JP5083999B2 - メタクリル酸メチルの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクリル酸メチルの製造法に関し、さらに詳しくは実質的にジケトン類および窒素化合物を含まないメタクリル酸メチルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル酸メチルは有用なプラスチック原料として重用されており、特に最大の特徴である透明性を活かした光ファイバー、導光板等の光学材料やキャスト板に対しては、原料モノマーであるメタクリル酸メチルへの要求品質も厳しくなっている。透明性の確保には、該原料モノマーであるメタクリル酸メチル中の着色原因物質であるジケトン類を除去することが好ましいと考えられている。
【0003】
一方、メタクリル酸メチルの製造方法も進歩している。古くは重硫安の副生を伴うACH法に始まり、イソブチレン及びまたはt−ブチルアルコールを酸化してメタクロレインとし、これを再び酸化してメタクリル酸とした後、メタノールと反応させる方法、さらに進歩したメタクロレインとメタノールと酸素により一挙にメタクリル酸メチルを製造する方法も工業化されている。いずれの方法においても、メタクリル酸メチルを製造する際の副反応によりジケトン類がメタクリル酸メチルに含有されるため、ジケトン類を除去することが重要となる。
【0004】
メタクリル酸メチルに含有されるジケトン類の一つであるジアセチルの除去方法として、従来、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩にて処理し有機スルホン酸塩として除去する方法(特開平7−278053号公報)、非芳香族1,2−ジアミンで処理する方法(特開平8−169862号公報)、3つ以上の1級または2級のアミノ基を分子内にもつ脂肪族化合物と反応させた後、該反応生成物を除去する方法(特開2000−256265号公報)、更には、(メタ)アクリル酸エステルに多孔性を有する架橋型吸着樹脂を接触させる方法(特開2001―122826号公報)などが提案されている。
【0005】
しかしながら亜硫酸ナトリウムの様な無機塩にて処理する方法(特開平7−278053号公報)は、処理した後にメタクリル酸メチルを蒸留分離する際、メタクリル酸メチル中に残留する未反応の亜硫酸塩が蒸留塔のトレイやリボイラーの汚れの原因となる為、好ましくない。
【0006】
非芳香族1,2−ジアミンで処理する方法(特開平8−169862号公報)は、ジアセチルとの反応にメタクリル酸といった酸を触媒として必要とする。さらにエチレンジアミン等のアミン化合物は、メタクリル酸メチル中に含まれると、該アミン化合物自体がメタクリル酸メチルポリマーの着色原因となる難点を有するため除去しなくてはならないが、エチレンジアミンの沸点が117℃とメタクリル酸メチルの沸点100℃に近く、メタクリル酸メチルとエチレンジアミンとの分離に多くの蒸留段数や多大なエネルギーを必要とする。
【0007】
また、3つ以上の1級または2級のアミノ基を分子内にもつ脂肪族化合物と反応させた後、該反応生成物を除去する方法(特開2000−256265号公報)では、メタクリル酸メチルとアミノ基を分子内にもつ高沸点の脂肪族化合物との分離に有利であるが、ジアセチル0.5ppm未満のメタクリル酸メチルを製造しようとすると多量の薬剤を必要とし、薬剤の添加量を減らす場合は、長時間の反応時間を必要とする。更に、この方法により本発明の目的とするジアセチル濃度0.1ppm未満かつ窒素化合物0.2ppm未満のメタクリル酸メチルを得ることは困難であった。
【0008】
一方、架橋型吸着樹脂を接触させて処理する方法(特開2001―122826号公報)は、目的不純物を除去する為には大量の吸着樹脂を必要とし、工業的にも経済的にも好ましい方法とは言えなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ジケトン類および窒素化合物を実質的に含まないメタクリル酸メチルを工業的にかつ効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは、このような課題を解決し、工業的にかつ効率よく目的を実現するため、種々検討した結果、粗メタクリル酸メチルに含まれるジケトン類と、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミン、例えば2−アミノエタノールとを反応部において反応させ、該反応で得られた反応液を蒸留し、最初にメタクリル酸メチルよりも低沸点のものを留去し、塔底液を次の蒸留塔に供給し、塔頂よりメタクリル酸メチルを得るとともに、塔底抜き出し液の一部を該反応部に循環させたところ、塔頂より得られたメタクリル酸メチル中のジアセチル濃度は0.1ppm未満かつ全窒素量は0.2ppm未満になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、以下の(1)〜(6)からなる。
