JP2007223055A - 印刷版材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】機上現像タイプの印刷版材料の支持体として用いても現像残膜を生じ難い印刷版材料用支持体を用いることにより、地汚れおよび耐刷性が良好な印刷版材料を提供。
【解決手段】支持体上にアルカリを含む水溶液で現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[1]の範囲にある印刷版材料。
式[1] 0.30≦WRa/RRa<0.55
但し、WRa:高周波成分を除去し計算した中心面平均粗さ(μm)。RRa:低周波成分を除去し計算した中心面平均粗さ(μm)。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の印刷版材料用支持体を用いた印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
印刷版材料用支持体は、一般に、アルミまたはアルミ合金板に、脱脂処理、粗面化処理、陽極酸化処理および親水化処理等の処理が施されて製造される。これらの各処理条件をコントロールすることにより、支持体表面の数十ナノメーターから数十ミクロンにまでにわたる種々のオーダーの微細凹凸形状を調整することができ、製版時や印刷時の種々の性能改良を目的とした多くの検討がなされてきている。
印刷版材料用支持体の表面形状に強くかかわる製版時の性能として、現像性が挙げられる。
一般に、印刷版材料は支持体上に一層もしくは複数層からなる画像形成層を設けた構成となっている。画像形成層は特定波長の光源に対して感応する性質を有しており、露光領域の画像形成層は、特定の現像液、一般的にはアルカリを含有する水溶液に対する溶解性が変化し、未露光領域の画像形成層と溶解性の差が生じる。このような画像形成層の露光/未露光での溶解性の差を利用して、現像による画像形成が行なわれる。
印刷版材料用支持体は、中心線平均粗さ:Raで0.2〜1μm程度の表面粗さを有しているが、このような表面粗さを有する支持体上に画像形成層を塗布、乾燥して設けた場合、表面の凹凸に起因する画像形成層の微視的な膜厚ムラを生じることが知られている。画像形成層の膜厚の厚い部分(支持体の凹部に対応)と薄い部分(支持体の凸部に対応)とでは、現像液に溶解するのに要する時間が異なる(厚い方がより時間を要する)ため、印刷版材料の現像条件を平均的な画像形成層膜厚の領域が溶解する条件とした場合には、支持体凹部の底部に画像形成層の未溶解部分、いわゆる残膜を生じることとなる。残膜は印刷時の地汚れや網点カラミの原因となるため、一般的には、ハイライト部分の小点の飛び(過度な現像による画像部分の溶解)を犠牲にして、残膜を生じないような強い条件の現像条件で現像を行なうことになる。
このような画像形成層の微視的な膜厚ムラを改善するために、支持体表面の凹凸分布を均一化する種々の検討が行われてきている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、これらの検討は、支持体表面の個々のピットや凹凸に対する規定を行なったものであり、支持体表面全体の均一性の指標としては不十分であり、残膜への改善効果も不十分なものであった。
一方で、印刷の分野においては、アルカリを含有する水溶液のような特別な薬剤による現像処理が不要である中性もしくはそれに近い水溶液か、もしくは、普通の水で現像可能な、いわゆる、ケミカルフリーの印刷版材料や、露光後そのまま印刷することのできるプロセスレスタイプの印刷版材料が求められている。プロセスレス印刷版材料としては、画像形成層の未露光部を印刷機上で湿し水やインキを用いて除去する、いわゆる、機上現像タイプの印刷版材料を挙げることができる。
機上現像タイプの印刷版材料とは、例えば、画像形成層に赤外線レーザ露光で発生する熱により画像形成可能とする疎水化前駆体として、熱可塑性疎水性樹脂微粒子や、疎水性化合物を内包するマイクロカプセルを含有するものである。
このような機上現像タイプの印刷版材料においては、現像条件は、現像済の印刷版を用いて通常行なわれている、印刷刷り出し時のシークエンスから大きく逸脱しない範囲の条件、好ましくは通常の刷り出しシークエンスの条件に限定される。このため、支持体表面の凹凸分布の均一性の程度が、残膜の有無に大きく影響することがわかってきているが、現状では支持体表面の均一性は不十分であるため、画像形成層の水溶性成分の比率を増加することや、画像形成層と支持体表面との間に離型性のある中間層を設けること等によりして残膜を解消する試みが行なわれている。しかし、こういった方法での残膜改善では、耐刷性の低下が避けられず、機上現像性と耐刷性との両立が困難なものとなっている。
このように、機上現像においても残膜や残膜起因の地汚れを生じないような表面凹凸の均一性の優れた印刷版材料用支持体が望まれている。
本発明者は、上記を鑑み、機上現像タイプの印刷版材料に適した、現像残膜を生じ難い支持体表面凹凸均一化の検討を行い、本発明に至ったものである。
特開2004−114677号公報 特開2003−145958号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、機上現像タイプの印刷版材料の支持体として用いても現像残膜を生じ難い印刷版材料用支持体を用いることにより、地汚れおよび耐刷性が良好な印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.支持体上にアルカリを含む水溶液で現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[1]の範囲にあることを特徴とする印刷版材料。
