JP4997526B2 - シミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

シミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、ゴム材料等の高分子物体の挙動のシミュレーションをコンピュータで行う方法に関し、より詳細には、現実の現象に即したシミュレーションを行うためのシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラムに関する。
ゴムを材料とするタイヤが実現する進む・曲がる・止まる等の機能は、タイヤと路面との間に発生する摩擦力に起因しており、発生する摩擦力はタイヤの材料であるゴムの特性に依存している。従来、タイヤの開発又は設計のためのゴムの研究は、実際に試作したゴム材料の試験片の摩擦係数を測定するという実験により行われていた。しかしながら、より高性能のタイヤの開発又は設計を行うためには、ゴム材料の実験に加えて、分子動力学等の方法で計算機を用いたシミュレーションによりゴム分子の性質に基づいてゴム材料の特性の予測及び評価を行う研究が必要となってきた。特許文献1及び2には、ゴム材料を変形させて弾性特性を求めるシミュレーションを行う技術の例が開示されている。
ゴム分子は複数の原子からなるイソプレン等の分子が鎖状に多数重合した高分子であり、ゴム材料は高分子のゴム分子が互いに絡み合って多数集合した系として表される。このような膨大な量の原子の挙動を逐一計算機で扱うことは現実的ではないので、計算機で扱えるようにゴム材料をモデル化した上でシミュレーションを行う必要がある。多数の原子からなる系を計算機で扱うことができるようにモデル化する方法として、複数の原子又は分子等の集合を計算単位として扱うようにする粗視化の方法がある。粗視化を行うことによって、計算単位数が大幅に減少し、多数の原子からなる系を計算機で扱うことが可能となる。従来、複数の原子又は分子等をまとめた粗視化ユニットが多数集合した系としてシミュレーション対象の系を表し、粗視化ユニット間の相互作用を計算することによってシミュレーションを実行する粗視化分子動力学が利用されている。イソプレンが重合したゴム分子の場合は、所定数のイソプレンが鎖状に重合したポリイソプレンを粗視化ユニットとし、この粗視化ユニットを複数鎖状に結合させてゴム分子を表し、多数のゴム分子を集合させてゴム材料を表すことができる。特許文献3には、粗視化の方法を用いて物質の物性値を計算する技術の例が開示されている。
このような粗視化分子動力学の方法を用いたシミュレーションによって、ゴム材料の特性を調べることが可能となる。例えば、路面に存在する砂利の主成分である石英球をゴム材料に圧入した場合にゴム材料に発生する摩擦力のシミュレーションを行うことにより、ゴムを材料とするタイヤが路面に接触することによって発生する現象のシミュレーションを行うことができる。ゴム材料のモデルは前述の如きモデルとし、石英球のモデルは、所定数の二酸化珪素からなるアルファ石英の結晶を粗視化ユニットとし、この粗視化ユニットを球状に配置して作成する。計算単位数を減少させるために、石英球のモデルの内部は中空であるとする。またゴム材料のモデルの大きさは、タイヤの一部分を模した最小限の大きさであるとして、計算単位数の増大を抑制する。このようなモデルを用いて、粗視化分子動力学により石英球をゴム材料に圧入させた場合のゴム材料の挙動のシミュレーションを行うことによって、ゴムを材料とするタイヤが路面に接触することによって発生する摩擦力を検証することが可能となる。
特許第3660932号公報 特許第3668238号公報 特開2004−287812号公報
しかしながら、計算機を用いたシミュレーションにおいては、現実に発生する現象に対応した計算結果を得るためにはモデルを適切に設計する必要がある。前述のモデルを用いたシミュレーションでは、石英球のモデルの内部を中空としているので、石英球のモデルがゴム材料のモデルに接触する際に一部のゴム分子のモデルが石英球のモデル内に侵入するという不自然な現象が発生し、得られたシミュレーション結果が現実の現象に対応しないという問題がある。石英球のモデルの内部にアルファ石英の粗視化ユニットを充填した場合は、ゴム分子のモデルが石英球のモデル内に侵入する現象の発生を抑制できるものの、計算単位数が増大して計算コストの増大をまねくという問題がある。
また前述のモデルを用いたシミュレーションでは、ゴム材料のモデルの大きさを最小限としたので、石英球のモデルがゴム材料のモデルに接近するに従ってゴム材料のモデル全体が石英球のモデルに引きつけられるという不自然な現象が発生する。ゴム材料のモデル全体が石英球のモデルに引きつけられることにより、ゴム材料のモデル全体が変形・圧縮し、ゴム材料のモデルの密度分布が大きく変化するので、現実の現象に対応しないシミュレーション結果が得られる虞がある。ここでゴム材料のモデルの大きさをより大きくした場合は、ゴム材料のモデル全体が石英球のモデルに引きつけられる現象の発生を抑制できるものの、計算単位数が増大して計算コストの増大をまねくという問題がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ゴム材料のモデルの境界条件を適切に定めることにより、現実の現象に対応したシミュレーション結果が得られるモデルを生成することができるシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、石英球等の非変形物体のモデルを構成する粗視化ユニット間の距離を適切な距離に定めることにより、計算コストの増大を防止しながら現実の現象に対応したシミュレーション結果が得られるモデルを生成することができるシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
更に本発明の他の目的とするところは、本発明のモデル生成方法を用いて生成したゴム材料及び石英球のモデルを利用することにより、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることができるシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
発明に係るシミュレーション方法は、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを、演算部及び記憶部を備えるコンピュータによって行う方法において、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを前記記憶部に記憶し所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理を前記演算部で行い、前記仮想空間内で、高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理を前記演算部で行い、前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する処理を前記演算部で行うことを特徴とする。
