JP3551621B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関し、更に詳しくは、粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれるアルコール等の低沸不純物を留去する場合において、(メタ)アクリル酸エステルの重合を簡易且つ容易に防止できる製造方法に関する。尚、「アクリル」及び/又は「メタクリル」の両方を意味する場合には、「(メタ)アクリル」と、上記の如く及び以下に表記する。
【0002】
【従来の技術】
従来、(メタ)アクリル酸エステルは、以下に示すようにして製造される。即ち、まずアクリル酸とアルコール(例えばアルキルアルコール)とを、触媒(通常、酸である。)及び共沸剤の存在下でエステル化(縮合)反応をさせ、この反応液から、未反応原料及び共沸剤等の低沸不純物を未だ含有する粗(メタ)アクリル酸エステル液を得る。この粗(メタ)アクリル酸エステル液を精留して、更に不純物(低沸物)を除去し、その後、この不純物除去液を精留して目的の(メタ)アクリル酸エステルを留出させて得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、(メタ)アクリル酸エステルは分子内に二重結合を有し、重合性のものであるとともに、各工程においては各缶液を加熱して、各目的の留分等を精留により得ている。従って、各工程においては、(メタ)アクリル酸エステルが高温で加熱され非常に重合し易くなる。
この重合が生じると、収率の低下、重合物の生成に起因する粘度上昇による操業の不安定等の不具合が生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれる低沸不純物を留去する場合において、この重合し易い(メタ)アクリル酸エステルの重合を簡易且つ容易に防止して(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、どの工程において(メタ)アクリル酸エステルが最も多く重合するか、更にどのような重合防止方法があるかについて、鋭意検討した。その結果、▲1▼重合が最も多く生じるのは、粗アクリル酸エステル液からの低沸不純物除去工程であること、▲2▼(メタ)アクリル酸エステル精留釜残液を還流させることが好ましいこと、及び▲3▼(メタ)アクリル酸エステル精留釜残液中の有効成分は、(メタ)アクリル酸エステルのミカエル付加物であることを見出して、本発明を完成するに至ったのである。
【0006】
本第1発明の、触媒の存在下、アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルコールとをエステル化反応させ、該反応で得た低沸不純物を含む粗(メタ)アクリル酸エステル液を低沸不純物留去工程に移送し該工程において、該低沸不純物を加熱しつつ留去する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法〔以下、単に、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法又は本製造方法という。〕は、上記(メタ)アクリル酸エステルと上記アルコール、及び上記アクリル酸若しくは上記メタクリル酸との各ミカエル付加物のうちの少なくとも1種を、該低沸不純物留去工程の釜残液における濃度が3〜30重量%(以下、単に%という。)となるように、上記粗(メタ)アクリル酸エステル液に添加することを特徴とする。
【0007】
本発明におけるミカエル付加物は、(メタ)アクリル酸エステルへのアルコール又は(メタ)アクリル酸のミカエル付加物であり、ミカエル付加するアルコールは、特に制限がなく、好ましくは、炭素数が1〜20(より好ましくは1〜10)の脂肪族、脂環族又は芳香族アルコールであり、特に好ましくは、反応原料として用いるアルコールである。
【0008】
このミカエル付加物の濃度が3%未満では、重合防止効果が十分でなくなり、30%を越えると、(メタ)アクリル酸エステルの製造効率が低下するとともに、分解による(メタ)アクリル酸又はアルコールの生成が増えることとなるので、好ましくない。
このミカエル付加物の濃度は、(メタ)アクリル酸メチルの場合には3〜30重量%(より好ましくは5〜20重量%)、(メタ)アクリル酸エチルの場合には5〜30重量%(より好ましくは8〜20重量%)、(メタ)アクリル酸ブチルの場合には3〜30重量%(より好ましくは5〜20重量%)、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルの場合には3〜30重量%(より好ましくは5〜20重量%)が好ましい。
【0009】
このミカエル付加物の供給源としては、通常、後工程における精留をした場合の釜残液であるが、高沸物留出工程を設けた場合にはこの工程にて留出させたミカエル付加物を使用してもよい。更に、このミカエル付加物は、通常、本製造工程において得たものを用いてリサイクルするが、これに限らず、同種の他系統において得たものでもよいし、リサイクルせずにバッチ処理をして得たものでもよい。このようにリサイクルするようなミカエル付加物は加熱されているので、これを利用することにより、熱源を有効活用できる。
【0010】
