JP5044540B2 - 水素ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガスの検出に用いられる接触燃焼式の水素ガスセンサに関する。
従来、大気中の水素濃度を検出するための水素ガスセンサとしては、半導体方式や接触燃焼方式のガスセンサが広く知られている。特に接触燃焼式ガスセンサは、可燃性ガスがセンサ表面で燃焼したときに発生する反応熱を電気的信号に変換して感知するセンサであり、簡単な構造で出力信号もリニアな特性であるという特徴を有する。
図8は日本国公開特許平成10年第90210号公報に開示された従来の接触燃焼式ガスセンサを示している。このガスセンサの検知用素子21は、可燃性ガスを燃焼させる燃焼体22と、通電に応じて発生するジュール熱で燃焼体22を加熱する発熱抵抗体23とで構成される。
燃焼体22は、アルミナなどの絶縁体をビーズ状に形成したものに、パラジウムや白金などの触媒を含有させたものである。また発熱抵抗体23は主に高温度抵抗係数を有する白金線からなる。この発熱抵抗体23をコイル状に巻回し、コイル状に巻かれた部分を燃焼体22内に埋設してある。
このタイプの検知用素子21では、発熱抵抗体23に略一定の電流を流して、発熱抵抗体23に発生するジュール熱で燃焼体22を一定温度に加熱している。燃焼体22の表面で可燃性ガスが燃焼すると、この燃焼熱によって発熱抵抗体23の温度が上昇して、発熱抵抗体23の抵抗値が変化する。この抵抗値変化から可燃性ガスを検出することができる。
このタイプの検知用素子21の一般的な製造方法は次の通りである。先ず、線径が20〜50μm程度の白金線をコイル状に巻回して発熱抵抗体23を形成する。次にアルミナ等の無機絶縁物が主成分であるセラミック担体をゾル又はペースト状にして、発熱抵抗体23のコイル部分に楕円形状を為すように塗布し、熱処理を施すことによってビーズ状の燃焼体22を形成する。次いで燃焼体22に白金又はパラジウム等の触媒を含浸させ、熱処理を施すことによって、アルミナ担体に触媒を高分散に担持させた検知用素子21を形成する。
ところで、近年、石油に代わるエネルギー源として水素が注目されており、燃料電池を搭載した自動車の開発が進められている。このような燃料電池車では、燃料電池や水素タンクからの水素漏洩を検出するために1乃至複数個の水素ガスセンサを設置する必要がある。この水素ガスセンサとして上記のような接触燃焼式のガスセンサを用いることが検討されている。
しかし、ガスセンサを使用する雰囲気中に、触媒被毒物質であるシリコン化合物の蒸気が存在すると、触媒が被毒を受けるため、ガスセンサの特性変化が生じてしまうことが知られている。一方、燃料電池には、シリコンパッキン等のシリコン製品が使用されている。このため、燃料電池のための水素ガスセンサでは、シリコン被毒による感度の低下が問題となってしまう。特に触媒燃焼方式のガスセンサは触媒を用いてガスを燃焼させ、ガスを検出する方式であるため、微量のシリコン化合物によっても触媒活性が低下し、著しく感度が低下してしまうことが知られている。
そこで、シリコン化合物による感度低下を防ぐため、従来、シリコン化合物を吸着する能力を有する活性炭が利用されている。一般的には、日本国公開特許2004−02077号に開示されているように、ガスセンサへ検知対象のガスを導入するための経路に網を張設し、この網に活性炭等を保持させることで、シリコン化合物を吸着除去するフィルタを設けている。
しかし、このような活性炭からなるフィルタは通気抵抗が大きいため、ガスセンサに流入する検知対象のガスの流入量が低下し、検知感度の低下の原因となる。また活性炭を保持するための網等の部材が必要となり、コストアップの原因となる。また、網等に保持されている活性炭の量を管理する必要や、活性炭を保持するための網等を管理する必要があるなど、管理上の問題がある。また、網等から脱落した微粉状の活性炭が検知用素子21に付着するおそれがあるなど、品質面での問題がある。
また、日本国公開特許2002−137648号に開示されているように、検知対象のガスをガスセンサへ導入するための導入路内の内壁や、この導入路内に設けた複数の邪魔板の表面に、シリコントラップ物質を塗布することも考えられている。しかし、この場合はガスセンサの構造が複雑化し、またこの導入路の内壁や邪魔板に接触せずにガスセンサに流入するガスも多く存在することになるため、シリコン化合物の十分な除去は期待することができない。
