JP5421649B2 - 高分子材料モデルの作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータシミュレーションで用いられる高分子材料モデルを短時間でかつ能率良く作成しうる高分子材料モデルの作成方法に関する。
近年、コンピュータを用いた高分子材料のシミュレーション(数値計算)が種々提案されている。この種のシミュレーションでは、主として分子動力学( Molecular Dynamics : MD)計算が行われる。
分子動力学計算は、解析対象となる高分子材料の分子構造に基づいて多数の原子又はその集合体(分子を含む)からなる粒子を配置した材料モデルを設定し、配置した全ての粒子が古典力学に従うものとしてニュートンの運動方程式が適用される。そして、各時刻における全ての粒子の動きが追跡される。
このような分子動力学計算によれば、粒子の微視的な運動を正確に追跡することができる。従って、実験結果に頼らず、物質の性質や運動を明らかにすることができる。また、追跡時間等を調節することにより、粒子の初期配置に依存しない正確なシミュレーション結果が得られる。関連する技術としては、次のものがある。
特開2007−107968号公報 特開2006−282929号公報
一般に、ゴムや高分子材料は、図14に示されるように、複雑に絡み合った長い分子鎖構造を持っている。絡み合っている部分、即ち絡み合い点K、Kの間の分子量は、各高分子材料においてほぼ決まった値を示す。これは、一般に、絡み合い点間分子量と呼ばれており、種々の実験によって下記式(1)から計算できることが分かっている。
絡み合い点間分子量Me=ρ・R・T/G0 …(1)
ただし、ρ:ポリマーの密度、R:気体定数、G0:プラトー弾性率、T:プラトー弾性率を示す絶対温度である。
従って、高分子材料の正確なシミュレーションを行うためには、このような分子鎖の絡み合いを正しく再現した高分子材料モデル、換言すれば、解析対象の高分子材料と同じ絡み合い点間分子量を持った高分子モデルを有する高分子材料モデルを作成する必要がある。
しかしながら、従来の高分子材料モデルは、例えば、解析対象となる高分子材料の分子量(例えば約10万から30万)を有する高分子鎖モデルを、モンテカルロ法等を用いてそれぞれ異なる形状で作成して空間に配置するとともに、所定の密度になるまで構造緩和を行うことによって作成される。このような高分子材料モデルは、上述の絡み合い点間分子量を持っている保証はなく、むしろ絡み合い点間分子量を持っていないと考えられる。このような高分子材料モデルを用いたシミュレーションでは、計算精度においてさらなる改善の余地がある。
また、解析対象となる高分子材料のモノマーモデルを設定し、これを構造緩和を用いてランダムに成長させる方法を採用した場合、上述の問題は解消されるかもしれない。しかしながら、この方法では、最新のコンピュータを使用しても数年〜数十年というオーダの計算時間が必要になる。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、絡み合い点間分子量を持った高分子鎖モデルを含む高分子材料モデルを能率良く作成し、精度の高いシミュレーションを実行するのに役立つ高分子材料モデルの作成方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、コンピュータで用いられる数値解析用の高分子材料モデルを作成する方法であって、前記コンピュータに、解析対象となる高分子材料のモノマーをモデル化したモノマーモデルが該高分子材料の絡み合い点間分子量に等しい数で連結されるともに両端のモノマーモデルに架空の反応サイトが定義された高分子鎖の単位モデルを設定する工程と、前記コンピュータが、前記単位モデルを分子動力学計算により構造緩和させてランダムコイル状の単位モデルを設定する工程と、前記コンピュータが、前記ランダムコイル状の単位モデルの複数本を予め定めた空間にランダムに配置して第1の高分子材料モデルを設定する工程と、前記コンピュータが、前記第1の高分子材料モデルを分子動力学計算により構造緩和させるとともに、隣り合う2つの反応サイトが予め定めた距離以下になったときに、該反応サイトを削除しかつボンドを生成させて結合することにより高分子鎖モデルに成長させる成長工程と、前記コンピュータが、前記高分子材料モデルに含まれる高分子鎖モデルの平均分子量が、前記解析対象の高分子材料の平均分子量とほぼ等しくなったときに前記成長工程を停止させる工程とを含むことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記成長工程は、時間の経過とともに、前記空間の体積を小さくして前記成長工程を加速させる処理を含む請求項1記載の高分子材料の作成方法である。
