JP2004079356A - 非水電解質電池 - Google Patents

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Yoshinori Atsumi
厚美 吉則
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Abstract

【課題】熱による電池特性の低下を抑える。
【解決手段】正極活物質を有する正極2と、負極活物質を有する負極3と、正極と負極とが接触しないように遮蔽させるセパレータ4と、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解液5と、正極缶8と負極缶9とを有する外装材6と、正極缶8と負極缶9とにより形成される内部空間を密閉するガスケット7とを備え、セパレータ4、非水電解液5、ガスケット7がそれぞれ高い耐熱性を有していることから、高温環境下に曝された際の熱による電池特性の低下を抑える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極、セパレータ、非水電解質、外装材、ガスケットを備え、電池特性が大幅に改善された非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)等の電子機器の主電源やバックアップ用の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、円筒形、角型、薄型、コイン型、ボタン型等、様々な形状に対応可能なリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、電子機器のメモリバックアップ用の電源として用いられる場合、例えばメモリ素子等と一緒にプリント基板に実装されることから、その形状がコイン型、ボタン型等になる。そして、このリチウムイオン二次電池は、例えば電池外装にはんだ付け用の端子が溶接された後に、プリント基板上にはんだ付けされることでプリント基板に実装されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したリチウムイオン二次電池では、プリント基板に実装された場合、はんだ付けされる際の熱により電極や電解液等が劣化し、電池内部でガスが発生したり、電池特性の低下が起こったりすることがある。また、このリチウムイオン二次電池では、はんだ付けされる際の熱によって気密性が低下して電解液等が漏れ出す虞もある。
【0005】
特に、最近では、電子機器の高性能化が進み、プリント基板に実装される電子部品の点数も増えており、はんだごてによるはんだ付けも困難なことから、プリント基板に対する電子部品やリチウムイオン二次電池のはんだ付けは機械による自動化が求められている。具体的には、はんだ付けされる部分にはんだクリームが塗布されたリチウムイオン二次電池を、プリント基板の所定の位置に装着させた状態で高温炉内を通過させることでプリント基板にはんだ付けさせる方法、いわゆるはんだリフロー処理による自動化が求められている。
【0006】
このようなはんだリフロー処理が施された場合も、リチウムイオン二次電池では、高温炉内を通過させる際に200℃〜240℃の高温雰囲気下に曝されることから、気密性が低下してしまう。また、リチウムイオン二次電池をプリント基板に実装させるのに、環境に優しいとされる鉛を含まないはんだを用いた場合、プリント基板にはんだ付けさせる温度が更に高くなることから、リチウムイオン二次電池の気密性が大幅に低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、耐熱性が大幅に向上されることで、はんだリフロー処理等により自動ではんだ付けが行われても電池特性の劣化が無い優れた非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極と、リチウムのドープ/脱ドープが可能な負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に配され、正極と負極とが接触しないように遮蔽させるセパレータと、電解質塩と非水溶媒とを含有する非水電解質と、正極及び負極のうち一方の電極と電気的に接続される容器と、正極及び負極のうち他方の電極と電気的に接続される蓋体とを有し、容器の開口部を蓋体が封口することで形成される内部空間に、正極、負極、セパレータ、非水電解質を収納する外装材と、容器を蓋体が封口した際に、容器と蓋体との間を封止することによって内部空間を密閉するガスケットとを備え、非水溶媒全体のうちの50%以上がペンタグライム、テトラグライムのうち何れか一種以上であり、電解質塩がトリフルオロメタスルホン酸リチウム、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミドのうち何れか一種以上を含有し、セパレータが、ポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドのうち何れか一種以上を含有し、ガスケットが、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートのうち何れか一種以上からなることを特徴としている。
【0009】
この非水電解質電池では、非水電解質に、非水溶媒としてペンタグライム、テトラグライムのうち何れか一種以上が含有され、電解質塩としてトリフルオロメタスルホン酸リチウム、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミドのうち何れか一種以上が含有されていることから、非水電解質の耐熱性が向上し、高温環境下に曝された際の熱による非水電解質の劣化を抑える。
【0010】
