JP2022139140A - フィラーモデルの作成方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022139140000001
【課題】 フィラーの外面を適切に表現することが可能なフィラーモデルの作成方法を提供する。
【解決手段】 フィラーの数値解析用のフィラーモデルを作成するための方法である。この作成方法は、コンピュータに、フィラーが存在する領域であるフィラー領域を入力する工程S1と、複数の粒子モデルが不規則に配置されたアモルファス構造モデルを入力する工程S2とを含んでいる。さらに、コンピュータが、フィラー領域全体を含むフィラー用仮想空間を定義する工程S3と、フィラー用仮想空間の内部に、複数のアモルファス構造モデルを配置する工程S4と、フィラー領域の外部に存在する前記粒子モデルを削除して、フィラーモデルを作成する工程S5とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィラーモデルを作成するための方法に関する。
近年、ゴム配合等の高分子材料の開発のために、フィラーと高分子材料とからなる複合材料の性質を、コンピュータを用いて評価するためのシミュレーション方法(数値計算)が種々提案されている。この種のシミュレーション方法では、フィラーをモデル化したフィラーモデルが作成されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
特許第5913260号公報
上記の特許文献1の方法では、高分子材料の3次元画像に基づいて、複数のフィラー粒子モデルを面心立方格子状等の結晶格子状に配置し、かつ、互いに結合して、フィラーモデルが作成されている。このため、フィラーモデルの外面が、規則的な階段状に形成されてしまい、本来のフィラーでは生じないような挙動がシミュレーション上で発生するという問題があった。このような問題を解決するために、フィラーモデルの外面を構成するフィラー粒子モデルを、不規則に配置することが考えられるが、そのようなフィラーモデルの作成には多くの計算時間を要するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、フィラーの外面を適切に表現することが可能なフィラーモデルを短時間で作成可能な方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、フィラーの数値解析用のフィラーモデルを作成するための方法であって、コンピュータに、前記フィラーが存在する領域であるフィラー領域を入力する工程と、前記コンピュータに、複数の粒子モデルが不規則に配置されたアモルファス構造モデルを入力する工程とを含み、前記コンピュータが、前記フィラー領域全体を含むフィラー用仮想空間を定義する工程と、前記フィラー用仮想空間の内部に、複数の前記アモルファス構造モデルを配置する工程と、前記フィラー領域の外部に存在する前記粒子モデルを削除して、前記フィラーモデルを作成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記フィラーモデルの作成方法において、前記フィラーモデルを作成する工程の後に、前記コンピュータが、前記フィラーモデルの内部の前記粒子モデルの充填率が、前記フィラーモデルの外層の前記粒子モデルの充填率よりも小さくなるように、前記フィラーモデルを改造する工程をさらに含んでもよい。
本発明に係る前記フィラーモデルの作成方法において、前記フィラーモデルを改造する工程は、前記フィラーモデルの外層の充填率よりも小さい結晶構造に基づいて、前記フィラーモデルの内部の前記粒子モデルを配置する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記フィラーモデルの作成方法において、前記フィラーモデルを作成する工程は、前記フィラー領域からはみ出した前記粒子モデルを削除した後に、隣接する前記粒子モデルを結合する工程を含んでもよい。
本発明のフィラーモデルの作成方法は、上記の構成を備えることにより、フィラーの外面を適切に表現したフィラーモデルを短時間で作成することが可能となる。
フィラーモデルの作成方法に用いられるコンピュータの一例を示す斜視図である。 フィラーモデルの作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)、(b)は、フィラー領域及びフィラー用仮想空間の一例を示す概念図である。 アモルファス構造モデルの一例を示す概念図である。 複数のアモルファス構造モデルが配置されたフィラー用仮想空間の一例を示す概念図である。 フィラーモデルの一例を示す概念図である。 本発明の他の実施形態のフィラーモデルの作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態のフィラーモデルの一例を示す断面図である。 ポリブタジエンの構造式である。 高分子材料のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 高分子材料モデルの一例を示す概念図である。 外面が規則的な階段状に形成されたフィラーモデルの一例を示す概念図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のフィラーモデルの作成方法(以下、単に「作成方法」ということがある。)では、フィラーの数値解析用のモデル(フィラーモデル)が作成される。この作成方法で作成されたフィラーモデルは、後述の高分子材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)に用いられる。本実施形態において、作成方法及びシミュレーション方法には、コンピュータが用いられる。
