JP4868295B2 - ダイヤモンド電子放射陰極、電子放射源、電子顕微鏡及び電子ビーム露光機 - Google Patents

ダイヤモンド電子放射陰極、電子放射源、電子顕微鏡及び電子ビーム露光機 Download PDF

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Description

本発明は、電子顕微鏡、電子ビーム露光機などの電子線及び電子ビーム機器、進行波管、マイクロ波管など真空管に用いられるダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源及びこれらを用いた電子機器に関する。
電子はマイナスの電荷を持ち、質量が極めて小さいため、電子を一方向に揃えて走らせた電子ビームは以下のような特徴を有している。(1)電界や磁界で方向や収束度を制御できる。(2)電界による加減速で広範囲なエネルギーが得られる。(3)波長が短いため、細く絞り込むことができる。このような特徴を活かした電子顕微鏡や、電子ビーム露光機が広く普及している。これらの陰極材料として、例えば、熱電子放射源としては安価なWフィラメントや、輝度の高い電子ビームが得られるLaB6等の六ホウ化物がある。また、さらに高輝度でエネルギー幅の狭い陰極として、量子効果によるトンネル現象を利用した先鋭化Wや、電界によるショットキー効果を利用したZrO/W が用いられている。
しかしながら、Wフィラメントは安価である反面、寿命が100時間程度と極端に短いために、フィラメントが切れた場合、真空槽を大気開放したり、電子ビームの光軸を調整したりする等の交換作業を頻繁に行わねばならないといった問題がある。LaB6はWフィラメントと比較して寿命が1000 時間程度と長いが、比較的高輝度ビームが得られる装置で使用されているために、交換作業は装置メーカーが行う場合が多く、コストがかかるといった問題がある。より高輝度が得られる先鋭化Wや、寿命が1年程度と比較的長いZrO/Wについても交換コストが高く問題がある。
電子顕微鏡においてはより小さいものを高精度に観察したいという要求があることや、電子ビーム露光機においては65nmノード以細の開発が進んできていることから、さらに高輝度でエネルギー幅が狭い陰極が求められている。
このような期待に答える材料の一つとして、ダイヤモンドがある。ダイヤモンドには非特許文献1あるいは非特許文献2にあるように電子親和力が負(NEA)の状態、あるいは仕事関数が小さい金属と比較しても小さな正(PEA)の状態が存在する。この非常に稀な物性を活かせば、WフィラメントやLaB6、あるいはZrO/W のように1000℃を超える高熱の必要なしに高電流密度電子放射が可能であり、エネルギー幅が狭く抑えられる。そして、駆動温度が低いために長寿命が期待できる。また、非特許文献3のような先端径10nmが得られる微細加工技術があるので高輝度化についても問題ない。また、ダイヤモンドについては、上記電子親和力を有することが判明して以来、非特許文献4や特許文献1のような電子源がこれまでに提案されてきた。
F.J.Himpsel et al., Phys. Rev.B., Vol.20,Number 2(1979) 624- J.Ristein et al., New Diamond and Frontier Carbon Technology, Vol.10,No.6,(2000) 363- Y.Nishibayashi et al., SEI Technical Review, 57, ( 2004) 31- W. B. Choi et al., J. Vac. Sci. Technol. B 14, (1996 )2051 - 特開平4−67527号公報
しかしながら、上記のダイヤモンドを用いた電子源を広く普及している電子顕微鏡や電子ビーム露光機で使用する場合、それぞれに問題がある。すなわち、非特許文献3に記載されたような電子放出点が複数並べられた構造では面電子源となるために、収束させて微細ビームとするのは困難である。また装置への実装も容易でない。非特許文献4では先端が鋭いMoにダイヤモンドがコーティングされており、形状としては問題ないが、多結晶であるために個体差や電気特性のばらつきが問題である。特許文献1で提案されている構造も面電子源であるために収束ビームを得るのは困難である。また、装置への実装も容易でない。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電子線及び電子ビーム機器や真空管、特に、電子顕微鏡や電子ビーム露光機に使用される、ダイヤモンドを用いた高輝度でエネルギー幅が狭い電子放射陰極及び電子放射源、及びこれらを用いた電子顕微鏡、電子ビーム露光機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、以下の構成を採用する。
(1)本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極が先鋭部と加熱部とを有し、一ヶ所の電子放射部を有する先鋭部を持つ柱状であり、ダイヤモンドからなる半導体が存在し、前記半導体はp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成され、前記金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とする。
このダイヤモンド電子放射陰極においては、ほとんど異種材料を含まないので、熱膨張係数の差による加熱冷却時の陰極破損がない。なお、ここで言うほとんどとは、ダイヤモンド電子放射陰極の陰極形状がダイヤモンド以外の材料に依存していない場合を指す。すなわち、非特許文献4に記載されているダイヤモンドが先端の鋭いMoにコーティングされた形状のように、加熱部を除く陰極形状がダイヤモンド以外の材料に主として依存している場合は含まない。また、少なくとも一部が単結晶ダイヤモンドで構成されているため、多結晶では困難な、ダイヤモンドを陰極材料とするために必要なp型不純物のドーピング濃度の制御が、ダイヤモンドの気相成長において可能である。また加熱により放出電流の安定化に必要な先鋭部表面に付着した水分等の除去が、加熱部を介して容易に行うことができる。また一箇所の電子放射部を有する先鋭部を持つ柱状であるので、高輝度な電子放射陰極が作製可能である。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部がp型半導体であることを特徴とする。p型半導体ダイヤモンドは、その表面の電子親和力が小さく、また伝導帯が電子にとって低エネルギー側に曲がっている。そのために、p型半導体ダイヤモンド表面の伝導帯に電子が効率的に注入できれば、高密度に電子放出させることが可能である。本発明では、金属層を電子放射部近傍にまで形成することによって、電子放射部表面のp型半導体ダイヤモンドの伝導帯に電子注入を容易にすることができる。近傍まで金属層を形成することによって、注入された電子が再結合するまえに、電子放射部に到達し、放出される。