また、この非水電解質電池では、セパレータに、ポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドのうち何れか一種以上からなることから、セパレータの耐熱性が向上し、高温環境下に曝された際の熱によるセパレータの劣化を抑える。
【0011】
さらに、この非水電解質電池では、ガスケットに、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートのうち何れか一種以上からなることから、ガスケットの耐熱性が向上し、高温環境下に曝された際の熱によるガスケットの劣化を抑える。
【0012】
さらにまた、本発明に係る非水電解質電池は、内部空間に収納された非水電解質の体積の割合が、内部空間に非水電解質以外の正極、負極、セパレータを収納することで形成される空隙に対し、体積比で50%以上、80%以下の範囲にされている。
【0013】
これにより、非水電解質電池では、内部空間の非水電解質の量が適切となり、非水電解質が少なすぎることによる電池特性の低下を抑制し、非水電解質が多すぎることによる高温保存された際の外装材の変形や非水電解質の漏出を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質電池としてコイン型のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、ペレット状の正極2と、ペレット状の負極3と、正極2及び負極3の間に配されたセパレータ4と、正極2と負極3との間でリチウムイオンを移動させる非水電解液5と、正極2、負極3、セパレータ4、非水電解液5を収納する外装材6と、外装材6の正極2等が収納された空間を密閉するガスケット7とを備えている。
【0015】
正極2は、粉末状の正極活物質と、粉末状の導電材と、粉末状の結着剤をと混合し、加圧形成することでペレット状に形成されている。また、正極2としては、粉末体の正極活物質をペレット状に加圧形成したものに限定されることはなく、例えば正極活物質、導電材、結着剤等からなる合剤を溶媒に分散させた正極合剤塗液を、アルミニウム等の導電性金属からなる箔状若しくは網状の正極基板の主面に均一な厚みに塗布し、乾燥することで正極合剤層を形成し、この正極合剤層と正極基板とを一括して所定の形状に切り抜いたものも適用可能ある。
【0016】
この正極2には、正極活物質として例えば化学式LiMn(m)(x+m)(式中xはMnに対するLiをモル比で示したものであり、mはMnの価数分析値である。)で示されるリチウム・マンガン複合酸化物等を用いる。
【0017】
以上に示した化学式において、Mnの価数分析値mは、リチウム・マンガン複合酸化物のMnの価数を示す値であり、次のようにして求まる。Mnの価数分析値mを求める際は、先ず、リチウム・マンガン複合酸化物中の全マンガン量を求める。リチウム・マンガン複合酸化物中の全マンガン量を求める際は、リチウム・マンガン複合酸化物を濃塩酸と硫酸との混合溶液に溶解させ、この溶液を純水で希釈し、希釈した溶液にピロ燐酸ナトリウム・10水和物を加えた後に、水酸化ナトリウムを加えて水素イオン濃度がpH=7になるように調整する。次に、得られたpH=7の溶液を過マンガン酸カリウム標準溶液で電位差滴定する。このようにして、リチウム・マンガン複合酸化物中の全マンガン量を求める。
【0018】
次に、リチウム・マンガン複合酸化物中に含まれる4価のマンガン量を求める。リチウム・マンガン複合酸化物中の4価のマンガン量を求める際は、リチウム・マンガン複合酸化物を55℃〜60℃程度の雰囲気中でシュウ酸溶液に溶解させ、この溶液を過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。このようにして、リチウム・マンガン複合酸化物に含まれる4価のマンガン量を求める。そして、以上のようにして求めたリチウム・マンガン複合酸化物中の全マンガン量をAとし、リチウム・マンガン複合酸化物中の4価のマンガン量をBとしたときに、Mnの価数分析値mは、m=((A−B)×2+B×4)÷Aで示した数式により求まる。なお、リチウム・マンガン複合酸化物においては、Mnの価数分析値mが3.8以上、4.0以下の範囲することにより、結晶構造が安定することから、電池1の電池特性を向上させるように作用する。
【0019】
以上で説明したリチウム・マンガン複合酸化物の他に、正極活物質としては、例えばLiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(x、yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02である。)等といったリチウム複合酸化物、TiS、MoS、NbSe、V等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマ等が挙げられる。そして、正極2においては、正極活物質として、上述したリチウム・マンガン複合酸化物、その他のリチウム複合酸化物、金属硫化物、金属酸化物等のうち何れか一種以上を混合して用いることも可能である。
【0020】
また、正極2には、正極活物質と混合される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン等を用いる。また、正極2においては、導電性を向上させるために、正極活物質に導電材等を混合させることも可能であり、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の導電材を用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等が挙げられ、これらを単独若しくは混合して用いる。
【0021】
