JP2007290148A - 印刷版材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、良好な機上現像性、耐刷性、耐薬品性を有し、かつ、熱保存安定性が良好な印刷版材料を提供することである
【解決手段】親水性表面を有する支持体上に、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該画像形成層が、(a)水溶性リン酸エステル化合物、(b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、(c)水溶性化合物を1〜40質量%、(d)光熱変換剤を1〜20質量%、含有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明は印刷材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取り扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTP方式の印刷版材料が求められている。特に近年、バイオレット(405nm)〜赤外線レーザー記録による種々の方式のCTP方式の印刷版材料(以下CTPとも略記)が提案されている。
これらCTPのひとつとして、露光により印刷版材料の画像形成層の現像液への溶解性を変化させて、液現像により画像を形成する方式、一般にウェットタイプのCTPと呼ばれている方式が挙げられる。この方式では従来のPS版と同様に現像に専用のアルカリ現像液が必要であったり、現像液の状態(温度、疲労度)によって現像性が変化し、画像再現性が得られなかったり、明室での取り扱い性に制限があったりと、種々の問題を有している。
これに対して特別な現像処理を必要としない、いわゆるプロセスレスCTP(印刷機上での現像を含む)の開発も進められている。プロセスレスCTPは印刷装置上で直接画像記録を行い、そのまま印刷を行う、ダイレクトイメージング(DI)方式の印刷装置に適用することが可能であることからも大きな注目を集めている。
プロセスレスCTPのひとつの形態として、アブレーションタイプのCTPが挙げられる。例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものである。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層、下層が光熱変換素材を含む親油性層であれば、画像様に露光し、親油性層の爆発的な発熱によって、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、露光中にアブレート物が版面から飛散するため、露光装置にはアブレート物を吸引除去する機構を設ける必要があり、露光装置の汎用性に欠ける。また、アブレーションには大きなエネルギーを要するために一般的に感度が低い、つまりは、同一の露光装置を用いた場合に生産性が劣るという欠点を有している。
一方、アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり、かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば、画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性の結合剤とを用いた湿し水現像可能なプロセスレスCTP(以降、機上現像CTP)が挙げられる(特許文献1参照)。
このような機上現像CTPは露光装置に特別な機構を付加する必要がないため、ウェットタイプのサーマルCTP用の露光装置と同じ露光装置で露光することができ、また、比較的高感度の設計が可能であるため、十分な露光生産性を得ることが可能である。
機上現像CTPの一般的な構成は、親水性表面を有する基材上に機上現像可能な画像形成層を設けたものである。機上現像可能な画像形成層は、熱可塑性疎水性樹脂粒子、疎水性化合物を内包するマイクロカプセルといった感熱性の疎水化前駆体と、水溶性樹脂等の機上現像促進剤とを含有するものである。
上記の感熱性の疎水化前駆体は赤外線レーザー露光によって生じた熱により、融着を生じたり、画像形成層自体を架橋や重合させたりすることによって親水性表面基材状に固着させ、印刷機の水ローラーおよびインキローラーとの接触によっても除去されない画像強度を得る効果を発現するものである。
しかし、このような感熱性の疎水化前駆体を用いた機上現像CTPは、一般的に熱保存安定性に劣り、高温保存後の機上現像性の劣化が大きな問題となっていた。
熱保存安定性を向上させるには、例えば、熱可塑性疎水性樹脂粒子の軟化点や融点を上げる方法が挙げられるが、この方法は感度の大きな劣化を伴うものである。
また、画像形成層中の水溶性化合物の比率を増加させることでも、熱保存安定性を向上させることができるが、この方法も感度の低下を伴うものであり、さらに、露光により形成された画像部塗膜の内部に、多くの水溶性化合物を内包することとなるため、画像部の強度や耐水性が劣化し、耐刷性や耐薬品性も劣化するものである。
また、親水性の下塗層を設ける方法といった方法が知られている(特許文献2参照)が、例示されている化合物を用いても、熱保存安定性は充分とはいえない場合があった。
このように、機上現像CTPにおいて、熱保存安定性を向上させ、かつ、耐刷性や耐薬品性をも満足させることは困難であった。
特開平9−123387号公報 特開2000−122271号公報
本発明の目的は、良好な機上現像性、耐刷性、耐薬品性を有し、かつ、熱保存安定性が良好な印刷版材料を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.親水性表面を有する支持体上に、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該画像形成層が、
(a)水溶性リン酸エステル化合物、
(b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、
(c)水溶性化合物を5〜40質量%、
(d)光熱変換剤、
を含有することを特徴とする印刷版材料。
2.親水性表面を有する支持体上に順に、下塗層および機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該下塗層が(a)水溶性リン酸エステル化合物を含有し、該画像形成層が、
(b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、
(c)水溶性化合物を5〜40質量%、
(d)光熱変換剤、
を含有することを特徴とする印刷版材料。
