JP4883440B2 - スライド・跳上げ式自動車用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シート全体をスライドレールで車内の前後方向に移動可能で、シートバックをシートクッションに折り畳んでシート全体をスライドレールと共に後部側から上方に跳上げ可能に組み立てられるスライド・跳上げ式自動車用シートに関するものである。
自動車用シートは、図11で示すようにシートバック1をリクライニング機構(図示せず)で角度調整乃至はシートクッション2に前倒し可能に組み立てられていると共に、シートクッション2の下部側で前後方向に取り付けられるアッパーレール3aをロアレール3bでスライド可能に支持したスライドレール3を備え、シート全体をスライドレール3で車内の前後方向に位置移動可能に組み立てられている。
そのスライド式の自動車用シートは、アッパーレール3aをロアレール3bに施錠するロックレバー(図示せず)をスライドレール3の内側で前後方向に配置し、ロックレバーを開錠する操作レバー4をアッパーレール3bよりシートクッション2の下部前側に向けて設けることから、座者が操作レバー4を引き上げると、ロックレバーが開錠し、操作レバー4の引上げを解除すると、ロックレバーが施錠復帰するよう構成されている。
自動車用シート,殊に、ワゴン車等のリアシートにおいては荷物等の収容スペースを確保するべく、図12で示すようにシートバック1をシートクッション2に折り畳んだ状態で、シート全体を後部側からスライドレール3と共に上方に跳上げ可能に構成するものがある。
その跳上げ式の自動車用シートは、ロアレール3bの前端側を車体フロアFに設置するフットブラケット5に支軸6で枢着し、後端側をストライカロック8でストライカ7に載置止めすることから、ストライカロック8をストラップ9の引張り操作で開錠すると、上述したように後部側からバネ力で跳上げ可能に構成されている。
その跳上げ式の自動車用シートにおいては、シート全体が跳上げ途上に或いは跳上げ状態にあると、乗員が誤って操作レバーを引き上げる如く手を掛けても、ロックレバーが開錠しないよう施錠状態のままに保て、また、ロックレバーが不完全な施錠状態(ハーフロック状態)で、ストライカロックを開錠操作しても開錠不能のままに保てるロック開錠規制機構を設けるが望ましい。
従来、スライド・跳上げ式自動車用シートのロック開錠規制機構としてはロアレールの側部に立付け装着する規制アームを組み付けたものが提案されている(特許文献1)。
その規制アームは、下端側をロアレールの側部面に軸承枢着する立上り片と、立上り片の上端側よりアッパーレールの内方に折れ曲がってロックレバーの後端側に向う突片とからなり、片軸端を立上り片の中腹辺に掛け止める延長ロッドでストライカロックと連結し、ストライカロックの開錠,施錠動に伴う延長ロッドの前後ストロークにより、突片をロックレバーの後端直後と後端直下とに亘って揺動可能に取り付けられている。
そのロック開錠規制機構によれば、規制アームがロアレールの側部に立付け装着されているため、シート全体を後部側から跳ね上げるべく、ストライカロックをストラップの引張りで開錠操作する際に、収納物がシートクッションの下部空間に置かれていると、規制アームが収納物に当たって所期の作動を行えない事態が生ずる虞れがある。
特開2005−53245
本発明は、シート全体を後部側から跳ね上げるべく、ストライカロックを開錠操作する際に、収納物がシートクッションの下部空間に置かれていても、規制アームが収納物に当たらずに初期の動作を行えるロック開錠規制機構を組み付け、シート全体が跳上げ途上に或いは跳上げ状態にあるとき、乗員が誤って操作レバーを引き上げる如く手を掛けても、ロックレバーが開錠しないよう施錠状態のままに保て、また、ロックレバーが不完全な施錠状態で、ストライカロックを開錠操作しても開錠不能のままに保てるスライド・跳上げ式自動車用シートを構成すること目的とする。
本発明は、前端寄りを車体フロアに設置したフットブラケットに支軸で枢着し、後端寄りを車体フロアより立ち上がるストライカにストライカロックで載置止めするロアレールを有し、シートクッションの下部側に取り付けられたアッパーレールをロアレールでスライド可能に支持したスライドレールを備えると共に、スライドレールの内側で前後方向に配置するロックレバーを操作レバーで開錠可能に備え、
ロックレバーの開錠により、シート全体をスライドレールで位置移動可能で、ストライカロックの開錠により、シートバックをシートクッションに折り畳んだシート全体をスライドレールと共にロアレールの前端寄り軸中心に後部側から上方に跳上げ可能に組み立てられ、
