JP4868294B2 - ダイヤモンド電子放射陰極、電子放射源、電子顕微鏡及び電子ビーム露光機 - Google Patents

ダイヤモンド電子放射陰極、電子放射源、電子顕微鏡及び電子ビーム露光機 Download PDF

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Description

本発明は、電子顕微鏡、電子ビーム露光機などの電子線及び電子ビーム機器、進行波管、マイクロ波管など真空管に用いられるダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源及びこれらを用いた電子機器に関する。
電子はマイナスの電荷を持ち、質量が極めて小さいため、電子を一方向に揃えて走らせた電子ビームは以下のような特徴を有している。(1)電界や磁界で方向や収束度を制御できる。(2)電界による加減速で広範囲なエネルギーが得られる。(3)波長が短いため、細く絞り込むことができる。このような特徴を活かした電子顕微鏡や、電子ビーム露光機が広く普及している。これらの陰極材料として、例えば、熱電子放射源としては安価なWフィラメントや、輝度の高い電子ビームが得られるLaB6等の六ホウ化物がある。また、さらに高輝度でエネルギー幅の狭い陰極として、量子効果によるトンネル現象を利用した先鋭化Wや、電界によるショットキー効果を利用したZrO/W が用いられている。
しかしながら、Wフィラメントは安価である反面、寿命が100時間程度と極端に短いために、フィラメントが切れた場合、真空槽を大気開放したり、電子ビームの光軸を調整したりする等の交換作業を頻繁に行わねばならないといった問題がある。LaB6はWフィラメントと比較して寿命が1000 時間程度と長いが、比較的高輝度ビームが得られる装置で使用されているために、交換作業は装置メーカーが行う場合が多く、コストがかかるといった問題がある。より高輝度が得られる先鋭化Wや、寿命が1年程度と比較的長いZrO/Wについても交換コストが高く問題がある。
電子顕微鏡においてはより小さいものを高精度に観察したいという要求があることや、電子ビーム露光機においては65nmノード以細の開発が進んできていることから、さらに高輝度でエネルギー幅が狭い陰極が求められている。
このような期待に答える材料の一つとして、ダイヤモンドがある。ダイヤモンドには非特許文献1あるいは非特許文献2にあるように電子親和力が負(NEA)の状態、あるいは仕事関数が小さい金属と比較しても小さな正(PEA)の状態が存在する。この非常に稀な物性を活かせば、WフィラメントやLaB6、あるいはZrO/W のように1000℃を超える高熱の必要なしに高電流密度電子放射が可能であり、エネルギー幅が狭く抑えられる。そして、駆動温度が低いために長寿命が期待できる。また、非特許文献3のような先端径10nmが得られる微細加工技術があるので高輝度化についても問題ない。また、ダイヤモンドについては、上記電子親和力を有することが判明して以来、非特許文献4や特許文献1のような電子源がこれまでに提案されてきた。
F.J.Himpsel et al., Phys. Rev.B., Vol.20,Number 2(1979) 624- J.Ristein et al., New Diamond and Frontier Carbon Technology, Vol.10,No.6,(2000) 363- Y.Nishibayashi et al., SEI Technical Review, 57, ( 2004) 31- W. B. Choi et al., J. Vac. Sci. Technol. B 14, (1996 )2051 - 特開平4−67527号公報
しかしながら、上記のダイヤモンドを用いた電子源を広く普及している電子顕微鏡や電子ビーム露光機で使用する場合、それぞれに問題がある。すなわち、非特許文献3に記載されたような電子放出点が複数並べられた構造では面電子源となるために、収束させて微細ビームとするのは困難である。また装置への実装も容易でない。非特許文献4では先端が鋭いMoにダイヤモンドがコーティングされており、形状としては問題ないが、多結晶であるために個体差や電気特性のばらつきが問題である。特許文献1で提案されている構造も面電子源であるために収束ビームを得るのは困難である。また、装置への実装も容易でない。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電子線及び電子ビーム機器や真空管、特に、電子顕微鏡や電子ビーム露光機に使用される、ダイヤモンドを用いた高輝度でエネルギー幅が狭い電子放射陰極及び電子放射源、及びこれらを用いた電子顕微鏡、電子ビーム露光機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、以下の構成を採用する。
本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部とからなる柱状であり、前記先鋭部には一ヵ所の電子放射部が設けられており、少なくとも二種類以上の電気的性質が異なる半導体によって構成され、該半導体を構成する一種類がn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、もう一種類がp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、該n型半導体と該p型半導体とが接合しており、一対の電流導入端子で前記加熱部を前記接合の面と平行に通電して直接加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することを特徴とする。
ここで一対の電流導入端子で前記加熱部を前記接合の面と平行に通電して直接加熱するとは、バイアスを印加せず同電位で加熱することを意味する。
このダイヤモンド電子放射陰極においては、ほとんど異種材料を含まないので、熱膨張係数の差による加熱冷却時の陰極破損がない。なお、ここで言うほとんどとは、ダイヤモンド電子放射陰極の陰極形状がダイヤモンド以外の材料に依存していない場合を指す。すなわち、非特許文献4に記載されているダイヤモンドが先端の鋭いMoにコーティングされた形状のように、陰極形状がダイヤモンド以外の材料に主として依存している場合は含まない。また、少なくとも一部が単結晶ダイヤモンドで構成されているため、多結晶では困難な、ダイヤモンドを陰極材料とするために必要なn型不純物のドーピング濃度の制御が、ダイヤモンドの気相成長において可能である。また加熱により放出電流の安定化に必要な先鋭部表面に付着した水分等の除去が、加熱部を介して容易に行うことができる。また一箇所の電子放射部を有する先鋭部を持つ柱状であるので、高輝度な電子放射陰極が作製可能である。
そして、第1の半導体としてn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体、第2の半導体として本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極はp型不純物を2×1015cm-3
以上含むp型半導体を含む二種類以上の電気的性質が異なる半導体で構成する。電気的性質が異なるとは、ダイヤモンド中の不純物種や不純物濃度が異なる結果、半導体伝導型や抵抗率、実効的な仕事関数や電子親和力などが異なることである。これらを上手く組み合わせることによって、高効率な電子放射陰極を実現することができる。なお、ここで言う「実効的な仕事関数」とは、電子放出電流の温度依存性から求めた活性化エネルギーのことを指す。第1の半導体としては、電子放射部が第1の半導体で構成される場合、電流導入端子から電子放射部までの電子輸送を効率よく行うために、抵抗率が低いn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体を選択することが好ましい。このような値でn型不純物を含む場合は、ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子が真空中に放出されるために、実効的に仕事関数が小さく、高電流密度での電子放射が可能である。あるいは電子放射部が第2の半導体で構成される場合には、第1の半導体から第2の半導体に高効率で電子輸送を行うために、抵抗率が低いn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体を選択することが好ましい。また、第2の半導体としては、第1の半導体が効率良く加熱されるように抵抗率が低い半導体や、電子親和力が小さいあるいは負の半導体を選択することが好ましい。ダイヤモンドはp型不純物のアクセプタ準位が比較的浅く低抵抗が得られやすく、電子親和力が小さい、あるいは、負が得られやすいことから、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体が適している。抵抗率が低い半導体を使用することによって、電子放射陰極全体の抵抗率が低くなるため、比較的抵抗率が高い電子放射陰極と同じ温度にしようとする場合、通電加熱電流を大きくすることができるため、電子放射部に到達する電子が増加する場合、電子放出効率が上がるために好ましい。また、第1の半導体と第2の半導体は接合している。互いに接合していることによって、熱や電子のやり取りが効率良く行われる結果、前述の組み合わせによる効果をより一層引き出すことができる。
