JP5755986B2 - ポリマーモデル作成方法、及び、ポリマーモデル作成装置 - Google Patents

ポリマーモデル作成方法、及び、ポリマーモデル作成装置 Download PDF

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Description

本発明は、コンピュータシミュレーションにより、架橋可能なポリマーをビーズとスプリングで表現可能なビーズスプリングモデルとしてモデル化するポリマーモデル作成方法、及び、それを実行するポリマーモデル作成装置に関する。
近年、コンピュータを用いた高分子(ポリマー含む)に関するシミュレーションが種々提案されている。この種のシミュレーションでは、主として分子動力学(Molecular Dynamics: MD)を用いた高分子シミュレーションが用いられる。そして、この分子動力学法によるシミュレーションを用いて、高分子の密度、ガラス転移温度、架橋度、ヤング率などの特性値を算出して、高分子の構造をビーズとスプリングでモデル化することが行われている(特許文献1参照)。
具体的には、高分子の構造をビーズとスプリングでモデル化するには、例えば、解析対象となる高分子材料(ポリマー含む)の分子鎖構造を、それぞれ異なる形状で作成して空間に配置するとともに、所定の密度になるまで緩和計算を行うことによって作成される。
また、粗視化分子動力学の方法を用いたシミュレーションによって、ゴム材料の特性を調べることも開示さえている。例えば、路面に存在する砂利の主成分である石英球をゴム材料に圧入した場合にゴム材料に発生する摩擦力のシミュレーションを行うことにより、ゴムを材料とするタイヤが路面に接触することによって発生する現象をシミュレーションしている(特許文献2参照)。
特開2010−229214号公報 特開2007−233859号公報
しかしながら、従来、複雑に絡み合った長い分子鎖構造を持っている高分子材料において、原子間や分子間に相互に働く力を十分に考慮せずに、シミュレーションを行っていたため、上述した特性値の精度にバラツキが出る場合があった。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高分子構造を分子レベルで捉えるコンピュータシミュレーションにより、架橋可能なポリマーを単純なビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化するポリマーモデル作成方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明は、コンピュータのシミュレーションにより、架橋可能なポリマーをビーズとスプリングで表現可能なビーズスプリングモデルとしてモデル化するポリマーモデル作成方法であって、
前記コンピュータが、結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのシミュレーションに必要な情報として外部から取得する工程と、
前記コンピュータが、分子動力学法によるシミュレーションを実行することにより、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを作成する工程と、
前記コンピュータが、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを予め定めた空間にランダムに配置し、当該空間に所定の数の触媒ビーズを拡散させる工程と、
前記コンピュータが、前記分子モデルの末端のビーズと前記触媒ビーズとを結合させる工程と、
前記コンピュータが、前記触媒ビーズに結合した前記分子モデルの末端のビーズを架橋可能なビーズに変換する工程と、
前記コンピュータが、前記末端のビーズを架橋可能なビーズに変換した後、当該架橋可能なビーズに結合している前記触媒ビーズを切断する工程と、
前記コンピュータが、前記分子モデルの末端の架橋可能なビーズ同士を架橋結合する工程と、
前記コンピュータが、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程と、
前記コンピュータが、前記全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの架橋度を計算する工程と、
前記コンピュータが、前記触媒ビーズのビーズ数と、前記架橋度との対応関係を算出する工程と、
を実行して、前記モデル化するポリマーの架橋構造モデルを作成することを特徴としている。
上記の方法によれば、結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのシミュレーションに導入することにより、架橋可能なポリマーを単純なビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化することができる。
