JP2009090621A - 平版印刷版の修正方法及び平版印刷版材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】平版印刷版の不要な画像部の修正を、簡易かつ確実に施すことができる平版印刷版の修正方法を提供する。
【解決手段】砂目支持体上に、親水性層、画像形成層をこの順に有する平版印刷版材料から製版された平版印刷版の画像部の除去を行う平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
前記親水性層が親水性粒子及び光熱変換剤を含有すること、前記親水性粒子がコロイダルシリカであることは好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】砂目支持体上に、親水性層、画像形成層をこの順に有する平版印刷版材料から製版された平版印刷版の画像部の除去を行う平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
前記親水性層が親水性粒子及び光熱変換剤を含有すること、前記親水性粒子がコロイダルシリカであることは好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、平版印刷版材料を製版して平版印刷版とした後の、平版印刷版の不要な画像部を除去する修正方法及びそれに用いられる平版印刷版材料に関する。
従来の製版工程は、平版印刷版材料(PS版)に原稿フィルムを介して露光を行い、露光された材料をアルカリ現像処理により画像形成することで、親水性のアルミニウム表面が露出した非画像部と、その上にインキ受容性の画像が形成された画像部を有する印刷版が作成される。得られた印刷版には、原稿フィルムの貼り込み部分に所謂、貼込み跡と呼ばれる、本来画像となって欲しくない部分が形成することがあり、これを修正するために修正液もしくは消去液が使われて来た。
近年、コンピューターの普及に伴い、デジタル信号に基づいた画像記録により平版印刷版を作成するCTP(Computer to plate)システムが導入されて来ている。画像記録の方式としては、レーザー、サーマルヘッド、インクジェット等の種々の方式が提案されており、従来の親水性アルミニウム表面を非画像部とする平版印刷版以外に、親水性の金属酸化物(又は水酸化物)や親水性ポリマーより成る親水性層を非画像部とする平版印刷版が増えて来ている。CTPにおいては、版上に貼込み跡が生じることはないが、版面に物理的な擦過が入ると、その部分に汚れが生じることがあり、矢張り修正、消去の技術が必要となる。
修正方法としては、従来のPS版で行っていた修正方法も適用することができ、例えば1)不要な画像部や汚れ成分の上に親水性の被覆物を付与する方法、
2)不要な画像部や汚れ成分を溶剤で溶解除去する方法、
3)不要な画像部や汚れ成分を物理的に擦過して除去する方法、
などが有効な手段として行われている。
2)不要な画像部や汚れ成分を溶剤で溶解除去する方法、
3)不要な画像部や汚れ成分を物理的に擦過して除去する方法、
などが有効な手段として行われている。
第1の方法においては、例えば、親水性ポリマー、無機微粒子及び溶媒を含む修正液で修正箇所を被覆することが開示されている(特許文献1参照)。この技術によれば、確かに修正部分の画像が一旦は消去できるが、印刷が進むにつれて徐々に画像が露出してしまう問題がある。
又、シランカップリング基を有する親水性樹脂を含有する修正液で修正液を被覆することが開示されている(特許文献2参照)。この技術では、確かにシランカップリング基を有する親水性樹脂を架橋することで得られる親水性皮膜の強度は向上するが、修正したい画像が比較的大きい場合に、矢張り皮膜が剥離し、画像が再露出してしまうという問題があった。
又、第2、第3の方法においては、例えば、不要画像部を光熱変換剤溶解剤及びインク溶剤を含有する消去液で溶解消去する方法(特許文献3参照)あるいは、研磨剤を含有する消去液で修正箇所を擦過することにより画像を除去する方法(特許文献4参照)等が開示されている。しかし、何れの方法においても、砂目支持体上に親水性層を有している場合、溶解や擦過で除去された画像層成分あるいは修正剤の成分が、親水層表面に付着し、フリンジ状の汚れや消去跡が発生するという欠点があった。特に、親水性層が、微粒子が凝集したような多孔質層によって形成されている場合、溶解された汚れや画像層成分が多孔質層に入り込み易く、本来、親水性である筈の親水性層が部分的に親油性の物質が付着した状態になり、その結果、印刷インキを受容して汚れてしまうという問題があった。
又、上記の親水性層表面を露出させる方法は、画像部と非画像部の識別性が低い場合、修正の終点を判別するのが困難であるという問題も有している。
特開2001−329191号公報
特開2003−118261号公報
特開2006−133263号公報
特開2006−150782号公報
本発明は上記課題に鑑み為されたものであり、本発明の目的は、平版印刷版の不要な画像部の修正を、簡易かつ確実に施すことができる平版印刷版の修正方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.