3.前記水溶性リン酸エステル化合物が、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とする1または2に記載の印刷版材料。
本発明の上記構成により、良好な機上現像性、耐刷性、耐薬品性を有し、かつ、熱保存安定性が良好な印刷版材料が提供できる。
本発明は、親水性表面を有する支持体上に、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該画像形成層が、(a)水溶性リン酸エステル化合物、(b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、(c)水溶性化合物を1〜40質量%、(d)光熱変換剤を1〜20質量%、含有することを特徴とする。
本発明においては、特に特定量の水溶性化合物、熱可塑性粒子、光熱変換剤と、水溶性リン酸エステル化合物を組み合わせることにより、良好な機上現像性、耐刷性、耐薬品性を有し、かつ、熱保存安定性が良好な印刷版材料が提供できる。
本発明に係る画像形成層は光熱変換剤を有しており、画像様露光により、画像様に加熱され、熱された部分の画像形成層がインク着肉性の画像を形成し、加熱されなかった部分の画像形成層は除去され親水性の表面を露出させ、印刷版としての画像を形成し得るものである。
本発明に係る印刷機上現像可能とは、露光後、平版印刷における湿し水及びまたは印刷インキにより非画像部の画像形成層が除去され得ることをいう。
本発明に用いられる各成分について説明する。
(a)水溶性リン酸エステル化合物
本発明に係る、リン酸エステル化合物は、25℃の水100gに0.1g以上溶解するリン酸エステルをいい、25℃の水100gに1g以上溶解するリン酸エステルが好ましく用いられる。
具体的には、例えば下記一般式(1)で表される構造の化合物を挙げることができる。
Figure 2007290148
一般式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Mは水素原子、又はアルカリ金属原子(例えばナトリウム、カリウム等)、アミン化合物等の有機塩基を示し、エチレンオキサイド鎖は置換基を有していてもよく、nは0〜30の整数、mは1、2、又は3である。
中でも本発明においては、水溶性リン酸エステル化合物が、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい態様である。
以下、リン酸エステル化合物の具体例を挙げるが、これらに限られるものではない。
CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(OH)2
n=1〜8
[CH2=C(CH3)COO(C24O)n]mP=O(OH)3-m
n=1、m=1〜2
CH2=CHCOO(C24O)P=O(OH)2
[CH2=CHCOO(C24O)n]mP=O(OH)3-m
n=1、m=1〜2
CH2=C(CH3)COO(C24O)P=O(OH)(ONH324OH)
[CH2=C(CH3)COO(C24O)]2P=O(OH)
[CH2=CHCOO(C24O)]3P=O
画像形成層中の水溶性リン酸エステル化合物の含有量は、画像形成層に対して、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜6質量%の範囲であることがより好ましい。
画像形成層の乾燥付量としては、0.05〜2g/m2の範囲であることが好ましく、0.2〜1g/m2の範囲であることがより好ましい。
本発明に係る画像形成層は、後述する支持体上に塗布、乾燥することで形成される。画像形成層の塗布溶媒としては、水単独、もしくは、水と有機溶媒(アルコール類、MEK(メチルエチルケトン)等)との混合溶媒を用いることが好ましい。
画像形成層塗布液中に含有されるリン酸エステル化合物は、支持体上に塗布される際、画像形成層と支持体との界面近傍に局在化して存在すると考えられ、一種の離型層として機能することで、未露光部の機上現像性を向上させると推測される。
また、印刷版材料が40〜60℃程度の高温環境下に1〜数日保持された場合においても、機上現像性の劣化はほとんど見られないが、これは、上記離型層が、熱に安定であるためと推察される。
本発明に係るリン酸エステル化合物を用いることで、通常、機上現像性を付与するために用いられる後述する水溶性化合物の画像形成層中の含有量が少ない領域においても良好な機上現像性を得ることができるようになる。
一方で、露光部においては、熱可塑性樹脂粒子の支持体表面への融着の阻害は少なく、実質的な感度低下は見られない。また、上述のように、画像形成層中の水溶性化合物含有量を低減することが可能となるため、画像部塗膜中に残存する水溶性成分が低減するため、画像強度・耐水性が向上し、結果として、耐刷性、耐薬品性が向上すると推察される。
(b)熱可塑性樹脂粒子
本発明に係る熱可塑性樹脂粒子は、熱可塑性樹脂の粒子であり、この粒子の平均粒子径は10〜600nmの範囲にあることが必要である。平均粒子径は、さらに20〜300nmの範囲にあることが好ましく、40〜150nmの範囲にあることがより好ましい。
ここでいう平均粒子径とは、粒径を長径と短径との平均値として、100個について、走査型電子顕微鏡で観察して粒径を測定し、これらの粒径の値から求めた平均値である。
上記範囲内に平均粒子径の異なる熱可塑性樹脂粒子を複数種混合して用いることもでき、この場合熱可塑性樹脂としては、同じであっても異なってもよい。
熱可塑性樹脂粒子として、具体的には、下記を挙げることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂粒子としては、熱溶融性粒子および熱融着性粒子を挙げることができる。
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものが好ましい。又、これらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましい。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
熱融着性粒子としては、熱可塑性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましい。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
本発明においては、画像形成層中の熱可塑性樹脂粒子の含有量は、感度、機上現像性、耐刷性の面から、画像形成層に対して、50〜90質量%であり、55〜80質量%であることが好ましく、60〜75質量%であることがより好ましい。
(c)水溶性化合物