また本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極の表面は金属層が形成され、かかる金属層は電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下である。p型半導体には伝導帯に電子がないが、電子放射部近傍にまで金属層を形成することで電子放射部により多くの電子が輸送できるようになり、供給された電子が再結合する前に電子放出部に到達し、放出させることができるので高効率な電子放出が実現する。さらに加熱のための電源電圧を小さくすることができ、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装に適している。なお金属層の端部までの距離としては、100μm以下がより好ましい。電子放射陰極の金属被覆による電子放射部への電子輸送効率の改善効果がより一層顕著に現れる。
さらに本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極は、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給できるので、WフィラメントやLaB6、あるいはZrO/Wなどの従来の電子源との互換性があることから、すでに普及している電子顕微鏡や電子線露光機といった電子線機器への搭載が容易である。
(2)本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極が先鋭部と加熱部とを有し、一ヶ所の電子放射部を有する先鋭部を持つ柱状であり、ダイヤモンドからなる半導体が存在し、前記半導体がn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成され、前記金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とする。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部が抵抗率が低いn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体である。電子放射部がn型半導体で構成されている場合、一対の電流導入端子から供給された電子が、メジャーキャリアが電子であるダイヤモンド半導体のみで輸送されて電子放射部から真空中に放出される。電流導入端子から電子放射部までの電子輸送を効率よく行い、伝導帯にキャリアとして電子が存在するので導入した電子を前記電子放射部から高電流密度での電子放射が可能である。
また、本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極の表面は金属層が形成され、かかる金属層は電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下である。n型ダイヤモンド半導体は、伝導帯に電子が存在するものの金属層に比べると抵抗が比較的大きく、一対の電流導入端子から電子放射部までの間の抵抗値が高くなるために大電流放出を妨げる要因となる。本発明においては、電子放射部近傍まで金属層を形成することで、一対の電流導入端子から電子放射部までの間の抵抗値を低くすることができ、結果的に大電流放出を可能とする。さらに加熱のための電源電圧を小さくすることができ、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装に適している。なお、金属層の端部までの距離としては100μm以下がより好ましい。電子放射陰極の金属被覆による電子放射部への電子輸送効率の改善効果がよりいっそう顕著に現れる。
(3)本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極が先鋭部と加熱部とを有し、一ヶ所の電子放射部を有する先鋭部を持つ柱状であり、ダイヤモンドからなる半導体が存在し、前記半導体は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成され、前記金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができる。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部が真性半導体である。電子放射部が真性半導体である場合、その表面の伝導帯は電子にとってエネルギー的に平坦なものになっていて、かつ負の電子親和力をとる。さらに伝導帯の電子にとって、再結合の相手となる正孔濃度が小さいので、再結合確率も非常に小さくなる。よって、電子放射部表面付近の伝導帯に電子が注入されさえすれば、非常に効率よく電子を放出することが可能である。本発明では、金属層を電子放射部近傍にまで形成することによって、電子放射部表面の真性半導体ダイヤモンドの伝導帯に電子注入を容易にすることができる。
また、真性半導体は高抵抗であるため、一対の電流導入端子から電子放射部までの抵抗値が非常に高くなり、大電流放出の妨げとなる。一対の電流導入端子から、電子放射部までの抵抗値を、表面に形成した金属層によって下げることができる。さらに、加熱のための電源電圧を小さくすることができる。
(4)本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極は、前記ダイヤモンドからなる半導体が、二種類以上の電気的性質が異なる半導体で構成され、該半導体を構成する一種類がp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、もう一種類が300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記真性半導体が存在することを特徴とする。
電気的性質が異なるとは、ダイヤモンド中の不純物種や不純物濃度が異なる結果、半導体伝導型や抵抗率、実効的な仕事関数や電子親和力などが異なることである。これらを上手く組み合わせることによって、高効率な電子放射陰極を実現することができる。ダイヤモンド半導体としては、p型不純物のアクセプタ順位が比較的浅く低抵抗が得られやすく、電子親和力が小さい、あるいは、負が得られやすいことから、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体が適している。抵抗率が低い半導体を使用することによって、電子放射陰極全体の抵抗率が低くなるため、比較的低効率が高い電子放射陰極と同じ温度にしようとする場合、通電加熱電流を大きくすることができるため、電子放射部に到達する電子が増加する場合、電子放出効率が上がるために好ましい。
電気的性質が異なるとは、ダイヤモンド中の不純物種や不純物濃度が異なる結果、半導体伝導型や抵抗率、実効的な仕事関数や電子親和力が異なることである。これらを上手に組み合わせることによって、高効率な電子放射陰極を実現することができる。
本発明においては、p型半導体ダイヤモンドと真性半導体の組み合わせである。p型半導体ダイヤモンドはn型半導体ダイヤモンドに比べて抵抗値が小さく、大放出電流に有利である。電子放出部は真性半導体ダイヤモンドからなる。電子放出部が真性半導体である場合、その表面の伝導帯は電子にとってエネルギー的に平坦なものになっていて、かつ負の電子親和力をとる。さらに伝導帯の電子にとって、再結合の相手となる正孔濃度が小さいので、再結合確率も非常に小さくなる。よって、電子放射部表面付近の伝導帯に電子が注入されさえすれば、非常に効率よく電子を放出することが可能である。
本発明では、金属層を電子放射部近傍にまで形成することによって、電子放射部表面の真性半導体ダイヤモンドの伝導帯に電子注入を容易にすることができる。
