JPH09310140A - 平版印刷版用アルミニウム合金支持体およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金支持体およびその製造方法

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JPH09310140A
JPH09310140A JP12351296A JP12351296A JPH09310140A JP H09310140 A JPH09310140 A JP H09310140A JP 12351296 A JP12351296 A JP 12351296A JP 12351296 A JP12351296 A JP 12351296A JP H09310140 A JPH09310140 A JP H09310140A
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aluminum
weight
support
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printing plate
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JP12351296A
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Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Hirokazu Sakaki
博和 榊
Kinya Matsuura
欣也 松浦
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材質が均一で、電解粗面化性のばらつきがな
く、曲げ強度を著しく向上させた平版印刷版用支持体、
並びにその製造方法を提供する。 【解決手段】 0<Fe≦0.20重量%、0<Si≦
0.13重量%、Al≧99.7重量%を含むアルミニ
ウム合金板からなり、アルミニウム溶湯から双ロールで
直接板状に圧延した後、冷間圧延で0.5〜0.1mm
に圧延し、さらに矯正を行ったアルミニウム支持体を粗
面化して得られる平版印刷版用アルミニウム合金支持体
であって、その圧延進行方向に垂直な切断面において表
層から5μm以上深部に位置する結晶粒の厚みが20μ
m以上100μm以下で、かつ幅が100μm以上50
00μm以下であることを特徴とする平版印刷版用アル
ミニウム合金支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平版印刷版用支持体並び
にその製造方法に関し、特に折り曲げ耐性に優れた平版
印刷版用アルミニウム合金支持体並びに該平版印刷版用
アルミニウム合金支持体を安価に製造する製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷版用アルミニウム支持体、特にオフ
セット印刷版用支持体としてはアルミニウム板(アルミ
ニウム合金板を合む)が用いられている。一般にアルミ
ニウム板をオフセット印刷版用支持体として使用するた
めには、感光材料との適度な接着性と保水性を有してい
ることが必要である。
【0003】このためにはアルミニウム板の表面を均一
かつ緻密な砂目を有するように粗面化しなければならな
い。この粗面化処理は製版後実際にオフセット印刷を行
ったときに版材の印刷性能や耐刷力に著しい影響をおよ
ぼすので、その良否は版材製造上重要な要素となってい
る。印刷版用アルミニウム支持体の粗面化方法として
は、交流電解エッチング法が一般的に採用されており、
電流としては、普通の正弦波交流電流、矩形波などの特
殊交番波形電流が用いられている。そして、黒鉛等の適
当な電極を対極として交流電流によりアルミニウム板の
粗面化処理を行うもので、通常一回の処理で行われてい
るが、そこで得られるピット深さは全体的に浅く、耐刷
性能に劣るものであった。このため、その直径に比べて
深さの深いピットが均一かつ緻密に存在する砂目を有す
る印刷版用支持体として好適なアルミニウム板が得られ
るように、数々の方法が提案されている。その方法とし
ては、特殊電解電源波形を使った粗面化方法(特開昭5
3−67507号公報)、交流を使った電解粗面化時の
陽極時と陰極時の電気量の比率(特開昭54−6560
7号公報)、電源波形(特開昭55−25381号公
報)、単位面積あたりの通電量の組合わせ(特開昭56
−29699号公報)などが知られている。また、機械
的な粗面化と組み合わせた方法(特開昭55−1426
95号公報)なども知られている。
【0004】一方、アルミニウム支持体の製造方法とし