また、一対の電流導入端子で前記加熱部を前記接合の面とほとんど平行に通電して直接加熱して使用する。一対の電流導入端子で直接加熱して使用できるので、WフィラメントやLaB6、あるいはZrO/Wなどの従来の電子源との互換性があることから、すでに普及している電子顕微鏡や電子線露光機といった電子線機器への搭載が容易である。また、電子放射で必要な一対の電流導入端子を第1の半導体と第2の半導体の両方に接触させて、前記加熱部を前記接合の面とほとんど平行に通電するので、二種類の半導体間にはバイアス電圧がかからず同電位となる。同電位であるので、二種類の半導体間で一対の電流導入端子間の電界による電子と正孔の結合による電子の消滅はない。従って、電子放射部が第1の半導体で構成される場合には、高効率な電子放出が実現される。一方、加熱を目的とする部分が一対の電流導入端子で加熱されているので、拡散によって第1の半導体から第2の半導体に電子が移動している。そのため、電子放射部が第2の半導体で構成される場合には、先鋭な電子放射部近傍で拡散により第2の半導体に移動した電子がそのまま真空中に放出される。従って、高電流密度な電子放射が可能である。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部がn型半導体であることを特徴としてよい。電子放射部がn型半導体すなわち第1の半導体で構成されている場合、一対の電流導入端子から供給された電子が、メジャーキャリアが電子である第1の半導体のみで輸送されて電子放射部から真空中に放出される。この場合、第2の半導体は通電加熱のための抵抗体として利用して、熱により第1の半導体のドナーの活性化率を向上させて伝導帯の電子数を増やすことで高効率な電子放出が実現する。
あるいは、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部がp型半導体であることを特徴としてもよい。電子放射部がp型半導体すなわち第2の半導体で構成されている場合、一対の電流導入端子から供給された電子が、メジャーキャリアが電子である第1の半導体で電子放射部近傍まで輸送され、拡散によって第2の半導体に移動する。拡散は通電加熱による熱によって効率良く起こる。第2の半導体として電子親和力が小さいか負であるp型半導体を選択して、高効率な電子放出が実現する。この場合も、第2の半導体は通電加熱のための抵抗体として利用して、熱により第1の半導体のドナーの活性化率を向上させて伝導帯の電子数を増やす役割も担っている。
あるいは本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、第1の半導体であるn型半導体と第2の半導体であるp型半導体が、第3の半導体として1×109cm-3以下のキャリア濃度である真性半導体を介して接合しており、電流導入端子から導入した電子の一部を第3の半導体である真性半導体からなる電子放射部から放出することを特徴としてもよい。電子放射部として第2の半導体すなわちp型半導体を選択した場合と比較すると、拡散後に正孔と結合して消滅する電子の数がほとんどなくなるので、前述の組み合わせによる効果を最大限引き出すことができ、さらに高効率な電子放出が実現する。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、第2の半導体であるp型半導体は気相成長で合成した単結晶からなり、第1の半導体であるn型半導体及び第3の半導体である真性半導体は気相成長で合成した薄膜結晶からなることを特徴とする。単結晶として高温高圧成長したp型半導体ダイヤモンドを使用した場合と比べて、気相成長した結晶はp型不純物以外の不純物混入が比較的少なく高品質なため、電子がトラップされにくい。また、単結晶上に気相成長させる第1の半導体であるn型半導体及び第3の半導体である真性半導体の結晶性も向上するために、これらの中においても電子はトラップされにくい。従って、高効率な電子放出が実現する。
さらに、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、電子放射部を含むダイヤモンド全体の短手方向の長さが、0.05mm以上2mm以下でアスペクト比が1以上の柱状であることが好適である。このような形状により、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装が容易となる。なお、ここで言う短手方向とは、ダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部と反対側の底部の差し渡し幅のことを指す。ダイヤモンド電子放射陰極が直方体である場合は、底部の差し渡し幅の短い辺を指す。また、アスペクト比とは、電子放射部先端から反対側底部までの長さを長手方向とした際における長手方向と短手方向との長さの比のことである。
さらに、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極は、先鋭部に形成された電子放射部を頂点とした少なくとも一面が(111)結晶面[(111)ジャスト面から±7°のオフ面を含む]で形成されていることが好適である。気相成長における安定成長面は(100)面か(111)面であるが、(111)面は気相成長においてn型不純物の取り込み効率が(100)面と比較して10倍以上高い。このことは、ダイヤモンドの(111)結晶面はn型不純物の高濃度ドーピングが可能であり、金属的な電気伝導が容易に得られ、高電流密度での電子放射が可能であることを意味する。従って、電子放射部が(111)結晶面を含む場合には高輝度な電子放射陰極を容易に得ることができる。
さらに、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、前記電子放射部を構成するダイヤモンドの表面が、水素原子で終端されていることが好適である。ダイヤモンド表面のダングリングボンドが水素原子で終端することによって、電子親和力がより小さくなる。あるいは、実効的な仕事関数が小さくなる。このために、高効率な電子放出が実現する。電子放出部のダイヤモンド表面のダングリングボンドの50%以上が水素原子で終端されていれば効果が顕著に現れる。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極のn型不純物を含む部分は、300K(室温)において抵抗率が300Ωcm以下であることが好適である。この場合、n型不純物を含む部分に電子が効率よく供給される結果、高密度電子放射が可能であり、高輝度電子放射陰極が得られる。なお、ここでいう室温抵抗率とは、電子放射部近傍の抵抗率を指す。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部を有する先端部は、先端径もしくは先端曲率半径が30μm以下であることが好適である。電子放射部となる先端部分をこのような小さなサイズとすることにより、より高輝度な電子放射陰極とすることができる。
さらに、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部は、突起構造であって、突起の先端径が5μm以下でアスペクト比が2以上であることが好適である。電子放射陰極としてのダイヤモンド単結晶全体のうちの電子放射部のみがこのような先鋭形状を持つことによって、電子顕微鏡や電子ビーム露光機などへの実装が容易で且つ、高輝度なダイヤモンド熱電界電子放射陰極やダイヤモンド電界電子放射陰極が実現できる。
さらに、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極の電子放射時の温度は、400K以上1200K以下であることが好適である。前記温度範囲で使用すれば、電子放出電流、寿命ともに従来の電子源を上回ることができる。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、エネルギー幅が0.6eV以下の電子線を放出することを特徴としても良い。ダイヤモンド電子放射陰極として良質な電子ビームが提供可能となる。
本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極の加熱部は、金属層を持つことを特徴としても良い。金属層を持つことで電気抵抗が小さくなるため、加熱のための電源電圧を小さくすることができ、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装に適している。
前記金属層は、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であることを特徴としても良い。電子放射部への電子輸送を金属層で補助することによって、電子放射部により多くの電子が輸送できるようになる結果、高効率な電子放出が実現する。さらに好ましくは100μm以下が好ましい。電子放射陰極の金属被覆による電子放射部への電子輸送効率の改善効果がより一層顕著に現れる。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明における前述のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上3kΩ以下であることが好適である。この場合、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系に特別な工夫なく本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を取り付けることが可能となる。
あるいは、本発明における金属層又は金属被覆を有するダイヤモンド電子放射陰極を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明における前述のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上700Ω以下であることが好適である。この場合、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系に特別な工夫なく本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を取付けることが可能な上に、金属層がないダイヤモンド電子放射陰極と比べて高輝度な電子放射源となる。
そして、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を電子顕微鏡や電子ビーム露光機などに実装するための構造体であるダイヤモンド電子放射源は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、ダイヤモンド電子放射陰極を把持し前記絶縁性セラミックに固定すると共にダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の支柱兼端子からなる構造体であって、前記支柱兼端子が前記ダイヤモンド電子放射陰極と直接接触していることを特徴とする。