図1は、フィラーモデルの作成方法に用いられるコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成される。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられる。なお、記憶装置には、本実施形態の作成方法及びシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が、予め記憶されている。
フィラーは、例えば、シリカ、カーボンブラック及びアルミナ等である。本実施形態のフィラーは、球状である場合が例示される。フィラーは、例えば、球状の一次粒子が複数結合した凝集体や、それらが凝集した凝集塊として、高分子材料内に分散される。
図2は、フィラーモデルの作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の作成方法では、先ず、コンピュータ1に、フィラーが存在する領域であるフィラー領域17が入力される(工程S1)。フィラー領域17は、本実施形態の作成方法によって作成されるフィラーモデル10において、後述の粒子モデル11が配置されうる領域に対応するものである。図3(a)、(b)は、フィラー領域17及びフィラー用仮想空間6の一例を示す概念図である。
フィラー領域17の形状等については、適宜設定することができる。フィラー領域17の形状は、例えば、3DTEM観察によって特定された実際のフィラーの三次元構造に基づいて設定されてもよい。工程S1では、例えば、三次元構造を、縦、横及び高さがそれぞれ等間隔となるように分割した部分領域の集まりから、フィラーが存在する部分領域の組が全て選択され、かつ、それらの全体がフィラー領域17として入力されてもよい。なお、フィラー領域17は、連続した一つの塊である必要はなく、孤立した複数の凝集体や、凝集塊などの高次構造を含んでいてもよい。
図3に示されるように、本実施形態では、フィラー領域17が、一定の粒径を持つ1つ以上の一次粒子(一次粒子をモデリングした一次粒子モデル5)が配置されたものとして表される場合が例示される。図3(a)に示されるように、例えば、フィラーモデル10が1つの一次粒子モデル5で構成される場合、1つの球状の領域としてフィラー領域17が定義される。一方、図3(b)に示されるように、例えば、フィラーモデル10が複数の一次粒子モデル5で構成される場合、フィラー領域17は、複数の一次粒子を結合して構成された凝集体が、複数孤立して配置されたものとして定義される。
本実施形態のフィラー領域17は、図3に示した一次粒子モデル5の粒径D1と、各一次粒子モデル5の重心位置との組として入力される。このとき、フィラー領域17は、各一次粒子モデル5の重心からの距離が粒径D1の半分以下となる球状の領域を、全ての一次粒子モデル5について包含した領域として定義される。なお、フィラー領域17には、複数の一次粒子モデル5の球状の領域同士の重なりがあってもよい。このような場合は、それらの一次粒子モデル5同士が結合した凝集体とみなされる。なお、重なりが小さすぎる場合には、フィラー領域17に粒子モデル11を配置した後に、互いに結合する一次粒子モデル5、5間において、それらの粒子モデル11、11同士が隣接しない(離間している)という問題が発生しうる。このような問題を避けるために、結合した一次粒子モデル5、5同士の重なりの大きさ(厚み)は、粒子モデル11の直径よりも十分に大きいことが望ましい。
本実施形態のフィラーモデル10は、主として、図3(a)に示した1つの一次粒子モデル5で構成される場合が例示される。このため、工程S1では、フィラー用仮想空間6の内部に、1つの一次粒子モデル5からなるフィラー領域17が定義される。本実施形態のフィラー領域17には、球状の一次粒子モデル5の粒径D1と、及び、一次粒子モデル5の重心位置とが定義される。フィラー領域17は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1に、アモルファス構造モデル22が入力される(工程S2)。アモルファス構造モデル22は、後述のアモルファス用仮想空間19に、複数の粒子モデル11が不規則に配置された(充填された)ものである。図4は、アモルファス構造モデル22の一例を示す概念図である。
本実施形態の工程S2では、先ず、コンピュータ1に、アモルファス構造モデル22の内部に配置される粒子モデル(粗視化粒子モデル)11の直径D2が入力される。この直径D2に基づいて、粒子モデル11が適宜定義されうる。
本実施形態の粒子モデル11は、フィラーを構成する原子の集団を粗視化したものである。粒子モデル11は、後述の分子動力学計算において、運動方程式の質点として取り扱われる。即ち、粒子モデル11には、質量、体積、直径D2、電荷又は初期座標などのパラメータが定義される。粒子モデル11(直径D2)は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の工程S2では、コンピュータ1に、アモルファス用仮想空間19が入力される。アモルファス用仮想空間19は、例えば、周期境界条件が定義され、かつ、空間に隙間なく敷き詰めることができるような立体形状が、適宜定義される。
本実施形態のアモルファス用仮想空間19は、互いに向き合う三対のアモルファス用平面20、20を有する立方体として定義されている。各アモルファス用平面20には、周期境界条件が定義されている。したがって、アモルファス用仮想空間19は、一方のアモルファス用平面20と、反対側のアモルファス用平面20とが連続している(繋がっている)ものとして取り扱われる。