式[1] 0.30≦WRa/RRa<0.55
但し、式[1]中、
WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
RRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
2.支持体上に水現像、もしくは、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[2]の範囲にあることを特徴とする印刷版材料。
式[2] 0.30≦WRa/RRa<0.50
但し、式[2]中、
WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
RRa: 三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
本発明によれば、機上現像タイプの印刷版材料の支持体として用いても現像残膜を生じ難い印刷版材料用支持体を用いることにより、地汚れおよび耐刷性が良好な印刷版材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の請求項1に係る発明の印刷版材料は、支持体上にアルカリを含む水溶液で現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[1]の範囲にあることを特徴とする。
式[1] WRa/RRa<0.55
但し、式[1]中、
WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
RRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)。
ここで、本発明のアルカリを含む水溶液とは、pHが10以上〜14未満の水溶液であり、好ましくは、pHが11以上〜13.5未満の水溶液である。
本発明に用いられる三次元表面粗さ測定装置としては、水平解像度が1μm未満であり、かつ、垂直解像度が0.1μm未満の触針式、もしくは、光学式の測定装置を好ましく用いることができる。特に非接触測定である光学式の測定装置を用いることが好ましい。
このような光学式の三次元表面粗さ測定装置としては、例えば、ピンホール共焦点の原理を用いたキーエンス社製の形状測定顕微鏡VKシリーズ(VK−8550、VK−9500等)や、光干渉の原理を用いたVeeco社(旧WYKO社)製のWYKOシリーズ(WYKO RST Plus、WYKO NT1100、WYKO NT3300等)を挙げることができる。
三次元粗さデータからカットオフフィルターによって特定波長成分を除去する方法としては、公知の方法を用いることができる。上述の光学式三次元表面粗さ測定装置には、解析ツールとしてカットオフフィルター機能を有しており、これを用いることで、本発明のWRa、RRaを求めることができる。この際、測定データの精度向上のため、測定試料の傾きノイズの補正や、円筒状・球面状の変形ノイズの補正、解像度近傍の微細粗さノイズの除去等、50μmを超える程度の波長の粗さ成分や、1μm未満程度の波長の粗さ成分をあらかじめ除去しておくこともできる。
本発明のWRaは長波長の粗さ成分のみの平均的な粗さを示す指標である。長波長の粗さ成分とは、主に、数10μm以上の開口径を有する粗大なピットや、数10μm以上の間隔で存在する不均一な粗さ構造に起因する粗さである。WRaの数値が大きくなると一般的には画像形成層の現像残膜が劣化する傾向がある。
次に、本発明のRRaは短波長の粗さ成分のみの平均的な粗さを示す指標である。短波長の粗さ成分とは、主に、10μm以下の開口径を有する小ピットや、10μm以下の間隔で存在する均一な粗さ構造に起因する粗さである。RRaの数値が大きいということは、例えば、10μm以下の開口径を有するピットが稠密に存在していることを意味し、一般的には画像形成層の膜厚分布は均一となって現像残膜は良好となる傾向があり、また、保水性向上による印刷時の水量ラチチュード向上や、微細凹凸構造によるアンカー効果による耐刷性向上にも寄与する傾向がある。
上記のような傾向はあるものの、例えば、WRaの数値単独では、現像残膜が良好な支持体表面形状を規定することはできない。これは、長波長の粗さ成分(数10μm以上の開口径のピットや、数10μm以上の波長のうねり等)に、10μm以下の開口径を有する小ピットが重畳されて稠密に存在した場合等には、小ピットの影響が支配的になって、現像残膜が良好となる場合があるからである。
このような見地から、本発明者が種々の検討を行った結果、WRa/RRaを0.55未満とすることで、現像残膜は安定して良好となることを見出したものである。
本発明の請求項1に記載の発明において、WRa/RRaの値は0.30以上0.55未満であり、好ましくは、0.35以上0.55未満であり、より好ましくは、0.35以上0.50未満である。0.30未満では、印刷時の湿し水保持性の劣化や耐刷性劣化の懸念が生じる。一方、0.55以上では残膜を生じる懸念が出てくる。
支持体の通常の三次元表面粗さ:中心線表面粗さRaとしては、0.20〜0.80μmであることが好ましく、0.25〜0.60μmであることがより好ましい。Raが0.20μm未満では、画像形成層の構成によっては耐刷性が不十分となる懸念がある。また、Raが0.80μmを超えると、高精細画像やFMスクリーン、AM・FMハイブリッドスクリーンの画像において、網点の点質が不良となる懸念が出てくる。
