以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、本実施の形態では、画像形成装置として複合機(多機能処理装置)を例に説明するが、本願発明の画像形成装置はこれに限定されるものでなく、一般的なプリンタや複写機、ファクシミリ装置等であっても良い。
図1は、本実施の形態に係る複合機を含む印刷システムの構成図である。
この複合機100は、大別してスキャナ部101、コントローラ102,プリンタ部103及び操作部104を有している。スキャナ部101は、原稿を読取って画像データとして入力する。コントローラ102は、スキャナ部101から入力した画像データに画像処理を施してメモリ(記憶部)105に格納し、その画像データをプリンタ部103に出力して印刷したり、或はネットワーク106を介して他の機器に送信する等の制御を行う。このコントローラ102はCPU110を有している。このCPU110に関しては詳しく後述する。操作部104は、スキャナ部101により入力される画像データの印刷条件や、その画像データの処理要求などを、ユーザが設定するのに使用される。プリンタ部103は、供給される画像データに応じて記録シートに可視化された画像を印刷する。この複合機100はネットワーク106を介して、画像データを管理するサーバ107や、プリント指示などを発行するPC(パーソナルコンピュータ)108などと接続されている。この複合機100は、複写機、ネットワークプリンタ、画像読取り装置、画像データを記憶するストレージとして機能している。
図2は、この実施の形態に係る複合機のコントローラのCPUの詳細構成を説明する図である。
このCPU110は、CPUコア201、メモリコントローラ204、バスコントローラ403を含んでいる。CPUコア201は、システムクロックを逓倍して高速なCPUのクロック信号(駆動クロック)を生成するPLL(Phase Locked Loop)部203と、キャッシュ202(命令キャッシュ、データキャッシュ)を含んでいる。また、CPUコア201とバスコントローラ403はフロントサイドバス205を介して結ばれ、メモリコントローラ204とバスコントローラ403はメモリバス206を介して接続されている。メモリコントローラ204は、DRAM406へのデータの読書きを制御している。またバスコントローラ403は、システムバス207やイメージバス208と接続され、CPU110からの外部デバイスへのアクセスや、外部デバイスからのDRAM406へのデータの読書きを可能にしている。CPU電源209は、CPU110の外部に設けられており、コントローラ電源442(図4)から供給される電力を、電圧を低下させてCPUコア201へ供給する。このCPU電源209は、CPU110からの指示に応じて、複数の電圧値を有する電源電圧をCPUコア201に供給することができる。
図3は、本実施の形態に係る複合機の全体構成を説明する図で、図3(A)は原稿台上面図、図3(B)は、構造断面図、図3(C)は、原稿台の側面図である。
この複合機100は、コピー、プリント、FAXのそれぞれの機能を有している。図3において、前述のスキャナ部101は、スキャナ301と、ドキュメントフィーダ(DF)302とを有し、プリンタ部103は、カラー4色ドラムを備えるプリント記録用のプリンタエンジン313と、給紙デッキ314とフィニッシャ315を有している。
まずスキャナ部101について説明する。原稿台に原稿をセットして読み込みを行なう場合には、原稿台307に原稿をセットしてDF302を閉じる。これにより開閉センサ340が原稿台が閉じられたことを検知する。そしてスキャナ301の筐体内にある反射式の原稿サイズ検知センサ331〜335(図3(A))が、そのセットされた原稿のサイズを検知する。この検知されたサイズに基づいて光源310を点灯して原稿を照射し、反射板311、レンズ312を介してCCD343上に原稿の画像を結像する。こうしてCCD343で読み取られてデジタル信号に変換された画像信号は、所望の画像処理が施された後、レーザ記録信号に変換される。こうして得られた画像信号はまた、後述する図4で説明するように、コントローラ102のメモリ105に格納される。
またDF302に原稿をセットして読み込む場合は、DF302の原稿セット部303のトレイに原稿を、画像面を上(フェースアップ)にして載置すると、原稿有無センサ304が原稿がセットされたことを検知する。これにより原稿給紙ローラ305が回転駆動されて搬送ベルト306が移動して原稿を搬送し、原稿台307上の所定の位置に原稿がセットされる。そして原稿台上の原稿が読み取られて、その画像データがコントローラ102のメモリ105に格納される。こうして1枚の原稿の読み込みが完了すると、再び搬送ベルト306が移動されて図3の右側に原稿を送り、排紙側の搬送ローラ308を経由して排紙トレイ309へ、その原稿を排紙する。原稿セット部303に複数枚の原稿がセットされている場合は、原稿台から原稿が図の右側に搬送されるのと同時に、給紙ローラ305を経由して左側から次の原稿が給送される。こうして原稿の読み込みが連続的に行なわれる。
次にプリンタ部103について説明する。紙などで構成される記録媒体(記録シート)は、プリンタエンジン313の下部に装着されたカセット318、或は給紙デッキ314から給紙される。カセット318から給紙する場合は、各カセットに対応して配置された給紙ローラ対341により記録シートを給紙搬送路319へ搬送する。また給紙デッキ314から給紙する場合は、給紙デッキ314の給紙ローラ対342により記録シートを給紙搬送路319へ搬送する。そして記録シートがレジローラ対344の位置まで搬送されると中間転写ベルト321との同期をとるために一旦停止される。尚、このように、レジローラ対344の位置に転写待ちの記録シートが存在している状態で、次のページの印刷のための記録シートをカセット318或は給紙デッキ314から給紙することができる。この場合には、レジローラ対344の位置に留まっている記録シートが再び搬送を開始するまで、給紙搬送路319の途中で、次の記録シートを留めておくことができる。このように給紙する複数の記録シートの印刷間隔を短くすることができ印刷効率を高めることができる。これを先行給紙と呼ぶ。
次に像形成処理について説明する。コントローラ102のメモリ105に一旦記憶された記録信号(印刷用画像データ)はプリンタエンジン313に転送され、レーザ記録部でY(黄色)、M(マゼンタ)、C(シアン)、黒の4色のレーザ光に変換される。そして、各レーザ光は、それぞれ対応する感光体316に照射され、各感光体に、各色に対応する静電潜像を形成する。各静電潜像は、トナーカートリッジ317から供給される、対応する色のトナーにより現像されて可視化されたトナー画像となり、これら各色のトナー画像は、中間転写ベルト321に重畳されて一次転写される。その後、中間転写ベルト321は時計回り方向に一定速度で回転され、中間転写ベルト321が所定の位置まで回転したところで、レジローラ対344の位置にある記録シートの搬送が開始される。ここで所定の位置とは、中間転写ベルト321上に転写された画像の先端が二次転写位置320に来たときに、記録シートの先端が二次転写位置320へ搬送される位置である。こうして、二次転写位置320において、中間転写ベルト321上の画像が記録シートへ転写される。
こうしてフルカラーの画像が転写された記録シートは定着器322に送られ、加圧と熱によりトナーが定着される。こうしてトナー像が定着された記録シートは、排紙搬送路を搬送された後、フェイスダウンのセンタートレイ323か、スイッチバックしてフィニッシャへの排紙口324か、或はフェイスアップのサイドトレイ325へ排紙される。但し、サイドトレイ325は、フィニッシャ315が未装着の場合にのみ排紙可能な排紙口である。フラッパ326,327は、これらの排紙口を切り替えるために搬送路を切り替えるためのものである。両面プリントの場合には、記録シートが定着器322を通過した後に、フラッパ327が搬送路を切り替える。その後、記録シートがスイッチバックして下方に送られ、両面印刷用の搬送路330を経て再び二次転写位置320に給送され、両面印刷が実現される。