アモルファス用仮想空間19の一辺の長さ(アモルファス用長さ)Lcについては、適宜設定することができる。なお、アモルファス用長さLcが大きいほど、アモルファス用仮想空間19に配置される粒子モデル11の個数が増加し、アモルファス構造モデル22の作成時間が長くなる傾向がある。このため、アモルファス用長さLcは、フィラー用長さLa(図3(a)及び(b)に示す)の大きさの半分以下となるように、十分に小さい値に設定されるのが望ましい。これにより、工程S2で入力されるアモルファス構造モデル22の作成時間を短縮することができ、ひいては、フィラーモデル10の作成時間を短縮することができる。
一方、アモルファス用長さLcが短いほど、粒子モデル11を配置可能な個数が小さくなる。とりわけ、アモルファス用長さLcが極端に短い場合には、粒子モデル11を不規則に配置することが困難となる。この場合、後述のアモルファス構造モデルを配置する工程S4(図2に示す)において、このようなアモルファス構造モデル22が繰り返し(多数)並べられると、フィラーモデル10(図6に示す)の外面がより規則的になる場合がある。このような観点より、アモルファス構造の予め定められた充填率(例えば、60%~68%)において、粒子モデル11の個数が50個以上となるように、アモルファス用長さLcが十分に大きな値に設定されるのが望ましい。
このような値にアモルファス用長さLcが設定されることにより、アモルファス用長さLcが必要以上に小さくなるのを防ぐことができる。これにより、工程S2では、アモルファス用仮想空間19の内部に、粒子モデル11が不規則に配置されたアモルファス構造モデル22を作成することが容易となる。さらに、アモルファス構造モデル22が繰り返し並べられることに起因して、フィラーモデル10(図6に示す)の外面が規則性になる影響を、十分に小さくすることができる。
また、フィラー用平面7(図3(a)に示す)に周期境界条件が定義されている場合には、後述のアモルファス構造モデル22を配置する工程S4(図2に示す)において、アモルファス構造モデル22が一次元的に整数回並べられた集合体(フィラーモデル10)の大きさが、フィラー用長さLaに十分に近づくように、アモルファス用長さLcが設定されるのが望ましい。このため、アモルファス用長さLcには、フィラー用長さLaを、2以上の整数で除した値に設定されるのが望ましい。
次に、本実施形態の工程S2では、アモルファス用仮想空間19内に、複数の粒子モデル11が配置される。粒子モデル11の粒子数は、適宜定義される。粒子モデル11の粒子数は、例えば、アモルファス構造の充填率(例えば、60%~68%)となるように選ばれてもよい。
粒子モデル11は、適宜配置される。本実施形態では、先ず、粒子モデル11、11間の重なりを許して、アモルファス用仮想空間19に、複数の粒子モデル11がランダムに配置される。次に、本実施形態では、論文1(Kurt Kremer & Gary S. Grest 著「Dynamics of entangled linear polymer melts: A molecular-dynamics simulation」、J. Chem Phys. vol.92, No.8, 15 April 1990)に記載の式2.4の力場を用いて、体積一定の分子動力学計算が実施された後に、粒子モデル(粗視化粒子モデル)11、11間の重なりが除去される。
次に、本実施形態の工程S2では、論文1に記載されている式A1の力場を用いて、体積一定の分子動力学計算が実施される。そして、粒子モデル(粗視化粒子モデル)11の液体状態が作成され、さらに、同じ力場を用いてポテンシャルエネルギー最小化の計算が実施されることにより、粒子モデル11の配置が作成されうる。なお、上述の方法が用いられる代わりに、剛体球の分子動力学法やモンテカルロ法による計算が実施されることにより、粒子モデル11の配置が作成されてもよい。
分子力学計算(分子動力学計算)は、例えば(株)JSOL社製のソフトマテリアル総合シミュレーター(J-OCTA)に含まれるCOGNACを用いて処理することができる。
本実施形態の工程S2では、上記のような方法に基づいて、アモルファス用仮想空間19内に、複数の粒子モデル11が不規則に配置されることにより、アモルファス構造モデル22が入力される。アモルファス用仮想空間19及びアモルファス構造モデル22は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1に、フィラーモデルを作成するためのフィラー用仮想空間(仮想空間)6が入力される(工程S3)。図3に示されるように、本実施形態のフィラー用仮想空間6は、フィラー領域17の全体を含むように定義される。なお、フィラー用仮想空間6の形状や大きさについては、フィラー領域17の全体が含まれていれば、適宜定義されうる。
本実施形態のフィラー用仮想空間6は、例えば、フィラー領域17のx軸方向の長さ、y軸方向の長さ、及び、z軸方向の長さに、2つ分の一次粒子モデル5の粒径D1をそれぞれ足し合わせた長さを有する(すなわち、フィラー領域17のx座標、y座標及びz座標の上限値及び下限値それぞれを、一次粒子モデル5の粒径D1の幅だけ広げた)直方体の領域として定義されてもよい。また、フィラー領域17の一次粒子モデル5が配置されている座標系に、周期境界条件が課されている場合には、周期境界条件の課された座標系全体が、フィラー用仮想空間6として定義されてもよい。この時、フィラー領域17の入力と共に、フィラー用仮想空間6を定義するために必要な周期境界条件が入力されてもよい。
本実施形態のフィラー用仮想空間6は、互いに向き合う三対の平面7、7を有する立方体として定義されている場合が例示される。各平面7には、周期境界条件が定義されている。したがって、フィラー用仮想空間6は、一方の平面7と、反対側の平面7とが連続している(繋がっている)ものとして取り扱われる。
