JP4878425B2 - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法ならびにプラズマディスプレイパネル表示装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法ならびにプラズマディスプレイパネル表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法、ならびにプラズマディスプレイパネル表示装置に関し、特に、その放電特性を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスの中で、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel 、以下、「PDP」という。)は、薄型のパネルを実現することのできる表示デバイスとして注目されており、特に、高速応答性や高視野角などの優れた特徴を備えるため、各企業や研究機関においてその普及に向けた開発が活発に行われている。
【0003】
このようなPDPにおいては、複数のライン状の電極が列設される前面ガラス基板および背面ガラス基板とがギャップ材を介して各基板の電極が直交するように対向配置され、各基板間の空間には放電ガスが封入された構成となっている。前面ガラス基板には、その背面ガラス基板と対向する側の面に各電極を覆う誘電体層が被覆されており、さらにこの誘電体層の上にMgOからなる保護層が被覆されている。
【0004】
PDPの駆動時には、前面ガラス基板と背面ガラス基板の電極間においてアドレス放電を行うことにより、点灯したいセルの保護層表面に電荷を形成し、その電荷の形成されたセルにおける前面ガラス基板の隣接する電極間で維持放電を行っている。このアドレス放電によって電荷が形成される保護層は、アドレス放電および維持放電時に生じるイオン衝撃(スパッタリング)から誘電体層および電極を保護する役割と、アドレス放電時に2次電子を放出し電荷を保持するいわゆるメモリ機能の役割を果たす。そのため、保護層は、耐スパッタ性と2次電子放出性に優れる酸化マグネシウム(MgO)が一般的に用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年のPDPにおいては、長寿命化への要求が高まってきており、この要求に対応する技術として、水蒸気を含む雰囲気において保護層を蒸着する技術(特開平10−106441号公報)が開示されている。この技術によれば、形成された保護層は、その厚み方向に<110>配向、すなわち保護層の厚み方向に、耐スパッタ性に優れる(110)面が配向した膜となるので、スパッタによる保護層の削れ方も少なく、PDPを長寿命化することができる。
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、保護層蒸着時における雰囲気に水蒸気が含まれているので、形成される保護層には水が取り込まれてしまう可能性が大きい。そのため、PDPの駆動時間とともに削れていく保護層からは、不純物である水が次第に放出されるので、PDPの放電特性が駆動時間とともに変動し、放電特性が安定化しにくいと考えられる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、従来に比べて駆動時間に対する放電特性が安定し、かつ耐スパッタ性にも優れるPDPおよびその製造方法、ならびに当該PDPを用いたPDP表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るPDPは、第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層、保護層とが順に積層されたプラズマディスプレイパネルであって、前記保護層は、種結晶からなる第1層と、当該第1層における種結晶の上に成長した複数の柱状結晶からなる第2層によって構成されており、前記第1層は、その形成初期に前記誘電体層表面に付着した粒状結晶を複数合体した種結晶、もしくはその形成初期に前記誘電体層に付着したアモルファス層を多結晶化した種結晶からなることを特徴としている。
【0009】
これによれば、保護層を形成する柱状結晶が、保護層材料を粒状結晶のままからなる層上に成長させる従来の場合に比べて太いものが形成され、保護層全体においては露出面積が減るので、保護層に吸着される不純物量を減らすことができる。したがって、不純物に起因するPDPの放電特性の変動を安定化させることができる。さらに、粒状結晶がほとんどなく、保護層の緻密度も向上するので、耐スパッタ性にも優れる。
【0010】
この保護層は、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、もしくはこれらの混合物を用いることができ、特に、電子放出性および耐スパッタ性に優れるMgOから構成することが望ましく、この保護層を構成する柱状結晶が、その厚み方向に(111)面配向していれば、電子放出性に優れる。
また、本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層が積層され、かつ当該誘電体層の上方に保護層が配されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層と保護層との間には、前記保護層を構成する柱状結晶が成長する基材となる中間層が配されていることを特徴としている。
【0011】
これによれば、中間層上に従来よりも太い柱状結晶が形成されるので、保護層全体における露出面積を減少させて、不純物の吸着量を従来よりも低減することができる。したがって、不純物に起因するPDPの放電特性の変動を安定化させることができる。
ここで、前記中間層は、面心立方構造、最密六方構造、ウルツ鉱型構造、閃亜鉛鉱型構造のいずれかの結晶構造を有していれば、この上に形成される保護層の柱状結晶を従来に比べて太くしやすくなる。
【0012】
また、具体的には前記中間層を構成する物質としては、Ag、Al、Au、Be、Cd、Co、Cu、Ga、Hf、In、Ir、Mg、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Tc、Ti、Zn、Zrからなる第一元素群から選択される元素の単体結晶、あるいは前記第一元素群から選択される2以上の元素からなる合金、ならびに前記第一元素群から選択される1以上の元素と、As、N、O、P、S、Sb、Se、Teからなる第二元素群から選択される1以上の元素とからなる化合物結晶のいずれかを用いることができる。
【0013】
柱状結晶を太くするのに最適な中間層としては、これを構成する物質と、前記保護層を構成する物質とのミスフィットが15%以下であることが好ましい。
ここで、前記保護層を構成する柱状結晶は、その層の厚み方向に(111)面配向したMgOであれば、電子放出性に優れた保護層となる。
また、本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層、保護層とが順に積層されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、前記保護層側の主面において、当該保護層を単結晶状に成長させるための溝が形設されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、保護層が単結晶状、すなわち保護層を構成する柱状結晶が従来に比べて太くなっており、そのため不純物が保護層に吸着される量が従来に比べて減少し、PDPの放電特性を安定化することができる。
実際には、前記溝をストライプ状に並行に列設することによって保護層全体を単結晶状に近づけることができ、溝の幅が160〜3800nmの範囲内において、保護層が単結晶状になることを確認している。
