JP2002067521A - 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法

Info

Publication number
JP2002067521A
JP2002067521A JP2000257559A JP2000257559A JP2002067521A JP 2002067521 A JP2002067521 A JP 2002067521A JP 2000257559 A JP2000257559 A JP 2000257559A JP 2000257559 A JP2000257559 A JP 2000257559A JP 2002067521 A JP2002067521 A JP 2002067521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
support
lithographic printing
printing plate
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000257559A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
Atsuo Nishino
温夫 西野
Akio Uesugi
彰男 上杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000257559A priority Critical patent/JP2002067521A/ja
Priority to US09/854,691 priority patent/US6806031B2/en
Priority to EP01111241A priority patent/EP1157854A3/en
Priority to CNB011221143A priority patent/CN1169680C/zh
Publication of JP2002067521A publication Critical patent/JP2002067521A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ブランケット胴が汚れにくく、非画像部に局所
的な残膜がなく、印刷時の湿し水の微調整がしやすく、
かつ、水を絞ったときにインキが絡みにくい平版印刷版
用アルミニウム支持体の提供。 【解決手段】アルミニウム板を、少なくとも、電解粗面
化工程を2工程以上有し、かつ、該工程の間にエッチン
グ工程またはデスマット工程を有する処理工程で処理し
て得られる平版印刷板用アルミニウム支持体であって、
支持体表面について、測定したろ波うねり曲線におい
て、深さ0.3μm以上のうねりが35〜60個、深さ
1.0μm以上のうねりが5個以下であり、支持体表面
について、算術平均粗さが、0.35〜0.5μmであ
り、支持体表面の全面に、直径0.5〜2μmの均質な
ハニカムピットを有することを特徴とする平版印刷版用
アルミニウム支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷等に
利用される平版印刷版用アルミニウム支持体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷法は水と油が本質的に混じり合
わないことを利用した印刷方式であり、これに使用され
る平版印刷版の印刷版面には、水を受容して油性インキ
を反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」とい
う。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以
下、この領域を「画像部」という。)が形成される。
【0003】平版印刷版に使用されるアルミニウム支持
体は、その表面が非画像部を担うように使用されるた
め、親水性および保水性が優れていること、更にはその
上に設けられる感光層との密着性が優れていること等の
相反する種々の性能が要求される。支持体の親水性が低
すぎると、印刷時に非画像部にインキが付着するように
なり、ブランケット胴の汚れ、ひいてはいわゆる地汚れ
が発生する。また、支持体の保水性が低すぎると、印刷
時に湿し水を多くしないとシャドー部のつまりが発生す
る。よって、いわゆる水幅が狭くなる。
【0004】また、近年、画像形成技術の発展に伴い、
細くビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査さ
せ、文字原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フ
ィルム原稿を用いず直接製版することが可能となってき
ている。 例えば、感光層中で光熱変換を起こすことによ
ってアルカリ可溶性が増し、ポジ画像を形成する、いわ
ゆるサーマルタイプの平版印刷版においては、レーザー
光照射によって感光層中で光熱変換物質により熱が発生
してその熱が画像形成反応を引き起こす。ここで、粗面
化され、陽極酸化皮膜を形成されたアルミニウム支持体
の表面にに、粗面化処理に起因する深いくぼみが存在す
ると、その部分の感光層の厚みが厚くなるため、くぼみ
の底部では画像形成反応が不十分となり、非画像部に局
部的な残膜(以下「ポツ状残膜」ともいう。)が発生
し、印刷時の非画像部の汚れの原因となってしまうとい
う問題がある。また、印刷作業において水目盛りの微妙
な調整をする際には、版面の水の光沢感を基に水量を判
断しているため、粗面化処理後のくぼみが浅いと、非画
像部の光沢感が増し、印刷時の水量の微調整がしづらく
なるという問題がある。
【0005】上述したような問題を解決するために、以
前より支持体表面の形状を特定のものとする提案がなさ
れてきている。例えば、特開平9−86068号公報に
は、ピット径1. 5μm以下における「ピット径」と
「径に垂直な方向の最大深さ」の一次回帰分析による直
線の勾配が0. 300以下であるピット形状を持つ粗面
形状にすることにより、印刷時に非画像部の汚れの発生
が防止され、優れたボールペン適性を得ることが提案さ
れている。しかし、前記公報に示された方法では、ポツ
状残膜の問題は解消されうるが、印刷時の水量微調整の
しやすさおよび水幅の広さは不十分であった。また、特
開平6−135175号公報には、少なくとも2種類の
ブラシで粗面化するブラシグレイン工程を含むことによ
り、地汚れとシャドー部のつまりを防止することが提案
されている。前記公報に示された方法では、印刷時の水
量微調整のしやすさおよび水幅の広さは十分であるが、
ポツ状残膜の問題が十分に解決されているとはいえなか
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、ブランケット胴が汚れにくく、非画像部に局所的な
残膜がなく、印刷時の湿し水の微調整がしやすく、か
つ、水を絞ったときにインキが絡みにくい平版印刷版用
アルミニウム支持体およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、感光層を塗布する前のア
ルミニウム支持体を支持体表面について、JIS B
0610−1987に準拠してカットオフ値0.8m
m、評価長さ6mmで測定したろ波うねり曲線におい
て、深さ0.3μm以上のうねりが35〜60個、深さ
1.0μm以上のうねりが5個以下であり、支持体表
面について、JIS B0601−1994に準拠して
カットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで測定した算
術平均粗さが、0.35〜0.5μmであり、支持体
表面の全面に、直径0.5〜2μmの均質なハニカムピ
ットを有するものとすることにより、ブランケット胴が
汚れにくく、非画像部に局所的な残膜がなく、印刷時の
湿し水の微調整がしやすく、水を絞ったときにインキの
絡みが発生しにくくなることを見出し、本発明の平版印
刷版用アルミニウム支持体を完成した。
【0008】即ち、本発明は、アルミニウム板を、少な
くとも、電気化学的な粗面化工程を2工程以上有し、か
つ、該電気化学的な粗面化工程の間にエッチング工程ま
たはデスマット工程を有する処理工程で処理して得られ
る平版印刷板用アルミニウム支持体であって、支持体表
面について、JIS B0610−1987に準拠して
カットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで測定したろ
波うねり曲線において、深さ0.3μm以上のうねりが
35〜60個、深さ1.0μm以上のうねりが5個以下
であり、支持体表面について、JIS B0601−1
994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ6
mmで測定した算術平均粗さが、0.35〜0.5μm
であり、支持体表面の全面に、直径0.5〜2μmの均
質なハニカムピットを有することを特徴とする平版印刷
版用アルミニウム支持体を提供する。
【0009】支持体表面のJIS Z8741−199
7に規定される85度光沢度が30以下であるのが好ま
しい。
【0010】前記処理工程が、最後に親水化処理工程を
有するのが好ましい態様の一つである。
【0011】また、本発明者は、ブランケット胴が汚れ
にくく、非画像部に局所的な残膜がなく、印刷時の湿し
水の微調整がしやすく、かつ、水を絞ったときにインキ
の絡みが発生しにくい平版印刷版用アルミニウム支持体
を得るためには、一の電気化学的な粗面化工程によっ
て、JIS B0610−1987に準拠してカットオ
フ値0.8mm、評価長さ6mmで測定したろ波うねり
曲線において、深さ0.3μm以上のうねりが35〜6
0個、深さ1.0μm以上のうねりが5個以下である表
面を形成した後に、更に電気化学的な粗面化工程を行う
ことが好適であることを見出し、本発明の平版印刷版用
アルミニウム支持体の製造方法を完成した。
【0012】即ち、本発明は、アルミニウム板を、少な
くとも、電気化学的な粗面化工程を2工程以上有し、か
つ、該電気化学的な粗面化工程の間にエッチング工程ま
たはデスマット工程を有する処理工程で処理する平版印
刷板用アルミニウム支持体の製造方法であって、一の電
気化学的な粗面化工程によって、JIS B0610−
1987に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ
6mmで測定したろ波うねり曲線において、深さ0.3
μm以上のうねりが35〜60個、深さ1.0μm以上
のうねりが5個以下である表面を形成した後に、更に電
気化学的な粗面化工程を行うことを特徴とする平版印刷
版用アルミニウム支持体の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 <アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明の平版印刷版