砂目支持体上に、親水性層、画像形成層をこの順に有する平版印刷版材料から製版された平版印刷版の画像部の除去を行う平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
2.
前記親水性層が親水性粒子及び光熱変換剤を含有することを特徴とする前記1項に記載の平版印刷版の修正方法。
3.
前記親水性粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする前記1又は2項に記載の平版印刷版の修正方法。
4.
前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層を共に除去する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
5.
前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
6.
前記1〜5項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法に用いられることを特徴とする平版印刷版材料。
1.
砂目支持体上に、親水性層、画像形成層をこの順に有する平版印刷版材料から製版された平版印刷版の画像部の除去を行う平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
2.
前記親水性層が親水性粒子及び光熱変換剤を含有することを特徴とする前記1項に記載の平版印刷版の修正方法。
3.
前記親水性粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする前記1又は2項に記載の平版印刷版の修正方法。
4.
前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層を共に除去する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
5.
前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
6.
前記1〜5項の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法に用いられることを特徴とする平版印刷版材料。
本発明の修正方法により、版面上の汚れの除去や不要な画像部の修正などを簡易に施すことができ、かつフリンジ汚れや修正跡の汚れが改善された、平版印刷版を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明に係る平版印刷版の修正方法は、砂目支持体上に親水性層、画像層をこの順に有する平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを主たる特徴とする。
本発明の修正方法が、フリンジ汚れや修正跡の汚れに有効なのは、以下のような理由であると推測される。
従来、砂目支持体上に親水性層を有している場合、溶解や擦過で除去された画像形成層成分、あるいは修正剤成分が親水層表面に付着し、フリンジ状の汚れや修正跡が発生する欠点があった。特に、親水性層が、微粒子が凝集したような多孔質層によって形成されている場合、溶解された汚れや画像層成分が多孔質層に入り込み易く、本来、親水性である筈の親水性層が、部分的に親油性の物質が付着した状態になり、その結果、印刷インキを受容して汚れてしまう問題があった。本発明では、このフリンジ汚れや修正跡の汚れの原因になっていた親水性層を除去し、親水性の高い砂目支持体を露出させるため、汚れ成分の付着という問題を回避することが出来る。又、機上現像印刷版などの現像処理工程を経ない印刷版については、全般的に画像部と非画像部(親水性層)の識別性が低いものが多く、修正の終点を判別するのが困難であるという問題があるが、本発明の修正方法によれば、修正の終点を、画像部とのコントラストが高い砂目支持体表面が露出する点として見極めることが出来るので、識別性という観点においても優れている。
〈修正〉
本発明の平版印刷版の修正方法は、消去したい画像部及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層をともに除去する工程、あるいは、消去したい画像部及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程と、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする。
本発明の平版印刷版の修正方法は、消去したい画像部及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層をともに除去する工程、あるいは、消去したい画像部及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程と、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする。
まず、消去したい画像部及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層を共に除去する工程は、例えば、不要な画像部及び隣接する親水性層を、サンドペーパー、耐水性紙やすり、コンパウンド(アルミナ等が含有されたペースト状の研磨剤)、砂消しゴム等で砂目支持体表面が露出するまで適当な時間擦る(擦る時間は、画像部が隣接する親水性層の強度による)方法が挙げられる。
一方、消去したい画像部及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程は、例えば、修正液を不要な画像部の上に筆などで塗布して供給し、インキを溶解あるいは膨潤させ、溶解したインキを一旦スポンジ等で擦って除去した後、更に綿棒などの柔らかい素材に修正液を含浸させ、この綿棒で画像部及び隣接する親水性層を、砂目支持体表面が露出するまで擦る方法が挙げられる。
次いで修正部分を拭き取る工程は、例えば、水で洗浄する、又は水を含むかもしくは乾燥した柔らかい布などの素材で拭き取る等の方法で修正液を除去などして達成される。
〈修正液〉
本発明の修正方法に用いることができる修正液は、酸、アルカリ、有機溶媒などから成るが、これらの種類、混合比は、画像部及び画像部に隣接される親水性層の組成に対応して選択される。
本発明の修正方法に用いることができる修正液は、酸、アルカリ、有機溶媒などから成るが、これらの種類、混合比は、画像部及び画像部に隣接される親水性層の組成に対応して選択される。
修正液が酸性の場合の酸成分としては、沃化水素酸、臭化水素酸、次亜臭素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、塩酸、次亜塩素酸、硼酸、弗酸、正燐酸、第二燐酸、クエン酸、蓚酸、蟻酸、硫化水素などの酸が挙げられる。これらは、画像部に隣接した親水性層にポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン類、セルロース誘導体、アルミナ粒子等が多く含有されたものに好適である。
又、修正液がアルカリ性の場合のアルカリ成分としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸2ナトリウム、燐酸3ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、画像部に隣接した親水性層にシリカ、ゼオライト等が多く含有されたものに好適である。
