JP4953521B2 - ラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂などの機能性高分子の原料モノマーなどとして有用な、純度の高いラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルと、その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、γ−ブチロラクトン環などのラクトン骨格を有する基を含む(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、基板に対する密着性等に優れることから、レジスト用樹脂等のモノマー(コモノマー)として注目されている。
【0003】
このようなラクトン骨格を有する基を含む(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法として、ラクトン骨格を有する基を含むアルコールと(メタ)アクリル酸ハライドとを塩基の存在下で反応させる方法が知られている。例えば、特開2000−26446号公報の実施例では、9−ヒドロキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン)を、塩基(N,N−ジメチルアニリン)と少量の重合禁止剤(フェノチアジン)の存在下、(メタ)アクリル酸クロリドと反応させ、反応混合液を濾過、濃縮し、残渣にエーテルを加え、希塩酸等で洗浄した後、晶析操作により、9−(メタ)アクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン)を得ている。
【0004】
また、特開2000−122294号公報には、6−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オンをトリエチルアミンの存在下、アクリル酸クロリドと反応させた後、反応混合液を濾過、濃縮することにより6−アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オンを得る方法が開示されている。
【0005】
しかし、これらの方法では、エステル化に(メタ)アクリル酸ハライドを用いるため、目的の(メタ)アクリル酸エステル中にハロゲンが残存しやすく、これを重合してレジスト用樹脂として用いた場合には、電子部品の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。また、目的物であるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは重合しやすいため、反応の段階だけでなく濃縮操作等の際にも重合反応(ビニル重合、ラクトンの開環重合)が進行して、(メタ)アクリル酸エステルの収率が低下する。さらに、目的物であるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、重合を避けるため、通常晶析により精製されるが、前記反応や濃縮の際に生成したポリマー等の不純物は晶析によっては十分に除去できない。そして、このようなポリマーを多く含有するラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルをレジスト用樹脂のコモノマー等として使用する場合には、レジスト等の性能に支障を来すことが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ポリマー化してレジスト用樹脂等とした場合、レジスト等の性能に悪影響を及ぼさないようなラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルと、その製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、ラクトン骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを特定濃度の硫酸触媒の存在下で反応させるととともに、生成したラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液を濃縮する際に特定量の重合禁止剤を添加すると、不純物含量の極めて少ない(メタ)アクリル酸エステルが得られること、及びこのような(メタ)アクリル酸エステルをレジスト用樹脂のコモノマーとして使用した場合に、レジスト性能に悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化4】
Figure 0004953521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zはラクトン骨格を有する有機基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステルであって、該(メタ)アクリル酸エステル1重量部を酢酸エチル19重量部に20℃で溶解させたとき、不純物として含まれる不溶分が0.5重量%以下であることを特徴とするラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、下記式(2a)
【化3】
Figure 0004953521
(式中、R1は環に結合した置換基であって、メチル基、ヒドロキシル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を示す。nは0〜3の整数を示す。式中に示される環にはオキソ基が結合していてもよい)
で表される2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを硫酸触媒の存在下で脱水反応させて、対応する下記式(1a)
【化4】
Figure 0004953521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。R1は環に結合した置換基であって、メチル基、ヒドロキシル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を示す。nは0〜3の整数を示す。式中に示される環にはオキソ基が結合していてもよい)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法であって、
(A)前記2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを、硫酸触媒濃度1重量%以下の条件で反応させて式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルを生成させる反応工程と、
(B)反応で生成した式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液を、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%以上の重合禁止剤の存在下で濃縮する工程とを含むラクトン骨格を有する高純度の(メタ)アクリル酸エステルの製造法を提供する。