また、本発明は、上記発明に係るポリマーモデル作成方法であって、前記架橋可能なポリマーは、エポキシ系ポリマーであり、前記アングルポテンシャルは、当該アングルポテンシャルにおけるばね定数に比例するポテンシャルであって、当該ばね定数は、20〜30ε/radであることを特徴としている。
上記の方法によれば、架橋可能なポリマーが、エポキシ系ポリマーである場合、アングルポテンシャルにおけるばね定数を、20〜30ε/radに設定することにより、エポキシ系ポリマーを、実測値により近似したビーズスプリングモデルとしてモデル化することができる。
また、本発明は、上記発明に係るポリマーモデル作成方法の架橋構造モデルを作成する工程において、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを予め定めた空間にランダムに配置し、当該空間に所定の数の触媒ビーズを拡散させる工程と、前記分子モデルの末端のビーズと前記触媒ビーズとを結合させる工程と、前記触媒ビーズに結合した前記分子モデルの末端のビーズを架橋可能なビーズに変換する工程と、前記末端のビーズを架橋可能なビーズに変換した後、当該架橋可能なビーズに結合している前記触媒ビーズを切断する工程と、前記分子モデルの末端の架橋可能なビーズ同士を架橋結合する工程と、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程とを含むことを特徴としている。
上記工程を経ることにより、架橋可能なポリマーを、架橋可能なポリマーの硬化反応に準じてビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化することができる。
また、本発明は、上記発明に係るポリマーモデル作成方法の架橋構造モデルを作成する工程において、更に、前記全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの架橋度を計算する工程と、前記触媒ビーズのビーズ数と、前記架橋度との対応関係を算出する工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、架橋構造モデルの架橋度を計算して、分子モデルに含まれるビーズ及び触媒ビーズのビーズ数と、架橋度との対応関係を算出することができる。
また、本発明は、上記発明に係るポリマーモデル作成方法の架橋構造モデルを作成する工程において、更に、前記コンピュータが、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの弾性率を算出し、当該弾性率と前記架橋度との対応関係を算出する工程を含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、架橋構造モデルの弾性率を算出し、弾性率と架橋度との対応関係を算出することができる。
また、本発明は、コンピュータのシミュレーションにより、架橋可能なポリマーをビーズとスプリングで表現可能なビーズスプリングモデルとしてモデル化するポリマーモデル作成装置であって、
結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのシミュレーションに必要な情報として外部から取得する工程と、
分子動力学法によるシミュレーションを実行することにより、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを作成する工程と、
前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを予め定めた空間にランダムに配置し、当該空間に所定の数の触媒ビーズを拡散させる工程と、
前記分子モデルの末端のビーズと前記触媒ビーズとを結合させる工程と、
前記触媒ビーズに結合した前記分子モデルの末端のビーズを架橋可能なビーズに変換する工程と、
前記末端のビーズを架橋可能なビーズに変換した後、当該架橋可能なビーズに結合している前記触媒ビーズを切断する工程と、
前記分子モデルの末端の架橋可能なビーズ同士を架橋結合する工程と、
前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程と、
前記全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの架橋度を計算する工程と、
前記触媒ビーズのビーズ数と、前記架橋度との対応関係を算出する工程と、
を実行して、前記モデル化するポリマーの架橋構造モデルを作成することを特徴としている。
上記の構成によれば、結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのポリマーモデル作成装置によるシミュレーションに導入することにより、架橋可能なポリマーを単純なビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化することができる。
