JP6166639B2 - 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法 - Google Patents

複合材料のシミュレーションモデルの作成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6166639B2
JP6166639B2 JP2013217658A JP2013217658A JP6166639B2 JP 6166639 B2 JP6166639 B2 JP 6166639B2 JP 2013217658 A JP2013217658 A JP 2013217658A JP 2013217658 A JP2013217658 A JP 2013217658A JP 6166639 B2 JP6166639 B2 JP 6166639B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
model
filler
particle
polyhedron
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013217658A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015079450A (ja
Inventor
隆司 坂牧
隆司 坂牧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2013217658A priority Critical patent/JP6166639B2/ja
Publication of JP2015079450A publication Critical patent/JP2015079450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6166639B2 publication Critical patent/JP6166639B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを作成するための方法に関する。
従来、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料について、分子シミュレーションが行われている。分子シミュレーションでは、コンピュータ上の仮想の3次元空間内に、複合材料を模したシミュレーションモデルが定義される。シミュレーションモデルは、例えば、高分子材料及びフィラーの分子等が、それぞれ粒子モデル(運動方程式での質点)で離散化されて定義される。各粒子モデルは、ポテンシャル等の下、古典力学に従い、時系列的にその位置が逐次計算される。これにより、前記複合材料の物性等が解析される。
例えば、複合材料として、マトリックスゴム中にフィラーとしてシリカが配合されたシリカ配合ゴムの分子シミュレーションが行われることがある。この場合、コンピュータに、例えば、図12に視覚化して示されるような複合材料モデルaが定義される。この複合材料モデルaは、マトリックスゴムを表現するための高分子モデルbと、フィラーを表現するためのフィラーモデルcとを含んでいる。高分子モデルbは、ゴムの分子鎖を表すように、有限個の高分子粒子モデルb1を鎖モデルb2で紐状に連ねて定義されている。フィラーモデルcは、球状のフィラー粒子を表すように、有限個のフィラー粒子モデルc1を鎖モデルc2で連結して塊状に定義されている。
複合材料モデルaは、さらに、フィラーモデルcの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルc1と、高分子モデルbの一つの高分子粒子モデルb1とを結合するボンドdが定義されている。ボンドdは、両モデルの相対距離等を拘束するもので、例えば、実際の複合材料において、フィラーの表面とマトリックスゴムとを結合させるカップリング剤に相当している。このようなボンドdは、ゴムとシリカとの結合度合いに影響を与えるものであり、その配置や数は複合材料の物性の解析に重要な影響を与える。
特開2013−186746号公報 特開2013−108951号公報
上述のボンドdを定義する場合、先ず、フィラーモデルcの表面に位置しているフィラー粒子モデルc1を特定しなければならない。しかしながら、フィラー粒子モデルc1は3次元に配置されており、かつ、その数も非常に多いため、どれが表面に位置しているのか、コンピュータで特定することは難しい。
従来、フィラーモデルを球体で定義し、それに内接する正多面体の頂点に位置するフィラー粒子モデルにボンドを定義することが考えられていた(関連技術1)。しかしながら、この方法では、ボンドの数が、正多面体の頂点の数に制限されてしまい、任意の数のボンドを定義することができないという問題があった。また、フィラーモデルは、球体で定義されなければならず、汎用性に欠けるという問題もあった。
他の方法として、予め定められた所定の距離Rの範囲内にあるフィラー粒子モデルc1と高分子粒子モデルb1とを逐次又は擬似乱数等を用いて、ボンドで結合するという方法も考えられている(関連技術2)。しかしながら、この方法では、ボンドが特定の位置に偏って配置されることがあるという問題があった。
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フィラーモデルの表面に位置しているフィラー粒子モデルを容易に特定し、能率的に複合材料のシミュレーションモデルを作成しうる方法を提供することを目的としている。