続いてフィニッシャ315で行われる動作について説明する。
フィニッシャ315では、ユーザにより指定された機能に応じて、印刷済みの記録シートに対して後処理を行う。具体的には、ステープル(1個所・2箇所綴じ)やパンチ(2穴・3穴)、製本中綴じ等の処理を行う。本実施の形態に係る複合機100では、排紙トレイ328が2つある。フィニッシャ315への排紙口324を通過してきた記録シートは、ユーザの設定によって、例えばコピー、印刷、FAXの機能毎に排紙トレイが振り分けられる。
尚、本実施の形態では、プリンタエンジン313は、カラー4ドラムのプリンタとしたが、カラー1ドラムのプリンタエンジンでも良いし、白黒記録のプリンタエンジンでも良い。また、この複合機100がプリンタとして使用される場合、使用するプリンタドライバに応じて、白黒プリント/カラープリント、用紙サイズ、2UP・4UP印刷・N−UP印刷、両面印刷が可能である。更に、ステープル、パンチ、製本中綴じ、合紙、表紙、裏表紙などの各種設定も可能である。
次に本実施の形態に係る複合機のスキャナ部101やプリンタ部103、ネットワークインターフェース部の制御を行うコントローラ102のハードウェア構成の詳細について説明する。
図4は、本実施の形態に係る複合機のコントローラ102のハードウェア構成を説明するブロック図である。このコントローラ102は、主にメインコントローラ401、CPU110、メモリ、バスコントローラ403、及び各種インターフェース(I/F)回路で構成されている。また図1のメモリ105は、後述する図4のDRAM406、ROM404、SRAM409,425,436、EEPROM437などを含んでいる。
CPU110とバスコントローラ403は、この複合機全体の動作を制御しており、CPU110はROM404からROMI/F405を経由して読込んだプログラムに基いて動作する。また、PC108から受信したPDL(ページ記述言語)データを解釈し、ラスタイメージデータに展開する動作も、このプログラムに記述されており、PDLデータ(印刷データ)の展開処理はソフトウェアで実現されている。バスコントローラ403は各I/Fから入出力されるデータ転送を制御しており、バス競合時の調停やDMAデータ転送の制御を行う。DRAM406は、DRAMI/F407によってメインコントローラ401と接続されており、CPU110が動作するためのワークエリアや、画像データを蓄積するためのエリアを提供している。
コーデック(Codec)408は、DRAM406に格納されたラスタイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の方式で圧縮し、また逆に、圧縮され蓄積されたコードデータをラスタイメージデータに伸長する。SRAM409はコーデック408の一時的なワーク領域として使用されるRAMである。コーデック408は、I/F410を介してメインコントローラ401と接続されている。コーデック408とDRAM406との間のデータ転送はバスコントローラ403によって制御され、データ転送はDMAで行なわれる。グラフィックプロセッサ424は、DRAM406に蓄積されたラスタイメージデータに対して、画像回転、画像変倍、色空間変換、二値化等の処理をそれぞれ行う。SRAM425は、グラフィックプロセッサ424の一時的なワーク領域として使用される。グラフィックプロセッサ424はI/Fを介してメインコントローラ401と接続され、DRAM406との間のデータの転送は、バスコントローラ403によって制御されDMA転送される。
ネットワークコントローラ411は、I/F413によってメインコントローラ401と接続され、コネクタ412によって外部ネットワークと接続される。このネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられる。汎用高速バス415には、拡張ボードを接続するための拡張コネクタ414とI/O制御部416とが接続される。この汎用高速バス415としては、一般的にPCIバスが挙げられる。I/O制御部416には、スキャナ部101、プリンタ部103の各CPUと制御コマンドを送受信するための調歩同期シリアル通信コントローラ417が2チャンネル装備されている。このI/O制御部416は、I/Oバス418によってスキャナI/F回路426,プリンタI/F回路430に接続されている。
パネルI/F421は、LCDコントローラ420に接続され、操作部104の液晶画面に表示を行うためのI/Fと、ハードキーやタッチパネルキーの入力を行うためのキー入力I/Fとを有している。操作部104は、液晶表示部と、その液晶表示部上に貼られたタッチパネル入力装置と、複数個のハードキーを有する。タッチパネル又はハードキーにより入力された信号は、前述したパネルI/F421を介してCPU110に伝えられ、液晶表示部はパネルI/F421から送られてきた画像データを表示する。この液晶表示部には、この複合機の操作に伴う機能表示や画像データ等が表示される。尚、本実施の形態に係る操作部104における表示に関しては、図6〜図10を参照して後に詳しく説明する。
リアルタイムクロックモジュール422は、この複合機で管理する日付と時刻を更新/保存し、バックアップ電池423によってバックアップされている。E−IDEインターフェース439は、ハードディスク等の外部記憶装置を接続するためのものである。本実施の形態では、このI/Fを介してハードディスクドライブ438を接続し、ハードディスク440へ画像データを記憶した、ハードディスク440から画像データを読み込む動作を行う。コネクタ427と432は、それぞれスキャナ部101とプリンタ部103とに接続され、同調歩同期シリアルI/F(428,433)とビデオI/F(429,434)とを具備している。スキャナI/F426は、コネクタ427を介してスキャナ部101と接続される。また、スキャナバス441によってメインコントローラ401と接続されている。これにより、スキャナ部101から受け取った画像データに対して所定の処理を施し、スキャナ部101から送られたビデオ制御信号を基に生成した制御信号を、スキャナバス429に出力できる。尚、スキャナバス429からDRAM406へのデータ転送は、バスコントローラ403によって制御される。
プリンタI/F430は、コネクタ432を介してプリンタ部103と接続され、また、プリンタバス431によってメインコントローラ401と接続されている。これにより、メインコントローラ401から出力された画像データに所定の処理を施して、プリンタ部103へ出力し、またプリンタ部103から送られたビデオ制御信号を基に生成した制御信号をプリンタバス431に出力する。尚、DRAM406に展開されたラスタイメージデータのプリンタ部103への転送は、バスコントローラ403によって制御され、プリンタバス431、ビデオI/F434を経由して、プリンタ部103へDMA転送される。
SRAM436は、バックアップ用電池423から供給される電源により、複合機の電源遮断されても、その記憶内容が保持される。SRAM436は、バス435を介してI/O制御部416と接続されている。EEPROM437も同様に、バス435を介してI/O制御部416と接続されている。
次に各種印刷設定を行なう操作部104について説明する。
図5は、本実施の形態に係る複合機の操作部104の上面図である。この操作部104が図4のパネルI/F421に接続されている。
図において、キー502はユーザが設定した設定値などを取り消すためのリセットキーである。キー503は、動作中のジョブを中止させる時に使用するストップキーである。キー504は、置数などの数値入力を行うためのテンキーである。表示部505は、タッチパネル式の操作画面を示し、具体的には、例えば図6で示すような画面を表示する。この画面には、各種設定をするためのタッチパネルのボタンが多数表示される。キー506は、原稿の読み込みなどジョブをスタートさせるためのスタートキーである。キー507は、各種設定などをクリアするためのクリアキーである。
図6は、本実施の形態に係る複合機の操作部104の表示部(タッチパネル)505の表示例を示す図である。