負極3は、負極活物質となる板状の金属リチウムやリチウム合金を打ち抜いてペレット状に成形されている。また、負極3には、ペレット状の金属リチウムと、リチウムと化合可能な金属若しくは化合物とを貼り合わせた状態で電池内部に収納し、放置しておくことでリチウム合金化したものを負極活物質として用いることも可能である。
【0022】
負極3においては、リチウムと化合可能な金属若しくは化合物として例えばMg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B等の金属元素及びこれらの金属元素を一種以上含有する化合物等が挙げられる。また、リチウムと化合可能であることから半導体元素であるB、Si、As等も上述した金属元素と同様に用いることができる。
【0023】
負極3には、上述したペレット状のリチウムやリチウム合金の他に、粉末状の負極活物質と粉末状の結着剤をと混合し、加圧形成することでペレット状に形成させたものを用いることもできる。また、負極3には、粉末体の負極活物質をペレット状に加圧形成したものに限定されることはなく、例えば負極活物質、結着剤等からなる合剤を溶媒に分散させた負極合剤塗液を、銅等の導電性金属からなる箔状若しくは網状の負極基板の主面に均一な厚みに塗布し、乾燥することで負極合剤層を形成し、この負極合剤層と負極基板とを一括して所定の形状に切り抜いたものも適用可能ある。
【0024】
この場合、負極活物質としては、例えば上述したリチウムと化合可能な金属や化合物を粉末状にしたものや、リチウムイオンのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料等を用いる。負極活物質となる炭素質材料としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛類、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等のコークス類、ガラス状炭素繊維、フェノール樹脂やフラン樹脂等を適当な温度で焼成して炭素化させた有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を用いる。そして、以上に挙げた粉末状の負極活物質は、複数種を混合して用いることも可能である。また、この負極3には、負極活物質と混合される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン等を用いる。
【0025】
セパレータ4は、正極2と負極3との間を遮蔽し、両極の接触による短絡を防止しつつ非水電解液5中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ4は、熱変形温度を230℃以上とする樹脂が例えばメルトブロー等で繊維状にされた繊維状樹脂により形成された不織布である。具体的に、セパレータ4には、空孔率が10%〜50%、厚みが40μm〜200μmの不織布を用いる。
【0026】
セパレータ4においては、熱変形温度を230℃以上とする繊維状樹脂として例えばポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を用いる。また、セパレータ4には、以上に挙げた繊維状樹脂の他に、例えばガラス繊維等を用いることもできる。
【0027】
このセパレータ4は、例えば熱変形温度が230℃以上の繊維状樹脂等により形成された不織布であることから、電池1をプリント基板等にはんだ付けする際の200℃程度の高温環境下に曝された場合、すなわち電池1にはんだリフロー処理が施された場合でも、熱により変形することが無く、正極2と負極3との間を適切に遮蔽し続ける。
【0028】
このため、セパレータ4では、従来のような非水電解質電池が高温環境下に曝された際の熱によりセパレータが変形して正極と負極とを短絡させるといった不具合を防止でき、電池1が加熱されることで起こる電池特性の低下を抑制できる。
【0029】
非水電解液5としては、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。非水溶媒としては、例えばペンタグライム、テトラグライム、スルホラン、3−メチルスルホラン、メチルオキサゾリジノン等の高沸点溶媒が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を用いる。また、この非水溶媒には、以上に挙げた高沸点溶媒の他に、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等のうち何れか一種以上を含有させることも可能である。
【0030】
また、電解質塩としては、例えばトリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)等のリチウム塩が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を用いる。
【0031】
この非水電解液5は、非水溶媒としてペンタグライム、テトラグライム、スルホラン、3−メチルスルホラン、メチルオキサゾリジノン等の高沸点溶媒が含有され、電解質塩としてLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFSOのうち何れか一種以上が含有されており、これらの非水溶媒及び電解質塩が高い耐熱性を有していることから、加熱により分解されてガス化することが無く、熱に対して高い安定性を示している。
【0032】
このため、この非水電解液5は、電池1にはんだリフロー処理が施された場合でも、熱により非水溶媒や電解質塩が劣化して起こる電池特性の低下や、熱により分解されて発生したガスが電池内部に貯留して電池1を膨らませる不具合を防止するように作用する。
【0033】
