JP4849493B2 - 接触燃焼式ガスセンサの製造方法 - Google Patents
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Description
また、このような固体高分子膜型燃料電池等の燃料電池においては、カソードから排出される未反応の空気(オフガスという)は系外に排出するのが一般的であるが、その場合には、オフガス中に水素ガスが存在しないことを確認する必要がある。
この水素検出器に、ガス接触燃焼式ガスセンサを用いることが考えられている。このガス接触燃焼式ガスセンサは、触媒が付着されている検出素子と触媒が付着されていない温度補償素子とを備えて構成されており、被検知ガス(水素検出器の場合は水素)が触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するものである。
このような問題に対処するため、特許文献3に見られるように半導体ガスセンサ、つまり被検知ガスの吸着による導電度の変化を検出するセンサにあっては、センサに被毒作用を及ぼすジメチルシロキサンを含有する環境にセンサを収容して空焼き(エージング)することにより、センサ相互間での感度などの特性のバラツキを少なくすることが提案されている。
図1(A)(B)は、それぞれ本発明の接触燃焼式ガスセンサを構成するガス検知素子1の一実施例を示すものであって、耐熱性、耐食性を有する抵抗線をコイル状に整形したヒータ2をリード部を兼ねるステー3、4に張設し、ヒータ2の外周に、所定組成の酸化触媒粉末と絶縁粉末とを水等の液で泥状に混練した泥状物を滴下して球状に付着させ、自然乾燥により固化させた後に焼結して感応部5を作り付けて構成されている。
なお、図中符号6は、ステー3、4を固定するとともに、後述するケースを嵌着固定する基台を示す。
なお、エージングの進行速度は、感応部5の温度にも大きく依存するので、感応部5の温度を高めに設定すると、エージング時間を短縮することができる。
すなわち、図3におけるグループAは、感応部5の酸化触媒粉末の濃度が30wt%以上、好ましくは40wt%以上含むガス検知素子の特性を、またグループBは、感応部5の酸化触媒粉末が30wt%以下のガス検知素子の特性を示すもので、図3からも明らかなように、酸化触媒粉末の濃度が30wt%以上、好ましくは40wt%以上含むガス検知素子は、グループAの曲線からも明らかなように感度の低下が極めて小さかった。これに対して感応部5の酸化触媒粉末が30wt%以下のガス検知素子は、図3のBグループに示したように初期段階で急激に感度が低下するばかりでなく、時間の経過にともなっても感度が低下した。
これによれば、被検ガスが接触する表面近傍に選択的に酸化触媒粉末を高濃度で含浸させることができるため、コスト削減を図るとともに、感応領域の酸化触媒の濃度を高くしてシリコーン蒸気による感度変動を可及的に小さくすることができる。
燃料電池10は、例えば、固体高分子電解膜などの電解質をアノード側電極とカソード側電極で狭持した電解質電極構造体を、更に一対のセバレータで狭持してなる図示しない燃料電池セルを多数組積層して構成されている。アノード側電極に入口側通路11から供給された水素などの燃料ガスは、触媒電極上で水素がイオン化され、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介してカソード側電極へと移動する、そ間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。カソード側電極には、例えば、酸素などの酸化剤ガスあるいは空気が入口側通路12を介して供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。そして、アノード側、カソード側共に出口側通路13、14から反応済みのいわゆるオフガスが系外に排出される。
ここで、カソード側の出口側通路14には、本発明の被毒対策が施された接触燃焼式ガスセンサ15が取り付けられ、カソード側の出口側通路14から水素ガスが排出されていないことを監視装置16で確認できるようになっている。
本発明の接触燃焼式ガスセンサは測温抵抗体に付着させた金属酸化物焼結体の担体に触媒を担持している。この素子に用いられる金属酸化物としては、アルミナ、シリカ、またはゼオライトから選ばれた少なくとも1種類が挙げられる。
本発明においては、これらの中でも、金属酸化物焼結体の細孔径を制御しやすい点でゼオライトが好ましい。また、接触燃焼式ガスセンサに用いられる酸化触媒としては、検出する可燃性ガスの種類によって、白金、ルテニウム、パラジウム、およびロジウムの群から適宜選択することが好ましい。
ここで、金属酸化物焼結体23の細孔径は、有機シリコンよりも小さく、かつ可燃性ガスの分子、及び酸素分子、さらには水分子よりも大きいことが望ましい。
この金属酸化物焼結体23を塩化白金酸水溶液に浸漬して、金属酸化物焼結体23の細孔24(図7(A))に塩化白金酸水溶液を含侵させる(図7(B))。十分に含侵が終了した時点で引き上げ、600℃で加熱分解して白金触媒の触媒粒子25を金属酸化物焼結体23の細孔24や表面に担持させる。
一方、有機シリコンは、金属酸化物焼結体23の表面に固着している触媒粒子25の表面に付着する(図7(C))。
なお、有機シリコンとしては工業的に入手が容易で、かつ処理に必要な濃度となるに足る蒸気圧を有するものであることが条件となる。有機シリコンの例を表2に示す。
一方、有機シリコンの濃度が30000ppmを越えると、有機シリコンの気化率が温度に大きく影響を受けるため、やはり処理の歩留まりが低下する。