フィラー用仮想空間6の一辺の長さ(フィラー用長さ)Laについては、適宜設定することができる。本実施形態のフィラー用長さLaは、フィラー領域17の全体を含みつつ、体積が可能な限り小さくなるように設定されるのが望ましい。これにより、フィラー領域17に後述の粒子モデル11が隙間なく充填され、さらに、後述の工程S4において、アモルファス構造モデル22(図4に示す)の配置に要する時間を小さくすることができる。フィラー用仮想空間6は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1が、フィラー用仮想空間6の内部に、複数のアモルファス構造モデル22を配置する(工程S4)。工程S4では、フィラー領域17に粒子モデル11が充填されるように、複数のアモルファス構造モデル22が配置される。図5は、複数のアモルファス構造モデル22が配置されたフィラー用仮想空間6の一例を示す概念図である。
本実施形態の工程S4では、先ず、フィラー用仮想空間6において、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向のそれぞれに、アモルファス構造モデル22を繰り返し配置する回数Nが決定される。回数Nについては、フィラー領域17に粒子モデル11が充填されれば、適宜決定されうる。回数Nは、例えば、フィラー用長さLaを、アモルファス用長さLcで除した値について、四捨五入(小数点以下を四捨五入)することで得られる。アモルファス構造モデル22を分割することなく配置するために、回数Nは、2以上の整数であるのが望ましい。なお、得られた回数Nが、2以上の整数でない場合には、アモルファス用長さLcなどの値が変更された後に、これまでの工程S2~S4が再度実施されてもよい。回数Nは、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の工程S4では、コンピュータ1が、フィラー用仮想空間6において、
x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向のそれぞれに、アモルファス構造モデル22が繰り返し配置される。本実施形態では、決定された回数N(図5では、回数N=3)に基づいて、アモルファス構造モデル22の配置が決定される。フィラー用仮想空間6の内部において、各アモルファス構造モデル22に含まれる各粒子モデル11の座標を示す3次元ベクトルRi(ix,iy,iz)は、以下の式(1)で定義される。
Figure 2022139140000002

ここで、式(1)の変数は、以下のとおりである。
:フィラー用長さ
:アモルファス用長さ
N:回数
i:各アモルファス構造モデル22に含まれるi番目の粒子モデル11について、アモルファス用仮想空間19内での座標を示す3次元ベクトル
x:x方向の単位ベクトル(1,0,0)
y:y方向の単位ベクトル(0,1,0)
z:z方向の単位ベクトル(0,0,1)
上記の式(1)において、Ri(ix,iy,iz)は、フィラー用仮想空間6においてx軸方向のix番目、y軸方向のiy番目、及び、z軸方向のiz番目に配置されたアモルファス構造モデル22について、そのアモルファス構造モデル22のi番目の粒子モデル11の座標の3次元ベクトルを示している。
本実施形態では、上記の式(1)の3次元ベクトルRi(ix,iy,iz)に基づいて、粒子モデル11の座標が決定されることにより、フィラー用仮想空間6の内部(、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向)に繰り返し並べられたアモルファス構造モデル22の配置を決定することができる。
上記の式(1)にしたがって、アモルファス構造モデル22は、回数Nとアモルファス用長さLcとの積で、フィラー用長さLaを除した値に等しい倍率に基づいて、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のそれぞれの方向に拡大または縮小される。これにより、回数Nが算出される際に行われる四捨五入に起因する「ズレ」が補正されるため、アモルファス構造モデル22が、フィラー用仮想空間6にほぼ隙間なく並べられる。
本実施形態の作成方法では、図4に示したフィラー用仮想空間6よりも小さいアモルファス用仮想空間19において、粒子モデル11のアモルファス構造モデル22が入力されている。このため、本実施形態では、例えば、アモルファス用仮想空間19よりも大きなフィラー用仮想空間6において、粒子モデル11のアモルファス構造モデル(図示省略)が計算される場合に比べて、アモルファス構造モデル22の作成対象の粒子モデル11の粒子数を少なくすることができる。なお、本実施形態のように、アモルファス構造モデル22を繰り返し配置する計算は、分子動力学計算などに比べて、計算時間が無視できるほど小さい。このため、本実施形態の工程S4では、計算時間を大幅に短縮することができる。複数のアモルファス構造モデル22が配置されたフィラー用仮想空間6は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1が、フィラー領域17(図5で二点鎖線で示す)からはみ出した粒子モデル11を削除して、フィラーモデル10(図6に示す)を作成する(工程S5)。粒子モデル11がフィラー領域17からはみ出しているか否かの判断は、適宜定義することができる。本実施形態では、粒子モデル11の一部が、フィラー領域17の外側に存在する場合に、粒子モデル11がフィラー領域17からはみ出していると判断される。このような判断の具体例としては、粒子モデル11の中心座標がフィラー領域17の外側に存在する場合や、粒子モデル11の中心座標と、フィラー領域17の外面との最短距離が、粒子モデル11の直径D2(図4に示す)を、2で除した値よりも小さい場合に、粒子モデル11が、はみ出していると判断されてもよい。
