JP2000281617A - アクリル酸の精製方法 - Google Patents

アクリル酸の精製方法

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JP2000281617A
JP2000281617A JP2000012995A JP2000012995A JP2000281617A JP 2000281617 A JP2000281617 A JP 2000281617A JP 2000012995 A JP2000012995 A JP 2000012995A JP 2000012995 A JP2000012995 A JP 2000012995A JP 2000281617 A JP2000281617 A JP 2000281617A
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dehydration distillation
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Shuhei Yada
修平 矢田
Masahiko Yamagishi
昌彦 山岸
Koji Kasamatsu
弘司 笠松
Yasuyuki Sakakura
康之 坂倉
Kiyoshi Takahashi
潔 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル酸水溶液の脱水蒸留時におけるアク
リル酸の重合を防止することによる蒸留塔の安定運転が
可能な操作条件の提供。 【解決手段】 アクリル酸の水溶液から脱水蒸留塔を用
いて脱水蒸留を行ってアクリル酸を精製するに際して、
該脱水蒸留塔として理論段数が3段以上の蒸留塔を使用
し、かつその理論段2段目に相当する部位の操作温度を
50〜78℃とするアクリル酸の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル酸の精製方
法に関するものである。詳しくはアクリル酸の重合を防
止しつつ、アクリル酸の水溶液からアクリル酸を精製す
る方法に関するものであり、特にプロピレン等の接触酸
化によって得られる粗アクリル酸水溶液から、脱水蒸留
塔を用いて水、酢酸等の低沸点成分を除去する際の、蒸
留塔内におけるアクリル酸の重合を防止して、長期間に
わたって安定してアクリル酸の精製操作を行なうことが
できる方法に関している。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸を製造する代表的な方法とし
てプロピレン及び/又はアクロレインを水蒸気の存在
下、分子状酸素含有ガスにより、酸化触媒を用いて酸化
する方法がある。このようにして得られた反応ガスを冷
却及び/又は水で吸収すると粗アクリル酸水溶液が得ら
れる。この粗アクリル酸水溶液はアクリル酸の他、酢
酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の副
生成物を含有している。これらの副生成物で最も多量に
生成し、従って精製に際して特に重要なのは酢酸であ
る。水、酢酸及びアクリル酸はそれぞれの化学的類似
性、気液平衡などの物理化学的性質から、直接蒸留によ
り分離することは、一般にはあまり効率的ではないとさ
れている。そのため、アクリル酸の精製方法としては、
水と共沸する有機溶剤(以下「共沸溶剤」と記すことが
ある)を用いて水を脱水蒸留し、更に酢酸を蒸留分離す
る方法が広く用いられている。この水及び酢酸の分離を
行うための蒸留プロセスとしては、その両者を単一の蒸
留塔で同時に分離する方法(以下「一塔法」と記す)
と、それぞれ1本ずつの蒸留塔を用いて分離する方法
(以下「二塔法」と記す)が考えられ、それぞれ下記の
ように多くの提案がなされている。
【0003】(1)一塔法関係 特公昭46−18967号公報、特公昭46−2937
2号公報、特公昭46−22456号公報、特公昭46
−34692号公報、特公昭49−21124号公報、
特開平5−246941号公報など。 (2)二塔法関係 特公昭41−15569号公報、特公昭46−1896
6号公報、特公昭50−25451号公報、特公昭63
−10691号公報、特開平3−181440号公報、
特公平6−15495号公報、特公平6−15496号
