JP2004327305A - リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】200℃以上の温度に晒す第一工程と、前記第一工程の後、電圧が2.0V未満になるまで過放電する第二工程と、前記第二工程の後、充電する第三工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池に関し、詳しくはリフローはんだ付け等の方法で機器に実装されたリチウム二次電池の膨れや電池性能の劣化を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池の電子機器への実装に際しては、一般に、生産効率を高めるためにリフローはんだ付け法が用いられているが、この方法によると短時間ではあるが、電池温度が200〜260℃にまで達し、正極活物質と電解液との反応が促進されて、電解液の分解に起因するガスが多量に発生する。このため、リフローはんだ付け法によると、電池が膨れて電極と電極外部端子との密着性が低下したり、また電解液の分解生成物が正・負極表面に抵抗の高い被膜を形成したりすることにより、電池内の導電性が低下して、電池性能の低下を招くという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、正極活物質にホウ素化合物を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−241682号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開平8−213016号公報(第2−3頁)
【0005】
上記文献1に記載の技術によると、ホウ素がリチウムマンガン酸化物の結晶欠陥や閉空隙等の構造欠陥部を保護するので、構造欠陥部での界面反応を抑制することができ、充放電サイクル特性が向上するとされる。しかしながら、この技術により、電池温度が200℃を超えるようなリフローはんだ付けにおける電池の膨れを十分に抑制しようとすると、ホウ素化合物の添加量を多くしなければならないが、ホウ素化合物の添加量を多くすると、ホウ素が活物質であるリチウムマンガン酸化物表面を覆うため、正極でのリチウムイオンの挿入脱離が阻害され、この結果として電池性能が大きく低下するという問題が生じる。
【0006】
また、上記文献2の技術によると、ホウ素がリチウムマンガン酸化物と二酸化マンガンとの複合体中に固溶することにより、充放電サイクル特性や保存特性が向上するとされる。しかしながら、この技術によっても、電池を200℃を超える高温に晒すような条件においては、ホウ素化合物の添加量を多くしなければならず、やはり文献1の場合と同様な問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、リフローはんだ付け等によって200℃以上の高温に晒されたリチウム二次電池において、電池の膨張や電池性能の低下の少ない電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、電池を高温に晒した場合、一旦電池を過放電し、しかる後に充電を行うと、放電容量が大幅に向上することを見いだした。本発明はこの知見に基づいて完成された。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第一の態様の本発明は、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を活物質として含み、前記ホウ素含有リチウムマンガン酸化物中のホウ素とマンガンのモル比B/Mnが0.2以上2.0以下である正極と、負極と、前記正負極間に介在されたセパレータと、非水電解質と、を有する前駆体電池が充電されてなるリチウム二次電池の製造方法であって、前記前駆体電池を200℃以上の温度に晒す第一工程と、前記第一工程の後、電圧が2.0V未満になるまで前記前駆体電池を過放電する第二工程と、前記第二工程の後、前記前駆体電池を充電する第三工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、リチウムマンガン酸化物に含まれるホウ素が正極と電解液との反応を抑制するように作用する。したがって、電池の膨れや、内部抵抗の増大による放電容量の低下を抑制できる。しかし、ホウ素とマンガンのモル比B/Mnが0.2未満であると十分に正極と電解液との反応を抑制することができない。他方、ホウ素とマンガンのモル比B/Mnが2.0より大きいと、充放電に寄与するマンガン量が少なくなりすぎるため電池容量が小さくなる。よって、前記ホウ素含有リチウムマンガン酸化物中のホウ素とマンガンのモル比B/Mnは0.2以上2.0以下の範囲内に規制する必要がある。
【0011】
また、200℃以上の温度のリフロー炉に晒された後、2.0V未満にまで過放電することにより、正・負極表面に形成された電解液の分解生成物である被膜を電極から脱離させることができる。これにより電池の内部抵抗が低下し、またホウ素をリチウムマンガン酸化物から脱離させることができるので、電極でのリチウムイオンの挿入脱離がスムースに進行するようになり、電池性能の劣化が防止できる。ここで、過放電電圧レベルとしては、電池に負荷がかかっている状態において、1.5V以下であることがより好ましく、1.0V以下であることがさらに好ましく、0.5V以下であることが最も好ましい。