【0015】
ここで、前記保護層は、その厚み方向に(100)面もしくは(111)面配向して形成され、これを構成する物質としては電子放出性、耐スパッタ性に優れるMgOが好ましい。
上述したようなPDPを用いたPDP表示装置においては、耐スパッタ性に優れるとともに、放電特性が安定化する。
【0016】
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に電極を形成する第1の工程と、前記第1の工程において形成された電極上を覆うように誘電体層を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された誘電体層を被覆する保護層を形成する第3の工程とを備えたパネル形成工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記第3の工程は、前記誘電体層上に保護層材料を付着させる保護層材料付着ステップと、前記保護層材料付着ステップにおいて付着された保護層材料を加熱処理して、種結晶を形成する加熱処理ステップと、前記加熱処理ステップにおいて形成された種結晶上に保護層材料を成長させる保護層形成ステップとを有することを特徴としている。
【0017】
一般的に保護層に用いられるMgOは、イオン結晶性の強い材料でNa−Cl型の結晶構造を有するため、アモルファスの誘電体層上に形成する場合には、表面が理論上(100)面配向するはずである。しかしながら、実際の保護層表面は、(111)面配向しており、なんらかの影響によって配向面が変化していると考えられる。そのため、MgOの柱状結晶においては配向の不連続に伴なう結晶欠陥を有する可能性があり、柱状結晶の太さが太くなりにくく、表面積が大きくなり、不純物ガスを吸着する量が多くなりがちである。
【0018】
しかしながら、上記製造方法によれば、柱状結晶の太さを従来に比べて太くすることができるので、柱状結晶の露出面積を低減し、保護層に吸着する不純物の量を低減することができるので、PDPの放電特性を安定化することができる。
ここで、前記加熱処理ステップは、前記保護層材料付着ステップにおいて付着されたものが粒状結晶であれば当該粒状結晶の融点T(K)以上の温度(K)まで加熱するようにすれば、複数の粒状結晶を合体させて、柱状結晶の太さを太くすることができる。また、保護層材料付着ステップにおいてアモルファス層が付着した場合には、当該物質の結晶融点T(K)の2/3以上の温度(K)で結晶化するため、比較的低い温度で加熱すれば良い。
【0019】
具体的に前記加熱処理ステップは、レーザ照射装置、ランプ照射装置、およびイオン照射装置のいずれかから射出されるエネルギービームを前記保護層材料に走査しながら照射して加熱処理を行うことができる。
ここで、前記加熱処理ステップは、酸素を含む減圧雰囲気下において行うようにすれば、保護層に酸素欠陥が発生することを抑制することができる。
【0020】
ここで、前記保護層材料付着ステップから前記加熱処理ステップを通しての期間は、大気開放しないで処理を行ったり、前記加熱処理ステップから前記保護層形成ステップを通しての期間は、大気開放しないで処理を行ったりするようにすれば、保護層形成時に水分などの不純物の付着を抑制することができ、PDPの放電特性を安定化させることができる。また、保護層材料付着ステップと加熱処理ステップとを並行して行うことによって、付着された保護層材料の表面を活性な状態に保持できるので、種結晶の大きさを容易に大きくすることができる。さらに、加熱処理ステップで種結晶が活性な状態のまま、保護層形成ステップに移行すると、エピタキシーしやすく、保護層の結晶性が向上するため、種結晶を室温以上の温度に保持することが好ましい。
【0021】
また、本発明に係るプラズディスプレイの製造方法は、基板上に電極を形成する第1の工程と、前記第1の工程において形成された電極上を覆うように誘電体層を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された誘電体層の上方に保護層を形成する第3の工程とを備えたパネル形成工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記パネル形成工程は、前記第2の工程と第3の工程の間において、前記誘電体層上に、前記保護層材料を柱状結晶状に成長させる基材となる中間層を被覆する第4の工程を備えることを特徴とする。
【0022】
これによれば、上記のような加熱処理を行うことなく、保護層の柱状結晶を従来に比べて太くすることができ、PDPの放電特性を安定化させることができる。
ここで、前記第3の工程においては、酸素を含む減圧雰囲気下において保護層材料を蒸着させるようにすれば、保護層を構成する柱状結晶の太さを太く形成し易くなる。加えて、第4の工程では、減圧雰囲気下において前記中間層を被覆することが好ましく、中間層の材料によっては、O2あるいはN2などを含む減圧雰囲気下が望ましいこともある。
【0023】
また、前記第4の工程から前記第3の工程が終了するまでの期間は、大気開放しないで処理を行うようにすれば、保護層形成時に水分などの不純物の付着を抑制することができ、PDPの放電特性を安定化させることができる。
また、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に電極を形成する第1の工程と、前記第1の工程において形成された電極上を覆うように、誘電体層を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された誘電体層を被覆する保護層を形成する第3の工程とを備えたパネル形成工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記第2の工程は、前記第1の工程において形成された電極上に誘電体層を被覆する誘電体層被覆ステップと、前記誘電体層被覆ステップにおいて被覆された誘電体層表面に、前記第3の工程において被覆される保護層材料を単結晶状に成長させるための溝を形設する溝形設ステップとを有することを特徴としている。
【0024】
これによれば、保護層を単結晶状に形成することができるので、従来に比べて保護層の露出面積が低減するとともに保護層の吸着される不純物量が低減するので、プラズマディスプレイパネルの放電特性を安定化することができる。
具体的に誘電体層に溝を形成するには、前記溝形設ステップにおいて、機械的切削法、化学エッチング法、もしくはエキシマレーザ法を用いて溝を形設することができる。
【0025】
また、前記第3の工程は、前記誘電体層上に保護層材料からなる複数の粒状結晶もしくはアモルファス層を付着させる保護層材料付着ステップと、前記保護層材料付着ステップにおいて付着された粒状結晶もしくはアモルファス層を加熱して、複数の粒状結晶を合体させる加熱処理ステップと、前記加熱処理ステップにおいて合体された粒状結晶もしくはアモルファス層が多結晶化された結晶上に保護層材料を成長させる保護層形成ステップとを有するようにすれば、さらに保護層を単結晶ライクに形成することができる。
【0026】
前記加熱処理ステップは、前記保護層材料付着ステップにおいて付着されたものが粒状結晶の場合は、当該結晶融点T(K)以上、アモルファス層の場合には当該物質の融点T(K)の2/3以上の温度(K)まで加熱すればよい。
具体的には、前記加熱処理ステップは、レーザ照射装置、ランプ照射装置、およびイオン照射装置のいずれかから出射されるエネルギービームを前記保護層材料に照射して加熱処理を行うことができる。
【0027】
ここで、前記加熱処理ステップは、酸素を含む減圧雰囲気下において行うようにすれば、保護層における酸素欠陥の発生を抑制することができる。
また、保護層材料付着ステップと加熱処理ステップとを並行して行うことによって、付着された保護層材料の表面を活性な状態に保持できるので、種結晶の大きさを容易に大きくすることができる。
