JP2002096573A - 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版

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JP2002096573A
JP2002096573A JP2000287421A JP2000287421A JP2002096573A JP 2002096573 A JP2002096573 A JP 2002096573A JP 2000287421 A JP2000287421 A JP 2000287421A JP 2000287421 A JP2000287421 A JP 2000287421A JP 2002096573 A JP2002096573 A JP 2002096573A
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JP2000287421A
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Takashi Kikuchi
敬 菊池
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録層との密着性に優れ、露光によるエネ
ルギーを効率的に画像形成に用いることができる熱拡散
の抑制効果の高い平版印刷版用支持体、及び、高耐刷性
で、非画像部の汚れの発生が抑制されたネガ型の平版印
刷版原版を提供する。 【解決手段】 アルミニウム板に粗面化処理及び陽極酸
化処理を施した後、その表面形状が、0.20μm<R
a(算術平均表面粗さ)<0.45μm、2.0μm<
Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm、Rv(凹部の
最大深さ)<2.5μm、Δa(平均表面傾斜度)<
8.0、及び30<Pc(±0.3μm:ピークカウン
ト)<80の諸条件を満たす支持体及び該支持体上に、
親水性の中間層と、露光によりアルカリ現像液に対する
溶解性が低下する記録層とを、順次設けてなる平版印刷
版原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性及び又は感
熱性の記録層を有する平版印刷版に好適な支持体及びそ
の支持体を用いた平版印刷版原版に関するものであり、
特にサーマルタイプのネガ型記録層を形成するのに好適
な平版印刷版用支持体と平版印刷版原版に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、画像形成技術の発展に伴い、細く
ビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文
字原稿、画像原稿などを直接版面上に形成させ、フイル
ム原稿を用いず直接製版を行う技術が注目されている。
このような直接製版の技術の代表的な態様である、感光
層中で光熱変換を起こし、発生した熱により感光層のア
ルカリ可溶性を低下させることでネガ画像を形成する所
謂サーマルネガタイプの平版印刷版においては、レーザ
ー光照射によって感光層中で赤外線吸収剤などの光熱変
換物質により熱が発生し、その熱により画像形成反応を
引き起こすために、いくつかの問題点を持っている。
【0003】一つは粗面化され陽極酸化皮膜を形成され
たアルミニウム支持体上では、支持体の熱伝導率が感光
層に比べ極めて高いため、感光層支持体界面付近で発生
した熱は画像形成反応が十分進行する前に支持体内部に
移動してしまい、特に感光層の支持体との界面において
感光層の硬化反応性が不十分となり、画像部の支持体と
の密着性が不充分となり耐刷性が低下する傾向があると
いう点である。更に大きな問題点としては、レーザー露
光により画像形成するサーマルネガタイプの感光層で
は、未露光部(非画像部)の硬化していない感光層が現
像液により除去され、支持体表面が露出してそこが親水
領域となるため、支持体表面の親水性が不充分である
と、印刷時に所望されない親油性インキの付着により非
画像部に汚れが発生し易くなることが挙げられる。この
対策として、支持体表面に陽極酸化後にシリケート処理
などを行なって、親水性の向上が図られているが、さら
なる改良が求められている。
【0004】また、現像液が疲労して電導度で表す液感
度が低くなると感光層の溶解性が低下して残膜が発生し
て非画像部に汚れが発生しやすくなるといった問題もあ
り、一方、現像液の液感度が高くなると本来溶解しない
はずの硬化反応後の画像部分までもが溶解して、インキ
の着肉性が低下したり、前記の界面における硬化反応の
不充分な問題とあいまって、耐刷力の低下に繋がってし
まうこともある。この現象はサーマルタイプの画像形成
機構に由来するもので、加熱時の感光層の硬化反応機
構、特に、感光層支持体界面付近の硬化反応の不充分さ
に起因すると考えられている。特に支持体上の親水性の
問題に対処するため、感光層支持体表面の親水性を向上
させる目的で、例えば、種々の下塗り等が検討されてい
るが、いずれにおいても十分満足のいくレベルには到達
できていない。他方、感光層の露光部における硬化反応
を促進させる目的で、露光後に加熱処理を行なうことが
一般的であるが、特殊な装置を必要とし、工程が煩雑に
なる点からこのような後加熱処理を行なうことなく良好
な画像を形成しうるネガ型の平版印刷版が望まれている
のが現状である。
【0005】更に、最近の市場動向として、生産性の向
上のため露光時間の短縮化や、レーザーの長寿命化のた
めになるべく低出力で使用したいなどの要求が強いた
め、レーザー光エネルギーをもっと下げることが要請さ
れており、レーザー光のエネルギーを効率よく画像形成
反応に使用することで、画像部の強度を向上させた高耐
刷性の平版印刷版原版、さらには、非画像部の汚れの発
生が抑制されたサーマルネガタイプの平版印刷版が強く
求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような問題を解
決するための本発明の目的は、記録層との密着性に優
れ、且つ、露光によるエネルギーを効率的に画像形成に
用いることができる熱拡散の抑制効果の高い平版印刷版
用支持体を提供することにある。また、本発明の他の目
的は、感光層において発生した熱の拡散抑制効果の高い
支持体と親水性に優れた中間層とを用いた、高耐刷性
で、非画像部の汚れの発生が抑制されたネガ型の平版印
刷版原版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、支持体の表面性状を特定の条件とすることで、
上記課題を解決しうる平版印刷版用支持体を得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の平版印
刷版用支持体は、アルミニウム板に粗面化処理及び陽極
酸化処理を施した後、その表面形状が、0.20μm<
Ra(算術平均表面粗さ)<0.45μm、2.0μm
<Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm、Rv(凹部
の最大深さ)<2.5μm、Δa(平均表面傾斜度)<
8.0、及び30<Pc(±0.3μm:ピークカウン
ト)<80の諸条件を満たすことを特徴とする。また、
請求項2に係る本発明の平版印刷版原版は、アルミニウ
ム板を粗面化し陽極酸化処理して得られた、表面形状
が、0.20μm<Ra(算術平均表面粗さ)<0.4
5μm及び2.0μm<Rz(十点平均表面粗さ)<
3.0μmの条件を満たす支持体上に、ホスフィン酸
基、ホスホン酸基及びリン酸基からなる群より選択され
る基を有する有機化合物(塩)を含有する中間層と、赤
外線吸収剤を含有し、露光によりアルカリ現像液に対す
る溶解性が低下するネガ型の記録層とを、順次設けてな
ることを特徴とする。
【0008】本発明の支持体では、支持体表面の平均表
面粗さの指標であるRa、Rz、及びPcをそれぞれ上
記範囲としたために、プロファイルにおける凹凸の大き
さと頻度が感光層との機械的密着性とよい相関を示し、
現像時における画像部分の膜剥離を効果的に防止し、且
つ、耐刷性を確保できる。また、上記条件のうち、Δa
(平均表面傾斜度)及びRv(凹部の最大深さ)はそれ
ぞれ支持体表面の凹凸の特に凸部と凹部の傾斜角度と急
峻さを表すものであるが、これらを上記範囲に制御する
ことで、砂目凹部の深さと凹部の壁面の傾斜が適切な形
状を持つことになり、凹部の深部へと浸透した感光層に
ついても、現像時に容易に溶解除去され、残膜の発生を
抑制し得る。この双方の条件を満たす表面形状の本発明
の支持体を用いることによって、感光層との密着性と現
像時の溶解除去性が両立し、非画像部の汚れの発生が抑
制され、耐刷性に優れた平版印刷版原版を得られるもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の支持体においては、アルミニウム板に粗面