高分子構造を分子レベルで捉えるコンピュータシミュレーションにより、架橋可能なポリマーを単純なビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化するポリマーモデル作成方法を提供することができる。
本実施形態に係るポリマーモデル作成装置として使用されるコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態に係るポテンシャルの概要を示す説明図である。 (A)本実施形態に係る光硬化型エポキシ樹脂の構造式である。 (B)その光硬化型エポキシ樹脂の構造式をビーズスプリングモデルとしてモデル化した説明図である。 ビーズスプリングモデル化した際のビーズの種類とその標記の説明図である。 本実施形態に係るポリマーモデル作成方法の手順を示すフローチャートである。 本実施形態に係る光硬化型エポキシ樹脂の架橋構造モデルの作成過程を示す説明図である。 拡散させる触媒ビーズの総数と、架橋反応可能エポキシ基の総数、架橋橋結合数、架橋度、及び、架橋したモデルにおける分子数との対応関係を示す対応図である。 実施例に係るナノインデンテーション試験で得られた荷重−変位曲線の架橋度依存性を示す説明図である。 ポリマーモデル作成方法によるシミュレーションで得られた弾性率の架橋度依存性と実測した弾性率の架橋度依存性との比較図である。
(実施形態)
以下、図面参照して、本発明に係るポリマーモデル作成方法、及び、ポリマーモデル作成装置の実施形態について説明する。
本実施形態に係るポリマーモデル作成方法は、高分子である光硬化型エポキシ樹脂(架橋可能なポリマー)の分子動力学モデルを構築するために光硬化型エポキシ樹脂の分子構造を粗視化分子動力学法を用いて、後述するビーズスプリングによって粗視化(モデル化)して高分子の特性値を算出するものである。算出する特性値としては、例えば、高分子の密度、ガラス転移温度、架橋度、弾性率などが挙げられる。本実施形態に係るポリマーモデル作成方法では、コンピュータ上で粗視化した高分子に対して分子動力学法によるシミュレーションを行い、シミュレーション結果に基づき演算を行うことによって、モデル化する架橋可能なポリマーの架橋構造モデルを作成して、特性値を算出する。
まず、本実施形態に係るポリマーモデル作成方法が実行されるポリマーモデル作成装置を示す。ポリマーモデル作成装置は、具体的には、図1に示すように、ワークステーションやPC(Personal Computer)等のコンピュータ400により構成される。コンピュータ400には、CPU401、ROM402、RAM403、ハードディスクなどの補助記憶装置404、ディスプレイなどの表示装置405、キーボードやマウスなどの入力装置406、などのハードウェアがシステムバス407を介して接続されて収納されており、補助記憶装置404には、プログラム(このプログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータ400にインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記録されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされて動作することによりポリマーモデル作成装置としての機能が発揮される。
なお、ROM402、RAM403、及び、補助記憶装置404は、高分子(ポリマー)を、コンピュータシミュレーションによって、ビーズスプリングへのモデル化及びポリマーの特性値の計算に必要なプログラムや情報を記憶する手段であり、本シミュレーションを実行するにあたり、必要に応じてアクセスされる。
次に、高分子である光硬化型エポキシ樹脂の分子動力学モデルを構築するために光硬化型エポキシ樹脂の分子構造をビーズスプリングによって粗視化した粗視化分子動力学法について説明する。
(粗視化分子動力学法:光硬化型エポキシ樹脂)
SU-8やTMMRに代表される光硬化型エポキシ樹脂は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、酸発生剤で構成され、MEMSの構造材料として幅広く利用されている。
UV露光により発生した低濃度の強酸はエポキシ樹脂の架橋反応の触媒として作用し、また、エポキシ樹脂の開環反応を引き起こす。次工程のPEBによって酸が拡散してエポキシ架橋が促進され、同時に酸触媒の再生成が行われる。この一連のUV露光とPEBによりエポキシ硬化反応(架橋反応)が起こり、現像液に対して不溶の状態になる。エポキシ硬化反応による高分子の構造を規定する因子として架橋度がある。ここで架橋度とはエポキシ環が反応した割合を意味し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR spectrometer)やフーリエ変換赤外顕微鏡を用いて未反応のエポキシ環(910 cm-1)を測定することにより決定される。さらに架橋度Pは完全に架橋反応した状態を1とした時、UV露光エネルギEとPEB温度TPEBおよび時間tPEBのプロセス変数によって次式でモデル化することができる。