また、真性半導体は高抵抗であるため、一対の電流導入端子から電子放射部までの抵抗値が非常に高くなり、大電流放出の妨げとなる。本発明では、p型半導体ダイヤモンドとの組み合わせであり、かつ表面に金属層が存在することから、一対の電流導入端子から、電子放射部までの抵抗値を下げることができる。さらに、加熱のための電源電圧を小さくすることができる。
(5)本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極は、前記ダイヤモンドからなる半導体が、二種類以上の電気的性質が異なる半導体で構成され、該半導体を構成する一種類がn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、もう一種類が300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記真性半導体が存在することを特徴とする。
電気的性質が異なるとは、ダイヤモンド中の不純物種や不純物濃度が異なる結果、半導体伝導型や抵抗率、実効的な仕事関数や電子親和力が異なることである。これらを上手に組み合わせることによって、高効率な電子放射陰極を実現することができる。
本発明においては、n型半導体ダイヤモンドと真性半導体の組み合わせである。n型半導体ダイヤモンドは、伝導帯にキャリアとして電子が存在するため、電子放出に有利である。電子放射部は真性半導体ダイヤモンドである。電子放出部が真性半導体である場合、その表面の伝導帯は電子にとってエネルギー的に平坦なものになっていて、かつ負の電子親和力をとる。さらに伝導帯の電子にとって、再結合の相手となる正孔濃度が小さいので、再結合確率も非常に小さくなる。よって、電子放射部表面付近の伝導帯に電子が注入されさえすれば、非常に効率よく電子を放出することが可能である。
本発明では、n型半導体ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子が、電子放射部の真性半導体の伝導帯に注入され、効率よく電子放出される。
また、真性半導体は高抵抗であるため、一対の電流導入端子から電子放射部までの抵抗値が非常に高くなり、大電流放出の妨げとなる。本発明では、n型半導体ダイヤモンドとの組み合わせであり、かつ表面に金属層が存在することから、一対の電流導入端子から、電子放射部までの抵抗値を下げることができる。さらに、加熱のための電源電圧を小さくすることができる。
(6)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部を含むダイヤモンド全体の短手方向の長さが、0.05mm以上2mm以下でアスペクト比が1以上の柱状であることが好適である。このような形状により、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装が容易となる。なお、ここで言う短手方向とは、ダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部と反対側の底部の差し渡し幅のことを指す。ダイヤモンド電子放射陰極が直方体である場合は、底部の差し渡し幅の短い辺を指す。また、アスペクト比とは、電子放射部先端から反対側底部までの長さを長手方向とした際における長手方向と短手方向との長さの比のことである。
(7)本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、先鋭部に形成された電子放射部を頂点とした少なくとも一面が(111)結晶面[(111)ジャスト面から±7°のオフ面を含む]で形成されていることが好適である。気相成長における安定成長面は(100)面か(111)面であるが、(111)面は気相成長においてn型不純物の取り込み効率が(100)面と比較して10倍以上高い。このことは、ダイヤモンドの(111)結晶面はn型不純物の高濃度ドーピングが可能であり、金属的な電気伝導が容易に得られ、高電流密度での電子放射が可能であることを意味する。従って、電子放射部が(111)結晶面を含む場合には高輝度な電子放射陰極を容易に得ることができる。
(8)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、前記電子放射部を構成するダイヤモンドの表面が、水素原子で終端されていることが好適である。ダイヤモンド表面のダングリングボンドが水素原子で終端することによって、電子親和力がより小さくなる。あるいは、実効的な仕事関数が小さくなる。このために、高効率な電子放出が実現する。電子放出部のダイヤモンド表面のダングリングボンドの50%以上が水素原子で終端されていれば効果はより一層効果的である。
(9)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極のn型半導体を含む部分は、300K(室温)において抵抗率が300Ωcm以下であることが好適である。この場合、n型不純物を含む部分に電子が効率よく供給される結果、高密度電子放射が可能であり、高輝度電子放射陰極が得られる。なお、ここでいう室温抵抗率とは、電子放射部近傍の低効率を指す。
10)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部は、突起構造であって、突起の先端径が5μm以下でアスペクト比が2以上であることが好適である。電子放射陰極としてのダイヤモンド単結晶全体のうちの電子放射部のみがこのような先鋭形状を持つことによって、電子顕微鏡や電子ビーム露光機などへの実装が容易で且つ、高輝度なダイヤモンド熱電界電子放射陰極やダイヤモンド電界電子放射陰極が実現できる。
11)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の電子放射時の温度は、400K以上1200K以下が好適である。さらに好ましくは、400K以上900K以下が好ましい。前記温度範囲で使用すれば、電子放出電流、寿命ともに従来の電子源を上回ることができる。
12)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、エネルギー幅が0.6eV以下の電子線を放出することを特徴としても良い。ダイヤモンド電子放射陰極として良質な電子ビームが提供可能となる。
13)本発明におけるダイヤモンド電子放射源を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明における前述のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上3kΩ以下であることが好適である。この場合、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系に特別な工夫なく本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を取り付けることが可能となる。
14)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明における前述のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上700Ω以下であることが好適である。この場合、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系に特別な工夫なく本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を取付けることが可能な上に、金属層がないダイヤモンド電子放射陰極と比べて高輝度な電子放射源となる。