化処理及び陽極酸化処理を施した後、その算術平均表面
粗さが0.2μmを超え、0.45μm未満であり、十
点平均表面粗さRzが2.0μmを超え、3.0μm未
満であり、且つ、ピークカウントPc(±0.3μm)
が30を超え、80未満の範囲にあることを要する。こ
のRa、Rz及びPcは支持体表面のプロファイルにお
ける凹凸の大きさと頻度を表し、主に支持体と感光層と
の機械的密着性とよい相関を示す。この値がそれぞれの
下限値を下回ると感光層の十分な密着性が得られず現像
時に画像部分が容易に膜剥がれを起こしてしまい、一
方、上限値を上回ると該支持体上に感光層を設けた場合
に部分的に感光層が非常に薄くなる部分ができるため、
剥離しやすくなり、耐刷性が低下する傾向がある。
【0010】Ra及びRzの値は、例えば、JIS B
0601(1994年)に記載の方法により求めるこ
とができるが、本発明においては、東京精密社製、su
rfcom575を用いて、測定長3mm、触針径2μ
mR、走査速度0.3mm/S、cut−off 0.
8の条件にて測定した値を採用している。また、Pc
も、同装置、同条件で測定し、算出されたものである。
これらのより好ましい値としては、それぞれ、0.25
μm<Ra<0.40μm、2.2μm<Rz<2.7
μm、45<Pc<65の範囲である。
【0011】さらに、本発明の支持体においては、陽極
酸化皮膜形成後の支持体表面の平均表面傾斜度(Δa)
は8.0度以下であり、且つ、凹部の最大深さRvは、
2.5μm未満であることを要する。Δa及びRvはそ
れぞれ支持体凹凸の特に凸部と凹部の傾斜角度と急峻さ
を表し、非画像部の感光層現像性に大きく関与する。こ
の値が大きすぎると砂目凹部が深く急峻な傾斜を持つこ
とになり、深く入り込んだ感光層が現像時溶解除去され
難く残膜として残存し易くなり、非画像部の汚れ発生の
原因ともなる。上記範囲であれば、支持体と感光層との
密着性を維持しつつ、凹部の底部に存在する感光層も現
像液によって容易に除去されるため、上記範囲の支持体
を用いることによって耐刷性を低下させることなく、残
膜の発生による非画像部の汚れを防止し得る。Rvの値
は、例えば、JIS B 0601(1994年)に記
載の方法により求めることができるが、本発明において
は、Δa及びRvは、前記Rzなどと同様に、東京精密
社製、surfcom575を用いて、測定長3mm、
触針径2μmR、走査速度0.3mm/S、cut−o
ff0.8の条件にて測定し、算出した。、Rvは前述
したように、2.5μm未満であることを要するが、さ
らに、2.0μm未満であることが好ましい。一般的に
このような表面状態を再現するには、アルミニウムの処
理において、アルカリエッチングにおけるアルミニウム
の溶解量、電気化学的な粗面化処理量、デスマット及び
アノダイズ処理量のバランスを取ることが必要である。
【0012】以下に、上記のような好ましい表面形状を
有する支持体の製造方法について、工程順に説明する。 [アルミニウム支持体]本発明に用いられるアルミニウ
ム支持体は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とす
る金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金か
らなる支持体である。純アルミニウム板の他、アルミニ
ウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はア
ルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプ
ラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。更に、特
公昭48−18327号に記載されているようなポリエ
チレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシート
が結合された複合体シートでもかまわない。以下の説明
において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金からなる基板或いはアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金からなる層を有する基板をアルミニウム基板と
総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元
素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、ク
ロム、亜鉛、ビスマス、二ッケル、チタンなどがあり、
合金中の異元素の含有量は10重量%以下である。本発
明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJ
IS A 1050、JISA l100、JIS A
3103、JISA 3005などを適宜利用するこ
とが出来る。また、本発明に用いられるアルミニウム基
板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度であ
る。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユ
ーザ上の希望により適宜変更することができる。
【0013】このようなアルミニウム基板に、以下に説
明する種々の表面処理を施してアルミニウム支持体を得
る。 (砂目立て処理)アルミニウム板はより好ましい形状に
砂目立て処理させる。砂目立て処理方法は、特開昭56
−28893号に開示されているような機械的砂目立
て、化学的エッチング、電解グレイン、さらには塩酸ま
たは硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学
的砂目立て方法がある。
【0014】その中でも本発明に有用に使用される砂目
表面を作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に
砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は
陽極時電気量50C/dm2〜400C/dm2の範囲で
ある。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または
硝酸を含む電解液中、温度30〜90℃、時間1秒〜6
00秒、電流密度70C/dm2〜300C/dm2の条
件で直流又は交流を用いて行われる。電気化学的粗面化
は、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるた
め、感光層と基板の密着を向上する上でも不可避であ
る。
【0015】この砂目立て処理による粗面化処理を施す
ことで、必要な表面粗さを達成し得るもとになる表面の
微細な凹凸を形成することができる。平均直径約0.2
〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピットをア
ルミニウム表面に10〜100%の面積率で生成するこ
とが出来る。ここで設けたピットは印刷版の非画像部の
汚れにくさと耐刷力を向上する作用がある。電気化学的
粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必
要なだけの電気量、即ち電流と電流を流した時間の積が
電気化学的粗面化における重要な条件となる。より少な
い電気量で十分なピットを形成出来ることは、省エネの
観点からも望ましい。
【0016】(エッチング処理)このように砂目立て処
理したアルミニウム基板は、酸またはアルカリにより化
学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用い
る場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業
的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカ
リをエッチング剤として用いることによりこの問題点を
改善できる。本発明においてエッチング処理に好適に用
いられるアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソー
ダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソー
ダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
これらのアルカリ剤を用いてエッチング処理を行う場
合、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ0.1〜40
%、20〜90℃であり、アルミニウムの溶解量が0.