この非水電解液5においては、非水溶媒全体のうちの50%以上を高沸点溶媒にしている。非水電解液5において、高沸点溶媒が非水溶媒全体に対して50%よりも少なく含有された場合、高沸点溶媒が少なすぎることから、電池1が高温環境下に曝された際の熱による非水電解液5の劣化を抑制することが困難になる。
【0034】
したがって、非水電解液5においては、高沸点溶媒を非水溶媒全体のうちの50%以上に含有させることにより、非水溶媒中に高い耐熱性を有する高沸点溶媒が適切な量含有されることから、加熱による劣化が抑制させることができる。
【0035】
外装材6は、正極2と電気的に接触する正極缶8と、負極3と電気的に接触する負極缶9とからなり、負極缶9の開口部を正極缶8が覆うように封口することで形成される内部空間6aに、正極2、負極3、セパレータ4、非水電解質5を収納させている。
【0036】
正極缶8は、正極2を収容する底の浅い皿状、いわゆるシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、正極2と接触することで電池1の外部正極となる。具体的に、この正極缶8には、例えばステンレス等からなる金属容器等を用いる。また、正極缶8には、例えばステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属を複数積層させた状態の金属容器等を用いることも可能である。
【0037】
負極缶9は、負極3を収容するシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、負極3と接触することで電池1の外部負極となる。具体的に、この負極缶9には、負極3が収納された際に、負極3側から例えばリチウムと化合可能な金属からなる第1の金属層9a、ステンレス等からなる第2の金属層9bが厚み方向に順次積層されるように成形された金属容器等を用いる。具体的に、負極缶9は、例えばアルミニウムとステンレスとが貼り合わされたクラッド材等を用い、第1の金属層9aがアルミニウムとなるように形成される。この負極缶9では、負極3が収容される側の第1の金属層9aが、その表面にペレット状の金属リチウム等を貼り付けて電池組立後に放置しておくことで、負極3となるリチウム合金を形成させる。
【0038】
外装材6においては、正極缶8及び/又は負極缶9の電極を収容させる側の面、すなわち電極が接触する面に微小な凹凸が無数に設けられている。これにより、外装材6においては、正極缶8及び/又は負極缶9と、電極との電気的な接触が適切に行われる。特に、負極缶9においては、負極3が接触する面に設けられた凹凸が、負極活物質として貼り付けられた金属リチウムの合金化を促進させる。なお、外装材6においては、正極缶8及び/又は負極缶9の電極が接触する面に、例えば炭素質材料等が分散された導電性塗料等を塗布し、乾燥させた集電層や、網状の導電性金属等からなる集電体を設けることでも電極との接触を適切に行うことができる。
【0039】
ガスケット7は、正極缶8が負極缶9を封口した際の正極缶8と負極缶9との間に生じる隙間に、この隙間を封止するように取り付けられている。これにより、ガスケット7は、正極2、負極3、セパレータ4、非水電解質5が収納された内部空間6aを密閉することになる。このため、このガスケット7は、外部正極となる正極缶8と外部負極となる負極缶9とを絶縁させると共に、正極缶8と負極缶9とにより形成される内部空間6aに収納された非水電解液5の漏出を防止させるように機能する。
【0040】
このガスケット7は、例えば熱変形温度が230℃以上の樹脂等によって形成されている。ガスケット7を形成する樹脂としては、例えばポリフェニレンサルファイト樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、これらうち何れか一種又は複数種を混合して用いる。また、ガスケット7は、以上に挙げた樹脂の他に、例えばペルフルオロアルコキシフルオロプラスチック、液晶ポリマ等により形成されても良い。
【0041】
このガスケット7では、上述した樹脂等で形成されることにより、優れた曲げ特性、伸び特性、靱性等を備えて内部空間6aの適切に密閉し、更に高い耐熱性も有することになる。
【0042】
したがって、このガスケット7では、電池1にはんだリフロー処理が施された場合でも、熱による変形が無く、内部空間6aを適切に密閉することから、従来のような加熱によりガスケットが変形して内部空間の気密性を低下させて非水電解液を漏出させてしまうといった不具合を防ぐことができる。
【0043】
そして、以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極2を作製する。正極2を作製する際は、それぞれが粉末状の正極活物質と導電材と結合剤とを混合して正極合剤を調合し、この正極合剤を加圧形成することでペレット状の正極2が作製される。
【0044】
次に、負極3を作製する。負極3を作製する際は、負極3を収容させる側の面にリチウムと化合可能な金属からなる第1の金属層9aが設けられた負極缶9を用意し、負極活物質としてペレット状の金属リチウムを第1の金属層9aの表面に貼り付けるようにして収納する。そして、電池組立後に放置することで、金属リチウムと負極缶9における第1の金属層9aとが合金化し、リチウム合金からなる負極3が作製される。
【0045】
次に、非水電解液5を調製する。非水電解液5を調製する際は、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFSOからなる電解質塩を、高沸点溶媒を50%以上含有する非水溶媒に溶解させる。これにより、非水電解液5が調整される。
【0046】