本発明に用いられる画像形成層としては、アルカリ現像可能である公知のネガタイプ、もしくは、ポジタイプの画像形成層を用いることができる。また、現像液である、アルカリを含む水溶液も、上記の公知のネガタイプ、もしくは、ポジタイプの画像形成層に対応する、公知の現像液を用いることができる。
本発明の請求項2に係る発明の印刷版材料は、支持体上に水現像、もしくは、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[2]の範囲にあることを特徴とする。
式[2] WRa/RRa<0.50
但し、式[2]中、
WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
RRa: 三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)。
ここで、本発明の水現像とは、pHが4.5以上〜10未満の水溶液、好ましくは、pHが5以上〜9未満の水溶液を用いて現像を行なうものである。水現像の現像液には、上記pH範囲内となるように酸やアルカリを含有させることができる。また、界面活性剤や水溶性樹脂、その他親水化剤等を含有させても良い。
水現像は、公知の印刷版材料用自動現像機か、これと同等の機能を有する装置と上記水溶液とを用いて行なうことができる。水現像の現像時には、回転するブラシローラーを押し当てる等の物理的な力を加えて画像形成層の除去性を向上させてもよい。また、上記水溶液を含ませたスポンジで版面をこする等の手現像で行なってもよい。
機上現像は、露光済の印刷版材料を印刷機の版胴に取り付け、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて、非画像部に相当する画像形成層を版面から除去することで行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々の印刷開始のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
ここで、上述の請求項1の態様のアルカリを含む水溶液での現像においては、現像時にアルミニウム支持体の陽極酸化層表面がアルカリで微量溶解することにより、現像性改善、すなわち、現像残膜改善に寄与している。一方、請求項2の態様においては、現像時の陽極酸化層表面の溶解はほとんどないため、上記の残膜改善効果は得られないため、残膜を安定して良好な範囲とするには、表面粗さの均一性をより高いレベルとする必要がある。
本発明の請求項2に記載の発明において、WRa/RRaの値は0.30以上0.50未満であり、好ましくは0.35以上0.50未満であり、より好ましくは0.35〜0.48である。請求項1の態様と同様に、0.30未満では、印刷時の湿し水保持性の劣化や耐刷性劣化の懸念が生じる。一方、0.50以上では残膜を生じる懸念が出てくる。
支持体の通常の三次元表面粗さ:中心線表面粗さRaとしては、請求項1の態様と同様に、0.20〜0.80μmであることが好ましく、0.25〜0.60μmであることがより好ましい。
[支持体]
本発明の印刷版材料用支持体に使用されるアルミニウム支持体には、純アルミニウムおよびアルミニウム合金よりなる支持体が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウム支持体は、粗面化に先立ってアルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合には、燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
支持体の粗面化としては本発明の方法での電解粗面化を行なうが、その前処理として、適度な処理量の化学的粗面化や機械的粗面化を適宜くみあわせた粗面化を行なってもかまわない。
化学的粗面化は脱脂処理と同様に苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いる。処理後には燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
機械的粗面化法は特に限定されないがブラシ研磨、ホーニング研磨を挙げることができる。本発明の形状とするためには、機械的粗面化は、行なわないか、軽度の処理に抑えることが好ましい。
ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛を植毛した円筒状ブラシを回転し、接触面に研磨材を水に分散させたスラリーを供給しながら、支持体表面に押しつけて粗面化を行なう。
ホーニング研磨では、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行なう。研磨材としては、火山灰、アルミナ、炭化珪素等の一般に研磨に使用されるものが挙げられ、その粒度は#200〜#2000、好ましくは#400〜#800である。
機械的に粗面化された支持体は、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑等を取り除いたり、ピット形状をコントロールする等のために、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。
上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
中和処理の次に電気化学的粗面化を行なう場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましく、また、中和処理の次に陽極酸化処理を行なう場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