2〜20g/m2となるような条件が好ましい。このエ
ッチング処理条件を制御することで、支持体表面に形成
される凹部の傾斜度を緩やかにするような制御を行うこ
とが好ましい。
【0017】エッチングのあと表面に残留する汚れ(ス
マット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられ
る酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフ
ッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理
後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭
53−12739号公報に記載されているような50〜
90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方
法及び特公昭48−28123号公報に記載されている
アルカリエッチングする方法が挙げられる。
【0018】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム基板には、さらに陽極酸化処理が施さ
れる。陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている
方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、
クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフ
ォン酸等の単独あるいはこれらの二種以上を組み合わせ
て水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または
交流を流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を
形成することができる。この際、電解液中に少なくとも
Al合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成
分はもちろん含まれても構わない。さらには第2、第3
成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3
成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、T
i、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオ
ン;、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イ
オン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、
ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオン;等が挙げら
れ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれ
ても良い。陽極酸化処理の条件は使用される電解液によ
って種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的
には電解液の濃度が1〜80%、液温−5〜70°C、
電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、
電解時間10〜200秒の範囲が適当である。これらの
陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,7
68号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流
密度で陽極酸化する方法が好ましい。本発明において
は、形成される陽極酸化皮膜は1〜10g/m2の範囲
にあることが好ましく、形成皮膜量が1g/m2未満で
あると版に傷が入りやすく、10g/m2を超える場合
には、製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利で
ある。好ましくは、1.5〜7g/m2であり、更に好
ましくは、2〜5g/m2である。
【0019】上記のような処理を行うことで、前記表面
形状を有するアルミニウム支持体を得ることができる。
例えば、エッチング処理条件や陽極酸化条件を調整する
ことで、容易にRaやPcさらには、Rv等の値を制御
できるため、適度に凹凸が形成され、且つ、深く急峻な
角度を有する凹部が存在しない、好ましい形状の表面を
有する支持体を形成できる。
【0020】次に、本発明のネガ型平版印刷版原版につ
いて説明する。本発明の平版印刷版原版においては、支
持体の表面形状として0.20μm<Ra(算術平均表
面粗さ)<0.45μm及び2.0μm<Rz(十点平
均表面粗さ)<3.0μmの条件を満たすものを採用す
る。この形状によれば、支持体表面に形成された凹凸は
その角度が緩やかで、且つ、深く急峻な傾斜角度を有す
るような凹部が存在しないことから、支持体と記録層と
の物理的な密着性に著しく優れるということがない。そ
こで、支持体と記録層との密着性向上、及び、支持体表
面の親水性の向上の観点から、支持体上に、ホスフィン
酸基、ホスホン酸基及びリン酸基からなる群より選択さ
れる基を有する有機化合物(塩)を含有する中間層を設
ける。なお、支持体上に、中間層と、記録層とを、順次
設けるとは、支持体上に、これら二つの層がこの順で設
けられていることを指し、他の任意の層、例えば、表面
保護層、バックコート層等の存在を否定するものではな
い。
【0021】[中間層]中間層には、ホスホン酸基、ホ
スフィン酸基及びリン酸基から選択される基を有する有
機化合物或いはその塩が用いられる。この有機化合物に
導入されうるホスホン酸基、ホスフィン酸基及びリン酸
基は、具体的には、それぞれ一般式(I)、(II)及び
(III)で表される基を指す。
【0022】
【化1】
【0023】式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に
水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。
このアルキル基は、置換基を有していてもよく、好まし
い置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等
が挙げられる。なかでも、好適に用いられるものは、R
1、R2及びR3が水素原子である下記に示す基(I−
1)〜(III−1)を有する有機化合物であり、さらに
好ましくは前記のうち、(I−1)を有する化合物であ
る。
【0024】
【化2】
【0025】このような化合物としては、フェニルホス
ホン酸、フェニルリン酸、2−メタクリロイルオキシリ
ン酸、ビニルホスホン酸、ポリビニルホスホン酸及びビ
ニルホスホン酸とアクリルアミドとの共重合体、ビニル
ホスホン酸とアクリル酸との共重合体等が挙げられる。
中間層に用いられる有機化合物としては、前記ホスホン
酸基、ホスフィン酸基及びリン酸基から選択される基に
加えて、さらにアミノ基を有する有機化合物が好ましく
用いられる。ここで、有機化合物が有するアミノ基とし
ては一般式(IV)を有する構造のものが好適なものとし
て挙げられる。このアミノ基は、前記アルキル基におい
て例示したような置換基を有するものであってもよい
が、好ましくは、無置換のアミノ基である。
【0026】
【化3】
【0027】式中、R4及びR5は独立に水素原子、炭素
数1から5の置換または無置換のアルキル基を示す。本
発明における好ましい有機化合物であるアミノ基とホス
ホン酸基、ホスフィン酸基及びリン酸基から選択される
基とを結合する炭素原子は、1〜10個が好ましく、さ
らに好ましくは1〜3である。また炭素原子は、芳香環
(窒素原子、酸素原子、硫黄原子が入っている場合も含
む)を形成していてもよいが、環状でないものが好まし
い。また、この有機化合物は、塩の形として用いてもよ
い。塩を形成させる好ましい化合物の例は、塩酸、硫
酸、硝酸、スルホン酸(メタンスルホン酸等)、蟻酸、
アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アンモニ
ア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミン
等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)など
である。
【0028】なお、特開昭63−165183号公報に
は、アミノ基及びホスホン酸基を有する化合物又はその
塩を下塗りする方法が開示されているが、これは、本発
明の如きサーマルネガタイプの記録層に対応するもので
はない。サーマルネガタイプの記録層は、赤外光を熱に
変換し、その熱を画像形成に利用するものであり、従来
の紫外線又は可視光線による光を利用した画像形成とは
機構が異なる。即ち、光を利用した画像形成の場合に
は、記録層の下部に至るまで化学反応が起こり得るのに
対し、熱を利用した画像形成の場合には、記録層の下部
は、支持体への熱拡散のため化学反応が起こりにくくな
り、従って、画像形成における中間層の効果が著しく発
言されるという特徴を有する。
【0029】本発明で中間層に用いられる有用な有機化
合物を具体的に挙げると、アミノ基とホスホン酸基とを
有するホスホン酸系化合物としては、アミノメチルホス
ホン酸、1−アミノエチルホスホン酸、1−ジメチルア
ミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、
2−(N−メチルアミノ)エチルホスホン酸、3−アミ
ノプロピルホスホン酸、2−アミノプロピルホスホン
酸、1−アミノプロピルホスホン酸、1−アミノプロピ
ル−2−クロループロピルホスホン酸、2−アミノブチ
ルホスホン酸、3−アミノブチルホスホン酸、1−アミ
ノブチルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、2
−アミノペンチルホスホン酸、5−アミノペンチルホス
ホン酸、2−アミノヘキシルホスホン酸、5−アミノヘ
キシルホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン酸、4
−アミノ−2−メチルフェニルホスホン酸、4−アミノ
−3−フルオロホスホン酸などが挙げられる。アミノ基
とホスフィン基とを有するホスフィン酸類としては、上
記の例示化合物のホスホン酸基をホスフィン酸基にかえ
た化合物、例えば2−アミノエチルホスフィン酸などが
挙げられる。また、リン酸類としては、同様に上記ホス
ホン酸化合物のホスホン酸基をリン酸基にかえた化合
物、例えば2−アミノエチルリン酸などが挙げられる。
【0030】これらの有機化合物は、先に述べたように
塩の形にして用いても同様の効果を奏するものであり、
例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩(メタン
スルホン酸等)、蟻酸塩、ナトリウム塩、アンモニウム
塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩など
の形にして用いることもできる。中間層を形成するため
には、上記の有機化合物を適切な溶媒に溶解し、それを
支持体上に塗布し、乾燥すればよい。好ましい塗布量
は、2〜200g/m2の範囲であり、より好ましく
は、3〜60g/m2の範囲である。
【0031】[画像形成層]以上のように、ホスフィン
酸基、ホスホン酸基及びリン酸基からなる群より選択さ
れる基を有する有機化合物(塩)を含有する中間層が作
成された本発明の支持体には、必要に応じて以下の画像
形成層が形成される。本発明に用いられる画像形成層
は、赤外線レーザの照射により書き込み可能であり、記
録層の可溶性が低下するようなものであれば、特に制限
されない。このような、赤外線レーザ露光により直接記
録可能であり、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性
が低下する感光層を以下、適宜、サーマルネガタイプ感
光層と称する。サーマルポジタイプのレーザー直描型平
版印刷版用感光層としては、公知のものを適用すること
ができ、例えば、特開平9−222737号、特開平9
−90610号、特開平9−87245号、特開平9−
43845号、特開平7−306528号の各公報、或
いは本願出願人による特願平10−229099号、特
願平11−240601号の各明細書に記載の感光層、
記録層などが挙げられる。
【0032】このようなサーマルネガ型の記録層は、光
照射や加熱により発生するラジカル或いは酸が開始剤や
触媒となり、記録層を構成する化合物が重合反応、架橋
反応を生起し、硬化して画像部を形成するものである。
【0033】以下に、本発明の画像形成方法を適用し得
るネガ型平版印刷版原版について説明する。本発明の方
法は赤外線レーザによる書き込み可能なすべての平版印
刷版原版、即ち、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部
を形成するネガ型の感光層を有する平版印刷版原版であ
れば、いずれのものにも適用することができる。このよ
うなネガ型感光層の1つとして、光重合層が挙げられ
る。光重合層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカ
ル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカルに
より重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性
化合物とを含有し、好ましくは(D)バインダーポリマ
ーを含有する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変
換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカ
ル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。ラジカル
重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二
重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも
1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発
生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化
する。また、感光層の他の態様としては、酸架橋層が挙
げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により酸を発
生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、(F)発
生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤と称す
る)とを含有し、さらに、これらを含有する層を形成す
るための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アル
カリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層においては、
光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸
が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士あるいは架橋剤
とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成さ
れ、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に
不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを効
率よく使用するため、感光層中には(A)赤外線吸収剤
が配合される。
【0034】ネガ型平版印刷版原版の記録層に用いられ
る各化合物について以下に述べる。 [(A)赤外線吸収剤]本発明に係る平版印刷版原版の
感光層は、赤外線を発するレーザで画像記録可能な構成
を有する。このような感光層には、赤外線吸収剤を用い
ることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を
熱に変換する機能を有している。この際発生した熱によ
り、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸
を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤
は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有す
る染料又は顔料である。
【0035】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番
号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シ
アニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示され
るシアニン色素が最も好ましい。
【0036】
【化4】
【0037】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子また
は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭
化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭
素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の
保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上
の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2
とは互いに結合し、5員環または6員環を形成している
ことが特に好ましい。Ar1、Ar2は、それぞれ同じで
も異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香
族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異
なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以
下のジアルキルメチレン基を示す。R 3、R4は、それぞ
れ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても
良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好まし
い置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ
基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5
6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていて
も良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水
素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子で
ある。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1
〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、
1-は必要ない。好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存
安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラ
フルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェート
イオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましく
は、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイ
オン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0038】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特願平11−310623号明細書の段落番号[0
017]〜[0019]に記載されたものを挙げること
ができる。
【0039】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0040】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細
は、特開平10−39509号公報の段落番号[005
2]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを
本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち
好ましいものはカーボンブラックである。
【0041】感光層中における、上述の染料又は顔料の
含有量としては、感光層の全固形分重量に対し、0.0
1〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより
好ましく、さらに染料の場合には、0.5〜10重量%
が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10重量%
が最も好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満で
あると、感度が低くなることがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発
生することがある。
【0042】[(B)ラジカルを発生する化合物]本発
明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物
としては、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨード
ニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩である。こ
れらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、
後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジ
カル重合の開始剤として機能する。本発明において好適
に用いられるオニウム塩は、下記一般式(III)〜
(V)で表されるオニウム塩である。
【0043】
【化5】
【0044】式(III)中、Ar11とAr12は、それぞ
れ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個
以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有
する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニ
トロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子
数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個
以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲ
ンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスル
ホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表
し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォ
スフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンで
ある。
【0045】式(IV)中、Ar21は、置換基を有してい
ても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキ
シ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素
原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数1
2個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-
と同義の対イオンを表す。
【0046】式(V)中、R31、R32及びR33は、それ
ぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していて
も良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ま
しい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原
子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の
アルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリール
オキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオン
を表す。
【0047】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特願平11−3106
23号明細書の段落番号[0030]〜[0033]に
記載されたものを挙げることができる。
【0048】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、
さらに360nm以下であることが好ましい。このよう
に吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版
原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0049】これらのオニウム塩は、感光層塗布液の全
固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で感
光層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1
重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を
越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのオ
ニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併
用しても良い。また、これらのオニウム塩は他の成分と
同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加
してもよい。
【0050】[(C)ラジカル重合性化合物]本発明に
係る感光層に使用されるラジカル重合性化合物は、少な
くとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカ
ル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少
なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選
ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く
知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限
定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、
プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマ
ー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の
例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
あげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。ま
た、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求
核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド
類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ
類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン
酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イ
ソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有す
る不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能
もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオー
ル類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキ
シ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステ
ルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコー
ル類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適
である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸
の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換え
た化合物群を使用する事も可能である。
【0051】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−3
10623号明細書の段落番号[0037]〜[004
2]に記載されており、これらを本発明にも適用するこ
とができる。
【0052】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926、特公昭51−47334、特開
昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステ
ル類や、特開昭59−5240、特開昭59−524
1、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有す
るもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有
するもの等も好適に用いられる。
【0053】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0054】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものをあげる事ができる。
【0055】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニ
ルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0056】一般式(VI) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0057】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。
【0058】さらに、特開昭63−277653,特開
昭63−260909号、特開平1−105238号に
記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有
するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0059】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートをあげることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等もあげることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも使用することができる。
【0060】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定でき
る。例えば、次のような観点から選択される。感度の点
では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好まし
く、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像
部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以
上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性
基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合
物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物
等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく
無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は
重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2
種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうるこ
とがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性
を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり
得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に
関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場
合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の
粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の
転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出
が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、ラジ
カル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組
成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは20〜
75重量%である。また、これらは単独で用いても2種
以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物
の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、か
ぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構
造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっ
ては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し
うる。
【0061】[(D)バインダーポリマー]本発明の記
録層には、さらに所望によりバインダーポリマーを使用
する。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いるこ
とが好ましい。このような「線状有機ポリマー」として
は、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像ある
いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは
弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマ
ーが選択される。線状有機ポリマーは、感光層を形成す
るための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ
水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使
用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水
現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとして
は、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例え
ば特開昭59−44615号、特公昭54−34327
号、特公昭58−12577号、特公昭54−2595
7号、特開昭54−92723号、特開昭59−538
36号、特開昭59−71048号に記載されているも
の、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重
合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレ
イン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等
がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セ
ルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体
に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0062】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。
【0063】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特願平10−116232号等に記載される酸基を含有
するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に
優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0064】さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーと
して、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド
等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにア
ルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリ
エーテル等も有用である。
【0065】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については好ましくは5000以上であり、さらに
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1000以上であり、さらに好まし
くは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平
均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに
好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0066】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい
が、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0067】本発明で使用されるポリマーは従来公知の
方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒と
しては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロ
リド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセト
ン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶
媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0068】本発明で使用されるポリマーを合成する際
に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始
剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0069】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%の割合で感光層中に添加さ
れる。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。
【0070】次に、酸架橋層の構成成分について説明す
る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記光重合層に
おいて説明した(A)赤外線吸収剤と同様のものを用い
ることができる。好ましい含有量は、感光層の全固形分
重量に対し、0.01〜50重量%が好ましく、0.1
〜10重量%がより好ましく、さらに染料の場合には、
0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料の場合には、
1.0〜10重量%が最も好ましい。前記含有量が、
0.01重量%未満であると、感度が低くなることがあ
り、50重量%を超えると、平版印刷用原版とした場合
の非画像部に汚れが発生することがある。
【0071】[(E)酸発生剤]本実施の形態におい
て、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200
〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以
上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光
ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色
剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知
の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合
物及びそれらの混合物等が挙げられる。例えば、S.