(1)メタクリル酸メチルを製造する方法において、メタクロレインとメタノールと酸素により、液相にてメタクロレインを酸化的エステル化し、ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルを製造し、該ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルと、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンを、反応操作部において反応させ、得られた反応液を蒸留操作部において蒸留し、メタクリル酸メチルよりも低沸点のものを塔頂より留出させ、塔底液を次の蒸留塔にて蒸留し、ジケトン類および窒素化合物を実質的に含まないメタクリル酸メチルを留出液として得るとともに、塔底抜き出し液の一部を該反応操作部に循環させることを特徴とするメタクリル酸メチルの製造法。
【0013】
)前記メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンが2−アミノエタノールである()記載のメタクリル酸メチルの製造法。
【0014】
)得られたメタクリル酸メチル中のジアセチル濃度が0.1ppm未満でありかつ全窒素濃度が0.2ppm未満である(1)又は(2)記載のメタクリル酸メチルの製造法。
【0015】
)前記粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンの反応において、脂肪族アミンを、粗メタクリル酸メチル中の除去すべきジケトン類に対する該脂肪族アミン中のアミノ基として1〜10モル倍量の範囲で加える(1)〜()のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造法。
【0016】
)前記ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンとの反応操作および蒸留操作をフェノチアジン、ジ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、N−オキシル基を有する化合物から選択される少なくとも1種の重合防止剤の存在下で実施する(1)〜()のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造法。
【0017】
以下、図1および図2を用いて本発明を具体的に説明する。
図1において、1はメタクリル酸メチルの製造工程において反応生成したメタクリル酸メチルを含む反応液から未反応または副生メタクリル酸等の高沸点物を除去した後の粗メタクリル酸メチルであり、これはジケトン類を含む。粗メタクリル酸メチルとは、ジケトン類以外に、例えばイソ酪酸メチルやアクリル酸メチル等のメタクリル酸メチルよりも低沸点の不純物を含むメタクリル酸メチルである。ジケトン類とは、ジアセチル、メチルプロピルジケトンのように1分子内に隣接する2個のケトン基を有する化合物である。2は、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンである。脂肪族アミン中に不純物として含まれるメタクリル酸メチルの沸点に近いアミン化合物を予め蒸留等の分離手段にて除去した高沸点の脂肪族アミンを使用することもできる。
【0018】
粗メタクリル酸メチル1と脂肪族アミン2を反応部Aに供給し、反応部Aにて反応させる。粗メタクリル酸メチル1と脂肪族アミン2は、混合した後に反応部Aに供給しても良いし、それぞれ個別に供給しても良い。ここで反応温度は、60〜100℃が望ましい。反応部Aの形状には特に制約はなく、粗メタクリル酸メチル1と脂肪族アミン2を混合できるならば、撹拌槽型であっても良いし、チューブラー型であっても良い。得られた反応液3を蒸留操作部の蒸留塔Bに供給する。蒸留塔Bは、塔底温度60〜100℃、望ましくは70〜90℃となるよう圧力を調整して蒸留する。イソ酪酸メチルやアクリル酸メチルのような低沸点物をメタクリル酸メチルとともに塔頂留出液4として蒸留塔Bの塔頂より抜き出す。添加した脂肪族アミン2中に含まれるメタクリル酸メチルよりも低沸点のアミン化合物のうち、ジケトン類との反応により高沸点化しなかった残存低沸点アミン化合物も塔頂留出液4に含まれ、蒸留塔Bの塔頂より抜き出される。更に、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンであっても、反応操作や蒸留操作により一部分解し、メタクリル酸メチルよりも低沸点化した場合も蒸留塔Bの塔頂より抜き出される。塔頂留出液4に含まれるメタクリル酸メチルは、別途他の工程にて回収できる。
