JP4964642B2 - 回転刃具の固定装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、スピンドルのねじ軸部に締め付ける固定ナットに格納式のレバー部を設け、このレバー部を把持して大きなトルクで当該固定ナットをスピンドルのねじ軸部に対して締め込むことができ、これにより作業者は例えばスパナ等の特別の工具を用いることなく回転刃具をスピンドルに対して強固に固定できる。締め付け完了後にはレバーを固定ナットからはみ出さない状態に格納しておくことにより回転刃具の回転動作に支障を来さないようになっている。また、固定ナットを緩める場合にも、このレバーを取り出して大きなトルクで当該固定ナットを緩め方向に回転することができるので、この場合も作業者は特別の工具を用いることなく手で固定ナットを緩めて回転刃具を取り外すことができる。
また、後者の特許文献2に記載された技術は、切断機本体のスピンドルに対して鋸刃を固定するための固定ナットであって、大きなトルクで締め付け、緩めることができる固定ナットであるものの、その径方向若しくは厚さ方向にコンパクト化を図る技術については何ら開示されていない。
本発明は、使用者が手で回転操作する固定装置において、大きなトルクで締め付け、あるいは緩めることができるとともに、その径方向若しくは厚さ方向にコンパクト化を図って、例えば携帯丸鋸におけるいわゆる傾斜切り時の切り込み深さが十分に確保されるようにすることを目的とする。
第1の発明は、回転工具のスピンドルに回転刃具を固定するための装置であって、回転刃具を挟むアウタフランジとインナフランジと、スピンドルのねじ孔に締め込まれるねじ軸部とこのねじ軸部の頭部側から周囲に張り出してアウタフランジの外面側に押圧されるねじフランジ部を有するねじ本体を備え、ねじフランジ部は、アウタフランジ部側が大径となる円錐台形状を有し、かつその外面に、表裏反転方向に回動させて収納位置と使用位置との間を回動操作可能な操作レバーを備え、この操作レバーは、収納位置に回動されると、円錐台形状の外面に設けたレバー収納凹部内に収納されてその先端側を当該ねじフランジ部の周縁からはみ出さない状態に収納され、使用位置に回動されるとその先端側を当該ねじフランジ部の周縁から放射方向へ突き出した状態となる固定装置である。
第1の発明によれば、ねじ本体をその径方向及び厚さ方向について大型化することなく操作レバーを備えていることから、例えば既存の携帯丸鋸に適用した場合に、その傾斜切り作業時における携帯丸鋸本体の傾斜角度を維持しつつ鋸刃の十分な切り込み深さを確保することができ、これに加えてツールレスクランプ(工具不要な固定装置)としての機能を持たせることができる。
すなわち、固定装置の操作レバーは、その使用位置に取り出し、これを経てねじ本体にトルクを付加することにより当該ねじ本体に大きな回転力を付加することができるため、特別の工具を用いることなくねじ本体を強固に締め付けることができる。
また、ねじフランジ部は円錐台形状を有しており、操作レバーはこのねじフランジ部の周縁からはみ出さない状態に収納されるため、当該回転工具が鋸刃を有する本体部と、この本体部を傾動可能に支持するベースを備えた携帯丸鋸である場合に、当該固定装置がベースに対して干渉しない範囲で本体部をベースに対して傾斜させて鋸刃を一定角度に傾斜させつつ鋸刃のベース下面側への突き出し寸法すなわち切り込み深さを十分に確保することができる。
以上のことから、第1の発明に係る固定装置を既存の携帯丸鋸に用いることにより、その傾斜切り時の切り込み深さを犠牲にすることなくツールレス機能を追加することができる。
ねじフランジ部の外形形状については、厳密(正確)に円錐台形状である必要はなく、要は先端側が細径となるテーパ形のねじフランジ部であれば、回転工具を傾斜させた場合に当該固定装置と他部位との干渉を回避できる結果、当該回転工具の傾斜角度を大きく設定することができる。
第2の発明によれば、操作レバーはレバー収納凹部に収納されると、正面から見ても、側方から見てもねじフランジ部の周縁からはみ出さない状態に収容されることから、当該固定装置をその厚さ方向及び径方向にコンパクトに構成することができ、これにより回転工具本体の傾斜角度を大きく設定することができる。