修正液には、親水性層への浸透を高めるために、アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルセロソロブ、エチルセロソロブ等、水溶性の高い有機溶媒を含有してもよい。又、界面活性剤も含有できる。界面活性剤としては公知のものを利用でき、例えば長鎖脂肪酸塩、長鎖スルホン酸塩、長鎖燐酸塩などの長鎖脂肪族系、アセチレングリコール類、シリコーン系、弗素系の界面活性剤が利用できる。
〈砂目支持体〉
本発明に係る砂目支持体は、支持体表面を親水化処理した金属板を好ましく用いることができ、表面形状としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。
本発明に係る砂目支持体は、支持体表面を親水化処理した金属板を好ましく用いることができ、表面形状としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。
砂目支持体の厚さとしては、印刷機に取付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱い易い。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から、特にアルミニウム又はアルミニウム合金(以下、両者を含めてアルミニウム板と称する)が好ましく、加えて公知の粗面化処理、陽極酸化処理、表面親水化処理の何れかの処理が為されたもの(所謂、アルミ砂目板)がより好ましい。
アルミ砂目板としては、例えば特開平10−869号に開示される方法により得られた砂目板を挙げることができる。
アルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウム板は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。
脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケロシン、トリエタノールアミン等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることもできる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
脱脂処理にアルカリ水溶液を用いた場合、基材の表面にはスマットが生成するので、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいは、それらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
粗面化の方法としては、例えば機械的方法、電解エッチング方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば粒径10〜100μmの火山灰粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば粒径10〜100μmの火山灰粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力を掛けて射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力を掛けてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用できるが、塩酸系又は硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化法については、例えば特公昭48−28123号、英国特許896,563号、特開昭53−67507号等に記載される方法を用いることができる。
この粗面化法は、一般には1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、硼酸、酢酸、蓚酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5,000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2,000C/dm2、更には200〜1,000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
これらの中でも、アルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法は、それぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことが好ましい。用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許1,412,768号に記載される硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許3,511,661号に記載される燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、蓚酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。
陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液35ml、酸化クロム(IV)20gを1Lの水に溶解)に浸積し、酸化被膜を溶解し、アルミニウム板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ナトリウム処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、親水化処理として、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(硼酸亜鉛等)、もしくは黄色染料、アミン塩等を下塗りするのも好適である。更に、特開平5−304358号に開示されるような、ラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
〈親水性層〉
本発明に係る親水性層は、平版印刷版材料を製版して平版印刷版として印刷に用いる際に、インクに対する親和性が低く、かつ、水に対する親和性が高く水を保持する層、即ち非画像部となり得る層である。
本発明に係る親水性層は、平版印刷版材料を製版して平版印刷版として印刷に用いる際に、インクに対する親和性が低く、かつ、水に対する親和性が高く水を保持する層、即ち非画像部となり得る層である。
(親水性粒子)
親水性粒子は、親水性層を、印刷時に水を保持する多孔質構造を有する層となし得る粒子である。多孔質構造を形成するためには、以下のような金属酸化物粒子、多孔性金属酸化粒子などを用いることができる。
親水性粒子は、親水性層を、印刷時に水を保持する多孔質構造を有する層となし得る粒子である。多孔質構造を形成するためには、以下のような金属酸化物粒子、多孔性金属酸化粒子などを用いることができる。
(金属酸化物粒子)
上記金属酸化物粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよく、平均粒径として3〜100nmの範囲が好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理が為されてもよい。
上記金属酸化物粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよく、平均粒径として3〜100nmの範囲が好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理が為されてもよい。
金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
(コロイダルシリカ)