本発明は上記問題点を解決するために為されたものであって、簡易な構成を有すると共に、触媒被毒物質であるシリコン化合物の存在下でも長期間にわたり感度劣化の発生を抑制することができる、接触燃焼式の水素ガスセンサを提供することを目的とする。
本発明に係る水素ガスセンサは、接触燃焼式の水素ガスセンサである。この水素ガスセンサは、感応部2とシリコントラップ層3とを備える検知用素子1を具備する。感応部2は、通電によるジュール熱で加熱される機能と、加熱された状態で水素ガスを燃焼させる機能と、水素ガスの燃焼熱による温度上昇に応じて電気抵抗が変化し、この電気抵抗の変化を水素ガスの濃度検知信号として出力する機能とを、備える。感応部2を覆うシリコントラップ層3はシリコントラップ物質を含有する。このシリコントラップ物質は、シリコントラップ層3を通過する気体中からシリコン化合物を捕捉する機能を有する。
本発明によれば、検知用素子1を検知対象のガスに曝露すると、検知対象のガスが感応部2に到達する前にシリコントラップ層3を通過する。このシリコントラップ層3にて、検知対象のガスに含まれるシリコン化合物が捕捉され、検知対象のガス中から除去される。従って、感応部2が触媒被毒物質であるシリコン化合物によって被毒されることを防止することができ、シリコン化合物の存在下でも長期間にわたり感度劣化を抑制することができる。このとき、感応部2に到達する検知対象のガスは全てシリコントラップ層3を通過するため、シリコン化合物の除去を確実に行うことができる。また、シリコントラップ層3は検知用素子1に設けられているので、検知用素子1を検知対象のガスに曝露する前に予めシリコン化合物を除去する必要がない。従って、シリコン化合物を除去するための別途の設備を設けることなく、簡便な構成で感応部2のシリコン被毒を抑制することができる。
また、感応部2は、貴金属コイルからなる発熱抵抗体4のみで形成することができる。前記貴金属コイルの表面は、水素燃焼触媒活性を有している。この場合、発熱抵抗体4の表面で水素ガスを燃焼させ、その燃焼熱による温度上昇に応じて発熱抵抗体4の電気抵抗が変化し、この電気抵抗の変化を水素ガスの濃度検知信号として出力することができる。
シリコントラップ層3には、シリコントラップ物質として白金を含有させることができる。また、シリコントラップ層3には、シリコントラップ物質として活性炭を含有させることもできる。これらのシリコントラップ物質を用いることにより、シリコントラップ層3を通過する気体からシリコン化合物を除去することができる。
また、シリコントラップ層3に、特にシリコントラップ物質として白金及び活性炭を含有させると、シリコントラップ層3でのシリコン化合物の除去性能が更に高くなる。
また、シリコントラップ層3を、シリコントラップ物質を含有する無機多孔質体にて形成すると、シリコントラップ層3におけるガスの流通性を確保しながら、シリコン化合物の除去性能を発揮することができる。
この無機多孔質体は、シリカ粒子の焼結体であると、シリカ粒子はシリコン化合物と親和性が高いことから、シリコントラップ層3でのシリコン化合物の除去性能が更に高くなる。
このシリカ粒子の細孔径が3〜30nmの範囲であると、シリコントラップ層3でのシリコン化合物の除去性能が更に高くなる。
また、シリコントラップ層3を、白金を含有するシリカ粒子の焼結体である第一層及び第二層にて形成することもできる。前記第二層は前記第一層の外側に積層して設けられる。また、第二層は第一層よりも白金含有量が多い。この場合、白金含有量の高い第二層によってシリコントラップ層3に十分なシリコントラップ性能を付与することができる。同時に、白金含有量の低い第一層によって感応部2とシリコントラップ層3との間で電気伝導が生じることを抑制し、前記電気伝導による検知感度の低下を防止することができる。
また、シリコントラップ層3を、感応部2の表面と接触させて形成すると、シリコントラップ層3を通過したガスが感応部2に到達することが阻害されることがない。このため、検知対象のガスが感応部2に到達しやすくなり、高い検知感度が期待できる。