用アルミニウム支持体に用いられるアルミニウム板は、
寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であ
り、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。 純
アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量
の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニ
ウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチッ
クフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公
昭48−18327号公報に記載されているようなポリ
エチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシー
トが結合された複合体シートを用いることもできる。
【0014】以下の説明において、上記に挙げたアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をア
ルミニウム板と総称して用いる。 前記アルミニウム合金
に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケ
ル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質
量%以下である。
【0015】本発明においては、純アルミニウム板を用
いるのが好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精
錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有
するものでもよい。このように本発明に用いられるアル
ミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従
来より公知公用の素材もの、例えば、JIS A105
0、JIS A1100、JIS A3103、JIS
A3005、JISA3004、国際登録合金 31
03A等のアルミニウム合金板を適宜利用することがで
きる。 また、アルミニウム板の製造方法は、連続鋳造方
式およびDC鋳造方式のいずれでもよく、DC鋳造方式
の中間焼鈍や、均熱処理を省略したアルミニウム板も用
いることができる。最終圧延においては、積層圧延や転
写等により凹凸を付けたアルミニウム板を用いることも
できる。また、本発明に用いられるアルミニウム板の厚
みは、0. 1mm〜0. 6mm程度である。 この厚みは
印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望
により適宜変更することができる。
【0016】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
は、上記アルミニウム板を、少なくとも、電気化学的な
粗面化工程を2工程以上有し、かつ、該電気化学的な粗
面化工程の間にエッチング工程またはデスマット工程を
有する処理工程で処理して得られる。この処理工程に
は、2工程以上の電気化学的な粗面化工程、および、エ
ッチング工程またはデスマット工程が含まれるが、更に
以下のように各種の工程が含まれていてもよい。
【0017】<機械的な粗面化>特開平6−13517
5号公報および特公昭50−40047号公報に記載さ
れている機械的な粗面化処理を行う。機械的な粗面化処
理は、第1の電気化学的な粗面化処理の前に行うのが好
ましい。毛径0.2〜0.9mmの回転するナイロンブ
ラシロールとアルミニウム板表面に供給されるスラリー
液で機械的に粗面化することが有利である。スラリー液
を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いる方式、凹凸
を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写
する方式等を用いてもよい。
【0018】機械的な粗面化処理においては、まず、ブ
ラシグレイニングを行うに先立ち、所望により、アルミ
ニウム板の表面の圧延油を除去するための脱脂処理、例
えば、界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等によ
る脱脂処理が行われてもよい。引き続いて、1種類また
は、毛径が異なる少なくとも2種類のブラシを用いて、
研磨スラリー液をアルミニウム板表面に供給しながら、
ブラシグレイニングを行う。前記ブラシグレイニングに
おいて最初に用いるブラシを第1ブラシと呼び、最後に
用いるブラシを第2ブラシと呼ぶ。前記グレイン時、図
1に示すように、アルミニウム板1を挟んでローラ状ブ
ラシ2および4と、それぞれ二本の支持ローラ5、6お
よび7、8とを配置する。二本の支持ローラ5、6およ
び7、8は、互いの外面の最短距離がローラ状ブラシ2
および4の外径よりそれぞれ小さくなるように配置さ
れ、アルミニウム板1がローラ状ブラシ2および4によ
り加圧され、二本の支持ローラ5、6および7、8の間
に押し入れられるような状態でアルミニウム板を一定速
度で搬送し、かつ、研磨スラリー液3をアルミニウム板
上に供給してローラ状ブラシを回転させることにより表
面を研磨するのが好ましい。
【0019】本発明に用いられるブラシとしては、ロー
ラ状の台部にナイロン、ポリプロピレン、動物毛、スチ
ールワイヤ等のブラシ材を均一な毛長および植毛分布を
もって植え込んだもの、台部に小穴を開けてブラシ毛束
を植え込んだもの、チャンネルローラ型のもの等が好ま
しく用いられる。中でも、好ましい材料はナイロンであ
り、好ましい植毛後の毛長は10〜200mmである。
好ましい毛径は0.24〜0.83mmであり、より好
ましくは0.295〜0.6mmである。毛の断面形状
は円であるのが好ましい。毛径が0.24mm未満であ
るとシャドウ部での汚れ性能が悪くなる場合があり、
0.83mmを超えるとブランケット胴の汚れが悪くな
る場合がある。毛の材質はナイロンであるのが好まし
く、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10等
が好適に用いられるが、引張強さ、耐摩耗性、吸水によ
る寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性等の点で、ナ
イロン6・10であるのが最も好ましい。
【0020】ブラシの本数は、好ましくは1〜10本で
あり、より好ましくは1〜6本である。ブラシローラ
は、特開平6−135175号公報に記載のように毛径
の異なるブラシローラを組み合わせてもよい。支持ロー
ラは、ゴムまたは金属面を有し真直度のよく保たれたも
のが用いられる。ブラシローラの回転方向は、図1に示
すようにアルミニウム板の搬送方向に対して順転で行う
のが好ましいが、ブラシローラが多数本の場合は一部の
ブラシローラを逆転としてもよい。
【0021】本発明に用いられる研磨剤は公知の物が使
用できる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミ
ニウム、アルミナ粉、火山灰、カーボランダム、金剛砂
等の研磨剤、またはこれらの混合物を用いることができ
る。中でも、平均粒径5〜150μm、比重1.05〜
1.3の研磨剤が好ましい。
【0022】<第1エッチング処理>酸性水溶液中での
電解研磨処理、または、酸性水溶液中もしくはアルカリ
水溶液中での化学的なエッチング処理が行われる。前記
アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、
自然酸化皮膜を除去することを目的として、また、前記
機械的粗面化によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解
し、滑らかなうねりを持つ表面を得ることを目的として
エッチング処理が行われる。かかる化学的エッチング方
法の詳細については、米国特許第3834398号明細
書等に記載されている。酸性水溶液に用いられる酸とし
ては、特開昭57−16918号公報に記載されている
ように、フッ酸、フッ化ジルコン酸、リン酸、硫酸、塩
酸、硝酸等があり、これらを単独でまたは組み合わせて
用いることができる。アルカリ水溶液に用いられるアル
カリとしては、特開昭57−16918号公報に記載さ
れているように、水酸化カリウム、第三リン酸ナトリウ
ム、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等があり、
これらを単独でまたは組み合わせて用いることができ
る。酸性水溶液の濃度は、0.5〜25質量%であるの
が好ましく、1〜5質量%であるのが特に好ましい。酸
性水溶液中に溶解しているアルミニウムは0.5〜5質
量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、5
〜30質量%であるのが好ましく、20〜30質量%で
あるのが特に好ましい。アルカリ水溶液中に溶解してい
るアルミニウムの濃度は、0.5〜30質量%であるの
が好ましい。酸性水溶液またはアルカリ水溶液によるエ
ッチングは、液温40〜90℃で1〜120秒処理する
のが好ましい。エッチング処理の量は、1〜30g/m
2 溶解するのが好ましく、1.5〜20g/m2 溶解す
るのがより好ましい。
【0023】<第1デスマット処理>前記第1エッチン
グ処理をアルカリ性の水溶液を用いて行った場合には、
一般にアルミニウムの表面にスマットが生成するので、
この場合にはリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、クロム酸、ま
たは、これらのうちの2種以上の酸を含む混酸でデスマ
ット処理を施すことが好ましい。デスマット時間は1〜
30秒であるのが好ましい。液温は常温から70℃で実
施される。電気化学的な粗面化処理後のデスマット処理
は省略することもできる。また、電気化学的な粗面化処
理で用いる電解液のオーバーフロー廃液を使用するとき
は、デスマット処理の後の水洗工程は省略してもよい
が、アルミニウム板が乾いてデスマット液中の成分が析
出しないように濡れたままの状態でアルミニウム板をハ
ンドリングする必要がある。
【0024】<第1電解粗面化(塩酸または硝酸を主体
とする水溶液中での電気化学的な予備粗面化)処理>本
発明の平版印刷版用アルミニウム支持体を得るための処
理工程には、2工程以上の電気化学的な粗面化(以下
「電解粗面化」ともいう。)工程が含まれる。本発明に
おいては、電解粗面化工程が2工程である場合には、先
に行われるものを第1電解粗面化といい、後に行われる
ものを第2電解粗面化という。また、電解粗面化工程が
3工程以上である場合は、2工程である場合における第
