JP2002203757A - 境界条件表示プログラムおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

境界条件表示プログラムおよび半導体装置の製造方法

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JP2002203757A JP2000402778A JP2000402778A JP2002203757A JP 2002203757 A JP2002203757 A JP 2002203757A JP 2000402778 A JP2000402778 A JP 2000402778A JP 2000402778 A JP2000402778 A JP 2000402778A JP 2002203757 A JP2002203757 A JP 2002203757A
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Sanae Ito
早苗 伊藤
Hirotaka Amakawa
博隆 天川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 境界条件を利用したシミュレーションを容易
且つ精度高く実行する。 【解決手段】 入力されたシミュレーションデータ内の
境界条件がシミュレーションの計算領域に与える影響に
関する情報を計算、出力する処理S203とをコンピュ
ータに実行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子設計の
際に利用されるプロセス・デバイスシミュレーション装
置等、境界条件を利用してシミュレーションを実行する
シミュレーション装置に適用して好適な境界条件表示プ
ログラムおよびこの境界条件表示プログラムを利用した
半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、シミュレーション装置を利用し
て半導体素子の製造プロセスや電気特性等を計算する際
には、計算時間や計算装置のメモリ量等に起因する制約
から、シミュレーションの計算領域を有限の大きさに設
定する必要性がる。特に、実行するシミュレーションが
3次元計算である場合、計算に必要なメモリ量が2次元
計算と比較して多く、その計算時間も長いことから、計
算領域を十分に広くとることは困難である。このような
背景から、シミュレーションの計算領域を有限の大きさ
に設定する場合には、シミュレーションの計算領域の境
界に反射型境界条件や周期的境界条件等といった境界条
件を設定してシミュレーションを実行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、境
界条件は計算結果に影響を与えることが知られており、
例えば、配線容量計算を行う際に計算領域の境界に反射
型境界条件を設定すると、配線の鏡像が計算領域外に生
成され、配線容量値は計算領域外にある鏡像の影響を受
けた値となる。
【0004】しかしながら、通常、こうした計算結果に
対する境界条件の影響は目に見える形でユーザに呈示さ
れることがないので、シミュレーションに不慣れなユー
ザは、境界条件に起因する影響を見落とし、計算された
値が自身が設定した計算領域から得られる計算値と異な
ることに気付かないという問題が発生してしまう。
【0005】また、計算領域の外部境界に反射型、固定
型、周期型境界条件のような比較的簡単な境界条件を適
用して数値計算を行うことが適切でない場合、計算領域
を設定すること自体が、シミュレーションに熟達してい
ないユーザーにとっては難しく、適切でない境界条件の
設定であったがために、意図したものとは異なる計算結
果を得てしまうことがあり、さらには、誤った値が得ら
れたことに気づかずに、計算値を設計に使用して開発に
支障をきたすこともあった。
【0006】本発明は、シミュレーションの際に使用す
る境界条件の設定に伴って発生する、こうした種々の課
題を解決すべくなされたものであり、その目的は、シミ
ュレーションに不慣れなユーザであっても、境界条件を
利用したシミュレーションを容易にする技術を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る境界条件表
示プログラムの特徴は、境界条件がシミュレーション結
果に及ぼす影響を計算、ユーザに対して視覚的に表現す
ることにある。
【0008】このような構成によれば、ユーザは、境界
条件がシミュレーションに及ぼす影響を参照してシミュ
レーションを実行、若しくは自身の入力ファイルを変更
することができるので、境界条件に起因する影響を見落
とし、計算された値が自身が設定した計算領域から得ら
れる計算値と異なることに気付かないという問題の発生
の防止することができる。また、このプログラムを半導
体設計の際に利用されるプロセス・デバイスシミュレー