上記「触媒」としては、硫酸、塩酸等の酸や、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン酸等の有機酸等の様に、通常、エステル化触媒として用いられているものが例示できる。
上記「アルコール」は、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよい。
そして、脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等を例示できる。また、脂環式アルコールとしては、シクロヘキシルアルコール、メチルヘキシルアルコール等が例示できる。更に、芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール等を例示できる。
上記「不純物」とは、アルコール、共沸剤、水等を意味し、(メタ)アクリル酸エステルと比べると、より沸点のもの等をいう。
【0011】
一方、本発明において適用される粗(メタ)アクリル酸エステル液の製造では、通常、系内には酸素を含有する気体の雰囲気下で重合防止剤が含有されている。例えば、不純物除去のための精留の釜残液中には、重合防止剤(ハイドロキノン、フェノチアジン等)が約50〜1000ppm程度含有されている。
しかし、本発明においては、第2発明に示すように、上記粗(メタ)アクリル酸エステル液に上記ミカエル付加物を流入させる場合、この流入させる液に重合防止剤を添加するのが更に好ましい。これにより、ミカエル付加物を流入(添加)させる効果と重合防止剤による効果との相乗効果が得られるからである。
【0012】
本発明の製造方法を行うための製造装置は、アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルコールとのエステル化反応器と、該反応器において生成される低沸不純物を含む粗(メタ)アクリル酸エステル液が供給されるとともに、該粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれる該低沸不純物を、加熱しつつ留去する低沸不純物除去用精留塔と、該低沸不純物除去用精留塔と配管をもって接続されるエステル精留塔と、該エステル精留塔の釜残液を上記低沸不純物除去用精留塔内に還流させるための還流用配管と、を備える製造装置が例示される。ここで、上記「酸触媒」、「アルコール」及び「不純物」の意味は、前記と同じである。
これらの各精留塔は、通常用いられるものを使用でき、この精留塔内には、気液の接触を効率よく行わせるための蒸留塔内構造物が、多数、配置若しくは充填される。この蒸留塔内構造物としては、多数の貫通孔を有する多孔板、棚段又はスリットを有するスリット状棚段、又はビーズ状若しくは管状等の充填剤及びヘリパック型、ヘリグリッド型、ヘンスケ型、ステットマン型、ディクソン型、マクマホン型、回転バンド型、同芯管型、オルダーショウ型、キャップ型等の充填剤が用いられる。目的により所定の段数(例えば、10〜70段程度)を備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
比較例〔アクリル酸2−エチルヘキシルエステル(HA)の製造について〕
精留塔、凝縮器を備えた5リットルの反応器にアクリル酸100容量部、2−エチルヘキシルアルコール152容量部、トルエン50容量部、0.5重量%フェノチアジン(PZ)/2−エチルヘキシルアルコール溶液75容量部、濃硫酸0.6容量部を連続供給し、反応温度120℃で連続合成を実施した。反応液はアルカリ水溶液で、未反応アクリル酸及び触媒である硫酸を中和し、遠心分離して有機液層を分離し粗エステルを得る。得られた粗エステルを連続で不純分カット工程に供給し、トルエン及び低沸分を留去し残渣は製品塔に供給する。製品塔で製品を留出し、HAを得て残渣は有効成分回収工程に送るか若しくは廃棄する。
【0014】
上記において、不純分カット塔底温度は135〜145℃、PZ濃度は200ppm、〔HHP(β−2エチルヘトキシプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル)+HAP(β−アクリロキシプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル)〕濃度は2.0%、5%酸素含有窒素(以下、ONという。)を連続300容量部供給、プロセス液平均滞留時間は30分、製品カット塔底温度は130〜140℃である。
この操業方法では、不純物カット塔底液中ポリマー量は約10%であった。そのため、運転開始1週間後製品塔残渣抜き出し工程で配管のつまりが発生し運転不能となった。尚、原液中ポリマー濃度は0%である。また、各成分の分析はガスクロマトグラフィー法、ポリマー分析はGPC分析法によった(以下においても同じである。)。
【0015】
実施例1(HAの製造について)
▲1▼精留塔、凝縮器を備えた5リットルの反応器に、アクリル酸100容量部、2−エチルヘキシルアルコール152容量部、トルエン50容量部、0.5重量%フェノチアジン/2エチルヘキシルアルコール溶液75容量部、濃硫酸0.6容量部を連続供給し、反応温度120℃で連続合成を実施した。反応液はアルカリ水溶液で、未反応アクリル酸及び触媒である硫酸を中和し、遠心分離して有機液層を分離し粗エステルを得る。得られた粗エステルを連続で不純分カット工程に供給し、トルエン及び低沸分を留去し残渣は製品塔に供給する。製品塔で製品を留出し、HAを得て、残渣は有効成分回収工程に送るか若しくは廃棄する。また、他の系列より、HHPを不純分カット塔底液中の(HHP+HAP濃度)が5.0%になるように供給した。