発明に係るシミュレーション方法は、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを、演算部及び記憶部を備えるコンピュータによって行う方法において、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを前記記憶部に記憶し、所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理を前記演算部で行い、前記仮想空間内で、高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理を前記演算部で行い、前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する処理を前記演算部で行うことを特徴とする。
発明に係るシミュレーション方法は、前記非変形物体の粗視化ユニットは、所定の鉱物の結晶構造を表すことを特徴とする。
発明に係るシミュレーション方法は、前記高分子の粗視化ユニットは、ジエン系ゴムの成分である高分子化合物を表すことを特徴とする。
発明に係るシミュレーション装置は、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行うシミュレーション装置において、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶手段と、所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶手段にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する手段と、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する手段と、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する手段と、前記記憶手段にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する手段と、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する手段と、前記仮想空間内で、高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる手段と、前記記憶手段に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する手段とを備えることを特徴とする。
発明に係るシミュレーション装置は、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行うシミュレーション装置において、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶手段と、所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶手段にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する手段と、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する手段と、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する手段と、前記記憶手段にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する手段と、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する手段と、前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる手段と、前記記憶手段に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する手段とを備えることを特徴とする。
発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行わせるコンピュータプログラムにおいて、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理と、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理と、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理と、前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理と、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理と、前記仮想空間内で、高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理と、前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する処理とを実行させることを特徴とする。
発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行わせるコンピュータプログラムにおいて、所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理と、生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理と、生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理と、前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理と、前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理と、前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理と、前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算処理を実行させることを特徴とする。
発明においては、粗視化分子動力学法によりゴム材料等の高分子物体のモデルに石英粒子等の非変形物体のモデルが接触するシミュレーションを行うために高分子物体のモデルを生成する際に、複数の粗視化ユニットが結合した高分子のモデルが複数集合した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定したことによって、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、高分子物体のモデル全体が非変形物体のモデルに引きつけられて浮き上がることを抑制することができる。