ここで、C、KciはUV露光による酸生成定数とPEBによる架橋反応定数を表している。
(粗視化モデル)
分子動力学法とは分子シミュレーションの手法の一つである。原子を質点とみなし、相互作用のある多体系としてポテンシャルを考慮して計算し、物性を解析的に導く手法である。高分子のシミュレーションでは、一般的なフルアトム分子動力学法を適用すると計算コストが高くなるので解析が難しい。これは多くの原子で構成されている高分子の個々の原子を取り扱うと、わずかな時間変化・分子数の解析でも演算能力の限界に達するためである。
そこで、本実施形態では、すべての構成原子の挙動をそれぞれ追うのではなく、複数の構成原子をまとめて扱う粗視化分子動力学法を採用している。本実施形態の粗視化分子動力学法はKremerとGrestによるビーズスプリングモデルを採用してエポキシ硬化反応による分子構造をモデル化した。ビーズスプリングモデルはビーズとスプリングを組み合わせることでガウス鎖を表したモデルである。本モデルでは化学種に起因する要素は表現できないが、粗視化された鎖状分子のダイナミクスを表現できることから、分子鎖の大きさとしてフルアトムモデルに対して約10倍オーダーの分子量の高分子が取り扱え、時間スケールも10〜100倍オーダーの計算を実現することができる。
(シミュレーション条件:計算方法)
次に、ビーズスプリングモデルによる計算方法の概要を示す。ビーズスプリングモデルを構成するビーズのポテンシャルとして、図2に示すように、FENEポテンシャルUFENE、Lennard-JonesポテンシャルULJ、さらに、本発明では、光硬化型エポキシ樹脂をビーズスプリングモデル化するためにAngleポテンシャルUANGLE(アングルポテンシャル)を考慮している。
FENEポテンシャルUFENEは結合伸縮ポテンシャルであり、図2に示すように、それぞれ結合した2つのビーズ間(i、j)の結合距離により変化する(結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する)。このFENEポテンシャルUFENEではビーズ間の距離が特定の値を越えるとエネルギが一定となる。FENEポテンシャルUFENEは次式で表される。
ここで、rijはビーズ間距離、kは結合のばね定数、Rはばねの最大伸張距離を表している。
次に、Lennard-JonesポテンシャルULJは非結合相互作用ポテンシャルであり、図2に示すように、結合していない分子間の距離によるポテンシャルを表現する(結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する)。このLennard-JonesポテンシャルULJはビーズ間の距離によって変化し、ビーズ間の距離が比較的大きい場合は引力、小さい場合は斥力が作用する。Lennard-JonesポテンシャルULJは次式で表される。
ここで、σijとεijは相互作用の強さのLennard-Jonesパラメータ、cはカットオフ距離を表している。
最後に、AngleポテンシャルUANGLEは、図2に示すように、結合した3つのビーズ間(i、j、k)の結合変角によるポテンシャルであり、平衡角からの変角によってポテンシャルが変化する(結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化する)。AngleポテンシャルUANGLEは次式で表される。
ここで、kθはAngleポテンシャルUANGLEにおけるばね定数、θは平衡角、rはビーズiの位置を表す。
ビーズスプリングモデルを用いた高分子シミュレーションでFENEポテンシャルUFENEとLennard-JonesポテンシャルULJだけを用いた解析では、Lennard-JonesポテンシャルULJにおけるカットオフ値(c=21/6)を小さく設定し、ビーズ間に斥力だけが作用するモデルを使って溶融状態の高分子鎖を表現している。しかし、本発明で取り扱う光硬化型エポキシ樹脂は室温でガラス状態の高分子鎖であり、室温では溶融状態の分子鎖よりも低い運動性を示すと考えられる。したがって、Lennard-JonesポテンシャルULJにおけるカットオフ値を調整(c=2.0)し、非結合ビーズ間の引力を考慮することで、分子鎖の運動が抑制されたガラス状態の高分子鎖を表現している。
上述した3つのポテンシャルを用い、下記の運動方程式によってダイナミクスの計算を行う。
ここで、mはビーズの質量、Uは全ポテンシャル、Γはビーズの運動時の摩擦係数、W(t)はガウスの白色ノイズ、δはデルタ関数、kはボルツマン係数、Tは温度、Iは単位行列を表す。なお上記計算では単位系が無時限化されており、長さ、エネルギの単位はそれぞれσとεを用いる。
(シミュレーション)
