JP4883661B2 - 非水電解液電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極活物質として金属酸化物を用いる非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解液電池は、使用温度範囲が広く、また長期信頼性を有していることから、電子時計や種々のメモリーバックアップ用電源として広く利用されている。しかしながら、この非水電解液電池では、非水電解液(以下、電池を表す場合以外は、「電解液」と略す)の溶媒として有機溶媒を用いているため、アルカリ電池などに使用されている水溶液系の電解液に比べてイオン伝導度が40分の1程度と低い値になる。そのため、電解液の量比を、アルカリ水溶液を電解液とするアルカリ電池と同様に設定した場合には、電池の放電容量が低くなってしまうので、電池内の電解液量はアルカリ電池などよりも多くなるように電池が設計されていた。従来の非水電解液電池では、通常、正極活物質である金属酸化物の体積に対して、電解液量が1.4倍程度になっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電池の高容量化を図るためには、電極の導電性を高くすることのほか、活物質の充填量をできるだけ多くすることが望まれるが、電池サイズが定められているので、その範囲内だけでしか対応することができないため、電池内の容積を有効に活用することが必要になる。
【0004】
そこで、活物質以外の構成要素の占める体積割合を低減し、活物質の割合を増やすことが考えられ、例えば、均一かつ薄膜の微多孔膜からなるセパレータを用いることや電池缶の缶厚を薄くすることが提案されているが(特開昭60−23954号公報など)、未だ充分な高容量化が達成されていないのが現状である。特に外装部品については漏液などの観点からその厚みを薄くすることが限界に近くなっている。
【0005】
また、正極活物質の金属酸化物の導電性や結着性が低いため、正極の作製にあたっては導電助剤や結着剤などと混合して正極合剤にされるが、その正極合剤中の活物質の割合を増加させるため、導電助剤や結着剤など活物質以外の正極構成要素の含率を低減することも提案されているが(特開平7−272714号公報など)、それも程度の問題であって、根本的な解決策にはなっていない。
【0006】
そこで、電池要素の体積割合の低減策として電池内に大量に注入されている電解液の量を減少させることが考えられる。しかしながら、電解液量を減少した場合、放電初期こそ所定の電圧が得られるものの、以下に示す理由から、放電中にセパレータまたは正極活物質表面の電解液が不足し、正負極間の液絡がとれなくなって、設計された放電容量が得られないという問題が生じてしまう。
【0007】
すなわち、電池を放電させると、負極活物質中からアルカリ金属イオンが正極へと移動し、正極活物質である金属酸化物中に挿入されるため、正極活物質の膨張が生じ、表面積の増大や正極内の空隙体積の増大をもたらす。正極活物質の放電反応が良好に進行するためには、正極活物質の表面に、その表面積に応じた量の電解液が存在する必要があるが、電解液量を制限した電池では、上記表面積の増大に対応しきれない。さらに、正極内の空隙体積の増大により、セパレータから正極への電解液の移動が生じるため、セパレータに保持される電解液が不足してしまう。以上の理由により、単に電池内の電解液量を減少させて正極活物質を高充填化した場合には、放電末期に電解液が不足して正極活物質が利用できなくなり、かえって放電容量が減少するという問題が生じるのである。
【0008】
特に、低温での放電において、上記放電容量の減少は顕著となる。すなわち、低温での電池の放電特性を向上させるためには、通常用いられている粒子径(約15〜30μm)よりも小さい粒子径の正極活物質を用いることが一般的になされているが、そのような活物質は表面積が大きいため、上記問題の解決には至らず、かえって特性を劣化させることにつながる。
【0009】
本発明は、上記事情を勘案し、高容量の非水電解液電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属酸化物を正極活物質とし、前記正極活物質と導電助剤と結着剤とを混合した正極合剤の成形体からなる正極を有するコイン形の非水電解液電池において、上記金属酸化物の平均粒子径を40〜150μmにし、電解液量を上記金属酸化物に対して体積比で0.9〜1.25倍になるように電池設計を行うことによって、上記課題を解決したものである。
【0011】
本発明においては、上記構成に基づき、電解液量を減少させ、その減少分に応じて正極活物質である金属酸化物の充填量を多くするが、その平均粒子径を40μm以上とすることにより、正極活物質を構成する金属酸化物に対して電解液量を体積比で1.25倍以下に減少させることができ、正極活物質の充填量をおよそ10%以上増加させた高容量電池を設計することができる。さらに、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒子径が50μm以上であれば、本発明の効果がより明確になるので好ましい。
【0012】
一方、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒子径が150μm以下であれば、正極を作製する際に正極活物質の充填密度を高めることができ、また、正極内の空隙体積が適切な範囲となってセパレータに保持される電解液と正極内に存在する電解液との量比が適切になるので、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒子径は150μm以下とすることが好ましく、100μm以下とすればより効果的であり、70μm以下とすることがさらに好ましい。
【0013】
本発明では、上記粒子径の金属酸化物を正極活物質として用いることにより、正極活物質の表面積が減少するため、電解液量を正極活物質に対して体積比で1.25倍以下に低減した場合でも放電反応が進行し、また、正極活物質の触媒作用が減少して電解液の分解による損失が生じにくくなることなども加わって、前述の問題が解決されるようになったものと考えられる。また、電解液量が少なくなるため、漏液発生をより高度に防止することができるという効果も生じようになる。
【0014】