発明においては、粗視化分子動力学法によりゴム材料等の高分子物体のモデルに石英粒子等の非変形物体のモデルが接触するシミュレーションを行うために非変形物体のモデルを生成する際に、非変形物体の粗視化ユニットを非変形物体の形状に沿って複数配置することによって非変形物体のモデルを生成し、粗視化ユニット間の距離を粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定、即ち粗視化ユニットの中心間距離rをレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦21/6σに設定することにより、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルに接触するシミュレーションを行う際に、非変形物体のモデル内に高分子のモデルが侵入することを抑制することができる。
発明においては、粗視化分子動力学法によりゴム材料等の高分子物体のモデルに石英粒子等の非変形物体のモデルが接触するシミュレーションを行うために高分子物体及び非変形物体のモデルを生成する際に、複数の粗視化ユニットが結合した高分子のモデルが複数集合した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定し、また非変形物体の粗視化ユニットを非変形物体の形状に沿って複数配置することによって非変形物体のモデルを生成して、粗視化ユニット間の距離を粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することによって、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、高分子物体のモデル全体が非変形物体のモデルに引きつけられて浮き上がること、及び非変形物体のモデル内に高分子のモデルが侵入することを抑制することができる。
発明においては、石英等の所定の鉱物の結晶構造を表す非変形物体の粗視化ユニットを用いることにより、非変形物体のモデルとして石英等の鉱物でなる固体物質を表すモデルを生成することができる。
発明においては、ジエン系ゴムの成分である高分子化合物を表す高分子の粗視化ユニットを用いることにより、高分子物体のモデルとしてジエン系ゴムを表すモデルを生成することができる。
発明においては、粗視化分子動力学法によりゴム材料等の高分子物体のモデルに石英粒子等の非変形物体のモデルが接触するシミュレーションを行う。
発明にあっては、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、高分子物体のモデル全体が非変形物体のモデルに引きつけられてゴム材料の密度分布が不自然に変化することを抑制し、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることが可能となる。またゴム材料のモデルのサイズをより大きくすることがないので、計算コストの増大を抑制することができる。
発明にあっては、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、非変形物体のモデル内に高分子のモデルが侵入するという不自然な現象が発生することを抑制し、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることが可能となる。また非変形物体のモデルの内部に粗視化ユニットを充填することがないので、計算コストの増大を抑制することができる。
発明にあっては、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、高分子物体のモデル全体が非変形物体のモデルに引きつけられること、及び非変形物体のモデル内に高分子のモデルが侵入することという不自然な現象が発生することを抑制し、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることが可能となる。
発明にあっては、非変形物体のモデルとして、石英等の鉱物でなる固体物質を表すモデルを生成することにより、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行うことで、石英等の鉱物でなる固体物質が存在する路面に高分子物体からなるタイヤが接触するという現実の現象に即したシミュレーション結果を得ることができる。
発明にあっては、高分子物体のモデルとして、タイヤのゴム材料に用いられるジエン系ゴムを表すモデルを生成することにより、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行うことで、ジエン系ゴムを用いて形成されたタイヤが路面に接触するという現実の現象に即したシミュレーション結果を得ることができる。
発明にあっては、非変形物体のモデルが高分子物体のモデルの上面に接触するシミュレーションを行う際に、不自然な現象が発生しない現実の現象に即したシミュレーション結果を得ることができるので、様々な組成又は構造の高分子物体の挙動のシミュレーションを行い、所望の性能を有する高分子物体の開発を促進させることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明のシミュレーション装置1の内部の機能構成を示すブロック図である。シミュレーション装置1は、パーソナルコンピュータ又はサーバ装置等の汎用コンピュータを用いて構成されており、本発明のモデル生成装置の機能を兼ねて実行可能な構成となっている。シミュレーション装置1は、演算を行うCPU11と、演算に必要な情報を記憶するRAM12と、光ディスク等の記録媒体2から情報を読み取るCD−ROMドライブ等の読み取り部13と、ハードディスク等の記憶部14とを備えている。記憶部14は、ゴム材料の表面に石英粒子が接触した場合のゴム材料の挙動のシミュレーションをシミュレーション装置1が行うためのプログラムを含む本発明のコンピュータプログラム20と、コンピュータプログラム20に従った処理を実行するために必要なパラメータを記録するパラメータデータベース21とを記憶している。CPU11は、記録媒体2から本発明のコンピュータプログラム20を読み取り部13に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム20を記憶部14に記憶させる。コンピュータプログラム20は必要に応じて記憶部14からRAM12へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム20に基づいてCPU11は本発明のシミュレーション装置1及びモデル生成装置に必要な処理を実行する。
またシミュレーション装置1は、外部からのデータの入力を受け付ける入力部15と、外部へデータを出力する出力部16とを備えている。入力部15は、使用者の操作によりデータを受け付けるキーボード等の受付装置、又は図示しない外部の機器から送信されるデータを受信するインタフェースである。出力部16は、処理結果を表示するディスプレイ装置、処理結果を出力するプリンタ装置、又は図示しない外部の機器へ処理結果を送信するインタフェースである。
なお、本発明のコンピュータプログラム20は、シミュレーション装置1に接続された図示しない外部のサーバ装置からシミュレーション装置1へロードされて記憶部14に記憶される形態であってもよい。またパラメータデータベース21は、その記録内容の一部又は全部が、シミュレーション装置1に接続された図示しない外部のサーバ装置又はストレージ装置に記憶され、記録内容が必要に応じてシミュレーション装置1へロードされてRAM12又は記憶部14に記憶される形態であってもよい。