画面上部に表示されているタグ602は、各機能を選択するためのボタンである。ここでは左から順に、コピー機能、FAX送信やEメール送信、ファイルサーバへの送信などの送信機能、ボックス機能、リモートスキャナ機能が表示されている。ボックス機能は、スキャナ部101で読み込んだ画像データをのハードディスク440に格納したり、そこに格納されたデータの操作やプリントを行なうことができる機能である。リモートスキャナ機能は、ネットワーク106経由でPC108から操作されて、スキャナ部101により原稿を読取り、その画像データをPC108に取り込むことができる機能である。これら各機能に対応するタグを選択することにより、それぞれの詳細設定が出来る画面に遷移する。図6は、コピー機能が選択された場合の画面例を示している。ここには色モードを選択するボタン603や、倍率指定ボタン604、用紙選択ボタン605、シフトソートやステイプルソートなどフィニッシング指定を行なうソータボタン606、両面指定を行なう両面ボタン607が表示されている。更には、濃度を指定するバー608、原稿タイプを選択するボタン609、その他各種の応用モードを設定する応用モードボタン610などが表示されている。
次に図7及び図8を参照して、本実施の形態に係る複合機100の定着器322について説明する。
図7は、本実施の形態に係る複合機の定着器322を説明する図である。
この定着器322は、記録シート表面のトナー像と接触する定着ローラ706と、その記録シートの裏面と接する加圧ローラ710とを有している。この定着器322では、未定着のトナー像を表面に担持した記録シートは、定着ローラ706と加圧ローラ710との間の定着ニップに挟持搬送され、その際、加圧、加熱を受け、トナーの定着が行われる。定着ローラ706は、鉄製芯金703上に、弾性層としてシリコーンゴム層704を設け、その表面にトナー離型層としてPFAコーティング層705を設けて構成されている。PFAコーティング層705は、PFA粉体を所望の厚さに静電塗装した後、焼成することによって作成される。一方、加圧ローラ710は、鉄製の中実芯金707上に、シリコーンゴム層708と、その表面にPFAチューブ層709を被覆して形成されている。ここで定着ローラ706と加圧ローラ710とは、不図示の加圧機構によって加圧されている。また、定着時には、定着ローラ706と加圧ローラ710は共に回転して記録シートを挟持して搬送する。
この定着ローラ706には、発熱手段として、中空の芯金703内に3本のハロゲンヒータ711,712,713が配設されている。また、定着ローラ706の温度を検知するためのサーミスタ702を定着ローラ706に接触するように配置している。このサーミスタ702により検知された温度に基づいて、メインコントローラ401によりハロゲンヒータ711,712,713のオン/オフが制御されて、定着ローラ706の温度が一定に保たれている。
ここでメインコントローラ401は、通常電力モードと省電力モードの切替を行うことができる。通常電力モードではハロゲンヒータ711,712,713を全てオンして定着ローラ706の温度制御を行う。一方、省電力モードでは、これら3つのハロゲンヒータの内、ハロゲンヒータ712だけをオフにしたままで残りのハロゲンヒータ711と712を用いて定着ローラ706の温度制御を行う。従って省電力モードでは、通常電力モードに比べて定着器322の消費する電力を2/3に抑えることができる。
記録シートの定着時、記録シートが定着ローラ706と加圧ローラ710との間の定着ニップを通過する際、記録シートは定着ローラ706と加圧ローラ710の熱を奪う。このためメインコントローラ401は、サーミスタ702により検知した温度に基づいて、記録シートにより奪われた熱を定着ローラ706に補給するようにハロゲンヒータ711,712,713への通電を制御する。しかし省電力モードでは、通常電力モードと比較してハロゲンヒータ全体の消費電力量が2/3となるため、単位時間内に定着ローラ706に補給できる熱量も約2/3となる。このため、単位時間内に定着器322を通過する記録シートの数が通常電力モードと省電力モードで同じであれば、省電力モードでは十分な熱量を定着ローラ706に補給できず、定着ローラ706の温度が低下して定着不良を引き起こすことになる。これを避けるために、記録シートの通過間隔を、省電力モードの場合には通常電力モードと比較して長くし、単位時間当りの記録シートの通過数を減らしている。例えば、通常電力モードでは、A4横送りで60ppm(Paper per Minute)、省電力モードでは約2/3である40ppm程度になるように記録シートの通過間隔を調整している。これにより省電力モードであっても通常電力モードと同じように定着ローラ706の温度を一定に保つことができる。尚、記録シート通過間隔の調整は厳密に2/3にする必要はなく、定着器の構成や周囲の環境によっても必要な間隔は変わるため、予め定着不良を起こさない範囲内で決定しておけばよい。
以上に述べたように、本実施の形態ではハロゲンヒータを3本有することで複数の電力消費の組合せができる。また、ハロゲンヒータを1本にして定電圧制御及び電磁誘導加熱による制御手段を用いても電力増減の可変制御を行うことができる。
図8は、定着器の温度制御に定電圧駆動回路を使用した場合の制御回路図である。
交流電圧(AC)は、ダイオードD1〜D4とC1により整流、平滑された後、メインコントローラ401によりトライアックTR1がオンされるとヒータ(H1)に所望の電圧を印加してヒータを加熱することができる。PH1はフォトカプラで、メインコントローラ401の指示に従ってトライアックTR1のオン/オフを制御している。ここで上述のようにヒータ711,712,713が設けられている場合には、トライアックTR1、フォトカプラPH1が、これらヒータのそれぞれに対応して設けられる。
図9は、上述したハードウェア構成を備える複合機100のソフトウェア構成を説明する図である。
901は、操作部104における表示や、操作指示の入力等を制御するUI制御モジュールである。このUI制御モジュール901からの指示に従って、ボックスアプリケーション903、コピーアプリケーション904、送信アプリケーション905、PDLアプリケーション906が実行される。ネットワークアプリケーション902は、ネットワーク106を介してデータの送受信を行う。ボックスアプリケーション903は、ネットワーク106を介して受信したデータや、スキャナ部101で入力した画像データの保存などを制御する。コピーアプリケーション904は、コピー動作を制御する。送信アプリケーション905は、ボックスに保存されたデータ、或はスキャナ部101で入力した画像データの送信動作を行う。PDLアプリケーション906は、ネットワークアプリケーション902からPDLデータを受信すると、PDLプリントジョブを実行する。907は、機器制御部分の機器依存部分を吸収するための共通インターフェースモジュールである。ジョブ制御モジュール908は、共通インターフェースモジュール907から受け取ったジョブ情報を整理し、下位層のドキュメント処理モジュールに伝達する。ドキュメント処理モジュールは、ローカルコピーであればスキャン制御モジュール910とプリント制御モジュール915を含む。またリモートコピーの送信ジョブ、或は送信ジョブであればスキャン制御モジュール910とファイル格納制御モジュール916を含む。更にリモートコピーの受信ジョブであれば、ファイル読出し制御モジュール911とプリント制御モジュール915を含む。またLIPSやPostScriptなどのPDLデータの印刷の場合は、PDL制御モジュール912とプリント制御モジュール915となる。また各ドキュメント処理モジュール間の同期とり、及び各種画像処理を行うイメージ制御モジュール914への画像処理の依頼は、同期制御モジュール913を介して行われる。またスキャン、プリント時の画像処理や画像ファイルの格納はイメージ制御モジュール914が実行する。
まずローカルコピーのソフトウェア制御処理について説明する。