第3の発明は、第2の発明において、操作レバーは、収納位置側に付勢された固定装置である。
第3の発明によれば、使用者は操作レバーを付勢力に抗してレバー収納凹部からその使用位置に取り出すことができ、使用位置に取り出した操作レバーは使用者が離せば自動的にレバー収納位置に戻される。この点で、当該固定装置の使い勝手をよくすることができる。
第4の発明は、第1の発明において、ねじフランジ部とアウタフランジとの間に両者間の回転方向の摩擦抵抗を低減するための摩擦低減部材を介在させた固定装置である。
第4の発明によれば、操作レバーを経てねじ本体に付加したねじ締め方向又はねじ緩め方向の回転トルク(回転操作力)が効率よくねじ軸部に付加される。すなわち、使用者がねじ本体に加えた回転トルクが、ねじフランジ部とアウタフランジとの摩擦抵抗(回転抵抗)に費やされず、そのほぼ全てがねじ軸部に付加される。この点で、ねじ軸部を締め付け、あるいは緩めるために必要な回転トルクを小さくすることができ、従って必要な回転操作力をより一層小さくすることができる。
図1において符号4は、切断材Wに当接させるベースを示している。このベース4の上面にブレードケース3が支持されており、鋸刃2の下部側はこのベース4の下面側に突き出されている。この突き出し部分によって切断材が切断される。ブレードケース3はベースに対して上下に傾動可能に支持されており、これにより鋸刃の突き出し寸法を変更して切断材に対する切り込み深さを調整できるようになっている。また、ブレードケース3は、ベース4に対して切断方向左右(紙面に交差する方向)に傾動可能に支持されている。通常、鋸刃2の上部側を手前側(切断進行方向に向かって右側)に変位させる方向にブレードケース3を傾動させることにより、いわゆる傾斜切りを行うことができる。これら切り込み深さ調整機構及び傾斜切り機構についても従来公知の技術が用いられている。
インナフランジ12にはボス部12aが設けられている。このボス部12aが鋸刃2の取り付け孔2a内にがたつきなく挿入されている。
ねじ本体20は、スピンドル5のねじ孔5aに締め込まれるねじ軸部21と、このねじ軸部21の頭部側(図3において左端部側)から周囲に張り出すねじフランジ部22を備えている。
ねじフランジ部22は、アウタフランジ11側が大径となる方向に外周面(円錐面)が傾斜する円錐台形状を有している。このねじフランジ部22の外面側には、支軸23を介して操作レバー24が回動操作可能に支持されている。支軸23の周囲であって操作レバー24とねじフランジ部22との間には捩りばね25が介装されている。この捩りばね25によって操作レバー24が後述する収納位置(図2及び図3に示す位置)側に付勢されている。
ねじフランジ部22の外面には、レバー収容凹部30が設けられている。図3に示すように操作レバー24はその収納位置に位置する状態では、レバー収容凹部30内に収容されて円錐面22aからほぼはみ出さない状態となる。これに対して図5に示すように操作レバー24は捩りばね25に抗してその使用位置に取り出すと、その大部分がレバー収納部30からはみ出して、当該ねじフランジ部22から放射方向は大きく突き出した状態となる。使用者が指先で操作レバー24を捩りばね25に抗して使用位置に取り出し、この使用位置に取り出し状態において指先を離すと操作レバー24は捩りばね25によって収納位置に戻される。
操作レバー24は、当該ねじフランジ部22の円錐台形状に合わせて概ね山形(V形)に屈曲した形状を有しており、その屈曲先端部付近に断面山形(V形)の受け台座部24bを備えている。図5に示すようにこの受け台座部24bは、当該操作レバー24を使用位置に取り出すと、レバー収納凹部30の底部に形成された概ね山形(V形)の受け凹部30a内にぴったりと嵌り込む。これにより、使用位置に取り出した操作レバー24に対して付加される取り出し方向の外力(図5において白抜きの矢印で示す方向の押し力)がねじフランジ部22で受けられる。