【0012】
この式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルの製造法は、反応工程(A)の後に、(C1)反応混合液を水で洗浄する水洗工程、及び(C2)反応混合液をアルカリ水溶液で洗浄するアルカリ水洗浄工程を含んでいてもよい。
なお、本明細書では、
下記式(1)
【化3】
Figure 0004953521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zはラクトン骨格を有する有機基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステルであって、該(メタ)アクリル酸エステル1重量部を酢酸エチル19重量部に20℃で溶解させたとき、不純物として含まれる不溶分が0.5重量%以下であることを特徴とするラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、についても説明する。
また、本明細書では、
下記式(2)
Z−OH (2)
(式中、Zはラクトン骨格を有する有機基を示す)
で表されるラクトン骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを硫酸触媒の存在下で脱水反応させて、対応する下記式(1)
【化4】
Figure 0004953521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。Zは前記に同じ)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法であって、(A)前記ラクトン骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを、硫酸触媒濃度1重量%以下の条件で反応させて式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを生成させる反応工程と、(B)反応で生成した式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液を、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%以上の重合禁止剤の存在下で濃縮する工程とを含むラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造法、についても説明する。
さらに、本明細書では、
下記式(1a)、(1b)又は(1c)
【化5】
Figure 0004953521
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。R 1 は環に結合した置換基であって、メチル基、ヒドロキシル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R 2 は水素原子、メチル基又はエチル基を示す。nは0〜3の整数、mは0〜5の整数を示す。式中に示される環にはオキソ基が結合していてもよい)
で表される(メタ)アクリル酸エステルであって、該(メタ)アクリル酸エステル1重量部を酢酸エチル19重量部に20℃で溶解させたとき、不純物として含まれる不溶分が0.5重量%以下であるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、についても説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
前記式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zはラクトン骨格を有する有機基を示す。ラクトン骨格としては特に限定されず、4〜20員程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格はラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に非芳香族性又は芳香族性の炭素環又は複素環が縮合した多環であってもよい。代表的なラクトン骨格として、2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環(=3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環)、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環、ε−カプロラクトン環などが挙げられる。ラクトン骨格は式(1)中に示されるエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、また、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等の連結基を介して前記酸素原子と結合していてもよい。
【0014】
式(1)で表されるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、前記式(1a)、(1b)又は(1c)で表される化合物が挙げられる。
【0015】
前記式(1a)で表される9−(メタ)アクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン類(=5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン類)において、n個のR1は、同一の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。R1は橋頭位の炭素原子に結合している場合が多い。
【0016】
式(1a)で表される9−(メタ)アクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン類の代表的な例として、9−アクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(=5−アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン)、9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(=5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン)などが挙げられる。
【0017】
前記式(1b)で表される6−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン類において、n個のR1は、同一の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。R1は橋頭位の炭素原子に結合している場合が多い。
【0018】