このようにシリコントラップ層3を感応部2の表面と接触させる場合において、前記シリコントラップ層3が、白金を含有するシリカ粒子の焼結体である場合には、水素ガスセンサは、感応部2の設定温度が110〜350℃の範囲となるように感応部に電圧を印加する測定回路を具備することが好ましい。この場合、感応部2により良好な水素検知感度が得られると共に、シリコントラップ層3の温度上昇を抑制し、シリコントラップ層3が高温になることによる水素ガス感度の低下を抑制することができる。このため長期間に亘ってシリコン耐久性を維持することができる。
また、このようにシリコントラップ層3を感応部2の表面と接触させる場合、前記シリコントラップ層3がシリコントラップ物質として活性炭を含有する場合には、水素ガスセンサは、感応部の設定温度が110〜200℃の範囲となるように感応部に電圧を印加する測定回路を具備することが好ましい。この場合、感応部2により良好な水素検知感度が得られると共に、シリコントラップ層3の温度上昇を抑制し、シリコントラップ層3が高温になることによる水素ガス感度の低下を抑制することができる。このため長期間に亘ってシリコン耐久性を維持することができる。
また、シリコントラップ層3と感応部2との間には、断熱層6を介在させても良い。この場合、感応部2のからシリコントラップ層3への熱の伝達を断熱層6にて遮断することで、シリコントラップ層3の温度上昇を抑制し、シリコントラップ物質の物性変化によるシリコントラップ機能の低下を防いで、検知感度の低下を防ぐことができる。
このように断熱層6を設ける場合、断熱層6を無機多孔質体で形成することができる。この場合、断熱層6に高い断熱性能を付与することができる。
また、このように断熱層6を設ける場合、前記シリコントラップ層3が白金を含有するシリカ粒子の焼結体である場合には、水素ガスセンサは、感応部2の設定温度が110〜400℃の範囲となるように感応部に電圧を印加する測定回路を具備することが好ましい。この場合、感応部2により良好な水素検知感度が得られると共に、シリコントラップ層3の温度上昇を抑制し、シリコントラップ層3が高温になることによる水素ガス感度の低下を抑制することができる。このため長期間に亘ってシリコン耐久性を維持することができる。
また、このようにシリコントラップ層3を感応部2の表面と接触させる場合、前記シリコントラップ層3がシリコントラップ物質として活性炭を含有する場合には、感応部の設定温度が110〜250℃の範囲となるように感応部に電圧を印加する測定回路を具備することが好ましい。この場合、感応部2により良好な水素検知感度が得られると共に、シリコントラップ層3の温度上昇を抑制し、シリコントラップ層3が高温になることによる水素ガス感度の低下を抑制することができる。このため長期間に亘ってシリコン耐久性を維持することができる。
本発明の第1の実施形態を示すものであり、(a)(b)は断面図である。 本発明の第2の実施形態を示すものであり、(a)乃至(c)は断面図である。 本発明の第1又は第2の実施形態の水素ガスセンサを示す、一部省略せる正面図である。 同上の水素ガスセンサの外観斜視図である。 同上の水素ガスセンサの断面図である。 本発明の第3の実施形態の水素ガスセンサを示す、一部省略せる正面図である。 同上の水素ガスセンサを用いた測定回路の回路図である。 従来の接触燃焼式のガスセンサの一部破断せる外観斜視図である。 実施例1〜7及び比較例1において、水素ガスセンサの検知感度の水素濃度依存性を測定した結果を示すグラフである。 実施例8〜10及び比較例1において、水素ガスセンサの検知感度の水素濃度依存性を測定した結果を示すグラフである。 実施例1〜5,7及び比較例1において、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例8〜10及び比較例1において、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例8〜10において、動作電圧を変更した場合の、水素ガスセンサの検知感度の水素濃度依存性を測定した結果を示すグラフである。 実施例1において、動作電圧を変更した場合の、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例6において、動作電圧を変更した場合の、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例8において、動作電圧を変更した場合の、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例9において、動作電圧を変更した場合の、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例10において、動作電圧を変更した場合の、シリコン被毒を受けた場合の水素ガスセンサの検知感度の変化を測定した結果を示すグラフである。