【0019】
塔底液5は、次の蒸留塔Cに供給され、塔頂よりジケトン類および窒素化合物を実質的に含まないメタクリル酸メチルを得る。本発明において実質的にジケトン類を含まないとは、ジアセチル0.1ppm未満であることをいう。好ましくは、ジアセチル0.1ppm未満で、かつメチルプロピルジケトン0.1ppm未満であることが望ましい。また、実質的に窒素化合物を含まないとは、全窒素にて0.2ppm未満であることをそれぞれいう。メタクリル酸メチルポリマーの原料であるメタクリル酸メチル中に含まれるジケトン類および窒素化合物等の着色原因物質を上記の範囲とすることで、透明性に優れたメタクリル酸メチルポリマーを得ることができる。蒸留塔Cは、塔底温度60〜100℃、望ましくは70〜90℃となるよう圧力を調整し蒸留する。
【0020】
蒸留塔Cの塔底抜き出し液の一部である塔底循環液7は、反応部Aに循環させる。反応部Aに直接供給しても良いし、粗メタクリル酸メチル1及び/又は脂肪族アミン2と混合した後に反応部Aに供給しても良い。塔底抜き出し液を、再度反応部Aに循環させる事により、未反応の脂肪族アミンの大部分を効率よくジケトン類との反応に再利用することができるとともに、反応部Aにおける脂肪族アミンの濃度を高めてジケトン類との反応を促進することができる。塔底抜き出し液8の流量に対する塔底循環液7の流量は、粗メタクリル酸メチル1中のジケトン類の量と脂肪族アミン2の添加量、さらには重合禁止剤の添加流量によって自由に設定可能であるが、例えば0.1から10とすることができる。塔底抜き出し液8は、主にメタクリル酸メチルであり、脂肪族アミンを含む。別途他の工程にて、塔底抜き出し液8よりメタクリル酸メチルを回収できる。
【0021】
ここで反応操作部とは、反応部Aの液ホールド容積および、蒸留塔Bのうち反応液3の供給部より下段とリボイラーを含む塔底部分の液ホールド容積、並びに蒸留塔Bの塔底から蒸留塔Cまでの配管部分と蒸留塔Cのリボイラーを含む塔底部分の液ホールド容積の合計となる。反応操作部における滞留時間は、5分〜5時間、特に15分〜3時間の範囲が望ましい。また、蒸留操作部とは、蒸留塔Bのうち、反応液3の供給部よりも上方、および蒸留塔Cの塔底よりも上部の部分の両方を指す。蒸留塔の型式は、例えば棚段塔、充填塔を使うことができる。
【0022】
次に図2について説明する。図2において、9は、メタクリル酸メチルの製造工程において反応生成したメタクリル酸メチルを含む反応液から、未反応あるいは副生メタクリル酸等の高沸点物を除去した後の粗メタクリル酸メチルであり、ジケトン類を含む。10は、脂肪族アミンである。この場合、蒸留塔Dの脂肪族アミン10の供給段よりも下段およびリボイラーを含む塔底部分の液ホールド量および蒸留塔Dの塔底から蒸留塔Eまでの配管部分並びに蒸留塔Eのリボイラーを含む塔底部分の液ホールド量が反応操作部となる。また蒸留塔Dの脂肪族アミン10の供給段よりも上段の部分、および蒸留塔Eの塔底よりも上段部分が蒸留操作部になる。
【0023】
粗メタクリル酸メチル9の供給位置よりも下側に脂肪族アミン10の供給位置を配置することにより、メタクリル酸メチルよりも低沸点のジアセチルのようなジケトン類の少なくとも一部を、予め粗メタクリル酸メチル中のイソ酪酸メチルやアクリル酸メチルのような低沸点化合物と共に蒸留分離し、脂肪族アミンを効率よくメタクリル酸メチル中のジケトン類との反応に使用することができる。また脂肪族アミン10の中に含まれるメタクリル酸メチルよりも低沸点の不純物アミン化合物を蒸留により除去できる。該低沸点化合物は、蒸留塔Dの塔頂より塔頂抜き出し液11として抜き出される。更に、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンであっても、反応操作や蒸留操作により一部分解し、メタクリル酸メチルよりも低沸点化した場合も蒸留塔Dの塔頂より抜き出される。蒸留塔Dの塔底液12は、次の蒸留塔Eの塔底へ供給される。