【0028】
また、前記加熱処理ステップから前記保護層形成ステップを通しての期間は、大気開放せず、もしくは減圧雰囲気下において処理を行えば、保護層形成時に水分などの不純物の付着を抑制することができ、PDPの放電特性を安定化させることができる。さらに、前記保護層材料付着ステップから前記保護層形成ステップを通した期間においては、大気開放しないで処理を行えば、保護層に吸着される不純物量をさらに低減することができるので、PDPの放電特性がさらに安定化する。
【0029】
さらに、加熱処理ステップで種結晶が活性な状態のまま、保護層形成ステップに移行すると、エピタキシーしやすく、保護層の結晶性が向上するため、種結晶を室温以上の温度に保持することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本第1の実施の形態に係るPDPおよびPDP表示装置について、図面を参照しながら説明する。
<PDP10の構成>
図1は、PDP10における前面ガラス基板11を取り除いた概略平面図であり、図2は、PDP10の部分断面斜視図である。なお、図1においては表示電極13、表示スキャン電極14、アドレス電極17の本数などについては分かり易くするため一部省略して図示している。両図を参照しながらPDP10の構造について説明する。
【0031】
図1に示すように、PDP10は、前面ガラス基板11(不図示)、背面ガラス基板12、n本の表示電極13、n本の表示スキャン電極14、m本のアドレス電極17、および斜線で示す気密シール層21などを備え、各電極13,14,17が3電極構造の電極マトリックスを形成し、表示電極13および表示スキャン電極14とアドレス電極17との交点にセルが形成されるように構成されている。
【0032】
このPDP10は、図2に示すように、前面パネルとしての前面ガラス基板11と背面パネルとしての背面ガラス基板12とが、ストライプ状に列設されている隔壁19を介して、互いに平行に配設されて構成されている。
前面パネルは、前面ガラス基板11の一方の主面に、表示電極13、表示スキャン電極14、誘電体層15、および保護層16を備える。
【0033】
表示電極13および表示スキャン電極14は、前面ガラス基板11上に交互かつ平行に並んでストライプ状に配設されており、ともに銀などの導電性物質からなる電極である。
誘電体層15は、前面ガラス基板11および各電極13、14を覆うように形成されており、鉛ガラスなどからなる層である。
【0034】
保護層16は、誘電体層15表面上に被覆されており、2次電子放出性および耐スパッタ性に優れる、層の厚み方向に(111)面配向した酸化マグネシウム(MgO)からなる。この保護層16を構成する物質としては、電子放出性を有するアルカリ土類金属(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra)の酸化物やフッ化物、あるいはこれらの混合物であって、結晶を形成するものであれば使用することができる。
【0035】
一方、背面パネルには、背面ガラス基板12の一主面上にアドレス電極17、下地誘電体層18、隔壁19、蛍光体層20R,G,Bが配されている。
アドレス電極17は、背面ガラス基板12上に平行に列設されており、銀などの導電性物質からなる電極である。
下地誘電体層18は、アドレス電極17を被覆するように形成されており、例えば、酸化チタンを含む誘電体ガラスからなる層であって、各蛍光体層20R,G,Bで発生する可視光を反射する機能と、誘電体層としての機能を併せ持つ。
【0036】
隔壁19は、下地誘電体層18の表面上においてアドレス電極17と平行に列設されている。この隔壁19と隔壁19の間の凹部および隔壁19の側壁には、各蛍光体層20R,G,Bが順に形成されている。
蛍光体層20R,G,Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を発光する蛍光体粒子が結着した層である。
【0037】
PDP10は、上記前面パネルと背面パネルとが貼り合わされるとともにそのパネル周囲が気密シール層21により封着され、その間に形成される放電空間22内に放電ガス(例えば、ネオン95vol%とキセノン5vol%の混合ガス)が所定の圧力(例えば、66.5kPa程度)で封入された構成となっている。
【0038】
図3は、PDP表示装置40の構成を示す図である。
PDP表示装置40は、PDP10、PDP駆動装置30を備え、PDP10がPDP駆動装置30に接続された構成を有する。
PDP駆動装置30は、PDP10の表示電極13に接続されるとともにこれを駆動する表示ドライバ回路31と、表示スキャン電極14に接続されるとともにこれを駆動する表示スキャンドライバ回路32と、アドレス電極17に接続されるとともにこれを駆動するアドレスドライバ回路33、および各ドライバ回路31,32,33の駆動を制御するコントローラ34とを備える。
【0039】
PDP表示装置40の駆動時には、コントローラ34の制御に従い、点灯させようとするセルにおける表示スキャン電極14とアドレス電極17に放電開始電圧以上の電圧を印加することにより、その電極間でアドレス放電を行って壁電荷を貯めた後に、表示電極13と表示スキャン電極14とに一括してパルス電圧を印加することによって、壁電荷の貯まったセルにおいて維持放電を行う。この維持放電時において放電空間22(図2)内の放電ガスから紫外線が発生し、この紫外線により励起された各蛍光体層20R,20G,20B(図2)が発光することによってセルが点灯する。この各色セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像を表示することができる。
【0040】
<前面パネルの構成>
(従来の前面パネルについて)
本発明に特徴的な前面パネルの保護層について説明する前に、従来の前面パネルの保護層の構造について説明する。
図4は、従来の前面パネルの要部断面図である。なお、この従来の前面パネルは、上記図1〜図3を用いて説明した前面パネルと略同様の構成をしており、保護層26の構造が異なるのみであるので、同じ番号を付したものについては説明を省略する。
【0041】
同図に示すように、従来の前面パネルは、前面ガラス基板11上に列設された表示電極13、表示スキャン電極14を覆うように誘電体層15が積層され、その上にMgOからなる保護層26が形成されている。
保護層26は、誘電体層15表面に対して垂直方向に伸びた柱状結晶261(幅約15nm)からなる層と、誘電体層15表面に付着した粒状結晶262からなる層とから構成され、MgOを真空蒸着法によって誘電体層15上に被覆することによって形成される。この柱状結晶261は、いわゆるデッドレイヤーとよばれる粒状結晶262上に成長されたものなので太く成長せず、また、粒状結晶262の存在によって露出されるので、各柱状結晶261における露出面積は比較的大きくなると考えられる。したがって、その柱状結晶261の露出面において水分などの不純物が吸着される確率が高く、保護層26は、水分などの不純物を含み易い構成となっている。
【0042】
この不純物ガス、特に水分は、PDPの放電特性に悪影響を与える。すなわち、PDPの駆動時においては、プラズマのスパッタによって活性化された保護層26の結晶界面から水などの不純物が次第に放出され、放電空間内に水分が増加するにしたがってアドレス放電に必要な電圧が高まり、アドレスを行ったとしても点灯しないセルが発生しやすくなる。そのため、PDPにおいては放電特性が安定しにくくなると考えられる。
【0043】