したがって、有機シリコンの濃度の下限値は、10ppm、また上限値は30000ppmとなるが、雰囲気の調製の精度や容易さ、さらには製造の歩留まりなどを考慮すると、有機シリコンの濃度は100ppm乃至20000ppmが望ましい。
温度が130℃以下の場合には、酸化触媒の触媒作用が低いため、有機シリコンの分解率も低く、金属酸化物焼結体23の表面へのシリコン化合物26の付着が進行しない。他方、温度が500℃以上になると、金属酸化物焼結体23のシンタリングが生じて酸化触媒の触媒作用が低下する。
なお、処理時間は、有機シリコーンの濃度、及び温度により左右されるものの、これらのパラメータにより一義的に決まる値であるから、予め実験などにより調査しておくことにより、処理時間を決めることができる。
一方、酸化触媒の層が、有機シリコンより小さく、かつ可燃性分子、酸素分子及び水分子より大きい細孔径を有せず、かつ上記処理が施されていない接触燃焼式ガスセンサ21は、図11(A)の線Bに示したように感度の低下が時間とともに徐々に低下する傾向が継続し、一定の値に収束、つまり一定値に落ち着かなかった。
なお、図11(B)における線Bは、水素が添加されていない雰囲気での処理による感度低下を示す。
水素の濃度が100ppm以下の場合は、有機シリコンの濃度が極めて低い場合と同様に処理完了までの時間、つまり感度低下が一定の値に落ち着く、つまり収束点に到達するまでの時間が長くなる。また、水素の濃度が40000ppmを越えると、爆発下限界を超えるため、作業安全上好ましくない。
これらのことを考慮すると、水素の濃度は、100ppm乃至40000ppmであり、安全性や処理効率を考慮すると1000ppm乃至20000ppmの範囲が好ましい。
なお処理完了までの時間は、有機シリコン、水素の濃度、及び温度に左右されるものの、これらのパラメータにより一義的に決まる値であるから、予め実験などにより調査しておくことにより、処理時間を決めることができる。
2ヒータ
3、4ステー
5感応部
6基台
10燃料電池
11アノード側入口側通路
12カソード側入口側通路
13アノード側出口通路
14カソード側出口通路
15接触燃焼式ガスセンサ
16監視装置
Claims (13)
- 測温抵抗体に付着させた金属酸化物焼結体の担体に触媒を担持させてなる接触燃焼式ガスセンサにおいて、
接触燃焼式ガスセンサを130℃乃至500℃とし、シリコーン化合物を含む雰囲気で前記触媒の触媒能の経時的変化が所定値に安定するまで被毒させることを特徴とする接触燃焼式ガスセンサの製造方法。 - 前記雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を10ppm乃至30000ppmを含む請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
- 前記雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を100ppm乃至20000ppmを含む請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
- 前記雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を10ppm乃至30000ppm、及び水素100ppm乃至40000ppmを含む請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
- 前記雰囲気の水素の濃度が1000ppm乃至20000ppmである請求項4に記載の接触燃焼式ガスセンサの製造方法。
- 測温抵抗体に付着させた金属酸化物焼結体の担体に触媒を担持させてなる接触燃焼式ガスセンサにおいて、前記金属酸化物は、アルミナ、シリカ又はゼオライトから選ばれた少なくとも1種類であり、かつシリコーン化合物を含む雰囲気中で前記触媒の触媒能の経時的変化が所定値に安定するまで予め被毒させたことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記被毒させる温度が、130℃乃至500℃である請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記酸化触媒は、白金、ルテニウム、パラジウム、又はロジウムから選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記シリコーン化合物を含む雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を10ppm乃至30000ppmを含む請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を100ppm乃至20000ppmを含む請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記雰囲気が、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、及びヘキサメチルジシランのうちの少なくとも1種を10ppm乃至30000ppm、及び水素100ppm乃至40000ppmを含む請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 前記雰囲気の水素の濃度が1000ppm乃至20000ppmである請求項11に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
- 高分子型燃料電池のカソード側ガス出口通路に配置されて水素を検出する請求項6に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
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