次に、高分子である光硬化型エポキシ樹脂の分子動力学モデルを構築するために光硬化型エポキシ樹脂の分子構造を粗視化分子動力学法を用いて、ビーズスプリングによって粗視化(モデル化)して高分子の特性値を算出する処理を、コンピュータ400によるシミュレーションによって実現される手順を、図5のフローチャートを参照して説明する。
ここで、本実施形態において、光硬化型エポキシ樹脂の架橋構造モデルを作成するための分子動力学シミュレーションを行うソフトウェアには、高分子材料などのソフトマテリアルをシミュレーションできるOCTAを用いた。OCTAはGourmetと呼ばれるプラットフォームと4つのシミュレータ(COGNAC、PASTA、SUSHI、MUFFIN)が統合されたシミュレーションシステムであり、本研究では汎用粗視化分子動力学シミュレータであるCOGNACをベースにシミュレーションを行っている。
また、本実施形態では、図3に示すように、光硬化型エポキシ樹脂の構造式(図3(A)参照)を単純なビーズスプリングモデル(図3(B)参照)としてモデル化する。光硬化型エポキシ樹脂はエポキシ基、ベンゼン環(フェニル基)、イソプロピリデン基から構成された分子鎖のベンゼン間同士をメチレン基で結合した構造である。
また、本モデルではビーズスプリングモデルのような比較的自由度の高いモデルではベンゼン同士を結合しているメチレン基は無視できると考え、残りのそれぞれのモノマを1つのビーズとして粗視化する。分子モデルおよび解析に使用するビーズの種類としては、図4に示すように、エポキシ基BS1、ベンゼン環BS2(フェニル基)、イソプロピリデン基BS3、触媒ビーズS1、エポキシ基BS1に触媒ビーズS1が触媒付加した後に架橋反応可能となった状態の架橋反応可能エポキシ基BS11がある。すべてのビーズは触媒反応、架橋反応における反応性を除いて、同じ特性(重量、ポテンシャルなど)を有する。
まず、図5に示すように、コンピュータ400では、入力装置406によって、エポキシ樹脂をビーズスプリングによって粗視化して高分子の特性値を算出するのに必要な情報が入力される(ステップ1)。具体的には、上述したFENEポテンシャルUFENE、Lennard-JonesポテンシャルULJ、及び、AngleポテンシャルUANGLEの3つのポテンシャル、分子数、体積、温度(NVTアンサンブル)等の情報が入力される。続いて、入力装置406によって入力された情報に基づいて、分子動力学法によるシミュレーションが実行される(ステップ2)。このシミュレーションの際に、図3(B)に示す光硬化型エポキシ樹脂の粗視化モデル10を100分子作成する。
予め定めたセル(空間)内のランダムな位置に、光硬化型エポキシ樹脂の粗視化モデル10を100分子配置し、セル内のランダムな位置に触媒ビーズS1を拡散させる(図6(A)参照)(触媒拡散処理:ステップ3)。そして、分子動力学計算中に、エポキシ基BS1と触媒ビーズS1と間の距離が一定値以下になったときに、エポキシ基BS1(末端のビーズに相当)と触媒ビーズS1とが結合する触媒反応が実行される(触媒反応処理:ステップ4)。
次に、触媒ビーズS1と結合したエポキシ基BS1を、架橋反応可能な架橋反応可能エポキシ基BS11に変換する(図6(B)参照)(変換処理:ステップ5)。そして、エポキシ基BS1を架橋反応可能エポキシ基BS11に変換した後に、触媒ビーズS1と架橋反応可能エポキシ基BS11との結合を切断し、その後に触媒ビーズS1を取り除く(図6(C)参照)(切断処理:ステップ6)。
次に、分子動力学計算中に、架橋反応可能エポキシ基BS11同士の間で距離が一定値以下になったときに、架橋反応可能エポキシ基BS11同士を架橋結合する(図6(D)参照)(架橋結合処理:ステップ7)。なお、本実施形態に係る架橋反応可能エポキシ基BS11の配位数は3であるため、1つの架橋反応可能エポキシ基BS11には最大2個の架橋反応可能エポキシ基BS11と架橋結合が可能なため、3次元的な架橋構造を得ることが可能となる。
次に、架橋結合した分子鎖の熱平衡状態を得るために任意の温度で緩和計算を実施する(緩和計算処理:ステップ8)。AngleポテンシャルUANGLEを考慮した場合、分子鎖の運動が制限されるため、緩和計算は2000万ステップ実行する。なお、本実施形態のシミュレーションにおける室温を温度0.25ε/kとした。この温度はモデルのガラス転移温度より低い温度である。
また、ステップ3にて拡散させる触媒ビーズS1の量を変更して計算・解析を行い、分子動力学計算後の架橋状態から架橋度を算出する(架橋度算出処理:ステップ9)。ここで、すべてのエポキシ基BS1及び架橋反応可能エポキシ基BS11が2配位で架橋結合した状態を架橋度1とし、エポキシ基BS1の総数N、及び、架橋反応可能エポキシ基BS11の総数N、架橋反応可能エポキシ基BS11の配位数N、実際に架橋結合した架橋反応可能エポキシ基BS11の数である架橋結合数Nを用いると架橋度vは次式で表される。
次に、拡散させる触媒ビーズS1の総数Nと、架橋反応可能エポキシ基BS11の総数N、架橋橋結合数N、架橋度v、及び、架橋したモデルにおける分子数Mとの対応関係算出する(図7参照)。Mは分子数を表しており、拡散させる触媒ビーズS1の数Nが450以上(架橋度0.553以上)になると、最初に配置したすべての分子は架橋結合して一つの分子(M=1)となる。