本発明のコンピュータプログラム20は、粗視化分子動力学法により、ゴム材料の表面に石英粒子が接触した場合のゴム材料の挙動のシミュレーションを行うシミュレーション処理、シミュレーションを行うために必要なパラメータを計算するパラメータ計算処理、及びシミュレーションを行うために必要なモデルを生成するモデル生成処理をシミュレーション装置1に実行させるためのプログラムを含んでいる。分子動力学法では、原子間に存在するポテンシャルを計算し、計算したポテンシャルの下での各原子の挙動を計算する。原子間のポテンシャルは、原子の種類、原子の状態及び原子の組み合わせ等に対応したパラメータに応じて定まり、既に知られているこれらのパラメータをパラメータデータベース21が記録している。
分子動力学法では、原子間のポテンシャルとして、互いに結合している原子間に存在するポテンシャルである結合ポテンシャルと、互いに非結合の状態の原子間をも含む原子間に存在するポテンシャルである非結合ポテンシャルとを計算する。結合ポテンシャルには、所謂ボンド、アングル及びトーションのポテンシャルがある。ボンドのポテンシャルは、結合する原子間の結合距離に依存するポテンシャルであり、原子はボンドのポテンシャルの下で結合距離が伸縮する振動運動を行う。アングルのポテンシャルは、三つの原子が直鎖状に結合している状態で、一番目及び二番目の原子を含む直線と二番目及び三番目の原子を含む直線とがなす結合角に依存するポテンシャルであり、三つの原子はアングルのポテンシャルの下で結合が変化する変角振動運動を行う。トーションのポテンシャルは、四つの原子が直鎖状に結合している状態で、一、二及び三番目の原子を含む平面と二、三及び四番目の原子を含む平面とがなす二面角に依存するポテンシャルであり、四つの原子はトーションのポテンシャルの下で二面角が変化する変角振動運動を行う。また非結合ポテンシャルは、原子間のレナードジョーンズポテンシャルである。
分子動力学法では、計算対象の系に含まれる各原子について以上の如きポテンシャルを計算し、計算したポテンシャルの下での各原子の運動を計算する。分子動力学法での計算単位が原子であるのに対して、粗視化分子動力学法では、複数の原子が集合した粗視化ユニットを計算単位として同様の計算を行う。即ち、粗視化分子動力学法では、粗視化ユニット間のポテンシャルを計算し、計算したポテンシャルの下での各粗視化ユニットの運動を計算する。
次に、本発明のシミュレーション装置1が実行するモデル生成方法及びシミュレーション方法の内容を説明する。図2は、シミュレーション装置1が行うパラメータ計算処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は、必要に応じてRAM12にロードしたコンピュータプログラム20に従って、以下の処理を実行する。シミュレーション装置1は、使用者が入力部15を操作すること等によって処理の開始指示を受け付け、CPU11は、まず、記憶部14が記憶するパラメータデータベース21から、ゴム分子の単量体であるイソプレンモノマーに含まれる原子のデータをRAM12へ読み出す(S101)。CPU11は、次に、イソプレンモノマーに含まれる原子のモデルを適切な他の原子のモデルに結合させることによって、シス体のイソプレンモノマーを表したイソプレンモノマーのモデルを生成する(S102)。なお、CPU11は、イソプレンモノマーに含まれる各原子のモデルの画像を出力部16から出力し、使用者が入力部15を操作することによって結合させる原子を選択する指示を入力部15で受け付け、受け付けた指示に従って各原子のモデルを結合させる処理を行ってもよい。CPU11は、次に、生成した複数のイソプレンモノマーのモデルを64個直鎖状に結合させて、イソプレンモノマーが64個結合したポリイソプレンを表すゴム分子の粗視化ユニットを生成する(S103)。
図3は、ポリイソプレンの構造を示す模式的構造図である。ポリイソプレンは、イソプレンCH2 =C(CH3 )CH=CH2が重合した重合体であり、図中にはシス1,4ポリイソプレンを示す。図中のnは、括弧で囲まれた構造のイソプレンモノマーが連続して結合していることを示す。ポリイソプレンは、イソプレンモノマーの構造をトランス体とする等、シス1,4ポリイソプレン以外の構造をとることも可能であるが、本実施の形態では、CPU11は、ゴム分子の粗視化ユニットとしてシス1,4ポリイソプレンを表す粗視化ユニットを生成する。シス1,4ポリイソプレンは天然ゴムの主成分と同一の分子構造であり、シス1,4ポリイソプレンを表す粗視化ユニットを用いることで天然ゴムを表すモデルの生成が可能となる。
CPU11は、次に、記憶部14が記憶するパラメータデータベース21から、ゴム分子の粗視化ユニットに係るパラメータをRAM12へ読み出し、分子動力学法によりゴム分子の粗視化ユニットを構造最適化する計算を行う(S104)。なおCPU11は、構造最適化のために分子軌道法等の分子動力学以外の計算法を併用してもよい。CPU11は、次に、ゴム分子の粗視化ユニットを102個直鎖状に結合させて、粗視化ユニットが102個結合したゴム分子のモデルを生成し(S105)、分子動力学法により、生成したゴム分子のモデルを構造最適化する計算を行う(S106)。CPU11は、次に、構造最適化したゴム分子のモデルに対して、300Kの温度条件で分子動力学法の計算を行い、ゴム分子のモデルの平衡構造を求める(S107)。
図4は、ゴム分子のモデルを模式的に示す模式図である。図中の球はシス1,4ポリイソプレンを表す粗視化ユニットを示し、粗視化ユニットが直鎖状に結合されてゴム分子のモデルが構成されている。平衡構造を求めたゴム分子のモデルは、本発明に係る高分子のモデルに相当する。
CPU11は、次に、平衡構造を求めたゴム分子のモデルについて、粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを計算する(S108)。ここでCPU11は、ゴム分子のモデルの平衡構造を求めた分子動力学法の計算結果から、粗視化ユニットの重心間の距離、粗視化ユニットの重心間の結合角、及び粗視化ユニットの重心間の二面角の分布を計算し、計算によって得られた粗視化ユニット間の距離、結合角及び二面角の分布関数に基づいて、ゴム分子の粗視化ユニット間に存在するボンド、アングル及びトーションの粗視化結合ポテンシャルのパラメータを計算する。またCPU11は、2つの粗視化ユニットに含まれる原子間の非結合ポテンシャルの総和を2つの粗視化ユニット間の全ての配向に渡って平均した結果に基づいて、ゴム分子の粗視化ユニット間に存在する粗視化非結合ポテンシャルのパラメータを計算する。
