JP4723982B2 - プラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関し、特に保護膜及びその形成方法に関する。
代表的なカラー表示デバイスとしてプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記す。)、特に交流型(AC型)PDPが知られており、一般的に、前面基板は表示電極対を備え、背面基板はデータ電極を備えており、両基板は各電極が交差するように放電空間を挟んで対向配置されてなる。両基板には各電極を覆うように誘電体層が設けられ、前面基板の誘電体層上には、放電空間を臨む状態で保護膜が積層されている。
PDPの駆動時には、表示電極対とデータ電極間で書き込み放電が行われ、保護膜表面の所望領域に壁電荷が蓄積される。書き込み放電後には、上記蓄積領域において、表示電極間で維持放電が行われ、それにより画像表示がなされる。この間、保護膜は、書き込み放電及び維持放電の際に生じるイオン衝撃(スパッタリング)から誘電体層及び電極を保護する役割と、各放電時に2次電子を放出して放電特性を向上させる役割を果たしている。このため、保護膜には耐スパッタ性と2次電子の放出に優れる酸化マグネシウム(MgO)が用いられることが多い。
PDPには、放電特性の経時劣化が比較的著しいという問題がある。その要因の一つとして、保護膜の形成時及び形成後に、炭素化合物や水酸基などの不純物が取り込まれることが考えられる。その対策として、(111)面に配向している保護膜に関して、その保護膜が一般的に柱状結晶からなることに着目し、この柱状結晶を太くして保護膜表面の露出面積を減少させることで、不純物吸着を抑制し、放電特性の安定化を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2002-150953号公報
ところで、(111)面配向している保護(MgO)膜は、元来、水などの不純物との反応性が高く、それによる劣化が生じやすいので、これらの点からすると、不純物に対する耐久性の良い(100)面配向の保護膜が望ましい(「J.Mater.Res.,Vol.18No12,Dec2003 P.2895」に記載)。
しかしながら、(100)面配向の保護膜であっても実際には、単一な面配向のみで構成されておらず幾種類かの面配向が混在した状態となってしまうことが多いので、PDPの駆動時間が長くなると、その耐久性の低い領域では、他の領域よりも放電特性の劣化が著しく、部分的に点灯不良などを招いてしまう。
さらに、保護膜における面配向の単一制御が十分になされずに複数の保護膜が形成される場合には、成膜された各保護膜ごとに不純物吸着に対する耐久性が異なり、各保護膜ごとの放電特性もバラツキが生じることとなる。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、簡易な方法によって成膜され、且つ、安定した放電特性を有する保護膜を備えたPDPを提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために以下の手段を用いている。
本発明に係るPDPの保護層は、第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層、保護層とが順に積層されたプラズマディスプレイパネルのであって、前記保護層は2層で構成されており、誘電体層に接している第1層はMg1-xAxO固溶体であって、Na-Cl型結晶構造を有し、(100)面に配向しており、且つ、第1層上に積層された第2層は、MgOを主成分とする酸化物で構成されていることを特徴としている。この前記第1層により、その上のMgOを主成分とする第2層がNa−Cl型結晶構造の(100)面の配向性に優れ、そのため、水分等の不純物の吸着が、従来に比べ低減され、放電特性が安定する。
本願のような上記2層構造ではなく、上記Mg1-xAxO固溶体1層で保護層を形成した場合は、(100)面の配向性に優れ、不純物吸着は減少するものの、A元素を含まないMgOに比べ、A元素の添加により、結晶欠陥が増大し、放電特性が悪化する。本発明の2層構造では、放電に係る上層のMgOは下層のMg1-xAxO固溶体の配向性を引き継ぎ、吸着量が少なく且つ、下層のような添加物を含まないため、放電特性の劣化もない。