I.Schlesinger,Photogr.Sc
i.Eng.,18,387(1974)、T.S.B
al et al,Polymer,21,423(1
980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,06
9,055号明細書、特開平4−365049号等に記
載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055
号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホ
ニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第3
39,049号、同第410,201号の各明細書、特
開平2−150848号、特開平2−296514号に
記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、
同390,214号、同233,567号、同297,
443号、同297,442号、米国特許第4,93
3,377号、同161,811号、同410,201
号、同339,049号、同4,760,013号、同
4,734,444号、同2,833,827号、独国
特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホ
ニウム塩、
【0072】J.V.Crivello et al,
Macromolecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載
のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記
載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,9
05,815号明細書、特公昭46−4605号、特開
昭48−36281号、特開昭55−32070号、特
開昭60−239736号、特開昭61−169835
号、特開昭61−169837号、特開昭62−582
41号、特開昭62−212401号、特開昭63−7
0243号、特開昭63−298339号に記載の有機
ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報に記載
の有機金属/有機ハロゲン化物、欧州特許第0290,
750号、同046,083号、同156,535号、
同271,851号、同0,388,343号、米国特
許第3,901,710号、同4,181,531号の
各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−
133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を
有する光酸発生剤、欧州特許第0199,672号、同
84515号、同199,672号、同044,115
号、同0101,122号、米国特許第4,618,5
64号、同4,371,605号、同4,431,77
4号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2
−245756号、特願平3−140109号に記載の
イミノスルフォネート等に代表される、光分解してスル
ホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号
に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0073】また、これら酸を発生する基又は化合物
を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好
適に挙げることができ、例えば、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3,914,407号の各明
細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164
824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1
46037号、特開昭63−163452号、特開昭6
2−153853号、特開昭63−146029号に記
載の化合物が挙げられる。さらに、V.N.R.Pil
lai,Synthesis,(1),1(198
0)、A.Abad et al,Tetrahedr
on Lett.,(47)4555(1971)、
D.H.R.Barton et al,J.Che
m,Soc,.(B),329(1970)、米国特許
第3,779,778号、欧州特許第126,712号
の各明細書等に記載の、光により酸を発生する化合物も
使用可能である。上述の酸発生剤のうち、下記一般式
(I)〜(V)で表される化合物が好ましい。
【0074】
【化6】
【0075】前記一般式(I)〜(V)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素
数1〜14の炭化水素基が好ましい。
【0076】前記一般式(I)〜(V)で表される酸発
生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特願
平11−320997号明細書段落番号[0197]〜
[0222]に詳細に記載されている。これらの化合物
は、例えば、特開平2−100054号、特開平2−1
00055号に記載の方法により合成することができ
る。
【0077】また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化
物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げる
ことができ、中でも、下記一般式(VI)〜(VIII)
で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニ
ウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げる
ことができる。
【0078】
【化7】
【0079】前記一般式(VI)〜(VIII)中、X
-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6
-、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換
基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表
す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有して
いてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8
9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以
下の炭化水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報段落番号[0010]〜[00
35]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載され
ている。
【0080】酸発生剤の添加量としては、記録層の全固
形分重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.
1〜25重量%がより好ましく、0. 5〜20重量%が
最も好ましい。前記添加量が、0.01重量%未満であ
ると、画像が得られないことがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。
【0081】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説明
する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル
基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物
【0082】以下、前記(i)〜(iii)の化合物につ
いて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しくは
アルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基
若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香
族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾー
ル樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを
塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれ
る。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ
置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中で
も、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基
又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。ま
た、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物
又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が
炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物がより好ましい。
【0083】
【化8】
【0084】
【化9】
【0085】前記一般式(1)〜(4)中、L1〜L
8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチ
ル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒ
ドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点
で好ましい。
【0086】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−
A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第
3,634,671号、同第3,711,264号に記
載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデ
ヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP
−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ
置換化合物等が挙げられる。なかでも、例えば、少なく
とも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキ
シメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する
メラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−ア
ルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
【0087】(iii) エポキシ化合物としては、1以上の
エポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリゴマ
ー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例えば、
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成
物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピ
クロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その
他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,
539,192号の各明細書に記載され、使用されてい
るエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0088】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化
合物を用いる場合の添加量としては、感光層の全固形分
重量に対し5〜80重量%が好ましく、10〜75重量
%がより好ましく、20〜70重量%が最も好ましい。
前記添加量が、5重量%未満であると、得られる画像記
録材料の感光層の耐久性が低下することがあり、80重
量%を超えると、保存時の安定性が低下することがあ
る。
【0089】本発明においては、架橋剤として、(iv)
下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好適に
使用することができる。
【0090】
【化10】
【0091】前記一般式(5)中、Ar1は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。原料の入手
性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。ま
た、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。
【0092】上記のうち、高感度化が可能である点で、
Ar1としては、置換基を有していないベンゼン環、ナ
フタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭
化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下
のアルキルチオ基又はニトロ基等を置換基として有する
ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。
【0093】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]本発