中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが、真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味する。
(多孔質金属酸化物粒子)
支持体への親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。
支持体への親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。
多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子又は、ゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
(多孔質シリカ)
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、珪酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は、製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、珪酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は、製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
(多孔質アルミノシリケート粒子)
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば特開平10−71764号に記載の方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば特開平10−71764号に記載の方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが特に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れ難く、水量ラチチュードも広くなるが、細孔容積が0.5ml/g以上であることが印刷性能上好ましく、2.5ml/g以下であることが、粒子自体が非常に脆くなることがなく塗膜の耐久性上好ましい。
(細孔容積の測定方法)
上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により充填されていると仮定して、相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により充填されていると仮定して、相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
(ゼオライト粒子)
ゼオライトは、結晶性のアルミノ珪酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい3次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
ゼオライトは、結晶性のアルミノ珪酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい3次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
又、親水性粒子として層状粘土鉱物粒子を用いることができる。
(層状鉱物粒子)
該層状鉱物粒子としては、例えばカオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリ珪酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6,陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9,陰電荷)等が挙げられる。特に、合成弗素雲母は、粒径等安定した品質のものを入手することが出来るので好ましい。又、合成弗素雲母の中でも、膨潤性のものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
該層状鉱物粒子としては、例えばカオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリ珪酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6,陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9,陰電荷)等が挙げられる。特に、合成弗素雲母は、粒径等安定した品質のものを入手することが出来るので好ましい。又、合成弗素雲母の中でも、膨潤性のものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入り難く、乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。又、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記より小さいことで、塗膜の均一性、強度の均一性が増加するため、好ましい。又、アスペクト比が上記以上であることで、添加量に対する平板状の粒子数の増加、増粘性の増加による、粒子物の沈降抑制効果の増加が見られ好ましい。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に、膨潤性合成弗素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るため、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
又、親水性層には、その他の添加素材として、珪酸塩水溶液も使用することができる。珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムといったアルカリ金属珪酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率を、珪酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが、無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
又、金属アルコキシドを用いた、所謂ゾル−ゲル法による無機ポリマー又は有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマー又は有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されるか、又は本書に引用される文献に記載される公知の方法を使用することができる。
又、本発明では、水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明では、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、澱粉類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン等が使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることで、親水性層の表面形状を好ましい状態にする効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、支持体への親水性層を塗布・乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することが、より良好な印刷適性を有する構造を得ることができ好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さ等)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加剤の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