前記第1層のA元素としては、具体的にはZn、Sr、Baもしくはこれらから複数選んだものを用いることができる。これらの元素はMgと同じく2価の元素であり、且つMgに比べて酸化性が低い。このためMg1-xAxO固溶体の形成時に、MgOのMgの位置に置換されやすい。また、形成途中で、AのまわりにMgとの酸化性の強弱の関係で酸素欠損ができやすく、そのため、Mgのマイグレーションを促進する。この結果、Mg1-xAxO固溶体層は、Na-Cl型構造として、最稠密充填面である(100)面に単一配向易くなると考えられる。また、第2層を(100)に配向させるためには、前記A元素の比率(x)が0.05以上であることが望ましい。また、A元素の比率が0.3を超えると、Na-Cl型構造以外の結晶層が出現するため、A元素の比率が0.3以下であることが望ましい。また、第1層の膜厚としては、十分な(100)面への配向性を有する必要があるため、10nm以上であることが望ましい。また、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、第1パネルおよび第2パネルがギャップ材を介して対向配置され、前記第1パネルおよび第2パネルの一方には複数の電極が列設されるとともに、当該複数の電極を覆うように誘電体層、保護層とが順に積層されたプラズマディスプレイパネルの保護層の製造方法であって、保護膜の形成工程が、前記誘電体層上にであって、Na-Cl型結晶構造を有し、(100)配向している、Mg1-xAxO固溶体層を保護層第1層として形成するステップと、前記保護層第1層上に保護層第2層として、MgOを主成分とする酸化物層を形成するステップとを有することを特徴としている。上記形成法では、第1層の上に第2層をエピタキシャル成長させるために、第1層および第2層の形成工程を、大気開放しないで連続に行うようにすることが望ましい。
本発明のように保護膜が、基板上にMg1-xAxOを主成分とする第1層が形成されて、さらにMgOを主成分とする第2層が第1層に積層されている構成であり、具体的に当該第1層の主成分であるMg1-xAxOは、バラツキ無く単一に(100)面に配向したNa-Cl型結晶構造となりやすい。そのため、第1層を種層(基板)として結晶成長してなる第2層も、表面及び内部において(100)面に単一配向しやすい。従って、上記保護膜は簡易な方法で成膜でき、不純物吸着の防止に関して高い性能を有している。従って、本発明に係る保護膜を備えたPDPでは、従来の設備環境下において形成された場合、特に放電空間内に不純物が発生してしまう場合であっても、保護膜への不純物の吸着量は抑制される。これにより、不純物の吸着が原因となる放電特性の劣化を大きく抑制することが可能となる。
上記のように当該保護膜は単一な(100)面配向を有するので、不純物吸着を抑制する性能に面内バラツキが生じない。そのため、PDPを長時間駆動させても、保護膜における一部分の領域において放電特性が著しく劣化するような問題は発生しない。
さらに、上記構成の実現により保護膜における面配向の制御を容易、且つ、確実に行うことができるので、1つの保護膜の中での面内バラツキの防止だけでなく、複数の保護膜を形成する場合に各保護膜における面配向のバラツキをも制御することができる。結果、複数のの保護膜における放電特性、及びその経時的劣化を安定化させることができる。
以上のように、本発明の構成を利用することで、簡易な方法により、PDP装置における確実な画像表示の実現と共に消費電力の低減に繋げることができるので有効である。
以下、本発明の実施の形態について、下記のPDPを一例として図面を用いて説明する。
(全体構成)
図1(a)は、本実施の形態におけるPDP100の展開斜視図、図1(b)はPDP100における前面基板10のXZ断面図である。PDP100は、前面パネル10と背面パネル20とが対向して接着密閉されてなり、後述する駆動回路が備えられて、画像表示可能な形態、即ち、プラズマディスプレイパネル装置(以下、「PDP装置」と記す。)となる。
(1)前面パネル10
前面パネル10は、前面基板11に表示電極対12が配設され、表示電極対12を覆うようにして誘電体層13、さらに保護膜14が順次積層されてなる。
前面基板11は、高歪点ガラスあるいはソーダガラスからなる。表示電極対12はスキャン電極121とサステイン電極122により構成され、その各々はITOからなり、ストライプ状に形成された透明電極121a、122aと、その上に形成されるバス電極121b、122bとによってなる。透明電極121a、122aの材料には酸化スズあるいは酸化亜鉛など、バス電極121b、122bの材料にはAg、アルミニウムなどからなる膜、あるいはクロム/銅/クロムの積層膜なども適用可能である。
誘電体層13は、Pb-B系の低融点ガラスペーストをマスクスクリーン印刷し、焼成して形成されている。その上に形成される保護膜14は、MgOを主成分としている。保護膜14は、PDP100の放電時に発生するイオンによって、誘電体層13及び表示電極対12がスパッタされることを防止すると共に、2次電子放出を促進し、PDP100の駆動電圧の抑制機能を有している。この保護膜14の詳細に関しては後述している。
(2)背面パネル20
背面パネル20は、背面基板21にデータ電極22が配設され、それらを覆うようにして誘電体層23が形成され、さらに所定の高さを有する隔壁が形成され、上記誘電体層23の上面(Z方向正方向側)と隔壁24の側面には蛍光体層25が形成されている。