この放電特性を上げるため、柱状結晶261の粒径を大きくするとともに粒状結晶262の発生を抑制することによって柱状結晶261の露出面積を小さくすることが望まれており、そのために蒸着時の前面パネルの温度を高める方法が考えられる。しかし、この方法でも柱状結晶の粒径を大きくするのにも限度があり、完全に粒状結晶を無くすことはできない上、前面パネル温度を350℃以上に高くし過ぎると、化学量論的な組成の保護層が得にくくなるとともに、酸素欠陥の多い層が形成されるため、従来の技術では、PDPの放電特性を安定化させることが困難である。
【0044】
また、保護層26は、柱状結晶261の径が小さく、粒状結晶262が存在すれば、保護層26においては緻密度が小さくなるので、耐スパッタ性に劣ると考えられ、その向上の余地がまだあると考えられる。
(本実施の形態の前面パネル)
次に、本実施の形態に係るPDPに特徴的な前面パネルの構成について説明する。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る前面パネルの要部断面図である。
同図に示すように、前面パネルには、前面ガラス基板11の一方の主面上に列設された表示電極13および表示スキャン電極14を覆うように誘電体層15が積層され、この上に保護層16が形成されている。
保護層16は、種結晶163からなる層と、これを基材として誘電体層15表面に対して垂直方向に延伸した柱状結晶161(保護層16の厚み方向に(111)面配向している。)が複数形成された層とからなり、従来の保護層に見られた粒状結晶からなるデッドレイヤーは形成されていない。
【0046】
ここで、種結晶163は、その上に配設される柱状結晶161の結晶配向を促すための基材の役割を果たしており、種結晶163と柱状結晶161とが同じMgOから構成されているため区別しにくいが、約200nmの厚みで形成されている。
他方、この柱状結晶161の幅Wは、30〜45nm程度と従来の柱状結晶(15nm)と比較して約2〜3倍以上太くなっている。これによって、保護層16における露出面積は、従来の保護層26(図4)に比べて少なくなる。さらに、従来のような粒状結晶が262(図4)が存在しないため、柱状結晶161が露出される面積も減少する。そのため、保護層16に吸着される不純物の量も従来に比べて減少する。したがって、本実施の形態におけるPDPは、維持放電時に放出される不純物量も従来に比べて低下するので、放電特性も安定する。また、デッドレイヤーが形成されておらず、柱状結晶161も太く形成されるので、保護層16における緻密度も向上し、耐スパッタ性も向上する。
【0047】
<PDP10の製造方法>
次に、上述したPDP10の製造方法について説明する。
まず、その前面パネルの製造方法の一例を、図6(a)〜(e)を用いて説明する。
図6(a)〜(e)は、各製造段階における前面パネルの要部断面図であり、番号順に進行する。
【0048】
▲1▼前面パネルの作製
前面パネルは、前面ガラス基板11上にまず、各n本の表示電極13および表示スキャン電極14を交互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上を誘電体層15で被覆し、さらにその表面に保護層16を形成することによって作製される。
【0049】
表示電極13および表示スキャン電極14は、例えばそれぞれ銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷により所定の間隔(例えば約80μm)をおいて前面ガラス基板11上に塗布した後、焼成することによって、図6(a)に示すように形成される。
次に、誘電体層15となる酸化鉛(PbO)を含むペーストを、スクリーン印刷法を用いて塗布、乾燥後、焼成することによって、図6(b)に示すような誘電体層を厚みが約20μmとなるように形成する。
【0050】
次に、本実施の形態において特徴的な保護層16の形成方法について説明する。
図6(c)に示すように、誘電体層15表面上に真空蒸着法、例えばEB蒸着法を用いて、保護層材料からなる粒状結晶162を例えば200nmの厚さとなるまで付着させる。このような蒸着初期段階においては、誘電体層15表面上に保護層を形成する物質が誘電体層15表面にくっついたり離れたりするため、粒状結晶162のような径の小さい結晶しか形成することができない。なお、ここでは図示しないが、粒状結晶162が形成されず、アモルファスからなる層状のものが形成される場合もある。
【0051】
次に、このように被膜された粒状結晶162に対して、水分などの付着を防止するためこれを大気開放することなく加熱処理を行う。これによって隣接する粒状結晶162同士が合体し、図6(d)に示すように、粒状結晶162よりも大きな径を有する種結晶163が複数形成される。上記アモルファス層が形成された場合には加熱処理によって多結晶化が起こり、この層の面内において種結晶が複数存在する状態に形成される。この加熱処理においては、例えば、アルゴンレーザなどのレーザ照射装置、加熱ランプ照射装置、あるいはイオン照射装置を用い、これらから出射されるエネルギービームを集束させて、これを前面パネルに対して相対的に移動させながら照射して加熱する方法を用いることが好ましい。前面パネル全体を1273K近くまで加熱すれば、前面ガラス基板が歪む可能性があるが、スポット的に加熱を行えばそのような問題が発生しにくく、少ないエネルギーで処理できるからである。
【0052】
この加熱処理について簡単に説明する。レーザなどを粒状結晶162表面に照射すると、粒状結晶162には高エネルギーの電子、正孔が生成されたり、格子振動が励起されたりする。この電子、正孔は、フォノンを放出しながらエネルギーを失い再結合する。この過程において、温度上昇が起こって粒状結晶162は溶融するとともに、隣接する粒状結晶162と合体し、レーザ光の照射を止めると再結晶化を起こす。この再結晶化によって、複数の粒状結晶162が合体して結晶径が拡大した種結晶163が形成され、この種結晶163は保護層16の厚み方向に(111)面配向したMgO単結晶構造を有するようになる。
【0053】
この加熱処理を粒状結晶162に対して行う場合には、当該物質の結晶融点である1273(K)以上の高い温度で加熱処理を行っており、そのため、高温、かつ再結晶化の進行速度を高めることができるような短時間(nsecオーダー)のレーザを照射することができるパルスレーザを加熱源として用いることが好ましい。なお、上記アモルファス層に対して加熱処理を行う場合には、当該物質の融点以上の高い温度で溶融する。
【0054】
ここで、加熱処理を減圧雰囲気下で行えば、ガスに吸収される熱量が低く抑えられ、さらに、酸素を含む減圧雰囲気下において加熱処理を行えば、酸素欠陥が少なくなるとともに、再結晶化されたものが電子放出性に優れる(111)面配向に選択的に形成されるようになるため、その条件で加熱処理を行うことが好ましい。また、保護層材料を誘電体層15表面上に付着させる処理と、加熱処理とを並行して行えば、付着された保護層材料の表面が活性な状態のまま加熱処理されるので、処理効果が高まると考えられる。
【0055】
このように、種結晶163は、面配向した単結晶となっているので、この結晶を基板とした結晶成長(保護層16の厚み方向に(111)面配向する。)も起こり易い。そのため、種結晶163の上に再度真空蒸着法を用いて保護層16全体の厚みが1000nmとなるまで蒸着することによって、図6(e)に示すように、粒状結晶が残ることなく、従来の柱状結晶261(図4)よりも太く成長した柱状結晶161が得られる。ここで、加熱処理後の種結晶163の活性状態を保持することによって結晶成長を起こし易くするため、種結晶163の形成された前面パネルを室温以上に保持することが好ましい。
【0056】