また請求項3記載の発明は、前記モノマーモデルは、水素原子をモデル化した水素粒子モデルを含むとともに、前記成長工程を経た高分子材料モデルの前記空間内に、架橋剤をモデル化した架橋体モデルをランダムに配置して構造緩和する工程をさらに含み、かつ、この構造緩和の工程では、前記架橋体モデルと水素粒子モデルとの距離が予め定めた距離以下になったときに該水素粒子モデルを削除してその高分子鎖モデルの主鎖原子と架橋体モデルとを結合させる架橋処理を含む請求項1又は2に記載の高分子材料の作成方法である。
また請求項4記載の発明は、前記架橋処理は、前記架橋体モデルに、2つの水素粒子モデルが前記距離以下に近づいたことを条件として、前記結合を行う請求項3記載の高分子材料モデルの作成方法である。
また請求項5記載の発明は、前記架橋処理は、前記架橋体モデルに、一つの水素粒子モデルだけが前記距離以下に近づいたことを条件として、前記結合を行う段階と、予め定めた時間が経過するまで、この結合を行った架橋体モデルが、他の主鎖原子と結合するのを禁止する段階とを含む請求項4記載の高分子材料の作成方法である。
本発明によれば、解析対象となる高分子材料の絡み合い点間分子量に等しい単位モデルを一単位とし、かつ、これを互いに結合して成長させることにより、高分子鎖モデルが設定される。従って、各高分子鎖モデルは、いずれも高分子材料モデルの絡み合い点間分子量を持つため、精度の高いシミュレーションを行うことが可能になる。
また、請求項2記載の発明のように、単位モデルを結合して成長させる際、時間の経過とともに、その可動空間の体積を小さくする反応加速処理を含ませたときには、反応サイト同士が接近する機会を増加させ、短時間で成長工程を行うことができる。
また、請求項3記載の発明のように、架橋処理を含ませたときには、架橋構造の高分子材料モデルを能率良く作成することができる。
また、請求項4記載の発明のように、前記架橋処理は、架橋体モデルに、2つの水素粒子モデルが前記距離以下に近づいたことを条件として、これらの高分子鎖モデルの水素粒子モデルを取り除き、かつ、それらの主鎖原子を、架橋体モデルを介して結合させることもできる。
また、請求項5記載の発明のように、前記架橋処理は、前記架橋体モデルに、一つの水素粒子モデルだけが前記距離以下に近づいたことを条件として、前記結合を行う段階と、予め定めた時間が経過するまで、この結合を行った架橋体モデルが、他の主鎖原子と結合するのを禁止する段階とを含ませることもできる。この方法によれば、架橋点をより分散させることができる。
本実施形態により得られた高分子材料モデルの斜視図である。 cis1,4ポリブタジエンの構造式である。 本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の単位モデルの部分平面図である。 図4の単位モデルをランダムコイル状に構造緩和した図である。 第1の高分子材料モデルの斜視図である。 (a)、(b)は反応サイト同士が接近したときの作用を説明する線図である。 第1の高分子材料モデルの反応途中の斜視図である。 第1の高分子材料モデルにおける高分子鎖の分子量の分布の例を示すグラフである。 架橋された高分子材料モデルを作成する実施形態の処理手順を示すフローチャートである。 第2の高分子材料モデルの斜視図である。 (a)、(b)は架橋体モデルの作用を説明する線図である。 本実施形態により得られた架橋された高分子材料モデルの斜視図である。 絡み合い点間分子量を説明する高分子鎖の模式図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の高分子材料モデルの作成方法では、例えば図1に示されるような高分子材料モデル1を作成することができる。このモデル1は、非架橋のものであって、微小な空間を区画する箱状のセル2と、このセル2の内部に配置された多数の高分子鎖モデル3とから構成される。