式(1b)で表される6−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン類の代表的な例として、6−アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6−アクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6−メタクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オンなどが挙げられる。
【0019】
前記式(1c)で表されるγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、mは、好ましくは0〜3程度である。
【0020】
式(1c)で表されるγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、α−アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトンなどのα−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン類などが挙げられる。
【0021】
本発明の重要な特徴は、前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル1重量部を酢酸エチル19重量部に20℃で溶解させたとき、不純物として含まれる酢酸エチル不溶分(重合物等)が0.5重量%以下である点にある。前記不溶分は、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下であり、特に完溶であるのが好ましい。このような酢酸エチル不溶分の少ないラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを、例えばアルカリ可溶性付与モノマー(酸脱離性付与モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン等)などの所望の機能を付与するモノマーと共重合させて得られるポリマーをレジスト用樹脂として使用した場合、所望のレジスト性能(感度等)を得ることができる。これに対し、前記酢酸エチル不溶分が0.5重量%を超えるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを同様に共重合させた場合には、所望のレジスト性能を得ることが困難である。
【0022】
上記のような酢酸エチル不溶分の少ないラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、(A)前記式(2)で表されるラクトン骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを、硫酸触媒濃度1重量%以下の条件で反応させて前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを生成させる反応工程と、(B)反応で生成した式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液を、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%以上の重合禁止剤の存在下で濃縮する工程とを経ることにより製造することができる。なお、反応工程で得られた反応混合液は、洗浄工程(C)に供するのが好ましい。
【0023】
[反応工程(A)]
式(2)で表されるラクトン骨格を有するアルコールとしては、式(1)で表されるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに対応するアルコールを使用できる。より具体的には、式(1a)で表される化合物に対応するアルコールの代表的な例として、9−ヒドロキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(=5−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン)などが挙げられる。
【0024】
前記アルコールは、例えば、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン−5−カルボン酸類を、メチルトリオキソレニウムの存在下、過酸化水素を反応させることにより得ることができる。
【0025】
式(1b)で表される化合物に対応するアルコールの代表的な例として、例えば、6−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6,8−ジヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オンなどが挙げられる。
【0026】
これらのアルコールは、例えば、1−ヒドロキシ−4−アダマンタノン類にm−クロロ過安息香酸などの過酸を作用させることにより得ることができる。この反応は一般的なバイヤービリガー反応に準じて行うことができる。
【0027】
前記式(1c)で表される化合物に対応するアルコールの代表的な例として、例えば、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトンなどのα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン類などが挙げられる。
【0028】
式(2)で表されるラクトン骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸との反応(エステル化)は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。前記溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル;及びこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、副生する水と共沸し且つ水と分液可能な溶媒(共沸脱水可能な溶媒)、例えばトルエンなどが好ましい。
【0029】
触媒として用いる硫酸の反応系中の濃度は1重量%以下であり、より好ましくは0.85重量%以下である。硫酸の濃度が1重量%を超えると、重合物等の酢酸エチル不溶分の副生量が著しく増大する。反応系中の硫酸濃度の下限は、十分な反応速度が得られる程度であればよく、例えば0.2重量%、好ましくは0.4重量%程度である。また、硫酸の使用量は、式(2)で表されるアルコール1モルに対して、例えば0.15モル以下(0.03〜0.15モル程度)、好ましくは0.13モル以下(0.06〜0.13モル程度)である。
【0030】
なお、エステル化触媒として、硫酸以外の触媒を硫酸と併用することもできる。このような触媒として、例えば、塩酸、リン酸、ヘテロポリ酸(例えば、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸等)などの無機酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、スルホン酸系強酸性イオン交換樹脂等のスルホン酸類などが挙げられる。
【0031】