高容量化を図るためには、正極活物質を構成する金属酸化物に対する電解液量の体積比ができるかぎり小さくなるように電池設計を行うことが好ましく、その体積比の値としては、1.2倍以下にすることがより好ましく、1.15倍以下にすることがさらに好ましい。一方、正極活物質の放電反応に最低限必要とされる電解液量を考慮すると、この値は0.9倍以上とすることが好ましく、放電時の分極を考慮すると、1倍以上とすることがより好ましい。
【0015】
なお、本発明において、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計を用いて測定するか、走査型電子顕微鏡で一定個数(例えば、100個程度)の任意の粒子を観察し、個々の粒子の径を測り、それを平均する方法などにより求められる。前者のマイクロトラック粒度分析計を用いる方法は、正極化する前の状態の金属酸化物の粒子径を測定するのに適しており、後者の走査型電子顕微鏡を用いる方法では、上記金属酸化物を正極活物質として用いて作製した正極からも金属酸化物の粒子径を測定することができる。
【0016】
本発明において、正極活物質として用いる金属酸化物としては、例えば、マンガン、コバルト、ニッケル、マグネシウム、銅、鉄、バナジウムなどの酸化物またはそれらの複合酸化物が挙げられる。その代表的な例として二酸化マンガンについて示せば、電解二酸化マンガン、化学合成二酸化マンガンのいずれも用いることができ、それらの合成後、本発明で規定する範囲内の平均粒子径となるように粉砕・分級すればよい。
【0017】
正極は、上記正極活物質としての金属酸化物を、必要に応じて、カーボンブラック、黒鉛などの導電助剤や結着剤などと混合し、得られた正極合剤を加圧成形して成形体とするか、またはシート状にすることによって作製される。その際、正極の内部または端部にエキスパンドメタル、パンチドメタル、金属箔などの集電体を配設することもできる。
【0018】
ここで、結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体などを用いることができるが、本発明のように粒子径の大きい正極活物質を用いる場合は、正極合剤の成形体の強度が弱くなったり、集電体との接着力が弱くなる傾向があるため、正極の作製工程において、成形体の変形や欠け、あるいは集電体からの正極合剤の剥離などが生じやすくなる。そのため、上記問題が生じにくい結着剤を選択して用いることが好ましい。また、電解液量を制限した電池では、放電中の作動電圧が結着剤の種類により大きく変わるため、作動電圧がなるべく高くなるような結着剤を選択して用いることが好ましい。
【0019】
以上の観点から、本発明においては、結着剤としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体とセルロース類とを併用することが特に好ましい。すなわち、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体とセルロース類とを正極合剤中に共存させることにより、正極合剤の成形性や成形体の強度が向上し、正極の作製工程における不良発生を抑制することができると共に、正極の分極が減少し、低温での放電においても、優れた放電特性を示す電池を得ることができる。
【0020】
なお、上記のテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体とは、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのみの共重合体であるテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体だけでなく、そのモノマーユニットの一部が他のフッ素系モノマーユニット、例えば、フッ化ビニリデンなどで置換されているものの共重合体であってもよいことを意味していいる。
【0021】
上記セルロース類としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどの分子性セルロースや、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどのイオン性セルロースが挙げられる。
【0022】
上記のテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体を結着剤として用いる場合、それを溶融、拡散させ、成形体の強度を向上させるために、成形体をテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体の融点(約270℃)付近まで加熱することが好ましい。
【0023】
ところが、セルロース類の分解温度があまり高くないため、そのような加熱工程においてセルロース類の分解反応が生じることになる。カルボキシメチルセルロースのようなイオン性セルロースの場合、通常、ナトリウム塩やアンモニウム塩の状態で用いられるため、微量ではあるが、分解生成物としてナトリウム化合物などのイオン性化合物が生成すると考えられる。このような分解生成物が正極中に存在することにより、電池を高温貯蔵した場合に、容量低下などの特性劣化を生じる場合がある。一方、分子性セルロースを用いた場合は、そのような特性を劣化を生じさせる化合物は生成しないと考えられるので、優れた貯蔵特性を有する電池が得られる。
【0024】
上記分子性セルロースの中でも、ヒドロキシプロピルセルロースは、少量でも増粘作用が強く、また加熱前の成形体の強度を向上させる効果が大きいので、本発明において、特に好適に用いられる。
【0025】
上記正極と対向させる負極の活物質としては、通常、リチウムまたはリチウム含有化合物が用いられるが、そのリチウム含有化合物としてはリチウム合金とそれ以外のものとがある。上記リチウム合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−インジウム、リチウム−ガリウム、リチウム−インジウム−ガリウムなどが挙げられる。リチウム合金以外のリチウム含有化合物としては、例えば、錫酸化物、珪素酸化物、ニッケル−珪素系合金、マグネシウム−珪素系合金、乱層構造を有する炭素材料、黒鉛、タングステン酸化物、リチウム−チタン複合酸化物、リチウム含有複合窒化物などが挙げられる。これら例示のリチウム含有化合物中には、製造時にリチウムを含んでいないものがあるが、負極活物質として作用するときにリチウムを含有する化合物となる。本発明においては、上記負極活物質の中でも、高容量化の点から、リチウムまたはリチウム合金が特に好適に用いられる。