上記において、不純分カット塔底温度は135〜145℃、PZ濃度は200ppm、(HHP+HAP)濃度は5.0%、5%ONを連続300容量部供給、プロセス液平均滞留時間は30分、製品カット塔底温度は130〜140℃である。
この操業方法では、不純物カット塔底液中ポリマー量は1.2%となり、大幅に重合が抑制された。製品塔残渣抜き出し工程での配管つまりトラブルも皆無となった。
【0016】
▲2▼また、製品塔缶液(HA74%、HAP5%、HHP17%、その他4%)を、同様に、不純分カット塔底液中の(HHP+HAP)濃度が5.0%になるように供給した。この操業において、不純分カット塔底温度は135〜145℃、PZ濃度は500ppm、(HHP+HAP)濃度は5.0%、5%ONを連続300容量部供給、プロセス液平均滞留時間は25分である。
この操業方法では、不純物カット塔底液中ポリマー量は0.9%となり、大幅に重合が抑制された。製品塔残渣抜き出し工程での配管つまりトラブルも皆無となった。上記HHPを単独で供給する場合と、ほぼ同じ効果が得られた。
【0017】
実施例2〔アクリル酸ブチルエステル(BA)の製造について〕
アルコールの種類を、上記実施例1における2−エチルヘキシルアルコールの代わりに、ノルマルブチルアルコールを用いて、実施例1と同様のプロセスでBAを製造した。BAの場合、〔BAP(β−アクリロキシプロピオン酸ブチルエステル)+BBP(β−ブトキシプロピオン酸ブチルエステル)〕濃度で管理し、ミカエル付加物を添加しない場合、不純分カット塔底液中の(BBP+BAP)濃度が2.0%で、ポリマー量は8%であり、製品塔缶液を還流後は(BBP+BAP)濃度が5.0%で、ポリマー量は2%であり、HAの場合と略同様の結果が得られた。
【0018】
実施例3(HA熱安定試験について)
カセイソーダ水溶液による中和及び有機液層/水層との分離工程を経て得られた不純物除去工程に供給される有機層液に、表1に示すように、Pzの200ppm又は500ppmの添加及びHA精留時釜残液の添加(下記実施例4にて示した還流量が5.3%又は11%である。)について、種々の組合せについて試験した。尚、この試験方法は、50mlのガラスアンプルに、表1に示す所定量の有機層液、釜残液及びPzが配合されたサンプルを調整し、150℃にて6、12及び24時間加熱し、上記と同様の方法にて分析した。この結果を表1及び図1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003551621
【0020】
尚、この有機層(上層)の組成は、HA;78.0重量%、HHP;0.87重量%である。この釜残液の組成は、HA;55.4重量%、HHP;17.4重量%である。
これらの結果によれば、釜残液の添加による効果は著しく大きい。更に、釜残液の11%の還流及び重合防止剤200ppmの添加の場合には、ブランクの場合と比べると、1/4という極めて少量のポリマーしか生成していない。重合防止剤500ppmの場合よりも、釜残液の5.3%及び11%の添加の方が優れた効果を示した。
【0021】
実施例4〔アクリル酸メチルエステル(MA)の製造について〕
以下に示す試験的実機条件下において、MA精留時の釜残液の還流量を0%、2.4%、4.9%、7.5%及び23%とした場合の不純物(低沸物)除去工程における重合防止効果について試験した。この還流量(%)は下式により計算される。
還流量(%)=〔上記釜残液の不純物除去用精留塔への還流量(V)〕/〔不純物除去用精留塔へ供給されるエステル液(有機液)(V)〕×100
【0022】
また、この不純物除去工程に供給されるエステル液の組成は、アルコール:7.5%、MA:85%、MMP(ミカエル付加物):1.0%、水:3.0%、MAP(ミカエル付加物):0.5%、その他:3.0%である。エステル精留塔の釜残液の組成は、MA:40%、MMP:30%、MAP:15%、その他:15%である。更に、重合の程度は、不純物除去用精留塔のリボイラーの総括伝熱係数を毎日測定し、この低下程度により判断した。この結果を図2及び図3に示す。そして、この総括伝熱係数が500Kcal/m・℃・h 前後となった時点で運転を中止した。尚、上記「MMP」は3−メトキシプロピオン酸メチル(MAへのメタノールのミカエル付加物)、「MAP」は3−アクリロキシプロピオン酸メチル(MAへのアクリル酸のミカエル付加物)である。このリボイラーは、多管式サーモサイホン型リボイラーである。
【0023】
〔主な試験的実機テスト条件等〕
▲1▼アルコールとしてメチルアルコール、触媒として硫酸を用いた。
▲2▼反応工程における温度は105〜125℃、不純物除去用精留塔の塔底温度は80〜90℃程度、エステル精留塔の塔底温度は50〜60℃程度である。