このダイヤモンド電子放射源においては、新規陰極材料であるダイヤモンド電子放射陰極を従来陰極材料であるWフィラメントやLaB、あるいは先鋭化W、ZrO/Wが使用されている電子ビーム機器に極めて容易に取替えが可能である上に、支柱兼端子がダイヤモンド電子放射陰極を直接把持している構造のために、作製時の光軸合わせが容易な上に、使用時の位置ズレや脱落の可能性が著しく低い。
さらに本発明によるダイヤモンド電子放射源においては、一対の端子、あるいは支柱兼端子に使用される金属の融点が1700K以下であることを特徴としても良い。ダイヤモンドはWフィラメントやLaB、ZrO/W等よりも低温で電子放出が可能なため、融点が低い金属が使用可能であり、低コストな金属材料を使用して電子放射源を構成することができる。
本発明の電子顕微鏡は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする。本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源は、高電流密度、高輝度、低エネルギー幅の電子ビームが得られるため、従来陰極材料が使用されている電子顕微鏡と比較して高倍率観察が可能である。
本発明の電子ビーム露光機は、本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする。本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源は、高電流密度、高輝度、低エネルギー幅の電子ビームが得られるため、従来陰極材料が使用されている電子ビーム露光機と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。
本発明によれば、真空管や、電子ビーム分析装置、加速器、殺菌用電子線照射装置、X線発生装置、樹脂用照射装置、電子ビーム加熱装置など、電子線を使う全ての機器に使用可能な高効率電子放射陰極及び電子放射源が実現される。特に電子顕微鏡や電子ビーム露光機に使用される、ダイヤモンドを用いた高輝度でエネルギー幅が狭い電子放射陰極及び電子放射源が実現される。また、これらを用いて高倍率観察が可能な電子顕微鏡や、微細パターンを高スループットで描画可能な電子ビーム露光機が実現される。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源及び電子顕微鏡、電子ビーム露光機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極の一実施形態を示す斜視図である。ダイヤモンド電子放射陰極10は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられる。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。ダイヤモンド電子放射陰極10は、二種類の半導体で構成されている。そのうち一種類は第1の半導体としてn型半導体ダイヤモンド11を、もう一種類は第2の半導体としてp型半導体ダイヤモンド12を用いる。n型半導体ダイヤモンド11の形成は電子放射特性に大きな影響を与えるダイヤモンドの電気伝導特性の個体差やばらつきを小さくするために、p型半導体ダイヤモンド12に単結晶ダイヤモンドを用いて、この上に気相合成法によるエピタキシャル成長で行うのが好ましい。こうすることで、ダイヤモンドを陰極材料とするために必要なn型不純物のドーピング濃度の制御が可能である。また、互いに接合する構造となるので、熱や電子のやり取りが効率良く行われ、効率の良い電子放出が実現する。不純物濃度を高精度で制御するために、マイクロ波によるプラズマCVD法で成長させることが好適である。n型半導体ダイヤモンド11には、n型不純物が2×1015cm-3以上含まれている。このため、ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子が放出されるので、実効的な仕事関数が小さく、高電流密度での電子放射が可能であり、高輝度な電子放射陰極となる。より高輝度な電子放射陰極とするためには、n型不純物が2×1019cm-3以上含まれていることが好適である。このように高濃度で不純物が含まれる場合、ダイヤモンド結晶中におけるドナー同士の距離が極端に近づき、n型半導体ダイヤモンド11では電気伝導機構が半導体伝導から金属伝導に遷移し始める。
この結果、室温抵抗は急激に低下し始めるため、電子放射の際のダイヤモンド電子放射陰極自体での降下電圧が低くなる。従って、より高電流密度の電子放射が可能になって、高輝度な電子放射陰極となる。このとき、n型不純物元素としては、例えばPまたはSなどが用いられる。気相成長に使用される原料ガスとしては、例えばH2、CH4が用いられ、ドーピングガスとしてPH3やH2Sが用いられる。合成条件としては、Pドーピングの場合には気相中のH原子とC原子の個数比C/H=0.005〜10%、P原子とC原子の個数比P/C=10-4〜100%、Sドーピングの場合にはC/H=0.005〜10%、S原子とC原子の個数比S/C=10-2〜100%、温度条件はP、Sドーピング共に600〜1300℃が用いられる。
さらにダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射を目的とする部分、すなわち電子放射部13を有する先鋭部と、加熱部14を有している。電子放射部13を有する先鋭部の形状は、四角錐、三角錐等の多角錐や、円錐形状が好ましい。三角錐形状であると、電子放出した電子のパターン(エミッションパターン)は、たとえば図17のようになる。加熱部14は、主に第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド12で構成されており、第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド11が効率良く加熱されるように抵抗率が低い半導体を選択することが好ましい。p型不純物としてBを選択することが好ましく、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体が適している。具体的に低い抵抗率とは300Ωcm以下であり、より好ましくは、1Ωcm以下である。抵抗率が低い半導体を使用することによって、電子放射陰極全体の抵抗率が低くなるため、比較的抵抗率が高い電子放射陰極と同じ温度にしようとする場合、通電加熱電流を大きくすることができるため、電子放射部に到達する電子が増加する結果、電子放出効率が上がるために好ましい。p型半導体ダイヤモンド12は、気相成長で合成した単結晶ダイヤモンドであることが好ましい。高温高圧成長した単結晶ダイヤモンドも使用可能であるが、気相成長した結晶はp型不純物以外の不純物混入が比較的少なく高品質なため、単結晶ダイヤモンド上に気相成長させるn型半導体ダイヤモンド11の結晶性も向上するために、電子トラップが起こりにくい。
従って、高効率な電子放出が実現する。加熱部14は通電による直接加熱ができるように、一対の電流導入端子で把持できる構造となっている。加熱部14で発生した熱で電子放射部13を加熱して、放出電流の安定化に必要な電子放射部表面に付着した水分等の除去も行う。この効果は電子放射部13の温度が400K以上で得られるが、n型半導体ダイヤモンド11のドナーをより活性化させて電子放出効率を上げるためには600K以上が好ましく、寿命を考慮すれば1200K以下が好ましい。400K未満であると安定で十分な輝度が得られる電子放出電流値が得られず、1200Kより高いと十分な寿命が得られなくなる。電子放射部13を有する先鋭部はダイヤモンド電子放射陰極において一ヶ所のみ存在するため、高輝度な電子放射陰極が作製可能であり、且つ、一対の電流導入端子で加熱部を加熱すると共に導入した電子の一部を電子放射部から放出することができるので、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器に好適に使用可能である。ダイヤモンド電子放射陰極10の電子放射部13は第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド11で構成されるが、n型半導体ダイヤモンド11の表面は水素原子で終端されていることが好ましい。これによって、実効的な仕事関数が小さくなるために、高効率な電子放出が実現する。電子放射部13のn型半導体ダイヤモンド11表面のダングリングボンドの50%以上が水素原子で終端されていれば効果は一層顕著に現れる。
図2は図1におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。図2(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図2に示すダイヤモンド電子放射陰極10は、電子放射部13と加熱部14とを有し、第1の半導体としてn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体ダイヤモンド11と、第2の半導体としてp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンド12で構成されている。電子放射部13は第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド11で構成されている。また、n型半導体ダイヤモンド11とp型半導体ダイヤモンド12は接合面15で接合されている。
図3(a)にダイヤモンド電子放射陰極10を一対の電流導入端子20で挟んだ構造の底面図を、図3(b)は背面図をそれぞれ示す。
電子放射で必要な一対の電流導入端子20,20をn型半導体ダイヤモンド11とp型半導体ダイヤモンド12の両方に接触させ、通電加熱電流を接合面15に対して平行に流すことによって、二種類の半導体間はバイアス電圧がかからず同電位となる。同電位であるので、二種類の半導体間で電界による電子の移動はない。すなわち、二種類の半導体間で一対の電流導入端子間の電界による電子と正孔の結合による電子の消滅はない。従って、電子放射部13が第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド11で構成される場合には、一対の電流導入端子20,20から供給された電子が、メジャーキャリアが電子である第1の半導体すなわちn型半導体ダイヤモンド11のみで電子放射部13に輸送され真空中に放出されるため、高効率な電子放出が実現される。この場合、第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンド12は通電加熱のための抵抗体として利用して、熱によりn型半導体ダイヤモンド11のドナーの活性化率を向上させて伝導帯の電子数を増やすことで高効率な電子放出が実現する。