【0026】
電解液としては、リチウムイオン伝導性の非水溶媒系電解液、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、エチレングリコールサルファイトなどの有機溶媒のいずれか、またはその2種以上の混合溶媒に、例えば、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiB(C6 H5 )4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiC4 F9 SO3 、LiCF3 CO2 、Li2 C2 F4 (SO3 )2 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiC(CF3 SO2 )3 、LiCn F2n+1SO3 (n≧2)などの電解質を1種または2種以上溶解した電解質溶液が用いられる。電解液中における電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.2〜1.7mol/l、特に0.4〜1.5mol/l程度が好ましい。
【0027】
本発明の非水電解液電池は、前記のような正極をセパレータを介して負極と対向させ、それらを電池缶内に収容し、所定量の電解液を注入する工程を経て作製されるが、電池の形態は、コイン形の一次または二次電池に適用することができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみに限定されることはない。
【0029】
実施例1
平均粒子径55μmの電解二酸化マンガン93重量部と、導電助剤としての黒鉛6重量部と、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン1重量部とを混合して調製した正極合剤を加圧成形することによって成形体を作製し、これを正極とした。この工程において、作製された正極の一部に変形が認められたため、使用に差し支えないものを選んで以下の電池の作製に用いた。負極には金属リチウムを用い、セパレータとしてはポリプロピレン不織布を用い、電解液としてはプロピレンカーボネートとジメチルエーテルとの体積比1:1の混合溶媒にLiClO4 を0.5mol/l溶解させたものを用い、その電解液量を正極活物質の電解二酸化マンガンに対して体積比で1.2倍として、直径20mm、厚さ3.2mmの非水電解液電池を作製した。この非水電解液電池はコイン形二酸化マンガン−リチウム電池と呼ばれるもので、その構造は図1に示す通りである。
【0030】
ここで、図1に示す非水電解液電池について説明すると、正極1は上記のように平均粒子径55μmの電解二酸化マンガンを正極活物質として用いた正極合剤の加圧成形体からなり、負極2は金属リチウムからなり、これらの正極1と負極2との間にはポリプロピレン不織布からなるセパレータ3が配置している。そして、それらの正極1、負極2、セパレータ3や電解液は、ステンレス鋼製の正極缶4とステンレス鋼製の負極缶5とポリプロピレン製の環状ガスケット6とで形成される空間内に収容され、正極缶4の開口端部の内方への締め付けにより、負極缶5の周縁部に装着した環状ガスケット6を正極缶4の開口端部の内周面と負極缶5の周縁部の外周面に圧接させて電池内部を密閉状態にしている。
【0031】
実施例2
正極活物質として、平均粒子径80μmの電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0032】
実施例3
正極活物質として、平均粒子径150μmの電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0033】
実施例4
電解液量を正極活物質の電解二酸化マンガンに対して体積比で1.1倍とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0034】
実施例5
正極活物質として、平均粒子径40μmの電解二酸化マンガンを用い、電解液量を正極活物質の電解二酸化マンガンに対して体積比で1.0倍とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0035】
実施例6
平均粒子径55μmの電解二酸化マンガン91重量部と、黒鉛4.5重量部と、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体4重量部と、ヒドロキシプロピルセルロース0.5重量部とを混合して調製した正極合剤を加圧成形することによって成形体を作製し、それを300℃で2時間加熱して正極とした。この正極の強度は実施例1〜5の正極よりも向上しており、作製された正極には変形や欠けなどの不良は認められなかった。この正極と、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの体積比1:1の混合溶媒にLiClO4 を0.5mol/l溶解させた電解液とを用いた以外は、実施例4と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0036】
実施例7
実施例6におけるヒドロキシプロピルセルロースに代えて、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を用いた以外は、実施例6と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0037】
比較例1
平均粒子径30μmの電解二酸化マンガンを正極活物質として用い、正極の重量を実施例1の電池よりも約10%減量し、電解液量を正極活物質の電解二酸化マンガンに対して体積比で1.4倍とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。この比較例1の非水電解液電池は従来構成の非水電解液電池に相当する。
【0038】
比較例2
正極活物質として、平均粒子径30μmの電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例4と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0039】
比較例3
電解液量を正極活物質の電解二酸化マンガンに対して体積比で0.8倍とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0040】