また、反応中の重合を防止するため、メトキノン(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン、フェノチアジンなどの重合禁止剤を系内に添加したり、系内に酸素を供給するのが好ましい。酸素は窒素などの不活性ガスで希釈して使用することもできる。重合禁止剤の使用量は、例えば、式(2)で表されるアルコールに対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0032】
式(2)で表されるアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応は、常圧又は減圧下、例えば50〜150℃程度の温度で行われる。(メタ)アクリル酸の使用量は、式(2)で表されるアルコール1モルに対して1モル以上であればよいが、1.5モル以上(例えば1.5〜10モル程度)であるのが好ましい。
【0033】
[洗浄工程(C)]
式(2)で表されるアルコールと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる反応混合液は、そのまま濃縮工程(B)に供してもよいが、その前に、(C1)水で洗浄する水洗工程、及び(C2)アルカリ水溶液で洗浄するアルカリ水洗浄工程に供するのが好ましい。また、反応混合液は、これらの洗浄工程に加えて、塩水溶液で洗浄する塩水溶液洗浄工程に供してもよい。これらの洗浄工程により、反応混合液中に含まれている未反応原料[ラクトン骨格を有するアルコール、(メタ)アクリル酸]や触媒、その他の水溶性不純物を効率よく除去できる。
【0034】
前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などの水溶液が例示される。好ましいアルカリ水溶液には、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩の水溶液などが含まれる。
【0035】
前記塩水溶液としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物若しくは硫酸塩の水溶液などが挙げられる。
【0036】
複数の洗浄液を使用する場合の洗浄の順序は、特に制限されないが、水洗浄−アルカリ水溶液洗浄−水洗浄、又は水洗浄−アルカリ水溶液洗浄−塩水溶液洗浄−水洗浄の順序が望ましい。洗浄液の使用量は、洗浄処理1回当たり、被洗浄液100重量部に対して、例えば10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部程度である。洗浄する際の温度は、例えば10〜50℃程度である。洗浄する際の温度が高すぎると、ラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルが重合するおそれがある。
【0037】
洗浄は、回分式、連続式、多段式等の公知乃至慣用の方法により行うことができる。洗浄後の水層から(メタ)アクリル酸などの未反応原料を回収して再利用することもできる。
【0038】
[濃縮工程(B)]
濃縮工程(B)では、反応で生成した式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液、例えば前記洗浄工程(C)を経た混合液を、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%以上、好ましくは0.85重量%以上の重合禁止剤の存在下で濃縮する。重合禁止剤の量が式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%未満の場合には、濃縮時に重合等の反応が起こりやすく、得られる(メタ)アクリル酸エステル中に含まれる酢酸エチル不溶分が著しく増大する。重合禁止剤の量の上限は、経済性、濃縮後の(メタ)アクリル酸エステルの精製操作の操作性や、製品(メタ)アクリル酸エステルの純度を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して5重量%、好ましくは3重量%程度である。
【0039】
濃縮工程で用いる重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、メトキノン(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン等のハイドロキノン系重合禁止剤;フェノチアジン等のフェノチアジン系重合禁止剤などを使用できる。これらの重合禁止剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。特に、ハイドロキノン系重合禁止剤とフェノチアジン系重合禁止剤とを組み合わせて用いると、重合物等の生成抑制効果を大幅に向上できる。ハイドロキノン系重合禁止剤とフェノチアジン系重合禁止剤とを組み合わせて用いる場合の両者の比率は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
【0040】
濃縮は常圧下又は減圧下で行うことができる。濃縮時の温度は、重合等の反応を抑制できる範囲で適宜選択できるが、130℃以下(例えば、30〜130℃)、特に110℃以下(例えば、30〜110℃)で行うのが好ましい。
【0041】
濃縮液は、そのままレジスト用樹脂の合成用モノマー等として使用してもよいが、必要に応じて、晶析、蒸留、カラムクロマトグラフィー等を用いた精製工程、特に晶析工程に供するのが好ましい。
【0042】
晶析溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリフルオロメチルベンゼン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチルなどのエステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖状又は環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン極性溶媒;二硫化炭素;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0043】
好ましい晶析溶媒として、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、イソプロピルアルコールなどのアルコール、酢酸エチルなどのエステル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、水、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。中でも、(i)(i-1)トルエン等の芳香族炭化水素、(i-2)トルエン等の芳香族炭化水素とヘキサン等の脂肪族炭化水素との混合溶媒、(i-3)トルエン等の芳香族炭化水素とジイソプロピルエーテル等のエーテル(特に鎖状エーテル)との混合溶媒、などの少なくともトルエン等の芳香族炭化水素を含む溶媒、(ii)ヘキサン等の脂肪族炭化水素と酢酸エチル等のエステルとの混合溶媒、(iii)水と水混和性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、イソプロピルアルコール等のアルコールなど)との混合溶媒などが好ましい。前記(iii)の場合、水と、テトラヒドロフラン等の環状エーテルと、イソプロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒が特に好適である。