図4は、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極のもう一つの実施形態を示す斜視図である。ダイヤモンド電子放射陰極30は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられる。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。ダイヤモンド電子放射陰極30は、二種類の半導体で構成されている。そのうち一種類は第1の半導体としてn型半導体ダイヤモンド31を、もう一種類は第2の半導体としてp型半導体ダイヤモンド32を用いる。n型半導体ダイヤモンド31の形成は電子放射特性に大きな影響を与えるダイヤモンドの電気伝導特性の個体差やばらつきを小さくするために、p型半導体ダイヤモンド32に単結晶ダイヤモンドを用いて、この上に気相合成法によるエピタキシャル成長で行うのが好ましい。こうすることで、ダイヤモンドを陰極材料とするために必要なn型不純物のドーピング濃度の制御が可能である。また、互いに接合する構造となるので、熱や電子のやり取りが効率良く行われ、効率の良い電子放出が実現する。不純物濃度を高精度で制御するために、マイクロ波によるプラズマCVD法で成長させることが好適である。n型半導体ダイヤモンド31は、n型不純物が2×1015cm-3以上含まれている。このため、ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子は十分多くなり、高電流密度での電子放射が可能であり、高輝度な電子放射陰極となる。より高輝度な電子放射陰極とするためには、n型不純物が2×1019cm-3以上含まれていることが好適である。このように高濃度で不純物が含まれる場合、ダイヤモンド結晶中におけるドナー同士の距離が極端に近づき、n型半導体ダイヤモンド31では電気伝導機構が半導体伝導から金属伝導に遷移し始める。
この結果、室温抵抗は急激に低下し始めるため、電子放射の際のダイヤモンド電子放射陰極自体での降下電圧が低くなる。従って、より高電流密度電子放射が可能になって、高輝度な電子放射陰極となる。このとき、n型不純物元素としては、例えばPまたはSなどが用いられる。気相成長に使用される原料ガスとしては、例えばH、CHが用いられ、ドーピングガスとしてPHやHSが用いられる。合成条件としては、Pドーピングの場合には気相中のH原子とC原子の個数比C/H=0.005〜10%、P原子とC原子の個数比P/C=10-4〜100%、Sドーピングの場合にはC/H= 0.005〜10%、S原子とC原子の個数比S/C= 10-2〜100%、温度条件はP、Sドーピング共に600〜1300℃が用いられる。
さらにダイヤモンド電子放射陰極30は、電子放射を目的とする部分、すなわち電子放射部33と、加熱部34を有している。電子放射部33の形状は、四角錐、三角錐等の多角錐や、円錐形状が好ましい。加熱部34は、主に第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド32で構成されており、第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド31が効率良く加熱されるように抵抗率が低い半導体を選択することが好ましい。p型不純物としてBを選択することが好ましく、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体が適している。具体的に低い抵抗率とは300Ωcm以下であり、より好ましくは、1Ωcm以下である。抵抗率が低い半導体を使用することによって、電子放射陰極全体の抵抗率が低くなるため、比較的抵抗率が高い電子放射陰極と同じ温度にしようとする場合、通電加熱電流を大きくすることができるため、電子放射部に到達する電子が増加する結果、電子放出効率が上がるために好ましい。p型半導体ダイヤモンド32は、気相成長で合成した単結晶であることが好ましい。高温高圧成長した単結晶も使用可能であるが、気相成長した結晶はp型不純物以外の不純物混入が比較的少なく高品質なため、単結晶上に気相成長させるn型半導体ダイヤモンド31の結晶性も向上するために、電子トラップが起こりにくい。
従って、高効率な電子放出が実現する。加熱部34は通電による直接加熱ができるように、一対の電流導入端子で把持できる構造となっている。加熱部34で発生した熱で電子放射部33を加熱して、放出電流の安定化に必要な電子放射部の表面に付着した水分等の除去も行う。この効果は電子放射部33の温度が400K以上で得られるが、n型半導体ダイヤモンド31のドナーをより活性化させて電子放出効率を上げるためには600K以上が好ましく、寿命を考慮すれば1200K以下が好ましい。400K未満であると安定で十分な輝度が得られる電子放出電流値が得られず、1200Kより高いと十分な寿命が得られなくなる。電子放射部33を有する先鋭部はダイヤモンド電子放射陰極において一ヶ所のみ存在するため、高輝度な電子放射陰極が作製可能であり、且つ、一対の電流導入端子で加熱部を加熱すると共に導入した電子の一部を電子放射部から放出することができるので、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器に好適に使用可能である。ダイヤモンド電子放射陰極30の電子放射部33は第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド32で構成されるが、p型半導体ダイヤモンド32の表面は水素原子で終端されていることが好ましい。これによって、電子親和力が小さくなるために、高効率な電子放出が実現する。電子放射部33のp型半導体ダイヤモンド32表面のダングリングボンドの50%以上が水素原子で終端されていれば効果は一層顕著に現れる。
図5は、図4におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。図5(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図5に示すダイヤモンド電子放射陰極30は、電子放射部33と加熱部34とを有し、第1の半導体としてn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体ダイヤモンド31と、第2の半導体としてp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンド32で構成されている。電子放射部31は第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド32で構成されている。p型半導体ダイヤモンド32として、n型半導体ダイヤモンド31よりも電子は少ないが電子を真空中に放出しやすい、すなわち電子親和力が小さい半導体を選択する。また、n型半導体ダイヤモンド31とp型半導体ダイヤモンド32は接合面35で接合されている。図6(a)にダイヤモンド電子放射陰極30を一対の電流導入端子40,40で挟んだ構造の上部から見た平面図を、図6(b)には背面図をそれぞれ示す。電子放射で必要な一対の電流導入端子40,40をn型半導体ダイヤモンド31とp型半導体ダイヤモンド32の両方に接触させ、通電加熱電流を接合面35に対して平行に流すことによって、二種類の半導体間はバイアス電圧がかからず同電位となる。同電位であるので、二種類の半導体間で電界による電子の移動はない。すなわち、二種類の半導体間で一対の電流導入端子間の電界による電子と正孔の結合による電子の消滅はない。通常はバイアス電圧を印加することで、n型半導体ダイヤモンド31からp型半導体ダイヤモンド32に電子を移動させて、電子放出させることを考える。しかし、バイアス電圧印加部分に電子が吸い取られることを考慮すると、より多数の電子を真空中に放出させるためにはバイアス電圧を印加せずに電子を移動させる方法が必要である。その方法として以下の工夫を見出した。
すなわち、一つは温度を上げることで、二種類の半導体間での電子の交流が激しくなるために拡散し、第2の半導体に電子が移動し、放出効果を高める。もう一つは加熱のために第1の半導体すなわちn型半導体ダイヤモンド31が通電されていることで、通電が誘い水となり、電子が第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンド32に移動しやすく、電子放出されやすくなる。先鋭な電子放射部33近傍で拡散によってp型半導体ダイヤモンド32に移動した電子はそのまま電子放射部33から真空中に放出される。従って、高電流密度な電子放射が可能である。先鋭な電子放射部33の近傍では、n型半導体ダイヤモンド31からp型半導体ダイヤモンド32に電子が流れる方向と電子が真空中に放出される方向がおよそ同じである。従来品よりも高輝度な電子放射陰極とするに当たって、加熱用の電流を電子放出用と兼用することは放出電子のエネルギー幅を広げるノイズ発生の原因になり逆効果となるために、これまで見出しにくかった。しかし、発明者による鋭意検討の結果、加熱を目的とする部分の抵抗によって加熱兼電子放出用の電流や電圧が安定化することや、電子放出される電子はエネルギー的にフィルタリングされることが判明し、これらの効果が逆効果をはるかに上回ることを見出したものである。