更に、ストライカロックと延長ロッドで連結し、シート全体が跳上げ途上に或いは跳上げ状態にあると、ロックレバーを開錠不能に保ち、また、ロックレバーが不完全な施錠状態にあると、ストライカロックを開錠不能に保つロック開錠規制機構を設けるスライド・跳上げ式自動車用シートにおいて、
長手方向に亘る長穴をロアレールの底部面に設け、所定の隙間を長穴の開口領域に相応するロアレールの底部面から底辺縁の間に保って長穴を覆う支持プレートをロアレールの底部面に取付け固定し、
片端側を自由端としてロアレールの底部面と支持プレートの板面との隙間から長穴の開口位置まで挿置し、他端側をロアレールの底辺縁より外方に張り出す支持プレートの板面に支軸で枢着したアーム本体を有し、長穴の穴内より内方に立ち上がって施錠状態にあるロックレバーの後端直下にまで至る高さの起立片をアーム本体の自由端側に設け、ストライカロックの延長ロッドを連結する掛止め片をロアレールの底辺縁より外方に伸びるアーム本体の側辺縁に設けた規制アームを備え、
ストライカロックの開錠,施錠動に伴う延長ロッドの前後ストロークにより、規制アームの起立片をロックレバーの後端直後,後端直下に揺動可能に組み付けたロック開錠規制機構をロアレールの底部側に設けてなることを特徴とする。
本発明に係るスライド・跳上げ式自動車用シートに依ると、長穴を覆う支持プレートをロアレールの底部面に取付け固定し、その支持プレートをベースに、起立片を長穴の穴内でロックレバーの後端直後,後端直下に揺動可能な規制アームを備えるロック開錠規制機構をロアレールの底部側に設けるため、シート全体を後部側から跳ね上げるべく、ストライカロックをストラップの引張りで開錠操作する際に、収納物がシートクッションの下部空間に置かれていても、規制アームが収納物に当たるのを避けられる。
これにより、シート全体が後部側から跳上げ途上に或いは跳上げ状態にあるとき、規制アームの起立片がストライカロックの開錠に伴う延長ロッドのストローク動でロックレバーの後端直下に位置するため、乗員が誤って操作レバーを引き上げる如く手を掛けても、ロックレバーを施錠状態のままに保てる。また、ロックレバーが不完全な施錠状態でストライカロックを開錠操作すると、規制アームの起立片がロックレバーの後端直後より後端縁に当たるため、ストライカロックが開錠しない。このときには、ロックレバーが不完全な施錠状態にあることを乗員に認知させられる。
図示実施の形態に係る自動車用シートは、図11のシートと共通する機構を備え、その共通する機構部分は同じ符号を用いて示す。図1中、符号3はスライドレール、3bはロアレール、8はロアレール3bの後端寄りで内側側部に取り付けられたストライカロックを示す。
スライドレール3の内側には、ロックレバー10が前後方向に亘って配置されている。そのロックレバー10は、ロアレールの内側に折れ曲がる下向きフランジ部に設けられた突歯と抜き穴で噛合するロック片を後端側に有し、略中腹をアッパーレールの側面に軸承枢着することから、ロック片を操作レバー4(図12参照)の引上げで突歯より離脱させて開錠するよう装着されている。
ロアレール3bの底部面には、長手方向に亘る長穴3cが設けられている。その長穴3cは、ロックレバー10のロック片と略相応する位置より後方に伸びるよう開口形成されている。また、長穴3cを覆う支持プレート11がロアレール3bの底部面に取付け固定されている。この支持プレート11をベースに、ロック開錠規制機構が組み付けられている。
ロック開錠規制機構は、図2,図3で示すような規制アーム12を備えて構成されている。規制アーム12は、片端側を自由端とし、他端側を基端側として支持プレート11の板面に支軸13で枢着するアーム本体12aを主部に形成されている。アーム本体12aには、所定の立上り高さを有する起立片12bが自由端側に、ストライカロック8の延長ロッド80(図1参照)を連結する掛止め片12cが側辺縁に設けられている。
アーム本体12aは、基端側が高位となり、自由端側が低位となるよう略中腹辺より折り曲げて形成されている。起立片12bは、支軸13を中心に旋回する先端側がロックレバー10のロック片と面対峙するよう板面を内向きに折り曲げて形成されている。掛止め片12cは、上辺を延長ロッド80の連結用とし、縦辺を引張スプリング14のバネ掛け用としてアーム本体12aの側辺縁より逆L字状に立ち上げて形成されている。
支持プレート11は、図4で示すようにアーム本体12aの基端側を受止め支持する軸受け部11a,ロアレール3bの底部面に固定するあてがい部11bを除き、板内面を窪み部11cとして段下げするよう形成されている。この支持プレート11には、アーム本体12aの自由端側を摺接支持するビード状の隆起部11dが窪み部11cの面内に設けられている。また、引張スプリング14のバネ掛け片11eがロアレール3bの底部面より側方に張り出す片側のあてがい部11bより立ち上げて設けられている。