【0012】
上記課題を解決するための第二の態様の本発明は、スピネル型マンガン酸リチウムを活物質として含む正極と、負極と、前記正負極間に介在されたセパレータと、非水電解質と、を有する前駆体電池が充電されてなるリチウム二次電池の製造方法であって、前記前駆体電池を200℃以上の温度に晒す第一工程と、前記第一工程の後、電圧が2.0V未満になるまで前記前駆体電池を過放電する第二工程と、前記第二工程の後、前記前駆体電池を充電する第三工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成であると、スピネル型マンガン酸リチウムの比表面積は上記リチウムマンガン酸化物よりも小さく、電解液と反応しにくいことから、ホウ素を添加しなくても十分に正極と電解液との反応を抑制することができる。また、上記第一の態様の本発明と同様、200℃以上の温度に晒した後、2.0V未満になるまで過放電することによって、正・負極表面に形成された電解液の分解生成物からなる被膜が電極から脱離するので、内部抵抗を低減させ放電容量を向上させることができる。
【0014】
上記第一の態様及び第二の態様の本発明において、負極がリチウム−アルミニウム合金である、とすることができる。
【0015】
上記第一の態様及び第二の態様の製造方法においては、充電前に放電を行う必要があるので、負極にリチウムが含まれていることが必須条件となる。しかし、このリチウムが金属リチウムであると、その融点が183℃であるため、200℃以上の温度に晒すと溶融して電池性能が劣化してしまう。よって、金属リチウムよりも融点の高いリチウム合金が好ましいが、リチウム−アルミニウム合金は融点が高く、放電特性に優れ、しかも安価であるので負極材料として好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、コイン型のリチウム二次電池を例として、説明する。図1は、この電池の全体構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、電池外装缶(正極缶)1内には、正極2と、リチウム−アルミニウム合金を活物質とする負極3と、両極を離間するセパレータ4とから構成される電極体が収容されている。そして、このセパレータ4には、電解液が含浸されている。この電池は、正極缶2の開口部と電池封口缶(負極キャップ)6とが、リング形状の絶縁ガスケット5を介して、かしめ固定され封止されている。
【0018】
このような本発明に係るリチウム二次電池の詳細を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0019】
(実施例1)
正極の作製
水酸化リチウムと、酸化ホウ素と、二酸化マンガンとを、Li:B:Mnのモル比が5:3:10となるように混合した後、空気中で375℃、20時間焼成することにより、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物粉末を得た。このホウ素含有リチウムマンガン酸化物粉末90質量部と、導電剤としてのカーボンブラック10質量部と、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水溶液5質量部(PTFE1質量部)とを混合した。この混合物を加圧成形し、直径2mm、厚み0.6mmの円板状の正極ペレットを得た。この正極ペレットを真空乾燥(250℃で2時間)してペレット中の水分を除き、正極2を作製した。
【0020】
負極の作製
ステンレス板からなる負極キャップ6(厚み0.12mm)の内表面に直径2.5mm、厚み0.25mmのリチウム−アルミニウム合金を固着し、負極3を作製した。
【0021】
電解液の作製
プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとを体積比70:30で混合した混合溶媒に、溶質としてのLiN(CF3SO2)2を1.0M(モル/リットル)の割合で溶解し、電解液を作製した。
【0022】
電池の作製
前記負極3上に、ポリフェニレンスルフィド(PPS)製の不織布からなるセパレータ4を載置させ、このセパレータ4に前記電解液を注液した。その後、セパレータ上に前記正極2を載置させ、さらにその上にステンレス製の正極缶1(厚み0.15mm)を被せた。この正極缶1と前記負極キャップ6とを、ポリエーテルエーテルケトン製の絶縁ガスケット5を介してかしめ封口し、電池径(直径)4.8mmで厚み1.4mmの前駆体電池を作製した。その後、180℃以上に180秒、200℃以上に100秒、225℃以上に70秒、電池の表面温度が最大で260℃となるように設定したリフロー炉内に前駆体電池を2回投入した後、20μAで0.01Vまで過放電し、20μAで3.0Vまで充電して、実施例1に係るリチウム二次電池を作製した。なお、PPSおよびポリエーテルエーテルケトンは耐熱性の高い樹脂である(融点:PPS、約280℃;ポリエーテルエーテルケトン、約340℃)。
【0023】
(実施例2)