ユーザの指示によりUI制御モジュール901からコピー指示とともにコピーの設定がコピーアプリケーション904に伝えられる。コピーアプリケーション904は、UI制御モジュール901からの情報を、共通インターフェースモジュール907を介して機器制御を行うジョブ制御モジュール908に伝える。ジョブ制御モジュール908は、スキャン制御モジュール910とプリント制御モジュール915にジョブの情報を伝達する。スキャン制御モジュール910は、スキャナI/F426を介してスキャナ部101にスキャン要求を行う。また同時に、同期制御モジュール913を介してイメージ制御モジュール914にスキャン用の画像処理要求を出す。イメージ制御モジュール914は、このスキャン制御モジュール910からの指示に従って、スキャナI/F426内の画像処理部の設定を行う。この設定が完了すると、同期制御モジュール913を介してスキャン準備完了を伝える。その後、スキャン制御モジュール910は、スキャナ部101に対してスキャンを指示する。こうしてスキャンされた画像データの転送完了は、図示しないハードウェアからの割り込み信号によってイメージ制御モジュール914に伝えられる。
次にイメージ制御モジュール914からのスキャン完了を受けると同期制御モジュール913は、スキャン完了をスキャン制御モジュール910、プリント制御モジュール915に伝える。これと同時に同期制御モジュール913は、DRAM406に蓄積された圧縮画像データをHDD440にファイル化するようにイメージ制御モジュール914に指示する。イメージ制御モジュール914はこの指示に従って、DRAM406の画像データ(文字/写真判定信号を含めて)を読み出してHDD440に格納する。この画像の付随情報として図示しないSRAMにカラー判定/白黒判定結果、下地とばしを行うための下地とばしレベル、更には画像データの入力元としてスキャン画像、色空間RGBも格納しておく。
こうしてHDD440への画像データの格納が終了し、スキャナ部101からのスキャン完了を受けると、同期制御モジュール913を介してスキャン制御モジュール910にファイル化終了を通知する。これによりスキャン制御モジュール910は、ジョブ制御モジュール908に対して終了通知を返す。またジョブ制御モジュール908は、共通インターフェースモジュール907を介してコピーアプリケーション904へ終了通知を返す。プリント制御モジュール915は、DRAM406に画像データが記憶された時点でプリンタI/F430を介して、プリンタ部103に印刷要求を発行する。これと同時に同期制御モジュール913にプリント画像の処理要求を行う。これにより同期制御モジュール913は、画像処理の設定をイメージ制御モジュール914に依頼する。これによりイメージ制御モジュール914は、前述の画像データの付随情報に従って、プリンタI/F430に対して画像処理を設定する。そして同期制御モジュール913を介してプリント制御モジュール915にプリント準備完了を伝える。これによりプリント制御モジュール915は、プリンタ部103に対して印刷指示を発行する。なお、このとき、プリント画像データの転送完了は、図示しないハードウェアからの割り込み信号によってイメージ制御モジュール914に伝えられる。
イメージ制御モジュール914からのプリント完了の通知を受けると、同期制御モジュール913はプリント完了をプリント制御モジュール915に伝える。そしてプリント制御モジュール915は、プリンタ部103から排紙完了を受信するとジョブ制御モジュール908に対して印刷終了通知を返す。これによりジョブ制御モジュール908は、共通インターフェースモジュール907を介してコピーアプリケーション904へコピー終了を返す。こうしてコピーアプリケーション904は、スキャン、プリントが終了したことを検知してジョブ終了をUI制御モジュール901に通知する。
一方、リモートコピーのスキャンジョブ、送信ジョブの場合は、プリント制御モジュール915に代わってファイル格納制御モジュール916がジョブ制御モジュール908からの要求を受ける。スキャナ部101でスキャンされた画像データをHDD440に格納し終わった時点で、ファイル格納制御モジュール916から格納完了通知が発行される。の完了通知は、ジョブ制御モジュール908、共通インターフェースモジュール907を介してリモートコピーならコピーアプリケーション904に、送信ジョブなら送信アプリケーション905に通知される。コピーアプリケーション904、送信アプリケーション905はこの後、ネットワークアプリケーション902に対してHDD440に格納されたファイルの送信を依頼する。この依頼を受けたネットワークアプリケーション902は、そのファイルを送信する。またネットワークアプリケーション902は、ジョブの開始時にコピーアプリケーション904からコピーに関する設定情報を受け、それもリモート側の機器に通知する。またネットワークアプリケーション902はリモートコピーの場合、この機器に固有の通信プロトコルを使用して送信を行う。また送信ジョブの場合は、FTP、SMBのような標準的なファイル転送プロトコルを使用する。
次にファックス送信する場合は、ファイルを格納した後、送信アプリケーション905から共通インターフェースモジュール907、ジョブ制御モジュール908を介してFAX制御モジュール909に送信が指示される。FAX制御モジュール909は、モデム(不図示)を介して相手機器とネゴシエーションし、必要な画像処理(カラー→白黒変換、多値2値変換、回転、変倍)をイメージ制御モジュール914に依頼する。こうして変換された後の画像データをモデムを使って送信する。
また送信先にプリンタがある場合、送信アプリケーション905は、共通インターフェースモジュール907を介してプリントジョブとしてプリントの指示を行う。そのときの動作は以下で説明するリモートコピーのプリントジョブの場合と同様である。また、送信宛先が機器内のボックスの場合は、ファイルストアマネージャによって機器内のファイルシステムに格納する。
FAX受信時は、FAX制御モジュール909がモデムにより画像データを受信し、画像ファイルとしてHDD440に格納する。こうしてHDD440に格納した後、ボックスアプリケーション903に通知すると、ボックスアプリケーション903から受信プリントの指示が共通インターフェースモジュール907を介して、ジョブ制御モジュール908になされる。その後は通常のボックスプリントジョブと同じ動作になるため、その説明を省略する。
リモートコピーの場合は、受信した画像データをネットワークアプリケーション902がHDD440に保存するとともに、コピーアプリケーション904に対して印刷ジョブを発行する。コピーアプリケーション904は、共通インターフェースモジュール907を介してジョブ制御モジュール908にプリントジョブを投入する。この場合はローカルコピーと異なり、スキャン制御モジュール910に代わってファイル読出し制御モジュール911がジョブ制御モジュール908からの要求を受ける。また、受信した画像データをHDD440からDRAM406に展開するための要求が、同期制御モジュール913を介してイメージ制御モジュール914に発行される。これによりイメージ制御モジュール914は、DRAM406に画像データを展開し、その展開が終了すると展開終了を同期制御モジュール913を経由してファイル読出し制御モジュール911とプリント制御モジュール915に伝える。プリント制御モジュール915は、DRAM406に画像データが格納された時点でプリンタI/F430を介して印刷要求を発行する。この際、プリンタ部103に対して、ジョブマネージャから指示された給紙段や、指示されたサイズの記録シートを収容している段を選択するように指示する。また自動用紙の場合には、画像サイズから給紙段を決定して印刷要求を発行する。これと同時に、同期制御モジュール913に対してプリント画像の処理要求を発行する。これにより同期制御モジュール913は、このプリント制御モジュール915からの要求に応じて、プリント画像の処理設定をイメージ制御モジュール914に依頼する。このとき、例えば最適なサイズの記録シートがなくなり、画像の回転等が必要になれば別途回転指示も依頼する。この回転指示があった場合には、イメージ制御モジュール914はグラフィックプロセッサ424を使って画像を回転する。こうしてイメージ制御モジュール914は、プリンタI/F430の画像処理の設定を行い、同期制御モジュール913を介してプリント制御モジュール915にプリント準備完了を伝える。プリント制御モジュール915はプリンタ部103に対して印刷指示を出力する。