高分子材料モデル1は、コンピュータ(図示省略)の記憶装置に、セル2及び高分子鎖モデル3の形状及び位置等を特定するための各節点の座標等を含む各種のパラメータが記憶された数値データである。図1では、これらの数値データを基に視覚化されたものが示される。このような高分子材料モデル1は、例えば外力を加えて変形させたときの応力及び/又は歪等の物理量がコンピュータで数値計算される。そして、これらの物理量を評価することにより、高分子材料の開発ないし性能を予測するのに役立つ。前記コンピュータは、特に制限されないが、好ましくは計算処理能力の高いスーパーコンピュータ等が好適に用いられる。
本実施形態では、解析対象の高分子材料としてcis-1,4ポリブタジエン(以下、単にポリブタジエンという。)を例に挙げる。ただし、他の高分子材料についても同様の手順で高分子材料モデルを作成することができるのは言うまでもない。
図2に示されるように、ポリブタジエンは、メチレン基(−CH−)とメチン基(−CH−)とからなるモノマー{−[CH−CH=CH−CH]−}を重合して得られる。
図3は、このようなポリブタジエンの高分子材料モデル1を作成するための処理手順のフローチャートを示す。本実施形態では、先ず、解析対象のポリブタジエンの分子構造に基づいて、その高分子鎖の単位モデル4がコンピュータの記憶装置内に作成される(ステップS1)。
前記単位モデル4は、図4に示されるように、ポリブタジエンのモノマーであるブタジエンをモデル化したモノマーモデル5が、該ポリブタジエンの絡み合い点間分子量Meに等しい数nで連結されるとともに、両端に位置するモノマーモデル5eには、それぞれ架空の反応サイトRが定義されたものとして作成される。なお、絡み合い点間分子量Meは、前述の式(1)から計算される。
本実施形態のモノマーモデル5は、全ての原子(C及びH)がコンピュータのシミュレーションにおいて粒子モデル6として取り扱われる"Full Atom model"で構成される。ただし、例えば水素原子を陽として取り扱わない"United Atom Model"に従ってモデル化されたものでも良い。この場合、CH、CHは、それぞれ水素原子の効果を織り込んだ原子の集合体として取り扱われる。
前記単位モデル4に含まれる粒子モデル6は、分子動力学計算に基づいたコンピュータシミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。即ち、粒子モデル6には、質量、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが定義される。これらの各パラメータは、上述のように、数値情報としてコンピュータに記憶される。
また、粒子モデル6、6間には、結合鎖7が定義される。結合鎖7は、粒子モデル6の相対位置を特定しかつ拘束するもので、例えばベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。
個々のモノマーモデル5は、3次元構造を有し、各粒子モデル6、6間の結合長さである結合長、結合鎖7を介して連続する3つの粒子モデル6がなす角度である結合角、及び、結合鎖7を介して連続する4つの粒子モデル6において、隣り合う3つの粒子が作る二面角などがそれぞれ定義される。また、各モノマーモデル5は、慣例に従い、外力又は内力を受けることによって、上記結合長、結合角及び二面角が変化する。これにより、単位モデル4は、その三次元構造を変化させることができる。
以上のようなモデル化は、例えば(株)日本総研ソリューションズ社製のJ−OCTAというソフトウエアを用いて処理することができる。
前記反応サイトRは、架空の粒子である。この反応サイトRは、2つの単位モデル4を繋げてその長さを成長させる際の結合点として設けられる。これについては後で詳しく述べる。
次に、コンピュータは、前記単位モデル4を分子動力学計算により構造緩和し、図5に簡略化して示されるようなランダムコイル状の単位モデル8に変形させる処理を行う(ステップS2)。
この構造緩和は、図4に示したほぼ真っ直ぐに初期設定された1本の単位モデル4を、全方向自由境界条件の下、予め定めた緩和時間及び緩和条件で分子動力学計算が行われる。これにより、真っ直ぐに初期設定された単位モデル4は、古典力学に従って自由に移動するとともに、結合長、結合角及び二面角が変化し、図5に示されるようなランダムコイル状の単位モデル8へと変形する。この処理は、単位モデル4の初期設定時の人為的影響を無くし、モデルの安定化ないし準安定化を図るのに役立つ。