15)本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極を把持し前記絶縁性セラミックに固定すると共にダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の支柱兼端子からなる構造体であって、前記支柱兼端子が前記ダイヤモンド電子放射陰極と直接接触していることを特徴とする。
このダイヤモンド電子放射源においては、新規陰極材料であるダイヤモンド電子放射陰極を従来陰極材料であるWフィラメントやLaB、あるいは先鋭化W、ZrO/Wが使用されている電子ビーム機器に極めて容易に取替えが可能である上に、支柱兼端子がダイヤモンド電子放射陰極を直接把持している構造のために、作製時の光軸合わせが容易な上に、使用時の位置ズレや脱落の可能性が著しく低い。
16)本発明によるダイヤモンド電子放射源においては、一対の端子、あるいは支柱兼端子に使用される金属の融点が1700K以下であることを特徴としても良い。ダイヤモンドはWフィラメントやLaB、ZrO/W等よりも低温で電子放出が可能なため、融点が低い金属が使用可能であり、低コストな金属材料を使用して電子放射源を構成することができる。
17)本発明の電子顕微鏡は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする。本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源は、高電流密度、高輝度、低エネルギー幅の電子ビームが得られるため、従来陰極材料が使用されている電子顕微鏡と比較して高倍率観察が可能である。
18)本発明の電子ビーム露光機は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする。本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源は、高電流密度、高輝度、低エネルギー幅の電子ビームが得られるため、従来陰極材料が使用されている電子ビーム露光機と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。
本発明によれば、真空管や、電子ビーム分析装置、加速器、殺菌用電子線照射装置、X線発生装置、樹脂用照射装置、電子ビーム加熱装置など、電子線を使う全ての機器に使用可能な高効率電子放射陰極及び電子放射源が実現される。特に電子顕微鏡や電子ビーム露光機に使用される、ダイヤモンドを用いた高輝度でエネルギー幅が狭い電子放射陰極及び電子放射源が実現される。また、これらを用いて高倍率観察が可能な電子顕微鏡や、微細パターンを高スループットで描画可能な電子ビーム露光機が実現される。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源及び電子顕微鏡、電子ビーム露光機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極の一実施形態を示す斜視図である。かかるダイヤモンド電子放射陰極10は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられる。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。
図1に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極10は、一ヶ所の電子放射部4を有する先鋭部を持つ柱状に構成されている。このダイヤモンド電子放射陰極10の表面には金属層6が形成され、金属層6には加熱部5が存在している。
図2は、図1におけるダイヤモンド電子放射陰極10を示す3面図である。図2(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図2の平面図に示すダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射部4と加熱部5とを有する。ダイヤモンド電子放射陰極10は、表面外周全体を金属層6によって被覆されている。
図2(c)に示すように、前記電子放射部4の先端から金属層6の端部までの最も近傍における距離(l)は500μm以下であり、図示しない一対の電流導入端子で前記加熱部5に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を前記電子放射部4から放出することができることを特徴とする。
図3は、図2におけるIII−III矢視断面図である。図3に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射部4と加熱部5とを有する。ダイヤモンド電子放射陰極10は、ダイヤモンド半導体3の表面全体を金属層6によって被覆することによって構成されている。ダイヤモンド半導体3としては、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンドで構成されている。電子放射部4はp型半導体ダイヤモンド3で構成されている。
図4は、図2におけるIII−III矢視断面図であるが、図3に示すダイヤモンド電子放射陰極10とは別のダイヤモンド電子放射陰極である。これは二種類以上の電気的性質が異なるダイヤモンド半導体で構成されている点に特徴を有する。図4に示すように、このダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射部4と加熱部5とを有する。ダイヤモンド電子放射陰極10は、ダイヤモンド半導体の表面外周全体を金属層6によって被覆されることによって構成されている。ダイヤモンド半導体13は、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンドであり、もう一種類の半導体16は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体である。前記電子放射部4には前記真性半導体16が存在している。
図3に基づいてダイヤモンド電子放射陰極の他の一実施形態を説明する。かかるダイヤモンド電子放射陰極10は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられている。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。ダイヤモンド電子放射陰極10は、n型半導体ダイヤモンドで構成されている。
図4は、更に他のダイヤモンド電子放射陰極10である。これは二種類以上の電気的性質が異なるダイヤモンド半導体で構成されている点に特徴を有する。図4に示すように、このダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射部4と加熱部5とを有する。ダイヤモンド電子放射陰極10は、ダイヤモンド半導体の表面外周全体を金属層6によって被覆されることによって構成されている。ダイヤモンド半導体13は、n型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体ダイヤモンドであり、もう一種類の半導体16は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体である。前記電子放射部4には前記真性半導体16が存在している。