蒸留塔Eにおいて、ジケトン類および窒素化合物を実質的に含まないメタクリル酸メチルを塔頂留出液13として抜き出し、蒸留塔Eの塔底抜き出し液の一部である塔底循環液14は、脂肪族アミン10とともに蒸留塔Dの反応操作部に循環される。塔底抜き出し液を、再度反応操作部に循環させることにより、未反応脂肪族アミンの大部分を効率よくジケトン類との反応に再利用することができるとともに、反応操作部における脂肪族アミンの濃度を高めてジケトン類との反応を促進することができる。塔底抜き出し液15の流量に対する塔底循環液14の流量は、粗メタクリル酸メチル9中のジケトン類の量と脂肪族アミン10の添加量、さらには重合禁止剤の添加流量によって自由に設定可能であるが、例えば0.1から10とすることができる。反応操作部の滞留時間は、5分〜5時間、特に15分〜3時間の範囲が望ましい。
【0024】
本発明において、粗メタクリル酸メチルを製造する方法としては、特に限定するものではないが、好ましい製造方法としては、メタクロレインとメタノールと酸素により、液相にてメタクロレインを酸化的エステル化してメタクリル酸メチルを製造する方法が挙げられる。
【0025】
また、メタクリル酸メチルより高沸点の脂肪族アミンとしては、2−アミノエタノール、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられ、この中でも特に2−アミノエタノール(沸点170.5℃)が好ましい。
【0026】
粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンの反応における脂肪族アミンの添加量としては、粗メタクリル酸メチル中の除去すべきジケトン類に対して脂肪族アミンのアミノ基が1〜10モル倍量であることが好ましい。
【0027】
さらに、粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンとの反応操作及び蒸留操作は重合防止のため、フェノチアジン、ジ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、N−オキシル基を有する化合物から選択される少なくとも1種の重合防止剤の存在下で実施することが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明の方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。%およびppmは表示のない限り、重量基準によるものである。
【0029】
また、ジアセチルの定量、全窒素分析、メタクリル酸メチルの着色評価およびメタクリル酸メチルポリマーの着色評価は以下のように行なった。
【0030】
<ジアセチル含有量の定量>
ジアセチル含有量の定量分析には、島津製ガスクロマトグラフ14B型、及び化学品検査協会より市販されているG―950カラムを使用した。定量下限は0.1ppmであった。
【0031】
<全窒素分析>
メタクリル酸メチル中の全窒素分析には、三菱化学製の微量全窒素分析装置TN―100を使用した。メタクリル酸メチル中の窒素化合物の定量下限は0.2ppmであった。
【0032】
<メタクリル酸メチルの着色評価>
メタクリル酸メチルの着色の度合いを比較する方法は、JIS−K6716に従い、塩化白金カリウムと塩化コバルトを濃塩酸に溶解し蒸留水にて希釈したものを標準液とし、希釈度合いによりAPHAの数字で着色度合いと対比させたものを指標として評価した。蒸留水をAPHA値0とし、順次標準液の蒸留水による希釈度合いを少なくし、APHA値5、10、15、20の標準液を準備した。
【0033】
<メタクリル酸メチルポリマーの着色評価>
メタクリル酸メチルを重合し、メタクリル酸メチルポリマーとした時の着色の評価方法は、下記の方法により、長さ55cm、幅10cm、厚さ5mmのメタクリル酸メチルポリマーの板をつくり、長手方向を目視、および長光路透過色測定器にて比較した。
(メタクリル酸メチルポリマーの板の作製方法)
2枚のガラス板にガスケットをはさみ、クランプで締め付け、隙間の均一な空間をつくった。メタクリル酸メチルに重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.05%相当添加し、混合した。ロートを使い、ガラス板の間に重合開始剤を混合したメタクリル酸メチルを流し込んだ。2枚のガラス板をクランプにて増し締めしながらエアー抜きを行い密封した。ガラス板ごと50±1℃の温水に6時間入れ、次いで115±1℃の恒温槽中に2時間入れて重合した。自然冷却させた後、ガラス板よりメタクリル酸メチルポリマーの板を取り外して長さ55cm、幅10cmの板を切り出した。長手方向の両端面をヤスリとバフを使って研磨して仕上げた。