本発明を詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について図1を参照して説明する。
この水素ガスセンサの検知用素子1は、感応部2及びシリコントラップ層3を備える。
感応部2は、通電によるジュール熱で加熱される機能と、加熱された状態で水素ガスを燃焼させる機能と、水素ガスの燃焼熱による温度上昇に応じて電気抵抗が変化し、この電気抵抗の変化を水素ガスの濃度検知信号として出力する機能とを、備える。
本実施形態では、感応部2は発熱抵抗体4のみで構成される。このため、本実施形態における発熱抵抗体4は、通電によるジュール熱で加熱される機能と、水素ガスの燃焼熱による温度上昇に応じて電気抵抗が変化し、この電気抵抗の変化を水素ガスの濃度検知信号として出力する機能とを、備える。
この発熱抵抗体4は、白金、ジルコニア安定化白金等の白金合金等の、触媒活性を有する金属にて形成することができる。
図1(a)に示す例では、触媒活性を有する金属の金属線をコイル状に成形して発熱抵抗体4を形成している。この場合、金属線の線径を10〜50μmの範囲とし、巻数は5〜30ターンとすることができる。尚、発熱抵抗体4を直線状に形成し、コイル状に巻く作業を削減しても良い。この発熱抵抗体4の両端からは、金属線からなる端子部7が延出している。
この発熱抵抗体4の表面は水素燃焼触媒活性を有する必要がある。触媒活性が不十分である場合には触媒活性を向上させる処理を施すことが好ましい。例えば発熱抵抗体4の表面に、塩化白金酸水溶液、硝酸パラジウム水溶液等から選択される活性化処理溶液を塗布し、800℃程度で焼成することにより、発熱抵抗体4の表面の触媒活性を向上することができる。
シリコントラップ層3は、図1(b)に示すように、上記感応部2を覆うように形成される。シリコントラップ層3は、このシリコントラップ層3を通過する気体(検知対象のガス)中からシリコン化合物を捕捉して除去する機能を有する。
シリコントラップ層3は、検知対象のガスが通過するように多孔質の成形体にて形成することが好ましい。このシリコントラップ層3中には、シリコン化合物を捕捉する機能を有する物質(以下、シリコントラップ物質という。)を含有させる。シリコントラップ物質としては白金、活性炭等を挙げることができる。これらのシリコントラップ物質はシリコントラップ層3中に分散して存在することが好ましい。シリコントラップ層3は、上記感応部2全体を覆い、且つこの感応部2の表面に接触するように形成されている。
このようなシリコントラップ層3の具体的な形態の例として、(1)無機多孔質体中に白金を含有させて構成されるもの、(2)活性炭の成形体にて構成されるもの、(3)活性炭の成形体中に白金を含有させて構成されるものを、挙げることができる。これらの具体的な形成方法を下記に示す。
(1)無機多孔質体中に白金を含有させて構成されるシリコントラップ層
このシリコントラップ層3の形成方法の一例は次の通りである。アルミナゾル、コロイダルシリカ等の無機酸化物粉体のゾルと、塩化白金酸の混合物とを混合した混合物を調製する。この混合物を、感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、好ましくは300〜500℃で焼成する。これにより、無機多孔質体中に白金が含有された構造を有するシリコントラップ層3が形成される。
このシリコントラップ層3の形成方法の他の一例は次の通りである。アルミナ(γアルミナ等)、シリカ等の無機酸化物粉体に白金を担持させる。このとき例えばアルミナやシリカ等の粉体に塩化白金酸溶液を加え、加熱して水分を除去した後、300〜500℃で熱処理することにより無機酸化物粉体に白金を担持させることができる。次に、この白金を担持した無機酸化物粉体に、水とバインダーとを混合して、ペースト状の混合物を調製する。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、好ましくは300〜500℃で焼成する。これにより、白金を含有する無機多孔質体からなるシリコントラップ層3が形成される。