図3に基づいてダイヤモンド電子放射陰極の更に他の一実施形態を説明する。かかるダイヤモンド電子放射陰極10は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられている。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。ダイヤモンド電子放射陰極10は、真性半導体ダイヤモンドで構成されている。
図3に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極10は、一ヶ所の電子放射部4と加熱部5とを有する。ダイヤモンド電子放射陰極10は、ダイヤモンド半導体3の表面外周全体を金属層6によって被覆することによって構成されている。ダイヤモンド半導体3は、300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体で構成されている。電子放射部4は前記真性半導体3で構成されている。
図5は、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極の更に他の一実施形態を示す斜視図である。かかるダイヤモンド電子放射陰極30は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられる。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。
図5に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極30は、一ヶ所の電子放射部34を有する先鋭部を持つ柱状に構成されている。このダイヤモンド電子放射陰極30の表面には金属層36が形成されている。
図6は、図5におけるダイヤモンド電子放射陰極30を示す3面図である。図6(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図6の平面図に示すダイヤモンド電子放射陰極30は、電子放射部34が形成されている。ダイヤモンド電子放射陰極30は、表面外周全体を金属層36によって被覆されている。
図6(c)に示すように、前記電子放射部34の先端から金属層36の端部までの最も近傍における距離(l)は500μm以下であり、図示しない一対の電流導入端子で電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を前記電子放射部34から放出することができることを特徴とする。
図7は、図6におけるVII−VII矢視断面図である。図7に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極30には電子放射部34が形成されている。ダイヤモンド電子放射陰極30は、ダイヤモンド半導体33の表面の一部を金属層36によって被覆することによって構成されている。ダイヤモンド半導体33としては、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンドで構成されている。もう一種類の半導体3は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体である。電子放射部34は真性半
導体ダイヤモンド3で構成されている。
更に他のダイヤモンド電子放射陰極30を図7に基づいて説明する。図7に示すように、ダイヤモンド電子放射陰極30には電子放射部34が形成されている。ダイヤモンド電子放射陰極30は、ダイヤモンド半導体33の表面の一部を金属層36によって被覆することによって構成されている。ダイヤモンド半導体33としては、n型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体ダイヤモンドで構成されている。もう一種類の半導体3は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体である。電子放
射部34は真性半導体ダイヤモンドで構成されている。
図1〜図7を参照して説明してきたが、電子放射部の形状は、図1〜図7に示したような四角錐に限らず、例えば円錐や三角錐であっても良い。

図8に、本発明におけるダイヤモンド電子放射源の断面図を示す。ダイヤモンド電子放射源は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極40と、絶縁性セラミック41と、ダイヤモンド電子放射陰極40に電流を供給するための一対の支柱兼端子(電流導入端子)42,42からなる構造体であって、支柱兼端子42,42が前記ダイヤモンド電子放射陰極40と直接接触している。端子間の抵抗値が、10Ω以上3kΩ以下の場合、従来の陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系であってもダイヤモンド電子放射源の性能を十分に発揮することができる。
支柱兼端子の材質はMo、Nb、W、Taやこれらを含む合金等の高融点金属が好適に使用可能である。あるいは、支柱兼端子に使用される金属は、融点が1700K以下であっても好適に使用可能である。ダイヤモンドはWフィラメントやLaB、ZrO/W等よりも低温で電子放出が可能なため、融点が低い金属が使用可能であり、この場合、低コストな金属材料を使用して電子放射源を低コストで構成することができる。ダイヤモンド電子放射陰極は電子放射時に高温であっても、例えばLaB等の六ホウ化物のように支柱兼端子とは反応しないため、直接接触による把持が可能である。ダイヤモンド電子放射源を上記構造体とすることによって、従来陰極材料であるWフィラメントやLaB、あるいは先鋭化W、ZrO/W が使用されている電子ビーム機器に極めて容易に取替えが可能である上に、支柱兼端子がダイヤモンド電子放射陰極を直接把持している構造のために、作製時の光軸合わせが容易な上に、使用時の位置ズレや脱落の可能性が著しく低い。また、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器にダイヤモンド電子放射陰極を取り付けるには、室温での端子間の抵抗が3kΩ以下であることが望ましい。この抵抗値以上では電子ビーム機器の電源で十分な電子放射特性が得られない可能性が高い。
本発明における電子顕微鏡は、本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されており、従来陰極材料が使用されている電子顕微鏡と比較して高倍率観察が可能である。本発明のダイヤモンド電子放射陰極を熱電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、LaBを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。また、熱電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、ZrO/Wを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。あるいは、電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、先鋭化Wを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。