本実施形態の工程S5では、フィラー領域17からはみ出した粒子モデル11が削除されることにより、フィラー領域17に充填された粒子モデル11に基づいて、一次粒子モデル5が定義されたフィラーモデル10が作成される。図6は、フィラーモデル10の一例を示す概念図である。フィラーモデル10は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1が、隣接する粒子モデル11、11を結合する(工程S6)。本実施形態の工程S6は、フィラー領域17(図5に示す)からはみ出した粒子モデル11を削除した後に実施される。
本実施形態の工程S6では、予め定められた距離(以下、単に「結合距離」ということがある。)以下で隣接している粒子モデル11、11が結合されている。結合距離は、適宜設定されうる。本実施形態の結合距離は、例えば、粒子モデル11の直径D2(図4に示す)の1.0~1.5倍(本例では、1.1倍)の範囲で設定されうる。
本実施形態の工程S6では、図6に示されるように、結合距離以下で隣接する粒子モデル11、11が、結合鎖モデル8によって結合される。これにより、工程S6では、複数の粒子モデル11を結合したフィラーモデル10が作成される。このようなフィラーモデル10は、結合鎖モデル8によって、その剛性を高めることができる。フィラーモデル10は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態の作成工程では、結合鎖モデル8を用いて、粒子モデル11、11が結合されたフィラーモデル10が作成されたが、このような態様に限定されない。例えば、工程S6が省略されて、粒子モデル11、11が結合されていないフィラーモデル10が作成されてもよい。この場合、フィラーモデル10を構成する全ての粒子モデル11の座標が固定されてもよいし、例えば、凝集体ごとに剛体とする等の拘束条件が定義されてもよい。
本実施形態の作成方法では、結晶格子状に配列された上記の特許文献1のフィラー粒子モデル(すなわち、本実施形態の粗視化粒子モデル)とは異なり、フィラーモデル10の粒子モデル11が、不規則なアモルファス(非晶質)状に配置されている。これにより、本実施形態の作成方法では、フィラーモデル10の外面が、図6で示されるように不規則となり、図12に示されるような規則的な階段状に形成されるのを防ぐことができる。なお、実際のフィラーの外面は、例えば、焼結法や沈降法で製造されたシリカの場合、図12のような規則的な階段状に形成されていない。したがって、本実施形態の作成方法では、実際のフィラーの外面が適切に表現されたフィラーモデル10の作成が可能となる。
次に、本実施形態の作成方法では、作成されたフィラーモデル10を分子動力学計算に用いるために、粒子モデル11、11の間に、分子動力学計算用の力場(図示省略)が設定されてもよい(工程S7)。力場としては、例えば、論文1に記載されている下記式(2)と、カットオフ距離rc=21/6σとで粒子モデル11、11間の斥力が表されるLJポテンシャルと、下記式(3)で粒子モデル11、11間の結合が示される結合ポテンシャルとが用いられてよい。
Figure 2022139140000003

ここで、式(2)の変数は、次のとおりである。
r:粒子モデル11、11の中心間の距離
ε:ポテンシャルエネルギーの大きさに関するパラメータ
σ:粗視化シミュレーションに用いられる大きさに関するパラメータ
c:カットオフ距離rc
Figure 2022139140000004

ここで、式(3)の変数は、次のとおりである。
r:粒子モデル11、11の中心間の距離
k:ポテンシャルエネルギーの大きさに関するパラメータ
0:伸びきり長
本実施形態では、フィラーモデル10の隣接する粒子モデル11、11の間の距離が、いずれも直径D2(図4に示す)に近づくように作成されている。また、直径D2は、カットオフ距離rc=21/6σ=約1.122σに等しく設定されている。このため、結合鎖モデル8に、上記式(3)で示される結合ポテンシャルがそのまま用いられると、上記式(3)の結合ポテンシャルが用いられる前の結合長が約1.122σであるのに対して、結合ポテンシャルの平衡長が約0.961σとなるため、分子動力学計算によって緩和が起こり、フィラーモデル全体が縮む場合がある。この問題を回避するために、結合ポテンシャルの平衡長がカットオフ距離rcと等しくなるように、粒子モデル11、11間の結合ポテンシャルが調整されてもよい。例えば、粒子モデル11、11間の結合ポテンシャルのパラメータσ(ULJ(r)の項)及び伸びきり長R0が、ともに1.168倍されてもよい。
ところで、後述のシミュレーション方法では、図6に示したフィラーモデル10を構成する全ての粒子モデル11を対象に、分子動力学計算が実施される。このため、粒子モデル11の充填率(個数)が大きいと、計算時間が増大する傾向がある。したがって、作成方法には、粒子モデル11の充填率が小さくなるように、フィラーモデル10が改造されてもよい。図7は、本発明の他の実施形態のフィラーモデルの作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8は、本発明の他の実施形態のフィラーモデル10の一例を示す断面図である。図8では、フィラー用仮想空間6が省略して示されている。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の作成方法では、フィラーモデル10の内部の粒子モデル11の充填率が、フィラーモデル10の外層21の粒子モデル11の充填率よりも小さくなるように、フィラーモデル10が改造されている。この改造する工程として、フィラーモデル10を中空にする工程S8と、中空とされたフィラーモデル10の内部に、アモルファス構造よりも充填率が低い結晶構造の粒子モデル11を充填する工程S9とが含まれる。