ては、アルミニウムのインゴットを溶解保持してスラブ
(厚さ400〜600mm、幅1000〜2000m
m、長さ2000〜6000mm)を鋳造し、スラブ表
面の不純物組織部分を面削機にかけて3〜10mmづつ
切削する面削工程を経た後、スラブ内部の応力の除去と
組織の均一化の為、均熱炉において480〜540℃、
6〜12時間保持する均熱化処理工程を行い、しかる後
に熱間圧延を480〜540℃で行う。熱間圧延で5〜
40mmの厚みに圧延した後、室温で所定の厚みに冷間
圧延を行う。またその後組織の均一化のため焼鈍を行い
圧延組織等を均質化した後、規定の厚みに冷間圧延を行
い、平坦度の良い板にするため矯正する。この様にして
作られたアルミニウム支持体を平版印刷版用支持体とし
ていた。
【0005】しかしながら、電解粗面化処理の場合は特
に対象となるアルミニウム支持体の影響を受けやすく、
アルミニウム支持体を溶解保持→鋳造→面削→均熱とい
う工程を通して製造する場合、加熱、冷却をくり返し、
面削という表面層を削り取る工程があったとしても、表
面層に金属合金成分などのばらつきを生じて平版印刷版
としては得率低下の原因となっていた。
【0006】これに対して、本出願人は先にアルミニウ
ム支持体の材質のばらつきを少くし、電解粗面化処理の
得率を向上させることによって品質の優れた得率のよい
平版印刷版を作れる方法として、アルミニウム溶湯から
鋳造、熱間圧延を連続して行い、薄板の熱間圧延コイル
を形成させた後、冷間圧延、熱処理、矯正を行ったアル
ミニウム支持体を粗面化処理することを特徴とする平版
印刷版用支持体の製造方法を提案した(特開平3−79
798号公報)。
【0007】それに加えて、特開平6−48058号公
報では良好な電解粗面化適性を得るため、Fe:0.4
〜0.2重量%、Si:0.2〜0.05重量%、C
u:0.02重量%以下、アルミニウム99.5重量%
以上のアルミニウム溶湯から連続鋳造を行ない、Feの
含有量の内2.0〜90%が結晶粒界に存在する平版印
刷版用支持体の製造方法を提案している。また、同様な
目的のために、特開平6−218495号公報ではF
e:0.4〜0.2重量%、Si:0.2〜0.05重
量%、Cu:0.02重量%以下、アルミニウム99.
5重量%以上のアルミニウム溶湯から連続鋳造を行な
い、鋳造進行方向と垂直な断面における、最終的な結晶
粒径が2〜100μmである平版印刷版用支持体の製造
方法を提案している。
【0008】しかしながら、上記特開平6−48058
号公報および特開平6−218495号公報で提案した
製造方法においても、中間焼鈍工程が含まれているため
に工程が複雑になることは避けられず、また得られたア
ルミニウム支持体もその合金成分によって電解粗面化処
理の得率及び粗面化適正にばらつきが見られた。そこ
で、特開平7−81260号公報において、アルミニウ
ム99.7重量%以上のアルミニウムインゴットを溶解
して鋳塊とし、面削した後に冷間圧延すること、もしく
は前記アルミニウムインゴットを溶融してなる溶湯を連
続鋳造機で薄板とした後に冷間圧延することにより、中
間焼鈍工程を経ずに低コストで材質のばらつきの無い平
版印刷版用支持体が得られることを提案している。
【0009】ところで、平版印刷版用支持体は印刷機に
取り付ける際、その端部に「くわえ」と呼ばれる折曲部
を作成し、この折曲部を印刷機の版胴に取り付けて使用
するのが一般的である。更に、両面版といって支持体の
表面と裏面とに印刷用画像が形成された平版印刷版の場
合には、前記折曲部は片面の印刷に使用された後、18
0°折り返されて他方の面の印刷に供される。このよう
に、平版印刷版用支持体には材質の均一性に加えて、使
用のための曲げ強度、特に180°の折り曲げに充分耐
え得る曲げ強度が要求されている。しかしながら、上記
特開平7−81260号に記載の平版印刷版用支持体
は、曲げ強度が充分とは言えないものであった。
【0010】また、平版印刷版用支持体の機械的強度の
増強に関して、例えば本出願人らによる特開昭61−1
46598号公報には、マグネシウムを添加することに
より疲労強度が向上することが記載されている。しかし
ながら、このような他の金属を添加する方法は、材料コ
ストの上昇を招くことに加えて、添加金属が新たな不純
物源となって材質の不均一化や粗面化のばらつきを誘発
するおそれがある。また、平版印刷版用支持体の疲労強
度の改善には効果が見られるものの、上述したような曲
げ強度の改善には効果的ではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、材質の均
質性とともに、曲げ強度、特に180°曲げ強度に優れ
た平版印刷版用支持体は従来得られておらず、しかもそ