プリント用の画像データの転送完了は、図示しないハードウェアからの割り込み信号によってイメージ制御モジュール914に伝えられる。イメージ制御モジュール914からのプリント完了を受けると、同期制御モジュール913はプリント完了をファイル読出し制御モジュール911とプリント制御モジュール915に伝える。ファイル読出し制御モジュール911は、プリント終了通知をジョブ制御モジュール908に返す。プリント制御モジュール915は、プリンタ部103からの排紙完了を受けると、ジョブ制御モジュール908に対して印刷終了通知を返す。そしてジョブ制御モジュール908は、共通インターフェースモジュール907を介してコピーアプリケーション904へ終了通知を返す。コピーアプリケーション904は、スキャン及びプリント処理が終了すると、ジョブ終了をUI制御モジュール901に通知する。
以上で、本実施の形態に係る複合機のハードウェア及びソフトウェアの概要に関する説明を終了し、次に本実施の形態の特徴であるPDLプリントジョブの制御について詳細に説明する。
本実施の形態に係る複合機100では、PC108からネットワーク106を通じて送信されるPDLデータに基づいて印刷を行うことができる。このPDLデータは、図4において、ネットワークコントローラ411からDMAによりDRAM406へ一時的に格納される。そして、ネットワークアプリケーション902が、ネットワークコントローラ411からの通知を受けて、DRAM406に受信データが記憶されていることを知る。そして、DRAM406に記憶されている受信データを順次E−IDEI/F439を介してハードディスク440へ蓄積する。またネットワークアプリケーション902は同時に、その受信データを解析してPDLデータであると判断すると、その受信データをPDLアプリケーション906へ渡す。これによりPDLアプリケーション906は、そのPDLデータに含まれるジョブ情報を読み出し、PDLプリントジョブを共通インターフェースモジュール907を介してジョブ制御モジュール908に指示する。これによりジョブ制御モジュール908は、PDL制御モジュール912とプリント制御モジュール915へPDLデータのプリントを指示する。
図10は、本実施の形態に係る複合機100のPDL制御モジュール912によるPDLデータの展開処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にはメモリ105に記憶されており、CPU110の制御の下に実行される。
この処理は、ジョブ制御モジュール908からPDLデータの展開指示が入力されることにより開始され、まずステップS1で、読み出し対象のPDLデータ(ファイル)がHDD440に記憶されているかどうかを判断する。PDLデータが存在する場合はステップS2に進み、PDLデータをHDD440からDRAM406の所定の領域に設けたバッファへ書き込む。次にステップS3に進み、そのバッファに記憶したPDLデータを解析して中間コードへ変換する。この中間コードは、PDLデータそのものよりも、より描画処理(ラスタライズ)に適した形式のデータであり、主にエッジの座標とエッジ間の塗り潰しデータ等で構成されている。次にステップS4に進み、処理したPDLデータの中にページの区切りが見つかったかどうかを判断する。ページの区切りがなかった場合はステップS1〜ステップS4の処理を繰り返し、ページの区切りが見つかるまでPDLデータから中間コードへ変換する。
ステップS4で、ページの区切りが見つかるとステップS5に進み、中間コードのラスタライズを行って、DRAM406に1ページ分のラスタ画像データを記憶する。次にステップS6に進み、1ページ分のラスタ画像データが生成されたことを同期制御モジュール913へ通知してステップS1に戻る。これにより同期制御モジュール913は、そのラスタ画像データに、この複合機100で一意のページIDを付し、イメージ制御モジュール914へ、そのラスタ画像データの蓄積を指示する。これによりイメージ制御モジュール914は、コーデック408を使用してラスタ画像データを圧縮し、その圧縮した画像データをHDD440へ蓄積する。また同期制御モジュール913は、イメージ制御モジュール914への蓄積指示と同時に、プリント制御モジュール915へ、ページIDと共に、このページの印刷を指示する。このときのプリント制御モジュール915の処理の詳細については詳しく後述する。
こうしてステップS1で、読み出し対象のPDLデータがHDD440になくなるとステップS7に進み、PDLデータ展開終了を同期制御モジュール913へ通知して、PDLデータの展開処理を終了する。このとき同期制御モジュール913は、PDLデータの展開終了をプリント制御モジュール915へ転送する。
ここで、CPU110による演算処理に多くの時間を要するのは、ステップS3とステップS5の展開処理である。つまり、1ページ分のPDLデータの描画命令が多く、複雑であるほど、その1ページのPDLデータの展開処理に要する演算処理の回数も多くなり、多くの時間を要することになる。このPDLデータの展開処理に要する時間はCPU110のソフトウェア処理に依存しているため、CPU110に含まれるCPUコア201を駆動するCPUクロックの周波数を高くすることにより、この展開処理に要する時間を短縮できる。このために、PLL部203の逓倍率を「1」から「2」或は「3」にする。これによりCPUコア201のCPUクロックの周波数は、システムクロックに対して2倍或は3倍となり、それだけCPUコア201の時間当りの処理能力を高めることができる。具体的には、CPUコア201が処理する演算命令の実行時間を1/2或は1/3に短縮できる。こうして1ページのPDLデータの展開処理に要する時間を短縮できる。
しかし、その反面、CPUコア201のCPUクロックの周波数を高くするとCPU110による消費電力が増大する。またCPUコア201のCPUクロックの周波数を高くすると、CPUコア201に供給する電源電圧を、より低い周波数の場合に比べて高くしなければ正常に動作しなくなる。これにより、更にCPU110の消費電力が増大する。即ち、PLL部203の逓倍率を「1」から「2」或は「3」に上昇させると、CPU電源209が発生する電圧を高くしなければならず、それに伴ってCPU110の消費電力が増大する。このようにPDLデータの展開処理に要する時間を短縮させるには、CPU110による消費電力の増大が伴うことになる。
図11(A)〜(C)は、本実施の形態に係る複合機100のCPU110によるPDLデータの展開処理と、その展開したページをプリンタ部103で印刷する際の画像データの転送処理との関係を模式的に示す図である。図11では、最大印刷性能が60ppmのプリンタ部103による印刷例を示している。ここで、印刷性能とは、単位時間(例えば、1分間)あたりにA4サイズの画像データを何ページ分印刷できるかを示すものである。60ppmは、1分間あたり最大でA4サイズの記録シートを60ページ分印刷できることを示す。
図11(A)は、最大印刷性能での印刷時における、コントローラ102からプリンタ部103に転送する画像データの転送間隔を示し、ここでは1000msecとなっている。尚、この場合、各ページのPDLデータの展開時間は、600msecに収まっている。このように、PDLデータに含まれる描画命令が少なく、1ページにつき、例えば600msecでPDLデータの展開処理が完了する場合には、最大印刷性能の60ppmで印刷できる。
これに対して図11(B)では、PDLデータに含まれる描画命令が多いため、PDLデータの展開処理が、1ページにつき2000msecとなっている。この場合は、コントローラ102からプリンタ部103への画像データの転送間隔も2000msecとなってしまい、印刷性能は30ppmに低下している。