1電解粗面化の前、第1電解粗面化と第2電解粗面化と
の間および第2電解粗面化の後のうちのいずれに更なる
電解粗面化工程を有していてもよく、それらは第1電解
粗面化および第2電解粗面化と同じ条件であっても異な
る条件であってもよい。
【0025】塩酸または硝酸を主体とする水溶液中での
交流または直流を用いた電気化学的な粗面化処理は、重
なり合わずに均一な大きさで均一に分布する凹凸を得る
ことを目的として行う。塩酸を主体とする水溶液は、通
常の交流を用いた電気化学的な粗面化に用いるものを使
用でき、1〜100g/Lの塩酸水溶液に、塩化アルミ
ニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、次亜塩素
酸ナトリウム等の塩素イオンを有する塩素化合物を1g
/L以上かつ飽和するまでの量で添加して使用すること
ができる。また、塩酸を主体とする水溶液には、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリ
カ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解してい
てもよい。温度は20〜50℃であるのが好ましく、3
0〜40℃であるのがより好ましい。
【0026】本発明における電気化学的な粗面化に用い
られる交流の一例である台形波としては、図2に示した
ものが挙げられる。電流が0からピークに達するまでの
時間(TP)は、0.5〜2msecであるのが好まし
い。0.5msecよりも短いと、アルミニウム板の進
行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが
発生しやすい。TPが2msecよりも長いと、電気化
学的な粗面化に用いる電解液中のアンモニウムイオン等
に代表される硝酸液中での電解処理で、自然発生的に増
加する微量成分の影響を受けやすくなり、均一な粗面化
処理が行われにくくなる。その結果、汚れ性能が低下す
る傾向にある。台形波交流のDUTY比は1:2から
2:1のものが使用可能であるが、特開平5−1953
00公報に記載のようにアルミニウムにコンダクタロー
ルを用いない間接給電方式においてはDUTY比1:1
のものが好ましい。台形波交流の周波数は50〜150
Hzであるのが好ましく、60〜120Hzであるのが
より好ましい。
【0027】この第1電解粗面化工程は、特開平1−1
41094号公報に記載されているような直流を用いた
電気化学粗面化としてもよい。直流粗面化処理は、酸性
水溶液中で直流電圧を用いて電気化学的に粗面化を行
う。酸性水溶液中で直流電圧を用いて電気化学的に粗面
化は、電解槽に酸性水溶液を充填し、この酸性水溶液中
に陽極と陰極とを交互に配置し、これらの陽極と陰極と
の間に直流電圧を印加するとともに、アルミニウム板を
これらの陽極および陰極と任意の間隔を保って通過させ
て行う。
【0028】酸性水溶液は、通常の交流を用いた電気化
学的な粗面化処理に用いるものを用いることができ、例
えば、塩酸、硝酸等を主体とする水溶液がある。これら
の中では、硝酸を主体とする水溶液が好ましい。硝酸を
主体とする水溶液の場合、硝酸アルミニウム、硝酸ナト
リウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを含有する硝
酸化合物を用いることができる。また、アルミニウム
塩、アンモニウム塩等のの1種以上を1〜150g/L
の量で混合するのが好ましい。なお、アンモニウムイオ
ンは硝酸水溶液中で電解処理することによっても、自然
発生的に増加していく。また、酸性水溶液中には、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリ
カ等のアルミニウム合金中に含まれる金属を溶解してい
てもよい。更に、アンモニウムイオン、硝酸イオン等を
添加してもよい。
【0029】酸性水溶液の濃度は、1.0g/L以上か
つ飽和濃度までの濃度であるのが好ましく、5〜100
g/Lであるのがより好ましい。濃度が1.0g/L未
満であると、液の導電性が悪くなり、電解電圧が上昇す
る場合がある。濃度が100g/Lを超えると、設備の
耐蝕性に問題が生じる場合がある。また、酸性水溶液の
温度は30〜55℃であるのが好ましく、35〜50℃
であるのがより好ましい。温度が30℃未満であると、
液の導電性が悪くなり、電解電圧が上昇する場合があ
る。温度が55℃を超えると、設備の耐蝕性に問題が生
ずる場合がある。陰極は、例えば、白金、ステンレス、
カーボン、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、
ハフニウム、またはこれらの合金を用いることができ
る。陰極としてチタンを使用する場合、その表面に白金
系の金属を被覆し、その後、400〜10000℃で3
0〜60分間熱処理することにより、耐蝕性のある陰極
とすることができる。陰極の表面は、水酸化物の析出に
よる電解電圧上昇を防ぐため、できるだけ鏡面に近いほ
うが好ましい。
【0030】本発明でいう直流電圧とは、連続直流電圧
はもちろん、商用交流をダイオード、トランジスタ、サ
イリスタ、GTO等で整流したものや、矩形のパルス直
流等をいい、一般的な直流の定義にあてはまる極性の変
化しない電圧のことをいう。特に、リップル率10%以
下の連続直流電圧が好ましい。電流密度は20〜200
A/dm2 であるのが好ましく、50〜120A/dm
2 であるのがより好ましい。電気化学的な粗面化でアル
ミニウム板に加わる電気量は10〜1000C/dm2
であるのが好ましく、40〜600C/dm2 であるの
がより好ましい。
【0031】直流電圧を用いた粗面化処理において、陽
極および陰極は、それぞれ一つの部材で構成しても、複
数の電極片を組み合わせて構成してもよい。簡単かつ安
価に製作でき、しかも電流分布を均一にできるので、複
数の電極片を組み合わせて構成することが好ましい。複
数の電極片を組み合わせて製作する場合、例えば、複数
の電極片を所定間隔で平行に配置したり、複数の電極片
を1〜5mm程度の絶縁体を介して平行に配置したりす
る。このような電極片の形状は特に限定されず、角棒状
であっても丸棒状であってもよい。また、絶縁体として
は、電気絶縁性と耐薬品性とを兼ね備えた材料が好まし
く、塩化ビニル、ゴム、テフロン(登録商標)、FRP
等を用いる。陽極および陰極の長さL(m)は、それぞ
れ、アルミニウム板の通過速度をV(m/sec)とし
たときに、0.05V〜5V(m)であるのが好まし
い。
【0032】陽極は、チタン、タンタル、ニオブ等のバ
ルブ金属にプラチナ等の白金族系の電極をメッキしまた
はクラッドした電極やフェライト電極を用いることがで
きる。フェライト電極は、長尺電極の製造が困難なた
め、2本以上の電極を突き合わせまたは重ね合わせ接続
とするが、接合部が処理ムラの発生原因となるので、ア
ルミニウム板の進行方向に沿って電極の接合部の位置が
進行方向に対して垂直方向で同じ位置に重ならないよう
に千鳥状に配置する。陽極とアルミニウム板との距離は
10〜50mmであるのが好ましく、15〜30mmで
あるのがより好ましい。
【0033】直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる
装置は、酸性水溶液中で一対以上の陽極と陰極とを交互
に配置し、その上をアルミニウム板を通過させる粗面化
方式を用いることが有利である。
【0034】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造における直流電圧を用いた電気化学的な粗面化処
理に用いる装置を図を用いて説明する。図3に示す直流
電圧を用いた粗面化処理装置には、まず最初にアルミニ
ウム板のアノード電解処理を行う電解槽が設けられ、つ
ぎにアルミニウム板のカソード電解処理を行う電解槽が
設けられている。図4に示す装置には、一つの電解槽の
中に、アルミニウム板のカソード電解処理を行う陽極と
アルミニウム板のアノード処理を行う陰極とがそれぞれ
設けられている。
【0035】<第2エッチング処理>酸性水溶液中での
電解研磨処理、または、酸性水溶液中もしくはアルカリ
水溶液中での化学的なエッチング処理が行われる。第2
エッチング処理は、前段の電気化学的な粗面化で生成し
たスマット成分を速やかに除去する目的で行われる。こ
の第2エッチング処理により後段で行う電気化学的な粗
面化で、ハニカムピットを均一に生成することができる
ようになる。エッチング量は0.5〜10g/m2 であ
るのが好ましい。エッチングに用いられる水溶液の組
成、温度、処理時間等は、第1エッチング処理について
上述した範囲から選択される。
【0036】<第2デスマット処理>上述した第1デス
マット処理と同様である。
【0037】<第2電解粗面化(塩酸または硝酸を主体
とする水溶液中での電気化学的な粗面化)処理>交流粗
面化処理は、酸性水溶液中で交流を用いて電気化学的な
粗面化を行い、ハニカムピットを生成する。このハニカ
ムピットの生成により、第1の電解粗面化工程で得られ
る表面との二重構造を有する表面が得られる。酸性水溶
液は、通常の交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用
いられるものを用いることができ、例えば、塩酸、硝酸
等を主体とする水溶液がある。これらの中では、硝酸を
主体とする水溶液が好ましい。硝酸を主体とする水溶液
の場合、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アン
モニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物を用いるこ
とができる。また、アルミニウム塩、アンモニウム塩等
の1種以上を1〜150g/Lの量で混合するのが好ま
しい。なお、アンモニウムイオンは硝酸水溶液中で電解
処理することによっても、自然発生的に増加していく。
また、酸性水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケ
ル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合
金中に含まれる金属を溶解していてもよい。更に、アン
モニウムイオン、硝酸イオン等を添加してもよい。
【0038】酸性水溶液の濃度は、1.0g/L以上か
つ飽和濃度までの濃度であるのが好ましく、5〜100
g/Lであるのがより好ましい。濃度が1.0g/L未
満であると、液の導電性が悪くなり、電解電圧が上昇す
る場合がある。濃度が100g/Lを超えると、設備の
耐蝕性に問題が生じる場合がある。また、酸性水溶液の
温度は30〜55℃であるのが好ましく、40〜50℃
であるのがより好ましい。温度が30℃未満であると、
液の導電性が悪くなり、電解電圧が上昇する場合があ
る。温度が55℃を超えると、設備の耐蝕性に問題が生
ずる場合がある。
【0039】本発明における電気化学的な粗面化に用い