背面基板21は、高歪点ガラスまたはソーダライムガラスからなる。データ電極22はAgからなり、スクリーン印刷法やフォトエッチング法などによりストライプ状に形成されている。
誘電体層23は、主にPb-B系の低融点ガラスからなり、隔壁24がその上にストライプ状に形成されており、隔壁24間の内側、及び隔壁24に挟まれる誘電体層23の表面上には赤色、緑色、青色の蛍光体層25が順次塗布されている。
(3)放電空間30
放電空間30は、前面パネル10と背面パネル20が、封着材(不図示)によって封着されることで構成される。当該放電空間30内は、高真空状態となるように排気された後に、ネオンとキセノンを有する混合ガスが放電ガスとして充填される。
(保護膜14の構成について)
図1(b)を用いて、保護膜14の具体的な構成について説明する。図示されるように、保護膜14は、前面基板11から順に、Mg0.9Zn0.1Oを主成分とし、誘電体層23上に積層されてなる第1層141と、さらにその上にMgOを主成分として積層されてなる第2層142とからなる。
第1層141の主成分であるMg0.9Zn0.1Oは、一部のMg元素がZnに置換されている固溶体であり、(100)面に配向したNa-Cl型結晶構造を有している。なお、その置換している元素の組成率に関しても、0.1だけでなく他の値でも構わない。ただし、その場合、組成率が0.2を超える程度の値になれば、Na-Cl型とは異なる結晶構造が形成されるため、その組成率は0.2以下であることが望ましい。ただし、その場合、第2層を(100)に配向させるためには、元素の比率(x)が0.05以上であることが望ましい。また、元素の比率が0.3を超えると、Na-Cl型構造以外の結晶層が出現するため、元素の比率は0.05以上0.3以下であることが望ましい。また、置換している元素は、Znだけに限定されず、Mg元素よりも酸化性の低い2価の元素、例えば、Ca、Sr、Ba、Raもしくはこれらが選択的に組み合わされたものであっても構わない。第1層141の厚みに関しては約50nmであるが、他の値でも構わない。ただし、少なくとも10nm以上であることが好ましい。
第2層142は、単一に(100)面に配向している第1層141上に、MgOが真空蒸着されて、拡大図に示されるようにMg0.9Zn0.1O粒子141a、141b、141c・・・を種層(基板)としてMgO粒子が積層されて、その積層方向に伸びた柱状結晶142a、142b、142c・・・からなる。このMg0.9Zn0.1O粒子141a、141b、141c・・・は誘電体層13上に均一に存在しており、結晶成長しているMgOの柱状結晶142a、142b、142c・・・も同様に均一に存在している。これらの結晶からなる第2層142はほぼ一様な厚みで、放電空間30を臨んでいる状態である。このMgOを主成分とする第2層142も第1層141と同様に、(100)面に単一配向している。
上記第1層141と第2層142とが順次積層されてなることで保護膜14の厚みは約1000nmとなっている。
(PDP装置の構成)
次に、上記PDP100とともに接続されてPDP装置300を構成するPDP駆動装置200、及びそれらを用いてPDP100へ画像を表示する手順について図2を用いて説明する。なお、図2は、PDP100に各駆動装置が接続された状態を示すPDP装置300の模式図である。
このPDP駆動装置200は、PDP100のスキャン電極121に接続されるとともにこれを駆動するスキャンドライバ回路201と、サステイン電極122に接続されるとともにこれを駆動するサステインドライバ回路202と、データ電極22に接続されるとともにこれを駆動するデータドライバ回路203、及び各電極回路201、202、203を制御する制御部204とを備えている。
PDP装置300の駆動時には、入力された画像データに基づいて制御部204から送信されるデータに従って、点灯させるセル(例えば、A部)におけるスキャン電極121とデータ電極22とに放電開始電圧以上の電圧が印加され、その電極間で放電が発生されて壁電荷が貯まる。その後に、スキャン電極121とサステイン電極122とに一括してパルス電圧が印加されることによって、壁電荷の貯まっているセルにおいて維持放電が発生される。この維持放電時において、放電空間内の放電ガスから紫外線が発生し、この紫外線により励起された各蛍光体層が発光することによってセルが点灯する。この各色セルの点灯、非点灯の組み合わせによって画像は表示される。
(保護膜14の製造方法)
次に、本実施形態に係る保護膜14の形成方法について図3を用いて説明する。図3は、当該形成方法を示す前面パネル10の概略断面工程図である。
図3(a)に示すように、前面基板11上に所定の間隔を設けて配設された表示電極対12を覆うようにして誘電体層13を、スクリーン印刷法を用いて塗布し、乾燥後、焼成して厚みが約20μmとなるように形成する。
この誘電体層13上に真空蒸着法、例えばEB蒸着法を用いて、図3(b)のようにMg0.9Zn0.1Oを約50nmの厚さとなるまで付着させて第1層141を形成する。なお、このときMg0.9Zn0.1Oは、(100)面に単一に配向している状態である(第1層形成サブステップ)。