次に、正極2が収容され、非水電解液5が注液された正極缶8の開口部と、負極活物質として金属リチウムが収容され、非水電解液5が注液された負極缶9の開口部とを、正極2と金属リチウムとの間に、高い耐熱性を有する不織布からなるセパレータ4を配置した状態で組み合わせる。このとき、正極缶8の周縁部と負極缶9の周縁部との間にできた隙間に、高い耐熱性を有するガスケット7を、正極缶8と負極缶9とが接触することがないように嵌め込む。なお、このガスケット7は、予め、正極缶8又は負極缶9の周縁部に嵌め込んでおいても良い。
【0047】
次に、正極缶8を内周側にかしめることで、負極缶9を固定する。このようにして、正極缶8と負極缶9とによって形成された内部空間6aに正極2、負極3、セパレータ4、非水電解液5が収容されたコイン型の電池1が製造される。
【0048】
以上のようにして製造される電池1では、非水溶媒として高沸点溶媒が含有され、電解質塩としてLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFSOのうち一種以上が含有された高い耐熱性を有する非水電解液5を用いており、はんだリフロー処理等の高温環境下に曝されても、熱による非水電解液5の劣化が無いことから、電池特性の低下を抑制することができる。また、この電池1では、熱により非水電解液5が分解されてガス化することがないことから、高温環境下で内部空間6aにガスが貯留して起こる外装材6が膨れるような変形を抑制することができる。
【0049】
この電池1では、ポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド等を含有した繊維状樹脂の不織布からなる高い耐熱性を有するセパレータ4を用いており、はんだリフロー処理等の高温環境下に曝されても、熱によりセパレータ4が変形することを防ぐことができる。
【0050】
これにより、電池1では、高温環境下でも正極2と負極3との間をセパレータ4が適切に遮蔽することから、従来のような加熱によるセパレータの変形で起こった内部短絡を防止することができる。
【0051】
この電池1では、ポリフェニレンサルファイト樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等を含有した高い耐熱性を有するガスケット7を用いており、はんだリフロー処理等の高温環境下に曝されても、熱によりガスケット7が変形することを防ぐことができる。
【0052】
これにより、電池1では、高温環境下でもガスケット7が内部空間6aを適切に密閉することから、従来のような加熱によるガスケットの変形で起こった電解液の漏出を防止することができる。また、電池1では、高温環境下でもガスケット7が正極缶8と負極缶9とを適切に絶縁することから、従来のような加熱によるガスケットの変形で正極缶と負極缶とが接触して起こった外部短絡を防止することができる。
【0053】
以上で説明したように、この電池1は、セパレータ4、非水電解液5、ガスケット7がそれぞれ高い耐熱性を有していることから、はんだリフロー処理等の高温環境下に曝されても、熱により電池特性が低下してしまうことを抑制することができる。これにより、この電池1では、例えばはんだリフロー処理によりプリント基板に自動ではんだ付けを行うことができる。
【0054】
この電池1においては、内部空間6aに収納された非水電解液5の体積の割合が、内部空間6aに非水電解液5以外の正極2、負極3、セパレータ4を収納することで形成される空隙に対し、体積比で50%以上、80%以下の範囲にされている。
【0055】
内部空間6aに収納された非水電解液5の体積の割合が、内部空間6aに形成される空隙に対して体積比で50%より少ないと、非水電解液5の注液量が少なすぎることから電池特性が低下してしまう。一方、内部空間6aに収納された非水電解液5の体積の割合が、内部空間6aに形成される空隙に対して体積比で80%より多いと、高温環境下に曝された際に、体積膨張を起こした非水電解液5の逃げ場がないことから、電池1が厚み方向に膨らんで外装材6を変形させたり、非水電解液5が外部に漏出したりする虞がある。
【0056】
したがって、電池1においては、内部空間6aに収納された非水電解液5の体積の割合を、内部空間6aに形成される空隙に対し、体積比で50%以上、80%以下の範囲にさせることで、電池特性の低下を抑制させ、高温環境下に曝された際の外装材6の変形や非水電解液5の漏出を防止させることができる。
【0057】
なお、以上の例では、コイン型の電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、例えば円筒形、角型、ボタン型等の外装材に金属製容器を用いた電池等、種々の形状や大きさの非水電解質電池にも適用可能である。また、以上の例では、二次電池である電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液電池であれば一次電池にも適用可能である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池としてコイン型のリチウムイオン二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
【0059】
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、正極活物質としてリチウム・マンガン複合酸化物を合成した。正極活物質を合成する際は、出発原材料としてMnOOHと、LiOHとをMnとLiの原子比率が1対1になるように混合し、この混合物を空気雰囲気で600℃程度の温度で5時間焼成した。このようにして、正極活物質としてLiMn12を合成した。
【0060】