られる交流の一例である台形波は、図2に示したものを
いう。電流が0からピークに達するまでの時間(TP)
は、0.5〜2msecであるのが好ましい。0.5m
secよりも短いと、アルミニウム板の進行方向と垂直
に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやす
い。TPが2msecよりも長いと、電気化学的な粗面
化に用いる電解液中のアンモニウムイオン等に代表され
る硝酸液中での電解処理で、自然発生的に増加する微量
成分の影響を受けやすくなり、均一な粗面化処理が行わ
れにくくなる。その結果、汚れ性能が低下する傾向にあ
る。台形波交流のDUTY比は1:2から2:1のもの
が使用可能であるが、特開平5−195300公報に記
載のようにアルミニウムにコンダクタロールを用いない
間接給電方式においてはDUTY比1:1のものが好ま
しい。台形波交流の周波数は50〜70Hzであるのが
好ましい。50Hzよりも低いと主極のカーボン電極が
溶解しやすくなり、70Hzよりも大きいと電源回路上
のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コ
ストが高くなる。この工程は、特開平1−141094
号公報に記載されているような直流を用いた電気化学的
粗面化処理としてもよい。
【0040】本発明において交流を用いた電気化学的な
粗面化を行う際の好ましいラジアル型の装置を図5に示
す。図5において、11はアルミニウム板であり、12
はアルミニウム板を支えるラジアルドラムローラであ
る。アルミニウム板はカーボン製の主極13a、13b
および主極であるカーボンの溶解を防止するために設け
られるフェライト、白金等の補助陽極18とクリアラン
スを一定に保って走行している。クリアランスは通常3
〜50mm程度が適当である。主電極と補助電極の処理
長さの比、主極13aと13bの長さの比は求める電解
条件によって異なる。主極13aと13bの長さの比は
1:2から2:1の範囲から選択できるが、できるだけ
1:1となるようにするのが好ましい。主極13aまた
は13bと補助陽極18の処理長さの比は1:1から
1:0.1であるのが好ましい。また、チャタマークと
呼ばれるアルミニウム板の進行方向と垂直に発生する横
縞状の処理ムラを抑えるため、特公昭63−16000
号公報に記載のように低電流密度処理を行う図6に示す
ソフトスタートゾーンを13a、13bの電極の先頭に
設けるのが好ましい。主極13はラジアルドラムローラ
12に沿ってR(曲げ)をつけることが難しいので、特
開平5−195300号公報に記載のようにインシュレ
ーターと呼ばれる厚さ1〜5mmの絶縁体を挟んで並べ
ることが通例である。
【0041】補助電極に流す電流は、19の整流素子ま
たはスイッチング素子により電源から任意の電流値にな
るように制御されて分流する。19の整流素子としては
サイリスタ19a、19bが好ましく、点弧角で補助陽
極18に流れる電流を制御することができる。補助陽極
に電流を分流することで主極のカーボン電極の溶解を抑
え、電気化学的な粗面化工程での粗面化形状をコントロ
ールすることができる。カーボン電極に流れる電流と、
補助陽極に流れる電流の電流比は0.95:0.05か
ら0.7:0.3であることが好ましい。
【0042】液流は、アルミニウム板の進行とパラレル
でもカウンターでもよいが、カウンターの方が処理ムラ
の発生は少ない。電解処理液14は電解液供給口15内
に入り、ディストリビュータを経てラジアルドラムロー
ラ12の幅方向全体に均一に分布するようにキャビティ
ー内に入り、スリット16より電解液通路17の中に噴
出される。図5の電解装置を図6のように二つ以上並べ
て使用してもよい。
【0043】<第3エッチング処理>第3エッチング処
理は、アルミニウム板表面に生成したスマット成分を除
去し、ブラシ汚れおよび地汚れ性能を向上させるために
行われる。酸性水溶液としては、フッ酸、フッ化ジルコ
ン酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等が用いられる。アル
カリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、第三リン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ケ
イ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等が用いられる。これ
らの酸性水溶液またはアルカリ水溶液は、それぞれ1種
または2種以上を混合して使用することができる。エッ
チング量は、0.02〜3g/m2 であるのが好まし
く、0.1〜1.5g/m2 であるのがより好ましい。
上記エッチング量を0.02〜3g/m2 の範囲にする
には、酸またはアルカリの濃度を0.05〜40質量
%、液温を40〜100℃、処理時間を5〜300秒間
の範囲において行う。この第3エッチング処理を行った
後には、特開平3−104694号公報に記載されてい
るような、平均直径0.5〜2μmのハニカムピットの
内部に深さ0.1μm以下の凹凸が形成されている。な
お、中性塩水溶液中でアルミニウム板を陰極にして直流
電圧を加え電気化学的に軽度なエッチング処理を併用し
てもよい。
【0044】<第3デスマット処理>アルミニウム板表
面の軽度なエッチングを行った場合、その表面に不溶解
物、即ち、スマットが生成する。このスマットは、リン
酸、硫酸、硝酸、クロム酸、またはこれらの混合物で洗
浄することにより除去することができる。第3デスマッ
ト処理の条件は、第1デスマット処理に記した条件から
選ぶことができる。特に、硫酸を主体とする水溶液を用
い、液温50〜70℃で処理するのが好ましい。
【0045】<陽極酸化処理>更に、表面の保水性や耐
摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミ
ニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、
多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるもので
も使用することができ、一般には硫酸、リン酸、シュウ
酸、クロム酸、またはこれらの混酸が用いられる。それ
らの電解質の濃度は、電解質の種類によって適宜決める
ことができる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定することはできないが、一
般的には、電解質の濃度は1〜80質量%溶液、液温は
5〜70℃、電流密度は1〜60A/dm2 、電圧は1
〜100V、電解時間は10秒〜5分の範囲にあれば適
当である。
【0046】硫酸法は通常直流電流で処理が行われる
が、交流を用いることもできる。硫酸の濃度は5〜30
質量%で使用され、20〜60℃の温度で5〜250秒
間電解処理される。この電解液には、アルミニウムイオ
ンが含まれている方が好ましい。更に、このときの電流
密度は1〜20A/dm2 であるのが好ましい。リン酸
法の場合には、5〜50質量%の濃度、30〜60℃の
温度で、10〜300秒間、1〜15A/dm2 の電流
密度で処理されるのが好ましい。陽極酸化皮膜の量は
1.0g/m2 以上であるのが好ましく、2.0〜6.
0g/m2 であるのがより好ましい。陽極酸化皮膜の量
が1.0g/m2 より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、
印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚
れ」が生じやすくなる。
【0047】<親水化処理>陽極酸化処理を施された
後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施され
る。本発明における親水化処理としては、例えば、米国
特許第2,714,066号、第3,181,461
号、第3,280,734号および第3,902,73
4号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリ
ケート(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液
中で浸せき処理され、または、電解処理される。ほか
に、特公昭36−22063号公報に開示されているフ
ッ化ジルコン酸カリウムや、米国特許第3,276,8
68号、第4,153,461号および第4,689,
272号各明細書に開示されているようなポリビニルホ
スホン酸で処理する方法等が用いられる。また、電気化
学的粗面化処理および陽極酸化処理の後、封孔処理を施
したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水および無機
塩または有機塩を含む熱水溶液への浸せきならびに水蒸
気浴等によって行われる。
【0048】なお、上述した本発明の平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造における化学的なエッチング処
理、デスマット処理、水洗処理および親水化処理に用い
る装置は、浸せきであってもよく、また、例えば、図7
に示すようなスプレーであってもよい。また、上述した
本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造におけ
る電気化学的粗面化処理槽、化学的エッチング槽、デス
マット処理槽、水洗処理槽および親水化処理槽を通過し
たアルミニウム板は、ニップロールによる液切りを行う
ことにより、各処理をアルミニウム板の幅方向について
均一に行うことができる。
【0049】上記の各項目で記載した各処理の詳細につ
いては、公知の条件を適宜採用することができる。ま
た、本出願人の出願である特開平9−109570号公
報、その他本明細書に挙げた文献の内容は、引用して本
明細書の内容とする。
【0050】以上の処理工程で処理して得られる本発明
の平版印刷版用アルミニウム支持体は、以下の表面特性
を有する。 支持体表面について、JIS B0610−1987
に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで
測定したろ波うねり曲線において、深さ0.3μm以上
のうねりが35〜60個、好ましくは40〜55個であ
り、深さ1.0μm以上のうねりが5個以下、好ましく
は2個以下である。深さ0.3μm以上のうねりが35
〜60個であると、版上の湿し水の微調整がしやすく、
水を絞ったときにおいても、網点が絡みにくい。また、
深さ1.0μm以上のうねりが5個以下であると、非画
像部の局所的な残膜がなくなる。
【0051】支持体表面について、JIS B060
1−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価
長さ6mmで測定した算術平均粗さが、0.35〜0.