明に係る酸架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子
化合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシア
リール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボラ
ック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性
条件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
【0094】中でも、例えば、フェノールとホルムアル
デヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールと
ホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒド
から得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フ
ェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p
−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の
混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、
触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られる
オルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好まし
い。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜
300,000で、数平均分子量が400〜60,00
0のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して
用いればよい。
【0095】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。本
実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基
を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか1
種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明
においては、これらに限定されるものではない。
【0096】
【化11】
【0097】一般式(IX)〜(XII)中、R11は、水
素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも
異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基
又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、
12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサ
ン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数
20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又
は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、
単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エ
ステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数
を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表
す。
【0098】これらのアルカリ可溶性高分子としては、
本発明者らが先に提案した特願平11−320997号
明細書段落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載さ
れている。本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性
高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種
類以上を組合わせて使用してもよい。
【0099】アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量と
しては、感光層の全固形分に対し5〜95重量%が好ま
しく、10〜95重量%がより好ましく、20〜90重
量%が最も好ましい。アルカリ水可溶性樹脂の添加量
が、5重量%未満であると、記録層の耐久性が劣化する
ことがあり、95重量%を超えると、画像形成されない
ことがある。
【0100】また、本発明の方法が適用できる公知の記
録材料としては、特開平8−276558号公報に記載
のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特
開平7−306528号公報に記載のジアゾニウム化合
物を含有するネガ型記録材料、特開平10−20303
7号公報に記載されている環内に不飽和結合を有する複
素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架橋反
応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ、これ
らに記載の記録層を本発明に係るネガ型記録層としての
酸架橋層に適用することができる。
【0101】本発明に係る記録層には、さらに必要に応
じてこれら以外に種々の公知の添加剤を併用することが
できる。これらの化合物を好適な溶媒に溶解して感光層
塗布液を調整し、先に述べた特定の表面積を有するアル
ミニウム支持体上に塗布することで、本発明の平版印刷
版原版を得ることができる。本発明に係る記録層の塗布
量(固形分)は用途によって異なるが、0.5〜5.0
g/m2の範囲に調整されることが好ましい。塗布する
方法としては、種々の方法を用いることができるが、例
えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カ
ーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレー
ド塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が
少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光
層の被膜特性は低下する。
【0102】
〔実施例1〜5、比較例1〜2〕
<支持体の作成>Alを主とする金属として、Si:
0.07%、Fe:0.30%、Cu:0.017%、M
n:0.001%、Mg:0.001%、Zn:0.0
01%、Ti:0.03%、残部はAlto不可避不純
物の合金を用いて溶湯を調整し、溶湯処理、濾過を行っ
た上で、厚さ500mm幅1200mmの鋳塊をDC鋳
造法で作成し、表面を平均10mm面削機で削り取った
後、約5時間550℃で均熱保持し、温度400℃に下
がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの
圧延板とし、更に連続焼鈍機を使って熱処理を500℃
で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ
た。このアルミ板を幅1030mmにした後、以下に示
す表面処理を連続的に行った。
【0103】(a)アルカリ剤によるエッチング処理 アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6wt%、アルミ
ニウムイオン濃度6.5wt%、温度70℃でスプレー
によるエッチング処理を行い、アルミニウム板を13g
/m2溶解した。その後スプレーによる水洗をおこなっ
た。
【0104】(b)デスマット処理 温度30℃の硝酸濃度lwt%水溶液(アルミニウムイ
オン0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット
処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマッ
トに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて
電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0105】(c)電気化学的な粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1wt%水溶
液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイ
オン0.007wt%含む)、温度50℃であった。交
流電源波形は図1に示した波形で電流値がゼロからピー
クに達するまでの時間TPが2msec、duty比
1:1,台形の短形波交流を用いて、カーボン電極を対
極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノー
ドにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図2に示
すものを2個使用した。電流密度は電流のピーク値で3
0A/dm2,電気量はアルミニウム板が陽極時の電気
量の総和で250C/dm2であった。補助陽極には電
源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレ
ーによる水洗を行った。
【0106】(d)エッチング処理 アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アルミニ
ウムイオン濃度6.5wt%でスプレーによるエッチン
グ処理を30°Cでおこない、アルミニウム板を0.3
g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面
化をおこなったときに生成した水酸化アルミニウムを主
体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッ
ジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後ス
プレーで水洗した。 (e)デスマット処理 温度60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマ
ット処理をおこない、その後スプレーによる水洗をおこ
なった。
【0107】(f)陽極酸化処理 図3に示す構造の二段給電電解処理法の陽極酸化装置
(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、
第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4
m)を使って電解部の硫酸濃度100g/リットル(ア
ルミニウムイオンを0.5wt%含む)、温度50℃、
比重1.1、電導度0.39S/cmで陽極酸化処理を
おこなった。その後スプレーによる水洗をおこなった。
この時、陽極酸化装置においては、電源67a及び67
bからの電流は、第一給電部62aに設けられた第一給
電電極65aに流れ、電解液を介して板状アルミニウム
に流れ、第一電解部63aで板状アルミニウムの表面に
酸化皮膜を生成させ、第一給電部63に設けられた電解
電極66a、66bを通り、電源に戻る。一方、電源6
7c及び67dからの電流は、第二給電部62bに設け
られた第二給電電極65bに流れ、同様に電解液を介し
て板状アルミニウムに流れ、第二電解部63bで板状ア
ルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源67
a及び67bから第一給電部2aに給電される電気量と
電源67c及び67dから第二給電部62bに給電され
る電気量は同じであり、第二給電部62bにおける酸化
皮膜面での給電電流密度は、約23(A/dm2)であ
った。第二給電部62bでは、1.2g/m2の酸化皮
膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は
2.4g/m2であった。
【0108】ここまでの処理を行った基板を[A]とす
る。基板[A]において、アルカリ剤によるエッチング
処理(a)におけるアルミニウム板の溶解量を9.0g
/m2とし、エッチング処理(d)を除いて作成した基
板を[B]とする。基板[A]において、エッチング処
理(d)の処理温度を70℃で行い、アルミニウム板を
13g/m2溶解した基板を[C]とする。
【0109】この様にして得られた基板[A]、
[B]、[C]の表面の粗さ曲線Ra(μm)、Rv
(μm)、Pc、断面曲線Rz(μm)、Δa(de
g)は前記したように、それぞれ、東京精密製surf
com575を用いて、測定長3mm、触針径2μm
R、走査速度0.3mm/S、cut−off0.8の
条件にて測定した。結果を下記表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】<支持体の評価>上記本発明の支持体であ
る基板[A]上に、後述する感光層塗布液Aを塗布、乾
燥して、感光層を設けて、ネガ型平版印刷版[P−1]
を得た。それを、下記実施例2〜5と同様の条件で露
光、現像して、耐刷力を評価したところ、10万枚を達
成し、本発明の支持体は、記録層との密着性、硬化性に
優れていることがわかった。
【0112】<中間層の形成>次に、上記のように処理
された基板[A]の表面に、下記組成の親水性中間層塗
布液(a)〜(d)を塗布し、80℃、30秒間乾燥し
て中間層を形成した。乾燥後の皮膜量は20mg/m2
であった。
【0113】 (中間層塗布液) ・表2に記載の有機化合物(a)〜(d) 0.10g ・純水 50g ・メタノール 50g
【0114】
【表2】
【0115】<感光層の形成>次に、下記感光層塗布液
Aを調整し、上記の基板[A]の表面に中間層を形成し
たアルミニウム支持体、及び基板[B]、[C]のそれ
ぞれにワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置に
て115℃で45秒間乾燥してネガ型平版印刷版原版
[P−2]〜[P−7]を得た。乾燥後の被覆量は1.