そこで、このような場合には、CPU110のCPUクロックの周波数を高くしてPDLデータの展開性能を高めて、図11(A)のように、各1ページにつき1000msec以内にPDLデータの展開処理を完了させるようにする。こうすることにより、最大印刷性能である60ppmでの印刷が可能となる。しかし上述したように、CPU110のクロックの周波数を上げるとCPU110の消費電力も増大するため、例えば、複合機全体で最大消費電力が1500Wに設定されていると、それを超えてしまう虞がある。このように、CPUクロックの周波数を高くすることによりPDLデータの展開能力の向上させるには限界がある。
図11(C)では、プリンタ部103の印刷性能を最大印刷性能以下に設定することによりプリンタ部103で消費される電力を低減させ、その分、CPU110のCPUクロックの周波数を高くしている。即ち、図11(C)では、プリンタ部103の印刷性能を40ppmに低下させて画像データの転送間隔を1500msecにしている。いま図11(B)と同じPDLデータを展開処理する場合、CPU110のクロックの周波数を高くすることにより、1ページ当りのPDLデータの展開時間を2000msecから1000msecに短縮できる。このように、1ページ当りのPDLデータの展開時間を1000msecにすることにより、プリンタ部103の印刷性能である40ppmを満足できるようになる。
図11(B)では、PDLデータの展開性能がボトルネックとなって30ppmまで印刷性能が低下していたのに対して、図11(C)では、40ppmの印刷性能で印刷できるようになる。このように、PDLデータの展開処理に要する時間が印刷性能のボトルネックになる場合は、プリンタ部103の印刷性能を若干下げて消費電力を少なくし、その分、CPUクロックの周波数を上げてPDLデータの展開性能を上げる。こうして複合機全体の消費電力の増大を抑えながら、印刷性能が低下する量を軽減することができる。
しかしながら、PDLデータの展開に要する時間は、PDLデータを実際に展開するまでは正確に知ることは困難である。このため本実施の形態では、PDLデータの展開処理が完了してHDD440に蓄積されているラスタ画像データのページ数に応じて、プリンタ部103の消費電力とCPU110のクロックの周波数とを調整するという方式を採っている。
図12(A)(B)は、各ページごとのPDLデータの展開処理とプリンタ部103へのラスタ画像データの転送による印刷タイミングを説明する模式図である。更に図12では、HDD440に蓄積されるラスタ画像データのページ数も示している。
図12において、CPUクロックの周波数を2段階で切り換え、CPUクロックの周波数が高いときのCPU110の消費電力をA1とし、CPUクロックの周波数が低いときのCPU110の消費電力をA2(A1>A2)とする。また、印刷速度(像形成速度)も2段階で切り換え、印刷速度が速いときのプリンタ部103の消費電力をB1、印刷速度が遅いときのプリンタ部103の消費電力をB2(B1>B2)とする。また複合機全体で、CPU110とプリンタ部103以外で消費される電力をCとし、この複合機全体で消費できる上限の消費電力をMとする。このとき、次の関係式が成り立つように、予めCPUクロックの周波数とプリンタ部103における印刷速度を決めておく。
A1+B1+C>M
A1+B2+C<M
A2+B1+C<M
これにより、CPUクロックの周波数、或はプリンタ部103の印刷速度の少なくともいずれか一方を低くすれば、複合機全体の消費電力は、最大消費電力M以下になることが分かる。
図12(A)では、PDLデータを含む印刷ジョブの開始時にはCPUクロックの周波数を高くしてPDLデータの展開性能を上げている。このときプリンタ部103は省電力制御により印刷速度が低く設定されている。そして、ページ1からページ3までは、プリントされる画像データの転送を間隔を空けて行い、その間、PDLデータの展開処理は高速に実行されている。これにより、ページ4のプリント画像データの転送開始のタイミングでは、PDLデータの展開処理はページ10まで進んでいる。このとき、7ページ分の未プリントの画像データがHDD440に蓄積されていることになる。この場合、未プリントの画像データのページ数は、閾値1(ここでは、6とする)よりも大きい。そこで、HDD440に格納された未プリント(画像形成に未使用)のページ数が閾値1を越えると、CPU110は、プリンタ部103の印刷速度をより早い速度に切り換える。これと同時に、CPU110のクロックの周波数を低下させてCPU110による消費電力を少なくする。そしてプリンタ部103の印刷速度がより早い速度に切り替えられた後、ページ4の印刷を開始する。そして、このページ4以降は、CPUクロックの周波数を低くし、プリンタ部103の印刷速度を速くしてPDLデータの展開処理と印刷動作とを並行して実行する。
図12(B)は、図12(A)の続きを示しており、図12(B)では、プリンタ部103の印刷速度がPDLデータの展開能力を上回っている。このため、HDD440に蓄積されている未印刷のラスタ画像データのページ数が減少している。そして、ページ10の印刷開始のタイミングで、HDD440に蓄積されている未印刷の画像データのページ数が閾値2(ここでは、4とする)よりも小さくなる。これにより、CPU110は、プリンタ部103の印刷速度を低速度に切り替えてプリンタ部103を省電力制御する。従って、ページ10以降の画像データは、遅い印刷速度で印刷されることになる。一方、プリンタ部103の印刷速度が低速度に切り替えられると、CPUクロックの周波数を上げてPDLデータの展開性能を高くし、これ以降のPDLデータの展開処理を高速に行うようにする。
プリンタ部103の印刷動作の説明で前述したように、このプリンタ部103は、数枚の記録シートを先行して給紙する先行給紙を行うことにより印刷速度を確保している。逆に言えば、先行給紙ができなくなると所定の印刷速度を達成できない場合がある。そのため、図12(B)における閾値2は、これから印刷しようとする1ページと先行給紙分のページ数を加算した値より大きいことが望ましい。従って本実施の形態2では、閾値2を「4」としている。
また、PDLデータの展開速度が、プリンタ部103における2種類の印刷速度のほぼ中間である場合、閾値2の一つだけの場合は、頻繁にプリンタ部103の印刷速度の切り替えが発生することがある。このとき、プリンタ部103が印刷速度を切り替えるのに要する時間が、プリンタ部103が省電力制御時に受信する画像データの時間間隔よりも長い場合には、印刷速度の切り替えにより、却って印刷速度が低下することになる。従って、閾値1を、プリンタ部103の印刷速度を切り替えるよりもプリンタ部103の印刷速度を低下させたままで印刷した方が速い枚数分とし、閾値2よりも大きい値に設定するのが望ましい。本実施の形態では、閾値1を「6」としている。尚、プリンタ部103における印刷速度の切り替えに長い時間を要しない場合には、閾値1と閾値2とは同じ値でもよい。
図12(A)(B)で示す動作を実現するためにCPU110上で動作する、図9で示したソフトウェアのプリント制御モジュール915の処理を、図13〜図16のフローチャートを用いて説明する。プリント制御モジュール915は、プログラムの起動時に立ち上げられる給紙判断制御と、プリントする各ページ枚ごとに起動するページ処理タスクとに分けられる。
図13は、本実施の形態に係る複合機のプリント制御モジュール915による処理を示すフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にはメモリ105に記憶されており、CPU110の制御の下に実行される。
この処理は、プログラム起動時に開始される給紙判断処理で実行される。まずステップS11で、プリント制御モジュール915は、プリントできるラスタ画像データが生成されるのを待つ。このラスタ画像データが生成されたことは、同期制御モジュール913によってプリント制御モジュール915に通知される。ラスタ画像データの生成が通知されるとステップS12に進み、プリント制御モジュール915は、プリンタ部103が起動しているかどうか判断する。ここでプリンタ部103が起動していればステップS15に進むが、起動していない場合はステップS13に進み、プリンタ部103を起動してステップS14に進む。プリンタ部103は、起動されると所定の初期化処理を行った後、起動完了をプリント制御モジュール915へ通知する。これによりプリント制御モジュール915は、ステップS14でプリンタ部103の起動を確認するとステップS15に進む。