工程S8では、フィラーモデル10の外層21の粒子モデル11を維持したまま、外層21の内部の粒子モデル11が削除される。この実施形態では、フィラー用仮想空間6内の粒子モデル11のうち、外層21に含まれていない全ての粒子モデル11が削除されている。
外層21は、適宜定義されうる。この実施形態の外層21は、フィラー領域17の外面から内側に向けて、予め定められた厚さr1以内の領域として定義される。厚さr1は、適宜定義されうる。この実施形態の厚さr1は、一次粒子モデル5の粒径D1(図3(a)に示す)の5%~20%(本例では、10%)に設定される。
外層21に含まれるか否かの判断は、適宜行われうる。この実施形態では、粒子モデル11の少なくとも一部が外層21の外側に存在する場合に、外層21に含まれないと判断される。より具体的には、粒子モデル11の中心座標が外層21の外側に存在する場合、又は、粒子モデル11の中心座標と外層21の外面との最短距離が、粒子モデル11の直径D2(図4に示す)を、2で除した値よりも小さい場合に、外層21に含まれないと判断される。
工程S9では、フィラーモデル10の外層21の内部の領域に、アモルファス構造よりも充填率が低い(小さい)結晶構造の粒子モデル11が充填される。結晶構造は、外層21の充填率(例えば、60%~68%)よりも小さいものであれば、適宜採用されうる。この実施形態では、ダイヤモンド構造(充填率が34%)が採用される。
この実施形態の作成方法では、外層21を構成する粒子モデル11のアモルファス(非晶質)状の配列が維持しされるため、これまでの実施形態と同様に、フィラーの外面をより適切に表現できるフィラーモデル10を作成することができる。さらに、この実施形態の作成方法では、フィラーモデル10全体の強度の低下を抑えながら、フィラーモデル10の内部の粒子モデル11の充填率を小さくできるため、後述のシミュレーション方法において、計算対象の粒子モデル11の個数を小さくすることができる。したがって、この実施形態の作成方法は、後述のシミュレーション方法(分子動力学計算)において、計算精度を維持しつつ、計算時間を短縮することが可能となる。
この実施形態では、フィラーモデル10の内部に充填される結晶構造について、隣接する粒子モデル11が結合鎖モデル8(図6に示す)によって結合されてもよい。さらに、結晶構造を構成する粒子モデル11と、外層21を構成する粒子モデル11とが、結合鎖モデル8によって結合されてもよい。これにより、フィラーモデル10の強度の低下を抑えながら、フィラーモデル10の内部の粒子モデル11の数を減少させることができる。
次に、上述の作成方法で取得されたフィラーモデル10を用いた高分子材料のシミュレーション方法が説明される。本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1を用いて、フィラーと高分子成分とを含む高分子材料の性能が計算される。
高分子成分には、例えば、天然ゴム、合成ゴム及び樹脂等が含まれる。本実施形態の高分子成分としては、cis-1,4ポリブタジエン(以下、単に「ポリブタジエン」ということがある)が例示される。図9は、ポリブタジエンの構造式である。
ポリブタジエンを構成する分子鎖12は、メチレン基(-CH-)とメチン基(-CH-)とからなるモノマー13{-[CH-CH=CH-CH]-}が、重合度nで連結されて構成されている。また、高分子材料の末端には、メチレン基(-CH)に替えて、メチル基(-CH)が連結される。なお、高分子成分には、ポリブタジエン以外のものが用いられてもよい。また、フィラーは、上述のとおりである。図10は、高分子材料のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、高分子材料(図示省略)の一部に対応する仮想空間であるセルが入力される(工程S10)。図11は、高分子材料モデルの一例を示す概念図である。図11では、フィラーモデル10及び分子鎖モデル15の一部のみが代表して示されている。
セル14は、後述する分子動力学計算において、計算対象となる領域である。本実施形態のセル14は、例えば、図3(a)に示したフィラー用仮想空間6と同様に設定されうる。セル14の内部には、少なくとも一つのフィラーモデル10、及び、複数の分子鎖モデル15が配置される。
セル14の一辺の長さLbは、適宜設定することができる。本実施形態の長さLbは、後述の分子鎖モデル15の拡がりを示す量である慣性半径(図示省略)の3倍以上が望ましい。これにより、セル14は、分子動力学計算において、周期境界条件のために周期的に並ぶ自分自身(イメージ)との衝突の発生を防いで、分子鎖モデル15の空間的拡がりを適切に計算することができる。また、セル14の大きさは、例えば1気圧で安定な体積に設定される。これにより、セル14は、解析対象の高分子材料の少なくとも一部の体積を定義することができる。セル14は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、高分子材料の分子鎖12(図9に示す)をモデル化した分子鎖モデル15が入力される(工程S11)。本実施形態の分子鎖モデル15は、粗視化分子モデルとして定義される。