のような支持体を安価に製造する方法に関する知見も得
られていない。本発明の目的は、材質が均質で、電解粗
面化性のばらつきを抑えるとともに、曲げ強度、特に1
80°曲げ強度を著しく向上させた平版印刷版用支持
体、並びにその製造方法を提供することにある。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、平版印刷
版用支持体の曲げ強度について鋭意研究したところ、支
持体を構成する結晶粒の形状やその寸法が大きな要因と
なっていることを突き止めるとともに、特に180°折
り曲げにも充分に耐え得る曲げ強度を得るための最適な
結晶粒を見い出し、本発明を完成したものである。即
ち、 上記目的は、本発明の、(1)0<Fe≦0.2
0重量%、0<Si≦0.13重量%、Al≧99.7
重量%を含むアルミニウム合金板からなり、アルミニウ
ム溶湯から双ロールで直接板状に圧延した後、冷間圧延
で0.5〜0.1mmに圧延し、さらに矯正を行ったア
ルミニウム支持体を粗面化して得られる平版印刷版用ア
ルミニウム合金支持体であって、その圧延進行方向に垂
直な切断面において表層から5μm以上深部に位置する
結晶粒の厚みが20μm以上100μm以下で、かつ幅
が100μm以上5000μm以下であることを特徴と
する平版印刷版用アルミニウム合金支持体により達成さ
れる。
【0013】また、同様の目的は、本発明の、(2)0
<Fe≦0.20重量%、0<Si≦0.13重量%、
Al≧99.7重量%を含み、AlとTiとを主成分と
する結晶粒微細化剤を添加してなるアルミニウム溶湯を
双ロールで直接板状に圧延した後、冷間圧延で0.5〜
0.1mmに圧延し、さらに矯正および粗面化を行うこ
とを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金支持体の
製造方法によっても達成される。
【0014】本発明の平版印刷版用アルミニウム合金支
持体は、図1に示されるように、その圧延進行方向に垂
直な切断面12aにおいて、表層から5μm以上深部に
位置する結晶粒が、厚みTが20μm以上100μm以
下で、かつ幅Wが100μm以上5000μm以下とい
う比較的大きな、偏平の結晶であるため、曲げ応力を吸
収する能力が高く、破断に到るまでの折り曲げ回数が格
段に増大する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の平版印刷版用アル
ミニウム合金支持体(以下、単にアルミニウム支持体と
呼ぶ)に関して詳細に説明する。本発明のアルミニウム
支持体は、0<Fe≦0.20重量%、0<Si≦0.
13重量%、Al≧99.7重量%を含む。尚、前記F
e成分は、好ましくは0.05≦Fe≦0.18重量%
であり、特に好ましくは0.08≦Fe≦0.15重量
%である。また、前記Si成分は、好ましくは0.02
≦Si≦0.08重量%であり、特に好ましくは0.0
25≦Si≦0.06重量%である。また、Fe成分の
原料としては市販のFe含有量50%のAl−Fe母合
金を用いることができ、Si成分の原料としては市販の
Si含有量25%のAl−Si母合金を用いることがで
きる。
【0016】残部は実質的にアルミニウムであるが、A
l≧99.7重量%とすることで、一般市場に安価で流
通しているAl≧99.7重量%インゴット材を使用す
ることが出来、原材料のコスト低減に効果がある。また
砂目形状が崩れることを防止するため、上限は望ましく
は99.99重量%未満であるのが良い。
【0017】その他に不可避不純物(例えばMg、M
n、Cr、Zr、V、Zn、Be等)を含むが、その含
有量は少ないので連続鋳造圧延板の段状ムラ、最終板の
表面処理性、汚れ性、バーニング性等に悪影響を及ぼす
ものではない。
【0018】上記の合金組成を有するアルミニウム支持
体を得るためには、Al≧99.7重量%インゴット材
の溶解時に、上記FeおよびSiを目的とする重量範囲
となるように添加して使用される。尚、Fe及びSiに
ついては99.7%Alインゴット材に微量含まれる場
合があり、この量を考慮してFeとSi成分の原料は添
加される。99.7%Alインゴット材にFe及びSi
が必要量含まれる場合、Fe及びSi成分の減量添加は
不要である。
【0019】また、本発明においては、上記のFe、S
i及びAlを必須成分とするが、結晶粒が目的とする寸
法以上にならないように、AlとTiとの合金からなる
結晶粒微細化剤を添加してもよい。この結晶粒微細化剤
は、アルミニウム支持体中若しくはアルミウム溶湯中の
Ti濃度として0.005〜0.05重量%、好ましく
は0.01〜0.03重量%となるように、Ti−Al
合金の形で添加される。
【0020】次に、本発明に係るアルミニウム支持体の