支持プレート11,規制アーム12によるロック開錠規制機構は、支持プレート11の軸受け部11aを含むあてがい部11bの一部をロアレール3bの底辺縁より外方に張り出させてロアレール3bの底部側に装備されている。この支持プレート11の取付け状態では、アーム本体12aの板厚に応じた所定の隙間が長穴3cの開口領域に相応するロアレール3bの底部面から底辺縁まで亘る窪み部11cで保たれている。
規制アーム12のアーム本体12aは、自由端側をロアレール3bの底部面と支持プレート11の板面との隙間から長穴3cの開口位置まで挿置し、基端側をロアレール3bの底辺縁より外方に張り出す支持プレート11の板面に支軸13で枢着させて組み付けられている。起立片12bは、長穴3cの穴内よりロアレール3bの内方に立ち上がって施錠状態にあるロックレバー10の後端直下にまで至る高さを持つよう組み付けられている。
規制アーム12の掛止め片12cには、図5で示すような樹脂製の止め具15により、ストライカロック8の延長ロッド80が連結されている。その止め具15は、掛止め片12cの上辺に取り付けられるクリップ部15aと、ストライカロック8の延長ロッド80を保持するホルダー部15bとから一体に形成されている。
クリップ部15aは、円盤状の鍔部150と掛止め片12cの上辺に設けた止め穴に嵌入する支軸部151とから形成されている。延長ロッド80の折曲げ軸端を圧入する軸受け穴152を鍔部150より支軸部151の中心に設け、支軸部151の嵌入を容易にする割り溝153を支軸部151の突端側に設けて形成されている。このクリップ15aは、延長ロッド80の前後ストロークによる規制アームの旋回に伴って支軸部151で回転可能に嵌入止めされている。
ホルダー15bは、下辺が張出し鍔150の側部と一体の略コ字状を呈するホルダー本体154と、ホルダー本体154の下辺端より起立する下止め爪155と、下止め爪155をくわえ込む上止め爪156と、上止め爪156を折曲げ可能に本体部154と連結するフイルムヒンジ157とを設けて形成されている。このホルダー15bでは、図6で示すように延長ロッド80の軸線をホルダー本体154の内側に受け入れて上止め爪156で押さえ込むことから、ストライカロック8の延長ロッド80が保持されている。
ストライカロック8は、図7で示すようなロアレール3bの側面にあてがい固定する基枠フレーム81を備え、フック状のラッチ82を支軸83で回転自在に軸承支持し、ラッチ82が係合乃至は係合離脱するカム状のラチェット84を支軸85で揺動可能に軸承支持させて組み立てられている。ラッチ82は、支軸83の軸線上に嵌装する捩りコイルバネ(図示せず)で施錠位置乃至は解除位置にバネ偏倚可能に組み付けられている。
ラチェット84の上端側からは、延長ロッド80がロック開錠規制機構の装備方向に伸びるよう備え付けられている。延長ロッド80は、ラチェット84の上端側とラッチ82の上部後端側との間に掛け渡すコイルバネ86で引張支持されている。ラチェット84の上端側には、引張り操作用のストラップ9(図11参照)より連続する牽引ケーブル87が連結されている。
ストライカロック8は、左右のスライドレール(図示せず)に夫々備え付けられている。ストライカ7も、ストライカロック8に合わせて車体フロアから左右二つ立ち上げて設けられている。このストライカロック8の装備構造から、左右のストライカロック6と各々連結するよう牽引ケーブルが二本に分岐させて引き出されている。
このように構成するスライド・跳上げ式の自動車用シートにおいては、ストライカロック8の開錠,施錠動に伴う延長ロッド80の前後ストロークにより、ロック開錠規制機構が規制アーム12の起立片12bをロックレバー10の後端直後,後端直下に揺動可能に組み付けることからロアレール3bの底部側に設けられている。
そのロック開錠規制機構では、規制アーム12の取付けベースである支持プレート11がアンダーカバーとなるため、収納物がシートクッションの下部空間に置かれていても、規制アームが収納物に当たらないから初期の動作を行える。
その自動車用シートでは、シート全体を操作レバー4によるロックレバー10の開錠で車内後方にスライド移動し、操作レバー4から手を離すと、スライドレール3が施錠された状態となる。この後に、シートバックをシートクッションに折り畳んでシート全体を後部側から跳上げ作動するには、ストラップ9を引張ってストライカロック8を開錠操作すると、図8で示すようにラチェット84が揺動し、ラッチ82がラチェット84より外れることから、ラッチ82がストライカ7を開放するよう作動する。