ションに適用した場合には、境界条件の影響を受けた誤
った値によって半導体設計を行ってしまうことを防止す
ることができるので、半導体素子の設計に要する労力お
よび時間を大幅に削減、短縮することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば半導体設計の際
に利用されるプロセスシミュレーションやデバイスシミ
ュレーション等の計算処理に対して適用、実施すること
ができる。以下、図1〜図7を参照して、本発明をプロ
セス・デバイスシミュレーションに適用した、本発明の
実施の一形態となるシミュレーション装置の構成および
その動作について詳しく説明する。
【0010】《シミュレーション装置の構成》始めに、
本発明の実施の一形態となるシミュレーション装置の構
成について説明する。
【0011】図1は、本発明の実施の一形態のシミュレ
ーション装置の構成を示す模式図である。
【0012】この実施の形態のシミュレーション装置1
0は、図1に示すように、CPU11、RAM12、R
OM13、入力部14、出力部15および境界条件デー
タベース16を備える。
【0013】CPU11は、ROM13内に記憶された
プログラム内容に従って各種制御を行い、例えば、シミ
ュレーションプログラム(プロセス・デバイスシミュレ
ーションプログラム)13aや境界条件表示プログラム
13bおよびプログラムの実行のために必要なデータを
ROM13や境界条件データベース16からRAM12
へとロードし、各プログラム内で指示された命令や処理
を実行する。
【0014】RAM12は、CPU11が実行する各種
処理に関するプログラムおよびデータを一時的に格納す
るワークエリアを確保する。
【0015】ROM13は、シミュレーションプログラ
ム13aや境界条件表示プログラム13bといった各種
プログラムおよびプログラム処理に必要なデータ等を記
憶している。なお、ROM13は磁気的、光学的記録媒
体若しくは半導体メモリ等といった、CPU11が読み
取り可能な記録媒体を含んだ構成となっている。また、
この記録媒体に格納されるプログラムおよびデータは、
その一部若しくは全部を電子ネットワーク回線等の伝送
媒体を介して受信するような構成にしても良い。
【0016】入力部14は、シミュレーションに関する
各種情報を入力するために使用され、入力された情報は
CPU11、RAM12およびROM13に出力され
る。なお、形態としては、例えば、テンキー、キーボー
ド、マウスポインタ等を採用する。
【0017】出力部15は、シミュレーションに関する
各種情報を出力するために使用され、その形態として
は、ディスプレイ装置や印刷装置等がある。
【0018】境界条件データベース16は境界条件に関
する各種情報を格納し、格納された情報は、CPU11
を介して、参照、編集可能な構成となっている。ここ
で、境界条件データベース16内に格納されている情報
としては、具体的には、反射型、固定型、周期型境界条
件等、各種境界条件の計算精度、計算時間、文献等があ
り、ユーザがこれら情報を参照して境界条件の設定を行
うことができる。
【0019】《シミュレーション装置の動作》次に、図
2を参照して、上記のシミュレーション装置の動作につ
いて説明する。
【0020】図2は、上記のシミュレーション装置の動
作を示すフローチャート図である。
【0021】図1に示した実施の形態のシミュレーショ
ン装置10は、ユーザが、入力部14を利用してシミュ
レーション装置10に対してシミュレーションデータを
入力し、シミュレーションの開始を指示すると(S20
1)、CPU11が、ROM13からRAM12内にシ
ミュレーションプログラム13aおよび境界条件表示プ
ログラム13bを読み出し、これらプログラムに従って
以下に示す処理を実行する。なお、この実施の形態にお
いては、説明を容易にするためにシミュレーションプロ
グラム13aと境界条件表示プログラム13bとを別の
プログラムとして表現するが、シミュレーションプログ
ラム13aの中に境界条件表示プログラム13bのコー
ドを記述して1つのプログラムとして構成しても良い。
以下、シミュレーションプログラム13aおよび境界条
件表示プログラム13bに従ったシミュレーション装置
10の動作について説明する。
【0022】ROM13からRAM12内へのシミュレ
ーションプログラム13aおよび境界条件表示プログラ
ム13bの読み出し処理が完了すると、CPU11は、
まず始めに、ユーザが入力したシミュレーションデータ
(入力データ)内に境界条件の設定があるか否かを判別
する(S202)。そして、判別の結果、境界条件の設
定がある場合には以下の処理を実行する。
【0023】ここで、境界条件の設定がない場合には、
CPU11は、境界条件が設定されていない旨のアドバ
イス情報を出力する(S210)。なお、このアドバイ
ス情報と共に、推奨する境界条件に関する情報を併せて
出力するようにしても良い。