製造方法の実施態様について、図2乃至図4を参照して
具体的に説明する。ここで、図2は本発明で使用される
連続鋳造機を示す概略図、図3は冷間圧延機を示す概略
図、図4は矯正装置を示す概略図である。まず溶解保持
炉1で上記の如く組成調整されたインゴットを溶解し、
その溶融温度以上に保持する。また、アルミニウム溶湯
の酸化物発生の抑制や、溶解保持炉1の炉壁から溶出す
るNa、Li、Ca等品質上有害となるアルカリ金属の
除去策として、適宜不活性ガスパージ、フラックス処理
等を施してもよい。そして、溶解保持炉1を傾けて、と
い2にアルミニウム溶湯が注がれる。とい2内にはレベ
ル計7が設置されており、湯面レベルの測定値に基づい
てアンプ8を介して溶解保持炉1の可傾モータ9を制御
して溶湯の供給量を一定に保つように構成されている。
【0021】アルミニウム溶湯は、とい2の溶湯供給ノ
ズル3から上下一対の冷却ロール4a,4bを備える連
続鋳造機4に送られて所定厚さの帯状体に加工され、コ
イラ6に巻き取られる。鋳造方法にはいろいろあるが、
現在工業的に稼働しているのはハンター法、3C法等が
殆どである。この時の鋳造温度は鋳型の冷却条件で異な
るが、700℃付近が最適である。尚、符号5はカッタ
ーであり、コイラ6が所定の巻取量となったことを検知
して前記帯状体を切断する。
【0022】次いで、コイラ6に巻き取られた帯状体で
あるアルミニウム支持体は、引き続き、図3に示す冷間
圧延機10により、平版印刷版用支持体として一般的な
厚さである0.5〜0.1mmに圧延される。そして、
図4に示す矯正装置11で矯正されて、アルミニウム支
持体が完成する。
【0023】上記の工程により、図1に示すように、そ
の圧延進行方向に垂直な切断面12aにおいて表層から
5μm以上の深部に位置する結晶粒13の厚みTが20
μm以上100μm以下で、かつ幅Wが100μm以上
5000μm以下に制御されたアルミニウム支持体12
が得られる。
【0024】次いで、アルミニウム支持体12は粗面化
処理に供される。この粗面化の方法は機械的粗面化、化
学的粗面化、電気化学的粗面化及びそれらの組合わせ等
各種用いられる。
【0025】機械的な砂目立て法としては、例えばボー
ルグレイン、ワイヤーグレイン、ブラッシグレイン、液
体ホーニング法などがある。また電気化学的砂目立て方
法としては、交流電解エッチング法が一般的に採用され
ており、電流としては、普通の正弦波交流電流あるいは
矩形波など、特殊交番電流が用いられている。またこの
電気化学的砂目立ての前処理として、苛性ソーダなどで
エッチング処理をしても良い。
【0026】また電気化学的粗面化を行う場合、塩酸ま
たは硝酸主体の水溶液で交番波形電流によって粗面化さ
れるのが良い。以下詳細に説明する。先ず、アルミニウ
ム支持体12は、まずアルカリエッチングされる。好ま
しいアルカリ剤は、苛性ソーダ、苛性カリ、メタ珪酸ソ
ーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、グルコン酸ソー
ダ等である。濃度0.01〜20%、温度は20〜90
℃、時間は5sec〜5min間の範囲から選択される
のが適当であり、好ましいエッチング量としては0.1
〜5g/m2である。
【0027】特に不純物の多い支持体の場合、0.01
〜1g/m2が適当である(特開平1−237197号
公報)。引き続き、アルカリエッチングしたアルミニウ
ム支持体の表面にアルカリ剤に不溶な物質(スマット)
が残存するので、必要に応じてデスマット処理を行って
も良い。前処理は上記の通りであるが、引き続き、塩酸
または硝酸を主体とする電解液中で交流電解エッチング
される。交流電解電流の周波数としては、0.1〜10
0Hz、より好ましくは0.1〜1.0又は10〜60
Hzである。
【0028】液濃度としては、3〜150g/l、より
好ましくは5〜50g/l、浴内のアルミニウムの溶解
量としては50g/l以下が適当であり、より好ましく
は2〜20g/lである。必要によって添加物を入れて
も良いが、大量生産をする場合は、液濃度制御などが難
しくなる。また、電流密度は、5〜100A/dm2
適当であるが、10〜80A/dm2 がより好ましい。
また、電源波形としては、求める品質、使用されるアル
ミニウム支持体12の成分によって適宜選択されるが、
特公昭56−19280号、特公昭55−19191号
各公報に記載の特殊交番波形を用いるのがより好まし
い。この様な波形、液条件は、電気量とともに求める品
質、使用されるアルミニウム支持体12の成分などによ
って適宜選択される。
【0029】電解粗面化されたアルミニウム支持体12
は、次にスマット処理の一部としてアルカリ溶液に浸漬
