JP5011361B2 - タイヤ試験機 - Google Patents
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Description
ところが、一般に流通するタイヤにはトラック・バス用の大径タイヤや乗用車用の小径タイヤなどのように種々様々なサイズや用途があり、またサイズ違いや用途に応じて試験荷重や負荷などの試験条件も多種多様に変化する。それゆえ、従来は、高価なタイヤ試験機をタイヤのサイズや用途に合わせて複数用いる必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、1機のタイヤ試験機でサイズや用途が異なる複数種のタイヤに対して高精度なタイヤ試験を行うことができるタイヤ試験機を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係るタイヤ試験機は、擬似路面と、装置フレームと、この装置フレームに設けられたスライドベースと、このスライドベースに取り付けられてタイヤを回転自在に支持すると共に支持されたタイヤのタイヤ特性を測定するセンサが内蔵された大スピンドルと、前記スライドベースに取り付けられて大スピンドルに取付可能なタイヤより小径のタイヤを回転自在に支持すると共に支持されたタイヤのタイヤ特性を測定するセンサが内蔵された小スピンドルと、を備えており、前記スライドベースは、前記大スピンドルに支持されたタイヤ又は前記小スピンドルに支持されたタイヤのいずれか一方を前記擬似路面に押し付けることができるように、前記装置フレームに対して上下動自在に配備されていることを特徴とする。
前記擬似路面上に設定される所定の試験位置に対し、大スピンドルに支持されたタイヤ及び小スピンドルに支持されたタイヤのいずれかを択一的に位置させるように、当該大スピンドル及び小スピンドルを前記擬似路面に対して水平方向に移動させる横移動機構が設けられているのが好適である。
図1乃至図6は、本発明に係るタイヤ試験機1の第1実施形態を示している。
第1実施形態のタイヤ試験機1は、路面装置6の擬似路面5上に設けられたセンサを擬似路面5上を回転してきたタイヤが踏んだときにタイヤに加わる摩擦抵抗などを計測する静特性試験機として構成されている。
なお、以下の説明において、図1の左右をタイヤ試験機1を説明する際の左右とし、図1の上下をタイヤ試験機1を説明する際の上下とする。また、図2の左側をタイヤ試験機1を説明する際の前側(正面側)とし、図2の右側をタイヤ試験機1を説明する際の後側とする。
スライドベース10は板状に形成されており、その後面にはガイドレール22に係合するガイド部材23が設けられている。スライドベース10は、このガイド部材23とガイドレール22からなるリニアモーションガイド機構を介して、後述のスライドベース昇降機構31により当該ガイドレール22に沿って上下動自在とされている。
大スピンドル11には、軸心を前後方向に向けたスピンドル軸13が回転自在に支持されている。そして、この大スピンドル11には、スピンドル軸13に加わる直交3軸の力やこれらの軸回りのモーメントを測定可能な多分力計などのセンサが内蔵され、このセンサ出力からスピンドル軸13に保持されたタイヤT1に加わるタイヤ反力やモーメント等を求めることができるようになっている。
なお、大スピンドル11にはこれに支持される大径のタイヤT1で発生する大きいタイヤ反力やモーメントに応じた測定レンジや分解能(測定精度)を備えたセンサが取り付けられており、また小スピンドル12にはこれに支持される小径のタイヤT2で発生する小さいタイヤ反力やモーメントに応じた測定レンジや分解能(測定精度)を備えたセンサが取り付けられている。
なお、大スピンドル11に取付可能な大径のタイヤT1は、小スピンドル12に取付可能な小径のタイヤT2に比べて大径なタイヤという意味であり、タイヤの中で一部の種類や径のものを示すものではない。しかし、本実施形態のように、バス用やトラック用のタイヤと乗用車用のタイヤとをそれぞれ試験できるような構成の場合は、バス用やトラック用のタイヤ、すなわちタイヤ径が例えば800〜1200mmのタイヤが大径のタイヤT1とされる。
上述したタイヤ試験機1は、擬似路面5を有した路面装置6に併設されている。第1実施形態の路面装置6は、大スピンドル11や小スピンドル12の前端の下方であってスライドベース10の前面よりさらに前方の床面に対して擬似路面5を水平方向に移動させることにより、位置的に固定したタイヤを擬似路面5に接触させつつ回転するものである。この路面装置6は、床面に固定された設置枠17と、この設置枠17の上で左右方向に移動自在に保持された移動路体18とを有している。この移動路体18の上面には、適宜路面部材を敷き詰められており、タイヤを走行させる擬似路面5が形成されている。そして、設置枠17に対して移動路体18をアクチュエータ(図示略)などの駆動手段により左右方向に水平移動させることで、擬似路面5を床面に対して(言い替えると位置的に固定したタイヤに対して)水平に移動させることができる構成としてある。