本発明に係る水溶性化合物は、25℃の水100gに0.1g以上溶解する化合物をいい、好ましくは25℃の水100gに1g以上溶解する化合物である。但し本発明に係る水溶性化合物は、上述の水溶性リン酸エステル化合物及び本発明に係る光熱変換剤は、除いたものである。
画像形成層中の水溶性化合物の含有量は画像形成層に対して、機上現像性性、耐薬品性の面から1〜40質量%であり、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
水溶性化合物の具体例としては、下記を挙げることができるが、これに限られるものではない。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、テトラエチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、リン酸塩(リン酸三Na、リン酸水素二Na、リン酸二水素Na、リン酸グアニジン)、炭酸塩(炭酸Na、炭酸グアニジン)、その他水溶性の有機塩、無機塩。糖類(単糖、オリゴ糖等)、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩等の水溶性ポリマーが挙げられる。また、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス等の水分散性ラテックスを挙げることができる。
また、水溶性の重合性化合物を用いることもできる。具体的には下記を挙げることができる。
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ソーダ、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、β−エトキシエチルセロソルブ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアルデヒド、N、N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−ヘキシルオキシエチル−N−メタクリロイルカルバマート、(メタ)アクリル酸アリル、アクリル酸−2−クロロエチル、2、2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルイミノ−1−フェニル−5−ピラゾロン、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n=2)モノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、琥珀酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌルエチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル。
本発明に係る水溶性化合物としては、上記のなかでも上述の有機塩、無機塩といった塩化合物や水溶性ポリマーが好ましく用いられる。特に塩化合物と水溶性ポリマーとを併用することが好ましい。
(d)光熱変換剤
本発明に係る光熱変換剤は、露光光を熱に変換し画像形成層に画像を形成し得る素材であり、光熱変換剤としては下記のような色素、顔料を挙げることができる。
色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。
分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
本発明においては、画像形成層中の光熱変換剤の含有量は、画像形成層に対して、1〜20質量%であり、3〜15質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。
本発明に係る画像形成層は、上記の成分の他に、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤等を含んでもよく、さらに重合開始剤を含有させることもできる。重合開始剤としては、水溶性もしくは水分散性であることが好ましい。
水溶性の光重合開始剤としては、例えば、(2−アクリロイルオキシ)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウム、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3、4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモニウム、2(2′−トリメチルアンモニウムエチルアミノ)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の公知のものを挙げることができ、水分散性の重合開始剤としては、従来公知の有機溶剤溶解性の重合開始剤を、オイルプロテクト分散法等を用いて水分散物として使用すればよい。
本発明のもう一つの態様は、親水性表面を有する支持体上に順に、下塗層および機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、上記下塗層が(a)水溶性リン酸エステル化合物を含有し、上記画像形成層が、(b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、(c)水溶性化合物を1〜40質量%、(d)光熱変換剤を1〜20質量%、含有することを特徴とする印刷版材料である。
本発明のリン酸エステル化合物を含有する下塗層を設ける態様においても、上述と同様の効果を得ることができる。
下塗層におけるリン酸エステル化合物の乾燥付量としては、1〜50mg/m2が好ましく、5〜30mg/m2がより好ましい。
下塗層中には、さらに、上述の水溶性化合物、水溶性の重合性化合物、重合開始剤、光熱変換剤等を含有させることができる。上述の水溶性化合物のうち、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩等の水溶性ポリマーは、下塗層の結合剤としても機能する。
下塗り層は、上記の成分を含む下塗り層用塗布液を、支持体上に塗布、乾燥することにより得ることができる。下塗り層用塗布液に用いられる塗布溶媒としては、水、アルコール、その他水と混和する有機溶剤などが挙げられる。
(支持体)
本発明に係る親水性表面を有する支持体とは、印刷時、感熱画像形成層が除去された部分が水受容性となり非画像部となり得る表面を有する基材であり、基材表面を親水化処理し、親水性の表面層を有する基材、親水性物質を含む親水性層を設けた基材を用いることができる。
本発明に係る支持体としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができ、例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。