上記無機酸化物粉体としては、特にシリコン化合物との親和性の高いシリカ粒子を用いることが好ましい。シリカ粒子の粒径は0.5〜5μmの範囲であることが好ましい。この場合、無機多孔質体からなるシリコントラップ層3の成形性が良好となる。また、前記シリカ粒子は多孔質の粒子であることが好ましい。この場合のシリカ粒子の比表面積(ガス吸着法にて測定されるBET比表面積)は200〜800m2/gの範囲であることが好ましい。この場合、シリコントラップ層3中に多量のシリコントラップ物質を分散性良く担持することができる。またシリカ粒子の細孔径(ガス吸着法にて測定される平均細孔径)は3〜30nmの範囲であることが望ましい。この場合、シリコントラップ層3のシリコントラップ能力が高くなる。
ここで、前記バインダーとしてはアルミナゾル、シリカゾル等の無機酸化物粉体のゾルを用いることができる。このバインダーの添加量は、前記ペースト状の混合物を感応部2に塗布可能であり、且つこの混合物を焼結させて得られるシリコントラップ層3の形状を保持可能な程度に、適宜調整される。但し、この添加量が過剰であるとシリコントラップ層3中の細孔が塞がれて多孔質構造を維持できなくなるおそれがある。このため、バインダーの添加量は、必要最小限の量であることが好ましい。
これらのシリコントラップ層3中における白金の含有量は、塩化白金酸の使用量を調整することにより制御できる。シリコントラップ層3中の白金の含有量は5〜30重量%の範囲が好ましい。この場合、シリコントラップ層3に十分なシリコントラップ能力を付与し、検知用素子1に十分なシリコン耐久性を付与することができる。この含有量が5重量%に満たないとシリコントラップ層3に十分なシリコントラップ能力が付与されないおそれがある。またこの含有量が30重量%を超えると感応部2とシリコントラップ層3との間で電気伝導が生じるおそれがあり、その結果、検知感度が低下するおそれがある。
このシリコントラップ層3は、外径寸法が0.3〜1mmの範囲であることが好ましい。この場合、シリコントラップ層3に十分なシリコントラップ性能を付与すると共に、高い応答性を発揮することができる。このシリコントラップ層3の寸法が小さすぎるとシリコン化合物を捕捉・除去する性能が十分に得られないおそれがあり、この寸法が大きすぎると、検知素子1の製造時における寸法のコントロールが難しくなると共に、機械的強度が低下したり、応答性が低下したりするおそれがある。
また、このシリコントラップ層3が、白金を含有するシリカ粒子の焼結体である第一層と、白金を含有するシリカ粒子の焼結体である第二層とから成るものであっても良い。このとき、第二層は前記第一層の外層に設け、且つ第一層よりも白金含有量が多くなるようにする。この場合、白金含有量の高い第二層によってシリコントラップ層3に十分なシリコントラップ性能を付与することができる。このとき第二層の白金含有量を最大で45重量%にすることができる。また、同時に、白金含有量の低い第一層によって感応部2とシリコントラップ層3との間で電気伝導が生じることを抑制し、前記電気伝導による検知感度の低下を防止することができる。
第一層と第二層の寸法は適宜設定される。このとき、第一層は感応部2全体を覆うことができる程度の寸法であれば良い。第一層の寸法に対して第二層の寸法を大きくする程、シリコントラップ層に高いシリコントラップ性能を付与することができる。例えば第一層の外径寸法を0.3mmとすると共に、シリコントラップ層3全体の外径寸法を1mmとして、第二層の寸法を大きく形成することで、シリコントラップ層3に高いシリコントラップ性能を付与することができる。
この水素ガスセンサは、上記検知用素子1に加え、図3〜5に示すようにステム10a,10b、ベース11及び保護キャップ12を備えている。
ベース11は合成樹脂により円盤状に形成される。2本のステム10a,10bはベース11を上下方向に貫通するようにベース11にインサート成形されている。この2本のステム10a,10bには感応部2の両端から延出される端子部7,7が固着されている。この端子部7,7はステム10a,10bのべース4の上面から突出する部位に、溶接などの方法で固着される。