最後に、架橋したモデルに対して伸張解析を行い、5%ひずみまでの応力―ひずみ曲線の傾きから光硬化型エポキシ樹脂の弾性率を導出する(弾性率算出処理:ステップ10)。伸張解析における計算条件は温度0.25ε/k、伸張速度0.027σ/τ、ポアソン比0.3とした。ここで、τは単位時間でありτ=σ(m/ε)1/2で表される。なお、ここでは、後述する弾性率と架橋度との対応関係を算出する。以上が、本実施形態の処理手順である。
(弾性率の実測)
次に、上記実施形態では、コンピュータ400のシミュレーションにより「高分子である光硬化型エポキシ樹脂の分子動力学モデルを構築するために光硬化型エポキシ樹脂の分子構造を粗視化分子動力学法を用いて、ビーズスプリングによって粗視化(モデル化)し、高分子の特性値を算出」したが、本発明に係るポリマーモデル作成方法の妥当性を検証するために、光硬化型エポキシ樹脂の弾性率を実測する。
光硬化型エポキシ樹脂の弾性率の実測は、Si基板上に架橋度が異なるサンプルをUV露光量とPEB温度の制御によって作製し、ナノインデンテーション法で測定した。ナノインデンテーション試験では、試験片表面に圧子を押しこみ、負荷・除荷の際の押し込み深さと荷重の関係から硬さや弾性率を測定する。ナノインデンテーション試験はダイナミック超微小硬度計DUH-W201((株)島津製作所)にバーコビッチ圧子を装着して行った。
これまで光硬化型エポキシ樹脂の機械的特性は引張試験や曲げ試験によって比較的架橋度の高い領域(0.8 〜 1.0程度)での弾性率の測定結果のみが報告されている。しかし、光硬化型エポキシ樹脂がフィルタ機能を発現する架橋度領域(0.5 〜 0.8程度)では、光硬化型エポキシ樹脂が十分に架橋していない状態であるため、試験片の作製において十分な加工寸法精度を得ることが難しく、引張試験や曲げ試験の適用は困難である。一方でナノインデンテーション法を適用した場合、引張試験や曲げ試験のように試験に応じた形状加工を必要とせず、基板上の光硬化型エポキシ樹脂を直接的に測定できる。つまり試験サンプルの作製において露光によって制御した光硬化型エポキシ樹脂の架橋度が追加のプロセスによって変化することを避け、架橋度によって決まる材料の機械的特性を評価できる利点を有する。
ナノインデンテーション試験の試験片には膜厚30μmの光硬化型エポキシ樹脂を使用した。Si基板上にラミネートした後、架橋度が異なる試験片をUV 露光量とPEB 温度の制御によって作製した。この試験片に対して、室温にて最大荷重15 mN、負荷速度 0.284 mN/sec、保持時間60 sec のパラメータでナノインデンテーション試験を実施した。
図8にナノインデンテーション試験で得られた荷重−変位曲線の架橋度依存性を示す。架橋度に依存して最大荷重における押し込み深さが変化していることがわかる。弾性率は除荷開始直後の材料弾性によって変形が回復するセグメントにおいて、押し込み深さに対する荷重の変化の勾配(除荷曲線勾配)から導出する。
ここで、Eは圧子と測定対象の物性を合わせた複合弾性率を表す。Sは接触剛性であり、上述した荷重変化の勾配の大きさを表す。Aは接触投影面積を表す。
また複合弾性率Eは次式で表される。
ここで、Eとυは測定材料の弾性率とポアソン比、Eiとυiは圧子の弾性率とポアソン比を表す。本実験で用いたバーコビッチ圧子(ダイヤモンド製)の弾性率とポアソン比は、それぞれ1140 GPa、0.07 である。
(シミュレーション結果と実測値との比較)
本発明に係るポリマーモデル作成方法のシミュレーション結果の妥当性を評価するために弾性率の架橋度依存性について実験結果との比較を行った。しかし粗視化モデルでは単位系が無次元化されているため、シミュレーションにおける長さの単位σとエネルギεを現実のSI単位系に変換する必要がある。長さの単位σについては、未架橋エポキシ樹脂の粗視化モデルとフルアトムモデルにおけるモノマ分子の慣性半径の2乗平均〈R 〉を比較することによりSI単位系に変換した。慣性半径の2乗平均〈R 〉は高分子鎖(スプリング)のサイズや形状を表す指標であり、本モデルでモノマ分子の重心から分子内の各原子までの距離の2乗平均を分子数100で除した値である。
フルアトムモデルは原子間の結合ポテンシャル(結合伸縮、結合変角、結合二面角)としてGAFF(General AMBER Force Field)ポテンシャル、非結合相互作用ポテンシャルとしてLnnard-Jonesポテンシャル、静電相互作用ポテンシャルの計算はEwald法を使用した。また原子が保有する電荷は密度汎関数法(B3LYP/6-31Gd)を用いて算出した。その結果、未架橋エポキシ樹脂のフルアトムモデルの温度300Kにおける慣性半径の2乗平均〈R FLは0.598 nm2と算出された。一方、粗視化モデルの温度0.25ε/kにおける慣性半径の2乗平均〈R CGはkθ=0ε/rad2のとき2.55σ2、kθ = 25ε/rad2のとき2.81σ2、kθ= 50ε/rad2のとき2.88σ2であった。エネルギの単位については、弾性率を算出した伸張シミュレーションにおける温度0.25ε/kを300Kとして仮定し、ボルツマン定数1.38×10-23 J/Kを用いてSI単位系に変換した。