比較例4
正極活物質として、平均粒子径180μmの電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
【0041】
上記実施例1〜7および比較例1〜4の電池に15kΩの放電抵抗を取り付け、それらの電池をそれぞれ20℃で終止電圧2.0Vまで放電し、そのときの放電容量を測定した。その結果を表1に、使用した電解二酸化マンガン(以下、「二酸化マンガン」と略記する)の平均粒子径、二酸化マンガンに対する電解液量、正極の作製にあたって用いた結着剤の種類と共に示す。なお、表1では、結着剤を次のように簡略化して示す。
【0042】
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
FEP :テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
HPC :ヒドロキシプロピルセルロース
CMC :カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、平均粒子径が40〜150μmの範囲内の二酸化マンガンを正極活物質として用い、電解液量を二酸化マンガンに対して体積比で0.9〜1.25倍の範囲内とした実施例1〜7の電池は、二酸化マンガンの平均粒子径が本発明の範囲内から逸脱するか、あるいは電解液量が本発明の範囲内から逸脱した比較例1〜4の電池に比べて、放電容量が大きく、高容量化を実現することができた。
【0045】
また、実施例4、実施例6および実施例7の電池について、以下の方法により−10℃での作動電圧を測定した。すなわち、上記と同様に、それぞれの電池に15kΩの放電抵抗を取り付け、20℃で放電を行い、上記放電容量の80%に相当する容量分だけ放電させた時点で放電抵抗を取り外し、放電深度が80%に達した電池を用意した。次いで、この電池を−10℃の温度環境下に置き、電池の温度が充分に低下してから、500Ωの放電抵抗を取り付けて放電を行い、放電開始から5秒後の電池の作動電圧を測定し、低温での放電特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示す結果から明らかなように、結着剤としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とセルロース類とを用いた実施例6および実施例7の電池は、結着剤としてポリテトラフルオロエチレンを用いた実施例4の電池より、作動電圧が高く、低温での放電特性が優れていた。
【0048】
さらに、実施例6および実施例7の電池について、以下の方法により高温での貯蔵特性を評価した。すなわち、それらの電池を80℃の温度環境下で25日間貯蔵し、次いで20℃まで冷却した後、それぞれの電池に15kΩの放電抵抗を取り付け、終止電圧2.0Vまで放電して、高温貯蔵を経た電池の20℃での放電容量を測定した。この時の放電容量を、上記高温貯蔵を行わなかった電池の放電容量と比較し、容量減少の割合を容量劣化率として表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示す結果から明らかなように、結着剤としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体と分子性セルロースであるヒドロキシプロピルセルロースとを併用した実施例6の電池は、結着剤としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とイオン性セルロースであるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩とを併用した実施例7の電池より、容量劣化率が小さく、高温貯蔵特性が優れていた。すなわち、セルロース類としては、イオン性セルロースより分子性セルロースを用いた方が高温貯蔵特性が優れていた。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、平均粒子径が40〜150μmの金属酸化物を正極活物質として用い、電解液量を上記金属酸化物に対して体積比で0.9〜1.25倍とすることにより、高容量の非水電解液電池を提供することができた。
【0052】
また、本発明においては、結着剤としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とセルロース類とを併用することにより、低温での放電特性が優れた非水電解液電池を得ることができた。さらに、本発明においては、セルロース類として分子性セルロースを用いることにより、高温貯蔵特性の優れた非水電解液電池を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解液電池の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 ガスケット
Claims (6)
- 金属酸化物を正極活物質とし、前記正極活物質と導電助剤と結着剤とを混合した正極合剤の成形体からなる正極、負極および非水電解液を有するコイン形の非水電解液電池において、上記金属酸化物の平均粒子径が40〜150μmであり、非水電解液量が上記金属酸化物に対して体積比で0.9〜1.25倍であることを特徴とする非水電解液電池。
- 非水電解液量が、正極における金属酸化物に対して体積比で0.9〜1.2倍である請求項1記載の非水電解液電池。
- 金属酸化物が、マンガン酸化物であることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解液電池。
- 正極が、少なくとも金属酸化物とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体とセルロース類とを含む正極合剤を用いて作製されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液電池。
- セルロース類が、分子性セルロースであることを特徴とする請求項4記載の非水電解液電池。
- 負極活物質が、金属リチウムまたはリチウム合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液電池。
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