なお、上記各真空蒸着法を用いる場合には、酸素を含む減圧雰囲気下で行うことが好ましい。酸素が雰囲気中に含まれていれば、蒸着される物質の結晶構造において、酸素欠陥の発生が抑制することができる。また、粒状結晶を付着させるEB蒸着から加熱処理を通しての期間、加熱処理からEB蒸着を通しての期間、ならびにこれらの期間全般を通しての期間においては、前面パネルを大気開放することなく処理を行うようにすれば、大気中に含まれる水分(不純物)が保護層16に吸着されることを抑制することができ、PDPの放電特性を安定化させると言う点において好ましい。
【0057】
▲2▼背面パネルの作製
次に、背面パネルの製造方法の一例について、図1,2を参照しながら説明する。
背面パネルは、まず、背面ガラス基板12上に、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷し焼成することによって、m本のアドレス電極17を列設された状態に形成する。その上にTiO2粒子と誘電体ガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法を用いて塗布することにより下地誘電体層18を形成する。その後、同じく誘電体ガラス材料を含むペーストをスクリーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した後焼成することによって隔壁19を形成する。この隔壁19により、放電空間22は、x軸方向にセル(単位発光領域)毎に区画される。
【0058】
そして、この隔壁19と隔壁19の間の溝に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体粒子と有機バインダとからなるペースト状の蛍光体インキを塗布する。これを400〜590℃の温度で焼成して有機バインダを焼失させることによって、各蛍光体粒子が結着してなる蛍光体層20R,20G,20Bが形成される。
【0059】
▲3▼パネル貼り合わせによるPDPの作製
このようにして作製された前面パネルと背面パネルは、前面パネルの各電極と背面パネルのアドレス電極とが直交するように重ね合わせられるとともに、パネル周縁に封着用ガラスを介挿させ、これを例えば450℃程度で10〜20分間焼成して気密シール層21(図1)を形成させることにより封着される。そして、一旦放電空間22(図2)内を高真空(例えば、1.1×10-4Pa)に排気したのち、放電ガス(例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力(例えば、66.5kPa)で封入することによってPDP10が作製される。
【0060】
<効果について>
以上述べたように、本第1の実施の形態においては、保護層16を形成する際に、まず、粒状結晶162を真空蒸着によって付着させた後、これに加熱処理を施すことによって、大径化するとともに単結晶化された種結晶163を形成しておく。次に、この種結晶163上に真空蒸着を行うことによって、従来よりも径の大きな柱状結晶161ができるとともに粒状結晶からなるデッドレイヤーが形成されにくくなる。そのため、耐スパッタ性に優れ、放電特性の安定する保護層16を得ることができる。
【0061】
すなわち、このような方法で得られた保護層16は、単結晶性に優れた柱状結晶161が密集した層であり、保護層16における緻密度が従来よりも高まるので、従来に比べて耐スパッタ性に優れると考えられる。他方、この保護層16を形成する柱状結晶161が従来に比べて太く形成されて保護層16全体における露出面積が少なくなり、保護層16に吸着される不純物量を従来に比べて少なくすることができるので、PDPにおける放電特性を安定化することができると考えられる。
【0063】
<実施例>
(1)実施例サンプルS1
上記実施の形態で説明したEB蒸着法を用いてMgOからなる保護層(100nm)を形成し、加熱処理を行った後、再度EB蒸着法を用いてMgOからなる保護層を1000nmまで成長させた前面パネルを形成した。この前面パネルを用いて、プラズマディスプレイパネルを作製し、実施例サンプルとした。ここで、放電ガスとして、Neの含有量を95vol%、Xeの含有量を5vol%とし、封入圧力を66.5kPaとした。
【0064】
(2)比較例サンプルR1
上記従来の保護層の形成方法を用いて形成した前面パネルを用いたプラズマディスプレイパネルを作製し、比較例サンプルとした。ここで、保護層の厚み、放電ガスの種類、封入圧力等は実施例サンプルと同様に形成した。
(3)実験
実験方法
上記実施例サンプルS1および比較例サンプルR1について、上記図3で説明したPDP駆動装置30を接続し、連続的に白表示を行い、駆動時間に対するアドレス電圧(Vda)を測定した。なお、アドレス電圧とは、表示したい放電セルを選択するためにアドレス電極に印加する電圧であって、ここでは、アドレス放電を起こすために必要な電圧の最小値を示す。
【0065】
(4)結果と考察
実験結果を図7に示す。
図7は、実施例サンプルS1および比較例サンプルR1の駆動時間に対するアドレス電圧(Vdata)を示したものである。
同図に示すように、実施例サンプルS1においては、駆動時間に対するアドレス電圧(Vdata)は略安定しているが、比較例サンプルR1においては、駆動時間が4000時間を越えると、急激にアドレス電圧が高まっていることがわかる。これは、実施例サンプルS1のように保護層の形成過程において加熱処理を行うことにより、保護層を形成する柱状結晶が従来に比べて太くなり、保護層全体の露出面積が減少することから、水分などの不純物が保護層に吸着されにくく、駆動に伴なって放出される不純物量が従来に比べて減少しているからであると考えられる。
【0066】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の一適用例としてのPDPおよびPDP表示装置の第2の実施の形態について説明する。なお、本第2の実施の形態に係るPDPおよびPDP表示装置は、第1の実施の形態において図1,2,3を用いて説明したものと、中間層および保護層の構成が異なる以外は略同じ構成であるので、同じ構成については説明を省略する。
【0067】
上記第1の実施の形態においては、MgOからなる粒状結晶を形成し、これを加熱処理することによって、その上に形成される柱状結晶の基材となる種結晶を形成していたが、この基材としてはMgO以外の物質から構成しても良い。
図8は、本第2の実施の形態に係る前面パネルの要部断面図である。
同図に示すように、第2の実施の形態に係る前面パネルは、前面ガラス基板11の一方の主面上に列設された表示電極13および表示スキャン電極14を覆うように誘電体層15が積層され、この上に中間層362および保護層36が形成されている。
【0068】
中間層362は、酸化亜鉛(ZnO)からなる層である。この酸化亜鉛からなる中間層362についてX線回折法を用いて解析すると、この層は、ウルツ鉱型構造を有するとともに、その膜の厚み方向に(100)面配向するようになっている。この中間層362の表面上には、保護層36がエピタキシャル成長して形成されており、この界面はTEM観察によっても格子整合していることが確認される。
【0069】
一般的に、エピタキシャル成長においては、基板となる結晶と、その上に形成される別種の結晶における原子間隔との差の絶対値を、基板となる結晶の原子間隔で割って百分率で示したものをミスフィット(misfit)と呼び、この値が経験的に10〜15%以内でなければならないとされている。このため、中間層362を構成する物質と、保護層36を構成する物質(MgO)とのミスフィットが15%以下、好ましくは10%以下となる物質であれば、保護層36を構成する物質をエピタキシャル成長させることができる。なお、本第2の実施の形態において用いた酸化亜鉛のミスフィットは12%である。
【0070】