しスマットを溶解する。アルカリ剤としては、苛性ソー
ダなど各種あるが、PH10以上、温度25〜60℃、
浸漬時間1〜10secの極めて短時間で行うことが好
ましい。次に硫酸主体の液に浸漬する。硫酸の液条件と
しては、従来より一段と低い濃度50〜400g/l、
温度25〜65℃が好ましい。硫酸の濃度を400g/
l以上、又は温度を65℃以上にすると処理槽などの腐
食が大きくなり、しかもマンガン含有量が多い(例え
ば、0.3重量%の)アルミニウム合金では、電気化学
的に粗面化された砂目が崩れてしまう。また、アルミニ
ウム合金素地の溶解量が0.2g/m2以上エッチング
されると、耐刷力が低下して来るので、0.2g/m2
以下にすることが好ましい。
【0030】陽極酸化皮膜は、0.1〜10g/m2
より好ましくは0.3〜5g/m2を表面に形成するの
が良い。陽極酸化の処理条件は、使用される電解液によ
って種々変化するので一概には決定されないが、一般的
には電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70℃、
電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、
電解時間1秒〜5分の範囲が適当である。
【0031】この様にして得られた陽極酸化皮膜を持つ
砂目のアルミニウム支持体12は、それ自身安定で親水
性に優れたものであるから、直ちに感光性塗膜を上に設
ける事も出来るが、必要により更に表面処理を施す事が
出来る。たとえば、アルカリ金属珪酸塩によるシリケー
ト層あるいは、親水性高分子化合物よりなる下塗層を設
けることができる。下塗層の塗布量は5〜150mg/
2が好ましい。
【0032】そして、このように処理したアルミニウム
支持体12上に感光性塗膜を設けることで、平版印刷版
が得られる。
【0033】以下、実施例並びに比較例により本発明を
更に詳細に説明する。 ○実施例−1 図2に示す連続鋳造テスト装置を用いて、本発明の実施
例及び比較例となるアルミニウム支持体を作成した。ま
ず溶解保持炉1でFe:0.17重量%、Si:0.0
4重量%、残りAlと不可避不純物になるようにアルミ
ニウムインゴットを溶解し、775℃の温度に保持し
た。溶解保持炉1を傾けて、とい2にアルミニウム溶湯
を注ぎ、溶湯供給ノズル3から連続鋳造機4に送り、冷
却ロール4a,4b間で凝固、冷却しながら巾200m
m、厚さ7.0mmのアルミニウム板を連続鋳造圧延
し、コイラ6で巻き取った。尚、鋳造中はとい2内の湯
面レベルをレベル計7で測定し、アンプ8を介して溶解
保持炉の可傾モータ9を制御してアルミニウム溶湯の供
給量を一定に維持した。次いで、図3に示す冷間圧延機
10により0.24mmの板厚となるように圧延し、更
に図4に示す矯正装置11で処理してアルミニウム支持
体Aを得た。
【0034】○実施例−2 実施例−1と同一のアルミニウム溶湯(Fe:0.17
重量%、Si:0.04重量%)に、溶湯中のTi濃度
が0.02重量%となるようにAl−Ti合金を添加し
た。このように調整したアルミニウム溶湯を用いて、実
施例−1と同じ方法で連続鋳造圧延及び冷間圧延を施
し、厚さ0.24mmのアルミニウム支持体Bを得た。
【0035】○比較例−1 実施例−2と同一のアルミニウム溶湯(Fe:0.17
重量%、Si:0.04重量%、Ti:002重量%)
に、溶湯中のB濃度が0.004重量%となるようにA
l−B合金を添加した。このように調整したアルミニウ
ム溶湯を用いて、実施例−1及び2と同じ方法で連続鋳
造圧延及び冷間圧延を施し、厚さ0.24mmのアルミ
ニウム支持体Cを得た。
【0036】○比較例−2 Fe:0.30重量%、Si:0.07重量%、Ti:
0.02重量%及びB:0.004重量%となるよう
に、アルミニウムインゴットと各種母合金とを溶解し、
775℃の温度に保持した。このように調整したアルミ
ニウム溶湯を用いて、実施例−1,2及び3と同じ方法
で連続鋳造圧延及び冷間圧延を施し、厚さ0.24mm
のアルミニウム支持体Dを得た。
【0037】上記アルミニウム支持体A〜Dの圧延進行
方向に垂直な断面において結晶粒の観察を行ない、結晶
粒の厚みTと巾Wとを測定した。測定結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】また、アルミニウム支持体A〜Dについて
180°折り曲げテストを行い、破断に至るまでの折り
曲げ回数を調べた。折り曲げテストの結果を表2に示
す。
【0040】
【表2】
【0041】表2から明らかなように、本発明に係るア
ルミニウム支持体A及びBは、比較例に示すアルミニウ
ム支持体に比べて約2倍の折り曲げ耐性を有する。
【0042】更に、アルミニウム支持体A〜Dを5%苛