本発明において、親水性層に添加される水溶性樹脂は、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが好ましい。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷適性を劣化させる懸念があるためである。又、更にカチオン性樹脂を含有してもよく、カチオン性樹脂としては、例えばポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は、微粒子状の形態で添加してもよく、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
又、親水性層を塗設する為に用いられる塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができ、珪素系又は弗素系等の界面活性剤を使用することができるが、特に珪素元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく好ましい。該界面活性剤の含有量は、親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
又、親水性層には、燐酸塩を含むことができる。本発明では、親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、燐酸塩としては燐酸三ナトリウムや燐酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。燐酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。燐酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
このように親水性層を設ける場合の膜厚としては0.01〜50μmが好ましく、更に0.2〜10μmが好ましく、特に0.5〜3μmが好ましい。
(塗布)
本発明に係る親水性層塗布液を塗布する方法としては、スライド型コーター方式、カーテン塗布方式、ワイヤーバー方式、グラビアコーティング法、押出しコーティング方式などが挙げられるが、ワイヤーバーで塗布する方法が好ましく用いられる。
本発明に係る親水性層塗布液を塗布する方法としては、スライド型コーター方式、カーテン塗布方式、ワイヤーバー方式、グラビアコーティング法、押出しコーティング方式などが挙げられるが、ワイヤーバーで塗布する方法が好ましく用いられる。
(乾燥)
印刷版材料の製造方法は、上記のように砂目支持体上に親水性層塗布液を塗布し、乾燥する工程を含む。乾燥温度としては30℃以上であることが好ましく、特に40℃以上であることが好ましい。乾燥時間としては10秒〜5分間の範囲が好ましく、20秒〜2分間の範囲がより好ましい。又、乾燥温度と乾燥時間との組合せによっては、支持体に熱ダメージを与える可能性があるため、従ってが熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
印刷版材料の製造方法は、上記のように砂目支持体上に親水性層塗布液を塗布し、乾燥する工程を含む。乾燥温度としては30℃以上であることが好ましく、特に40℃以上であることが好ましい。乾燥時間としては10秒〜5分間の範囲が好ましく、20秒〜2分間の範囲がより好ましい。又、乾燥温度と乾燥時間との組合せによっては、支持体に熱ダメージを与える可能性があるため、従ってが熱ダメージを受けない条件とすることが好ましい。
〈画像形成層〉
本発明に係る画像形成層は、上述の本発明に係る親水性層を設けた後、画像形成層塗布液を塗設して設けられる。
本発明に係る画像形成層は、上述の本発明に係る親水性層を設けた後、画像形成層塗布液を塗設して設けられる。
画像形成層は、画像様露光あるいは画像様加熱により画像を形成し得る層であり、印刷機上現像可能な層であることが好ましい。印刷機上現像可能とは、印刷版材料を画像露光した後、特に現像処理を経ることなく、印刷機上で平版印刷の湿し水、又は湿し水と印刷インキにより現像可能で、そのまま印刷工程へと移行可能であることを言う。
像様加熱するには、直接熱源で画像様に加熱する方法、又はレーザー等で画像露光を行い、露光することにより発生する熱により加熱する方法があるが、本発明の平版印刷版材料においては、レーザー光を用いた画像露光が好ましく用いられる。
画像形成層の加熱された部分は、印刷時印刷インキ受容性である画像部となる。
画像形成層は熱により変形、溶融、軟化等の変化を生じ、画像形成層を疎水化する疎水化前駆体を含有する。
疎水化前駆体としては、熱可塑性素材を用いるのが好ましく、熱可塑性素材としては、熱溶融性粒子あるいは熱融着性粒子が好ましく用いられる。
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40〜120℃、融点60〜150℃であることが好ましく、軟化点40〜100℃、融点60〜120℃であることが更に好ましい。融点が60〜150℃であることで、保存性、インク着肉感度を共に満足させる。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは平均分子量800〜10,000程度のものである。又、乳化し易くするために、これらのワックスを酸化し、ヒドロキシル基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり、作業性を向上させるために、これらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、椰子脂肪酸アミド又は、これらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミド等を添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は、融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性粒子は、内部と表層との組成が連続的に変化したり、もしくは異なる素材で被覆されてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
熱溶融性粒子の含有量としては、画像形成層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
熱融着性粒子としては熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の質量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類;スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類;ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらの内、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は、機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾル−ゲル法等が使用できる。層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や同2002−19317号に記載される疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることが更に好ましい。