【0024】そして、アドバイス情報に基づいて境界条
件の設定が必要であると判断した場合には、シミュレー
ションデータを編集して境界条件を設定し(S21
2)、S203の処理に移行する。一方、境界条件の設
定が必要でない場合には、そのシミュレーションデータ
を用いてシミュレーションを実行する(S209)。な
お、境界条件の設定は、境界の各辺又は面毎に設定する
ようにしても良い。
【0025】ユーザが入力したシミュレーションデータ
内に境界条件の設定がある場合、CPU11は、境界条
件表示プログラム13bに従って、ユーザが設定した計
算領域および計算領域外の像を生成し、生成した像を出
力部15に出力する(S203)。ここで、S203の
処理に対するより具体的なイメージを持たせるために、
ユーザが孤立した2本の平行配線間容量のシミュレーシ
ョンを指定した場合を例として挙げ、S203の処理の
具体例およびその効果について説明する。
【0026】一般に、配線間容量の数値計算において
は、配線が十分に長い場合、図3(a)に示すような断
面方向の2次元計算をして配線間容量を求め(この例に
おいては、各配線の辺の長さをL、配線間隔をSとす
る)、計算領域は、点線で示すような、各配線から十分
離れた距離Dの所までとする。また、境界条件は、取り
扱いが容易な反射型境界条件を設定する。さらに、容量
を計算する際は、配線Bに微小電位dVを印加して、配
線Aに発生した電荷量Qを求め、容量値C=Q/dVを
計算する。
【0027】このような配線間容量の数値計算において
は、図3(a)に示すように、計算領域の境界と計算領
域内の配線Aとの間の距離Dが十分大きければ容量値を
正確に求めることができるのであるが、距離Dが小さい
場合、反射型境界条件によって生成される計算領域外の
鏡像が計算領域内の配線に与える影響が顕著となり、配
線間容量を正確に求めることが困難となる。これは、容
量計算を行うために配線Bに微小電位dVを印加する
と、配線Aに対して配線Bの全ての鏡像からの電位変化
の影響を受けるためである。しかしながら、一般に、こ
のような問題は気付き難く、シミュレーションに不慣れ
なユーザの場合、見落とし易い。そこで、S203の処
理においては、図3(b)に示すように、境界条件によ
って出現する計算領域外の鏡像をユーザに対して視覚的
に表示することにより、計算しようとしている容量値が
意図するものか否かを容易に判断できるようにしてい
る。
【0028】なお、この実施の形態においては、図3
(b)に示すように、計算領域外の鏡像をユーザに表示
するようにしたが、例えば、微小電位を印加する配線と
その鏡像とを目立ち易い色で表示したり、点滅表示させ
るようにしても良い。また、さらに、CPU11が、ユ
ーザが設定した境界条件を用いた場合の計算精度や計算
速度等の情報を境界条件データベース16から抽出し、
抽出した情報を図3(b)に示すアドバイス画面31a
を介してユーザに通知するようにしても良い。
【0029】S203の処理によって計算領域外の像が
生成、出力されると、ユーザは出力された情報を参照し
て、自身が設定した境界条件の変更が必要であるか否か
を判別する(S204)。そして、変更が必要でない場
合には、例えば別途設けられたシミュレーション実行ボ
タン等をマウスでクリックし、CPU11に対してシミ
ュレーションの実行を指示する。一方、変更が必要であ
る場合には、ユーザは、例えば別途設けられた境界条件
変更ボタン等をマウスでクリックする。境界条件変更ボ
タンがクリックされると、CPU11は、境界条件表示
プログラム13bに従って、次の処理を実行する。
【0030】CPU11は、境界条件データベース16
を参照して、ユーザが現在設定している境界条件以外の
他の境界条件を設定した場合の計算領域外の像を生成
し、例えば図4に示すように計算領域外の像を境界条件
毎に複数表示する(S205)。ここで、他の境界条件
を設定した場合の計算領域外の像の生成処理は、ユーザ
が入力したシミュレーションデータ内で境界条件を宣言
しているコード部分を擬似的に他の境界条件のコードに
置換し、コードを置換したシミュレーションデータを実
行することにより行われる。なお、図3(b)に示した
境界条件表示画面と同様、鏡像を目立ち易い色で表示し
たり、点滅表示させるようにしても良い。また、アドバ
イス画面を介して境界条件に関する情報をユーザに通知
するようにしても良い。さらに、ユーザが、例えば、半
導体素子製造工程の1つであるイオン注入シミュレーシ
ョンを行う場合には、次のような処理を行うことが望ま
しい。
【0031】一般に、イオン注入処理は、シリコン基板
や酸化膜、ポリシリコン等に不純物を制御性良く導入す
るため行われ、イオン注入シミュレーションにおいて
は、不純物イオンの加速エネルギーとドーズ量、注入す
る角度を入力として、シリコン基板、ポリシリコン、シ
リコン酸化膜等、計算領域中にある物質に導入される不
純物の分布状態を計算する。しかしながら、通常、実際