長光路透過色測定器は、日本電色工業株式会社製ASA―2型を使用した。評価指標としては、JIS―K7103プラスチックの黄色度及び黄変度試験方法に記載の、黄色度YIを長光路透過色測定器による測定結果より計算した数値として表し、比較評価した。
【0034】
【実施例1】
ガラス製のオールダーショウ蒸留塔2本を図2のように接続した。2本とも内径2インチ、40段の棚段塔型式であり、蒸留塔Dは、塔頂より20段目に粗メタクリル酸メチル9の供給口、塔頂には凝縮器を有し減圧下で液抜きできる装置を備え、塔底には液面計でコントロールされた減圧下で塔底液12を抜き出す装置および加熱設備を有する。更に塔頂より30段目に脂肪族アミン10の供給口を有する。蒸留塔Eは塔頂より40段目に蒸留塔Dの塔底液12の供給口を有し、塔頂には凝縮器を有し減圧下で塔頂留出液13を抜き出す装置、塔底には、液面計でコントロールされた減圧下で塔底液を抜き出す設備および加熱設備を有する。塔底抜き出し液の一部である塔底循環液14を脂肪族アミン10とともに蒸留塔Dに循環できるように設置した。
【0035】
ジケトン類としてジアセチル200ppmを有する粗メタクリル酸メチル9を、毎時1000g蒸留塔Dに供給した。この液は、黄色に着色しており、色数を表す標準液との目視での比較からAPHA値は20以上であった。脂肪族アミン10として2−アミノエタノールを毎時0.4g注入した。蒸留塔Dは塔底温度80℃となるように減圧度を調節した。塔頂より、塔頂留出液11を毎時20g抜き出し、残りは塔底より、塔底液12として抜き出し、蒸留塔Eへ供給した。蒸留塔Eの塔底より毎時360g抜き出し、その内毎時300gを蒸留塔Dの脂肪族アミン10とともに循環させた。蒸留塔D、Eの運転は重合防止の為、塔頂還流液にハイドロキノンを連続的に添加して実施した。
【0036】
その結果、蒸留塔Eの塔頂より、メタクリル酸メチルを毎時920g取得し、そのジアセチル濃度は0.1ppm未満でありかつ全窒素濃度は0.2ppm未満であった。連続5日間運転を行い、蒸留塔Eの塔頂より得たメタクリル酸メチル13中のジアセチル濃度は、0.1ppm未満かつ全窒素濃度0.2ppm未満を維持した。色は無色透明であり、色数を表す標準液との目視での比較からAPHA値は、5以下であった。また閉塞や汚れ等、重合によるトラブルもなかった。この条件において粗メタクリル酸メチル中に含まれて供給されるジアセチルに対する、脂肪族アミン10として供給されるアミノ基のモル比は2.8であった。
【0037】
蒸留塔Eの塔頂より得られたメタクリル酸メチルを重合しメタクリル酸メチルポリマーの板を作製したところ、目視にて無色透明であった。また長光路透過色測定器により測定して求めた黄色度YIは、5.5であった。
【0038】
【比較例1】
還流冷却器と攪拌機を備えたフラスコに、ジアセチル192ppmを含むメタクリル酸メチル60gとジエチレントリアミン(沸点208℃)2.0wt%含むメタクリル酸メチル60gを添加した。ジアセチル192ppmを含むメタクリル酸メチルは、黄色に着色しており、色数を表す標準液との目視比較からAPHA値は20以上であった。両液には、N−オキシル基を有する化合物である4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルを重合禁止剤としてそれぞれ100ppm添加し、予めそれぞれ80℃に保ち、かつフラスコへ添加後もオイルバスによりフラスコ内の液温度を80℃に保ち、かつ攪拌した。両液を添加後の、ジアセチルに対するアミノ基のモル比は、261であった。添加した時刻を反応開始時刻とし、ジアセチル濃度の経時変化を追いかけた。添加直後のジアセチル濃度は110ppm、添加10分後のジアセチル濃度は1.9ppm、添加100分後のジアセチル濃度は、1.1ppmであった。この反応液を蒸留し、留出したメタクリル酸メチルをガスクロ分析したところ、ジアセチル濃度は1.3ppmあり、APHA値は5と10の間であった。
【0039】
【比較例2】
実施例1において、蒸留塔Eの塔底からの抜き出しを毎時60gとし、蒸留塔Dへの循環を止めた。更に脂肪族アミンとしてジエチレントリアミンを使用した以外は、実施例1と同様に運転した。その結果、蒸留塔Eの塔頂より得たメタクリル酸メチル13中のジアセチル濃度は、0.4ppmあり、色数を表す標準液との目視での比較からAPHA値は、5から10の間であった。また、全窒素の値は、0.2ppm未満であった。この条件において粗メタクリル酸メチル中に含まれて供給されるジアセチルに対する、脂肪族アミン10として供給されるアミノ基のモル比は5.0であった。