2〜1.3g/m2の範囲内であった。
【0116】 (感光層塗布液A) ・赤外線吸収剤[IR−6] 0.08g ・オニウム塩[OI−6] 0.30g ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g ・アリルメタクリレートとメタクリル酸の モル比80:20の共重合体 (重量平均分子量12万) 1.00g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g ・フッ素系界面活性剤 0.01g (メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 9.0g ・メタノール 10.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
【0117】
【化12】
【0118】[露光]得られたネガ型平版印刷版原版
[P−2]〜[P−7]を、水冷式40W赤外線半導体
レーザを搭載したCreo社製Trendsetter
3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数21
0rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度
2400dpiの条件で露光した。
【0119】[現像処理]露光後、富士写真フイルム
(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理
した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイ
ルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用いた。現
像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、
富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を
用いた。
【0120】[印刷]次に、平版印刷版[P−2]〜
[P−7]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リ
スロンを用いて印刷した。 <耐刷性の評価>それぞれの印刷版で正常な印刷物が得
られた枚数をカウントして耐刷性の目安とした。枚数が
多いほど耐刷性に優れると評価する。結果を下記表3に
示す。 <汚れ性の評価>得られた印刷物の非画像部の汚れの発
生の有無を目視で評価した。非画像部に汚れのないもの
を汚れ性が良好であると評価する。結果を下記表3に示
す。
【0121】
【表3】
【0122】表3に明らかなように、支持体の表面形状
が本発明の範囲内、即ち、0.20μm<Ra<0.4
5μm、2μm<Rz<3μm、Rv<2.5μm、Δ
a<8.0、30<Pc(±0.3μm)<80を共に
満たす基板[A]を使用した記録材料[P−1]〜[P
−5]は、支持体と感光層との密着性が良く、十分な耐
刷力が得られた。しかし、支持体表面のプロファイルが
大き過ぎる基板[B]を使用した記録材料[P−6]
や、小さすぎる[P−7]は、十分な耐刷性が得られな
かった。さらに、支持体と感光層の間に親水性の中間層
を設けた本発明のネガ型平版印刷版[P−2]〜[P−
5]は、汚れ性に優れることがわかった。また、この表
面形状は、支持体製造時の粗面化やエッチング処理条件
を制御することで達成することができた。
【0123】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体は、記録層
との密着性に優れ、且つ、熱拡散抑制効果が高く、露光
によるエネルギーを効率的に画像形成に用いることがで
きる。また、この平版印刷版用支持体を用いた本発明の
ネガ型平版印刷版原版は、感光層において発生した熱の
拡散抑制効果が高く、赤外線を放射する固体レーザ及び
半導体レーザを用いて、コンピューター等のデジタルデ
ータから直接記録可能で、レーザ露光時の感度が高く、
現像後の非画像部における感光層成分の残存が少なく、
且つ、画像部と支持体との密着性、耐刷性に優れてい
て、印刷時良好な印刷物が多数枚得られるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版用支持体の作成に用いら
れる電気化学的粗面化に用いる交番波形電流波形図の一
例を示すグラフである。
【図2】 本発明の平版印刷版用支持体の作成に用いら
れる電気化学的粗面化に用いる2つ以上のラジアルドラ
ムローラを連結した装置の概略構成図である。
【図3】 本発明の平版印刷版用支持体の作成に適用可
能な二段給電電解法における電解処理装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
11 アルミニウムウエブ 12 ラジアルドラムローラ 13a,13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a,19b サイリスタ 20 交流電源 40,41 主電解槽 50,51 補助陽極槽 60 給電部 61 電解部 62 中間部 63 給電電極 64 電解電極 65 電源
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/11 503 G03F 7/11 503 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AA14 AB03 AC08 AD01 BH02 CC11 CC20 DA18 DA20 DA40 FA10 2H096 AA06 BA01 CA01 CA05 EA04 GA08 2H114 AA04 AA11 AA14 AA22 AA24 AA28 BA01 BA10 DA35 DA36 DA59 EA01 EA03 EA04 FA06 GA04 GA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板に粗面化処理及び陽極酸
    化処理を施した後、その表面形状が以下の条件を満たす
    ことを特徴とする平版印刷版用支持体。 0.20μm<Ra(算術平均表面粗さ)<0.45μ
    m 2.0μm<Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm Rv(凹部の最大深さ)<2.5μm Δa(平均表面傾斜度)<8.0 30<Pc(±0.3μm:ピークカウント)<80
  2. 【請求項2】 アルミニウム板を粗面化し陽極酸化処理
    して得られた、表面形状が下記の条件を満たす支持体上
    に、ホスフィン酸基、ホスホン酸基及びリン酸基からな
    る群より選択される基を有する有機化合物(塩)を含有
    する中間層と、赤外線吸収剤を含有し、露光によりアル
    カリ現像液に対する溶解性が低下する記録層とを、順次
    設けてなるネガ型平版印刷版原版。 0.20μm<Ra(算術平均表面粗さ)<0.45μ
    m 2.0μm<Rz(十点平均表面粗さ)<3.0μm
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