【0044】
前記式(1a)又は(1b)で表されるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの晶析に用いる溶媒としては、前記(i)少なくともトルエン等の芳香族炭化水素を含む溶媒(とりわけ、前記(i-2)または(i-3)の溶媒)が好ましい。また、式(1c)で表されるラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの晶析に用いる溶媒としては、前記(ii)脂肪族炭化水素とエステルとの混合溶媒が特に好適である。
【0045】
晶析溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、一般には、ラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、20〜1000重量部、好ましくは25〜800重量部程度である。
【0046】
前記晶析操作により、副生物等を効率よく除去でき、高純度のラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0047】
晶析後、得られた結晶を溶媒で洗浄(リンス)することにより、より高純度のラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを取得することができる。前記洗浄に用いる溶媒としては、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル(例えば、鎖状エーテル)、水と水混和性溶媒(例えば、イソプロピルアルコール等のアルコールなど)との混合溶媒などが好ましい。
【0048】
より具体的には、晶析溶媒として前記(i-2)トルエン等の芳香族炭化水素とヘキサン等の脂肪族炭化水素との混合溶媒を用いる場合や、(ii)ヘキサン等の脂肪族炭化水素と酢酸エチル等のエステルとの混合溶媒を用いる場合には、リンス溶媒としてヘキサン等の脂肪族炭化水素が好適である。また、晶析溶媒として(i-3)トルエン等の芳香族炭化水素とジイソプロピルエーテル等のエーテル(特に鎖状エーテル)との混合溶媒を用いる場合には、リンス溶媒としてジイソプロピルエーテル等のエーテル(特に鎖状エーテル)が好ましい。さらに、晶析溶媒として(iii)水と水混和性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、イソプロピルアルコール等のアルコールなど)との混合溶媒を用いる場合には、リンス溶媒として水と水混和性溶媒(例えば、イソプロピルアルコール等のアルコールなど)との混合溶媒が好適である。
【0049】
洗浄に用いる溶媒(リンス溶媒)の使用量は、例えば、環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部程度である。
【0050】
晶析により得られた結晶、又はさらに洗浄を施した結晶の乾燥条件は、品質及び作業効率を損なわない範囲で適宜設定でき、例えば温度10〜80℃程度、及び常圧又は減圧下[例えば、0.1〜760mmHg(13.3〜101000Pa)程度]で乾燥が行われる。乾燥は、窒素等の不活性ガス気流中で行ってもよい。晶析で得られる母液、及び洗浄処理液からは、蒸留又は蒸発により溶媒を回収できる。回収した溶媒は再利用が可能である。
【0051】
【発明の効果】
本発明のラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、不純物として含まれる酢酸エチル不溶分が極めて少ないので、他のモノマーと共重合させてレジスト用樹脂等とした場合、レジスト等の性能に悪影響を及ぼさない。そのため、レジスト用樹脂等の感光性樹脂の原料モノマー等として好適に使用できる。
また、本発明の製造法によれば、上記のような純度の高いラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを簡易に且つ効率よく製造できる。
【0052】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、酢酸エチル溶解テストは、以下のようにして行った。
【0053】
サンプル(ラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル;乾燥後のもの)1.0gを秤量し、酢酸エチル19gを加えて20gとした。この混合液を振盪して前記(メタ)アクリル酸エステルを溶解させた。不溶解物が見られない場合には完溶と判定し、不溶解物が見られるときは、濾紙を用いて減圧濾過し、濾滓を真空乾燥し、重量を測定して不溶解物の量(酢酸エチル不溶分;サンプルに対する重量%)を求めた。
【0054】
実施例1
凝縮器及びデカンターを備えた反応器に、9−ヒドロキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン154g(1.0モル)、メタクリル酸215g(2.5モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.5g、トルエン980g、硫酸9.8g(0.1モル;仕込み総量1360.3gに対して0.72重量%)を仕込み、5%の酸素を含んだ窒素ガスを5L/分で流通させながら、加熱してエステル化反応を行った。その間に副生した水は蒸留し、デカンターを用いて系外に除去した。10時間後にデカンターの生成水増加が見られなくなったので反応及び蒸留を終了した。反応混合液を室温まで冷却した後、分液ロートに移し、蒸留水1315mlで水洗後、10重量%炭酸ソーダ水溶液1300mlで1回、10重量%食塩水1000mlで1回、蒸留水1000mlで1回逐次洗浄した。洗浄後のトルエン層1076g中には、9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オンが211g(0.95モル)含まれていた。このトルエン層にハイドロキノンモノメチルエーテル1.0g、フェノチアジン1.0gを添加し、溶解させた後、エバポレーターを用いて、真空度20torr(2660Pa)、浴温100℃以下にて濃縮し、イソプロピルエーテル420gを加えて室温で放置したところ結晶が析出した。結晶を濾過し、100mlのイソプロピルエーテルで2回リンスし、室温にて真空乾燥することにより、9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン[前記式(1a)において、R=メチル基、R2=水素原子、n=0である化合物]を189g(0.85モル)得た(収率85%)。
得られた結晶について酢酸エチル溶解テストを実施した結果、完溶であり、酢酸エチル不溶分を含んでいないことがわかった。