次に、正極を作製した。正極を作製する際は、粉末状のLiMn12を91重量部と、導電材として粉末状のグラファイトを6重量部と、結着剤として粉末状のポリテトラフルオロエチレン(PTEF)を3重量部とを混合して正極合剤を調合し、この正極合剤を正極活物質が25mg含有されるように加圧形成した。このようにして直径4mm、厚み1mmのペレット状の正極を作製した。
【0061】
次に、負極を作製した。負極を作製する際は、厚み0.1mmのアルミニウムと、厚み0.1mmのステンレス材とを貼り合わせたクラッド材を、容器の内側がアルミニウム層になるようにシャーレ状に加工した負極缶を用意し、負極活物質として直径4mm、厚み0.3mmのペレット状の金属リチウムをアルミニウム層の表面に貼り付けるようにして収納した。そして、電池組立後に放置することで、金属リチウムとアルミニウム層とが合金化し、リチウム・アルミニウム合金からなる負極が作製されるようにした。このとき、負極缶においては、負極活物質が貼り付けられる面に微小な凹凸を無数に設け、リチウムとアルミニウムとの合金化を促進させるようにした。
【0062】
次に、非水電解液を調製した。非水電解液を調製する際は、LiN(CFSOからなる電解質塩を、ペンタグライム(PEG)からなる非水溶媒に0.5モル/リットルとなるように溶解させた。このようにして非水電解液が調整した。
【0063】
次に、厚み0.15mmのステンレス材をシャーレ状に加工した正極缶を用意し、この正極缶に正極を収容した。正極缶においては、正極が収容された際に、正極が接触する面に、カーボン等を分散させた導電性塗料を直径4.5mmに塗布し、150℃で10時間乾燥させることで集電層を形成させた。
【0064】
次に、正極が収容された正極缶、及び負極活物質が貼り付けられた負極缶に非水電解液を所定量注液した。次に、正極と負極活物質との間にポリフェニレンサルファイト製の繊維状樹脂で形成された不織布からなるセパレータを配置した状態で、正極缶と負極缶とを開口部同士が対向するように組み合わせた。このとき、正極缶の周縁部と負極缶の周縁部との間にできた隙間に、ポリフェニレンサルファイト樹脂からなるガスケットを、正極缶と負極缶とが接触することがないように嵌め込んだ。
【0065】
次に、正極缶を内周側にかしめることで、負極缶を固定した。このようにして、正極缶と負極缶とによって形成された内部空間に正極、負極、セパレータ、非水電解液が収容された直径6.8mm、厚み2.1mmのコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。
【0066】
〈サンプル2〉
サンプル2では、非水電解液を調製する際に、電解質塩としてLiClOを用いたこと以外は、サンプル1と同様に非水電解液を調整した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0067】
〈サンプル3〉
サンプル3では、非水電解液を調製する際に、非水溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルエチル(DME)との等容量混合溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様に非水電解液を調整した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0068】
〈サンプル4〉
サンプル4では、非水電解液を調製する際に、電解質塩としてLiClOを用い、非水溶媒としてPCとDMEとの等容量混合溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様に非水電解液を調整した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0069】
そして、各サンプルついて、はんだリフロー前の内部抵抗、はんだリフロー後の内部抵抗を測定した。
【0070】
以下、各サンプルにおける、はんだリフロー前の内部抵抗、はんだリフロー後の内部抵抗の評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2004079356
【0072】
なお、はんだリフロー処理は、温度が260℃雰囲気のリフロー炉内に40秒間留まるような条件で施した。
【0073】
表1に示す評価結果から、非水電解液の電解質塩にLiN(CFSOを用いたサンプル1では、電解質塩にLiClOを用いたサンプル2に比べ、はんだリフロー後の内部抵抗が大幅に小さくなっていることがわかる。
【0074】
サンプル2では、電解質塩としてLiClOを用いており、はんだリフロー処理が施された際の熱により電解質塩であるLiClOが劣化することから、内部抵抗が測定できなくなるほど大きくなる。
【0075】
また、表1に示す評価結果から、非水電解液の非水溶媒としてPEGを用いたサンプル1では、非水溶媒にPCとDMEとの混合溶媒を用いたサンプル3に比べ、はんだリフロー後の内部抵抗が小さくなっていることがわかる。
【0076】
サンプル3では、非水溶媒としてPCとDMEとの混合溶媒を用いており、はんだリフロー処理が施された際の熱により非水溶媒であるPCやDMEが劣化することから、内部抵抗が大きくなる。
【0077】
さらに、表1に示す結果から、非水電解液の電解質塩にLiN(CFSOを用い、非水溶媒としてPEGを用いたサンプル1では、電解質塩にLiClOを用い、非水溶媒としてPCとDMEとの混合溶媒を用いたサンプル4に比べ、はんだリフロー後の内部抵抗が大幅に小さくなっていることがわかる。
【0078】
サンプル4では、非水電解液に用いたLiClO、PC、DMEがはんだリフロー処理が施された際の熱により劣化することから、内部抵抗が測定できなくなるほど大きくなる。
【0079】
したがって、サンプル2〜サンプル4では、はんだリフロー後の内部抵抗が大きすぎることから、高温環境下に曝されることで電池特性が低下すると考えられる。
【0080】