公報、特開平8−40974号公報など。この2つの方
法においては、次のような長所・短所がある。一塔法で
は、水と酢酸を同時に、一本の蒸留塔で分離しようとす
るため、多くの段数を有する蒸留塔を用い、大きな還流
比が必要とされる。従って、エネルギー的に不利であ
る。また段数が多くなると塔底圧力も高くなり、したが
って塔底の温度も高くなるが、極めて重合しやすいアク
リル酸をこのような高温にさらすことは好ましくない。
【0004】一方、二塔法では、水と酢酸をそれぞれ別
の蒸留塔を用いて分離するので、最適な蒸留条件及び蒸
留塔を用いることができ、エネルギー的にも有利であ
る。また、主な副生成物である酢酸を、酢酸分離用の蒸
留塔から回収できるという利点もある。更に、それぞれ
の塔の段数を少なくすることができるので、塔底温度を
低くすることが可能で、アクリル酸の重合防止の面から
も好ましい方法である。しかしながら、この二塔法によ
るアクリル酸精製プロセスにおいても、特に脱水蒸留塔
の塔底付近ではアクリル酸の重合が発生しやすく、安定
した運転はやはり困難であった。これを改良するため
に、特開平8−40974号公報には、共沸脱水蒸留塔
の缶出液中の水及び共沸溶剤の濃度を制御する方法が提
案されているが、数ケ月の連続運転を安定して行うため
には、依然不十分なものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アクリル酸水溶液を、
脱水蒸留塔を用いて脱水蒸留するに際して、アクリル酸
の重合を防止して、長期間安定に蒸留塔を運転すること
が可能となる操作条件を提供することが本発明の目的で
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うなアクリル酸の重合体が特定の部位に堆積して脱水蒸
留塔の長期連続運転が不可能になるという点に着目し蒸
留条件を種々検討した結果、脱水蒸留塔の特定部位の温
度を特定の範囲内に制御することによりアクリル酸の該
蒸留塔内での重合を防止できることを見出し、本発明に
至った。即ち、本発明の要旨は、アクリル酸の水溶液か
ら脱水蒸留塔を用いて脱水蒸留を行いアクリル酸を精製
するに際して、該脱水蒸留塔として理論段数が3段以上
の蒸留塔を使用し、かつその理論段2段目に相当する部
位の操作温度を50〜78℃とすることを特徴とするア
クリル酸の精製方法、に存している。
【0007】本発明の要旨は、理論段2段目に相当する
部位の操作温度を60〜73℃とする前記のアクリル酸
の精製方法、及び脱水蒸留塔の塔底温度を60〜90℃
とする前記のアクリル酸の精製方法、にも存している。
更に、本発明の他の要旨は、アクリル酸水溶液がプロピ
レン及び/又はアクロレインを分子状酸素によって接触
酸化して生成した反応ガスから得られた水溶液である上
記のアクリル酸の精製方法、及びアクリル酸水溶液の質
量濃度が40%以上である上記のアクリル酸の精製方
法、にも存しており、また本発明のもう一つの要旨は、
脱水蒸留に際して水と共沸する有機溶剤を用いる上述の
アクリル酸の精製方法、にも存している。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を詳細に説明する。 (1)アクリル酸水溶液 本発明の対象となるアクリル酸の水溶液としては、特に
限定されるものではないが、プロピレン及び/又はアク
ロレインを分子状酸素を用いて接触酸化して生成した反
応ガスを冷却及び/又は水に吸収して得られた粗アクリ
ル酸水溶液に適用するのが最も効果の得られる態様であ
る。以下、このようにして得られた粗アクリル酸水溶液
を精製する場合を例にとって説明を加える。既に述べた
通りプロピレン等の接触酸化により得られる粗アクリル
酸水溶液中には、目的物質であるアクリル酸の他、酢
酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の副
生成物を含有している。上記の酸化反応の転化率が高い
場合は、得られた粗アクリル酸水溶液にそのまま本発明
の方法を適用してもよいが、転化率が低い場合は、未反
応のアクロレインが水溶液中に混入して来るので、予め
これをストリッピング等によって除去しておくことが望
ましい。
【0009】(2)アクリル酸精製プロセス 本発明方法を適用するプロセスとしては、前述のよう