熱融着性粒子を含有する画像形成層には更に水溶性素材を含有することができる。
水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の画像形成層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできるが、画像形成層としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。
オリゴ糖は水に速やかに溶解するため、印刷装置上での未露光部の画像形成層の除去も非常に速やかとなり、特別な除去操作を意識することなく、通常のPS版の刷出し操作と同様の操作で刷り出すことで除去可能であり、刷出しの損紙が増加することもない。又、オリゴ糖は親水性層の親水性を低下させる懸念もなく、親水性層の良好な印刷適性を維持することができる。
オリゴ糖は水に可溶の一般に甘みを有する結晶性物質で、数個の単糖がグリコシド結合によって脱水縮合したものである。オリゴ糖は糖をアグリコンとする1種のグリコシドであるから、酸で容易に加水分解されて単糖を生じ、生成する単糖の分子数によって二糖、三糖、四糖、五糖などに分類される。本発明におけるオリゴ糖とは、二〜十糖までのものを言う。
オリゴ糖は通常雰囲気中では水和物として存在することが多い。又、水和物と無水物とでは融点が異なる。
オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能可能であり、水への溶解度が高いにも拘わらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共、非常に良好である。
層中のオリゴ糖の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%が更に好ましい。
(光熱変換剤)
本発明に係る平版印刷版材料は、支持体の画像形成層を有する側に、光熱変換剤を含有する層を有することが好ましい態様である。
本発明に係る平版印刷版材料は、支持体の画像形成層を有する側に、光熱変換剤を含有する層を有することが好ましい態様である。
光熱変換剤を有する層は、画像形成層又はその隣接層であることが好ましく、特に画像形成層に隣接する親水性層、あるいはオーバーコート層であることが好ましい。
光熱変換剤としては赤外吸収色素又は顔料を用いることができる。
(赤外吸収色素)
赤外吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物;フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。
赤外吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物;フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。
具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号、同7−43851号、同7−102179号、特開2001−117201等に記載の化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等、何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材又は素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。可視光域で黒色を呈している素材しては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の2種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。金属酸化物が2種以上の金属の酸化物から成る黒色複合金属酸化物であることである。具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる2種以上の金属から成る複合金属酸化物である。これらは特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号等に開示される方法により製造することができる。
用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系又はCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は、平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲がより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)として置くことが好ましい。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(一般的にはチタンブラック)等が挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
特に好ましい光熱変換剤の態様としては、前記の赤外吸収色素及び金属酸化物が2種以上の金属の酸化物から成る黒色複合金属酸化物であることである。
これらの光熱変換剤の添加量としては、これを含む層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
〈保護層〉
画像形成層の上には、保護層を設けることもできる。保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。又、特開2002−19318号、同2002−86948号に記載される親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付量としては0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、更に好ましくは0.2〜2g/m2である。
画像形成層の上には、保護層を設けることもできる。保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。又、特開2002−19318号、同2002−86948号に記載される親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付量としては0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、更に好ましくは0.2〜2g/m2である。
〈機上現像方法〉
本発明に係る印刷版材料は、印刷機上現像可能な印刷版材料であることが好ましい。
本発明に係る印刷版材料は、印刷機上現像可能な印刷版材料であることが好ましい。