支持体の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
本発明に係る支持体としては、基材表面を親水化処理した金属板が好ましく用いられる。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、本発明においては、比重と剛性との関係から、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下両者含めてアルミニウム板と称する)が好ましく、加えて、公知の粗面化処理、陽極酸化処理、表面親水化処理のいずれかの処理がなされたもの(所謂アルミ砂目板)がより好ましい。
基材として用いるアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
基材として用いられるアルミニウム板は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、基材の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、基材表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、基材表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、基材表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、基材の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号公報、英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2、更には200〜1000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことが好ましい。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、基材上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
陽極酸化処理された基材は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、親水化処理として、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
基材として用いられるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等のフィルムを挙げることができる。
(露光)
本発明に係る印刷版材料は、レーザー光を用いて画像を形成するのが好ましい。
その中でも、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。
レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。又特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
(印刷)
画像露光された印刷版材料は、湿し水及び印刷インクを用いる一般的な平版印刷に供することができる。
印刷方法としては、特に湿し水としてイソプロノールを含有しない(含有しないとは水に対して0.5質量%以下の含有率である)湿し水を使用する場合が好ましい態様である。
本発明の印刷版材料を赤外線レーザーにより画像露光をし、印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより機上現像を行い、印刷する。
画像形成後の印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版材料を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラー及びまたはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで感熱画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
上記の非画像部の除去、いわゆる機上現像方法を下記に示す。
印刷機上での感熱画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
本発明に係る感熱画像形成層は、特定のブロック化イソシアネート化合物の水分散物を塗布乾燥して得られた層であるため、比較的高温環境下に保存した場合でも、印刷機上での機上現像が可能であり、良好な画像形成を行なうことが可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(支持体の作製)
以下のようにして支持体を作製した。支持体は、下記の方法により表面形状を測定した。結果を表1に示した。
[表面形状パラメータの測定方法]
試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RST plusを用いて、40倍の条件(111.2μm×149.7μmの測定範囲で、測定点は236×368、解像度は約0.5μm)で測定し、傾き補正およびMedian Smoothingのフィルターをかけて測定データを処理してノイズを取り除いた後、Ra値を求めた。測定は測定箇所を変えて5回行ない、その平均を求めた。
[支持体1]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行ない水洗した後、25℃の5質量%硝酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸11g/L、酢酸10g/L、アルミ8g/Lを含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が80A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は、8回に分割して行ない、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2、合計の処理電気量(陽極時)を320C/dm2とした。また、各回の処理の間に3秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた10質量%リン酸水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が0.65g/m2になるようにエッチングし、水洗した。