ステップS15では、ラスタ画像データを印刷するために、その画像データを印刷する記録シートの給紙指示を既に行なっているかどうかを判断する。ここで記録シートの給紙指示済みであればステップS16に進み、給紙指示済みの記録シートの給紙開始が実行できるのを待つ。一方、ステップS15で、記録シートの給紙指示済みでない場合、或はステップS16で、給紙指示済みの記録シートの給紙開始が実行できた場合はステップS17に進み、ページ処理タスクを起動する。そしてステップS11に戻って次のページの処理を実行する。
図14、図15、図16は、本実施の形態に係る複合機のプリント制御モジュール915のページ処理タスクによる処理を説明するフローチャートである。プリント制御モジュール915は、ラスタ画像データの1ページごとにページ処理タスクを起動し、ページ処理タスクはそのページを印刷する記録シートの給紙から排出完了までの処理を行う。尚、この処理を実行するプログラムは、その実行時にはメモリ105に記憶されており、CPU110の制御の下に実行される。
図14の処理は、ページ処理タスクが起動されることにより開始される。まずステップS21で、給紙開始処理を行い、記録シートをカセット318或は給紙デッキ314から給紙して紙搬送路319まで搬送する。次にステップS22で、印刷動作中の前のページのラスタ画像データがあるかどうかを判断する。前のページのデータがあればステップS23に進み、前のページを印刷する記録シートがレジローラ対344の位置を通過するまで待つ。一方、ステップS22で前のページのデータがない場合、或はステップS23で、前のページを印刷する記録シートがレジローラ対344を通過するとステップS24に進み、記録シートをレジローラ対344の位置まで搬送する。そしてステップS25に進み、レジローラ対344の位置へ記録シートが到着する(レジオン)まで待つ。そして記録シートが到着するとステップS26に進み、前のページの画像データの転送中であるかどうかを判断し、画像データの転送中であればステップS27で、前のページの画像データの転送終了を待つ。ステップS26で画像データが転送中のページが無いか、或はステップS27で、前のページの画像データの転送が終了するとステップS28に進み、ページ処理タスクが処理中のページの画像データの転送を行う。そしてページ処理タスクは、プリント制御モジュール915に通知されている蓄積済みのラスタ画像データのページ数を取得する。
ここで、蓄積済みページ数について図17を参照して補足説明する。
図17(A)は、1部が4ページからなるPDLデータを示している。ここでは、このPDLデータを2部印刷する場合を考える。
図17(B)は、3ページ目までのPDLデータの展開が終了した時点を示し、このとき蓄積ページの数は「3」となる。そしてPDLデータの展開処理が進み、4ページ目のPDLデータの展開が完了した時点で、2部目のページの数を加算する。即ち、1つのページも印刷されていない場合には、蓄積ページの数は「8」(=2×4)となる。
図17(C)は、4ページ目のPDLデータの展開が完了した時点で、既に2つのページの画像データの印刷が完了している場合を示している。この場合は、蓄積ページの数は「6」(=8−2)となる。このように、複数部を印刷する場合には、1部目のPDLデータの展開が終了した時点で、蓄積ページ数に残りの部数をかけた分を加算して蓄積ページの数を求める。
こうして蓄積ページ数を求めるとステップS29に進み、その求めた蓄積ページの数が閾値2(本実施の形態では4)以下であるかどうかを判断する。ここで蓄積済みページ数が閾値2以下であれば図15のステップS41に進む。図15のフローチャートについては後述する。
ステップS29で、蓄積ページの数が閾値2より大きければステップS30に進み、蓄積ページの数が閾値1(ここでは6)より大きいかどうかを判断する。ここで蓄積ページの数が閾値1より大きければ図16のステップS51に進む。図16のフローチャートについては後述する。
ステップS30で、蓄積ページの数が閾値1より小さいときはステップS31に進み、PDLデータの展開処理を実行しているジョブが存在しているかどうかをジョブ制御モジュール908へ問い合わせる。ここでPDLデータの展開処理を実行しているジョブが無ければステップ図16のステップS51に進む。尚、このステップS31で、PDLデータの展開処理を実行しているジョブが存在しているかどうかを判断しているのは以下の理由による。即ち、前のページの印刷時にプリンタ部103の印刷速度を低下させている(プリンタ部を省電力制御)場合でも、PDLデータの展開処理を実行していなければCPU110へ電力をまわす必要がない。そこで、その分の電力をプリンタ部103にまわして、最大印刷速度(プリンタ部は通常電力制御)で残りのページを速く印刷するためである。
ステップS31で、PDLデータを展開中のジョブが存在すればステップS32に進む。この場合は、閾値1と閾値2の間のページ数分の画像データがHDD440に蓄積されていることになるため、前のページと同じ印刷速度での印刷制御を行うと判断する。次にステップS33に進み、現在の印刷速度が低速度、即ち、低速印刷(プリンタ部が省電力制御でCPUは通常電力)かどうかを判断し、そうでなければ(高速印刷(プリンタ部は通常電力制御でCPUは省電力)であれば)ステップS34に進む。ステップS34では、前のページの画像データの転送終了から、高速印刷での画像データの転送時間間隔が経過するのを待つ。
一方、ステップS33で低速印刷(プリンタ部の省電力制御)であると判断するとステップS35に進み、この低速印刷における画像データの転送時間間隔が経過するのを待つ。こうしてステップS34或はステップS35で所定時間が経過するとステップS36に進み、処理中のページの画像データの転送開始に同期して、レジローラ対344の位置から記録シートの搬送を開始する。そしてステップS37で、画像データの転送終了を待ち、続いてステップS38で定着終了を待つ。そして定着が完了するとステップS39に進み、記録シートの排出が完了するのを待つ。こうして記録済のシートの排紙が完了するとページ処理タスクを終了する。
次に図14の符号A以降のページ処理タスクの処理を図15のフローチャートを用いて説明する。この図15のフローチャートは、図12(B)において、HDD440に記憶されているラスタ画像データのページ数が閾値2(4)以下になった場合に、プリンタ部103の印刷速度を低速(低速印刷)に切り換える処理を示している。
ステップS41で、PDLデータの展開処理を実行中のジョブがあるかどうかをジョブ制御モジュール908から取得する。ここで、PDLデータの展開中のジョブが無ければ蓄積ページ数が閾値2よりも小さくてもCPU110の処理能力を上げる必要がないため図16のステップS51に進む。ステップS41で、PDLデータの展開処理を実行中のジョブがあればステップS42に進み、プリンタ部103における印刷速度を低くするように決定する。そしてステップS43に進み、前のページが印刷速度を低下させて印刷されているかどうかを判断する。ここで前のページも低速で印刷(プリンタ部を省電力制御)されていれば図14のステップS32に進み、前述した前のページと同じ印刷速度で印刷を実行する。
一方ステップS43で、前のページの印刷時、プリンタ部が通常電力制御(高速印刷)であれば、その印刷速度を低下させる必要があるためステップS44に進み、前のページの記録シートが定着器322を通過するのを待つ。こうして前のページの記録シートが定着器322を通過するとステップS45に進み、印刷速度を低速にする低速印刷(プリンタ部を省電力制御)に切り替える。これと同時に、CPUクロックの周波数を高い周波数に切り換える。そして図14のステップS36に進んで、画像データの転送開始から記録シートの排出終了までの処理を実行する。
次に図14の符号B以降の処理を図16のフローチャートを用いて説明する。この図16のフローチャートは、図12(A)において、HDD440に記憶されているラスタ画像データのページ数が閾値1(6)以上になった場合に、プリンタ部103の印刷速度を高速(高速印刷)に切り換える処理を示している。