その後、再度、真空蒸着法を用いて、図3(c)に示されるように、第1層141を種層としてその上にMgOを結晶成長させて積層させて、MgOが主成分となる第2層142を第1層141上に形成する。このとき、(100)面に単一配向している第1層141を種層として結晶成長させているので、第2層142の主成分であるMgOは(100)面に配向している状態でエピタキシャル成長も起こり易い状態となっている。このようにして形成されるので、第2層142におけるMgOの面配向も、第1層141と同様、(100)面に配向したNa-Cl型結晶構造となる(第2層形成サブステップ)。第1層141と第2層142とからなる保護膜14の厚みが、約1000nmとなるように形成する。図4に従来の保護層と、本発明に係る保護層の
XRD回折図を示す。図から明らかなように従来の保護膜が全体的に回折強度が弱く、且つ、面方位が一定してないのに対して、本発明の保護膜14は(100)に強く配向しており、且つ強度も強いことがわかる。
上記のように真空蒸着を用いて第1層141及び第2層142を積層させて保護膜14を形成する際には、これらの工程の間で例えば大気開放することなく連続的に処理を行うように、減圧下または減圧ガス雰囲気中を維持すれば、大気中に含まれる水分(不純物)が保護膜14の内部及び表面に吸着されることなく形成することができ、種層である第1層141の結晶構造を維持しながら第2層142のMgOを(100)面に配向した状態で緻密に形成することができるので好ましい。
なお、本実施形態では、保護膜14の形成方法として、EB蒸着法を用いたが、保護膜14の成膜方法としては、上記方法に限定するものではなく、その他の方法、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法などを用いても構わない。
(本実施形態の優位性)
以下では、本実施形態に係る保護膜14を備えたPDP100を利用した際に得られる有効性について説明する。
保護膜14における放電空間30に臨む部分、つまり第2層142が、耐久性の良い(100)面に単一に配向していることにより、当該保護膜14は、(111)面などに配向している保護膜と比較すると、不純物吸着の防止に関して高い性能を有している。従って、本実施形態に係る保護膜14を利用することでPDP100における放電特性の劣化が抑制される。
当該有効性について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態の保護膜14を利用したPDP100(以下、「実施例」と記す。)と(111)面配向している保護膜を利用したPDP(以下、「従来例」と記す。)とにおいて、駆動電圧の初期値とその駆動時間に対する駆動電圧の変動を示したグラフである。
当図から分かるように、比較例においては4000時間ほどに達するとその駆動電圧に上昇がみられる。一方、実施例ではその駆動電圧は比較例ほどの大きな変動はみられず安定した値をとっている。
このような効果が得られるのは、実施例における保護膜14のうち、Mg0.9Zn0.1Oを主成分とする第1層141がその面内において、単一に(100)面配向しているので、それを種層として積層方向に結晶成長してなる第2層142も(100)面で単一配向していることに起因する。つまり、放電空間30を臨む第2層142は、不純物吸着抑制機能の高い(100)面配向を維持したまま積層方向に伸びた柱状結晶からなる。これにより、例えば、(111)面に配向している保護膜や様々な面配向が混在している保護膜と比較して、不純物吸着による放電特性の劣化が抑制される。また、保護膜14がスパッタなどで少しずつ削られたとしても、本実施形態に係る保護膜14は表面だけでなく内部においても(100)面配向を維持しているため、不純物吸着によって経時的に放電特性が大きく劣化するような事態を回避でき、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
特に、保護膜14の形成ステップにおいて、上述したように第1層141の第1層形成サブステップから第2層142の第2層形成サブステップにかけて減圧下もしくは減圧ガス雰囲気中を維持したまま連続形成を行うことで、当該保護膜14に形成途中で不純物が吸着することもなく、成膜された保護膜14は単一に(100)面に配向した状態となる。従って、その保護膜14は、上記結晶構造を緻密且つ一様な状態で得ることが可能となり、保護膜14内における面配向のバラツキをさらに抑制することができる。