構造緩和のシミュレーションにおいて、積分の時間ステップ、温度及び/又は緩和時間等は任意に定めることができる。例えば、単位モデル4のポテンシャルエネルギー及び応力が、実質的に変化しなくなるのに必要かつ十分な条件が設定される。なお、このような構造緩和は、例えば上記したソフトウエアを用いて処理させることができる。
次に、図6に示されるように、構造緩和されたランダムコイル状の単位モデル8の複数本が予め定めた三次元の空間を区画するセル2の内部にランダムに配置された第1の高分子材料モデル1aが設定される(ステップS3)。この処理も、乱数関数などに従って、コンピュータにより実行することができる。
前記セル2は、高分子鎖モデル3の可動範囲を定める境界であり、上述の通り、コンピュータのその頂点の節点座標などが記憶される。該セル2は、解析対象のポリブタジエンの微小部分に相当する。本実施形態のセル2は、一辺が400nm(ナノメータ)の微小な立方体として定義される。ただし、このような態様に限定されるものではなく種々の形状及び/又は大きさで定めることができる。
また、セル2内に配置されるランダムコイル状の単位モデル8の数は、例えば、セル2内の密度が0.1g/cm3以下となるように設定される。また、各単位モデル8は、互いに接触しないように配置される。これは、同じ空間に、別の原子が来ないようにするため、また、反応前に絡み合いができないようにするのに役立つ。従って、セル2は、初期状態としてある程度大きく形成される必要がある。なお、密度を高くすると、コンピュータで単位モデル8をランダムに配置するときに、互いに接触しやすくなるため好ましくない。
次に、コンピュータでは、第1の高分子材料モデル1aを分子動力学計算に基づいて構造緩和させるとともに、所定の条件を満たす単位モデル8、8を前記反応サイトRで結合させ高分子鎖モデル3に成長させる成長工程を行う(ステップS4)。本実施形態の構造緩和のアンサンブルは、NPTで行われるが、特にアンサンブルは限定されるものではない。
構造緩和については、ステップS2と同様、初期配置された複数本のランダムコイル状の単位モデル8を、セル2内の可動範囲で自由に運動させる分子動力学計算がコンピュータにより行われる。また、コンピュータでは、運動する単位モデル8の各位置が逐次計算される。そして、図7(a)に部分的に示されるように、構造緩和で自由に移動する2本のランダムコイル状の単位モデル8、8が互いに接近し、それらの反応サイトR、Rが予め定めた距離(この例では中心間距離)がL以下になったとき、コンピュータは、これらの単位モデル8、8を結合させて成長させる処理を行う。
具体的には、図7(b)に示されるように、コンピュータは、上記条件を満足する反応サイトR、Rを単位モデル8から取り除き、ボンド(結合部)Bを生成して2つの単位モデル8を結合させる処理が行われる。ボンドBは、反応サイトRが付いていた根本の主鎖骨格と同じ原子の特性が与えられる。即ち、この実施形態のボンドBは、反応サイトRの根本のC、C同士が一重結合したものに等しい。また、1本の単位モデル8の両端の反応サイト同士の結合は禁止されるように、予め条件が定義されている。これにより、2つのランダムコイル状の単位モデル8が結合したより長い1本の高分子鎖モデル3を形成できる。図8には、成長工程の反応途中の第1の高分子材料モデル1aを示す。
そして、上述の成長工程が繰り返されることにより、本実施形態の高分子鎖モデル3は、反応サイトRを結合点としかつ単位モデル8を1単位として順次成長する。このため、高分子鎖モデル3は、絡み合い点間分子量が保たれた状態で成長する。
単位モデル8が、反応サイトRで次々と成長する過程で、反応サイトR以外の位置で分子鎖の絡み合いが生じるということはあまり考えられない。単位モデル8自身は、十分に詰まった密度を持っているので、そこに他の単位モデル8が接触しても絡み合うための力が生じないないからである。また、ランダムコイル状の単位モデル8は、予め構造緩和が行われているため、変形はするものの、一塊に丸まった形を維持する傾向がある。
また、このような成長工程には、通常、多くの計算時間を必要とする傾向がある。特に、初期状態では、単位モデル8を接触しないように配置するためには、セル2が大きく形成されるのでこのような傾向が顕著になる。本実施形態では、コンピュータによる成長工程の計算時間を短縮させるために、時間の経過とともに、前記セル2の空間の体積を小さくする反応加速処理が行われる。