電気化学的粗面化は一般に酸性電解液中で交流電流を用いて粗面化を行なう。酸性電解液は通常電気化学的粗面化法に用いられるものが使用できるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましく、本発明での分割電解処理には塩酸系電解液を用いるのが特に好ましい。電解に使用する電源波形は、矩形波、台形波、のこぎり波等さまざまな波形を用いることができるが、特に正弦波が好ましい。硝酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2、好ましくは200〜1500C/dm2、より好ましくは200〜1000C/dm2である。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。塩酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2が更に好ましい。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
また、特開平10−869号に記載されているような、電気化学的粗面化を複数回に分割して行う方法も好ましく用いることができる。
電気化学的に粗面化された支持体は、表面のスマット等を取り除いたり、ピット形状をコントロールしたりする等のために、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に陽極酸化処理を行なう場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行い、続いて、封孔処理、親水化処理を行なう。本発明で用いられる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理により支持体上には酸化皮膜が形成される。本発明において、陽極酸化処理には、硫酸および/または燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に米国特許第1、412、768号に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3、511、661号に記載されている燐酸を用いて電解する方法等を用いることができる。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行なうことができる。
支持体の表面形状を本発明の範囲(WRa/RRa<0.55)とするには、塩酸とアルミを含有する電解液、もしくは、塩酸と酢酸等の有機酸とアルミとを含有する電解液を用いた電気化学的粗面化処理を行うことが好ましい。
特に、電解時の電流密度(ピーク値)を40〜120A/dm2とし、特開平10−869号に記載されているような、電気化学的粗面化を複数回に分割して行う方法において、一回電気化学的粗面化処理の電気量を30〜60C/dm2にし、かつ、合計の電気量を300〜900C/dm2とすることが好ましい態様である。
[画像形成層の記載]
本発明の画像形成層の好ましい態様のひとつとして、画像形成層が疎水化前駆体を含有する態様が挙げられる。
疎水化前駆体としては、熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマーを用いることができる。具体的には、例えば、特開2000−56449号に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができるが、本発明においては、疎水化前駆体としては、熱可塑性疎水性粒子、もしくは、疎水性物質を内包するマイクロカプセルを用いることが好ましい。
熱可塑性微粒子としては、後述する熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられる熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
又、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明の印刷版材料に用いられるマイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
マイクロカプセルの含有量は画像形成層全体の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセルその製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著/三共出版株式会社発行) に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を用いることができる。
[バインダ]
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜300万であることがより好ましい。
[その他含有可能な素材]
画像形成層には後述の光熱変換素材を含有させることができる。画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
[光熱変換素材]
[色素]
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
[顔料]
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
[支持体1〜9の作製]