な、脱水蒸留塔と酢酸分離塔とを有する、二塔法のプロ
セスが好適である。このようなプロセスの一例のフロー
シートを図1に示す。以下、このフローシートに基づい
てプロセスの概要を説明する。プロピレン及び/又はア
クロレインを水蒸気の存在下、分子状酸素含有ガスによ
り、酸化触媒で接触酸化して得られた反応生成ガスを導
管1により、アクリル酸吸収塔(A)に導き、導管7に
て導入される水を主成分とする吸収液と接触させてアク
リル酸を吸収し、アクリル酸吸収塔の缶出液(導管2)
として粗アクリル酸水溶液が得られる。一般的には、ア
クリル酸の吸収効率を上げるため、導管2の缶出液の一
部を冷却してアクリル酸吸収塔にリサイクルされること
が多い(図示せず)。吸収液としては脱水蒸留塔の塔頂
留出液を用いるのが、排水量を少なくする上で好適であ
る。この粗アクリル酸水溶液はアクリル酸の他、酢酸、
ギ酸、ホルムアルデヒド等の酸化反応の副生成物や、未
反応のアクロレインを含むことがあるので、必要に応じ
て、アクロレイン放散塔に供給し、アクロレインを除去
する(図示せず)。
【0010】アクリル酸吸収塔の缶出液である粗アクリ
ル酸水溶液は、導管2により脱水蒸留塔(B)に導入さ
れる。脱水蒸留塔では、必要に応じ共沸溶剤を導管(図
示せず)から導入して(共沸)脱水蒸留により塔頂から
共沸溶剤、水及び酢酸の一部を含む塔頂ガスを発生さ
せ、これを冷却して塔頂留出液を得る。この留出液は相
分離され、共沸溶剤相は導管4を経て還流され、水相の
大部分はアクリル酸吸収塔の酸化反応ガスの吸収液とし
て再利用される(導管7)が、水相の一部は、水のバラ
ンスを取るために系外へ排出されることがある(導管
8)。脱水蒸留塔の缶出液中の水濃度は共沸溶剤の還流
量によって制御できる。共沸溶剤の還流量は水と共沸溶
剤との共沸組成から決定され、缶出液中の水の質量濃度
は1%以下に保つように運転するのが好ましい。共沸溶
剤の質量濃度は40%以下とするのがよい。
【0011】脱水蒸留塔の缶出液は、導管6により酢酸
分離塔(C)に供給される。ここで、軽沸点不純物の実
質的に全量が除去され、精製アクリル酸が塔底缶出液
(導管10)として得られる。該精製アクリル酸は次工
程(図示せず)にてアクリル酸エステルの原料等として
用いることができる。酢酸分離塔の塔頂から得られる酢
酸、共沸溶剤及びアクリル酸から実質的になる留出液
(導管9)は、含有するアクリル酸を回収するため脱水
蒸留塔にリサイクルされるのが一般的である。この酢酸
分離塔の留出液を、脱水蒸留塔にリサイクルする場合
は、脱水蒸留塔への供給位置も重要である。一般的に
は、酢酸とアクリル酸の濃度比率により、最適な供給段
が存在するが、酢酸とアクリル酸はその構造的類似性の
ため、その沸点の差から考えられるよりは蒸留分離が困
難で、酢酸分離塔の留出液にはアクリル酸が相当多量に
含まれることが多い。アクリル酸製造設備においては、
この酢酸分離塔の留出液を脱水蒸留塔へリサイクルする
前に、別途設けた酢酸の分離回収設備によって、精製酢
酸を分離し、残ったアクリル酸及び共沸溶剤を主成分と
する液をリサイクルしてもよい。
【0012】(3)脱水蒸留塔 本発明においては脱水蒸留塔として理論段数3段以上の
ものを使用する。理論段数の上限は特に限定されるもの
ではないが、設備費用等を考えて通常は50段以下のも
のを使用する。より好ましい理論段数は5〜20段であ
る。本発明に用いられる脱水蒸留塔は、その形成に特に
制限はなく、棚段塔や充填塔などが使用できる。棚段塔
の場合、上記の好ましい理論段数を与えるためには、通
常10〜50段程度のトレイが用いられる。本発明にお
いては、脱水蒸留塔の濃縮部に相当する、理論段2段目
に相当する部位の操作温度を50〜78℃という特定の
範囲に制御する。脱水蒸留塔の運転圧力は、アクリル酸
を高温にさらすことのないよう、塔頂圧力を絶対圧で1
3.3〜40.0kPa程度の減圧とするのが一般的で
ある。
【0013】本発明の方法を適用するのに好適な脱水蒸
留塔のトレイもしくは充填物としては、差圧が小さく、
効率が高いもの、そして重合しやすいものを蒸留すると
いう点からは、構造が単純で突起等の少ないものが好ま
しい。このようなトレイ、充填物の具体例としては、シ
ーブトレイ、デュアルトレイ、リップルトレイ、充填物
では、IMTP(インターロックスメタルタワーパッキ