CPU11は、次に、石英粒子のモデルを生成するために、記憶部14が記憶するパラメータデータベース21から、アルファ石英の結晶構造のデータを読み出し(S109)、81個の二酸化珪素のモデルをアルファ石英の結晶構造に従って結合させることで、石英粒子の粗視化ユニットを生成する(S110)。図5は、アルファ石英の結晶構造の一部を示す模式的構造図である。アルファ石英は、二酸化珪素SiO2 の常温常圧における結晶相であり、四つの酸素原子(O)が四面体の頂点に配置され、珪素原子(Si)が各原子から等距離になるように配置された構造となっている。アルファ石英の粒子は、路面に存在する砂利の主成分であり、アルファ石英粒子を表すモデルを生成することで、現実の砂利に即したモデルを生成することができる。
CPU11は、次に、石英粒子の粗視化ユニット間の粗視化非結合ポテンシャル、及びゴム分子の粗視化ユニットと石英粒子の粗視化ユニットとの間の粗視化非結合ポテンシャルに係るパラメータを計算する(S111)。図6は、一般的な粒子間の非結合ポテンシャルを示す特性図である。図中の横軸は粒子の中心間距離rを示し、縦軸は各rにおける粒子間の非結合ポテンシャルの値を示す。非結合ポテンシャルは、レナードジョーンズポテンシャルであり、rが所定のパラメータσ以下では、0以上で非常に大きな値となり、r>σでは値は0以下となって、r=21/6 σで極小値をとる。従って、非結合ポテンシャルの下では、r≦σの状態では粒子間に大きな斥力が発生し、r>σの状態では粒子間に引力が発生する。即ち、非結合ポテンシャルのパラメータσは、隣接する粒子の半径の和に相当し、同種類の粒子間では粒子の直径に相当する。
ステップS111では、CPU11は、原子をファンデルワールス(vdw)半径を有する球として、粗視化ユニットに含まれる原子の体積の総和に等しい体積を有する球の半径を粗視化ユニットのvdw半径として求める。またCPU11は、求めた粗視化ユニットのvdw半径に基づいて、石英粒子の粗視化ユニット間、及びゴム分子の粗視化ユニットと石英粒子の粗視化ユニットとの間の粗視化非結合ポテンシャルの暫定的なパラメータσを計算する。またCPU11は、計算したパラメータσを用いて、2つの粗視化ユニットに含まれる原子間の非結合ポテンシャルに基づいて、r=21/6 σ付近の粗視化ユニット間の非結合ポテンシャルを計算し、非結合ポテンシャルの値が最小値となるrの値を求める。更にCPU11は、計算した非結合ポテンシャルの最小値、及び最小値が得られるrの値に基づいて、粗視化非結合ポテンシャルのパラメータを求める。このときCPU11は、非結合ポテンシャルの値が最小値となるrの値がr=21/6σとなるようにパラメータσを修正する。
CPU11は、次に、生成した粗視化ユニットのデータ、及び求めた粗視化ポテンシャルのパラメータをRAM12又は記憶部14に記憶させ(S112)、パラメータ計算処理を終了する。
図7は、シミュレーション装置1が行うモデル生成処理の手順を示すフローチャートである。図8は、生成するモデルを示す模式図である。CPU11は、必要に応じてRAM12にロードしたコンピュータプログラム20に従って、以下の処理を実行する。CPU11は、まず、その中でシミュレーションを実行するための直方体形状の仮想空間を生成する(S21)。ここでCPU11は、図8に示す如く、後述する石英粒子のモデルの直径をdとして、3d×3d×4dの仮想空間を生成する。CPU11は、次に、生成した仮想空間の下半分を占める3d×3d×2dの部分の内部に、ゴム分子のモデルを76個配置することによって、ゴム材料のモデルを生成する(S22)。図8中のハッチング部分はゴム材料のモデルを示す。ここでCPU11は、図8に示す如く、ゴム材料のモデルが、仮想空間内でゴム材料の表面に対応する上面を有するように、ゴム材料のモデルを生成する。また仮想空間の3d×3d×2dの部分に76個のゴム分子のモデルを配置することにより、ゴム材料のモデルは、仮想空間の内面に接する部分をゴム材料の内部に対応する側面及び底面とすることができるようにようになる。生成したゴム材料のモデルは、本発明に係る高分子物体のモデルに相当する。
CPU11は、次に、ゴム材料のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する(S23)。周期境界条件の下では、仮想空間の側面から飛び出したゴム分子の粗視化ユニットは、反対側の側面から仮想空間内に挿入される。周期境界条件を設定することによって、路面に接するゴム材料の一部を取り出した系に相当するモデルを生成することができる。CPU11は、次に、仮想空間の底面に対するゴム材料のモデルの境界条件を壁面境界条件に設定する(S24)。ここでCPU11は、ゴム分子の粗視化ユニットと仮想空間の底面との間にレナードジョーンズポテンシャルを設定することによって、ゴム材料のモデルと底面との間に引力が発生する壁面境界条件を実現し、以上の境界条件の下でゴム材料のモデルの平衡構造を求める計算を行う。
CPU11は、次に、石英粒子の粗視化ユニット間の粗視化非結合ポテンシャルのパラメータσを用いて、隣接する石英粒子の粗視化ユニット間の中心間距離rをσ≦r≦21/6 σに設定した上で、直径dが約15nmになるように606個の石英粒子の粗視化ユニットを二層の球殻状に配置することによって、石英粒子のモデルを生成する(S25)。図9は、石英粒子のモデルの模式的断面図である。球の形状に沿って石英粒子の粗視化ユニットが二層に配置されており、石英粒子のモデルの内部は中空になっている。また隣接する石英粒子の粗視化ユニット間の中心間距離rがσ≦r≦21/6σとなっている。
CPU11は、次に、仮想空間内で生成した石英粒子のモデルをゴム材料のモデルの上面の上に配置し(S26)、モデル生成の処理を終了する。以上のパラメータ計算処理及びモデル生成処理の内容は、本発明のモデル生成方法の内容に相当する。
図10は、シミュレーション装置1が行うシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は、必要に応じてRAM12にロードしたコンピュータプログラム20に従って、以下の処理を実行する。シミュレーション装置1は、使用者が入力部15を操作すること等によってシミュレーション処理の開始指示を受け付け、CPU11は、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入させる(S31)。CPU11は、次に、入力部15で受け付ける指示又は予め定められている処理順に従って、石英粒子のモデルを仮想空間内で移動させる(S32)。このときCPU11は、石英粒子のモデルを更に圧入させるか、石英粒子のモデルを引き上げるか、又はゴム材料のモデルに圧入させた状態で石英粒子のモデルを横方向に移動させる等の処理を行う。
CPU11は、次に、パラメータ計算処理で求めた粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、300Kの温度条件で粗視化分子動力学の計算を行うことにより、石英粒子のモデルの移動に伴ったゴム材料のモデルの形状変化を求め、形状変化に応じてゴム材料のモデルから石英粒子のモデルに対して発生する力を計算し(S33)、計算結果をRAM12又は記憶部14に記憶させる(S34)。CPU11は、次に、入力部15で受け付ける指示又は予め定められている処理順に従って、シミュレーション処理を終了すべきか否かを判定する(S35)。シミュレーション処理を終了すべきではないと判定した場合は(S35:NO)、CPU11は、処理をステップS32へ戻し、新たに石英粒子のモデルを移動させる。シミュレーション処理を終了すべきであると判定した場合は(S35:YES)、CPU11は、処理を終了する。