スライドベース昇降機構31は、装置フレーム3に設けられて装置フレーム3に対してスライドベース10を昇降させるものである。このスライドベース昇降機構31は、伸縮軸を上下方向に向けた電動アクチュエータなどの駆動機構30を備えている。図2では、この駆動機構30は装置フレーム3の上側に設けられている。この駆動機構30の伸縮軸の下端は図示は省略するがスライドベース10に連結されており、伸縮軸を伸縮することで大スピンドル11で支持したタイヤT1や小スピンドル12で支持したタイヤT2を擬似路面5へ接地させたり、押圧力(接地荷重)を調整させたり、或いは擬似路面5の上方へ離反させ(浮き上がらせ)たりすることができるようになっている。
また、ベース2と装置フレーム3との間には疑似路面5に対するタイヤのキャンバ角を調整するキャンバ角調整手段33が設けられている。このキャンバ角調整手段33は、ベース2の後部側と装置フレーム3の後面との間に設けられた電動アクチュエータなどの駆動機構32を有しており、基準位置に対する装置フレーム3の支軸の軸まわりの回転角度を検出するキャンバ角検出手段(不図示)の検出値に基づいて、駆動機構32を伸縮させることでベース2に対して装置フレーム3を支軸21の軸まわりに前後方向に所要角度で付角できる構成とされている。
更に、スライドベース10には、疑似路面5に対するタイヤのスリップ角を調整するスリップ角調整手段35が設けられている。このスリップ角調整手段35は、基準位置に対する旋回軸の回転角度を検出するスリップ角検出手段(不図示)の検出値に基づいて、スライドベース10に対して各旋回軸24,25を所要角度回動させる駆動機構34を有している。
本実施形態では、駆動機構34は、各旋回軸24,25の上端部に設けられた傾動リンク36,37と、これら傾動リンク36,37のリンク端同士を連結する連結ロッド38とを有し、この連結ロッド38を油圧アクチュエータで押し引きする構成となっている。
そのため、両傾動リンク36,37と連結ロッド38とによって平行リンク機構が形成され、油圧アクチュエータなどで連結ロッド38が押し引きされると、両旋回軸24,25は同時に、且つ同じ回転角度で旋回駆動されるようになる。
ところで、スライドベース10において小スピンドル12は大スピンドル11より軸心の位置が低く設置されている。図4に示すように、大スピンドル11(スピンドル軸13)の軸心と小スピンドル12(スピンドル軸14)の軸心との設置高さの差をaとすると、このaは次のように決定される。
上述のように両スピンドル11、12の設置高さの差aをb’−c’とする、より好ましくはb−cとするのは、以下の理由によるものである。
まず、大スピンドル11に着目すると、スライドベース10のストロークが一番大きくなるのは、取り付け可能なタイヤの中でも最小径のタイヤT1Sを擬似路面5に接地させる場合である。この場合、スライドベース10のストロークは、図4に示すようにタイヤT1Sを擬似路面5に接地させるまでに必要なスライドベース10の下降量Hとなる。
ところが、上述のa=b’−c’の関係を満足する場合は、上述のようにタイヤT1Sの外周面下端とタイヤT2Sの外周面下端とは同じ高さとなる。つまり、小スピンドル12にタイヤを取り付けた場合のストロークは、大スピンドル11のストロークと同じHとなる。
ところが、図5に示すように大小スピンドル11、12をその軸心同士が同じ高さになるように配備すると、小スピンドル12にタイヤを取り付けた場合のストロークH’は、大スピンドル11にタイヤを取り付けた場合のストロークHより大きくなり、図4の場合のように同じ値にはならない。この場合は、図5に示されるように、小スピンドル12に取り付けたタイヤを昇降させるためだけに余計なストローク(H’−Hに相当するストローク)が追加で必要となり、例えばガイドレール22の長さを図4の場合より長くしなければならなくなる。
上述の関係は荷重が加わっていない状態のタイヤ外周面(タイヤの外径)を基準としても実質的に同じ関係が成立する。
まず、試験に供するタイヤのサイズや試験荷重などに応じて大スピンドル11又は小スピンドル12を選択し、そのいずれかにタイヤを適切に支持させる。
例えば、大径なタイヤT1のタイヤ性能試験を行う場合は、大スピンドル11のスピンドル軸13にタイヤT1を取り付け、スライドベース10を下降させてタイヤT1を擬似路面5に接地させる。このとき、スリップ角調整手段35を作動させてスリップ角を調整しておく、またはキャンバ角調整手段33を作動させてキャンバ角を調整しておいても良い。そして、路面装置6の擬似路面5を水平移動させて、大径なタイヤT1に発生するタイヤ反力やモーメントなどを大スピンドル11に内蔵されたセンサで計測する。このようにすれば、大スピンドル11のセンサは、大径のタイヤT1で発生する大きいタイヤ反力やモーメントに合わせて選定された測定レンジや分解能(測定精度)を備えているため、このように大きいタイヤ反力やモーメントであっても精度良く計測することができる。