保護キャップ12は下面側の端部が開口した略円筒状の形状を有する。保護キャップ12の材質は、金属製、樹脂製の、いずれでも良い。この保護キャップ12の開口部にはベース11が圧入固定され、保護キャップ12の内部には検知用素子1が収容されている。保護キャップ12の上面中央には、丸孔状の通気孔13が貫設されている。通気孔13には、防爆の目的で、100メッシュのステンレス製の金網14が張設されている。
上記ステム10a,10bは測定回路に接続される。測定回路は、ステム10a,10b間に略一定の電圧を印加すると共に、この場合のステム10a,10b間に流れる電流値を測定する。
このように構成される水素ガスセンサでは、水素ガスの測定時に測定回路によりステム10a,10b間に略一定の電圧を印加する。これにより感応部2を所定の温度に加熱する。前記所定の温度は、感応部2を構成する発熱抵抗体4の表面で水素が燃焼する温度に適宜設定される。
但し、この温度が高すぎると、感応部2から伝達される熱にてシリコントラップ層3の温度が上昇し、それに起因する悪影響が生じる場合がある。すなわち、シリコントラップ層3が高温になるとシリコントラップ層3中で白金の凝集が生じることで、シリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉する機能が低下し、シリコン化合物にて被毒されて水素ガス感度が低下するおそれがある。
そのため、測定回路によって感応部2に印加される電圧(動作電圧)は、シリコントラップ層3の温度上昇による水素ガス感度の低下が生じず、且つ感応部2によって十分な水素感度が得られるような範囲であることが好ましい。具体的には、測定回路は、感応部2の温度(設定温度)が110〜350℃の範囲となる条件で、感応部2に電圧を印加する。
感応部2の設定温度が110〜350℃の範囲となる条件とは、単独の感応部2、すなわちシリコントラップ層3に覆われていない状態の感応部2に、20℃の不活性雰囲気下で電圧を印加した場合に、感応部2の温度が110〜350℃となる条件をいう。従って、感応部2の設定温度は、水素ガスセンサを実際に使用する場合の感応部2の現実の温度とは異なる。
感応部2の設定温度が110〜350℃の範囲となる条件での印加電圧は、予め実測により求めることができる。この印加電圧の導出方法の一例を以下に示す。
20℃の不活性雰囲気下で感応部2に電圧を印加し、感応部2の印加電圧の変化に対する、感応部2に通電する電流の変化を測定する。前記印加電圧と電流に基づいて感応部の電気抵抗値を導出する。これにより、印加電圧の変化に対する感応部2の電気抵抗値の変化を導出する。
感応部2の電気抵抗値は感応部2の温度に依存して変化するため、感応部2の電気抵抗値から感応部2の温度が導き出される。すなわち、t℃での感応部2の電気抵抗値Rが既知である場合、T℃での感応部の電気抵抗値Rは、R=R×{1+C×(T−t)}の式で導かれる。式中のCは感応部2の抵抗温度係数である。
そのため、印加電圧の変化に対する感応部2の電気抵抗値の変化に基づき、印加電圧の変化に対する感応部2の温度変化を導出することができる。そして、感応部2の温度が110〜350℃の範囲の所望の温度となる場合の、印加電圧の値を導出する。この導出された印加電圧を、測定回路にて感応部2に印加される動作電圧とするものである。
このように感応部2に電圧が印加された状態で、保護キャップ12の通気孔13から保護キャップ12の内部に、検知対象のガスを導入する。この検知対象のガスは、シリコントラップ層3を通過して感応部2に到達する。
上記検知対象のガス中にシリコン化合物の蒸気が含まれている場合には、このシリコン化合物がシリコントラップ層3で捕捉されて除去され、感応部2がシリコン化合物にて被毒されることが防止される。
また、検知対象のガス中に水素ガスが含まれていると、この水素ガスはシリコントラップ層3を通過して感応部2に到達し、感応部2表面の白金の触媒作用によって感応部2の表面で水素ガスが燃焼する。このとき、シリコントラップ層3中にも白金は存在するが、上記の感応部2の設定温度が110〜350℃の範囲である場合にはシリコントラップ層3の温度上昇が抑制されることから、シリコントラップ層3では水素の燃焼は生じない。
このように感応部2の表面で水素が燃焼すると、燃焼熱によって感応部2の温度が上昇し、温度上昇に応じて電気抵抗が増加する。測定回路はこの感応部2の電気抵抗の変化量を測定すると共に、この電気抵抗の変化量に基づいて水素ガスのガス濃度を導出する。