のイオン注入処理は、装置からビームとなって出てきた
イオンを走査しながらウェハ等のターゲットに照射する
が、シミュレーションでは、不純物分布を求めたい領域
を計算領域として設定し、その領域に入るイオンの軌跡
に基づいて計算領域中にある物質に導入される不純物量
を計算する。以下、図5,6を参照して、2次元構造に
対するイオン注入シミュレーションについて説明する。
【0032】今、図5(a)に示すように四角形の計算
領域に対してイオンが上部からまっすぐに入射する場合
には、計算領域上部の辺上をイオンの軌跡の始点とし
て、計算領域の左右の辺を反射型境界条件、同期的境界
条件、完全透過型境界条件いずれにしても、計算結果と
して得られる不純物原子の分布は意図したものとなる。
【0033】しかしながら、四角形の計算領域に対して
右斜め上方からイオンが入射する場合には、計算領域上
部の辺を始点として、左右の辺を反射型境界条件とした
のでは、図5(b)に示すように、計算領域右側の物質
中に本来入るべき不純物が計算されず、左側には計算領
域側面にあたったイオンが反射した成分が重なって実際
より不純物濃度の高い部分ができてしまう。
【0034】また、計算領域の左右の辺を完全透過型境
界条件とした場合には、図5(c)に示すように、計算
領域右側の物質中には本来入るべき不純物が計算されな
い。一方、ここでは図示しないが、周期的境界条件を設
定できる場合には、左辺から出たイオンの成分を右辺の
同じ高さの座標から同じ入射ベクトルで導入するように
できるので、正しい計算結果を得ることができるが、計
算対象が周期的な構造をしている場合にしか用いること
はできない。
【0035】そこで、このように反射型や固定型、周期
型境界条件のような比較的簡単な境界条件を用いること
が適切でないような場合には、CPU11は、図6に示
すように、ユーザが設定した計算領域を拡張し、左右に
計算しやすい境界条件を設定し、もともとの計算領域内
に外部から及ぶ影響を正しく求めることができるような
計算領域を生成、ユーザに視覚的に表示するようにする
(図6に示すイオン注入シミュレーションにおいては、
拡張する領域は、少なくとも左右にl×tanθ、ここで
lは元々の計算領域の高さ、θはイオンの入射角度であ
る)。
【0036】このような処理によれば、境界条件に対す
るユーザの注意を喚起し、計算しているものが意図した
工程であるか、計算結果が所望の物であるかを容易にチ
ェックしながらシミュレーションを行うことが可能とな
る。なお、拡張した領域だけでなく、拡張した領域から
元々の計算領域に及ぶ影響をも視覚的に明示するように
しても良い。また、この実施の形態においては、2次元
シミュレーションの場合について説明したが、3次元シ
ミュレーションにおいても同様の方法を用いることがで
きる。
【0037】以上のS205の処理によって、他の境界
条件を用いた時の計算領域外の像が表示されると、ユー
ザは、その中に所望の境界条件があるか否かを判別する
(S206)。そして、所望の境界条件がある場合に
は、ユーザは、例えばマウスで所望の境界条件表示画面
をクリックする等して、所望の境界条件を選択する。境
界条件の選択に伴い、CPU11は、ユーザが選択した
境界条件に基づいてシミュレーションデータの内容を更
新し(境界条件の設定を置換する)(S208)、更新
したシミュレーションデータに従ってシミュレーション
を実行する(S209)。そして、シミュレーションが
完了すると、CPU11は、出力部15を介してシミュ
レーション結果を出力する。その後、ユーザは、シミュ
レーション結果を参照して半導体設計処理を行う等、シ
ミュレーション結果を利用した各種処理を実行する。一
方、所望の境界条件がない場合、ユーザはシミュレーシ
ョンデータを手作業で編集し(S207)、再びS20
1の処理に戻る。
【0038】上記の実施の形態のシミュレーション装置
は、例えば、図7に示す構成のような概観を有する。つ
まり、シミュレーション装置は、コンピュータシステム
70内にシミュレーション装置の各要素を内蔵すること
により構成される。コンピュータシステム70は、フロ
ッピー(登録商標)ディスクドライブ72および光ディ
スクドライブ74を備えている。そして、フロッピーデ
ィスクドライブ72に対してはフロッピーディスク7
3、光ディスクドライブ74に対しては光ディスク75
を挿入し、所定の読み出し操作を行うことにより、これ
らの記録媒体に格納されたプログラムをコンピュータシ
ステム70内にインストールすることができる。また、
所定のドライブ装置79を接続することにより、例え
ば、メモリ装置の役割を担うROM77や、磁気テープ
装置の役割を担うカートリッジ78を用いて、インスト
ールやデータの読み書きを実行することもできる。さら
に、ユーザは、キーボード76を介してシミュレーショ
ンに関する各種情報を入力し、シミュレーション装置か
らの出力情報をディスプレイ71を介して出力すること
ができる。
