明に係る熱溶融粒子W:カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、軟化点65℃、融点80℃、140℃での溶融粘度8×10−3Pa・s、固形分40質量%)
Figure 2009258348
さらにその上に下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、65℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.3g/mの保護層を形成した後に40℃で24時間エージング処理を行い、平版印刷版材料101〜103を得た。
保護層塗布液(1)
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液 15質量部
(商品名:アクアリックDL522、株式会社日本触媒、平均分子量17万、固形分30.5%:水溶性樹脂)
ブロックイソシアネートWB−700 40質量部
二糖類トレハロース粉体(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分10質量% 35質量部
青色色素(商品名:青色2号、キリヤ化学株式会社製) 2質量部
マット剤:平均粒径8μmの単分散シリカ粒子 3質量部
マット剤:平均粒径3.5μmの単分散シリカ粒子 5質量部
上記平版印刷版材料を二分し、片方を経時代用サーモとして55℃相対湿度48%の条件で5日間保管した。残りは23℃相対湿度48%の条件で5日保管した。
《赤外線レーザによる露光》
得られた平版印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザビームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像は1〜100%の網点画像と2400dpiのラインアンドスペース細線画像および平版印刷版材料の四隅に位置確認用のトンボとを含むものである。トンボの位置は、画像端から3cmの位置に配置した。
《現像処理》
上記で露光した平版印刷版材料(表2記載)について、自動現像機(Raptor 85 Thermal GLUNZ&JENSEN社製)にて、下記に示す現像液1〜6を表2記載のように用いて現像処理を行った。その後は現像後の水洗槽には水を入れず、そのまま乾燥させ、平版印刷版を得た。
(現像液1)
珪酸カリウム水溶液(SiO:26質量%、KO:13.5質量%)
4.0質量%
エチレンジアミンテトラ酢酸 0.05質量%
ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2.0質量%
水酸化カリウム pH12.3になる量
残余の成分は水。
(現像液2)
白色デキストリン 5.0質量%
ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン 10.0質量%
アラビアガム 1.0質量%
燐酸第1アンモン 0.1質量%
ジラウリルコハク酸ナトリウム 0.15質量%
ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.5質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体
(エチレンオキシド比50mol%、分子量5000) 0.3質量%
エチレングリコール 1.0質量%
1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.005質量%
リン酸 (25℃においてpH=2.5となる量を添加)
(現像液3)
現像液2の組成において、リン酸をpH=3.2になる量を添加したもの。
(現像液4)
現像液2の組成において、リン酸及びトリエタノールアミンをpH=5.8になる量を添加したもの。
(現像液5)
現像液2の組成において、リン酸のかわりにトリエタノールアミンをpH=8.8になる量を添加したもの。
(現像液6)
現像液2の組成において、リン酸のかわりに炭酸カリウムをpH=9.5になる量を添加したもの。
《評価》
(経時による感度変動)
平版印刷版材料について、経時代用サーモとして55℃相対湿度48%の条件で5日間保管したものの、23℃相対湿度48%の条件で5日保管したもの、に対する経時による感度変動を測定した。
感度は、前記自動現像機(Raptor 85 Thermal GLUNZ&JENSEN社製)を用い30℃20秒で上記現像液を用いて現像した100%網点画像の各エネルギーの濃度を濃度計〔D196:GRETAG社製〕で測定する。現像後の100%網点画像の濃度が、未塗布部の支持体濃度+0.01となるエネルギー量を感度とした。
23℃相対湿度48%の条件で5日間保管した平版印刷版材料を露光現像行ったときの感度をS1とし、経時代用サーモ処理として55℃相対湿度48%の条件で5日間保管した平版印刷版材料を露光現像行ったときの感度をS2として、S1とS2の差の絶対値を計算し、それを経時による感度変動の値として示す。
(印刷での非画像部汚れの発生)
平版印刷版材料について、経時代用サーモとして55℃相対湿度48%の条件で5日間保管したものを現像して作製した平版印刷版を、印刷機(小森コーポレーション製のLITHRONE26)にかけて、湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所製)の2質量%溶液、インクとして東洋インキ製造株式会社製のVOCゼロインキのTKハイエコーNVの紅のインクを使用してコート紙に30000枚印刷を行った。
500枚目の非画像部に対し、30000枚目の非画像部がどの程度色差ΔE(濃度差)が変動したかを前記濃度計〔D196:GRETAG社製〕で測定し、経時による印刷での非画像部汚れの発生を表す指標として示す。ΔEが0.3以上変動した場合は実用に耐えない。
(耐刷性)
平版印刷版材料について、経時代用サーモとして55℃相対湿度48%の条件で5日間保管したものを現像して作製した平版印刷版を、印刷装置:三菱重工(株)製DAIYA1−Fを用いて、湿し水はアストロマーク3(株式会社日研化学研究所製)2質量%水溶液、インクはスペースカラーフュージョンG ST 紅N(大日本インキ化学工業(株)製)を使用してコート紙で耐刷性の評価を行った。表面側をパウダー(商品名:ニッカリコM(ニッカ(株)製))を使用し、印刷装置のパウダー目盛10で噴霧しながら5万枚印刷した。インクが乾いた後に反転させ、裏面を前記条件で5万枚まで印刷した。その際に1000枚毎にサンプルを抜きだし、裏面側の3%網点画像の点が半分以上欠落する印刷枚数を耐刷性を表す耐刷枚数として求めた。耐刷枚数としての印刷枚数が多いほど耐刷性に優れている。耐刷性を表3に示す。
結果を、表3に示す。
Figure 2009258348
表3から明らかなように、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、本発明の場合には、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生、耐刷性に優れていることがわかる。
本発明により、平版印刷版材料を長期間保存した場合でも、感度変動や印刷での非画像部汚れの発生抑制、耐刷性に優れた平版印刷版材料、平版印刷版材料の処理方法、および、平版印刷版の作製方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を赤外レーザ光源により画像情報を露光記録した後、該平版印刷版材料の未露光部分をpHが3から9の範囲の現像液で除去できる平版印刷版材料において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 前記支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
  3. 前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版材料。
  4. 親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を、赤外レーザ光源により画像情報を露光、記録した後、pHが3から9の範囲の現像液で未露光部を除去する平版印刷版材料の処理方法において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料の処理方法。
  5. 支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版材料の処理方法。
  6. 前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の平版印刷版材料の処理方法。
  7. 親水性表面を有する支持体上に光熱変換材料を含有する層を有する構成層を有する平版印刷版材料を、赤外レーザ光源により画像情報を露光、記録した後、pHが3から9の範囲の現像液で未露光部を除去する平版印刷版の作製方法において、該構成層中に熱溶融粒子を含有することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  8. 支持体が陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体であり、前記陽極酸化皮膜の平均付量が1〜3g/mであることを特徴とする請求項7に記載の平版印刷版の作製方法。
  9. 前記pHが3から9の範囲の現像液が、水溶性樹脂または界面活性剤を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の平版印刷版の作製方法。
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