印刷機上現像可能な印刷版材料とは、印刷機上現像可能な画像形成機能層を有する印刷版材料であり、印刷機上現像可能な画像形成層とは、上記のように画像露光の後、特別な薬剤による処理を行うことなく、平版印刷機上で、湿し水、又は湿し水及び印刷インクにより非画像部が除去されて非画像部である親水性層が露出され、印刷可能な印刷版となし得る層である。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラやインクローラを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくはそれ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。又、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、インクローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、水付けローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラとインクローラとを実質的に同時に接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで印刷を開始する。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、インクローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、水付けローラを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラとインクローラとを実質的に同時に接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで印刷を開始する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示す。
〈砂目の作製〉
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を、50℃の1%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い、水洗した後、25℃の0.1%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を、50℃の1%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い、水洗した後、25℃の0.1%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。
次いで、このアルミニウム板を、塩酸を10g/L、アルミニウムを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極とアルミニウム板表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。又、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマットを含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、更に水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1%の燐酸2水素ナトリウム水溶液中に30秒間浸漬し、水洗を行った後、80℃で5分間乾燥した。
「印刷版材料の作製」
〈親水性層の作製〉
下記組成の素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分32%の親水性層塗布液を調製した。
〈親水性層の作製〉
下記組成の素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分32%の親水性層塗布液を調製した。
粗面化された上記アルミニウム板(砂目支持体)の上に、親水性層塗布液をワイヤーバーを用いて、乾燥後の付量が4.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して親水性層を有する支持体を作製した。
(親水性層塗布液)
FeO−Fe2O3−TiO2の複合酸化物:ETB300(チタン工業社製,固形分40%) 23.52部
親水性コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−S(日産化学工業社製,固形分30%) 10.10部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−PSM(日産化学工業社製,固形分20%) 22.74部
コロイダルシリカ:MP−4540(日産化学工業社製,固形分40%)8.01部
リチウムシリケート:LSS−35(日産化学工業社製,固形分20%)9.60部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンAMT08(水澤化学社製,多孔質アルミノシリケート粒子,平均粒径0.6μm) 0.83部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンJC−70(水澤化学社製,多孔質アルミノシリケート粒子,平均粒径6μm) 3.20部
純水 22部
〈画像形成層の作製並びに印刷版材料の作製〉
続けて、下記組成の素材を十分に混合・攪拌し、濾過して固形分5%の画像形成層塗布液を作製した。
(画像形成層塗布液)
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製,平均粒子径0.3μm,軟化点65℃,融点80℃,140℃での溶融粘度8mPa・s,固形分40%)
9.94部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ,融点97℃)の水溶液、固形分20% 1部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液,固形分10% 6.25部
光熱変換剤:ADS830WS(American Dye Source社製)の1%水溶液 30部
純水 52.81部
上記で塗設した親水性層上に、画像形成層塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.3g/m2となるように塗布し、60℃で45秒間乾燥した。次いで、50℃・24時間のエイジング処理を行って印刷版材料を得た。
(親水性層塗布液)
FeO−Fe2O3−TiO2の複合酸化物:ETB300(チタン工業社製,固形分40%) 23.52部
親水性コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−S(日産化学工業社製,固形分30%) 10.10部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−PSM(日産化学工業社製,固形分20%) 22.74部
コロイダルシリカ:MP−4540(日産化学工業社製,固形分40%)8.01部
リチウムシリケート:LSS−35(日産化学工業社製,固形分20%)9.60部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンAMT08(水澤化学社製,多孔質アルミノシリケート粒子,平均粒径0.6μm) 0.83部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンJC−70(水澤化学社製,多孔質アルミノシリケート粒子,平均粒径6μm) 3.20部
純水 22部
〈画像形成層の作製並びに印刷版材料の作製〉
続けて、下記組成の素材を十分に混合・攪拌し、濾過して固形分5%の画像形成層塗布液を作製した。
(画像形成層塗布液)
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製,平均粒子径0.3μm,軟化点65℃,融点80℃,140℃での溶融粘度8mPa・s,固形分40%)