【0039】(その他の実施の形態)上記の処理におい
ては、ユーザは複数の境界条件画面から所望の境界条件
を設定するものとしたが、例えば、ユーザが計算領域の
四辺を選択し、各辺の境界条件を辺毎にマニュアルで設
定するようにしても良い。これにより、ユーザの様々な
計算条件に合った境界条件の設定が可能となる。
【0040】さらに、上記S205の処理において、特
にモンテカルロ法を用いたイオン注入シミュレーション
を行う場合には、以下の処理を実行することが望まし
い。
【0041】一般に、イオン注入をモンテカルロ法を用
いて計算する場合には、注入イオンを粒子として扱い、
イオンが注入相手の物質を構成する原子と散乱する過程
をイオンが静止するまでモデルに従って計算する。この
ような計算においては、計算領域に入射したイオンは、
ランダムな散乱過程で進行方向を変えて計算領域の外に
飛び出すことがある。また、外に飛び出したイオンにつ
いて、計算領域外においても計算を続けると、その後の
散乱によって計算領域に戻らない場合も、散乱によって
方向を変え、再び境界を突っ切って計算領域に戻る場合
もある。モンテカルロ法を用いた計算によれば、ターゲ
ットとなる物質の構造が複雑であっても正しい計算結果
が得られるという特徴があるが、通常、計算時間は計算
に用いる粒子の数に比例して長くなる。また、計算領域
を必要以上に大きくとると、同じ精度の計算結果を得る
のに多くの粒子を用いて計算しなければならず、多くの
計算時間を要する。
【0042】そこで、実行するシミュレーションがモン
テカルロ法を用いたイオン注入シミュレーションである
場合、計算の始めに、少ない粒子を計算領域を拡張した
外部の領域からの注入計算に使用し、停止する粒子の位
置を見て、必要な拡張領域の大きさを決めてから本計算
をスタートさせるようにする。この場合、計算領域拡張
の大きさを決めるために使った粒子の結果も本計算に含
めるようにすれば計算時間の無駄にはならない。実際に
は、例えば本計算に使う粒子数の1%程度にあたる個数
の粒子を使って拡張領域を決めても、全体の計算時間は
1%増えるだけで効率良く高精度の計算結果を得ること
ができる。このように、モンテカルロ法を用いたイオン
注入シミュレーションでは、計算領域の影響を確認して
から本計算を開始するようにすれば、長時間かかるシミ
ュレーションを誤りのために始めから何度もやり直す必
要もなく、得られる不純物分布の誤りを防止するだけで
なく、同じリソースで精度良くシミュレーションを行う
ことができる。
【0043】なお、上記の実施の形態においては、計算
の初めに拡張領域を決める計算を行った後、その結果を
明示し、シミュレーション実行者の判断によって拡張領
域を決めていたが、拡張領域を自動的に増やしながら、
領域の外に出てまた戻る粒子をカウントして統計処理す
ることにより、新たに拡張した計算領域が元の計算領域
に与える影響が予め入力データで指定した値以下になる
ところまで拡張して本計算を始めるようにして、自動的
に効率よい計算を行うようにしても良い。
【0044】また、上記一連のシミュレーション装置の
動作は、プログラム化しコンピュータ読み取り可能な記
録媒体に保存しても良い。そして、シミュレーションを
行う際は、この記録媒体をコンピュータシステムに読み
込ませ、コンピュータシステム内のメモリ等の記憶部に
プログラムを格納し、プログラムを演算装置で実行する
ことにより、シミュレーション装置を実現することがで
きる。ここで、記録媒体とは、例えば、半導体メモリ、
磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テー
プなどのプログラムを記録することができるようなコン
ピュータ読み取り可能な記録媒体等が含まれる。
【0045】さらに、上記の処理において、ユーザとの
間の情報の入出力処理はローカルでの作業を基準として
説明したが、入出力処理は電子ネットワークを利用した
リモート作業で行っても良く、例えば、LAN経由によ
るシミュレーションデータの入力処理および、シミュレ
ーション結果・境界条件に関する情報の出力処理を行っ
ても全く構わない。
【0046】(実施の形態の効果)以上述べてきたよう
に、この実施の形態のシミュレーション装置は、シミュ
レーションに用いる有限な計算領域とその境界条件の設
定が計算結果に与える影響をユーザに対して視覚的に明
示するので、シミュレーションに不慣れなユーザであっ
ても、シミュレーションしようとするものの条件、若し
くは、シミュレーションした結果が意図した物理量の抽
出に有効であるか否かを判定し、境界条件を利用したシ
ミュレーションを容易に行うことができる。
【0047】また、この実施の形態のシミュレーション
装置は、境界条件が計算領域の計算に与える影響や設定
した計算領域の有効性を参照しながら適宜シミュレーシ
ョンデータの変更をすることができるので、シミュレー
ションを効率良く実行し、特にシミュレーションがプロ