この方法でフルアトムモデルと粗視化モデルを比較(〈R FL=〈R CG)した結果、長さの単位はkθ=0ε/rad2のモデルのときσ = 0.484 nm、kθ = 25ε/rad2のモデルのときσ=0.461nm、kθ= 50ε/rad2のモデルのときσ=0.456 nmとそれぞれ算出された。また上記の定義におけるエネルギの単位はε=1.63×10-20Jとなった。
図9にσとεの単位換算したときのモデル(kθ= 0、25、50ε/rad2)と実測値の弾性率の架橋度依存性を示す(弾性率と架橋度との対応関係を含む)。モデルの弾性率は架橋度に依存して増加し、AngleポテンシャルUANGLEにおける、ばね定数kθが増加すると弾性率は増大した。また、実測値と解析結果の双方が架橋度に依存してほぼ同様の増加傾向を示し、kθ=20〜30ε/rad2、の範囲、特にkθ= 25ε/rad2のときに弾性率の架橋度依存性が実験値に近い増加傾向を示すことがわかった。また、架橋可能なポリマーの架橋構造モデルを作成するに際して、架橋可能なポリマーを、エポキシ系ポリマーにした場合、AngleポテンシャルUANGLEのばね定数kθを、20〜30ε/radに設定すると、実測値により近似したビーズスプリングモデルとしてモデル化することができる。
以上の結果から本発明で構築した光硬化型エポキシ樹脂の粗視化シミュレーションモデル(ポリマーモデルの作成方法)は実際の光硬化型エポキシ樹脂における分子構造と架橋度との関係を再現できていると考えられる。また、AngleポテンシャルUANGLEが伸張応力に強く影響し、モデルの弾性率は架橋度に依存することが確認された。
上記の方法及び構成によれば、結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化するFENEポテンシャルUFENE、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化するLennard-JonesポテンシャルULJ、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するAngleポテンシャルUANGLEをビーズスプリングモデルのシミュレーションに導入することにより、架橋可能なポリマーを単純なビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化することができる。
また、上記の方法によれば、架橋可能なポリマーが、エポキシ系ポリマーである場合、AngleポテンシャルUANGLEにおけるばね定数kθを、20〜30ε/radに設定することにより、エポキシ系ポリマーを、実測値により近似したビーズスプリングモデルとしてモデル化することができる。
また、上記ステップ1〜ステップ8の工程を経ることにより、架橋可能なポリマーを、架橋可能なポリマーの硬化反応に準じてビーズスプリングモデルとして精度良くモデル化することができる。
また、上記の方法によれば、すべてのエポキシ基BS1及び架橋反応可能エポキシ基BS11が2配位で架橋結合した状態を架橋度1として、エポキシ基BS1の総数N、及び、架橋反応可能エポキシ基BS11の総数N、架橋反応可能エポキシ基BS11の配位数N、実際に架橋結合した架橋反応可能エポキシ基BS11の数である架橋結合数Nを用いて架橋度vを計算して、拡散させる触媒ビーズS1の総数Nと、架橋反応可能エポキシ基BS11の総数N、架橋橋結合数N、架橋度v、及び、架橋したモデルにおける分子数Mとの対応関係を算出することができる。
また、上記の方法によれば、架橋したモデルに対して伸張解析を行い、5%ひずみまでの応力―ひずみ曲線の傾きから光硬化型エポキシ樹脂の弾性率を導出して、弾性率と架橋度との対応関係を算出することができる。
尚、本実施形態では架橋可能なポリマーとして、光硬化型エポキシ樹脂に代表されるエポキシ系ポリマーを使用しているが、本発明に係る架橋可能なポリマーとしては、光硬化型エポキシ樹脂に代表されるエポキシ系ポリマー以外にもフェノール樹脂やポリイミド樹脂などが挙げられる。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
400 コンピュータ
BS1 エポキシ基
BS2 ベンゼン環
BS3 イソプロピリデン基
S1 触媒ビーズ
BS11 架橋反応可能エポキシ基
θ ばね定数
FENE FENEポテンシャル
LJ Lennard-Jonesポテンシャル
ANGLE Angleポテンシャル

Claims (4)