以上のような構成及び形成方法により、本発明に係る保護膜14は面内バラツキの無い安定した放電特性を得ることができる。例えば、図2で示されるようなある一つのセルAにおける面配向が(100)であり、他のセルBは他の面配向を有している(特に、(100)面配向よりも水分を吸着しやすい面配向)場合であれば、PDP100の駆動時間の経過にともなって当該セルA、B間で放電特性に違いが生じるようになる。つまり、両セルA、Bをともに同時点灯させようとしても、セルAでは点灯されるがセルBでは点灯されないような場合が生じてしまう。しかし、本実施形態に係る保護膜14の場合は、面配向に関して、面内バラツキが抑制され、単一に(100)面に配向しているので、上記問題は解消され、有効である。
従来のように、保護膜の面配向が制御されずに、放電特性の面内バラツキが存在する状態であれば、複数の保護膜を形成した場合に、1つの保護膜における放電特性の面内バラツキだけでなく、1枚1枚の保護膜ごとに放電特性が異なる問題が考えられる。しかし、本発明のような構成を簡易に実現することで、複数の保護膜を同時または連続的に形成した場合であっても、1枚1枚の保護膜が(100)面で単一配向している状態とすることができる。従って、成膜された保護膜ごとに放電特性が異なる問題を解消することができる。
(その他の事項)
本発明に係るPDP装置の構成及びその製造方法に関しては、上記内容に限定するものではない。
例えば、保護膜14の厚みが増して放電空間30の領域が若干縮小されたとしても、PDP100の放電特性の劣化が顕著に現れるものでなければ適用可能である。また、保護膜14の構成に関しても、2層によるものだけでなく、放電空間30に臨む表層部分が単一な(100)面配向を有するように形成されるものであれば、2層以上であっても、他の構成であっても構わない。ただし、その場合、上記(100)面配向を有する層が放電空間30を臨む状態であることが望ましい。
本発明に係るPDP装置は、大型、且つ、高精細な表示装置などを用いる映像機器産業、宣伝機器産業やその他の産業分野に利用することができ、その産業利用性は大きい。
本実施形態に係るPDPの展開斜視図である。 本実施形態に係るPDP装置の模式図である。 本実施形態に係る保護膜形成工程断面図である。 本実施形態に係る保護層のX線回折図を従来保護膜と比較した図である。 本発明に係る保護膜を用いたPDP及び従来のPDPの駆動電圧表示グラフである。
符号の説明
10 前面パネル
11 前面基板
12 表示電極対
13 誘電体層
14 保護膜
20 背面パネル
21 背面基板
22 データ電極
23 誘電体層
24 隔壁
25 蛍光体層
100 PDP
121 スキャン電極
122 サステイン電極
121a、122a 透明電極
121b、122b バス電極
141 第1層
142 第2層

Claims (5)

  1. 放電空間を挟んで対向配置された2枚の基板を有し、一方の基板における前記放電空間を臨む領域に保護膜が形成されているプラズマディスプレイパネルであって、
    前記保護膜は、基板側から順に、Mg 1−x O層(AはMg及びO以外の元素、0<x<1)と、MgO層とが積層されてなり、
    前記Mg 1−x O層は、主として(100)面に配向したNa-Cl型結晶構造を有し、且つ、A元素はZn、Sr、Baもしくはこれらの元素から選択的に組み合わされたものであり、前記MgO層は、前記Mg 1−x O層と同一の面配向を有するプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記Mg 1−x O層におけるA元素の組成率xが0.05以上0.3以下である
    請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記Mg 1−x O層の厚みが10nm以上である
    請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 放電空間を挟んで対向配置する2枚の基板のうち、一方の基板に前記放電空間を臨む保護膜を形成するステップを含むプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記保護膜の形成ステップでは、
    Mg 1−x O層(AはMg及びO以外の元素、0<x<1)を形成するMg 1−x O層形成サブステップと、
    前記Mg 1−x O層形成ステップの後に、前記Mg 1−x O層を種層として結晶成長させてMgO層を形成するMgO層形成サブステップとを含んでなり、
    前記Mg 1−x O層は、(100)面に配向したNa-Cl型結晶構造を形成させ、且つ、A元素はZn、Sr、Baもしくはこれらの元素から選択的に組み合わされたものであるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記Mg 1−x O層形成サブステップから前記MgO層形成サブステップにかけて減圧下もしくは減圧ガス雰囲気中を維持する
    請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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