以上のシミュレーション処理を行うにあたっては、隣接する石英粒子の粗視化ユニット間の中心間距離rをσ≦r≦21/6 σとすることによって、石英粒子のモデル内にゴム分子の粗視化ユニットが侵入することを抑制することができる。図11は、シミュレーション処理において石英粒子のモデル内に侵入するゴム分子の粗視化ユニット数を示す特性図である。図の横軸はシミュレーションにおいて石英粒子のモデルがゴム材料のモデルに対して圧入する深さを示し、縦軸は圧入深さに応じて石英粒子のモデル内に侵入するゴム分子の粗視化ユニット数を示す。図中の菱形のマークはr=2σとした場合を示し、石英粒子のモデルの圧入深さが増大するに従って、石英粒子のモデル内に侵入するゴム分子の粗視化ユニット数も増大する。図中の丸のマークはr=21/6σとした場合を示し、三角のマークはr=σとした場合を示す。r=21/6 σ及びr=σの場合は、石英粒子のモデルの圧入深さが増大しても、石英粒子のモデル内に侵入するゴム分子の粗視化ユニット数はr=2σの場合に比べて大幅に少なく、ほぼゼロを保っている。
このように、本発明においては、石英球がゴム材料に接触する現象に対応するシミュレーションを行う際に、ゴム分子が石英球内に侵入するという不自然な現象が発生することを抑制し、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることが可能となる。また本発明では、石英粒子のモデル内に石英粒子の粗視化ユニットを充填せずに石英粒子のモデル内を中空にした状態で、石英粒子のモデル内にゴム分子の粗視化ユニットが侵入することを防止することができるので、計算コストの増大を抑制することができる。
また本発明に係るシミュレーション処理を行うにあたっては、仮想空間の底面に対するゴム材料のモデルの境界条件を壁面境界条件に設定したことによって、ゴム材料のモデル全体が浮き上がることを抑制することができる。従来、仮想空間の底面に対するゴム材料のモデルの境界条件が反射境界条件である場合は、ゴム材料のモデルが石英粒子のモデルに引きつけられて、ゴム材料のモデル全体が浮き上がり、仮想空間の底面とゴム材料のモデルとの間に隙間が生じていた。しかし本発明では、仮想空間の底面に対するゴム材料のモデルの境界条件が壁面境界条件であることにより、ゴム材料のモデルが石英粒子のモデルに引きつけられても、ゴム材料のモデルと底面との間に引力が発生するので、ゴム材料のモデル全体が浮き上がることはない。
このように、本発明においては、石英球がゴム材料に接触する現象に対応するシミュレーションを行う際に、石英球がゴム材料に接近するに従ってゴム材料全体が石英球に引きつけられてゴム材料の密度分布が不自然に変化することを抑制し、現実の現象に対応したシミュレーション結果を得ることが可能となる。また本発明では、ゴム材料のモデルのサイズをより大きくすることなく、ゴム材料全体が石英球に引きつけられることを防止することができるので、計算コストの増大を抑制することができる。
次に、本発明に係るシミュレーション処理による処理結果を示す。図12は、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入した場合、及び石英粒子のモデルを引き上げた場合に発生する力を計算した結果を示す特性図である。図中の横軸は、ゴム材料のモデルの上面を0とした垂直位置を示し、マイナスの値は石英粒子のモデルのゴム材料のモデルに対する接触部分がゴム材料のモデルの上面から内部へ入り込んでいることを示す。図中の縦軸は、ゴム材料のモデルから石英粒子のモデルに掛かる垂直方向の力を示し、プラスの値は石英粒子のモデルに対する反発力が発生していることを示し、マイナスの値は石英粒子のモデルを吸着する吸着力が発生していることを示している。また図中の丸印は、垂直位置0の位置から石英粒子のモデルをゴム材料のモデルへ徐々に深く圧入しながら各位置で計算した力を示す。更に図中の菱形印は、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルへ圧入した最深部からゴム材料のモデルを徐々に引き上げながら各位置で計算した力を示す。
図12に示す如く、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入した場合はゴム材料のモデルから反発力が発生しており、ゴム材料の路面に対する反発が実現されている。また石英粒子のモデルを引き上げた場合は、値がマイナスになった吸着力が発生しており、特に、石英粒子のモデルの垂直位置が0を越えた位置でも吸着力が発生している。これにより、ゴム材料による吸着が実現されている。
図13は、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入した状態で石英粒子のモデルを水平方向へ移動させた場合に発生する力を計算した結果を示す特性図である。図中の横軸は、ゴム材料のモデル内での水平位置を示し、最初に石英粒子のモデルを圧入した位置を0としている。図中の縦軸は、ゴム材料のモデルから石英粒子のモデルに掛かる水平方向の力を絶対値で示している。図中の菱形印は、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルへ圧入して水平位置がプラスの値になる方向へ移動させながら各位置で計算した力を示す。また図中の三角印は、菱形印で示す移動が終了した直後に逆方向へ石英粒子のモデルを移動させて各位置で計算した力を示す。また図中の丸印は、三角印で示す移動が終了した直後に逆方向へ石英粒子のモデルを移動させて各位置で計算した力を示す。
図13に示す如く、石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに圧入させて移動させることに応じて、ゴム材料のモデルから石英粒子のモデルに対して弾性力が発生する。また石英粒子を一方向へ移動させた直後に逆方向へ移動させた場合、移動方向を逆転した後の弾性力は移動方向を逆転する前の弾性力に比べて絶対値が小さくなっており、ゴム等の粘弾性体に特有の弾性ヒステリシスが再現されていることがわかる。このように、本発明では、ゴム材料による石英粒子の吸着、及び弾性ヒステリシスの発生等、現実のゴム材料に発生する現象に対応したシミュレーション結果を得ることができる。従って、本発明を利用することによって、様々な組成又は構造のゴム材料の挙動のシミュレーションを行い、所望の性能を有するゴム材料の開発を促進させることが可能となる。