本実施形態では、上記のように発熱抵抗体4の温度を、この発熱抵抗体4と直接接触しているシリコントラップ層3が高温とならない温度とする必要がある。しかし、後述する第2の実施形態のような断熱層6を設けていないため、断熱層6によって検知対象のガスが感応部2に到達することが阻害されることはない。このため、検知対象のガスが感応部2に到達しやすくなり、高い検知感度が期待できる。
(2)活性炭の成形体にて構成されるシリコントラップ層
微粉状活性炭に、水とバインダーとを混合して、ペースト状の混合物を調製する。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、好ましくは200〜300℃で焼成する。これにより、活性炭の成形体にて構成されるシリコントラップ層3が形成される。
ここで、前記微粉状活性炭としては、例えば比表面積が1000m2程度の粒状活性炭を乳鉢ですりつぶして微粉状に粉砕したものを用いることができる。また前記バインダーとしては、アルミナゾル、コロイダルシリカ等の無機酸化物粉体のゾルを用いることができる。バインダーの添加量は、前記ペースト状の混合物を感応部2に塗布可能であり、且つこの混合物を焼結させて得られるシリコントラップ層3の形状を保持可能な程度に、適宜調整される。但し、この添加量が過剰であると、シリコントラップ層3中の活性炭の細孔が塞がれて活性炭の表面積が低下し、シリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉する能力が低下するおそれがある。このため、バインダーの添加量は、必要最小限の量とすることが好ましい。
このシリコントラップ層3は、外径寸法が0.3〜1mmの範囲であることが好ましい。この場合、シリコントラップ層3に十分なシリコントラップ性能を付与すると共に、高い応答性を発揮することができる。このシリコントラップ層3の寸法が小さすぎるとシリコン化合物を捕捉・除去する性能が十分に得られないおそれがあり、この寸法が大きすぎると、検知素子1の製造時における寸法のコントロールが難しくなると共に、機械的強度が低下したり、応答性が低下したりするおそれがある。
このように構成される検知用素子1に加え、上記と同様に図3〜5に示すようにステム10a,10b、ベース11及び保護キャップ12を設けると共にステム10a,10bに測定回路を接続することで、水素ガスセンサが構成される。水素ガス測定時には、測定回路は、感応部2の温度が水素ガス感度の低下が生じない範囲となるように発熱抵抗体4に電圧を印加する。
但し、この温度が高すぎると、感応部2から伝達される熱にてシリコントラップ層3の温度が上昇し、それに起因する悪影響が生じる場合がある。すなわち、シリコントラップ層3が高温になるとシリコントラップ層3中の活性炭が変質してシリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉する機能が低下し、シリコン化合物にて被毒されて水素ガス感度が低下するおそれがある。
そのため、測定回路によって感応部2に印加される電圧(動作電圧)は、シリコントラップ層3の温度上昇による水素ガス感度の低下が生じず、且つ感応部2によって十分な水素感度が得られるような範囲であることが好ましい。具体的には、測定回路は、感応部2の温度(設定温度)が110〜200℃の範囲となる条件で、感応部2に電圧を印加する。
感応部2の設定温度が110〜200℃の範囲となる条件とは、単独の感応部2、すなわちシリコントラップ層3に覆われていない状態の感応部2に、20℃の不活性雰囲気下で電圧を印加した場合に、感応部2の温度が110〜200℃となる条件をいう。従って、感応部2の設定温度は、水素ガスセンサを実際に使用する場合の感応部2の現実の温度とは異なる。
(3)活性炭の成形体中に白金を含有させて構成されるシリコントラップ層
微粉状活性炭に白金を担持させる。この場合、微粉状活性炭を塩化白金酸水溶液中に浸漬して放置する。この微粉状活性炭を浸漬した塩化白金酸水溶液を濾過し、濾別した微粉状活性炭を好ましくは200〜300℃に加熱することで、白金を坦持した微粉状活性炭が得られる。