ング(ノートン社))、CMR(カスケードミニリング
(ドッドウエル マーケッティング社))、メラパック
(住友重機械工業(株))が例示できるが、これらに限
定されるものではない。
【0014】(4)理論段2段目に相当する部位の温度
とその制御方法 本発明においては、脱水蒸留塔の理論段2段目に相当す
る部位の温度を、前述の通り50〜78℃に制御する。
この温度を超えた場合は、脱水蒸留塔の内部にアクリル
酸の重合体が生成・蓄積し、工業的に実施可能な程の長
期間にわたり、安定した運転を行なうことが困難とな
る。この温度より低い温度では蒸発速度が低下し、減圧
のための設備が過大なものとなったり、或は塔内での滞
留時間が長くなり、蒸留塔自体の容量が大きなものが必
要となる傾向となる。より好ましい理論段2段目に相当
する部位の操作温度は60〜73℃である。蒸留塔にお
いて、理論段数は塔底部から数えられるので、理論段2
段目に相当する部位は、塔底のリボイラー(理論段1段
目)の次の理論段に相当する、トレイ又は充填物の位置
のことになる。棚段塔の場合、トレイの種類、蒸留対象
物質等によりトレイ効率が異なり、一般には理論段一段
に対する実トレイ段は2〜5段に相当する。このよう
に、複数の実トレイが理論段一段に相当する場合は、本
発明では、「理論段の温度」として、該当する実トレイ
の最上段の温度を用いる。
【0015】例えば、トレイ効率25%のトレイを使用
するとき、理論段1段は実トレイ数4段に相当する。こ
の場合の“理論段2段目の温度”は、実トレイ段の下か
ら4段目の温度を意味する。充填物の場合は、理論段1
段に相当する充填高さが“h”の場合、充填物底部より
“1h”の位置の温度が“理論段2段目の温度”に該当
する(塔底のリボイラーが第1段であるので)。また脱
水蒸留塔の塔底温度は60〜90℃、好ましくは65〜
86℃とするのがよい。この温度が90℃を超えた場
合、塔底部にアクリル酸の重合体が生成しやすくなり、
一方、60℃未満では蒸発速度の低下等、設備面、運転
面で経済性が悪化する傾向となる。
【0016】なお、後述のように重合禁止剤を脱水蒸留
塔に供給した場合は、重合禁止剤の効果により塔底部で
の重合体生成はかなり抑制される。しかし、理論段2段
目の温度を上記の範囲とすることにより、塔底部から発
生する蒸気の温度が制御でき、従って重合禁止剤が存在
しないトレイ最下部における重合防止が期待できるとい
う効果も得られる。本発明の条件は脱水蒸留塔の運転開
始から維持されることが好ましい。運転途中から本発明
条件に移行したり、運転途中で本発明条件を逸脱し再び
本発明条件に復帰したりする操作を行なうと、本発明に
よる効果はあるものの本発明の条件を外れている間に形
成された重合体による重合促進効果を抑制することが困
難で、好ましくない。1ケ月間以上にわたるような長期
連続運転のためには本発明条件からの逸脱時間は120
時間以内であることが重要で、この時間以上逸脱した場
合は脱水蒸留塔内にアクリル酸重合体が生成・蓄積する
傾向となるので好ましくない。
【0017】本発明の範囲内に理論段2段目の温度を抑
制するためには、蒸留塔における塔底部の温度と理論段
2段の温度の相関を実験的に、もしくはコンピュータを
用いたシミュレーション等によって確認して、これに基
いて塔底部の温度を制御する方法を用いることができ
る。また、この際、理論段2段目に相当する部位に温度
計を設けて、所定の温度範囲から外れないよう監視する
方法を併用することが望ましい。塔底部の温度を調節す
る方法としては、リボイラの加熱負荷を変更するのが最
も簡便であるが、共沸溶剤等を塔底部等から脱水蒸留塔
内に供給する方法を用いてもよい。
【0018】本発明方法を適用するアクリル酸精製プロ
セスにおいて、例えば下記のようなエネルギー回収や生
成物回収のプロセスを組み合わせることは、本発明の目
的・効果を阻害しない限り、何ら制約されるものではな
い。 (a)酢酸分離塔の塔頂留出液の一部或いは全量を脱水
蒸留塔にリサイクルする。 (b)脱水蒸留塔の塔頂留出液の一部或いは全量をアク
リル酸吸収塔の吸収水として再利用する(得られた粗ア
クリル酸水溶液は脱水蒸留塔に供給されることにな
る)。 (c)脱水蒸留塔缶出液中に含まれる重合防止剤を再利
用するため、缶出液の一部を脱水蒸留塔にリサイクルす
る。
【0019】(5)共沸溶剤及び重合防止剤 本発明のアクリル酸精製方法においては、脱水蒸留を効