  1. コンピュータのシミュレーションにより、架橋可能なポリマーをビーズとスプリングで表現可能なビーズスプリングモデルとしてモデル化するポリマーモデル作成方法であって、
    前記コンピュータが、結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのシミュレーションに必要な情報として外部から取得する工程と、
    前記コンピュータが、分子動力学法によるシミュレーションを実行することにより、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを作成する工程と、
    前記コンピュータが、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを予め定めた空間にランダムに配置し、当該空間に所定の数の触媒ビーズを拡散させる工程と、
    前記コンピュータが、前記分子モデルの末端のビーズと前記触媒ビーズとを結合させる工程と、
    前記コンピュータが、前記触媒ビーズに結合した前記分子モデルの末端のビーズを架橋可能なビーズに変換する工程と、
    前記コンピュータが、前記末端のビーズを架橋可能なビーズに変換した後、当該架橋可能なビーズに結合している前記触媒ビーズを切断する工程と、
    前記コンピュータが、前記分子モデルの末端の架橋可能なビーズ同士を架橋結合する工程と、
    前記コンピュータが、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程と、
    前記コンピュータが、前記全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの架橋度を計算する工程と、
    前記コンピュータが、前記触媒ビーズのビーズ数と、前記架橋度との対応関係を算出する工程と、
    を実行して、前記モデル化するポリマーの架橋構造モデルを作成することを特徴とするポリマーモデル作成方法。
  2. 前記架橋可能なポリマーは、エポキシ系ポリマーであり、
    前記アングルポテンシャルは、当該アングルポテンシャルにおけるばね定数に比例するポテンシャルであって、当該ばね定数は、20〜30ε/rad2であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーモデル作成方法。
  3. 前記コンピュータが、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの弾性率を算出し、当該弾性率と前記架橋度との対応関係を算出する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーモデル作成方法。
  4. コンピュータのシミュレーションにより、架橋可能なポリマーをビーズとスプリングで表現可能なビーズスプリングモデルとしてモデル化するポリマーモデル作成装置であって、
    結合したビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する結合伸縮ポテンシャル、結合していないビーズ間の距離の変化によりポテンシャルが変化する非結合相互作用ポテンシャル、及び、結合した3つのビーズの間にできるなす角の変化によりポテンシャルが変化するアングルポテンシャルをビーズスプリングモデルのシミュレーションに必要な情報として外部から取得する工程と、
    分子動力学法によるシミュレーションを実行することにより、前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを作成する工程と、
    前記モデル化するポリマーをビーズスプリングモデルとしてモデル化した所定の数の分子モデルを予め定めた空間にランダムに配置し、当該空間に所定の数の触媒ビーズを拡散させる工程と、
    前記分子モデルの末端のビーズと前記触媒ビーズとを結合させる工程と、
    前記触媒ビーズに結合した前記分子モデルの末端のビーズを架橋可能なビーズに変換する工程と、
    前記末端のビーズを架橋可能なビーズに変換した後、当該架橋可能なビーズに結合している前記触媒ビーズを切断する工程と、
    前記分子モデルの末端の架橋可能なビーズ同士を架橋結合する工程と、
    前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程と、
    前記全ての分子モデルの末端のビーズが架橋した状態を架橋度1として、前記架橋結合した分子モデルを分子動力学計算により緩和計算する工程後の前記架橋構造モデルの架橋度を計算する工程と、
    前記触媒ビーズのビーズ数と、前記架橋度との対応関係を算出する工程と、
    を実行して、前記モデル化するポリマーの架橋構造モデルを作成することを特徴とするポリマーモデル作成装置。
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