本発明は、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、前記コンピュータに、前記高分子材料を有限個の高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、前記フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程と、前記コンピュータが、前記第1シミュレーションモデルの前記フィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程とを含み、前記第2工程は、前記3次元空間を、前記高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、前記フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とを用いて複数の領域に分割する分割工程と、前記3次元空間で互いに隣接している前記第1多面体と前記第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる前記高分子粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間に前記ボンドを定義する結合工程とを含むことを特徴とする。
本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記第1多面体及び前記第2多面体は、ボロノイ分割された多面体であるのが望ましい。
本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記結合工程は、前記第1多面体と接触している第2多面体に属する全てのフィラー粒子モデルを抽出する抽出工程と、前記抽出されたフィラー粒子モデルの中から少なくとも一つのフィラー粒子モデルを決定する決定工程と、前記決定されたフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの最も近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に前記ボンドを定義するボンド定義工程とを含むことができる。
本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記決定工程と前記ボンド定義工程とは、前記ボンドが予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われることが望ましい。
本発明にかかる複合材料のシミュレーションモデルの作成方法において、前記決定工程は、既に決定されたフィラー粒子モデルとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデルを決定することが望ましい。
本発明の第1工程では、コンピュータ上に、第1シミュレーションモデルが設定される。第1シミュレーションモデルは、コンピュータでの数値計算のために、仮想的な3次元空間上に定義されたもので、高分子材料を有限個の高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状にフィラーモデルとが前記空間上に配置されたものである。
本発明の第2工程では、コンピュータが、第2シミュレーションモデルを設定する。第2シミュレーションモデルは、第1シミュレーションモデルのフィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドが定義されたものである。
本発明の第2工程は、前記3次元空間を、多面体を用いて、複数の領域に分割する分割工程を含んでいる。多面体として、高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とが用いられる。
第2工程は、さらに、結合工程を含んでいる。結合工程では、前記3次元空間で互いに隣接している第1多面体と第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる高分子粒子モデルとフィラー粒子モデルとの間にボンドが定義される。
以上のように、本発明では、フィラーモデルの表面に位置するフィラー粒子モデルは、第1多面体に接触している第2多面体に属するものとして、容易に特定され得る。従って、本発明の方法によれば、シミュレーションモデルの作成が能率化される。また、本発明の方法によれば、ボンドの定義や数などが任意に設定・変更可能なシミュレーションモデルを作成することができる。
本発明の処理手順の実施形態のフローチャートである。 視覚化されたフィラー配合ゴムの第1シミュレーションモデルを示す平面図である。 第1工程の一実施形態のフローチャートである。 視覚化されたマトリックスゴムモデルの平面図である。 視覚化されたフィラーゴムモデルの平面図である。 第2工程の一実施形態のフローチャートである。 分割工程を示す第1シミュレーションモデルの平面図である。 決定工程を示す第1シミュレーションモデルの平面図である。 ボンドが定義された第2シミュレーションモデルの平面図である。 (A)は本実施形態の方法に従って得られたフィラーモデルであり、(B)は従来の方法に従って得られたフィラーモデルで、いずれも表面のフィラー粒子として特定されたところが白色で表示されている。 (A)は本実施形態の方法に従って得られたフィラーモデルであり、(B)は従来の方法に従って得られたフィラーモデルで、いずれも距離をおいてボンドが定義可能なフィラー粒子が黒色で表示されている。 複合材料のシミュレーションモデルが視覚化された平面図である。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
本発明は、高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法である。
本明細書において、「高分子材料」とは、少なくとも、樹脂、ゴム及びエラストマーを含む概念である。「フィラー」とは、マトリックスとしての高分子材料を補強するものであれば、特に限定されないが、例えば、少なくともカーボンブラック及びシリカ等を含む概念である。
本明細書において、「シミュレーションモデル」とは、コンピュータの中に定義され、分子シミュレーションの数値計算に利用される「数値データ」である。この実施形態の中で、シミュレーションモデルが図として表現されている。これらは、シミュレーションモデルの数値データが、例えば、実際の分子構造等に模して図形に置き換えて視覚化されたものである。これらのシミュレーションモデルは、コンピュータに接続された表示装置等を通しても表示され得る。