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行ない水洗した後、25℃の5質量%硝酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、表1に示す電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が60A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は、支持体1〜9それぞれ表1に示した回数に分割して行ない、一回の処理電気量(陽極時):Qa’、合計の処理電気量(陽極時):Qaともに表1に示した電気量とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた10質量%リン酸水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が0.65g/m2になるようにエッチングし、水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、4A/dm2の電流密度で付量2.5g/m2の陽極酸化皮膜を形成させる条件で陽極酸化処理を行ない、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、30℃に保たれた1質量%の3号ケイ酸Na水溶液に15秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、支持体1〜9を得た。
以上のようにして作製した支持体1〜9について、下記の方法により表面形状を測定した。
[表面形状パラメータの測定方法]
支持体の試料表面に白金ロジウムを1.5nmの厚さで蒸着した後、WYKO社製の非接触三次元粗さ測定装置:RST plusを用いて、40倍の条件(111.2μm×149.7μmの測定範囲で、測定点は236×368、解像度は約0.5μm)で測定し、傾き補正およびMedian Smoothingのフィルターをかけて測定データを処理してノイズを取り除いた後、Ra値、WRa値、RRa値を求めた。測定は一試料について測定箇所を変えて5回行ない、その平均を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 2007223055
※アルミニウムイオン:電解液には塩化アルミニウムの形でアルミイオンがあらかじめ添加されている。該塩化アルミニウムの添加量(g/L)を表1に記載した。電解処理を行うとアルミ支持体から電解液中にアルミが溶出するため、あらかじめ最初から一定量アルミを入れておいて、定常状態を作り出している。
[画像形成層塗布液の作製]
〈画像形成層塗布液A〉
下記素材を十分に混合して、ろ過し、固形分5質量%の画像形成層塗布液Aを得た。
〈画像形成層塗布液Aの組成〉
ラジカル重合可能な化合物
M101 10.0部
M301 5.0部
オリゴマー1 25.0部
モノマー1 5.0部
重合開始剤−1 2.0部
重合開始剤−2 1.0部
重合開始剤−3 3.0部
重合開始剤−4 4.0部
シアニン色素−1 2.5部
アクリル系共重合体1 40.0部
N−フェニルグリシンベンジルエステル 4.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
(スミライザーGS:住友3M社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(F−178K;大日本インキ社製) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
オリゴマー1:n−ブチル−ジエタノールアミン(1モル)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(2モル)と、1−メタクリロイルオキシ−3−アクリロイルオキシ−2−プロパノール(2モル)の反応生成物
モノマー1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
アクリル系共重合体1:下記のようにして合成した。
(アクリル系共重合体1(バインダー)の合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール250部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部、及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1のイソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶媒溶液を得た。GPCを用いて測定した重量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
Figure 2007223055
Figure 2007223055
[印刷版材料の作製]
前記で作製した支持体1〜9に、上記画像形成層塗布液Aを、乾燥付量で1.2g/m2となるように塗布し、80℃で2分間乾燥して、印刷版材料A1〜A9を得た。
[赤外線レーザによる露光]
各印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザビームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。露光エネルギーは150mJ/cm2とした。
[現像方法]
現像液1として、下記組成の水溶液を用いた
(現像液1組成)
Aケイ酸カリ 8.0質量%
ニューコールB−13SN:日本乳化剤社製 3.0質量%
苛性カリ pH=12.3となる添加量
また、現像液2として、現像液1を85質量%の濃度に希釈した水溶液を用いた。