保護層36は、中間層362表面に対して略垂直方向にエピタキシャル成長したMgOからなる柱状結晶361が複数形成された層であり、基本的には第1の実施の形態のところで述べた柱状結晶161(図3)と同じく、従来の柱状結晶にくらべて太く形成されている。これによって、上記第1の実施の形態と同様の理由により、保護層36における不純物の吸着量が従来に比べて抑制される。したがって、PDPの放電特性を安定させることができる。
【0071】
このMgOの柱状結晶361についてX線回折法を用いて解析すると、柱状結晶361は、Na−Cl型構造を有するとともに、保護層36の厚み方向において、中間層362との界面から保護層36表面に到るまで均一に(111)面配向するようになっている。なお、保護層36としては上記第1の実施の形態のところで述べたアルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属フッ化物およびこれらの混合物などを用いることもできる。
【0072】
<前面パネルの形成方法>
本第2の実施の形態におけるPDPの製造方法は、上記第1の実施の形態において説明した方法と基本的には同じであり、前面パネルの形成方法のみが異なるので、その形成方法について主に説明する。
図9は、本第2の実施の形態に係る前面パネルの形成方法を示す。
【0073】
図9(a)〜(c)は、前面パネルの各製造段階における要部断面図であり、番号順に製造段階が進行する。なお、前面ガラス基板11上に表示電極13、表示スキャン電極14、および誘電体層15を形成する方法については、上記第1の実施の形態において、図6(a)、(b)を用いて説明した方法と同じ方法であるので説明を省略する。
【0074】
前面パネルは、前面ガラス基板11上に列設された表示電極13および表示スキャン電極14を被覆する誘電体層15上に、中間層362および保護層36を形成することによって作製される。
まず、図9(a)に示すように、誘電体層15が形成された基板を加熱し、酸素を含む減圧雰囲気下において真空蒸着法、例えばEB蒸着法を用いて、誘電体層15表面上に酸化亜鉛(ZnO)を約100nmの厚さとなるまで付着させ、図9(b)に示すような、層の厚み方向に(100)面配向した中間層362を形成する。
【0075】
中間層362への不純物の付着を防止するため、減圧状態を保持したまま、中間層362が形成された基板に対して真空蒸着法、例えばEB蒸着法を用いてMgOが900nmの厚さとなるまでエピタキシャル成長させる。これにより、図9(c)に示すような、従来の柱状結晶にくらべて太く、その厚み方向に均一に(111)面配向した柱状結晶361からなる保護層36が形成される。
【0076】
<柱状結晶361が太く形成される理由>
ここで、柱状結晶361が太く形成される理由について説明するために、その成長速度について説明する。
柱状結晶361は、結晶面の表面エネルギーに異方性を有しているため、各結晶面において成長速度が異なっている。結晶面の表面エネルギーとは、結晶面の安定性を示す物理量であって、この値が大きいと、その結晶面における単位面積当たりの原子間結合数が多いことを示し、その結晶面が原子を吸着する能力が大きいことを示すと考えられている。
【0077】
ここで、MgOについての表面エネルギー(相対値)は、
(100)面:1.000
(111)面:1.732
となる。
これからも分かるとおり、MgOにおいては(111)面が(100)面に比べて原子を吸着し易いと考えられる。
【0078】
ただし実際には、MgO保護層を真空蒸着によって製膜する場合には、結晶に酸素欠陥が発生することを抑制するために、O2を含む雰囲気下で結晶成長させているが、このO2は、MgO結晶の(111)面に吸着され易く、一旦吸着されるとその(111)面は安定化するとともに表面エネルギーが減少する。その結果、MgOにおける(100)面の表面エネルギーが相対的に増加し、蒸着源として用いているMgOは、MgO結晶の(100)面に吸着され易くなり、その結果(100)面の結晶成長速度が高まる。
【0079】
ここで、中間層362の表面上における結晶核が保護層36の厚み方向に(111)面配向をしていれば、結晶核の(100)面が成長することによって、保護層36の厚み方向と直交する<100>方向へも結晶が成長し、その結果柱状結晶361が太く形成される。したがって、中間層362の表面上に形成される結晶核を保護層36の厚み方向に(111)面配向させることによって、柱状結晶361を太く形成することができる。そのためには、以下の方法を採ることが望ましい。
【0080】
MgOは、Na−Cl構造であるため、アモルファスの誘電体膜上に真空蒸着によって形成しようとすると、最稠密原子面(100)が誘電体膜面と平行になり、膜の厚み方向に(100)面配向して成長するのが通常である。ところが、結晶基板上にMgOを真空蒸着する場合には、その結晶基板の構造の違いを利用して、MgOの結晶配向面を制御することができる。
【0081】
この結晶基板の結晶構造としては、面心立方格子および最密六方格子を挙げることができる。この面心立方格子は、その最稠密原子面が(111)面であり、最密六方格子は、その最稠密原子面が(001)面である。各格子構造においては、それぞれ(111)面、(001)面が基板に対して平行になりやすい性質を持っており、これらの面においては、いずれも原子が正三角形の頂点に配列された構造となっている。
【0082】
他方、Na―Cl構造の(111)面においても同様の構造となっており、Na―Cl構造の(111)面は、面心立方格子の(111)面や最密六方格子の(001)面と同じ配列になる。したがって、中間層362を構成する結晶が、その厚み方向において、面心立方格子の(111)面配向、もしくは最密六方格子の(001)面配向となっていれば、Na−Cl構造を有するMgOは容易に(111)面配向したまま結晶成長することができる。
【0083】
このようにMgOを(111)面配向させたまま結晶成長させるには、面心立方格子や最密六方格子以外に、閃亜鉛鉱型構造や、ウルツ鉱型構造の2元系化合物、あるいは多元素の混晶化合物も用いることができる。
ここで、上記説明してきた保護層(MgO)の結晶成長について一旦まとめる。
【0084】
従来のように、アモルファスの誘電体層上にMgOを蒸着する場合、その結晶核は、誘電体層と平行な最稠密原子面(100)面配向したものが比較的多く形成される。その後、O2雰囲気中でMgOを製膜すると、(111)のみが選択的に成長し、最終的には成長初期層がデッドレイヤーとなった(111)面配向の膜が得られる。
【0085】
一方、本第2の実施の形態のように、誘電体層15上に形成される中間層362をその厚み方向に(111)面配向した結晶で形成すると、それが結晶核としての機能を果たし、その上にMgOを製膜することによってデッドレイヤーが形成されない単一配向(111)面の大きな径の柱状結晶361が得られる。
この柱状結晶361は、エピタキシャル成長によって形成されるので、中間層362を構成する物質とのミスフィットに関する条件を満たすようにすれば、大きな径の柱状結晶を形成し易い。
【0086】
ここで、ミスフィットの求め方について説明する。
中間層362を構成する物質に面心立方格子および閃亜鉛鉱型構造を有する結晶を用いる場合には、両者とも面心立方格子に基づく構造であるため、格子定数を最近接原子間隔距離として用い、柱状結晶361とのミスフィットを求めることができる。
【0087】
他方、最密六方格子およびウルツ鉱型構造を有する結晶を中間層362に用いる場合、格子定数をaとすると最近接原子間距離は、a/√2となり、これを用いて柱状結晶361とのミスフィットを求めることができる。このミスフィットは、エピタキシーが成立するためには低い値となるほど好ましく、許容量としては15%以内、さらに好ましくは10%以内の値が望まれる。
【0088】
ここで、中間層362に用いることができる、面心立方格子、最密六方格子、閃亜鉛鉱型構造、およびウルツ鉱型構造を有する物質を以下に挙げる。