一方、サンプル1では、電解質塩にLiN(CFSOを用い、非水溶媒にPEGを用いており、これらのLiN(CFSO、PEGが高い耐熱性を有することから、はんだリフロー処理が施された際の熱による非水電解液の劣化を抑え、はんだリフロー後の内部抵抗が大きくなってしまうことが抑制される。したがって、このサンプル1では、サンプル2〜サンプル4に比べてはんだリフロー後の内部抵抗を小さく抑えていることから、高温環境下に曝されても電池特性の低下が抑制されると考えられる。
【0081】
以上のことから、電池を作製する際に、非水電解液における電解質塩にLiN(CFSOを用い、非水溶媒にPEGを用いることは、はんだリフロー後の内部抵抗が小さく抑えられている、優れた耐熱性を有する電池を作製する上で大変有効であることがわかる。
【0082】
次に、非水電解液の注液量を変えて作製したサンプル5〜サンプル8について説明する。
【0083】
〈サンプル5〉
サンプル5では、非水電解液を注液する際に、正極缶と負極缶とで形成される内部空間に非水電解液以外の正極、負極、セパレータが収納されることで形成される空隙に対し、体積比で50%が非水電解液の体積の割合となるように、非水電解液を4.8mg注液したこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0084】
〈サンプル6〉
サンプル6では、非水電解液を注液する際に、正極缶と負極缶とで形成される内部空間に形成される空隙に対し、体積比で80%が非水電解液の体積の割合となるように、非水電解液を6.8mg注液したこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0085】
〈サンプル7〉
サンプル7では、非水電解液を注液する際に、正極缶と負極缶とで形成される内部空間に形成される空隙に対し、体積比で40%が非水電解液の体積の割合となるように、非水電解液を3mg注液したこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0086】
〈サンプル8〉
サンプル8では、非水電解液を注液する際に、正極缶と負極缶とで形成される内部空間に形成される空隙に対し、体積比で90%が非水電解液の体積の割合となるように、非水電解液を8mg注液したこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0087】
そして、各サンプルついて、はんだリフロー前の内部抵抗、はんだリフロー後の内部抵抗、はんだリフロー前後の厚み寸法の変化量を測定した。
【0088】
以下、各サンプルにおける、はんだリフロー前の内部抵抗、はんだリフロー後の内部抵抗、はんだリフロー前後における厚み寸法の変化量の評価結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
Figure 2004079356
【0090】
なお、はんだリフロー処理は、上述したサンプル1〜サンプル4と同様の条件で施した。また、はんだリフロー前後の厚み寸法の変化量は、はんだリフロー処理前の厚みに対し、はんだリフロー処理後の厚み寸法の変化量を示している。
【0091】
表2に示す結果から、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合を内部空間に形成される空隙に対して体積比で50%以上、80%以下の範囲にしたサンプル5及びサンプル6では、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合を内部空間に形成される空隙に対して体積比で40%にしたサンプル7に比べ、はんだリフロー前の内部抵抗、はんだリフロー後の内部抵抗が小さくなっていることがわかる。
【0092】
サンプル7では、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合が内部空間に形成される空隙に対して体積比で40%になるようにされており、非水電解液の注液量が少ないことから、内部空間に収納された電極、セパレータ等に非水電解液を満遍なく行きわたらせることが困難となって内部抵抗が大きくなってしまう。したがって、サンプル7では、内部抵抗が大きいことから、優れた電池特性を得ることが難しいと考えられる。
【0093】
また、表2に示す評価結果から、サンプル5及びサンプル6では、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合を内部空間に形成される空隙に対して体積比で90%にしたサンプル8に比べ、はんだリフロー後の内部抵抗が抑えられ、はんだリフロー前後の厚み寸法の変化量が小さくなっていることがわかる。
【0094】
サンプル8では、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合が内部空間に形成される空隙に対して体積比で90%になるようにされおり、非水電解液の注液量が多すぎることから、電池内部の空隙が殆ど無い状態になっている。このため、サンプル8では、内部空間に、はんだリフロー処理が施された際の熱により体積膨張した非水電解液の逃げ場が無く、体積膨張した非水電解液が電池内部より正極缶及び負極缶を押して電池を厚み方向に膨らましてしまい、電池の厚み寸法が厚くなる。また、サンプル8では、はんだリフロー処理により電池が厚み方向に膨らんだことで、正極缶及び/又は負極缶と、それぞれに収納された電極との接触状態が悪化してしまいはんだリフロー後の内部抵抗が大きくなってしまう。
【0095】