5μm、好ましくは0.35〜0.45μmである。上
記範囲であると、版上の湿し水の微調整がしやすく、水
を絞ったときにおいても、網点が絡みにくい。
【0052】支持体表面の全面に、直径0.5〜2μ
mの均質なハニカムピットを有する。 これにより、版上の湿し水の微調整がしやすくなり、非
画像部の局所的な残膜がなくなる。
【0053】また、好ましくは支持体表面のJIS Z
8741−1997に規定される85度光沢度が30以
下であり、より好ましくは15〜30である。上記範囲
であると、印刷時の湿し水量の微調整がしやすい。
【0054】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法は、アルミニウム板を、少なくとも、電気化
学的な粗面化工程を2工程以上有し、かつ、該電気化学
的な粗面化工程の間にエッチング工程またはデスマット
工程を有する処理工程で処理し、一の電気化学的な粗面
化工程によって、JIS B0610−1987に準拠
してカットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで測定し
たろ波うねり曲線において、深さ0.3μm以上のうね
りが35〜60個、深さ1.0μm以上のうねりが5個
以下である表面を形成した後に、更に電気化学的な粗面
化工程を行うことを特徴とする。例えば、2工程の電気
化学的な粗面化工程を有する場合には、第1の電気化学
的な粗面化工程(第1電解粗面化工程)により、上記表
面特性を実現するところに特徴がある。この方法によれ
ば、ブランケット胴が汚れにくく、非画像部に局所的な
残膜がなく、印刷時の湿し水微調整がしやすく、かつ、
水を絞ったときにインキが絡みにくい平版印刷版用アル
ミニウム支持体、好ましくは本発明の平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造を容易に行うことができる。
【0055】<感光層>本発明の平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の上には、従来知られている感光層を設け
て、感光性平版印刷版を得ることができ、これを製版処
理して得た平版印刷版は、優れた性能を有している。こ
の感光層中に用いられる感光性物質は、特に限定され
ず、感光性平版印刷版に通常用いられるものを用いるこ
とができる。例えば、特開平6−135175号公報に
記載のような各種のものを用いることができる。アルミ
ニウム板には、感光層を塗布する前に、必要に応じて有
機下塗層(中間層)が設けられる。この下塗層に用いら
れる有機下塗層としては従来知られているものを用いる
ことができ、例えば、特開平6−135175号公報に
記載のものを用いることができる。感光層はネガ型でも
ポジ型でもよい。また、本発明の平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の上には、感熱層を設けて、感熱性平版印刷
版を得ることもできる。感熱層はネガ型でもポジ型でも
よい。
【0056】上記のようにして設けられた感光層の表面
には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時
間を短縮し、かつ、焼きボケを防止するため、マット層
が設けられてもよい。具体的には、特開昭50−125
805号公報、特公昭57−6582号公報、特公昭6
1−28986号公報に記載されているようなマット層
を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載さ
れているような固体粉末を熱蒸着させる方法等が挙げら
れる。
【0057】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.アルミニウム支持体の作成 (実施例1) (a)以下のように、厚さ0.3mmの幅1030mm
のJIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的
に処理を行った。 (b)アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、
アルミニウムイオン濃度6.5質量%、液温75℃でス
プレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を
5g/m2 溶解し、圧延油や自然酸化皮膜を除去した。
その後、スプレーによる水洗を行った。 (c)液温30℃の塩酸濃度1質量%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによる
デスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
前記デスマットに用いた塩酸を主体とする水溶液は、塩
酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工
程の廃液を用いた。
【0058】(d)交流電圧を用いて連続的に電気化学
的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸1
質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含
む。)、液温35℃であった。交流電源波形は電流値が
ゼロからピークに達するまでの時間TPが1msec、
DUTY比1:1、周波数120Hz、台形の矩形波交
流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗
面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用い
た。電流密度は電流のピーク値で50A/dm2、電気
量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で200C
/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の
5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行っ
た。 (e)アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、
アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによる
エッチング処理を行い、アルミニウム板を溶解し、前段
の塩酸を主体とする水溶液中で交流を用いて電気化学的
な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを
主体とするスマット成分の除去と、アルミニウム板を
0.3g/m2 溶解する軽度のエッチングを行った。そ
の後、スプレーによる水洗を行った。
【0059】(f)液温30℃の硝酸濃度1質量%水溶
液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウム
イオンを0.007質量%含む。)で、スプレーによる
デスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を
行った。前記デスマットに用いた硝酸を主体とする水溶
液は、交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃
液を用いた。 (g)交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸濃度1質量%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウ
ムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であ
った。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達する
までの時間TPが1msec、DUTY比1:1、周波
数60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極
を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助ア
ノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピー
ク値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極
時の電気量の総和で210C/dm2 であった。補助陽
極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その
後、スプレーによる水洗を行った。
【0060】(h)アルミニウム板をカセイソーダ濃度
5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%でスプ
レーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を
0.2g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的
な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを
主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエ
ッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後
スプレーで水洗した。 (i)液温60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミ
ニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによ
るデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を
行った。 (j)液温35℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミ
ニウムイオンを0.5質量%含む。)で、直流電圧を用
い、電流密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量が2.7g
/m2 になるように陽極酸化処理を行った。 (k)各処理および水洗の後にはニップローラで液切り
を行った。得られたアルミニウム支持体は、後述するよ
うに平版印刷版の製造に供された。
【0061】(実施例2)上記工程(b)の代わりに下
記工程(l)および(m)を行った以外は、実施例1と
同様の方法により、アルミニウム支持体を作成した。 (l)比重1.12のケイ砂と水の懸濁液を研磨スラリ
ー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転
するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行
った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長
は50mm、毛の直径は0.295mmであった。ナイ
ロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあ
けて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用し
た。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の
距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回
転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニ
ウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスに
なるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウ
ム板の移動方向と同じであった。 (m)アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、
アルミニウムイオン濃度6.5質量%、液温75℃でス
プレーによるエッチング処理をおこない、アルミニウム
板を5g/m2 溶解し、ブラシとスラリー液で生成した
凹凸の尖った部分を溶解した。その後、スプレーによる
水洗を行った。
【0062】(実施例3)上記工程(d)の代わりに下
記工程(n)を行い、また、上記工程(e)においてエ
ッチングのアルミニウム板の溶解量を5g/m2 とした
以外は、実施例1と同様の方法により、アルミニウム支
持体を作成した。 (n)直流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸濃度1質量%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウ
ムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であ
った。アノードにはフェライト、カソードにはチタンを
用いた。電解にはリップル率20%以下の直流電圧を用
いた。電流密度は80A/dm2 、電気量は200C/
dm2 であった。陰極と陽極は一対であった。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0063】(比較例1) (a)厚さ0.3mmの幅1030mmのJIS A
3005アルミニウム板を用い、上記工程(d)におい
て、電気化学的な粗面化処理に用いた交流の周波数を6
0Hzとし、電気量をアルミニウム板が陽極時の電気量
の総和で100C/dm2 とした以外は、実施例1と同
様の方法により、アルミニウム支持体を作成した。
【0064】(比較例2) (a)厚さ0.3mmの幅1030mmのJIS A
3005アルミニウム板を用い、上記工程(d)におい
て、電気化学的な粗面化処理に用いた交流の周波数を6
0Hzとした以外は、実施例1と同様の方法により、ア
ルミニウム支持体を作成した。
【0065】(比較例3)上記工程(c)においてデス
マット処理に液温30℃の塩酸濃度1質量%水溶液(ア
ルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウムイオン
を0.007質量%含む。)を用い、上記工程(d)〜
(f)を行わず、上記工程(g)において電気化学的な
粗面化処理の電気量をアルミニウム板が陽極時の電気量
の総和で600C/dm2 とし、上記工程(h)におい
てエッチングのアルミニウム板の溶解量を2g/m2
した以外は、実施例1と同様の方法により、アルミニウ
ム支持体を作成した。
【0066】(比較例4)上記工程(c)〜(e)を行
わず、上記工程(g)において電気化学的な粗面化処理
に電解液として硝酸濃度2質量%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5質量%、アンモニウムをイオン0.00
7質量%含む。)を用い、液温30℃とし、電気量をア
ルミニウム板が陽極時の電気量の総和で400C/dm
2 とし、上記工程(h)においてエッチングのアルミニ
ウム板の溶解量を2g/m2 とした以外は、実施例1と
同様の方法により、アルミニウム支持体を作成した。
【0067】(比較例5)上記工程(b)の代わりに上
記工程(l)および(m)を行い(ただし、(m)にお
いてはエッチングのアルミニウム板の溶解量を15g/
2 とした。)、上記工程(c)〜(e)を行わず、上
記工程(g)において電気化学的な粗面化処理の電気量
をアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で300C/
dm2 とし、上記工程(h)においてエッチングのアル
ミニウム板の溶解量を2g/m2 とした以外は、実施例
1と同様の方法により、アルミニウム支持体を作成し
た。
【0068】(比較例6)上記工程(b)の代わりに上
記工程(l)および(m)を行い(ただし、(l)にお
いては用いたブラシの毛の直径を0.48mmとし
た。)、上記工程(c)〜(e)を行わず、上記工程
(h)においてエッチングのアルミニウム板の溶解量を
1g/m2 とした以外は、実施例1と同様の方法によ
り、アルミニウム支持体を作成した。
【0069】(比較例7)上記工程(b)の代わりに上
記工程(l)および(m)を行った以外は(ただし、
(l)においては用いたブラシの毛の直径を0.48m
mとした。)、実施例1と同様の方法により、アルミニ
ウム支持体を作成した。
【0070】(比較例8) (a)厚さ0.3mmの幅1030mmのJIS A
3005アルミニウム板を用い、上記工程(d)におい
て電気化学的な粗面化処理に用いた交流の周波数を60
Hzとし、上記工程(g)において電気化学的な粗面化
処理の電気量をアルミニウム板が陽極時の電気量の総和
で360C/dm2 とした以外は、実施例1と同様の方
法により、アルミニウム支持体を作成した。
【0071】(比較例9)上記工程(g)において電気
化学的な粗面化処理の電気量をアルミニウム板が陽極時
の電気量の総和で270C/dm2 とした以外は、実施
例1と同様の方法により、アルミニウム支持体を作成し
た。
【0072】(比較例10)上記工程(g)において電
気化学的な粗面化処理の電気量をアルミニウム板が陽極
時の電気量の総和で360C/dm2 とした以外は、実
施例1と同様の方法により、アルミニウム支持体を作成
した。
【0073】(比較例11)上記工程(c)〜(e)を
行わず、上記工程(g)において電気化学的な粗面化処
理に電解液として硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウ
ムイオンを0.5質量%含む。)を用い、電気量をアル
ミニウム板が陽極時の電気量の総和で270C/dm2
とした以外は、実施例1と同様の方法により、アルミニ
ウム支持体を作成した。
【0074】2.アルミニウム支持体の表面特性 実施例1〜3および比較例1〜11で得られた各アルミ
ニウム支持体について、表面のろ波うねり曲線、表面の
算術平均粗さおよび表面光沢度を測定した。表面のろ波
うねり曲線は、JIS B0610−1987に準拠し
て、表面粗さ計(東京精密社製Surfcom(470
570A)、触針:2μmR)を用いて、カットオフ値
0.8mm、評価長さ6mmの条件で測定した。得られ
たろ波うねり曲線のチャートにおいて、深さ0.3μm
以上のうねりおよび深さ1.0μm以上のうねりの個数
をカウントした。表面の算術平均粗さは、JIS B0
601−1994に準拠して、表面粗さ計(東京精密社
製Surfcom(470570A)、触針:2μm
R)を用いて、カットオフ値0.8mm、評価長さ6m
mの条件で測定した。表面光沢度は、光沢度計(スガ試
験機社製UGV−4K)を用いて、85度光沢度を測定
した。
【0075】また、実施例1〜3および比較例1〜11
で得られた各アルミニウム支持体について、表面をSE
M(日本電子社製)を用いて倍率3750倍で観察した
ところ、比較例3および4以外の各アルミニウム支持体
は、支持体表面の全面に、直径0.5〜2μmの均質な
ハニカムピットを有することが確認された。なお、各ア
ルミニウム支持体の作成の過程において、第1電解粗面
化処理の直後のアルミニウム板についても、上記と同様
にしてろ波うねり曲線を測定し、深さ0.3μm以上の
うねりおよび深さ1.0μm以上のうねりの個数をカウ
ントした。
【0076】3.平版印刷版の作成 (1)実施例1〜3および比較例1〜11で得られた各
アルミニウム支持体の表面に、下記の工程で中間層、感
光層およびマット層を形成して、乾燥後被覆量2.0g
/m2 の平版印刷版(ポジ型PS版)を作成した。
【0077】中間層の形成 中間層は、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で30
秒間乾燥して形成した。乾燥後の被覆量は30mg/m
2 であった。 下塗り液成分:アミノエチルホスホン酸0.10g、フ
ェニルホスホン酸0.15g、β−アラニン0.10
g、メタノール40g、純水60g
【0078】感光層の形成 中間層の上に下記組成の感光液を塗布し、110℃で1
分間乾燥してポジ型感光層を形成した。 感光液成分:1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホ
ニルクロリドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステ
ル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実施
例1に記載されているもの)0.45g、クレゾール−
ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ、パラ比:6対
4、重量平均分子量3,000、数平均分子量1,10
0、未反応のクレゾールを0.7質量%含有する。)
1.1g、m−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラッ
ク樹脂(重量平均分子量1,700、数平均分子量60
0、未反応のクレゾールを1質量%含有する。)0.3
g、ポリ〔N−(p−アミノスルホニルフェニル)アク
リルアミド−コ−ノルマルブチルアクリレート−コ−ジ
エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレー
ト〕(特願平3−311241号公報に記載されている
もの。各モノマーのモル比は、順に40:40:20、
重量平均分子量40,000、数平均分子量20,00
0)0.2g、p−ノルマルオクチルフェノール−ホル
ムアルデヒド樹脂(米国特許第4,123,279号明
細書に記載されているもの)0.02g、ナフトキノン
−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド0.0
1g、テトラヒドロ無水フタル酸0.1g、安息香酸
0.02g、4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボ
ニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリク
ロロメチル)−S−トリアジン0.01g、4−〔p−
N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル〕−
2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン
0.02g、2−トリクロロメチル−5−(4−ヒドロ
キシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール0.0
1g、ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1
−ナフタレンスルホン酸にした染料0.02g、モディ
パーF−200(日本油脂社製フッ素系界面活性剤、3
0質量%のメチルエチルケトンとメチルイソブチルケト
ンの混合溶剤溶液)0.06g、メガファックF177
(大日本インキ化学工業社製フッ素系界面活性剤、20
質量%のメチルイソブチルケトン溶剤)0.02g、メ
チルエチルケトン15g、1−メトキシ−2−プロパノ
ール10g
【0079】マット層の形成 感光層の上に特開昭61−28986号公報の実施例1
に記載の方法に基づいて、メチルメタクリレート/エチ
ルアクリレート/アクリル酸ソーダ=68/20/12
の共重合体水溶液を静電スプレーすることによりマット
層を設けた。
【0080】(2)実施例1で得られたアルミニウム支
持体の表面に、下記の工程で中間層および感光層を形成
して、乾燥後被覆量2.5g/m2 の平版印刷版(ネガ