図7は、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極のさらにもう一つの実施形態を示す斜視図である。ダイヤモンド電子放射陰極50は、少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドが用いられる。単結晶ダイヤモンドとしては天然の単結晶や、高温高圧合成法あるいは気相合成法で人工合成した単結晶又はこれらの組み合わせを用いることができる。ダイヤモンド電子放射陰極50は、三種類の半導体で構成されている。そのうち一種類は第1の半導体としてn型半導体ダイヤモンド51を、もう一種類は第2の半導体としてp型半導体ダイヤモンド52を、さらにもう一種類は第3の半導体として真性半導体ダイヤモンド53をそれぞれ用いる。第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド51が、第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド52と、第3の半導体である真性半導体ダイヤモンド53を介して接合している。単結晶ダイヤモンドをであるp型半導体ダイヤモンド52上に真性半導体ダイヤモンド53、n型半導体ダイヤモンド51の順に気相合成法によるエピタキシャル成長を行うのが好ましい。こうすることで、n型半導体ダイヤモンド51及び真性半導体ダイヤモンド53について電子放射特性に大きな影響を与えるダイヤモンドの電気伝導特性の個体差やばらつきを小さくすることができると共に、n型半導体ダイヤモンド51については、ダイヤモンドを陰極材料とするために必要なn型不純物のドーピング濃度の制御が可能である。また、pin接合構造となるので、熱や電子のやり取りが効率よく行われると共に、正孔と結合して消滅する電子の数がほとんどなくなるので、さらに高効率な電子放出が実現する。真性半導体ダイヤモンド53の厚さは0.01μm〜10μmが好ましい。0.01μm〜10μmの間であれば、上記効果が充分に発揮される。0.01μm未満であると、正孔と結合して消滅する電子の数が急に増加する。10μmより厚いと、ダイヤモンド電子放射陰極50の抵抗が高くなり、ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子数は減少し電子放出能力が低下する。
n型半導体ダイヤモンド51及び真性半導体ダイヤモンド53中の不純物濃度を高精度で制御するために、マイクロ波によるプラズマCVD法で成長させることが好適である。n型半導体ダイヤモンド51は、n型不純物が2×1015cm-3以上含まれている。このため、ダイヤモンドの伝導帯に存在する電子数は十分多くなり、高電流密度での電子放射が可能であり、高輝度な電子放射陰極となる。より高輝度な電子放射陰極とするためには、n型不純物が2×1019cm-3以上含まれていることが好適である。このように高濃度で不純物が含まれる場合、ダイヤモンド結晶中におけるドナー同士の距離が極端に近づき、n型半導体ダイヤモンド51では電気伝導機構が半導体伝導から金属伝導に遷移し始める。
この結果、室温抵抗は急激に低下し始めるため、電子放射の際のダイヤモンド電子放射陰極自体での降下電圧が低くなる。従って、より高電流密度電子放射が可能になって、高輝度な電子放射陰極となる。このとき、n型不純物元素としては、例えばPまたはSなどが用いられる。気相成長に使用される原料ガスとしては、例えばH、CHが用いられ、ドーピングガスとしてPHやHSが用いられる。合成条件としては、Pドーピングの場合には気相中のH原子とC原子の個数比C/H=0.005〜10%、P原子とC原子の個数比P/C=10-4〜100%、Sドーピングの場合にはC/H= 0.005〜10%、S原子とC原子の個数比S/C= 10-2〜100%、温度条件はP、Sドーピング共に600〜1300℃が用いられる。
真性半導体ダイヤモンド53は、キャリア濃度が1×109cm-3以下である。このように高純度であるので、正孔と結合して消滅する電子の数がほとんどなく、さらに高効率な電子放出が実現する。気相成長に使用される原料ガスとしては、例えば高純度なHやCHが用いられる。
さらにダイヤモンド電子放射陰極50は、電子放射を目的とする部分、すなわち電子放射部54と、加熱部55を有している。電子放射部54の形状は、四角錐、三角錐等の多角錐や、円錐形状が好ましい。加熱部55は、主に第2の半導体であるp型半導体ダイヤモンド52で構成されており、第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド51が効率良く加熱されるように抵抗率が低い半導体を選択することが好ましい。p型不純物としてBを選択することが好ましく、p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体が適している。具体的に低い抵抗率とは300Ωcm以下であり、より好ましくは、1Ωcm以下である。抵抗率が低い半導体を使用することによって、電子放射陰極全体の抵抗率が低くなるため、比較的抵抗率が高い電子放射陰極と同じ温度にしようとする場合、通電加熱電流を大きくすることができるため、電子放射部に到達する電子が増加する結果、電子放出効率が上がるために好ましい。p型半導体ダイヤモンド52は、気相成長で合成した単結晶であることが好ましい。高温高圧成長した単結晶も使用可能であるが、気相成長した結晶はp型不純物以外の不純物混入が比較的少なく高品質なため、単結晶上に気相成長させるn型半導体ダイヤモンド51及び真性半導体ダイヤモンド53の結晶性も向上するために、電子トラップが起こりにくい。
従って、高効率な電子放出が実現する。加熱部55は通電による直接加熱ができるように、一対の電流導入端子で把持できる構造となっている。加熱部55で発生した熱で電子放射部54を加熱して、放出電流の安定化に必要な電子放射部表面に付着した水分等の除去も行う。この効果は電子放射部54の温度が400K以上で得られるが、n型半導体ダイヤモンド51のドナーをより活性化させて電子放出効率を上げるためには600K以上が好ましく、寿命を考慮すれば1200K以下が好ましい。400K未満であると安定で十分な輝度が得られる電子放出電流値が得られず、1200Kより高いと十分な寿命が得られなくなる。電子放射部54を有する先鋭部はダイヤモンド電子放射陰極において一ヶ所のみ存在するため、高輝度な電子放射陰極が作製可能であり、且つ、一対の電流導入端子で加熱部を加熱すると共に導入した電子の一部を電子放射部から放出することができるので、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器に好適に使用可能である。ダイヤモンド電子放射陰極50の電子放射部54は第3の半導体である真性半導体ダイヤモンド53で構成されるが、真性半導体ダイヤモンド53の表面は水素原子で終端されていることが好ましい。これによって、電子親和力が小さくなるために、高効率な電子放出が実現する。電子放射部54の真性半導体ダイヤモンド53表面のダングリングボンドの50%以上が水素原子で終端されていれば効果は一層顕著に現れる。
図8は、図7におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。図8(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図8に示すダイヤモンド電子放射陰極50は、電子放射部54と加熱部55とを有し、第1の半導体としてn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体ダイヤモンド51、第2の半導体としてp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体ダイヤモンド52、及び第3の半導体としてキャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体ダイヤモンド53で構成されている。電子放射部54は第3の半導体である真性半導体ダイヤモンド53で構成されている。真性半導体ダイヤモンド53として、n型半導体ダイヤモンド51よりも電子は少ないが電子を真空中に放出しやすい、すなわち電子親和力が小さい半導体を選択する。また、n型半導体ダイヤモンド51とp型半導体ダイヤモンド52は、真性半導体ダイヤモンド53を介して接合されており、pin接合部56で接合されている。
図9(a)にダイヤモンド電子放射陰極50を一対の電流導入端子60,60で挟んだ構造の底面図を、図9(b)には背面図をそれぞれ示す。電子放射で必要な一対の電流導入端子60をn型半導体ダイヤモンド51、p型半導体ダイヤモンド52、及び真性半導体ダイヤモンド53の両方に接触させ、通電加熱電流をpin接合部56に対して平行に流すことによって、n型半導体ダイヤモンド51とp型半導体ダイヤモンド52との間はバイアス電圧がかからず同電位となる。同電位であるので、これら二種類の半導体間で電界による電子の移動はない。すなわち、二種類の半導体間で一対の電流導入端子間の電界による電子と正孔の結合による電子の消滅はない。しかし、ダイヤモンド電子放射陰極50の温度を上げることで、n型半導体ダイヤモンド51と真性半導体ダイヤモンド53の間での電子の交流が激しくなるため拡散し、第3の半導体すなわち真性半導体ダイヤモンド53に電子が移動し、放出効果を高める。また、加熱のために第1の半導体すなわちn型半導体ダイヤモンド51が通電されていることで、通電が誘い水となり、電子が第3の半導体すなわち真性半導体ダイヤモンド53に移動しやすく、電子放出されやすくなる。先鋭な電子放射部54近傍で拡散によって真性半導体ダイヤモンド53へ移動した電子はそのまま電子放射部54から真空中に放出される。
従って、高電流密度な電子放射が可能である。先鋭な電子放射部54の近傍では、n型半導体ダイヤモンド51から真性半導体ダイヤモンド53に電子が流れる方向と電子が真空中に放出される方向がおよそ同じである。この場合、第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンド52は、通電加熱のための抵抗体として利用して、熱によりn型半導体ダイヤモンド51のドナーの活性化率を向上させて伝導帯の電子数を増やすことで高効率な電子放出が実現する。発明者による鋭意検討の結果、電子放射部54に第3の半導体すなわち真性半導体ダイヤモンド53を用いることで、第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンド52を用いるよりも、電子放射部54において電子と正孔の結合による電子の消滅を極端に減らすことができ、さらに高電流密度での電子放射が可能であり、高輝度な電子放射陰極となることを見出したものである。