図1には、本発明の処理手順の一実施形態が示されている。本実施形態では、先ず、第1工程が行われる(ステップS1)。第1工程では、図2に示されるように、コンピュータ(図書省略)に定義された仮想の3次元空間(x,y、z)上に、第1シミュレーションモデル2が定義される。第1シミュレーションモデル2は、3次元空間に、紐状の高分子モデル3と、塊状のフィラーモデル4とが配置されている。
図3には、第1工程のさらに具体的な処理手順の一例が示されている。本実施形態の第1工程では、先ず、高分子モデル3が設定される(ステップS11)。
図4には、高分子モデル3の一実施形態が視覚化されている。本実施形態の高分子モデル3は、複数の高分子粒子モデル3aと、これらの高分子粒子モデル3a、3a間を接続している鎖モデル3bとから構成された直鎖状の三次元構造を有している。
各高分子粒子モデル3aは、高分子材料の原子又はその集合体を表すことができる。高分子粒子モデル3aは、本実施形態のような粗視化粒子モデル、又は、全ての原子をそれぞれ粒子モデルとして捉えるいわゆる "Full Atom model"のいずれで離散化されても良い。
高分子粒子モデル3aは、例えば、分子動力学に基づいた分子シミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。従って、各高分子粒子モデル3aには、その質量、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが与えられる。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータに入力される。
鎖モデル3bは、高分子粒子モデル3a、3aの相対位置を特定している。また、鎖モデル3bは、解析対象となる高分子材料の物性等に基いて、外力又は内力によって、高分子粒子モデル3a、3b間の結合長、結合角又は二面角が変化しうるように高分子モデル3を拘束している。鎖モデル3bは、例えば、ベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。
さらに、分子動力学計算を行うために、高分子粒子モデル3a、3a間には、ポテンシャル関数が定義される。
次に、図3に示したように、第1工程では、フィラーモデル4が設定される(ステップS12)。
図5には、フィラーモデル4の一実施形態が視覚化されている。本実施形態のフィラーモデル4は、複数のフィラー粒子モデル4aと、これらのフィラー粒子モデル4a、4a間を接続している鎖モデル4bとから構成された多層かつ球状の三次元構造を有している。
各フィラー粒子モデル4aは、複合材料のフィラーの原子の集合体を表している。フィラー粒子モデル4aは、本実施形態のような粗視化粒子モデルの他、全ての原子をそれぞれ粒子モデルとして捉えるいわゆる "Full Atom model"のいずれで離散化されても良い。
フィラー粒子モデル4aも、分子動力学に基づいた分子シミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。従って、各フィラー粒子モデル4aには、その質量、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが与えられる。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータに入力される。
鎖モデル4bについての、高分子モデル3で説明された鎖モデル3bと同様、フィラー粒子モデル4a、4aの相対位置を特定している。また、鎖モデル4bは、外力又は内力によって、解析対象となるフィラーの物性等に基いて、フィラー粒子モデル4a、4b間の結合長、結合角又は二面角が変化しうるようにフィラーモデル4を拘束している。鎖モデル4bは、例えば、ベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。さらに、分子動力学計算を行うために、フィラー粒子モデル4a、4a間にも、ポテンシャル関数が定義される。
次に、図3に示したように、第1工程では、高分子モデル3とフィラーモデル4とを用いて分子動力学計算が行われる(ステップS13)。
分子動力学計算では、図2に示したように、予め定められた体積を持った3次元空間(「セル」とも呼ばれる)の中に、先に定義された高分子モデル3及びフィラーモデル4がランダムに初期配置される。また、分子動力学計算では、例えば、所定の時間の中で、配置した全てのモデル3及び4が古典力学に従うものとして、ニュートンの運動方程式が適用される。各時刻における全ての高分子粒子モデル3a及びフィラー粒子モデル4aの動きが追跡される。これにより、各モデル3及び4は、人為的な初期配置から徐々に平衡状態へと変化することができる。
次に、図3に示したように、第1工程では、分子動力学によって、高分子モデル3及びフィラーモデル4が十分に緩和したか否かが判定される(ステップS14)。本実施形態の分子動力学計算では、コンピュータが一定の繰り返しステップ数を終えた時点で、構造緩和がなされたとみなしている。
次に、高分子モデル3及びフィラーモデル4が十分に緩和した場合(ステップS14でY)、この状態の高分子モデル3及びフィラーモデル4の位置情報等を全てコンピュータに記憶する。これにより、コンピュータに、第1シミュレーションモデル2が定義される(ステップS15)。
次に、図1に戻って、本実施形態では、第2工程が行われる(ステップS2)。第2工程では、図2に示した第1シミュレーションモデル2において、フィラーモデル4の表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデル4aと、このフィラー粒子モデル4aの近くに位置する高分子粒子モデル3aとの間に、両粒子モデル4a、3aを結合するためのボンドを定義するものである(ボンドについては、図2には示されていない。)。
図6には、第2工程の詳細な処理手順の一例が示されている。図6に示されるように、第2工程では、先ず、分割工程が行われる(ステップS21)。分割工程では、コンピュータにより、第1シミュレーションモデル2の3次元空間が、第1多面体と第2多面体とを用いて複数の領域に分割される。