ステップS51で、プリンタ部103が通常電力制御による印刷速度である、通常の印刷速度(高速印刷)で印刷することを決定する。次にステップS52に進み、前のページが高速印刷で印刷されているかどうかを判断し、高速印刷で印刷されていれば印刷速度を変更する必要がないため前述の図14のステップS32に進む。
一方、ステップS52で、前のページが高速印刷(プリンタ部103が通常電力制御)で印刷されていなければ、その印刷速度を切り替える必要があるためステップS53に進み、前のページが定着器322を通過するのを待つ。そして前のページの記録シートが定着器322を通過するとステップS54に進み、印刷速度を高速、即ち、通常電力制御に切り替える。それと共に、CPUクロックの周波数を低下させる。そして図14のステップS36に進んで、前述の処理を実行する。
尚、プリンタ部103における印刷速度を通常(高速)から低速にすることにより、記録シートの搬送速度を下げることができるため、その分、モータ等により消費される電力を減少させることができる。しかしながら、より省電力効果を得るために、印刷速度に応じて定着器322の通電制御を行うのが望ましい。高速印刷では、単位時間あたり定着器322を通過する記録シートの数が増大するため、常にヒータ711,712,713に同時に通電して定着ローラ706の温度低下を防止する必要がある。これに対して低速印刷では、単位時間あたり定着器322を通過する記録シートの数が減少するため定着ローラ706の温度低下が抑制され、ヒータ711,712,713の少なくともいずれかをオフにできる時間が生じる。こうして低速印刷の場合に定着器322に供給電力を減少させることにより、プリンタ部103の低速印刷による省電力効果をより高めることができる。尚、本実施の形態では、消費電力変更を定着器での消費電力量を制御して行なっているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば帯電部材や現像部材への電力供給を制御して行なっても良い。
以上説明したように本実施の形態1によれば、印刷可能な展開済の印刷データのページ数に応じて印刷速度及びCPUクロックの周波数を切替えることにより、機器全体としての消費電力を所定値以下に抑えながら印刷効率の低下を防止できるという効果がある。
また本実施の形態によれば、CPUクロックの周波数を高めてPDLデータの展開性能を向上させるとともに、CPUの消費電力が大きくなるときにはプリンタの印刷速度を低下させて消費電力を下げる。また逆にプリンタの印刷速度を早めて消費電力が大きくなる場合はCPUクロックの周波数を低下させることにより、装置全体の最大消費電力を所定値以下に抑えることが可能となる。
また、展開済の印刷データのページ数に応じてCPUの処理能力を可変して、CPUとプリンタ部への効率的な電力配分を行うことができる。更に、展開処理の負荷が大きいPDLデータを処理する際にも、全体としての印刷速度の低下を抑えることができる。
[実施の形態2]
前述の実施の形態1では、メモリ(HDD)に記憶された印刷データのページの数のみで蓄積ページ数を算出している。しかし、例えば用紙サイズが11×17(用紙搬送方向に17インチ)の画像データの印刷時間は、レター(用紙搬送方向に8.5インチ)の約2倍を要する。従って、記録シートのサイズが大きい場合には、印刷済みのページ数がカウントアップされる速度が遅いため、CPUクロックの周波数を高めてPDLデータの展開能力を上げなくてもよい場合がある。
そこで、蓄積ページ数の算出時に、用紙サイズが8.5インチ以下に対応するページの画像データを印刷する際、1ページにつき+1とカウントする。一方、用紙サイズが8.5インチを超える場合には、画像データの1ページにつき+2でカウントして蓄積ページの数とする。これにより、実際に印刷される記録シートの印刷速度及び展開された画像データ量に即した蓄積ページの数を算出できる。これにより、より実際の印刷速度に適合したCPUの実行速度、及び印刷速度制御を実現できることになる。
[実施の形態3]
プリンタ部103の印刷動作中に、次のPDLデータによる印刷ジョブが投入された場合、印刷動作中のPDLデータの展開が完了していれば、次の印刷ジョブのPDLデータの展開処理を実行する。このとき、次の印刷ジョブの印刷はまだ開始されないため、CPU110のクロックの周波数を低くして、低速度でPDLデータの展開処理を行なっても良い。このとき、プリンタ部103は通常の電力制御を行って高速に印刷する。また逆に、印刷動作中のPDLデータの展開が完了していなければ、PDLデータの展開を早く終了させるためにCPU110のクロックの周波数を高くしてPDLデータの展開能力を高め、プリンタ部103で低速印刷(プリンタ部の省電力制御)を行う。このような制御を行う場合は、前述の実施の形態1と比較して、プリント制御モジュール915のページ処理タスクの処理が異なる。
図18は、この実施の形態3に係る複合機におけるページ処理タスクの処理を説明するフローチャートである。尚、この実施の形態3に係る複合機のハードウェア構成は前述の実施の形態1と同じであり、この処理を実行するプログラムは、その実行時にはメモリ105に記憶されており、CPU110の制御の下に実行される。尚、この図18において、前述の図14のステップと共通するステップ(ステップS21〜S27、ステップS36〜S39)には同じ記号を付して、その説明を省略する。
ステップS61では、画像データの転送を開始するページのPDL印刷ジョブが、PDLデータの展開中であるかどうかをジョブ制御モジュール908から取得する。ここでPDLデータの展開が完了していればステップS62に進み、高速印刷(プリンタ部103は通常電力でCPUを省電力)を行うようことを決定する。一方、PDLデータの展開が完了していなければステップS63に進み、低速印刷(プリンタ部が省電力でCPUは通常)を行うように決定する。これらステップS62或はステップS63を実行後、それぞれステップS64,S65に進む。ステップS64,S65では、次のページを印刷するために、前のページを印刷した時の印刷速度を変更するかどうかを判断する。変更すると判断した場合はステップS68に進み、前のページを印刷した印刷済の記録シートが定着器322を通過するのを待つ。こうして前のページが印刷された記録シートが定着器322を通過するとステップS69に進み、プリンタ部103における印刷速度をステップS62或はS63で設定された印刷速度に切り替える。一方、ステップS64,S65で、前のページと同じ印刷速度であれば、それぞれステップS66,S67に進み、それぞれの印刷速度における画像データの転送時間間隔が経過するのを待つ。そしてステップS36に進み、画像データの転送を開始する。このステップS36以降の処理は、前述の図14と同じ処理であるため、その説明を省略する。
このように本実施の形態3によれば、次に印刷するページのPDLデータの展開処理中でない場合は、プリンタ部103における印刷速度を高速(通常電力制御)にし、逆に次に印刷するページのPDLデータの展開処理中であればCPUの処理速度を早める。これにより、装置全体の処理効率を低下させることなく、消費電力も一定以下に抑えることができる。
尚、上述した閾値1,閾値2の値はあくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
また上述した実施の形態では、説明を簡単にするために、CPUクロックの周波数、印刷速度をそれぞれ2段階に切替え可能とし、一方が大であれば他方を小にするように制御する場合で説明した。しかし実際には、CPUクロックの周波数、印刷速度はそれぞれ多段階に切替え可能であっても良い。更に、その切替えに応じて、消費電力の選択もより多岐に制御できるようにしても良い。
(他の実施形態)
本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また一つの機器からなる装置に適用しても良い。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。