蒸留塔Eの塔頂より得られたメタクリル酸メチルを重合し、メタクリル酸メチルポリマーの板を作製し実施例1で作製した板と比較したところ、明らかに黄色に着色していた。黄色度YIの値は、10.1あった。
【0040】
【比較例3】
実施例1において、脂肪族アミンの添加位置を液10の位置から、液12の位置に変更し、脂肪族アミン中の、メタクリル酸メチルよりも低沸点の不純物を蒸留塔Dにて除去することなしに蒸留塔Eへ直接供給した。脂肪族アミンとしてジエチレントリアミンを使用し、添加量を毎時1.2gとした以外は、実施例1と同様に運転した。その結果、蒸留塔Eの塔頂より得たメタクリル酸メチル13中のジアセチル濃度は0.1ppm未満となった。色数を表す標準液との目視での比較からAPHA値は5以下であった。全窒素の値は、0.6ppmあった。
蒸留塔Eの塔頂より得られたメタクリル酸メチルを使い、メタクリル酸メチルポリマーの板を作製し、実施例1で作製した板と比較したところ、明らかに黄色の着色を有していた。黄色度YIの値は、16.9であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、メタクリル酸メチル中の着色原因物質となるジケトン類およびメタクリル酸メチルポリマーの着色原因となる窒素化合物を充分に除去でき、モノマー、ポリマー共に透明性に優れたメタクリル酸メチルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメタクリル酸メチルの製造法の具体的な一例を示す図である。
【図2】本発明のメタクリル酸メチルの製造法の具体的な他の一例を示す図である。
【符号の説明】
A 反応部
B、C、D、E 蒸留塔
1、9 粗メタクリル酸メチル
2、10 脂肪族アミン
3 反応液
4 蒸留塔Bの塔頂留出液
5 蒸留塔Bの塔底液
6 蒸留塔Cの塔頂留出液
7 蒸留塔Cの塔底循環液
8 蒸留塔Cの塔底抜き出し液
11 蒸留塔Dの塔頂留出液
12 蒸留塔Dの塔底液
13 蒸留塔Eの塔頂留出液
14 蒸留塔Eの塔底循環液
15 蒸留塔Eの塔底抜き出し液

Claims (5)

  1. メタクリル酸メチルを製造する方法において、メタクロレインとメタノールと酸素により、液相にてメタクロレインを酸化的エステル化し、ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルを製造し、該ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルと、メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンを、反応操作部において反応させ、得られた反応液を蒸留操作部において蒸留し、メタクリル酸メチルよりも低沸点のものを塔頂より留出させ、塔底液を次の蒸留塔にて蒸留し、ジケトン類および窒素化合物を実質的に含まないメタクリル酸メチルを留出液として得るとともに、塔底抜き出し液の一部を該反応操作部に循環させることを特徴とするメタクリル酸メチルの製造法。
  2. 前記メタクリル酸メチルよりも高沸点の脂肪族アミンが2−アミノエタノールである請求項1記載のメタクリル酸メチルの製造法。
  3. 得られたメタクリル酸メチル中のジアセチル濃度が0.1ppm未満でありかつ全窒素濃度が0.2ppm未満である請求項1又は2記載のメタクリル酸メチルの製造法。
  4. 前記粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンの反応において、脂肪族アミンを、粗メタクリル酸メチル中の除去すべきジケトン類に対する該脂肪族アミン中のアミノ基として1〜10モル倍量の範囲で加える請求項1〜のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造法。
  5. 前記ジケトン類を含有する粗メタクリル酸メチルと脂肪族アミンとの反応操作および蒸留操作をフェノチアジン、ジ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、N−オキシル基を有する化合物から選択される少なくとも1種の重合防止剤の存在下で実施する請求項1〜のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造法。
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