そのラッチ82がストライカ7を開放するよう作動すると、シートバックの折り畳まれたシート全体が枢軸6の軸線上に備えられたトルクバネにより後部側から上方に跳ね上がる。このストライカロック8の開錠動と共に、図9で示すように延長ロッド80がラチェット84と一体にストロークS分だけ前進することから、図10で示すように規制アーム12の起立片12bが施錠状態にあるロックレバー10の後端直下に揺動し、ロックレバー10が下がらないよう規制アーム12の起立片12bで当接支持可能な位置に達する。
これにより、乗員が誤ってロックレバー10の操作レバー4に触れても、規制アーム12の起立片12bがロックレバー10の後端側と当接するため、ロックレバー10によるスライドロックが開錠されないようロックレバー10を規制アーム12の起立片12bで係止できる。
但し、ロックレバー10が不完全な施錠状態にあると、ロックレバー10が後端側を斜め下方に傾斜させた姿勢にあるため、規制アーム12の起立片12bがロックレバー10の後端縁と当接することから、ストライカロック8が開錠しない。このときには、ロックレバーが不完全な施錠状態にあることを乗員に認知させられる。
本発明に係る自動車用シートに備えられるロック開錠規制機構並びにストライカロックを主に示す底面図である。 図1のロック開錠規制機構を示す俯角斜視図である。 図2のロック開錠規制機構を構成する規制アームを示す俯角斜視図である。 図2のロック開錠規制機構を構成する支持プレートを示す俯角斜視図である。 図1の延長ロッドをロック開錠制御機構に連結する止め具を示す側面図である。 図5の止め具を取付け状態で示す側面図である。 図1のストライカロックを施錠状態の内部構造で示す側面図である。 図1のストライカロックを開錠状態の内部構造で示す側面図である。 図1のロック開錠規制機構並びにストライカロックをストライカロックの開錠状態で示す側面図である。 図9のロック開錠規制機構並びにストライカロックをストライカロックの開錠状態で示す底面図である。 一般例に係るスライド・跳上げ式自動車用シートを示す側面図である。 図11の自動車用シートを跳上げ状態で示す側面図である。
符号の説明
1 シートバック
2 シートクッション
3 スライドレール
3a アッパーレール
3b ロアレール
4 ロックレバーの開錠用操作レバー
5 フットブラケット
6 ロアレールの支軸
7 ストライカ
8 ストライカロック
80 ストライカロックの延長ロッド
9 ストライカロックの開錠用ストラップ
10 ロックレバー
11 支持プレート
12 規制アーム
12a 規制アームのアーム本体
12b 規制アームの起立片
12c 規制アームの掛止め片
13 規制アームの支軸
F 車体フロア

Claims (1)

  1. 前端寄りを車体フロアに設置したフットブラケットに支軸で枢着し、後端寄りを車体フロアより立ち上がるストライカにストライカロックで載置止めするロアレールを有し、シートクッションの下部側に取り付けられたアッパーレールをロアレールでスライド可能に支持したスライドレールを備えると共に、スライドレールの内側で前後方向に配置するロックレバーを操作レバーで開錠可能に備え、
    ロックレバーの開錠により、シート全体をスライドレールで位置移動可能で、ストライカロックの開錠により、シートバックをシートクッションに折り畳んでシート全体をスライドレールと共にロアレールの前端寄り軸中心に後部側から上方に跳上げ可能に組み立てられ、
    更に、ストライカロックと延長ロッドで連結し、シート全体が跳上げ途上に或いは跳上げ状態にあると、ロックレバーを開錠不能に保ち、また、ロックレバーが不完全な施錠状態にあると、ストライカロックを開錠不能に保つロック開錠規制機構を設けるスライド・跳上げ式自動車用シートにおいて、
    長手方向に亘る長穴をロアレールの底部面に設け、所定の隙間を長穴の開口領域に相応するロアレールの底部面から底辺縁の間に保って長穴を覆う支持プレートをロアレールの底部面に取付け固定し、
    片端側を自由端としてロアレールの底部面と支持プレートの板面との隙間から長穴の開口位置まで挿置し、他端側をロアレールの底辺縁より外方に張り出す支持プレートの板面に支軸で枢着したアーム本体を有し、長穴の穴内より内方に立ち上がって施錠状態にあるロックレバーの後端直下にまで至る高さの起立片をアーム本体の自由端側に設け、ストライカロックの延長ロッドを連結する掛止め片をロアレールの底辺縁より外方に伸びるアーム本体の側辺縁に設けた規制アームを備え、
    ストライカロックの開錠,施錠動に伴う延長ロッドの前後ストロークにより、規制アームの起立片をロックレバーの後端直後,後端直下に揺動可能に組み付けたロック開錠規制機構をロアレールの底部側に設けてなることを特徴とするスライド・跳上げ式自動車用シート
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