ホウ素含有リチウムマンガン酸化物のかわりに、炭酸リチウムと二酸化マンガンをLi:Mn原子比が1:2になるように混合し、800℃で18時間焼成して得たスピネル型マンガン酸リチウムを用いて正極2を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0024】
(比較例1)
20μAで2.0Vまで放電した後、20μAで3.0Vまで充電したこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0025】
(比較例2)
20μAで2.0Vまで放電した後、20μAで3.0Vまで充電したこと以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
【0026】
上記で作製した実施例1、2、比較例1、2について下記条件で放電容量を測定し、リフロー炉内を通過させた後の電池に対する初期放電レベルと、放電容量の関係を検討した。
【0027】
放電容量の測定
上記実施例1、2の前駆体電池をリフロー炉に2回投入後、20μAで0.01Vまで放電した場合の放電容量(放電容量は電池電圧が2.0Vになるまでの値である)と、その後20μAで3.0Vまで充電後、20μAで2.0Vまで放電した放電容量とを測定した。
また、上記比較例1、2の前駆体電池をリフロー炉に2回投入後、20μAで2.0Vまで放電した場合の放電容量と、その後20μAで3.0Vまで充電後、20μAで2.0Vまで放電した放電容量とを測定した。
ここで、リフロー炉に2回投入したのは、両面実装基板において、表裏面で2回のはんだ付けを行うことを考慮に入れたものである。
【0028】
上記各試験結果を下記表1に示すとともに、初回放電時の放電容量と、放電後3.0Vまで充電した後、2.0Vまで放電を行った放電曲線を図2〜6に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1及び図2〜6から、初回放電時に2.0Vまで放電を行ったのみの比較例1や比較例2がほとんど容量に変化がなかったことに比べて、初回放電時に0.01Vまで過放電を行った実施例1は容量が約2倍、実施例2は約1.4倍に増加していることがわかる。
【0031】
このことは、次のように考えられる。リチウムマンガン酸化物作製時にホウ素を含有させて正極にホウ素を含む被膜を形成させること、さらには電池を200℃を超えるリフロー炉を通すことによって、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物や、比表面積の小さいスピネル型マンガン酸リチウムを正極活物質として用いた場合においても、正極活物質と電解液とが反応して、正・負極に抵抗の高い被膜が形成される。この被膜は比較例1、2で行った通常レベルの放電(2.0Vまでの放電)によっては極板からほとんど脱離しないため、電池の内部抵抗が高い状態となり、放電容量が小さくなる。また、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を用いた比較例1においては、充放電に寄与するリチウムマンガン酸化物をコーティングしているホウ素が、リチウムマンガン酸化物から脱離しないので、電解液と充放電に寄与するリチウムマンガン酸化物との接触性が悪くなり、さらに放電容量が小さくなる。
【0032】
他方、リフロー後の電池を過放電領域(0.01V)にまで放電を行った実施例1、2では、過放電によって上記抵抗の高い被膜が極板から脱離し、また、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を用いた実施例1においては、充放電に寄与するリチウムマンガン酸化物を被覆しているホウ素を含む被膜が、リチウムマンガン酸化物から脱離するため、電解液と充放電に寄与するリチウムマンガン酸化物との接触性が向上する。
この結果、比較例1よりも実施例1の方が、比較例2よりも実施例2の方が高い放電容量となる。
【0033】
また、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を用いた実施例1の方が、スピネル型マンガン酸リチウムを用いた実施例2よりも、容量増加の割合が大きい。
【0034】
これは、ホウ素含有マンガン酸化物においては、正極のホウ素含有被膜と負極の被膜の両方が脱離するが、スピネル型マンガン酸リチウムにおいてはホウ素含有被膜がないので、主に負極の被膜のみの脱離の効果であるためと考えられる。
【0035】
次に、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物に添加されるホウ素量が、電池性能に与える影響について検討するため、実施例3、4、比較例3、4に係る電池を作製した。
【0036】
(実施例3)
Li:B:Mnのモル比を5:2:10としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0037】
(実施例4)
Li:B:Mnのモル比を5:20:10としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0038】
(比較例3)