ダイヤモンド電子放射陰極10、ダイヤモンド電子放射陰極30、ダイヤモンド電子放射陰極50の表面の少なくとも先鋭化した電子放射部13、電子放射部33、電子放射部54を頂点とした少なくとも一面が(111)結晶面で形成されていることが好適である。気相成長における安定成長面は(100)面か(111)面であるが、(111)表面は気相成長において、PまたはSなどのn型不純物の取り込み効率が(100)面と比較して2倍以上高い。従って、ダイヤモンドの(111)面でn型不純物を高濃度ドーピングして、金属的な電気伝導による高電流密度電子放射、すなわち、高輝度な電子放射陰極が容易に実現できる。(111)表面を含んだ電子放射部の形状としては、図10の平面図のような先鋭部71を構成する4面をすべて(111)表面としたり、図11の平面図のような先鋭部81を構成する3面のうち2面を(111)表面としたりする形状が好適であるが、先鋭部を構成する面のうち1面でも(111)表面があればよい。(111)表面とはこの場合、(111)ジャスト面から±7°のオフ面も含んでいる。この範囲であれば、上記n型不純物の高濃度ドーピングは達成される。(111)面形成の方法は、研磨やレーザー加工、イオンエッチング、成長及びこれらの組み合わせによる形成方法が好適に使用可能である。
図1から図14に示すダイヤモンド電子放射陰極の形状は、電子放射陰極として電子顕微鏡や電子ビーム露光機の電子引き出し構造が工夫された電子銃室に実装できるように、短手方向長さが0.05mm以上2mm以下でアスペクト比が1以上の柱状となっている。0.05mm未満では、ダイヤモンド電子源を高温で使用する場合、実装で使用する治具の把持用金属の熱膨張のために、治具から脱落する可能性が高くなり、2mmより大きくなれば、得られる電子ビームの輝度を落とす原因となる電子放射部以外からの電子放射ノイズが大きくなり、電子銃室のサプレッサーでそのノイズを抑制することが困難となる。アスペクト比が1未満であれば、電子放射部から放出される電子もサプレッサーで抑制されてしまうため、高輝度な電子ビームが得られなくなる。
ダイヤモンド電子放射陰極のn型不純物を含む部分の室温抵抗率が300Ωcm以下であることが好適である。この場合、n型不純物を含む部分に電子が効率よく供給される結果、高密度電子放射が可能であり、高輝度電子放射陰極が得られる。
また、図1から図11、図13及び図14に示すダイヤモンド電子放射陰極の電子放射部を有する先鋭部の先端径もしくは先端曲率半径は30μm以下であることが好適である。電子放射部の先端をこのような小さなサイズとすることにより、より高輝度な電子放射陰極とすることができる。また、熱電子放出のティップとして利用する際に集束点を小さく保持できる。30μmより大きいと急激に集束点を小さくすることは困難となり、電子ビーム機器の光学系を工夫する必要がある。先鋭な先端を得るために、気相合成により第1の半導体すなわちn型半導体ダイヤモンド、第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンドや、第3の半導体すなわち真性半導体ダイヤモンドを成長した後に、研磨やイオンエッチングによって加工するのが望ましい。さらに先端径が5μm以下であれば電子放射部の先端で10V/cm以上の電界が容易に得られるので、熱電界電子放射陰極として好適に使用可能となる閾値であり、より好ましくは、先端径が1μm以下であれば電子放射部の先端で10V/cm以上の電界が容易に得られるので電界電子放射陰極として好適に使用可能となっている。
さらには、図12に示すような電子放射部を先鋭部91の先端に有する突起構造92であって、突起の先端径が5μm以下でアスペクト比が2以上であることを特徴としても良い。このような先鋭な先端を得るためには、気相合成により第1の半導体すなわちn型半導体ダイヤモンド、第2の半導体すなわちp型半導体ダイヤモンドや、第3の半導体すなわち真性半導体ダイヤモンドを成長した後、イオンエッチングによって微細加工するのが望ましい。電子放射陰極としてのダイヤモンド全体のうちの電子放射部のみがこのような先鋭形状を持つことによって、電子顕微鏡や電子ビーム露光機などへの実装が容易で且つ、先端径が5μm以下であれば高輝度な熱電界電子放射陰極として好適に使用可能で、1μm以下であれば高輝度な電界電子放射陰極として好適に使用可能である。
本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極は、0.5kV以上100kV以下の印加電圧においてエネルギー幅が0.6eV以下の電子線を放出することを特徴としても良い。従来陰極材料に替わるダイヤモンド電子放射陰極として、良質な電子ビームが提供可能となる。たとえば、ダイヤモンド電子放射陰極からの電子線をエネルギー分析した結果を図18に示す。これからわかるように、ピーク形状は高エネルギー側にテールを引く非対称形状であることを特徴としてよい。
あるいは、図13に示すように、加熱部101は、金属層102を持つことを特徴としても良い。金属層102を持つことで電気抵抗が小さくなるため、加熱のための電源電圧を小さくすることができ、電子顕微鏡、電子ビーム露光機など電子ビーム機器への実装に適している。金属層102はMo、Nb、W、Ta等の高融点金属やTi等の金属が好適に使用可能である。
さらには、図14に示すように、加熱部111を含み、電子放射部112から金属層の端部までの最も近傍における距離(l)が500μm以下となるように金属被覆層113によって金属被覆することを特徴としても良い。電子放射部への電子輸送を金属被覆層で補助することによって、電子放射部により多くの電子が輸送できるようになる結果、高効率な電子放出が実現する。さらに距離(l)は100μm以下が好ましい。電子放射陰極の金属被覆による電子放射部への電子輸送効率の改善効果がより一層顕著に現れる。距離(l)が500μmよりも離れていると、金属被覆層による電子輸送の補助効果が十分に得られない。
図15に本発明におけるダイヤモンド電子放射源の断面図を示す。ただしダイヤモンド電子放射陰極は正面図で示す。ダイヤモンド電子放射源は、本発明における金属層あるいは金属被覆がないダイヤモンド電子放射陰極120と、絶縁性セラミック121と、ダイヤモンド電子放射陰極120に電流を供給するための一対の支柱兼端子(電流導入端子)122,122からなる構造体であって、支柱兼端子122,122が前記ダイヤモンド電子放射陰極120と直接接触している。端子間の抵抗値が、10Ω以上3kΩ以下の場合、従来の陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系であってもダイヤモンド電子放射源の性能を十分に発揮することができる。
図16に、本発明における別のダイヤモンド電子放射源の断面図を示す。ただしダイヤモンド電子放射陰極は正面図で示す。ダイヤモンド電子放射源は、本発明における金属層あるいは金属被覆があるダイヤモンド電子放射陰極130と、絶縁性セラミック131と、ダイヤモンド電子放射陰極130に電流を供給するための一対の支柱兼端子(電流導入端子)132,132からなる構造体であって、支柱兼端子132,132が前記ダイヤモンド電子放射陰極130と直接接触している。端子間の抵抗値が、10Ω以上700Ω以下の場合、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器の電源系に特別な工夫なく本発明におけるダイヤモンド電子放射陰極を取り付けることが可能な上に、金属層がないダイヤモンド電子放射陰極と比べて高輝度な電子放射源となる。
支柱兼端子の材質はMo、Nb、W、Taやこれらを含む合金等の高融点金属が好適に使用可能である。あるいは、支柱兼端子に使用される金属は、融点が1700K以下であっても好適に使用可能である。ダイヤモンドはWフィラメントやLaB、ZrO/W等よりも低温で電子放出が可能なため、融点が低い金属が使用可能であり、この場合、低コストな金属材料を使用して電子放射源を低コストで構成することができる。ダイヤモンド電子放射陰極は電子放射時に高温であっても、例えばLaB等の六ホウ化物のように支柱兼端子とは反応しないため、直接接触による把持が可能である。ダイヤモンド電子放射源を上記構造体とすることによって、従来陰極材料であるWフィラメントやLaB、あるいは先鋭化W、ZrO/W が使用されている電子ビーム機器に極めて容易に取替えが可能である上に、支柱兼端子がダイヤモンド電子放射陰極を直接把持している構造のために、作製時の光軸合わせが容易な上に、使用時の位置ズレや脱落の可能性が著しく低い。また、従来陰極材料が使用されている電子ビーム機器にダイヤモンド電子放射陰極を取り付けるには、室温での端子間の抵抗が3kΩ以下であることが望ましい。この抵抗値より大きいと電子ビーム機器の電源で十分な電子放射特性が得られない可能性が高い。
本発明における電子顕微鏡は、本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されており、従来陰極材料が使用されている電子顕微鏡と比較して高倍率観察が可能である。本発明のダイヤモンド電子放射陰極を熱電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、LaBを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。また、熱電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、ZrO/Wを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。あるいは、電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子顕微鏡に搭載して使用した場合、先鋭化Wを使用した場合と比較して高倍率な微細形状観察が可能である。
本発明における電子ビーム露光機は、本発明のダイヤモンド電子放射陰極またはダイヤモンド電子放射源が搭載されており、従来陰極材料が使用されている電子ビーム露光機と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。本発明のダイヤモンド電子放射陰極を熱電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子ビーム露光機に搭載して使用した場合、LaBを使用した場合と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。また、熱電界電子放射陰極として使用可能な形状とし、電子ビーム露光機に搭載して使用した場合、ZrO/Wを使用した場合と比較して微細パターンを高スループットで描画することが可能である。