前記反応加速処理は、例えば成長工程を開始するときの圧力が例えば0.1気圧に設定され、しかる後、所定の時間ステップが経過する毎にセル2を等方的に小さくし、その圧力を例えば0.1気圧ずつ高めることが望ましい。これにより、単位モデル8ないし高分子鎖モデル3の運動範囲が狭められるとともに、単位モデル8の運動が活発化することにより上記成長機会を増加させ、成長工程の反応を加速させることができる。なお、セル内部の圧力を高めすぎても、計算精度が低下するおそれがあるので、好ましくは10気圧程度を上限とするのが望ましい。なお、セルSの圧力を一気に高めると、異常な力が作用し、反応サイトRではない所で単位モデル8同士が入れ子状に重なるおそれがあるなど、好ましくない。
また、コンピュータでは、成長工程中、それぞれの高分子鎖モデル3(勿論、残存している単位モデル8も含む)の分子量が計算されかつ記憶装置に記憶される。図9には、成長工程中の個々の高分子材料モデルの分子量と、その本数との関係を示す。このように、構造緩和を行いながら高分子鎖モデル3を成長させることにより、第1の高分子材料モデル1a内では、ほぼガウス分布に従った分子量分布を得ることができる。
そして、この個々の分子量から計算される1本の高分子鎖モデルの平均分子量が、解析対象の高分子材料の平均分子量とほぼ等しくなった状態まで成長したときに前記成長工程を停止させる(ステップS5でY)。これにより、図1に示したような高分子材料モデル1が得られる。なお、図1では、理解しやすいように、高分子鎖モデル3の線種を異ならせている。他方、ステップS5でNの場合、ステップS4の成長工程が継続して行われる。
本実施形態の場合、解析対象のポリブタジエンの平均分子量を30万とし、高分子材料モデル1aに含まれる高分子鎖モデル3の平均分子量がその90〜110%の範囲、すなわち27〜33万程度の範囲に含まれることとなったときに成長工程を停止させている。このように、上記「ほぼ等しく」とは、厳密に一致させる必要はなく、少なくとも±10%程度の誤差は許容されるものである。
以上のような作成方法によって得られる高分子材料モデル1は、絡み合い点間分子量を維持したまま高分子鎖モデル3が成長するので、実際の高分子構造と近い解析用の材料モデルとなる。従って、このような高分子材料モデルを用いて精度の高いシミュレーションを実行することができる。なお、コンピュータは、この成長工程を終えた後、残存している反応サイトRをボンドBに置き換える処理を行う。
また、本発明の作成方法は、架橋された高分子材料のモデルにも適用できる。このようなモデルを作成する手順の一例は図10に示される。
この実施形態では、先ず、上記ステップS6で得られた高分子材料モデル1の前記セル2内に、架橋体モデルDがランダムに配置された第2の高分子材料モデル1b(図11)が定義される(ステップS7)。
本実施形態の架橋体モデルDは、粒子で表現されており、シミュレーションでは質点として取り扱われる。この架橋体モデルDは、実際の高分子材料に添加される架橋剤、例えば、モノスルフィドやジスルフィド又はポリスルフィドなどの硫黄化合物等をモデル化したものである。また、架橋体モデルDは、高分子鎖モデル3と重ならないようにランダムに配置される。なお、架橋体モデルDの配合量は、任意に定めることができる。
次に、コンピュータにより、架橋体モデルDを配置した第2の高分子材料モデル1bの構造緩和が再び行われる。これにより、架橋体モデルDと高分子鎖モデル3との相対位置を変化させることができる。構造緩和では、図12(a)に示されるように、架橋体モデルDに、高分子鎖モデル3の2つの水素原子の粒子モデル6が予め定めた距離K以下に近づいたか否かが判断され(ステップS9)、近づいたときには、それらの水素原子の粒子モデル6を削除し、図12(b)に示されるように、その根本の主鎖原子である炭素粒子モデルを架橋体モデルDを介して結合させる(ステップS10)。そして、全ての架橋体モデルDが上述の結合、即ち反応したか否かが判断され(ステップS11)、結果が真の場合には処理を終える。他方、結果が偽の場合、ステップS8以降が繰り返される。
このような処理を行うことにより、図13に示されるような架橋された高分子材料モデル1cを設定することができる。
なお、上記実施形態は、一つの架橋体モデルDに、2つの水素原子の粒子モデル6が一定の距離内に近づいたときにこれらを結合させる。このため、例えば1本の高分子鎖モデル3の中の2つの水素の粒子モデル6hが架橋されるいわゆる分子内架橋が多発し、架橋点が特定位置に集中するなど、実際の材料特性が正確に再現できないおそれがある。このような分子内架橋を防止するために、例えば、次のような実施形態を採用することもできる。