次いで、20%硫酸水溶液中で、5A/dm2の電流密度で付量2.5g/m2の陽極酸化皮膜を形成させる条件で陽極酸化処理を行ない、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた0.5質量%のリン酸水素二Na水溶液に15秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、支持体1を得た。
上述の方法により、支持体の表面形状パラメータRa値を求めた。Ra値は0.38μmであった。
[支持体2]
支持体1の表面に下記の下塗層塗布液Aを、乾燥付量が10mg/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して、下塗層を有する支持体2を得た。
下塗層塗布液A
下記の水溶性リン酸エステル化合物(1) 0.15部
純水 99.85部
Figure 2007290148
[支持体3]
支持体1の表面に下記の下塗層塗布液Bを、乾燥付量が15mg/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して、下塗層を有する支持体3を得た。
下塗層塗布液B
下記の水溶性リン酸エステル化合物(2) 0.15部
純水 99.85部
Figure 2007290148
[支持体4]
支持体1の表面に下記の下塗層塗布液Cを、乾燥付量が10mg/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して、下塗層を有する支持体4を得た。
下塗層塗布液C
下記の水溶性リン酸エステル化合物(3) 0.11部
ポリアクリル酸水溶液(Mw.250万、固形分10質量%) 0.38部
純水 99.51部
Figure 2007290148
n=1と2の混合物、平均分子量266
実施例1
[画像形成層塗布液の調製]
下表の各素材を十分に混合攪拌し、ろ過して、固形分濃度5質量%の各画像形成層塗布液を調製した。素材の添加順としては、熱可塑性樹脂粒子の水分散液に純水を添加し、次いで、これを攪拌しながら水溶性化合物水溶液を滴下して混合した。次に、水溶性リン酸エステル化合物を含有する場合は、その水溶液を滴下して混合し、次いで、その他の添加剤を含有する場合はこれを添加混合した。最後に光熱変換剤であるシアニン色素の水溶液を滴下して混合した。
画像形成層塗布液組成(表中の数値は質量部を表す)
Figure 2007290148
Figure 2007290148
[印刷版材料の作製]
表2に示す組み合わせで、各支持体上に各画像形成層塗布液を、乾燥付量が0.5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、55℃で3分間乾燥した。次いで、これを40℃で24時間エイジング処理して、表2に示す各印刷版材料を得た。各印刷版材料はエイジング処理後そのまま評価するものと、さらに55℃48時間の加熱保存処理を行った後に評価するものとの2種類を作製し、以下の評価を行なった。
[赤外線レーザーによる露光]
各印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。露光エネルギーは300mJ/cm2とした。
[印刷方法]
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インキ(東洋インキ社製TKハイユニティMZ紅)を使用して印刷を行なった。
露光後の印刷版材料をそのまま版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて500枚の印刷を行なった。
次いで、印刷用紙を上質紙(しらおい)に変えて、2万枚まで印刷を行った。
[機上現像性評価]
刷り出しから何枚目の印刷物で良好な画像が得られるかを求めた。良好な画像とは、地汚れがなく、90%網点画像の目が開いており、かつ、ベタ画像部の濃度が1.5以上であることとした。コート紙500枚の印刷でも良好な画像が得られなかった場合は、500枚以上とした。結果を表2に示した。
[耐刷性評価]
印刷1000枚ごとに印刷物をサンプリングし、3%網点画像部およびベタ画像部の画像劣化の程度を確認した。3%網点画像部において網点の欠落が確認できた時点、もしくは、ベタ画像部において目視でカスレが確認できた時点を耐刷終点とし、その印刷枚数を耐刷枚数とした。2万枚印刷後でも3%網点画像の欠落や、ベタ画像のカスレが確認できなかったものは2万枚以上とした。結果を表2に示した。
[耐薬品性評価]
上記と同様にして、コート紙を用いた500枚の印刷を行なった。印刷後の版面を、ウルトラプレートクリーナー(エスケー液製造社製)を含ませたスポンジで版面にクリーナーを均一に塗布した。この状態で2分間保持した後、水を絞ったスポンジで版面のクリーナーを拭き取った。次いで、さらに100枚の印刷を行ない、500枚目と600枚目の印刷物を比較して、クリーニング処理前後での画像(10〜50%網点画像部、および、ベタ画像部)の劣化の程度を下記の指標で目視評価を行なった。結果を表2に示した。
○:画像の劣化がほとんど見られない
△:10〜50%網画像部に劣化が見られる
×:ベタ画像部に劣化が見られる
表2から、本発明の印刷版材料は熱保存処理後にも良好な機上現像性を有し、かつ、耐刷性や耐薬品性にも優れることが分かる。
Figure 2007290148

Claims (3)

  1. 親水性表面を有する支持体上に、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該画像形成層が、
    (a)水溶性リン酸エステル化合物、
    (b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、
    (c)水溶性化合物を5〜40質量%、
    (d)光熱変換剤、
    を含有することを特徴とする印刷版材料。
  2. 親水性表面を有する支持体上に順に、下塗層および機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において該下塗層が(a)水溶性リン酸エステル化合物を含有し、該画像形成層が、
    (b)平均粒子径が10〜600nmである熱可塑性樹脂粒子を50〜90質量%、
    (c)水溶性化合物を5〜40質量%、
    (d)光熱変換剤、
    を含有することを特徴とする印刷版材料。
  3. 前記水溶性リン酸エステル化合物が、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
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