【0055】
比較例1
エステル化反応での硫酸の仕込量を16.7g(0.17モル;仕込み総量1367gに対して1.22重量%)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、結晶として得られた9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オンの量は180g(0.81モル)であった(収率81%)。
得られた結晶について酢酸エチル溶解テストを実施した結果、酢酸エチル不溶分は3重量%であった。
【0056】
比較例2
反応混合液を洗浄後、濃縮する際に添加するハイドロキノンモノメチルエーテルとフェノチアジンの量をそれぞれ0.7gとした以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、結晶として得られた9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オンの量は182g(0.82モル)であった(収率82%)。
得られた結晶について酢酸エチル溶解テストを実施した結果、酢酸エチル不溶分は2.5重量%であった。
【0057】
実施例2
反応混合液を洗浄後、濃縮する際に添加する重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテルを2.12g用い、フェノチアジンは添加しなかったこと以外は実施例と同様の操作を行った。その結果、結晶として得られた9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オンの量は188g(0.85モル)であった(収率85%)。
得られた結晶について酢酸エチル溶解テストを実施した結果、若干の濁りが見られ、酢酸エチル不溶分は0.5重量%であった。
【0058】
評価試験
前記各実施例及び比較例で得られた9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(モノマー)を2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタンと共重合し、生成した共重合体によるレジストの機能評価を実施した。
(重合)
実施例(又は比較例)で得られた9−メタクリロイルオキシ−2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン(モノマー)2.35g(10.6ミリモル)と、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン1.65g(7.05ミリモル)、及び開始剤(和光純薬工業製、V−601)0.40gを反応器に入れ、THF(テトラヒドロフラン)16.0gに溶解させた。続いて、フラスコ内を乾燥窒素で置換した後、反応系の温度を60℃に保ち、窒素雰囲気下、6時間攪拌した。反応混合液をヘキサンと酢酸エチルの9:1(重量比)混合液500mlに落とし、生じた沈殿物を濾別することで精製を行った。回収した沈殿を減圧乾燥後、再度THF16.0gに溶解させ、上記の沈殿精製操作を繰り返すことにより所望の樹脂(共重合体)約3gを得た。
【0059】
(評価)
上記で得られた各共重合体100重量部とトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート10重量部とを溶媒である乳酸エチルと混合し、ポリマー濃度17重量%のフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。このフォトレジスト用樹脂組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み1.0μmの感光層を形成した。ホットプレート上にて温度100℃で150秒間プリベークした後、波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、0.3Mのテトラヒドロアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、純水でリンスしたところ、実施例1及び2のモノマーを用いた共重合体については、0.25μmの鮮明なライン・アンド・スペースパターンが得られたが、比較例のモノマーを用いた共重合体については、何れもパターンの崩れが観察された。

Claims (2)

  1. 下記式(2a)
    Figure 0004953521
    (式中、R1は環に結合した置換基であって、メチル基、ヒドロキシル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を示す。nは0〜3の整数を示す。式中に示される環にはオキソ基が結合していてもよい)
    で表される2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを硫酸触媒の存在下で脱水反応させて、対応する下記式(1a)
    Figure 0004953521
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。R1は環に結合した置換基であって、メチル基、ヒドロキシル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R2は水素原子、メチル基又はエチル基を示す。nは0〜3の整数を示す。式中に示される環にはオキソ基が結合していてもよい)
    で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法であって、
    (A)前記2−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−3−オン環を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とを、硫酸触媒濃度1重量%以下の条件で反応させて式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルを生成させる反応工程と、
    (B)反応で生成した式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルを含む混合液を、式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.75重量%以上の重合禁止剤の存在下で濃縮する工程とを含むラクトン骨格を有する高純度の(メタ)アクリル酸エステルの製造法。
  2. 請求項1記載の製造法において、反応工程(A)の後に、(C1)反応混合液を水で洗浄する水洗工程、及び(C2)反応混合液をアルカリ水溶液で洗浄するアルカリ水洗浄工程を含む請求項1記載の式(1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルの製造法。
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