図7には、上記分割工程を説明するための第1シミュレーションモデル2の平面図が示されている。図7では、高分子モデル3の鎖モデル3b、及び、フィラーモデル4の鎖モデル4bは、それぞれ、省略されている。高分子粒子モデル3aは白丸で、フィラー粒子モデル4aは黒丸でそれぞれ示されている。
第1多面体5は、高分子粒子モデル3aの一つのみを含む多面体である。第2多面体6は、フィラー粒子モデル4aの一つのみを含む多面体である。分割工程では、第1シミュレーションモデル2の空間が、第1多面体5及び第2多面体6のみをを用いて分割される。このような多面体5、6を得る方法として、本実施形態では、ボロノイ分割(ティーセン分割)が採用されている。ボロノイ分割は、ある3次元の空間に複数個の母点(粒子モデルに相当)が定義されいる場合、それぞれの母点に最も近い領域によって空間を分割する手法である。即ち、隣り合う母点間を結ぶ直線を二等分する平面を定義しながら、各母点の最近隣領域を分割する手法である。互いに接触している多面体間を区画するのがボロノイ境界である。分割工程により、各多面体5、6の位置情報が全てコンピュータに記憶され得る。
次に、図6に示されるように、抽出工程が行われる(ステップS22)。抽出工程では、第1多面体5と接触している第2多面体6に属する全てのフィラー粒子モデル4aが抽出される。図8には、抽出工程を視覚的に説明するために、第1多面体5と接触している第2多面体6が薄く着色された第1シミュレーションモデル2が示されている。抽出工程では、図8で着色されたように、第1多面体5とボロノイ境界で接触している第2多面体6に属する全てのフィラー粒子モデル4aが、例えば、コンピュータに記憶される。
このように、本実施形態によれば、フィラーモデル4の表面に位置するフィラー粒子モデル4aは、第1多面体5に接触している第2多面体6に属するものとして、容易に特定される。
次に、図6に示されるように、決定工程が行われる(ステップS23)。決定工程は、抽出工程で抽出されたフィラー粒子モデル4aの中から一つのフィラー粒子モデル4aが決定される。本実施形態では、抽出されたフィラー粒子モデル4aの中からランダムに一つのフィラー粒子モデル4aが抽出される。
次に、本実施形態では、決定されたフィラー粒子モデル4aと先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin以上であるか否かが判定される(ステップS24)。フィラー粒子モデル4aが先に決定されていない場合、このステップS23は肯定的なものとなる。このステップについては、後で説明される。
次に、本実施形態では、ボンド定義工程が行われる(ステップS25)。ボンド定義工程は、決定されたフィラー粒子モデル4aと、このフィラー粒子モデル4aの最も近くに位置する高分子粒子モデル3aとの間にボンド7を定義するものである。図9には、このようなボンド定義工程が行われた第2シミュレーションモデル10が視覚化されている。ボンド7は、2つの粒子モデル3a、4aをつなぐ腕のように視覚化されている。ボンド7は、ポテンシャル関数を使用して、一定距離の範囲に、2つの粒子モデル3a、4aの相対位置を拘束するもので、コンピュータに記憶される数値情報である。図9では、3つのボンド7が示されている。
次に、本実施形態では、コンピュータにより、定義されたボンド7の数が予め定められた数(上限)に達したか否かが判断される(ステップS26)。ボンド数が上限に達している場合(ステップS26でY)、コンピュータは、現在の高分子モデル3、フィラーモデル4おヨボボンド7の配置を第2シミュレーションモデル10として記憶する(ステップS27)。
一方、コンピュータは、ボンド数が上限に達していないと判断した場合(ステップS26でN)、決定工程(ステップS23)以降を繰り返して処理する。これにより、決定工程(ステップS23)とボンド定義工程(S25)とは、ボンド7が予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われる。
また、2ループ目以降の場合、ステップS24において、決定されたフィラー粒子モデル4aと、先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin以上であるか否かが判定される。決定されたフィラー粒子モデル4aと、先に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が、予め定められた距離Rmin未満の場合には、決定されたフィラー粒子モデル4Aがキャンセルされ(ステップS28)、新たに決定工程が行われる。
このようなステップを含ませることにより、決定工程では、既に決定されたフィラー粒子モデル4aとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデル4aを決定することができる。これは、シミュレーションモデルにボンド7を定義する場合、ボンド7が特定箇所に偏って配置されるのを防ぐことができる。
以上のような処理を経て、例えば、図9に示されるような第2シミュレーションモデル10が作成される。そして、この第2シミュレーションモデル10を用いて、各種の物性を解析することができる。本実施形態の方法によれば、第2シミュレーションモデル10が能率的に作成される。また、本実施形態の方法によれば、ボンドの定義や数などが任意に設定・変更可能なシミュレーションモデルを作成することができる。
図10(A)、(B)には、同一条件の第1シミュレーションモデル2から、フィラーモデル4の表面に位置するフィラー粒子モデルの特定を行った結果を示している。図10(A)のものは、上記実施形態に従って得られた結果である。フィラーモデル4において、白丸で視覚化されている粒子が、フィラーモデル4の表面に位置するものとして、抽出工程で抽出されたフィラー粒子モデルであり、1292個が抽出された。
一方、図10(B)のものは、背景技術の欄で説明した関連技術2に従って得られた結果である。図10(A)と同様、フィラーモデル4において、白丸で視覚化されている粒子が、フィラーモデル4の表面に位置するものとして、抽出されたフィラー粒子モデルである。図10(B)では、抽出されたフィラー粒子モデルの数は391個であり、明らかに本実施形態のものに比べて、少ない。この数は、粒子間の距離Rを種々変えていくことである程度増加させることができるが、数多くの試行錯誤が必要になる。