図10は、中間層362に用いることができる物質名、およびMgOとのミスフィットの値を示す。
同図に示すように、中間層362として用いることができる物質としては、Ag、Al、Au、Be、Cd、Co、Cu、Ga、Hf、In、Ir、Mg、Ni、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Tc、Ti、Zn、Zrからなる第一元素群から選択される元素の単体結晶や、上記第一元素群から選択される2以上の元素からなる合金や、上記第一元素群から選択される1以上の元素と、As、N、O、P、S、Sb、Se、Teからなる第二元素群から選択される1以上の元素とからなる化合物結晶等が考えられる。具体的には、面心立方格子を形成するAg,Al,Au,Ca,Ce,Cu,Ir,Ni,Pb,Pd,Pr,Pt,Rh,Sc,Th,Yb、最密六方格子を形成するBe,Cd,Co,Cp,Dy,Er,Gd,Hf,Ho,La,Mg,Nd,Os,Re,Tb,Tc,Ti,Tl,Tm,Y,Zn,Zr、閃亜鉛鉱型を形成するZnS,ZnSe,ZnTe、CdTe,BeS,AlAs,AlP,AlSb,GaAs,GaP,GaSb,InAs,InP,InSb、ウルツ鉱型を形成するZnO,BeO,CdS,CdSe,AlN,GaNなどを挙げることができる。この中で、MgOに対するミスフィットが15%以下の物質に対してアンダーラインを示した、Ag,Al,Au,Cu,Ir,Ni,Pd,Pt,Rh,Cd,Co,Hf,Mg,Os,Re,Tc,Ti,Zn,Zr,ZnO,BeO,AlN,GaN等の物質がエピタキシーの観点から特に中間層362に適していると考えられる。なお、上記中間層362を構成することのできる物質の中から選択される2種類以上の合金あるいは多元素化合物の結晶であっても中間層に適用することができる。
【0089】
上述したように、厚み方向に(111)面配向させた中間層362を形成し、その上に保護層36を構成するMgOを蒸着することにより、MgOからなる柱状結晶361が従来に比べて太く形成される。これによって、従来の保護層に比べて保護層36全体における露出面積を低減することができ、水などの不純物が保護層36に吸着される量を抑制することができる。したがって、PDPにおける放電特性の安定化を図ることができる。
【0090】
なお、エピタキシャル成長のように、異なる格子定数を有する結晶をヘテロ接合した場合、このヘテロ接合面におけるそれぞれの結晶において、互いに他の格子定数に近づけるように結晶構造に歪みを生じさせることがある。この歪み量は、各結晶の膜厚に依存することがわかっており、結晶構造の変化を吸収できなくなるほどミスフィットが大きくなると、結晶内部には原子の転移が生じる。この転移が生じると、MgOの柱状結晶361は、格子構造が不均一になるが、エネルギー状態が若干変化する程度であり、保護層の機能、すなわち、電子放出性能などにおいてはあまり大きな影響は受けない。
【0091】
また、保護層を形成するときにおいて、真空蒸着時におけるO2の分圧が大きくなりすぎると、却って結晶核の成長速度が低下するとともに、核形成密度が増加し、柱状結晶が小さくなったり、粒状結晶になったりする傾向がある。したがって、O2の分圧については最適な分圧を選択することが望ましい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の一適用例としてのPDPおよびPDP表示装置の第3の実施の形態について説明する。なお、本第3の実施の形態に係るPDPおよびPDP表示装置は、第1の実施の形態において図1,2,3を用いて説明したものと、誘電体層および保護層の構成が異なる以外は略同じ構成であるので、同じ構成については説明を省略する。
【0092】
上記第1の実施の形態においては、MgOからなる粒状結晶を形成し、これを加熱処理することによって、その上に形成される柱状結晶の配向面の方向を決定付ける種結晶を形成していたが、この種結晶の代わりに誘電体層の形状を変更することによってその上に形成される柱状結晶の配向面を決定付けるようにしてもよい。
【0093】
図11は、本第3の実施の形態に係る前面パネルの要部断面図である。
同図に示すように、第3の実施の形態に係る前面パネルは、前面ガラス基板11の一方の主面上に列設された表示電極13および表示スキャン電極14を覆うように誘電体層45が積層され、この上に保護層46が形成されている。
誘電体層45は、上記第1の実施の形態と同様、鉛ガラスなどの非晶質物質からなり、保護層46と接する側の主面において、複数の溝451がストライプ状に並行に列設されている。ここで、溝451は、周期W:3800nm、(溝の幅:1900nm)、深さH:100nmとなるように形成されている。この溝によって、誘電体層45上に蒸着される保護層46は、単結晶ライク、すなわち柱状結晶の数が少なく、各柱状結晶の結晶径が大きく形成される。ここで、溝451は、その幅が160〜3800nmの範囲において、保護層46を単結晶ライクに形成できることを確認している。
【0094】
保護層46は、MgOからなる柱状結晶461が複数本形成された層であり、基本的には第1の実施の形態のところで述べた柱状結晶161(図3)と同じく、第1および第2の実施の形態における柱状結晶にくらべてもその径が太く形成されている。これによって、上記第1の実施の形態と同様の理由により、保護層46における不純物の吸着量を従来に比べて抑制することができる。したがって、PDPの放電特性を安定させることができる。
【0095】
この柱状結晶461についてX線回折法を用いて解析すると、柱状結晶461は、Na−Cl型構造を有するとともに、保護層46の厚み方向において、(100)面配向するようになっている。なお、柱状結晶461を構成する物質として、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、およびこれらの混合物なども用いることができる。
【0096】
<前面パネルの形成方法>
本第3の実施の形態におけるPDPの製造方法は、上記第1の実施の形態において説明した方法と基本的には同じであり、前面パネルの形成方法のみが異なるので、その形成方法について主に説明する。
図12(a)〜(d)は、本第3の実施の形態に係る前面パネルの形成方法を示すための前面パネルの各製造段階における要部断面図であり、番号順に製造段階が進行する。なお、前面ガラス基板11上に表示電極13、表示スキャン電極14、および誘電体層15を形成する方法については、上記第1の実施の形態において、図6(a)、(b)を用いて説明した方法と同じ方法であるので説明を省略する。
【0097】
前面パネルは、前面ガラス基板11上に列設された表示電極13および表示スキャン電極14を被覆する誘電体層15上に、保護層36を形成することによって作製される。
まず、図12(a)に示すように、誘電体層15が形成された基板に対して、図12(b)に示すように、複数の溝451をストライプ状に形成する。この溝451の形成方法としては、化学エッチング法等のエッチングを用いたり、エキシマレーザ法を用いたりして、誘電体層15の一部を溶解・溶融させて溝を形成したり、もしくは先端の尖った針状の切削具を用いてこれを誘電体層15に押し当ててこれを相対的に移動させ、機械的に誘電体層15表面上の一部を削りとったりする方法がある。
【0098】
次に、この溝が形成された基板を加熱し、誘電体層15表面上に真空蒸着法、例えばEB蒸着法を用いて、保護層材料となるMgOを誘電体層15表面全体に付着させる。
図13は、本第3の実施の形態に係る前面パネルの要部断面斜視図であり、柱状結晶461については、便宜上一つのみを示している。
【0099】