また、上述したように大小スピンドル11、12をa=b’−c’の関係を満足するように配備しておけば、大小スピンドル11、12のいずれに取り付けられたタイヤであっても最小移動距離で疑似路面5に接地させることが可能となる。また、大小スピンドル11、12をa=b−cの関係を満足するように配備しておけば、大小スピンドル11、12のいずれに取り付けられたタイヤであっても最小移動距離で疑似路面5に接地させると共に所定荷重で押圧させることが可能となり、さまざまなサイズのタイヤに対して短時間で且つ効率的にタイヤ試験することが可能となる。
この横移動機構50は、擬似路面5上に設定される試験位置Pに対して大スピンドル11(スピンドル軸13)の軸心と小スピンドル12(スピンドル軸14)の軸心とを選択的に合致させるものである。このような横移動機構50を装備しているため、第2実施形態のタイヤ試験機1は、擬似路面5がドラム型とされた路面装置6と組み合わせて実施することができる。
そこで、第2実施形態のタイヤ試験機1では、ベース2が路面装置6の装置フレーム51上に設けられたガイドレール52に沿って左右方向に水平移動自在とされ、装置フレーム51側に設けられた油圧アクチュエータなどの駆動機構52により移動できるようになっている。
例えば、上記実施形態ではフラット路面を往復動作させる静特性試験機を例に挙げて本発明のタイヤ試験機を説明したが、本発明のタイヤ試験機は無限運動が可能な前述のドラム路面や後述のフラットベルト路面を持つ動特性試験機に対しても適用することができる。
また、擬似路面5を駆動式とする場合であれば、水平方向に長い擬似路面5を固定式としたタイヤ試験機1に対して水平移動させるように駆動するものや、ドラムに表面を疑似路面5と見立てた金属ベルトを掛けてフラットベルト方式で駆動するものを採用しても良い。
3 装置フレーム
5 擬似路面
10 スライドベース
11 大スピンドル
12 小スピンドル
33 キャンバ角調整手段
35 スリップ角調整手段
50 横移動機構
T1 タイヤ
T2 タイヤ
P 試験位置
Claims (6)
- 擬似路面と、装置フレームと、この装置フレームに設けられたスライドベースと、このスライドベースに取り付けられてタイヤを回転自在に支持すると共に支持されたタイヤのタイヤ特性を測定するセンサが内蔵された大スピンドルと、前記スライドベースに取り付けられて大スピンドルに取付可能なタイヤより小径のタイヤを回転自在に支持すると共に支持されたタイヤのタイヤ特性を測定するセンサが内蔵された小スピンドルと、を備えており、
前記スライドベースは、前記大スピンドルに支持されたタイヤ又は前記小スピンドルに支持されたタイヤのいずれか一方を前記擬似路面に押し付けることができるように、前記装置フレームに対して上下動自在に配備されていることを特徴とするタイヤ試験機。 - 前記小スピンドルは、前記スライドベースにおいて大スピンドルより軸心の位置が低くなるように設置されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機。
- 前記大スピンドルの軸心と前記小スピンドルの軸心との設置高さの差aは、
前記大スピンドルに支持可能な最小径のタイヤが所要の試験荷重で擬似路面に押圧されたときの外周面下端と大スピンドルの軸心との間の距離をbとし、
前記小スピンドルに支持可能な最小径のタイヤが所要の試験荷重で擬似路面に押圧されたときの外周面下端と小スピンドルの軸心との間の距離をcとするとき、
a=b−cの関係を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ試験機。 - 前記スライドベースには、大スピンドルに支持されたタイヤ及び小スピンドルに支持されたタイヤのスリップ角を調整する両スピンドル両用のスリップ角調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ試験機。
- 前記装置フレームには、大スピンドルに支持されたタイヤ及び小スピンドルに支持されたタイヤのキャンバ角を調整する両スピンドル両用のキャンバ角調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ試験機。
- 前記擬似路面上に設定される所定の試験位置に対し、大スピンドルに支持されたタイヤ及び小スピンドルに支持されたタイヤを択一的に位置させるように、当該大スピンドル及び小スピンドルを前記擬似路面に対して水平方向に移動させる横移動機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ試験機。
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