分子鎖モデル15は、分子鎖12(図9に示す)を構成する原子の数よりも少ない複数の粒子16を用いて表現されている。これらの粒子16、16は、結合鎖(図示省略)によって結合されている。本実施形態の分子鎖モデル15は、Kremer-Grestモデルである場合が例示されるが、特に限定されるわけではない。分子鎖モデル15は、例えば、DPD(散逸粒子動力学法)に基づくモデル等であってもよい。
本実施形態の各粒子16は、例えば、図9に示した分子鎖12のモノマー13に対応している。分子鎖12がポリブタジエンである場合には、例えば、1.10個分のモノマー13を構造単位として、該構造単位が1個の粒子16に置換される。これにより、本実施形態の分子鎖モデル15には、複数(例えば、10~5000個)の粒子16が設定される。粒子16は、後述の分子動力学計算において、運動方程式の質点として取り扱われる。即ち、粒子16には、質量、直径、電荷又は初期座標などのパラメータが定義される。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータ1に記憶される。
結合鎖(図示省略)は、粒子16、16間に平衡長を定義した結合ポテンシャルとして定義される。ここで、「平衡長」とは、結合ポテンシャルの値が最も小さくなるような粒子16、16間の結合距離として定義される。また、結合鎖(図示省略)の結合ポテンシャルは、例えば、上述の論文1に基づいて設定することができる。このような分子鎖モデル15は、高分子材料を分子動力学計算で取り扱うための数値データであり、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、フィラーモデル10を取得する(工程S12)。工程S12では、上述の作成方法の処理手順が実施されることにより、少なくとも1つのフィラーモデル10が取得される。フィラーモデル10は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、セル14の内部に、分子鎖モデル15と、フィラーモデル10とを配置する(工程S13)。本実施形態の工程S13では、先ず、セル14の内部に、フィラーモデル10が配置される。フィラーモデルを配置する位置については、適宜設定することができる。例えば、高分子材料の電子線透過画像において、フィラーが配されている領域に、フィラーモデル10が配置されてもよい。これにより、工程S13では、実際の高分子材料でのフィラーの相対位置に基づいて、セル14の内部に、フィラーモデル10を配置することができる。
次に、工程S13では、フィラーモデル10が配置されていない領域に、複数の分子鎖モデル15が配置される。これにより、工程S13では、実際の分子鎖12の分布に近似させて、分子鎖モデル15をセル14内に配置することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、隣接する分子鎖モデル15、15の粒子16、16間、及び、分子鎖モデル15の粒子16とフィラーモデル10の粒子モデル11との間に、引力及び斥力が作用するポテンシャルP3が定義される(工程S14)。このポテンシャルP3としては、上記の特許文献1に記載の斥力が表されるLJポテンシャルが採用される。LJポテンシャルの各変数は、例えば、上述の論文1に基づいて適宜設定することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、分子鎖モデル15とフィラーモデル10とを対象に、分子動力学計算を行う(工程S15)。分子動力学計算では、例えば、セル14について所定の時間、フィラーモデル10の粒子モデル11、及び、分子鎖モデル15の粒子16が古典力学に従うものとして、ニュートンの運動方程式が適用される。そして、各時刻での粒子モデル11及び粒子16の動きが、単位時間毎に追跡される。
工程S15では、先ず、分子鎖モデル15の構造緩和が計算される。この場合、セル14において、圧力及び温度が一定、又は、体積及び温度が一定に保たれる。この構造緩和の計算されることにより、工程S15では、高分子材料(図示省略)をモデル化した高分子材料モデル18が作成される。
次に、本実施形態の工程S15では、作成された高分子材料モデル18の変形計算(例えば、伸長変形)が行われる。そして、高分子材料モデル18の変形計算によって取得される物理量(例えば、応力など)が、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態のシミュレーション方法では、フィラーのミクロ構造に近似させた表面構造を有するフィラーモデル10が用いられるため、フィラーの表面構造が高分子材料(分子鎖モデル15)の物性に与える影響を精度良く評価することができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法では、高分子材料モデル18の変形計算による物理量を、精度良く計算することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、高分子材料モデル18の物性が、良好か否かが判断される(工程S16)。良好か否かの判断は、高分子材料に求められる強度や耐久性等に基づいて適宜実施される。