性ソーダ水溶液で温度60℃でエッチング量が5g/m
2 になる様にエッチングし、水洗後150g/l、50
℃の硫酸液中に20sec浸漬してデスマットし、水洗
した。次いでアルミニウム支持体A〜Dを、16g/l
の硝酸水溶液中で特公昭55−19191号公報に記載
の交番波形電流を用いて、電気化学的に粗面化した。電
解条件としては、アノード電圧VA =14V、カソード
電圧VC =12Vとして、陽極時電気量が、350クー
ロン/dm2 となる様にした。
【0043】引き続き、60℃、300g/lの硫酸液
中に20秒間浸漬してデスマット処理を行った。更に、
硫酸150g/l、アルミニウムイオン濃度2.5g/
lの水溶液中で極間距離150mmにおいて電圧22V
の直流によって60秒間陽極酸化処理を行った。
【0044】以上の如くして作成したアルミニウム支持
体に、感光液を塗布することで感光性平版印刷版となる
が、ここでは、感光液塗布前のアルミニウム支持体の外
観評価を行った。これは、感光性平版印刷版に、ネガフ
ィルム又はポジフィルムを通して露光を行った後現像す
ると、(一部感光層が取れ、)支持体の表面自体が平版
印刷版の非画像部または画像部となるため、最終板表面
の面質自体が印刷性、印刷版の視認性に大きな影響を与
えるからである。評価結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3から明らかなように、本発明に係るカ
ルミニウム支持体A及びBは、外観にも優れており、材
質の均一性も良好であることが判る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
支持体を構成する結晶粒の厚みと巾とを所定の範囲にす
ることで、折り曲げ強度と外観に優れた平版印刷版用支
持体を中間焼鈍工程を含まない単純な工程で製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の、圧延進行方向
に垂直な断面の結晶組織を示す概略拡大図。
【図2】本発明の平版印刷版用支持体を製造する鋳造工
程の一実施形態の概念図。
【図3】本発明の平版印刷版用支持体を製造する冷間圧
延工程の一実施形態の概念図。
【図4】本発明の平版印刷版用支持体を製造する矯正工
程の一実施形態の概念図。
【符号の説明】
1 溶解保持炉 2 とい 3 溶湯供給ノズル 4 双ロール連続鋳造機 5 カッター 6 コイラー 7 溶湯レベル計 8 アンプ 9 溶解保持炉傾動モータ 10 冷間圧延機 11 矯正装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41N 1/08 B41N 1/08 3/03 3/03 C22F 1/04 C22F 1/04 A C25F 3/04 C25F 3/04 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0<Fe≦0.20重量%、0<Si≦
    0.13重量%、Al≧99.7重量%を含むアルミニ
    ウム合金板からなり、アルミニウム溶湯から双ロールで
    直接板状に圧延した後、冷間圧延で0.5〜0.1mm
    に圧延し、さらに矯正を行ったアルミニウム支持体を粗
    面化して得られる平版印刷版用アルミニウム合金支持体
    であって、その圧延進行方向に垂直な切断面において表
    層から5μm以上深部に位置する結晶粒の厚みが20μ
    m以上100μm以下で、かつ幅が100μm以上50
    00μm以下であることを特徴とする平版印刷版用アル
    ミニウム合金支持体。
  2. 【請求項2】 0<Fe≦0.20重量%、0<Si≦
    0.13重量%、Al≧99.7重量%を含み、Alと
    Tiとを主成分とする結晶粒微細化剤を添加してなるア
    ルミニウム溶湯を双ロールで直接板状に圧延した後、冷
    間圧延で0.5〜0.1mmに圧延し、さらに矯正およ
    び粗面化を行うことを特徴とする平版印刷版用アルミニ
    ウム合金支持体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108754196A (zh) * 2018-08-30 2018-11-06 新疆众和股份有限公司 一种键合用铝基合金母线的制备方法
WO2019026813A1 (ja) * 2017-07-31 2019-02-07 富士フイルム株式会社 機上現像型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法

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