なお、本実施の形態において行ったシミュレーションの具体的内容は一例であり、本発明においては、粗視化ユニットの構成及び数等を変更したシミュレーションを行うことも可能である。本実施の形態においては、シミュレーション対象である高分子物体は天然ゴムの主成分であるポリイソプレンであるとしたが、本発明では、シミュレーション対象である高分子物体を、ポリイソプレン以外の他の高分子としてもよい。例えば、高分子の粗視化ユニットとして、シス体のブタジエンが重合したポリブタジエン、又はシス体のブタジエンとスチレンとが共重合したブタジエン−スチレン共重合体を表す粗視化ユニットを用いてもよい。ポリイソプレン、ポリブタジエン及びブタジエン−スチレン共重合体は、単量体としてジエン系モノマーを用いたジエン系ゴムの成分である高分子化合物であり、タイヤのゴム材料として一般に用いられる。これらジエン系ゴムの成分である高分子化合物を表す粗視化ユニットを用いて本発明に係るシミュレーションを行うことにより、ジエン系ゴムを用いて形成されたタイヤが路面に接触するという現実の現象に即したシミュレーション結果を得ることができる。また本発明においては、高分子の粗視化ユニットに含まれる単量体の数、高分子のモデルを構成する高分子の粗視化ユニットの数、及び高分子物体のモデルを構成する高分子のモデルの数はシミュレーションを行うために適切な任意の数であってもよい。また高分子のモデルは、粗視化ユニットが鎖状に結合した構造に限らず、架橋構造を含んだものであってもよい。
また本実施の形態においては、シミュレーション対象である非変形物体はアルファ石英の構造を有する石英粒子であるとしたが、本発明では、シミュレーション対象である非変形物体を他の固体物質であるとしてもよい。例えば、非変形物体の粗視化ユニットとして、石英及びクリストバル石等のシリカ鉱物、雲母及び粘土鉱物等の層状ケイ酸塩鉱物、石灰石等の炭酸塩鉱物、並びに鉄鉱石等の所定の鉱物の結晶構造を表す粗視化ユニットを用いてもよい。これらの鉱物は、路面の骨材、舗装材料及び路面に存在する砂利等、路面に存在する固体物質の成分であり、これらの鉱物の結晶構造を表す粗視化ユニットを用いて本発明に係るシミュレーションを行うことにより、これらの固体物質が存在する路面に高分子でなるタイヤが接触するという現実の現象に即したシミュレーション結果を得ることができる。また本発明においては、非変形物体の粗視化ユニットに含まれる原子数、非変形物体のモデルの形状、非変形物体のモデルの大きさ、及び非変形物体のモデルを構成する粗視化ユニットの数は、シミュレーションを行うために任意に定めてもよい。また本実施の形態においては、石英粒子の粗視化ユニットを二層の球殻状に配置することによって石英粒子のモデルを構成する例を示したが、本発明では、非変形物体の形状に沿って一層又は三層以上の複数の粗視化ユニットを配置することで非変形物体のモデルを構成してもよい。
また本実施の形態においては、ゴム材料のモデル及び石英粒子のモデルを生成し、生成したモデルを用いてシミュレーションを行う処理例を示したが、本発明のシミュレーション装置1は、予め高分子物体のモデル及び非変形物体のモデル並びにシミュレーションに必要なパラメータを記憶部14に記憶しておき、必要に応じて高分子物体のモデル及び非変形物体のモデル並びにシミュレーションに必要なパラメータを記憶部14からRAM12へ読み出してシミュレーションを行う形態であってもよい。また本実施の形態においては、本発明のモデル生成装置及びシミュレーション装置の機能を一台のコンピュータで実現する形態を示したが、これに限るものではなく、本発明のモデル生成装置及びシミュレーション装置を複数のコンピュータを用いて実現する形態であってもよい。
本発明のシミュレーション装置の内部の機能構成を示すブロック図である。 シミュレーション装置が行うパラメータ計算処理の手順を示すフローチャートである。 ポリイソプレンの構造を示す模式的構造図である。 ゴム分子のモデルを模式的に示す模式図である。 アルファ石英の結晶構造の一部を示す模式的構造図である。 一般的な粒子間の非結合ポテンシャルを示す特性図である。 シミュレーション装置が行うモデル生成処理の手順を示すフローチャートである。 生成するモデルを示す模式図である。 石英粒子のモデルの模式的断面図である。 シミュレーション装置が行うシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。 シミュレーション処理において石英粒子のモデル内に侵入するゴム分子の粗視化ユニット数を示す特性図である。 石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入した場合、及び石英粒子のモデルを引き上げた場合に発生する力を計算した結果を示す特性図である。 石英粒子のモデルをゴム材料のモデルに対して圧入した状態で石英粒子のモデルを水平方向へ移動させた場合に発生する力を計算した結果を示す特性図である。
符号の説明
1 シミュレーション装置(モデル生成装置)
11 CPU
12 RAM
14 記憶部
2 記録媒体
20 コンピュータプログラム
21 パラメータデータベース

Claims (8)

  1. 複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを、演算部及び記憶部を備えるコンピュータによって行う方法において、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを前記記憶部に記憶し
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理を前記演算部で行い
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、
    前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理を前記演算部で行い、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理を前記演算部で行い、
    前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する処理を前記演算部で行うこと
    を特徴とするシミュレーション方法。
  2. 複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを、演算部及び記憶部を備えるコンピュータによって行う方法において、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを前記記憶部に記憶し
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理を前記演算部で行い
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理を前記演算部で行い、
    前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理を前記演算部で行い、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理を前記演算部で行い、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理を前記演算部で行い、
    前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する処理を前記演算部で行うこと
    を特徴とするシミュレーション方法。