現像処理は、現像液1もしくは現像液2を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(Raptor Thermal:Glunz&Jensen社製)を用いて行なった。現像液1、現像液2を用いてそれぞれ現像した各印刷版を得た。
[印刷方法]
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製) 2質量%、インキ(東洋インキ社製TKハイユニティネオSOY FON紅)を使用して印刷を行なった。
刷り出しシークエンスとしては、回転する版胴に湿し水供給ローラーが接触して3回転版胴が回転した後に、インキ供給ローラーが接触して3回転した後に印刷するシークエンスを用いた。
刷り出しから、5000枚を連続して印刷した。次いで、水量ラチチュードの印刷評価を行なった。
[地汚れの評価]
5000枚目の印刷物で、の非画像部と、非印刷領域の白地部のL***値をX−Rite520(X−Rite社製)を用いて測定し、両者の色差:ΔEを求めた。数値が小さいほど地汚れは良好である。地汚れの発生は現像残膜に起因していると考えられる。
[水量ラチチュードの評価]
湿し水供給量を変化させ、水を絞った際の汚れ難さを調べ、水量ラチチュードとして、下記の基準に基づいて評価を行なった。水量ラチチュードの劣化は現像残膜に起因していると考えられる。
○:十分に水が絞れ、広いラチチュードを有する
△:水を絞ると網点のカラミがやや早く生じるが実用上問題のないラチチュードを有する
×:水を絞りはじめてから網点が絡むまでのラチチュードが狭く、実用上問題となる
結果を表2に示す。
Figure 2007223055
表2から明らかなように、本発明の印刷版材料は、現像性が良好で地汚れの発生がなく、かつ、印刷適性にも優れることがわかる。
実施例2
[画像形成層塗布液の作製]
〈画像形成層塗布液B〉
下記素材を十分に混合して、ろ過し、固形分5質量%の画像形成層塗布液B1を得た。
スチレン/アクリル樹脂粒子エマルション 8.13質量部
(60nm径、Tg.105℃、固形分40質量%)
ポリアクリル酸Na水溶液 12.50質量部
(分子量Mw:100万、固形分10質量%)
赤外線吸収色素水溶液 50.00質量部
(ADS830WS:American Dye Source社製、1質量%)
純水 29.37質量部
[印刷版材料の作製]
前記で作製した支持体1〜9に、上記画像形成層塗布液Bを、乾燥付量で0.6g/m2となるように塗布し、50℃で3分間乾燥した。次いで、40℃24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料B1〜B9を得た。
[赤外線レーザによる露光]
各印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザビームを用い、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。露光エネルギーは300mJ/cm2とした。
[印刷方法]
露光した印刷版材料を印刷機の版胴に取り付け、実施例1と同様にして5000枚の印刷と、水量ラチチュードの印刷評価を行なった。
ただし、刷り出しシークエンスは下記の1、2とし、それぞれのシークエンスで機上現像を含む印刷を行なった。
シークエンス1:回転する版胴に湿し水供給ローラーが接触して10回転版胴が回転した後に、インキ供給ローラーが接触して3回転した後に印刷するシークエンス
シークエンス2:回転する版胴に湿し水供給ローラーが接触して5回転版胴が回転した後に、インキ供給ローラーが接触して3回転した後に印刷するシークエンス
[地汚れ評価]
実施例1と同様にして行なった。
[水量ラチチュード]
実施例1と同様にして行なった。
結果を表3に示す。
Figure 2007223055
表3から明らかなように、本発明の印刷版材料は、現像性が良好で地汚れの発生がなく、かつ、印刷適性にも優れることがわかる。

Claims (2)

  1. 支持体上にアルカリを含む水溶液で現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[1]の範囲にあることを特徴とする印刷版材料。
    式[1] 0.30≦WRa/RRa<0.55
    但し、式[1]中、
    WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
    RRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
  2. 支持体上に水現像、もしくは、機上現像可能な画像形成層を有する印刷版材料において、該支持体が、アルミニウム板を少なくとも粗面化処理および陽極酸化処理して得られたものであり、該支持体の粗面化された表面を三次元測定して得られた表面粗さパラメータが下記式[2]の範囲にあることを特徴とする印刷版材料。
    式[2] 0.30≦WRa/RRa<0.50
    但し、式[2]中、
    WRa:三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより高周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
    RRa: 三次元測定により得られた粗さデータから、波長20μmのカットオフフィルターにより低周波成分を除去して計算した中心面平均粗さ(μm)
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