Li:B:Mnのモル比を5:0.1:10としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0039】
(比較例4)
Li:B:Mnのモル比を5:1:10としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
【0040】
上記で作製した実施例1、3、4、比較例3、4の電池を用いて以下の試験を行った。
【0041】
リフローによる電池性能の変化試験
リフロー炉内に投入する前の前駆体電池と、リフロー炉に投入し、放電した後、充電を行ったリチウム二次電池との、電池全高の変化、電池内部抵抗(1kHzの交流内部抵抗値〈IR〉)の変化を調べた。
【0042】
放電容量の測定
リフロー炉に2回投入後、20μAで0.01Vまで放電した場合の放電容量(容量は電池電圧が2.0Vになるまでの量である)と、その後20μAで3.0Vまで充電後、20μAで2.0Vまで放電した放電容量とを測定した。
【0043】
上記各試験の結果を下記表2及び図2、3に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
上記表2から、ホウ素とマンガンとのモル比(B/Mn)が大きくなればなるほど、リフローによる電池の膨れが小さくなるとともに、内部抵抗の増加量が低下する傾向があることがわかる。このことは、ホウ素の添加によってリチウムマンガン酸化物と電解液との反応が抑制されたことによると考えられる。
【0046】
また、表2及び図2、3から、過放電時の放電容量、及び過放電後の放電容量はホウ素の添加量が0.3である実施例1が最も大きく、これよりもホウ素の添加量が少ない比較例3、4、実施例3や、これよりもホウ素の添加量が多い実施例4よりも高くなっていることがわかる。このことは、ホウ素の量が少なすぎると、電池が高温になった時に十分に正極と電解液との反応を抑制することができず、多すぎると放電に寄与するリチウムマンガン酸化物の量が少なくなるため放電容量が低下したためと考えられる。
【0047】
また、スピネル型マンガン酸リチウムを用いた実施例2に対して上記と同様の試験を行ったところ、ホウ素を添加しなくても内部抵抗の上昇が202Ω、電池の膨れが0.02mmと、ホウ素をB/Mnで0.3〜2.0添加している実施例1、4の178〜232Ω、0.01〜0.02mmと同程度に抑制できていることが確認された。このことは、スピネル型マンガン酸リチウムの比表面積がホウ素含有リチウムマンガン酸化物よりも小さく、電解液と正極活物質との反応性が低いためと考えられる。
【0048】
〔その他の事項〕
上記実施例では電解液に用いる非水溶媒として、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタンを用いたが、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の他の環状カーボネートや、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類を用いることもできる。また、これらの混合物を添加してもよい。ただし、200℃以上に晒される電池であるため、沸点が200℃未満の溶媒を用いる場合、溶媒の揮発によって電池が膨れるおそれがある。したがって、低沸点の溶媒の量を少なくすることが好ましい。
【0049】
また、負極活物質としてはリチウム−アルミニウム合金を用いたが、これに限定されることはなく、リチウム−シリコン合金の他のリチウム合金を用いてもよい。また、これらの合金に他の金属を微量含む合金であってもよい。
【0050】
また、上記実施例では正極に含ませるホウ素として酸化ホウ素を用いたが、ホウ酸、ホウ酸リチウム、メタホウ酸、メタホウ酸リチウム、次ホウ酸等を用いてもよい。また、これらの混合物であってもよい。ただし、ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム等のリチウム含有ホウ素化合物を用いる場合には、生成されるホウ素含有リチウムマンガン酸化物のリチウム量とホウ素量とのバランスをとるために、リチウムを含まないホウ素化合物、またはホウ素を含まないリチウム化合物を混合することが必要である。
【0051】
また、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を作製する際に用いるリチウムとしては、水酸化リチウム以外に、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酸化リチウム、またはこれらの混合物等を用いてもよい。また、スピネル型マンガン酸リチウムの作製においても同様に、上記リチウム化合物を用いることができる。
【0052】
また、電解質塩としては、LiN(CF3SO2)2以外にLiN(C2F5SO2)2、LiPF6、LiBF4等を用いることができる。またこれらの混合物であってもよい。中でも、熱安定性に優れることから、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2が好ましい。
【0053】