率よく行うために水と共沸する有機溶剤(共沸溶剤)を
用いるのが好ましい。本発明において用いることができ
る共沸溶剤としては、水、及び酢酸と共沸するトルエ
ン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、イソブチルエーテル、酢酸とは共沸しないが水と共
沸する酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソ
プロピル、メチルイソブチルケトン等があり、これらは
単独、或いは二種以上の混合物で使用される。本発明で
は、共沸溶剤の種類には特に制限はない。
【0020】一般に、共沸溶剤はアクリル酸の希釈剤と
なるので、重合防止の観点からは脱水蒸留塔内部や缶出
液中の共沸溶剤の濃度は高い方がよいが、その濃度は蒸
留に要するエネルギー負荷とのバランスで定めればよ
い。また、本発明方法においては、アクリル酸の重合防
止のために、蒸留塔の缶底液中に重合防止剤を共存させ
ておくのが好ましい。本発明方法に用いることのできる
重合防止剤としては特に制限はなく、例えばハイドロキ
ノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチア
ジン等のフェノール系、アミン系、或いは酢酸銅等の銅
系の重合防止剤を用いることができる。これらの重合防
止剤はアクリル酸、共沸溶剤、水、及び/又はこれらの
混合液として塔頂、及び/又は蒸留用の液供給段から供
給すればよい。また周知の通り、酸素もラジカル重合防
止剤として作用するので、分子状酸素を含有するガスを
蒸留塔の塔底から吹き込む方法も用いることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を
更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない
限り、以下の実施例によって限定されるものではない。 <実施例1>底部にリボイラー、塔頂部にコンデンサー
を有し、このコンデンサーの出口は真空装置に接続され
た直径1000mmの蒸留塔に、リップルトレイを30
段設置した。(トレイの番号は塔底側から1段目、2段
目、…とし、最も塔頂部寄りのトレイを30段目と呼
ぶ。)この30段のトレイは理論段数9段に相当する。
(従って蒸留塔としては、リボイラーの1段を加えて、
理論段数10段に相当する。)
【0022】蒸留用の原料液として用いたアクリル酸水
溶液(以下(A)液と略記する)は、質量濃度でアクリ
ル酸55%、酢酸1.5%、ホルムアルデヒド0.3%
及び若干のギ酸を含んでいた。共沸溶剤としてはトルエ
ンを用い、脱水蒸留塔の運転を行った。始めにトルエン
を用いて蒸留塔を安定させた後、(A)液を16段トレ
イに毎時1100kg、トルエンを蒸留塔の30段トレ
イに毎時3,100kg供給した。塔頂圧力は14.0
kPaに制御し、塔頂部から重合防止剤としてハイドロ
キノン及びフェノチアジンを供給して缶出液中の重合防
止剤濃度をハイドロキノン800ppm、フェノチアジ
ン500ppmになるように供給量を調整した。塔底に
は空気を毎時500リットル供給した。
【0023】塔頂のコンデンサーで凝縮された留出液は
デカンターで静置分離された後、共沸溶剤相は全量還流
し、水相は抜き出した。リボイラーの加熱源はゲージ圧
で196kPaのスチームを使用した。このようにし
て、トレイ3段目(理論段2段目)の温度を71℃、塔
底液の温度を83℃、塔頂温度を44℃として、この脱
水蒸留塔を3ケ月間連続して運転した。運転中に塔底か
ら抜き出した缶出液の質量組成は、アクリル酸の他に酢
酸2.3%、水0.6%、トルエン15%及び重合防止
剤が含まれていた。3ケ月後に運転を停止し蒸留塔を開
放点検したところアクリル酸の重合体は発見されなかっ
た。
【0024】<実施例2,3、比較例1>実施例1にお
いて塔頂圧力を表1に示すように変更したこと以外は実
施例1と同様にして脱水蒸留の実験を行った。トレイ3
段目(理論段2段目)及び缶出液温度と併せて、運転結
果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】<実施例4〜7、比較例2>実施例1にお
いて共沸溶媒の種類、及び塔頂圧力を表2に示すように