本発明における電子ビーム露光機は、本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されており、従来陰極材料が使用されている電子ビーム露光機と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。本発明のダイヤモンド電子放射陰極を熱電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子ビーム露光機に搭載して使用した場合、LaBを使用した場合と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。また、熱電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子ビーム露光機に搭載して使用した場合、ZrO/Wを使用した場合と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。
[熱電子放出特性評価用試料の作製]
試料I
細長い直方体の高温高圧合成単結晶ダイヤモンド(p型半導体ダイヤモンド)を用意した。ホウ素が5×1019個/cm3含まれていた。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は10μmであった。サイズは0.5×0.5×2.5mmで、アスペクト比は5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面で、最大約3.4度の方位ずれがあった。水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図2に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図2におけるlは400μmであった。
試料II
細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(n型半導体ダイヤモンド)を用意した。リンが5×1019個/cm3含まれていた。抵抗率を300Kにおいて評価したところ、240Ωcmであった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約5μmであった。サイズは0.4×0.4×2.6mmで、アスペクト比は6.5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面であり、最大約2.8度の方位ずれであった。水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図2に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図2におけるlは400μmであった。
試料III
細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(真性半導体ダイヤモンド)を用意した。CVDによる成長時に、CVD装置内に供給するガスには水素、メタンのほかには意図的にドーパントとなる物質は導入しなかった。また、使用した装置は過去にもドーパントとなる物質を導入したことのない装置であった。300Kにおけるキャリア濃度が約8×108個/cm3程度であった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約5μmであった。サイズは0.6×0.6×2.4mmで、アスペクト比は4であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面であり、最大約4.7度の方位ずれであった。水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図2に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図2におけるlは400μmであった。
試料IV
細長い直方体の高温高圧合成単結晶ダイヤモンド(p型半導体ダイヤモンド)を用意した。ホウ素が5×1019個/cm3含まれていた。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は3μmであった。サイズは0.5×0.5×2.5mmで、アスペクト比は5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面で、最大約3.4度の方位ずれがあった。次に、CVD法により真性半導体層を約5μmの厚さで形成した(図4)。このとき、試料IIIの真性半導体ダイヤモンドを成長させるときに使用したCVD装置で、同一の成長条件で実施した。すなわち、CVDによる成長時に、CVD装置内に供給するガスには水素、メタンのほかには意図的にドーパントとなる物質は導入しなかった。また、使用した装置は過去にもドーパントとなる物質を導入したことのない装置であった。
水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図6に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図6におけるlは400μmであった。
試料V
細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(n型半導体ダイヤモンド)を用意した。リンが5×1019個/cm3含まれていた。抵抗率を300Kにおいて評価したところ、240Ωcmであった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約5μmであった。サイズは0.4×0.4×2.6mmで、アスペクト比は6.5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面で、最大約2.9度の方位ずれがあった。次に、CVD法により真性半導体層を約5μmの厚さで形成した(図4)。このとき、試料IIIの真性半導体ダイヤモンドを成長させるときに使用したCVD装置で、同一の成長条件で実施した。すなわち、CVDによる成長時に、CVD装置内に供給するガスには水素、メタンのほかには意図的にドーパントとなる物質は導入しなかった。また、使用した装置は過去にもドーパントとなる物質を導入したことのない装置であった。
水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図6に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図6におけるlは400μmであった。
試料i