セス・デバイスシミュレーションである場合には、半導
体素子の設計に要する労力および時間を大幅に削減、短
縮することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、シミュレーションに不
慣れなユーザであっても、境界条件を利用したシミュレ
ーションを容易且つ精度高く実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のシミュレーション装置の
構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すシミュレーション装置の動作を示す
フローチャート図である。
【図3】図1に示すシミュレーション装置からの出力情
報を示す模式図である。
【図4】図1に示すシミュレーション装置からの出力情
報を示す模式図である。
【図5】図1に示すシミュレーション装置からの出力情
報を示す模式図である。
【図6】図1に示すシミュレーション装置からの出力情
報を示す模式図である。
【図7】図1に示すシミュレーション装置の概観を示す
模式図である。
【符号の説明】
10 シミュレーション装置 11 CPU 12 RAM 13 ROM 13a シミュレーションプログラム 13b 境界条件表示プログラム 14 入力部 15 出力部 16 境界条件データベース 70 コンピュータシステム 71 ディスプレイ 72 フロッピーディスクドライブ 73 フロッピーディスク 74 光ディスクドライブ 75 光ディスク 76 キーボード 77 ROM 78 カートリッジ 79 ドライブ装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力されたシミュレーションデータ内の
    境界条件がシミュレーションの計算領域に与える影響に
    関する情報を計算、出力する処理をコンピュータに実行
    させることを特徴とする境界条件表示プログラム。
  2. 【請求項2】 境界条件に基づいてシミュレーションの
    計算領域外の像を生成、出力する処理をコンピュータに
    実行させることにより、境界条件がシミュレーションの
    計算領域に与える影響に関する情報を計算、出力するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の境界条件表示プログラ
    ム。
  3. 【請求項3】 境界条件が不適切である場合、設定され
    たシミュレーションの計算領域を拡張し、拡張した当該
    計算領域に関する情報を出力する処理をコンピュータに
    実行させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記
    載の境界条件表示プログラム。
  4. 【請求項4】 ユーザからの指示に従って、他の境界条
    件を設定した場合に当該境界条件がシミュレーションの
    計算領域に与える影響に関する情報を出力することを特
    徴とする請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の境界
    条件表示プログラム。
  5. 【請求項5】 境界条件がシミュレーションの計算領域
    に与える影響に関する情報と共に、当該境界条件を用い
    てシミュレーションを実行した時の計算精度、計算速度
    に関する情報を出力することを特徴とする請求項1〜請
    求項4いずれか1項に記載の境界条件表示プログラム。
  6. 【請求項6】 前記シミュレーションは、プロセス・デ
    バイスシミュレーションであることを特徴とする請求項
    1〜請求項5いずれか1項に記載の境界条件表示プログ
    ラム。
  7. 【請求項7】 入力されたシミュレーションデータに基
    づいてプロセス・デバイスシミュレーションを実行し、
    当該シミュレーションによって得られるシミュレーショ
    ン結果を参照して半導体設計処理に関する物理量を決定
    し、当該物理量に基づいて半導体素子の設計を行う半導
    体装置の製造方法において、 シミュレーションデータ内の境界条件がシミュレーショ
    ンの計算領域に与える影響に関する情報を計算、出力す
    るステップと、 境界条件がシミュレーションの計算領域に与える影響に
    関する情報を参照して、シミュレーションに利用する境
    界条件を決定するステップと、 決定した境界条件に基づいて、プロセス・デバイスシミ
    ュレーションを実行するステップと、 プロセス・デバイスシミュレーションから得られるシミ
    ュレーション結果を参照して、半導体素子設計に関する
    物理量を決定するステップとを有することを特徴とする
    半導体装置の製造方法。
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