変更したこと以外は実施例1と同様にして脱水蒸留を行
った。トレイ3段目(理論段2段目)及び缶出液温度と
併せて、運転結果を表2に示す。 <実施例8>実施例1で用いた蒸留塔からトレイを取り
去って、メラパック(住友重機械工業(株)製)を充填
した。その他の条件は実施例1と同じとして、脱水蒸留
を実施した。理論段2段目に相当する部位の温度、及び
缶出液温度と併せて運転結果を表3に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】<結果の評価>上記の実施例1〜7より、
本発明方法で蒸留操作を行った場合は、3ケ月以上、最
長6ケ月間にわたって、安定した運転が継続できること
が判る。一方、理論段2段目の温度が本発明の範囲外と
なる比較例1、2では1ケ月又は2.5ケ月で差圧が上
昇して運転の継続ができなくなってしまった。更に、充
填塔とした実施例においては、一般に重合体の生成によ
り充填塔内の気液分散が乱れ工業的実用化は困難とされ
ていたが、本発明方法を用いることにより、重合体の発
生を抑制できたので、通常の蒸留と同様に実施できるよ
うになった。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、アク
リル酸の精製プロセスの脱水蒸留塔において、アクリル
酸の重合を効果的に防止することが可能となり、長期間
にわたって安定した運転を行なうことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用することができるアクリル酸
精製プロセスの一例を示すフローシート
【符号の説明】
A アクリル酸吸収塔 B 脱水蒸留塔 C 酢酸分離塔 1 導管(酸化反応生成ガス) 2 導管(アクリル酸吸収塔缶出液) 3 導管(脱水蒸留塔塔頂ガス) 4 導管(塔頂留出液から分離された共沸溶剤相) 5 導管(塔頂留出液から分離された水相) 6 導管(脱水蒸留塔缶出液) 7 導管(アクリル酸吸収塔吸収液) 8 導管(水相(排水)) 9 導管(酢酸分離塔留出液) 10 導管(酢酸分離管缶出液(精製アクリル酸))
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠松 弘司 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 坂倉 康之 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 高橋 潔 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4H006 AD11 AD12 BC51 BE60

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸の水溶液から脱水蒸留塔を用
    いて脱水蒸留を行いアクリル酸を精製するに際して、該
    脱水蒸留塔として理論段数が3段以上の蒸留塔を使用
    し、かつその理論段2段目に相当する部位の操作温度を
    50〜78℃とすることを特徴とするアクリル酸の精製
    方法。
  2. 【請求項2】 理論段2段目に相当する部位の操作温度
    を60〜73℃とする請求項1に記載のアクリル酸の精
    製方法。
  3. 【請求項3】 脱水蒸留塔の塔底温度を60〜90℃と
    する請求項1又は2に記載のアクリル酸の精製方法。
  4. 【請求項4】 アクリル酸水溶液がプロピレン及び/又
    はアクロレインを分子状酸素によって接触酸化して生成
    した反応ガスから得られた水溶液である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のアクリル酸の精製方法。
  5. 【請求項5】 アクリル酸水溶液の質量濃度が40%以
    上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル
    酸の精製方法。
  6. 【請求項6】 脱水蒸留に際して水と共沸する有機溶剤
    を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル
    酸の精製方法。
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