また、操作レバー24の幅寸法は、レバー収納凹部30の幅寸法に対してがたつきなく収容可能は幅寸法に設定されている。このため、図4に示すように操作レバー24を使用位置に取り出した状態では、その当該操作レバー24がレバー収納凹部30内に幅方向にがたつきなく嵌り込んだ状態となる。このため、使用位置に取り出した状態の操作レバー24に対してねじ回転方向の外力(図4において白抜きの矢印で示す方向)が付加された場合に、これがレバー収納凹部30の両側部で受けられ、支軸23側への付加が低減されている。
また、金属カバー43は保持リング42に沿った円環形状を有しており、その側面には、上記アウタフランジ11の転動溝11aに対向して転動溝43aが設けられている。各鋼球41は、この転動溝43a内にも嵌り込んでいる。アウタフランジ11の転動溝11aと金属カバー43の転動溝43aとの間に各鋼球41が転動可能な状態で挟み込まれている。
また、金属カバー43の内周面には係合溝43cが全周にわたって形成されている。この係合溝43cに対向して、アウタフランジ11のボス部11cの外周にも係合溝11bがその全周にわたって形成されている。金属カバー43の係合溝43cと、アウタフランジ11の係合溝11bとの両者に跨ってゴムリング44が装着されている。このゴムリング44を介してアウタフランジ11のボス部11cの外周側に金属カバー43が保持され、ひいては当該摩擦低減部材40が保持されている。
ねじ本体20のスピンドル5に対する締め付け、緩め動作に伴ってそのねじフランジ部22をアウタフランジ11に対して相対回転させる際に、各鋼球41が転動溝11aに沿って転動されることにより、両者間22,11の摩擦(相対回転抵抗)が大幅に低減され、これにより当該ねじ本体20を小さな操作力でスピンドル5のねじ孔5aに強固に締め付けることができ、また逆に緩めることができる。
このように操作レバー24の重心Gの位置を設定したことにより、鋸刃2の高速回転に伴って発生する遠心力が当該操作レバー24を収納位置に保持する方向(図7において白抜きの矢印で示す時計回り方向)の力として作用することから、プランジャ等の保持手段を別途設けることなく当該操作レバー24を確実に収納位置に保持しておくことができ、これにより鋸刃2の高速回転に伴う操作レバー24の不用意な起立方向(使用位置側)への回動(浮き上がり)を確実に防止することができる。
また、ねじフランジ部22よりも外周側に突き出す操作レバー24を用いてねじ本体20を緩め方向に回転させることができるので、使用者は小さな操作力で大きなトルクをねじ本体22に加えて緩めることができ、これにより鋸刃2の交換作業等を楽に行うことができる。
また、本実施形態の固定装置10によれば、ねじ本体20のねじフランジ部22が円錐台形状の外形を備え、かつこの円錐台形状をなすねじフランジ部22の内側にアウタフランジ11がほぼ収容された状態に配置されて、当該固定装置10の鋸刃2からの突き出し寸法が従来よりも小さくなっているとともに、その全体形状としてほぼ円錐台形状を有している。
図8には、例示した本実施形態に係る固定装置10のアウタフランジ11とは異なって比較的厚さ寸法が大きな円柱体形状のアウタフランジ及びその他の部材によりその全体形状として円柱体形状部51の厚さT1が大きい固定装置50が示されている。この固定装置50の場合、仮に鋸刃2からの突き出し寸法T0及び径方向の寸法が本実施形態に係る固定装置10と同じであっても、図中二点鎖線で示すように本実施形態に係るねじフランジ部22の円錐面22aからの突き出し量が大きくなるため、これに相当する分だけねじ軸線J(鋸刃2の回転中心)のベース4からの芯高さを大きくして傾斜切り時の傾斜角度50°を確保する必要があり、従って鋸刃2の切り込み深さK1は、本実施形態の固定装置10による場合の切り込み深さK0よりも小さくなる。
逆に、操作レバーを用いることにより使用者は小さな力でねじ本体を緩め方向に回転させることができ、これにより回転刃具の交換作業を楽に行うことができるようになる。