工程S16において、物性が良好である場合(工程S16で、「Y」)、例えば、フィラー及び分子鎖12(図9に示す)の構造に基づいて、高分子材料が製造される(工程S17)。製造された高分子材料は、例えば、タイヤ等の工業製品の製造に利用される。一方、工程S16において、物性が良好でない場合(工程S16で、「N」)、フィラー及び分子鎖12の少なくとも一方の構造等を変更して(工程S18)、工程S10~工程S16が再度実施される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法では、良好な物性を有する高分子材料、及び、その高分子材料を利用した工業製品を製造することが可能となる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した処理手順に基づいて、フィラーの数値解析用のモデルが作成された(実施例1)。さらに、図7に示した処理手順に基づいて、フィラーの数値解析用のモデルが作成された(実施例2)。実施例2では、実施例1とは異なり、フィラーモデルの内部の粒子モデルの充填率が、フィラーモデルの外層の粒子モデルの充填率よりも小さくなるように、フィラーモデルを改造する工程が実施された。実施例2において、フィラーモデルの内部の粒子モデルの結晶構造は、ダイヤモンド構造である。
実施例1及び実施例2の計算時間に対する比較のために、アモルファス構造モデルを用いることなく、フィラー用仮想空間の内部に配置された粒子モデルを対象に、分子動力学計算による構造緩和が計算されることにより、フィラーモデルが作成された(比較例1)。比較例1では、構造緩和後の粒子モデルについて、フィラー領域の外部の粒子モデルが除去されて、隣接する粒子モデル間が結合された。
さらに、フィラー表面構造の比較のために、上記の特許文献1と同様に、複数の粒子モデルが、面心立方格子状等の結晶格子状に配列された後に、球状の一次粒子1つに相当するフィラー領域の外部に配置された粒子モデルが削除されて、フィラーモデルが作成された。図12は、比較例2のフィラーモデルの一例を示す概念図である。
そして、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2について、フィラーモデルの作成に必要な時間が求められた。さらに、図10に示した処理手順に基づいて、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のフィラーモデルを用いたシミュレーションが実施され、シミュレーションに要する時間が求められた。共通仕様は、次のとおりである。
フィラーモデル(実施例2の改造工程前):
一次粒子モデルの個数:1個
粒子モデルの個数:10,000個
アモルファス構造モデル:
粒子モデルの個数:80個
フィラー用仮想空間の長さLa:32.3σ
フィラーの体積充填率:30%
アモルファス構造モデルの構造緩和計算:
単位時間:0.001τ
論文1の式2.4に示されるポテンシャルでの構造緩和計算
ステップ数:10,000ステップ
論文1の式A1に示されるLJポテンシャルでの構造緩和計算
ステップ数:10,000ステップ
上記のLJポテンシャルでのポテンシャルエネルギー最小化
ステップ数:1,000ステップ以内
高分子材料モデルの構造緩和計算:
単位時間:0.006τ
ステップ数:1,000,000ステップ
テストの結果、実施例1及び実施例2のフィラーモデルの作成に要した時間は、比較例1のフィラーモデルの作成に要した時間の0.3%であった。したがって、実施例1及び実施例2は、フィラーモデルを短時間で作成することができた。
さらに、実施例2は、フィラーモデルの内部の粒子モデルの充填率を、フィラーモデルの外層の粒子モデルの充填率よりも小さくできるため、実施例1及び比較例1に比べて、シミュレーションの計算時間を89%に短縮することができた。
また、実施例1及び実施例2のフィラーモデルの外面は、図12に示した比較例2のような規則的な階段状に形成されるのを防ぐことができており、フィラーの外面をより適切に表現できるフィラーモデルを作成することができた。このような実施例1及び実施例2のシミュレーションでは、比較例2のシミュレーションに比べて、本来のフィラーで生じる挙動を精度良く再現することができた。
S1 フィラー領域を入力する工程
S2 アモルファス構造モデルを入力する工程
S3 フィラー用仮想空間を入力する工程
S4 フィラー用仮想空間の内部に複数のアモルファス構造モデルを配置する工程
S5 フィラー領域からはみ出した粒子モデルを削除する工程

Claims (4)

  1. フィラーの数値解析用のフィラーモデルを作成するための方法であって、
    コンピュータに、前記フィラーが存在する領域であるフィラー領域を入力する工程と、
    前記コンピュータに、複数の粒子モデルが不規則に配置されたアモルファス構造モデルを入力する工程とを含み、
    前記コンピュータが、
    前記フィラー領域全体を含むフィラー用仮想空間を定義する工程と、
    前記フィラー用仮想空間の内部に、複数の前記アモルファス構造モデルを配置する工程と、
    前記フィラー領域の外部に存在する前記粒子モデルを削除して、前記フィラーモデルを作成する工程とを含む、
    フィラーモデルの作成方法。
  2. 前記フィラーモデルを作成する工程の後に、前記コンピュータが、前記フィラーモデルの内部の前記粒子モデルの充填率が、前記フィラーモデルの外層の前記粒子モデルの充填率よりも小さくなるように、前記フィラーモデルを改造する工程をさらに含む、請求項1に記載のフィラーモデルの作成方法。
  3. 前記フィラーモデルを改造する工程は、前記フィラーモデルの外層の充填率よりも小さい結晶構造に基づいて、前記フィラーモデルの内部の前記粒子モデルを配置する工程を含む、請求項2記載のフィラーモデルの作成方法。
  4. 前記フィラーモデルを作成する工程は、前記フィラー領域からはみ出した前記粒子モデルを削除した後に、隣接する前記粒子モデルを結合する工程を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載のフィラーモデルの作成方法。
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