[実施例1]
本発明のダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源及び電子顕微鏡、電子ビーム露光機について、実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
ダイヤモンド電子放射陰極として試料番号(1)〜(23)を作製した。サイズはすべて0.6mm×0.6mm×2.5mmtでアスペクト比約4.2であった。第2の半導体として気相成長で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを用意し、レーザー加工と研磨加工で成形した後、これを基材として第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド、あるいは、第3の半導体である真性半導体ダイヤモンドを気相成長でエピタキシャル成長した。p型半導体ダイヤモンドのp型不純物はBであり、すべての試料においてB濃度4×1019cm-3の単結晶を用いた。試料番号(1)、(4)、(5)、(8)、(9)、(12)、(13)、(16)、(17)〜(23)は図1に示すようなダイヤモンド電子放射陰極、試料番号(2)、(6)、(10)、(14)は図4に示すようなダイヤモンド電子放射陰極、(3)、(7)、(11)、(15)は図7に示すようなダイヤモンド電子放射陰極をそれぞれ作製した。真性半導体ダイヤモンドの300Kにおけるキャリア濃度は1×109cm-3以下となるようにエピタキシャル成長した。n型半導体ダイヤモンドのn型不純物はPとした。
試料番号(1)〜(8)、(17)〜(23)は同じ合成条件でn型半導体ダイヤモンドを合成したが、電子放射部を頂点とした面に(111)結晶面がある試料番号(4)及び(8)はPが高濃度にドープされ、300Kにおいて低い抵抗率が得られた。また試料番号(9)〜(16)は、別の同じ条件でn型半導体ダイヤモンドを合成したが、電子放射部を頂点とした面に(111)結晶面がある試料番号(12)及び(16)はPが高濃度にドープされ、300Kにおいて低い抵抗率が得られた。試料番号(1)〜(4)、(9)〜(12)、(17)〜(23)は試料を大気中でアニールすることによって、電子放射部の水素終端を完全に除去した。ダイヤモンド電子放射陰極の先端曲率半径は、試料番号(17)を30μm、試料番号(18)を40μmにした以外は10μmとした。作製したダイヤモンド電子放射陰極すべては、図15に示すような支柱兼端子(電流導入端子)がMo製のダイヤモンド電子放射源として、まずは金属層無しの状態で電子放出特性及び電子ビーム特性を評価した。続いて、ダイヤモンド電子放射陰極を図13のようにMoで金属層を形成して、図16に示すような支柱兼端子がMo製のダイヤモンド電子放射源として評価した。さらに続いて、ダイヤモンド電子放射陰極は図14のようにMoで電子放射部先端から300μmの距離まで金属被覆を行い、図16に示すような支柱兼端子がMo製ダイヤモンド電子放射源として評価した。いずれの評価も、支柱兼端子によるダイヤモンド電子放射陰極の把持の仕方は、図3、図6、図9のようにした。評価は、評価温度におけるダイヤモンド電子放射陰極の端子間抵抗を測定した後、ビームのエネルギー幅、エミッション電流値、初期輝度、寿命を測定した。寿命は初期輝度の1/3の輝度となる時間とした。評価体系の真空度は1×10-6Pa、加速電圧は15kVとした。比較試料(1)として、試料番号(1)〜(23)で用いたものと同じ気相成長で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを試料番号(1)〜(23)[(17)、(18)は除く]と同形にしたダイヤモンド電子放射陰極、比較試料(2)として、n型不純物濃度とp型不純物濃度を共に2.0×1015cm-3未満にした以外は試料番号(1)と同じダイヤモンド電子放射陰極、さらに比較試料としてLaB6も評価した。それぞれの試料の評価結果を表1に示す。
p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体、且つn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体で構成される試料では、ビームのエネルギー幅、エミッション電流、初期輝度、寿命のうち3つ以上がLaB6よりも優れていた。また、これらすべてについて、比較試料(1)及び(2)よりも優れていた。
第2の半導体として高温高圧で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを用いた以外は試料番号(1)〜(23)と同様のダイヤモンド電子放射陰極を作製して評価した結果、すべての試料について初期輝度が95〜98%になった。
試料番号(1)〜(23)のダイヤモンド電子放射陰極を、支柱兼端子の材質が融点1700K以下のSUS304に変更して同様の評価を行ったが、Moを使用した場合と同様の結果が得られた。また、試料番号(1)〜(23)のダイヤモンド電子放射陰極を搭載したダイヤモンド電子放射源を電子顕微鏡に取り付けて微細構造を持つサンプルを観察したところ、LaB6と比較して高倍率での観察が可能であった。さらに、電子ビーム露光装置に取り付けて電子ビーム露光を行ったところ、LaB6と比較して微細パターン高スループットで描画することができた。
[実施例2]
ダイヤモンド電子放射陰極として試料番号(24)〜(46)を作製した。サイズはすべて0.6mm×0.6mm×2.5mmtでアスペクト比約4.2であった。第2の半導体として気相成長で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを用意し、レーザー加工と研磨加工で成形した後、これを基材として第1の半導体であるn型半導体ダイヤモンド、あるいは、第3の半導体である真性半導体ダイヤモンドを気相成長でエピタキシャル成長した。p型半導体ダイヤモンドのp型不純物はBであり、すべての試料においてB濃度4×1019cm-3の単結晶を用いた。まず、試料番号(24)、(27)、(28)、(31)、(32)、(35)、(36)、(39)、(40)〜(46)は図1に示すようなダイヤモンド電子放射陰極、試料番号(25)、(29)、(33)、(37)は図4に示すようなダイヤモンド電子放射陰極、(26)、(30)、(34)、(38)は図7に示すようなダイヤモンド電子放射陰極をそれぞれ作製した。真性半導体ダイヤモンドの300Kにおけるキャリア濃度は1×109cm-3以下となるようにエピタキシャル成長した。n型半導体ダイヤモンドのn型不純物はPとした。試料番号(24)〜(31)、(40)〜(46)は同じ合成条件でn型半導体ダイヤモンドを合成したが、電子放射部を頂点とした面に(111)結晶面がある試料番号(27)及び(31)はPが高濃度にドープされ、300Kにおいて低い抵抗率が得られた。また試料番号(32)〜(39)は、別の同じ合成条件でn型半導体ダイヤモンドを合成したが、電子放射部を頂点とした面に(111)結晶面がある試料番号(35)及び(39)はPが高濃度にドープされ、300Kにおいて低い抵抗率が得られた。次に、試料番号(24)〜(46)の電子放射部をFIB加工して図12に示すような突起構造を形成した。試料番号(40)、(41)以外は先端径1μm、高さ3μm、アスペクト比3の突起構造を形成した。試料番号(40)は先端径5μm、試料番号(41)は先端径7μmの突起構造をそれぞれ作製した。
そして、試料番号(28)〜(31)、(36)〜(39)は試料を水素プラズマによって処理して電子放射部を水素終端とした。作製したダイヤモンド電子放射陰極すべては、図15に示すような支柱兼端子(電流導入端子)がMo製のダイヤモンド電子放射源として、まずは金属層無しの状態で電子放出特性及び電子ビーム特性を評価した。続いて、ダイヤモンド電子放射陰極を図13のようにMoで金属層を形成して、図16に示すような支柱兼端子がMo製のダイヤモンド電子放射源として評価した。さらに続いて、ダイヤモンド電子放射陰極は図14のようにMoで電子放射部先端から300μmの距離まで金属被覆を行い、図16に示すような支柱兼端子がMo製のダイヤモンド電子放射源として評価した。いずれの評価も、支柱兼端子によるダイヤモンド電子放射陰極の把持の仕方は、図3、図6、図9のようにした。評価は、評価温度におけるダイヤモンド電子放射陰極の端子間抵抗を測定した後、ビームのエネルギー幅、エミッション電流値、初期輝度、寿命を測定した。寿命は初期輝度の1/3の輝度となる時間とした。評価体系の真空度は1×10-7Pa、引出電圧3kV、加速電圧は15kVとした。比較試料(3)として、試料番号(24)〜(46)で用いたものと同じ気相成長で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを試料番号(24)〜(46)[(40)、(41)は除く]と同形にしたダイヤモンド電子放射陰極、比較試料(4)として、n型不純物濃度とp型不純物濃度を共に2.0×1015cm-3未満にした以外は試料番号(24)と同じダイヤモンド電子放射陰極、さらに比較試料としてZrO/Wも評価した。それぞれの試料の評価結果を表2に示す。
p型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体、且つn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体で構成される試料では、ビームのエネルギー幅、エミッション電流、初期輝度、寿命のうち3つ以上がZrO/Wよりも優れていた。また、これらすべてについて、比較試料(3)及び(4)よりも優れていた。
第2の半導体として高温高圧で合成した単結晶のp型半導体ダイヤモンドを用いた以外は試料番号(24)〜(46)と同様のダイヤモンド電子放射陰極を作製して評価した結果、すべての試料について初期輝度が95〜98%になった。