誘電体層45は、それ自体が非晶質物質であるので、図13に示すように、この上に蒸着されるMgOは理論上<100>方向に成長する。このため、凸部452の表面は勿論、溝451の底面および側面においても、各面と略垂直方向に<100>配向しながら成長する。したがって、溝451内部においては、MgOが溝に沿った方向に<001>配向しながら成長し、結果として、溝451に沿って2軸配向した、単結晶ライクな保護層前駆体460(図12)となる。この保護層前駆体460に、さらに蒸着を続けることによって、その厚み方向に(100)面配向した柱状結晶461が得られる。この柱状結晶461の径は、保護層46をほぼ単結晶とみなすことができる程度まで大きくなる。(なお、図11および図12(d)では3つの柱状結晶461が形成された場合を示している。)
ここで、保護層前駆体460が、MgO蒸着の初期の段階において、MgOが粒状結晶となっていたりアモルファス層となっていたりしても、第1の実施の形態と同様の加熱装置を用いて酸素を含む減圧雰囲気下で加熱処理を行えば、第1の実施の形態と同様、多結晶化されるとともに、種結晶となる保護層前駆体460の径を従来よりもさらに大きくすることができる。この加熱処理としては、約380μmのスポット径で照射することのできる6〜7W程度のアルゴンレーザを用い、これを12μmピッチでずらしながら走査させて、結晶融点T(K)以上(アモルファス層の場合は2/3T(K)以上)まで昇温し、これを何回か繰り返す方法が適している。
【0100】
そして、最終的に保護層46は、その厚み方向に(100)面配向するとともに、上記各実施の形態よりも大きな径を有する柱状結晶461から形成され、単結晶に近づく。この処理後の保護層前駆体460の結晶性については、電子線回折によって確認することができる。
上述したように、この保護層前駆体460を種結晶として、MgOを結晶成長させることによって、図12(d)に示すように、粒状結晶からなるデッドレイヤーが存在することなく、上記各実施の形態よりも太い柱状結晶461が形成された前面パネルを得ることができる。このため、上記各実施の形態と同様の理由により、PDPにおける放電特性を安定化させることができる。
【0101】
なお、本第3の実施の形態においては、(100)面配向した保護層46を形成したが、上記第1、第2の実施の形態においては(111)面配向した保護層が形成されている。このように、保護層の配向面が異なるものが形成されたとしても、放電特性の安定化と言う点では両者ともあまり違いがない。ただし、電子放出性と言う点では、(111)面配向の方が若干優れており、その点では(111)面配向の方が好ましい。誘電体層に溝を形成することによって、(111)面配向の保護層を形成する場合には、溝形状が三角錐となるように形成すれば、保護層の厚み方向に(111)面配向した保護層を形成することができる。
【0102】
また、本第3の実施の形態においては、上記第1の実施の形態と同様の理由によって、保護層材料を付着する期間から保護層を形成する期間を通して大気開放しないで処理すること、および加熱処理から保護層形成にかけては前面パネルを室温以上の温度に保持することが好ましい。
【0103】
【発明の効果】
本発明に係るPDPは、保護層が、種結晶からなる第1層と、当該第1層における種結晶の上に成長した複数の柱状結晶からなる第2層によって構成されており、前記第1層は、その形成初期に前記誘電体層表面に付着した粒状結晶を複数合体した種結晶、もしくはその形成初期に前記誘電体層に付着したアモルファス層を多結晶化した種結晶からなるので、保護層を形成する柱状結晶が、保護層材料を粒状結晶のままからなる層上に成長させる従来の場合に比べて太いものが形成される。そのため、保護層全体においては露出面積が減り、保護層に吸着される不純物量を減らすことができるので、不純物に起因するPDPの放電特性の変動を安定化させることができる。さらに、粒状結晶がほとんどなく、保護層の緻密度も向上するので、耐スパッタ性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るPDPの前面ガラス基板を取り除いた平面図である。
【図2】図1におけるPDPの一部概略断面斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るPDP表示装置の構成を示す図である。
【図4】従来のPDPの前面パネルの要部断面図である。
【図5】図2におけるPDPをy軸方向から見た前面パネルの要部断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る前面パネルの各製造段階における要部断面図であり、(a)〜(e)の番号順に進行する。
【図7】本発明に係るPDPおよび従来のPDPの駆動時間に対するアドレス電圧をプロットしたグラフである。
【図8】第2の実施の形態に係るPDPにおける前面パネルの要部断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る前面パネルの各製造段階における要部断面図であり、(a)〜(c)の番号順に進行する。
【図10】中間層に用いることができる物質の格子定数およびMgOに対するミスフィットを計算した値を表にしたものである。
【図11】第3の実施の形態に係るPDPにおける前面パネルの要部断面図である。
【図12】第3の実施の形態に係る前面パネルの各製造段階における要部断面図であり、(a)〜(d)の番号順に進行する。
【図13】第3の実施の形態に係る前面パネルを模式的に示した要部断面斜視図である。
【符号の説明】
10 PDP
11 前面ガラス基板
12 背面ガラス基板
13 表示電極
14 表示スキャン電極
15 誘電体層
16 保護層
17 アドレス電極
18 下地誘電体層
19 隔壁
20 蛍光体層
21 気密シール層
22 放電空間
30 PDP駆動装置
31 表示ドライバ回路
32 表示スキャンドライバ回路
33 アドレスドライバ回路
34 コントローラ
40 PDP表示装置
161 柱状結晶
162 粒状結晶
163 種結晶

Claims (2)

  1. 第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層、保護層とが順に積層されたプラズマディスプレイパネルであって、
    前記保護層は、真空蒸着法により形成された種結晶からなる第1層と、当該第1層における種結晶の上に成長した複数の柱状結晶からなる第2層によって構成されており、
    前記第1層は、前記誘電体層表面に付着した複数の粒状結晶を、前記複数の粒状結晶を加熱することによって合体させた種結晶であり、
    前記種結晶は、前記保護層の厚み方向に(111)面配向した構造を有し、
    前記柱状結晶は、幅が30nm〜45nmである、
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 基板上に電極を形成する第1の工程と、前記第1の工程において形成された電極上を覆うように誘電体層を形成する第2の工程と、前記第2の工程において形成された誘電体層を被覆する保護層を形成する第3の工程とを備えたパネル形成工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記第3の工程は、
    前記誘電体層上に保護層材料を真空蒸着して粒状結晶の形態で付着させる保護層材料付着ステップと、
    前記保護層材料付着ステップにおいて付着された複数の粒状結晶を加熱処理して、前記複数の粒状結晶を合体させ、前記保護層の厚み方向に(111)面配向した構造を有する種結晶を形成する加熱処理ステップと、
    前記種結晶上に保護層材料を成長させる保護層形成ステップとを有する、
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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