▲3▼重合防止剤としてハイドロキノン(HQともいう。)を用い、重合防止剤濃度は、例えば不純物除去工程における第1釜残液中の濃度が約150〜220ppm、エステル精留工程における第2釜残液中の濃度が約150〜220ppmに調整されている。尚、この濃度は、100〜300ppm範囲内の他の濃度とすることもできる。また、系内は5%酸素含有窒素雰囲気とした。
▲4▼不純物除去工程に供給されるエステル液の流量を100L/Hrとする場合、エステル精留塔釜残液から不純物除去工程に還流される流量が2.4L/Hr、4.9L/Hr、7.5L/Hr及び23L/Hr、不純物除去工程から不純物(主に水)が留去される流量が9.5〜10.5L/Hr、不純物(低沸物)が除去された第1釜残液がエステル精留工程に供給される流量が92〜114L/Hrである。
【0024】
図2の結果によれば、不純物除去工程残渣中(MMP+MAP)濃度(イナート量ともいう。)が4%から5%になると、即ちエステル精留塔釜残液の還流が4.9〜7.5%になると、著しく重合を防止できる。そして、このイナート量が10%になると、即ちエステル精留塔釜残液の還流が23%になると、その重合防止効果も飽和する傾向にある。
図2及び図3の結果によれば、このイナート量が5%以上になると、運転停止に至るまでの運転日数が、非還流の21日と比べると、各々90日及び91日となり、約4.3倍延長され、著しく重合が防止されていることを示している。尚、このイナート量が4%であっても、この停止までの運転日数は37日であり、非還流の場合の1.8倍を示した。また、(メタ)アクリル酸エステル精留時缶残液の代わりに、系外からMMPを加えた場合にも同様の効果が得られた。
【0025】
更に、アルコールの種類をメタノールの代わりに、エタノールを用いたこと以外は、上記MAの製造と同様にしてアクリル酸エチルエステル(EA)を製造した。この際、エステル精留時釜残液の還流量は、不純物除去工程残渣中(EEP+EAP)量が5%、8%及び15%〕となるように、同様に運転をして、同様に重合程度を評価した。この結果によれば、運転停止に至るまでの日数が、非還流の22日と比べると、各々39日、89日及び95日となり、各々、1.8倍、4.0倍、4.3倍延長され、著しく重合が防止されていることを示している。ここで、「EEP」は3−エトキシプロピオン酸エチル(EAへのエタノールのミカエル付加物)、「EAP」は3−アクリロキシプロピオン酸エチル(EAへのアクリル酸のミカエル付加物)である。
【0026】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例にて記載した、試験的実機における製造条件は、あくまで、一例であり、目的、用途により種々変更した流量、精留塔加熱温度等を設定できる。また、重合防止剤の種類もPz及び上記ハイドロキノン以外のものをも適用できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、(メタ)アクリル酸エステルのミカエル付加物を不純物除去工程に流入させる(添加する)のみで、容易に、簡便に且つ効率的に(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止しつつ、効率的に(メタ)アクリル酸エステルを製造できる。更に重合防止剤を併用すれば、更に重合防止効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において、アクリル酸2−エチルヘキシルエステルの熱安定試験の結果を示すグラフである。
【図2】実施例において、アクリル酸メチルエステルの製造において不純物除去用精留塔の運転21日後の総括伝熱係数又は運転停止に至るまでの日数と、イナート量又はMA精留塔釜残液の還流量との各関係を示すグラフである。
【図3】実施例において、アクリル酸メチルエステルの製造において不純物除去用精留塔のリボイラーの総括伝熱係数と、イナート量及び運転日数との各関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 触媒の存在下、アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルコールとをエステル化反応させ、該反応で得た低沸不純物を含む粗アクリル酸エステル液又は粗メタクリル酸エステル液を低沸不純物留去工程に移送し該工程において、該低沸不純物を加熱しつつ留去するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法において、
    上記アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルと上記アルコール、及び上記アクリル酸若しくは上記メタクリル酸との各ミカエル付加物のうちの少なくとも1種を、該低沸不純物留去工程の釜残液における濃度が3〜30重量%となるように、上記粗アクリル酸エステル液又は上記粗メタクリル酸エステル液に添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 上記粗アクリル酸エステル液若しくは上記粗メタクリル酸エステル液に、上記ミカエル付加物及び重合防止剤を添加することを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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