試料番号(24)〜(46)のダイヤモンド電子放射陰極を、支柱兼端子の材質が融点1700K以下のSUS304に変更して同様の評価を行ったが、Moを使用した場合と同様の結果が得られた。また、試料番号(24)〜(46)のダイヤモンド電子放射陰極を搭載したダイヤモンド電子放射源を電子顕微鏡に取り付けて微細構造を持つサンプルを観察したところ、ZrO/Wと比較して高倍率での観察が可能であった。さらに、電子ビーム露光装置に取り付けて電子ビーム露光を行ったところ、LaB6と比較して微細パターン高スループットで描画することができた。
以上の実施例からもわかるように、本発明によるダイヤモンド電子放射陰極及び電子放射源は高輝度でエネルギー幅が狭く、したがって電子顕微鏡、電子ビーム露光機などの電子線及び電子ビーム機器、進行波管、マイクロ波管などの真空管に好適に使用可能である。また、これらを用いた電子顕微鏡は高倍率観察が可能であり、電子ビーム露光機は微細パターンを高スループットで描画可能である。勿論、電子ビーム分析装置、加速器、殺菌用電子線照射装置、X線発生装置、樹脂用照射装置、電子ビーム加熱装置など、電子線を使う機器すべてに適用可能である。
本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極の一例を示す斜視図である。 図1におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。図2(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 (a)は図1におけるダイヤモンド電子放射陰極を一対の電流導入端子で挟んだ構造の底面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。 本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極の他の一例を示す斜視図である。 図4におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 (a)は図4におけるダイヤモンド電子放射陰極を一対の電流導入端子で挟んだ構造の平面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。 本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極のさらに他の一例を示す斜視図である。 図7におけるダイヤモンド電子放射陰極を示す3面図である。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 (a)は図7におけるダイヤモンド電子放射陰極を一対の電流導入端子で挟んだ構造の底面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。 電子放射部の形状の一例を説明するための3面図である。 電子放射部の形状の他の一例を説明するための3面図である。 本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極のさらに他の一例を示す斜視図である。 本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極のさらに他の一例を示す3面図である。 本発明に係るダイヤモンド電子放射陰極のさらに他の一例を示す3面図である。 本発明におけるダイヤモンド電子放射源の一例を示す断面図である。 本発明における別のダイヤモンド電子放射源の断面図である。 電子放出した電子のパターンの一例を示す写真である。 ダイヤモンド電子放射陰極からの電子線をエネルギー分析した結果を示すグラフである。
符号の説明
10,30,50,120,130 ダイヤモンド電子放射陰極
11,31,51 n型半導体ダイヤモンド
12,32,52 p型半導体ダイヤモンド
13,33,54,112 電子放射部
14,34,55,101,111 加熱部
15,35,56 接合面
20,40,60 電流導入端子
53 真性半導体ダイヤモンド
71,81,91 先鋭部
92 突起構造
102 金属層
113 金属被覆
121,131 絶縁性セラミック
122,132 一対の支柱兼端子

Claims (21)

  1. 少なくとも一部に単結晶ダイヤモンドを有するダイヤモンド電子放射陰極であって、当該ダイヤモンド電子放射陰極は先鋭部と加熱部とからなる柱状であり、前記先鋭部には一ヵ所の電子放射部が設けられており、少なくとも二種類以上の電気的性質が異なる半導体によって構成され、該半導体を構成する一種類がn型不純物を2×1015cm-3以上含むn型半導体であり、もう一種類がp型不純物を2×1015cm-3以上含むp型半導体であり、該n型半導体と該p型半導体とが接合しており、一対の電流導入端子で前記加熱部を前記接合の面と平行に通電して直接加熱すると共に、導入した電子の一部を該電子放射部から放出することを特徴とするダイヤモンド電子放射陰極。
  2. 前記電子放射部が、前記n型半導体によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  3. 前記電子放射部が、前記p型半導体によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  4. 前記n型半導体と前記p型半導体とが、キャリア濃度が1×109cm-3以下である真性半導体を介して接合しており、導入した電子の一部を該真性半導体からなる該電子放射部から放出することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  5. 前記p型半導体が気相成長で合成された単結晶からなり、前記n型半導体及び\又は前記真性半導体が気相成長で合成した薄膜結晶からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  6. 前記ダイヤモンド電子放射陰極の短手方向長さが、0.05mm以上2mm以下であり、アスペクト比が1以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  7. 前記先鋭部における電子放射部を頂点とした面の少なくとも一面が(111)結晶面[(111)ジャスト面から±7°のオフ面を含む]で形成されていることを特徴とする請求項1、2、5又は6のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  8. 前記電子放射部を構成するダイヤモンドの表面が、水素原子で終端されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  9. 前記電子放射部を構成するダイヤモンドの表面が、水素原子で終端されていないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  10. 前記n型半導体の300Kにおける抵抗率が、300Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  11. 前記電子放射部が突起構造であって、突起の先端径が5μm以下でアスペクト比が2以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  12. 前記電子放射部から電子を放出する際の温度が、400K以上1200K以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  13. 前記電子放射部よりエネルギー幅が0.6eV以下の電子線を放出することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  14. 前記加熱部に金属層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  15. 前記ダイヤモンド電子放射陰極の表面が金属層によって被覆され、前記電子放射部から金属層の端部までの最も近傍における距離が500μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極。
  16. 少なくとも請求項1〜15のいずれか一項に記載されたダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、前記ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上3kΩ以下であることを特徴とするダイヤモンド電子放射源。
  17. 少なくとも請求項14または請求項15に記載のダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、前記ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の端子からなる構造体であって、端子間の抵抗値が10Ω以上700Ω以下であることを特徴とするダイヤモンド電子放射源。
  18. 少なくとも請求項1〜15のいずれか一項に記載されたダイヤモンド電子放射陰極と、絶縁性セラミックと、前記ダイヤモンド電子放射陰極を把持し前記絶縁性セラミックに固定すると共に前記ダイヤモンド電子放射陰極に電流を供給するための一対の支柱兼端子からなる構造体であって、前記支柱兼端子が前記ダイヤモンド電子放射陰極と直接接触していることを特徴とするダイヤモンド電子放射源。
  19. 前記一対の端子又は前記一対の支柱兼端子は、融点が1700K以下であることを特徴とする請求項16〜17のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射源。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極あるいはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする電子顕微鏡。
  21. 請求項1〜19のいずれか一項に記載のダイヤモンド電子放射陰極あるいはダイヤモンド電子放射源が搭載されていることを特徴とする電子ビーム露光機。
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