9.94部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ,融点97℃)の水溶液、固形分20% 1部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液,固形分10% 6.25部
光熱変換剤:ADS830WS(American Dye Source社製)の1%水溶液 30部
純水 52.81部
上記で塗設した親水性層上に、画像形成層塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.3g/m2となるように塗布し、60℃で45秒間乾燥した。次いで、50℃・24時間のエイジング処理を行って印刷版材料を得た。
〈画像形成〉
得られた印刷版材料に、半導体レーザーが搭載されたプレートセッターにより、波長830nm、ビーム径32μm(1/e2)、出力300nW、版面のエネルギー強度300mJ/cm2となるようにプレートセッタードラム回転数を調整し、5mm×5mmの大きさのベタパッチを含む画像を露光した。
得られた印刷版材料に、半導体レーザーが搭載されたプレートセッターにより、波長830nm、ビーム径32μm(1/e2)、出力300nW、版面のエネルギー強度300mJ/cm2となるようにプレートセッタードラム回転数を調整し、5mm×5mmの大きさのベタパッチを含む画像を露光した。
〈印刷〉
下記印刷条件で印刷した。
下記印刷条件で印刷した。
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。平版印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷出しシークエンスを用いて印刷した。
印刷版材料は印刷機上で現像され、5枚後から良好な印刷物が得られた。
〈印刷版の修正〉
上記印刷方法で100枚印刷した後、一旦印刷を止め、5mm×5mmのベタパッチ画像部の消去を下記修正方法1、2に従って行った。
上記印刷方法で100枚印刷した後、一旦印刷を止め、5mm×5mmのベタパッチ画像部の消去を下記修正方法1、2に従って行った。
(修正方法1)
ベタパッチ画像部に付着したインクをプレートクリーナーで拭き取った後、下記組成の修正液を筆を用いて30秒間付与し、ウエスで軽く擦りながら、画像層及び隣接する親水性層を除去した。その後、汚れのない新しいウエスで消去部分を拭い、再度印刷した。
(修正液組成)
硫酸 1部
サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学社製) 1部
純水 98部
(修正方法2)
ベタパッチ画像部を耐水ペーパー#3200を用いて20秒間擦り、画像層及び隣接する親水性層を除去した後、湿らせたウエスで消去部分を拭い、再度印刷した。
ベタパッチ画像部に付着したインクをプレートクリーナーで拭き取った後、下記組成の修正液を筆を用いて30秒間付与し、ウエスで軽く擦りながら、画像層及び隣接する親水性層を除去した。その後、汚れのない新しいウエスで消去部分を拭い、再度印刷した。
(修正液組成)
硫酸 1部
サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学社製) 1部
純水 98部
(修正方法2)
ベタパッチ画像部を耐水ペーパー#3200を用いて20秒間擦り、画像層及び隣接する親水性層を除去した後、湿らせたウエスで消去部分を拭い、再度印刷した。
〈評価〉
以下の評価を行った。
以下の評価を行った。
《視認性》
消去部における版面の濃度を目視で観察を行い、下記基準で終点見極め性を評価し、修正のし易さの指標とした。
消去部における版面の濃度を目視で観察を行い、下記基準で終点見極め性を評価し、修正のし易さの指標とした。
○:消去部と非消去部のコントラストが高く確認し易い
×:消去部と非消去部のコントラストが低く確認し難い。
×:消去部と非消去部のコントラストが低く確認し難い。
《消去性》
印刷再開後、50枚以上印刷した後での消去部分の汚れ、フリンジの有無を観察し、下記基準で消去性を評価し、修正の確実さの指標とした。
印刷再開後、50枚以上印刷した後での消去部分の汚れ、フリンジの有無を観察し、下記基準で消去性を評価し、修正の確実さの指標とした。
○:フリンジなし
×:フリンジあり。
×:フリンジあり。
《再スタート性》
各印刷版について、刷出し再開してから何枚目の印刷で画質の良好な印刷物が得られるかを求めた。
各印刷版について、刷出し再開してから何枚目の印刷で画質の良好な印刷物が得られるかを求めた。
結果を併せて表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の修正法はフリンジ汚れなどが発生しない確実な修正方法であり、かつ修正部の視認性に優れた簡易な方法である。
Claims (6)
- 砂目支持体上に、親水性層、画像形成層をこの順に有する平版印刷版材料から製版された平版印刷版の画像部の除去を行う平版印刷版の修正方法であって、該画像部の不要部分を除去する際に、該画像部と該親水性層を共に除去して砂目支持体表面を露出することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
- 前記親水性層が親水性粒子及び光熱変換剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の修正方法。
- 前記親水性粒子がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版の修正方法。
- 前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺を擦過して該画像部と該親水性層を共に除去する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
- 前記修正方法が、消去したい画像及びその周辺に修正液を塗布して該画像部と該親水性層を共に溶解する工程、次いで修正部分を拭き取る工程を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の平版印刷版の修正方法に用いられることを特徴とする平版印刷版材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007266308A JP2009090621A (ja) | 2007-10-12 | 2007-10-12 | 平版印刷版の修正方法及び平版印刷版材料 |
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ID=40663086
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JP2007266308A Pending JP2009090621A (ja) | 2007-10-12 | 2007-10-12 | 平版印刷版の修正方法及び平版印刷版材料 |
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JP (1) | JP2009090621A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7501047B2 (ja) | 2020-03-30 | 2024-06-18 | コニカミノルタ株式会社 | インク膜形成用原版、パターン形成方法、パターン膜形成方法、およびパターン膜形成装置 |
-
2007
- 2007-10-12 JP JP2007266308A patent/JP2009090621A/ja active Pending
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