型PS版)を作成した(実施例4)。 親水化処理 アルミニウム支持体を親水化処理する目的で、ケイ酸ソ
ーダ2.5質量%、70℃の水溶液に12秒間浸せき
し、その後、スプレーで水洗し乾燥した。 中間層の形成 中間層は、下記組成の親水性下塗り液を塗布し、100
℃で20秒間乾燥して形成した。乾燥後の被覆量は10
mg/m2 であった。 下塗り液成分:メチルメタクリレート/エチルアクリレ
ート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸ナトリウム共重合体(60/25/15モル比)
0.02g、メタノール100g
【0081】感光層の形成 中間層の上に下記組成の感光液を塗布し、110℃で1
分間乾燥してネガ型感光層を形成した。 感光液成分:下記に示す方法で得られたポリウレタン樹
脂(A)5g、4−ジアゾフェニルアミンとホルムアル
デヒドの縮合物のドデシルベンゼンスルホン酸塩1.2
g、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸0.05
g、リン酸0.05g、4−スルホフタル酸0.05
g、リン酸トリクレジル0.25g、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体のn−ヘキサノールによるハーフエス
テル0.1g、ビクトリアピュアブルーBOHの対アニ
オンを1−ナフタレンスルホン酸にした染料0.18
g、 [C6 17CH2 CH2 O]1.7PO [OH]1.3で表
される化合物0.015g、メガファックF177(大
日本インキ化学工業社製フッ素系界面活性剤、20質量
%のメチルイソブチルケトン溶剤)0.06g、1−メ
トキシ−2−プロパノール20g、メタノール40g、
メチルエチルケトン40g、イオン交換水1g
【0082】<ポリウレタン樹脂(A)の製造>コンデ
ンサーおよびかくはん機を備えた500mL容の3つ口
丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プ
ロピオン酸11.5g(0.0860mol)、ジエチ
レングリコール7.26g(0.0684mol)およ
び1,4−ブタンジオール4.11g(0.0456m
ol)を加え、N,N−ジメチルアセトアミド118g
に溶解した。これに、4,4´−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート30.8g(0.123mol)、ヘキサ
メチレンジイソシアネート13.8g(0.0819m
ol)および触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチルス
ズ0.1gを添加し、かくはん下、90℃で7時間加熱
した。この反応液に、N,N−ジメチルアセトアミド1
00mL、メタノール50mLおよび酢酸50mLを加
え、かくはんした後に、これを水4L中にかくはんしな
がら投入し、白色のポリマーを折出させた。このポリマ
ーをろ別し、水洗後、減圧乾燥させることにより、62
gのポリマー(ポリウレタン樹脂(A))を得た。
【0083】(3)実施例1で得られたアルミニウム支
持体の表面に、下記の工程で中間層および感光層を形成
して、乾燥後被覆量1.5g/m2 の平版印刷版(光熱
変換によってアルカリ可溶性が増すネガ型PS板)を作
成した(実施例5)。 中間層の形成 中間層は、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で10
秒間乾燥して形成した。乾燥後の被覆量は11mg/m
2 であった。 下塗り液成分:β−アラニン0.1g、フェニルホスホ
ン酸0.05g、メタノール40g、純水60g
【0084】感光層の形成 中間層の上に下記組成の感光液をワイヤーバーを用いて
塗布し、100℃で1分間乾燥してネガ型レーザー記録
材料用感光層を形成した。 感光液成分:ノニルフェノール0.05g、2,4,6
−トリメトキシジアゾニウム−2,6−ジメチルベンゼ
ンスホネート0.3g、下記に示す方法で得られた架橋
剤(B)0.5g、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)マ
ルカリンカーMS−4P(丸善石油社製)1.5g、
2,6ジメチレン−(4,5−ナフタレン−1,3,3
−トリメチルピロール)−4−モノクロロ−5,6−プ
ロパン−ヘプテン−メチルベンゼンスルホネート(シア
ニン色素)0.07g、アイゼンスピロンブルーC−R
H(保土ヶ谷化学社製)0.035g、メガファックF
177(大日本インキ化学工業社製フッ素系界面活性
剤、20質量%のメチルイソブチルケトン溶剤)0.0
1g、メチルエチルケトン12g、メチルアルコール1
0g、1−メトキシ−2−プロパノール8g <架橋剤(B)の製造>1−{α−メチル−α−(4−
ヒドロキシフェニル)エチル}−4−{α、α−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エチル}ベンゼンを水酸化
カリウム水溶液中でホルマリンと反応させた。反応液を
硫酸酸性とし、晶析させ、92%純度の架橋剤(B)を
得た。
【0085】(4)実施例1で得られたアルミニウム支
持体の表面に、下記の工程で中間層および感光層を形成
して、乾燥後被覆量1.8g/m2 の平版印刷版(光熱
変換によってアルカリ可溶性が増すポジ型PS板)を作
成した(実施例6)。 親水化処理 アルミニウム支持体を親水化処理する目的で、ケイ酸ソ
ーダ1質量%、30℃の水溶液に10秒間浸せきし、そ
の後、スプレーで水洗し乾燥した。 中間層の形成 中間層は、特開平10−282645号公報に記載され
ている酸基とともにオニウム基を有する下記組成の下塗
り液を塗布し、100℃で10秒間乾燥して形成した。
乾燥後の被覆量は15mg/m2 であった。 下塗り液成分:下記式(1)で表される高分子化合物
0.14g、メタノール100g、水1g
【0086】
【化1】
【0087】感光層の形成 中間層の上に下記組成の感光液をワイヤーバーを用いて
連続的に塗布し、100℃で1分間乾燥してポジ型レー
ザー露光可能な感光層を形成した。 感光液成分:下記に示す方法で得られたアルカリ可溶性
高分子化合物(C)0.7g、2,6−ジメチレン−
(4,5−ナフタレン−1,3,3−トリメチルピロー
ル)−4−モノクロロ−5,6−プロパン−ヘプテン−
メチルベンゼンスルホネート(シアニン色素)0.1
g、テトラヒドロ無水フタル酸0.05g、p−トルエ
ンスルホン酸0.002g、ビクトリアピュアブルーB
OHの対アニオンを1−ナフタレンスルフン酸アニオン
にした染料0.02g、メガファックF177(大日本
インキ化学工業社製フッ素系界面活性剤、20質量%の
メチルイソブチルケトン溶剤)0.05g、γ−ブチル
ラクトン8g、メチルエチルケトン8g、1−メトキシ
−2−プロパノール4g
【0088】<アルカリ可溶性高分子化合物(C)の製
造>かくはん機、冷却管および滴下ロートを備えた50
0mL容の3つ口フラスコにメタクリル酸31.0g
(0.36mol)、クロロギ酸エチル39.1g
(0.26mol)およびアセトニトリル200mLを
入れ、氷水浴で冷却しながら混合物をかくはんし、トリ
エチレンアミン36.4(0.36mol)を約1時間
かけて滴下ロートを使って加えた。滴下後、室温で30
分間かくはんし、p−アミノベンゼンスルホンアミド5
1.7g(0.30mol)を加え、油浴にて70℃に
温めながら1時間かくはんした。これを水中でスラリー
状にし、ろ過後、N−(p−アミノスルフェニル)メタ
クリルアミドの白色固体を得た。これを5.04g
(0.021mol)と、メタクリル酸エチル2.05
g(0.018mol)、アクリロニトリル1.11g
(0.021mol)およびN、N−ジメチルアセトア
ミド20gとを入れ、65℃に加熱して、和光純薬社製
「V−65」0.15gを混ぜ、窒素気流中で2時間か
くはんした。これに、N−(p−アミノスルホフェニ
ル)メタクリルアミド5.04g、メタクリル酸エチル
2.05g、アクリロニトリル1.11g、N,N−ジ
メチルアセトアミド20gおよび「V−65」0.15
gの混合物を2時間かけて滴下し、反応終了後、メタノ
ールを40g加え、30分間混合した後、析出物をろ過
し乾燥することで白色のアルカリ可溶性高分子化合物
(C)(分子量53,000)15gを得た。
【0089】(5)実施例1で得られたアルミニウム支
持体の表面に、下記の工程で接着層、感光層および保護
層を形成して、乾燥後被覆量2g/m2 の平版印刷版
(レーザー露光可能なホトポリマー型PS板)を作成し
た(実施例7)。 接着層の形成 接着層は、下記に示す方法で得られた接着化合物(D)
をホイラーを用いて塗布し、170℃で10分間乾燥し
て形成した。乾燥後の被覆量は20mg/m2であっ
た。 <接着化合物(D)の製造>ビーカーにメチレンテトラ
エトキシシラン50g、酢酸1.1g、蒸留水7.7g
およびエタノール100gを取り、室温でかくはんして
均一な溶媒とした。つぎに、この溶液をかくはん機と還
流冷却器を付けた3つ口フラスコに移し、オイルバスに
浸して、かくはんしながら浴温を80℃に保って7時間
反応させ、接着化合物(D)のゾルを得た。
【0090】感光層の形成 中間層の上に下記組成の感光液を塗布し、120℃で1
分間乾燥して光重合系ホトポリマー型感光層を形成し
た。乾燥後の被覆量は1.5g/m2 であった。 感光液成分:ペンタエリスルトールテトラアクリレート
1.5g、ポリ(アリルメタクリレート/メタクリル
酸)共重合モル比80/20のコポリマー2.0g、
1,2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(ト
リクロルメチル)−s−トリアジン0.2g、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル20g、メチルエチル
ケトン20g、メガファックF177(大日本インキ化
学工業社製フッ素系界面活性剤、20質量%のメチルイ
ソブチルケトン溶剤)0.03g、油溶性染料(ビクト
リアピュアブルーBOH)0.02g 保護層の形成 感光層の上にポリビニルアルコール(ケン化度86.5
〜89モル%、重合度1000)の3質量%水溶液を塗
布し、100℃で2分間乾燥して保護層を形成した。
【0091】3.平版印刷版の評価 実施例1〜3および比較例1〜11で得られたアルミ
ニウム支持体を用いて作成された感光性平版印刷版を、
真空焼き枠中で、透明ポジティブフイルムを通して1m
の距離から3kWのメタルハライドランプにより、50
秒間露光を行った後、富士写真フイルム(株)製DP−
4(1:8の水希釈液)を現像液とし、リンス液として
富士写真フイルム(株)製FP2−W(1:1)を仕込
んだ富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン9
00Vに通して処理した。この平版印刷版を1日放置し
た後、印刷評価した。印刷機はハイデルベルグ社製SO
R−Mを用い、湿し水は富士写真フイルム(株)製EU
−3(1:100)とイソプロピルアルコール(10:
100)を用い、インキは大日本インキ化学工業社製ト
ランスG−N墨を用いた。
【0092】富士写真フイルム(株)製DN3C
(1:1)を現像液とし、リンス液として富士写真フイ
ルム(株)製FP2W(1:1)を仕込んだ以外は、上
記(1)と同様の方法により、実施例4で得られたアル
ミニウム支持体を用いて作成された感光性平版印刷版を
露光を行い、処理した。その後、上記と同様の方法に
より、印刷評価した。
【0093】実施例5で得られたアルミニウム支持体
を用いて作成された感光性平版印刷版を出力500m
W、波長830nm、ビーム径17μmの半導体レーザ
ーを用いて主走査速度5m/秒で露光した後、パネルヒ
ーターを用いて110℃で30秒間加熱処理し、富士写
真フイルム(株)製DP−4(1:8)を現像液として
30秒間現像した。現像後の表面Si元素量は、10.