  3. 前記非変形物体の粗視化ユニットは、所定の鉱物の結晶構造を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーション方法。
  4. 前記高分子の粗視化ユニットは、ジエン系ゴムの成分である高分子化合物を表すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のシミュレーション方法。
  5. 複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行うシミュレーション装置において、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶手段と、
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶手段にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する手段と、
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する手段と、
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する手段と、
    前記記憶手段にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する手段と、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する手段と、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる手段と、
    前記記憶手段に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する手段と
    を備えることを特徴とするシミュレーション装置。
  6. 複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行うシミュレーション装置において、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶手段と、
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶手段にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する手段と、
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する手段と、
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する手段と、
    前記記憶手段にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する手段と、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する手段と、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる手段と、
    前記記憶手段に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算する手段と
    を備えることを特徴とするシミュレーション装置。
  7. コンピュータに、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行わせるコンピュータプログラムにおいて、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理と、
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理と、
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理と、
    前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニット間の距離を、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが極小値になる距離以下に設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理と、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理と、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理と、
    前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算処理
    を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  8. コンピュータに、複数の原子の集合を表す粗視化ユニットの間に働く相互作用に基づいて物体の挙動を計算する粗視化分子動力学法により、複数の高分子が集合した高分子物体の表面に他の非変形物体が接触した場合の前記高分子物体の挙動のシミュレーションを行わせるコンピュータプログラムにおいて、
    所定数の単量体が互いに結合した構造を表す高分子の粗視化ユニットが複数結合した高分子のモデルのデータ、非変形物体の一部分の構造を表す非変形物体の粗視化ユニットのデータ、及び粗視化分子動力学法の計算に必要な粗視化ポテンシャルのパラメータを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
    所定の大きさの仮想空間内に、前記記憶部にデータを記憶している前記高分子のモデルを複数配置することによって、高分子物体の表面に対応する上面、並びに前記高分子物体の内部に対応する側面及び底面を有する高分子物体のモデルを生成する処理と、
    生成した高分子物体のモデルの側面の境界条件を周期境界条件に設定する処理と、
    生成した高分子物体のモデルの底面の境界条件を壁面境界条件に設定する処理と、
    前記記憶部にデータを記憶している非変形物体の粗視化ユニットを、非変形物体の形状に沿って複数配置し、隣接する非変形物体の粗視化ユニットの中心間距離rを、非変形物体の粗視化ユニット間のレナードジョーンズポテンシャルが0になる中心間距離をσとしてσ≦r≦2 1/6 σに設定することにより、非変形物体のモデルを生成する処理と、
    前記仮想空間内で、生成した高分子物体のモデルの上面に、生成した非変形物体のモデルを配置する処理と、
    前記仮想空間内で高分子物体のモデルの上面に非変形物体のモデルを圧入させる処理と、
    前記記憶部に記憶している粗視化ポテンシャルのパラメータを用いて、粗視化分子動力学法により、圧入した非変形物体のモデルに対して高分子物体のモデルから生じる力を計算処理
    を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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