上記実施例では、電池外装缶の開口部を封止するために、ガスケットを用いたカシメ封止法を用いたが、この方法以外にもレーザー照射による封止方法、樹脂からなる封止部材を熱溶着する方法等を用いてもよい。
【0054】
また、ガスケット材、セパレータ材としては、200℃以上の条件に晒されるため、耐熱性の高い樹脂(融点が200℃以上の樹脂)を用いることが好ましい。このような耐熱性樹脂の具体例としては、上記ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン以外に、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、セルロース等の耐熱性樹脂、または、樹脂素材にガラス繊維等のフィラーを添加してさらに耐熱温度を向上させた樹脂等が例示できる。
【0055】
また、上記実施例ではコイン型の電池を作製したが、円筒形、角型等の他の形状の電池にも適用できる。
【0056】
また、上記実施例においては、リフローはんだ付けにおける温度上昇を前提として本発明の意義を説明したが、本発明の作用効果はリフローはんだ付けに限られるものではなく、200℃以上の高温条件に晒される過程を不可避とする電池使用態様においてその効果を発揮する。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を正極活物質とする第一の態様の本発明によると、リフローはんだ付け等により電池温度が上昇した場合において正極活物質と電解液とが反応して生じる被膜や、正極活物質に添加されているホウ素による緻密な被膜を取り除くことができるので、リフローはんだ付け等による必要的電池温度の上昇に起因する電池性能の劣化を防止することができる。
【0058】
また、正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムを正極活物質とする第ニの態様の本発明によると、リフローはんだ付け等により電池温度が上昇した場合において、電解液の分解生成物からなる被膜が形成された場合であってもこの被膜を電極活物質表面から離脱させることができるので、リフローはんだ付け等による必要的電池温度の上昇に起因する電池性能の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイン型リチウム二次電池を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1、3、4及び比較例3、4に係る前駆体電池を0.01Vまで過放電した際の放電曲線を示すグラフである。
【図3】実施例1、3、4及び比較例3、4に係る電池の放電曲線を示すグラフである。
【図4】実施例2に係る前駆体電池を0.01Vまで過放電した際及び実施例2に係る電池を2.0Vまで放電した際の放電曲線を示すグラフである。
【図5】比較例1に係る前駆体電池を2.0Vまで放電した際及び比較例1に係る電池を2.0Vまで放電した際の放電曲線を示すグラフである。
【図6】比較例2係る前駆体電池を2.0Vまで放電した際及び比較例1に係る電池を2.0Vまで放電した際の放電曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電池外装缶(正極缶)
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 絶縁ガスケット
6 電池封口缶(負極キャップ)
Claims (3)
- ホウ素含有リチウムマンガン酸化物を活物質として含み、前記ホウ素含有リチウムマンガン酸化物中のホウ素とマンガンのモル比B/Mnが0.2以上2.0以下である正極と、
負極と、
前記正負極間に介在されたセパレータと、
非水電解質と、
を有する前駆体電池が充放電されてなるリチウム二次電池の製造方法であって、
前記前駆体電池を200℃以上の温度に晒す第一工程と、
前記第一工程の後、電圧が2.0V未満になるまで前記前駆体電池を過放電する第二工程と、
前記第二工程の後、前記前駆体電池を充電する第三工程と、
を備えることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - スピネル型マンガン酸リチウムを活物質として含む正極と、
負極と、
前記正負極間に介在されたセパレータと、
非水電解質と、
を有する前駆体電池が充放電されてなるリチウム二次電池の製造方法であって、
前記前駆体電池を200℃以上の温度に晒す第一工程と、
前記第一工程の後、電圧が2.0V未満になるまで前記前駆体電池を過放電する第二工程と、
前記第二工程の後、前記前駆体電池を充電する第三工程と、
を備えることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - 請求項1または2に記載のリチウム電池の製造方法において、
前記負極はリチウム−アルミニウム合金である、
ことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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Cited By (7)
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