細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(n型半導体ダイヤモンド)を用意した。リンが5×1019個/cm3含まれていた。抵抗率を300Kにおいて評価したところ、240Ωcmであった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約5μmであった。サイズは0.4×0.4×2.6mmで、アスペクト比は6.5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面であり、最大約2.8度の方位ずれであった。水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図2に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図2におけるlは900μmであった。
試料ii
細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(n型半導体ダイヤモンド)を用意した。リンが5×1019個/cm3含まれていた。抵抗率を300Kにおいて評価したところ、240Ωcmであった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約50μmであった。サイズは0.4×0.4×2.6mmで、アスペクト比は6.5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面であったが、最大約10.5度の方位ずれであった。
[熱電子放出特性の評価]
上記試料I,II,III,IV,V,i,ii,を用いて、熱電子放出特性の評価を行った。比較のために、LaB6からなるチップも評価を行った。
電子顕微鏡は、電子銃室に試料温度が測定できるような測定窓を設け、またエミッション電流、輝度、エネルギー幅が測定できるように測定系を構成した。図8に示す構造体のように、加熱部に電流を導入するためのMo製の一対の支柱兼端子42で把持するようにして端子間抵抗を測定した。その後、電子顕微鏡に取り付けて電子放出特性を評価した。測定系の真空度は1×10-8Torr,加速電圧は15kVとした。比較のために、LaB6からなるチップも評価を行った。それぞれの試料の評価結果を表1に示す。
Figure 0004868295
試料I〜Vにおいては、いずれも電子放出特性がLaB6よりも優れていた。試料iでは、金属被覆層と電子放射部との距離が900μmと長いために、電流導入のための端子から電子放射部までの、電子輸送効率が低い。そのため、電子放出特性はI〜Vに比較すると低かった。試料iiでは、さらに電子放射部の水素終端も存在しないために、さらに電子放出特性が低くなった。
試料I〜Vと同様のダイヤモンド電子放射陰極を作製し、支柱兼端子42の材質を融点が1700Kよりも低いSUS304に変更して同様の評価を行ったが、Moを使用した場合と同様の結果が得られた。また、試料I〜Vのダイヤモンド電子放射陰極を搭載しているときに電子顕微鏡で微細構造を持つサンプルを観察したところ、LaB6と比較して高倍率での観察が可能であった。さらに、試料I〜Vと同様のダイヤモンド電子放射陰極を電子ビーム露光装置に搭載したところ、LaB6と比較して微細なパターンを高いスループット描画することができた。
[熱電界放出特性の評価用試料の作製]
試料A〜E
試料A〜Eは、試料I〜Vと同様の作製方法で作製した。ただし、研磨をより精度よく、注意深く行い、先端半径を全て2μmとした。
試料B’
試料Bと同様に、細長い直方体のCVD単結晶ダイヤモンド(n型半導体ダイヤモンド)を用意した。リンが5×1019個/cm3含まれていた。抵抗率を300Kにおいて評価したところ、240Ωcmであった。研磨により先端を先鋭化し、その曲率半径は約5μmであった。サイズは0.4×0.4×2.6mmで、アスペクト比は6.5であった。
研磨により形成された電子放射部の面方位はおおよそ(111)面であり、最大約2.1度の方位ずれであった。電子放射部をさらにFIB加工して、先端径1μm、高さ3μm、アスペクト比3の図9に示すような電子放射部としての突起構造を形成した。
水素プラズマにより電子放射部を中心に水素処理し、表面を水素終端化した。水素プラズマは、典型的には800〜900℃、約80〜150Torrの間で、約1〜3時間処理した。この後、図9に示すような範囲に金属モリブデンを形成した。図9におけるlは400μmであった。
試料a,b
試料a,bはそれぞれ試料i, iiと同様の作製方法で作製した。ただし、試料aについては研磨をより精度よく、注意深く行い、先端半径を2μmとした。
[熱電界放出特性の評価]
試料A〜E,B’,a,bを図8に示す構造体のように、加熱部に電流を導入するためのMo製の一対の支柱兼端子42で把持するようにして端子間抵抗を測定した。その後、電子顕微鏡に取り付けて電子放出特性を評価した。測定系の真空度は1×10-9Torr,加速電圧は15kVとした。比較のために、ZrO/Wも評価を行った。それぞれの試料の評価結果を表2に示す。
Figure 0004868295
試料A〜Eにおいては、いずれも電子放出特性がZrO/Wよりも優れていた。試料a
では、金属被覆層と電子放射部との距離が900μmと長いために、電流導入のための端子
から電子放射部までの、電子輸送効率が低い。そのため、電子放出特性はA〜Eに比較すると低かった。試料bでは、さらに電子放射部の水素終端も存在せず、先端径も大きいために、さらに電子放出特性が低くなった。試料B’では、先端径が小さく突起構造のために電界集中が促進され、電子放出部に印加される電界が大きくなり、電子放出特性の向上が見られた。
試料A〜E、B’と同様のダイヤモンド電子放射陰極を作製し、支柱兼端子42の材質を融点が1700Kよりも低いSUS304に変更して同様の評価を行ったが、Moを使用した場合と同様の結果が得られた。また、試料A〜E,B’のダイヤモンド電子放射陰極を搭載しているときに電子顕微鏡で微細構造を持つサンプルを観察したところ、ZrO/Wと比較して
高倍率での観察が可能であった。さらに、試料A〜Eと同様のダイヤモンド電子放射陰極を電子ビーム露光装置に搭載したところ、ZrO/Wと比較して微細なパターンを高いスルー
プット描画することができた。

本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の一実施形態を示す斜視図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の一実施形態を示す3面図である。 図2におけるIII−III矢視断面図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の他の実施形態を示す図2におけるIII−III矢視断面図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の他の一実施形態を示す斜視図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の一実施形態を示す3面図である。 図6におけるVII−VII矢視断面図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射源の一例を示す図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極のさらに他の一実施形態を示す斜視図である。
符号の説明
10,30,40 ダイヤモンド電子放射陰極
4,34 電子放射部
6,36 金属層
5 加熱部
3,13,33 ダイヤモンド半導体
16 真性半導体
41 絶縁性セラミック
42 支柱兼端子

Claims (18)