5atm.%であった。その後、上記と同様の方法に
より、印刷評価した。
【0094】実施例6で得られたアルミニウム支持体
を用いて作成された感光性平版印刷版を出力500m
W、波長830nm、ビーム径17μmの半導体レーザ
ーを用いて主走査速度5m/秒で露光した後、下記組成
のアルカリ現像液1およびアルカリ現像液2で30秒間
現像した。現像処理後、版面の保護の目的でアラビアガ
ムを3g/m2 の量で塗布した。その後、上記と同様
の方法により、印刷評価した。 アルカリ現像液1成分:水酸化ナトリウム2.8質量
%、二酸化ケイ素2.0質量%、ノニオン性界面活性剤
(プルロニックPE−3100、BASF社製)0.5
質量%、水94.7質量% アルカリ現像液2成分:水酸化カリウム2.8質量%、
D−ソルビット2.5質量%、ジエチレントリアミンペ
ンタ(メチレンホスホン酸)5Na塩0.1質量%、ノ
ニオン性界面活性剤(プルロニックP―85、旭電化工
業社製)0.1質量%、水94.5質量%
【0095】実施例7で得られたアルミニウム支持体
を用いて作成された感光性平版印刷版を0.0132m
W/cm2 の露光量でYAGレーザー露光し、シリケー
ト含有現像液(上記アルカリ現像液1)で20秒間現像
した。その後、上記と同様の方法により、印刷評価し
た。
【0096】評価項目は、以下の通りである。 (1)版上の湿し水の調整のしやすさ 印刷中に平版印刷版の非画像部の光沢感を目視観察し、
5段階で評価した。 A:優 光沢感のない状態 B:良 ほとんど光沢感のない状態 C:不可 光沢感のある状態 A−B:AとBの中間 B−C:BとCの中間
【0097】(2)水を絞ったときの網点の絡みにくさ 印刷機で、通常の湿し水の量で10000枚刷り込んだ
後に、湿し水の少ない条件で印刷し、印刷物上の網点の
つぶれ方を目視観察し、5段階で評価した。 A:優 網点がつぶれていない状態 B:良 網点がほとんどつぶれていない状態 C:不可 網点がつぶれている状態 A−B:AとBの中間 B−C:BとCの中間
【0098】(3)非画像部の局所的な残膜 現像後の版上で、非画像部の残膜の状態をルーペで観察
し、5段階で評価した。 A:優 残膜のない状態 B:良 ほとんど残膜のない状態 C:不可 残膜がある状態 A−B:AとBの中間 B−C:BとCの中間
【0099】(4)ブランケット胴の汚れ 印刷機で5000枚刷り込んだ後に、印刷機を停止し、
ブランケット胴の汚れを目視観察し、5段階で評価し
た。 A:優 ブランケット汚れのない状態 B:良 ほとんどブランケット汚れのない状態 C:不可 ブランケット胴が汚れている状態 A−B:AとBの中間 B−C:BとCの中間
【0100】評価結果を第1表に示す。本発明の平版印
刷版用アルミニウム支持体は、上記評価項目のすべてに
優れることが分かる(実施例1〜7)。また、実施例1
〜3ならびに比較例1および2で得られたアルミニウム
支持体の(a)第1電解粗面化処理後および(b)陽極
酸化処理後の表面の断面模式図を図8〜図10に、比較
例11で得られたアルミニウム支持体の表面の断面模式
図を図11に示す。比較例1は浅いくぼみを有し、比較
例2は深いくぼみを有し、比較例11はハニカムピット
のみを有する。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【発明の効果】平版印刷版用アルミニウム支持体につい
てその表面特性を特定範囲に規定した結果、良好な印刷
性能を有する支持体を提供することが可能であり、しか
もその良好な支持体を的確に判断し生産管理に結びつ
け、品質の安定を確保することができる。また、平版印
刷版用アルミニウム支持体の製造において、第1電解粗
面化後の表面特性を特定範囲に規定することで、ブラン
ケット胴が汚れにくく、非画像部に局所的な残膜がな
く、印刷時の湿し水の微調整がしやすく、かつ、水を絞
ったときにインキが絡みにくい支持体を容易に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる機械粗面化処理に使用す
るブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図であ
る。
【図2】 本発明に用いられる交流を用いた電気化学的
粗面化処理に用いる台形波の一例を示す波形図である。
【図3】 本発明に用いられる直流粗面化処理における
アノードおよびカソード電解処理セルの配置の一例を示
す側面図である。
【図4】 一つの槽にカソード電極とアノード電極を配
置した本発明に用いられる電解処理セル構造の一例を示
す説明図である。
【図5】 本発明に用いられる交流粗面化処理における
ラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【図6】 本発明に用いられる交流粗面化処理用ラジア
ル型セルを二基直列配置した例を示す側面図である。
【図7】 化学的なエッチング処理、デスマット処理お
よび水洗処理をスプレー処理にて行うための処理槽の概
略図である。
【図8】 実施例1〜3の本発明の平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の表面の断面模式図である。(a)は第1
電解粗面化後、(b)は陽極酸化後のものである。
【図9】 比較例1のアルミニウム支持体の表面の断面
模式図である。(a)は第1電解粗面化後、(b)は陽
極酸化後のものである。
【図10】 比較例2のアルミニウム支持体の表面の断
面模式図である。(a)は第1電解粗面化後、(b)は
陽極酸化後のものである。
【図11】 比較例11のアルミニウム支持体の表面の
断面模式図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2、4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5、6、7、8 支持ローラ 11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 28 陰極 29 直流電源 30 陽極 31 パスロール 40、41 主電解槽 50、51 補助陽極槽 60 処理槽 61 スプレー管 62 ニップローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA04 AB03 AC08 DA20 DA36 2H096 AA06 CA03 CA07 EA04 EA23 2H114 AA04 AA10 AA11 AA14 AA23 AA24 BA01 BA10 DA04 EA01 EA02 EA05 EA09 FA01 FA06 GA05 GA06 GA08 GA09 4K026 AA09 AA22 BA02 BA08 BA12 BB02 CA16 CA27 CA39 EA02 EA06 EA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板を、少なくとも、電気化学
    的な粗面化工程を2工程以上有し、かつ、該電気化学的
    な粗面化工程の間にエッチング工程またはデスマット工
    程を有する処理工程で処理して得られる平版印刷板用ア
    ルミニウム支持体であって、 支持体表面について、JIS B0610−1987に
    準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで測
    定したろ波うねり曲線において、深さ0.3μm以上の
    うねりが35〜60個、深さ1.0μm以上のうねりが
    5個以下であり、 支持体表面について、JIS B0601−1994に
    準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ6mmで測
    定した算術平均粗さが、0.35〜0.5μmであり、 支持体表面の全面に、直径0.5〜2μmの均質なハニ
    カムピットを有することを特徴とする平版印刷版用アル
    ミニウム支持体。
  2. 【請求項2】支持体表面のJIS Z8741−199
    7に規定される85度光沢度が30以下であることを特
    徴とする請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム支
    持体。
  3. 【請求項3】前記処理工程が、最後に親水化処理工程を
    有する請求項1または2に記載の平版印刷版用アルミニ
    ウム支持体。
  4. 【請求項4】アルミニウム板を、少なくとも、電気化学
    的な粗面化工程を2工程以上有し、かつ、該電気化学的
    な粗面化工程の間にエッチング工程またはデスマット工
    程を有する処理工程で処理する平版印刷板用アルミニウ
    ム支持体の製造方法であって、 一の電気化学的な粗面化工程によって、JIS B06
    10−1987に準拠してカットオフ値0.8mm、評
    価長さ6mmで測定したろ波うねり曲線において、深さ
    0.3μm以上のうねりが35〜60個、深さ1.0μ
    m以上のうねりが5個以下である表面を形成した後に、
    更に電気化学的な粗面化工程を行うことを特徴とする平
    版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
JP2000257559A 2000-05-15 2000-08-28 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法 Withdrawn JP2002067521A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000257559A JP2002067521A (ja) 2000-08-28 2000-08-28 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法
US09/854,691 US6806031B2 (en) 2000-05-15 2001-05-15 Support for lithographic printing plate and presensitized plate
EP01111241A EP1157854A3 (en) 2000-05-15 2001-05-15 Support for lithographic printing plate and presensitized plate
CNB011221143A CN1169680C (zh) 2000-05-15 2001-05-15 平版印刷印版的支持体和感光性树脂平版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000257559A JP2002067521A (ja) 2000-08-28 2000-08-28 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002067521A true JP2002067521A (ja) 2002-03-08

Family

ID=18746000

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000257559A Withdrawn JP2002067521A (ja) 2000-05-15 2000-08-28 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002067521A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7063017B2 (en) 2002-12-19 2006-06-20 Panasonic Communications Co., Ltd. Printing plate and plate making method
JP2012067382A (ja) * 2010-08-27 2012-04-05 Fujifilm Corp 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法及び製造装置
JP2018095921A (ja) * 2016-12-13 2018-06-21 日新製鋼株式会社 塗装金属板およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7063017B2 (en) 2002-12-19 2006-06-20 Panasonic Communications Co., Ltd. Printing plate and plate making method
JP2012067382A (ja) * 2010-08-27 2012-04-05 Fujifilm Corp 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法及び製造装置
JP2018095921A (ja) * 2016-12-13 2018-06-21 日新製鋼株式会社 塗装金属板およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4516761B2 (ja) アルミニウム板エンボス加工用ロール
JP2008111142A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP4410714B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005254638A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
US20060223005A1 (en) Lithographic printing plate support and presensitized plate
JP4250490B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金素板および平版印刷版用支持体
JP2002363799A (ja) アルミニウム板、平版印刷版用支持体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原版
JP4037373B2 (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2002067521A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法
JP2002362046A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP3995046B2 (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2007062216A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4445762B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005265501A (ja) 水溶液中のフッ素化合物およびリン酸化合物の濃度測定方法
JP2003191659A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法、および平版印刷原版
JP2006076104A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4194769B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2007125872A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2007055231A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4643380B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2003103955A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4616128B2 (ja) 平版印刷版用支持体
JP3925718B2 (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2006289854A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法および支持体
JP2005146299A (ja) アルミニウム板エンボス加工用ロール

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20071106