図11(A)、(B)は、それぞれ、図10(A)、(B)の第1シミュレーションモデルに基いて、上限を100として、ボンドを定義した結果が示されている。図11(A)のものは、上記実施形態に従って得られた結果である。フィラーモデル4において、黒丸で視覚化されているフィラー粒子モデル4が高分子粒子モデル(図示省略)とボンドで結合されたものを示している(距離Rminは、2.5に設定した。この長さは、分子シミュレーションにおいて広く用いられている粒子間相互作用ポテンシャル関数の一つであるレナードジョーンズポテンシャルのパラメータσで無次元化されている)。フィラーモデルの表面の粒子が広範囲に抽出されているため、ボンド定義時の自由度が増し、均等にバランスよくボンドが定義されていることが確認できる。
一方、図11(B)のものは、背景技術の欄で説明した関連技術2に従って得られた結果である。ボンドが偏って定義されていることが明らかである。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、種々の態様に変更して実施され得る。例えば、第1シミュレーションモデルを得るために、上記実施形態では、分子動力学法が採用されているが、例えば、モンテカルロ法又は分子力学計算が採用されても良い。
2 第1シミュレーションモデル
3 高分子モデル
3a 高分子粒子モデル
3b 鎖モデル
4a フィラー粒子モデル
4b 鎖モデル
5 第1多面体
6 第2多面体
7 ボンド
10 第2シミュレーションモデル

Claims (5)

  1. 高分子材料中にフィラーが分散配置された複合材料のシミュレーションモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記高分子材料を有限個の高分子粒子モデルで離散化した紐状の高分子モデルと、前記フィラーを有限個のフィラー粒子モデルで離散化した塊状のフィラーモデルとが任意の3次元空間上に配置された第1シミュレーションモデルを設定する第1工程と、
    前記コンピュータが、前記第1シミュレーションモデルの前記フィラーモデルの表面に位置する少なくとも一つのフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に、両粒子モデルを結合するためのボンドを定義して第2シミュレーションモデルを設定する第2工程とを含み、
    前記第2工程は、
    前記3次元空間を、前記高分子粒子モデルの一つを含む第1多面体と、前記フィラー粒子モデルの一つを含む第2多面体とを用いて複数の領域に分割する分割工程と、
    前記3次元空間で互いに隣接している前記第1多面体と前記第2多面体とのペアの中の少なくとも一つのペアに含まれる前記高分子粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間に前記ボンドを定義する結合工程とを含むことを特徴とする複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。
  2. 前記第1多面体及び前記第2多面体は、ボロノイ分割された多面体である請求項1記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。
  3. 前記結合工程は、前記第1多面体と接触している第2多面体に属する全てのフィラー粒子モデルを抽出する抽出工程と、
    前記抽出されたフィラー粒子モデルの中から少なくとも一つのフィラー粒子モデルを決定する決定工程と、
    前記決定されたフィラー粒子モデルと、このフィラー粒子モデルの最も近くに位置する前記高分子粒子モデルとの間に前記ボンドを定義するボンド定義工程とを含む請求項1又は2記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。
  4. 前記決定工程と前記ボンド定義工程とは、前記ボンドが予め定められた上限の数に至るまで繰り返して行われる請求項3記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。
  5. 前記決定工程は、既に決定されたフィラー粒子モデルとの距離が予め定めた値を下回らないように、次のフィラー粒子モデルを決定する請求項3又は4に記載の複合材料のシミュレーションモデルの作成方法。
JP2013217658A 2013-10-18 2013-10-18 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法 Active JP6166639B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013217658A JP6166639B2 (ja) 2013-10-18 2013-10-18 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013217658A JP6166639B2 (ja) 2013-10-18 2013-10-18 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015079450A JP2015079450A (ja) 2015-04-23
JP6166639B2 true JP6166639B2 (ja) 2017-07-19

Family

ID=53010801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013217658A Active JP6166639B2 (ja) 2013-10-18 2013-10-18 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6166639B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6651338B2 (ja) * 2015-12-02 2020-02-19 Toyo Tire株式会社 フィラーモデルの生成装置、生成方法、プログラム、及び、フィラーモデルのデータ構造