即ち、この処理において、コンピュータは、架橋体モデルDに、一つの水素原子の粒子モデル6だけが前記距離K以下に近づいたときに結合させる。そして、結合後から予め定めた時間が経過するまで、前記結合を行った架橋体モデルDには、他の水素原子の粒子モデル6が近づいても結合を禁止する条件が与えられる。そして、予め定めた一定時間を経過した後、当該架橋体モデルDから上記条件を解除し、上記結合を許容させる。即ち、再び、前記距離K以下に一つの水素原子の粒子モデル6が近づいたときに、該粒子モデル6と結合される。なお、上記一定時間は、特に限定されるものではないが、例えば1000〜10000ステップの間(時間にして約0.3〜0.8ナノ秒)程度が望ましい。
この方法によれば、一つの水素原子の粒子モデル6と結合した架橋体モデルDは、しばらくの間、他の水素原子の粒子モデル6との結合反応をすることなくセル2内を移動しうる。従って、架橋体モデルDは、他の高分子鎖モデル3の水素原子の粒子モデル6と接近して結合する確率が増す。これにより、上述の分子内架橋の確率が減り、架橋点を分散配置することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく種々の態様に変形して実施することができるのは言うまでもない。
1 高分子材料モデル
2 セル
3 高分子鎖モデル
4 単位モデル
5 モノマーモデル
6 粒子
7 結合鎖
8 単位モデル
B ボンド
D 架橋体モデル
R 反応サイト

Claims (5)

  1. コンピュータで用いられる数値解析用の高分子材料モデルを作成する方法であって、
    前記コンピュータに、解析対象となる高分子材料のモノマーをモデル化したモノマーモデルが該高分子材料の絡み合い点間分子量に等しい数で連結されるともに両端のモノマーモデルに架空の反応サイトが定義された高分子鎖の単位モデルを設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記単位モデルを分子動力学計算により構造緩和させてランダムコイル状の単位モデルを設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記ランダムコイル状の単位モデルの複数本を予め定めた空間にランダムに配置して第1の高分子材料モデルを設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記第1の高分子材料モデルを分子動力学計算により構造緩和させるとともに、隣り合う2つの反応サイトが予め定めた距離以下になったときに、該反応サイトを削除しかつボンドを生成させて結合することにより高分子鎖モデルに成長させる成長工程と、
    前記コンピュータが、前記高分子材料モデルに含まれる高分子鎖モデルの平均分子量が、前記解析対象の高分子材料の平均分子量とほぼ等しくなったときに前記成長工程を停止させる工程とを含むことを特徴とする高分子材料モデルの作成方法。

  2. 前記成長工程は、時間の経過とともに、前記空間の体積を小さくして前記成長工程を加速させる処理を含む請求項1記載の高分子材料の作成方法。
  3. 前記モノマーモデルは、水素原子をモデル化した水素粒子モデルを含むとともに、
    前記成長工程を経た高分子材料モデルの前記空間内に、架橋剤をモデル化した架橋体モデルをランダムに配置して構造緩和する工程をさらに含み、かつ、
    この構造緩和の工程では、前記架橋体モデルと水素粒子モデルとの距離が予め定めた距離以下になったときに該水素粒子モデルを削除してその高分子鎖モデルの主鎖原子と架橋体モデルとを結合させる架橋処理を含む請求項1又は2に記載の高分子材料の作成方法。
  4. 前記架橋処理は、前記架橋体モデルに、2つの水素粒子モデルが前記距離以下に近づいたことを条件として、前記結合を行う請求項3記載の高分子材料モデルの作成方法。
  5. 前記架橋処理は、前記架橋体モデルに、一つの水素粒子モデルだけが前記距離以下に近づいたことを条件として、前記結合を行う段階と、
    予め定めた時間が経過するまで、この結合を行った架橋体モデルが、他の主鎖原子と結合するのを禁止する段階とを含む請求項4記載の高分子材料の作成方法。
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