  1. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部からなる柱状であり、前記先鋭部には一ヶ所の電子放射部が設けられており、前記電子放射部及び前記加熱部はダイヤモンド半導体からなり、前記ダイヤモンド半導体はp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成されており、当該金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  2. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部からなる柱状であり、前記先鋭部には一ヶ所の電子放射部が設けられており、前記電子放射部及び前記加熱部はダイヤモンド半導体からなり、前記ダイヤモンド半導体はn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成されており、当該金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  3. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部からなる柱状であり、前記先鋭部には一ヶ所の電子放射部が設けられており、前記電子放射部及び前記加熱部はダイヤモンド半導体からなり、前記ダイヤモンド半導体は300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成されており、当該金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  4. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部からなる柱状であり、前記先鋭部には一ヶ所の電子放射部が設けられており、前記電子放射部及び前記加熱部は二種以上の電気的性質が異なるダイヤモンド半導体からなり、該ダイヤモンド半導体を構成する一種類がp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、もう一種類が300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記真性半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成されており、当該金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  5. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部からなる柱状であり、前記先鋭部には一ヶ所の電子放射部が設けられており、前記電子放射部及び前記加熱部は二種以上の電気的性質が異なるダイヤモンド半導体からなり、該ダイヤモンド半導体を構成する一種類がn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、もう一種類が300Kにおけるキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体であり、前記電子放射部には前記真性半導体が存在し、当該電子放射陰極の表面には金属層が形成されており、当該金属層は前記加熱部の少なくとも一部に存在し、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であり、一対の電流導入端子で前記加熱部に電流を供給して加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することができることを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  6. 前記ダイヤモンド電子放射陰極の短手方向長さが0.05mm以上2mm以下であり、アスペクト比が1以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  7. 前記先鋭部における電子放射部を頂点とした面の少なくとも一面が(111)結晶面[(111)ジャスト面から±7°以内のオフ面を含む]で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  8. 前記電子放射部を構成する半導体の表面が、水素原子で終端されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  9. 前記n型半導体の300Kにおける抵抗率が、300Ωcm以下であることを特徴とする請求項2、5、6、7、8のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  10. 前記電子放射部が突起構造であって、突起の先端径が5μm以下でアスペクト比が2以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  11. 前記電子放射部から電子を放出する際の温度が、400K以上1200K以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  12. 前記電子放射部よりエネルギー幅が0.6eV以下の電子線を放射することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  13. 少なくとも請求項1〜12のいずれか一項に記載されたダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、前記ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上3kΩ以下であることを特徴とするダイヤモンド電子放射源。
  14. 前記端子間の抵抗値が、10Ω以上700Ω以下であることを特徴とする請求項13に記載のダイヤモンド電子放射源。
  15. 少なくとも請求項1〜12のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、前記ダイヤモンド電子放射陰極を把持し、前記絶縁性セラミックに固定するとともに前記ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の支柱兼端子からなる構造体であって、前記支柱兼端子が前記ダイヤモンド電子放射陰極と直接接触していることを特徴とするダイヤモンド電子放射源。
  16. 前記一対の端子又は前記一対の支柱兼端子は、融点が1700K以下であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射源。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極あるいはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする電子顕微鏡。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極あるいはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする電子ビーム露光機。
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