しかも、ねじフランジ部22に収納凹部30が設けられ、この収納凹部30内に操作レバー24が収納されて、当該ねじフランジ部22の外面(円錐面)からほぼはみ出ない構成であるので鋸刃2からの突き出し寸法T0を極力小さくすることができ、またねじフランジ部22の外面が円錐台形状に形成されていることから、当該固定装置10の径方向(鋸刃2の面方向に沿った方向)の寸法をも実質的に小さくすることができる。このことから、既存の携帯丸鋸1における傾斜切り時の傾斜角度を確保しつつその切り込み深さをも従来通り十分に確保することができる。
以上説明したように本実施形態の固定装置10によれば、傾斜切り作業時の切り込み深さを十分に確保しつつ(犠牲にすることなく)、回転操作用の操作レバー24を備えることにより使用者は小さな力で鋸刃2をより強固に固定でき、逆に小さな力で楽にこれを取り外すことができるようになることから、当該固定装置10を既存の携帯丸鋸1に適用してそのツールレス化を図ることができる。
さらに操作レバー24をその使用位置に取り出すと、その幅方向両側部がレバー収納凹部30の両側部間にほぼがたつきなく嵌り込んだ状態となり、これによりそのねじ軸回転方向のがたつきが排除若しくは抑制された状態となる。このため、当該操作レバー24に付加されるねじ軸回転方向(図4において白抜きの矢印で示す方向)の操作力を支軸23側で全て受ける場合に比して当該支軸23の耐久性を確保しつつ当該操作レバー24の回転操作性を確保することができる。
なお、アウタフランジ11とインナフランジ12の鋸刃2に当接する面(座面)に、硬質重金属を含有する塗料を塗布する等の高摩擦係数処理を施すことにより、当該両フランジ11,12の鋸刃2に対する摩擦係数を高めることができ、これにより鋸刃2の滑りをより一層確実に防止することができる。
さらに、回転工具として携帯丸鋸を例示し、回転刃具として鋸刃を例示したが、本発明に係る固定装置は、例えば卓上型の丸鋸盤や手持ち式のグラインダ等その他の回転工具について回転刃具を固定するための固定ボルトとして広く適用することができる。
2…鋸刃(回転刃具)、2a…取り付け孔
3…ブレードケース
4…ベース
5…スピンドル、5a…ねじ孔、5b…二面幅部
J…スピンドルの回転軸線
10…固定装置
11…アウタフランジ
11a…転動溝、11b…係合溝、11c…ボス部
12…インナフランジ、12a…ボス部
20…ねじ本体
21…ねじ軸部
22…ねじフランジ部、22a…円錐面、22b…欠落部
23…支軸
24…操作レバー、24a…樹脂カバー、24b…受け台座部
25…捩りばね
30…レバー収容凹部、30a…受け凹部
40…摩擦低減部材
41…鋼球
42…保持リング
43…金属カバー、43c…係合溝
44…ゴムリング
G…操作レバーの重心
H…基準線
Claims (4)
- 回転工具のスピンドルに回転刃具を固定するための装置であって、前記回転刃具を挟むアウタフランジとインナフランジと、前記スピンドルのねじ孔に締め込まれるねじ軸部と該ねじ軸部の頭部側から周囲に張り出して前記アウタフランジの外面側に押圧されるねじフランジ部を有するねじ本体を備え、
前記ねじフランジ部は、前記アウタフランジ部側が大径となる円錐台形状を有し、かつその外面に、表裏反転方向に回動させて収納位置と使用位置との間を回動操作可能な操作レバーを備え、
該操作レバーは、前記ねじフランジ部の円錐台形状に合わせて山形に屈曲した形状を有してその山形先端に断面山形の受け台座部を備えており、
前記収納位置に回動されると、前記円錐台形状の外面に設けたレバー収納凹部内に収納されてその先端側を当該ねじフランジ部の周縁からはみ出さない状態に収納され、
前記使用位置に回動されると前記受け台座部を前記レバー収納凹部に設けたV形の受け凹部内に嵌り込ませてその先端側を当該ねじフランジ部の周縁から放射方向へ突き出した状態となる固定装置。 - 請求項1記載の固定装置であって、前記操作レバーは、前記レバー収納凹部に収納されて前記ねじフランジ部の円錐台形状の外面からはみ出さない状態となる固定装置。
- 請求項2記載の固定装置であって、前記操作レバーは、前記収納位置側に付勢された固定装置。
- 請求項1記載の固定装置であって、前記ねじフランジ部と前記アウタフランジとの間に両者間の回転方向の摩擦抵抗を低減するための摩擦低減部材を介在させた固定装置。
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