JP6834182B2 (ja) * 2016-06-10 2021-02-24 横浜ゴム株式会社 複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム
JP6891549B2 (ja) * 2017-03-08 2021-06-18 横浜ゴム株式会社 複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム
JP6891548B2 (ja) * 2017-03-08 2021-06-18 横浜ゴム株式会社 複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム
JP7105628B2 (ja) * 2018-06-20 2022-07-25 Toyo Tire株式会社 フィラー充填架橋高分子モデルを生成する方法、システム及びプログラム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013024711A (ja) * 2011-07-20 2013-02-04 Bridgestone Corp フィラー充填ポリマーの平衡モデルの作成方法
JP5548180B2 (ja) * 2011-11-24 2014-07-16 住友ゴム工業株式会社 高分子材料のシミュレーション方法
JP5427260B2 (ja) * 2012-03-08 2014-02-26 住友ゴム工業株式会社 高分子材料のシミュレーション方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015079450A (ja) 2015-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6166639B2 (ja) 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法
JP5923069B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP5186015B2 (ja) フィラー配合ゴムの有限要素モデルの作成方法
JP6294613B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP5602190B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP6492439B2 (ja) 特定物質の解析用モデルの作成方法、特定物質の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、特定物質のシミュレーション方法及び特定物質のシミュレーション用コンピュータプログラム
JP5169225B2 (ja) 複合材料モデルの作成装置、シミュレーション装置、複合材料モデルの作成プログラム及び複合材料モデルの作成装置の動作方法
JP2013024711A (ja) フィラー充填ポリマーの平衡モデルの作成方法
Wang et al. A review of virtual cutting methods and technology in deformable objects
EP2500868B1 (en) Method for creating finite element model of rubber composite
WO2016013631A1 (ja) 特定物質の解析用モデルの作成方法、特定物質の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、特定物質のシミュレーション方法及び特定物質のシミュレーション用コンピュータプログラム
JP5324820B2 (ja) 解析モデルの作成方法
JP5592921B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP2014016163A (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP6492438B2 (ja) 特定物質の解析用モデルの作成方法、特定物質の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、特定物質のシミュレーション方法及び特定物質のシミュレーション用コンピュータプログラム
JP3722994B2 (ja) 物体の接触感シミュレーション装置
JP6484921B2 (ja) 特定物質の解析方法及び解析用コンピュータプログラム
JP5503618B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
US10248766B2 (en) Simulation method and analyzing device
JP2018004604A (ja) フィラーモデルの作成方法
JP2017162331A (ja) 複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム
KR100833988B1 (ko) 다극자 변형 표현을 이용한 단백질 분자 모양의 표현 방법
JP2022139140A (ja) フィラーモデルの作成方法
Munier Investigation of the Use of Meshfree Methods for Haptic Thermal Management of Design and Simulation of MEMS.
JP2015102972A (ja) 粒子集団の座標を定義する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160801

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170623

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6166639

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250