一方、サンプル5及びサンプル6では、内部空間に収容された非水電解液の体積の割合が内部空間に形成される空隙に対して体積比で50%以上、80%以下にされていることから、非水電解液の注液量が適量であると共に内部空間に適宜な空隙を有している。したがって、サンプル5及びサンプル6では、内部空間に収容されている電極、セパレータ等に非水電解液が満遍なく行きわたることから、内部抵抗を小さくさせる。また、サンプル5及びサンプル6では、はんだリフロー処理の熱により体積膨張した非水電解液の膨張した体積分が内部空間の適宜な空隙に吸収されることから、加熱による電池の膨れを抑える。
【0096】
以上のことから、電池を作製する際に、非水電解液の体積が内部空間の空隙の50%以上、80%以下を占めるようにさせることは、はんだリフロー前後の内部抵抗を小さくさせ、はんだリフローにより厚み方向に膨らむことのない優れた耐熱性を有する電池を作製する上で大変有効であることがわかる。
【0097】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る非水電解質電池では、非水電解質に、非水溶媒としてペンタグライム、テトラグライムのうち何れか一種以上が含有され、電解質塩としてトリフルオロメタスルホン酸リチウム、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミドのうち何れか一種以上が含有されており、これらの材料が高い耐熱性を有していることから、高温環境下に曝された際の熱による非水電解質の劣化を抑えて電池特性の低下を抑制できる。
【0098】
また、本発明に係る非水電解質電池では、セパレータに、ポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドのうち何れか一種以上が含有させることで、セパレータが高い耐熱性を有することから、高温環境下に曝された際の熱によるセパレータの変形を抑制できる。これにより、本発明に係る非水電解質電池では、加熱によりセパレータが変形して正極と負極とを短絡させてしまうことを防止でき、加熱による電池特性の低下を抑制できる。
【0099】
さらに、本発明に係る非水電解質電池では、ガスケットに、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートのうち何れか一種以上が含有させることで、ガスケットが高い耐熱性を有することから、高温環境下に曝された際の熱によるガスケットの変形を抑制できる。これにより、本発明に係る非水電解質電池では、加熱によりガスケットが変形して起こる外部短絡や非水電解質の漏出を防止でき、加熱による電池特性の低下を抑制できる。
【0100】
したがって、本発明によれば、非水電解質、セパレータ、ガスケットがそれぞれ高い耐熱性を有していることから、はんだリフロー処理等の高温環境下に曝された際の熱による電池特性の低下が無く、耐熱性が大幅に向上された非水電解質電池を提供できる。これにより、例えばはんだリフロー処理により自動ではんだ付けが行われても良好な電池特性を示す非水電解質電池として、幅広く用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリチウムイオン二次電池の内部構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 正極、3 負極、4 セパレータ、5 非水電解液、6 外装材、6a 内部空間、7 ガスケット、8 正極缶、9 負極缶

Claims (3)

  1. リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極と、
    リチウムのドープ/脱ドープが可能な負極活物質を有する負極と、
    上記正極と上記負極との間に配され、上記正極と上記負極とが接触しないように遮蔽させるセパレータと、
    電解質塩と非水溶媒とを含有する非水電解質と、
    上記正極及び上記負極のうち一方の電極と電気的に接続される容器と、上記正極及び上記負極のうち他方の電極と電気的に接続される蓋体とを有し、上記容器の開口部を上記蓋体が封口することで形成される内部空間に、上記正極、上記負極、上記セパレータ、上記非水電解質を収納する外装材と、
    上記容器を上記蓋体が封口した際に、上記容器と上記蓋体との間を封止することによって上記内部空間を密閉するガスケットとを備え、
    上記非水電解質は、上記非水溶媒全体のうちの50%以上がペンタグライム、テトラグライムのうち何れか一種以上であり、上記電解質塩がトリフルオロメタスルホン酸リチウム、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミドのうち何れか一種以上を含有し、上記セパレータは、ポリフェニレンサルファイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドのうち何れか一種以上を含有し、
    上記ガスケットは、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートのうち何れか一種以上を含有していることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 上記内部空間に収納された上記非水電解質の体積の割合が、上記内部空間に上記非水電解質以外の上記正極、上記負極、上記セパレータを収納することで形成される空隙に対し、体積比で50%以上、80%以下の範囲となることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 上記正極活物質は、リチウム・マンガン複合酸化物であり、
    上記負極活物質は、リチウム及び/又はリチウム合金であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
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