この白金を担持した微粉状活性炭に水及びバインダーを加えてペースト状の混合物を調製する。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、好ましくは200〜300℃で焼成する。これにより、活性炭の成形体中に白金を含有させて構成されるシリコントラップ層3が形成される。
シリコントラップ層3中における白金の含有量は塩化白金酸の使用量を調整することにより制御できる。シリコントラップ層3中の白金の含有量は高い程、シリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉・除去する能力が向上するが、好ましくは、この含有量を、5〜30重量%の範囲とする。
ここで、微粉状活性炭としては、例えば比表面積が1000m2程度の粒状活性炭を乳鉢ですりつぶして微粉状に粉砕したものを用いることができる。また、前記バインダーとしては、アルミナゾル、コロイダルシリカ等の無機酸化物粉体のゾルを用いることができる。このバインダーの添加量は、前記ペースト状の混合物を感応部2に塗布可能であり、且つこの混合物を焼結させて得られるシリコントラップ層3の形状を保持可能な程度に、適宜調整される。但し、この添加量が過剰であると、シリコントラップ層3中の活性炭の細孔が塞がれて活性炭の表面積が低下し、シリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉する能力が低下するおそれがある。このため、バインダーは必要最小限の量を添加することが好ましい。
このシリコントラップ層3は、外径寸法が0.3〜1mmの範囲であることが好ましい。この範囲において、シリコントラップ層3に十分なシリコントラップ性能を付与すると共に、高い応答性を発揮することができる。このシリコントラップ層3の寸法が小さすぎるとシリコン化合物を捕捉・除去する性能が十分に得られないおそれがあり、この寸法が大きすぎると、検知素子1の製造時における寸法のコントロールが難しくなると共に、機械的強度が低下したり、応答性が低下したりするおそれがある。
このように構成される検知用素子1に加え、上記と同様に図3〜5に示すようにステム10a,10b、ベース11及び保護キャップ12を設けると共にステム10a,10bに測定回路を接続することで、水素ガスセンサが構成される。水素ガス測定時には、測定回路は、感応部2の温度が水素ガス感度の低下が生じない範囲となるように発熱抵抗体4に電圧を印加する。
但し、この温度が高すぎると、感応部2から伝達される熱にてシリコントラップ層3の温度が上昇し、それに起因する悪影響が生じる場合がある。すなわち、シリコントラップ層3が高温になるとシリコントラップ層3中の活性炭が変質してシリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉する機能が低下し、シリコン化合物にて被毒されて水素ガス感度が低下するおそれがある。
そのため、測定回路によって感応部2に印加される電圧(動作電圧)は、シリコントラップ層3の温度上昇による水素ガス感度の低下が生じず、且つ感応部2によって十分な水素感度が得られるような範囲であることが好ましい。具体的には、測定回路は、感応部2の温度(設定温度)が110〜200℃の範囲となる条件で、感応部2に電圧を印加する。
感応部2の設定温度が110〜200℃の範囲となる条件とは、単独の感応部2、すなわちシリコントラップ層3に覆われていない状態の感応部2に、20℃の不活性雰囲気下で電圧を印加した場合に、感応部2の温度が110〜200℃となる条件をいう。従って、感応部2の設定温度は、水素ガスセンサを実際に使用する場合の感応部2の現実の温度とは異なる。
本実施形態では、上記のように発熱抵抗体4の温度を、この発熱抵抗体4と直接接触しているシリコントラップ層3が高温とならない温度とする必要がある。しかし、後述する第2の実施形態のような断熱層6を設けていないため、断熱層6によって検知対象のガスが感応部2に到達することが阻害されることはない。このため、検知対象のガスが感応部2に到達しやすくなり、高い検知感度が期待できる。
(第2の実施形態)
本発明に係る第2の実施形態について、図2を参照して説明する。
この水素ガスセンサの検知用素子1は、感応部2、断熱層6、シリコントラップ層3を備える。
感応部2は、図2(a)に示すように、第1の実施形態と同一の機能及び同一の構造を有するものであり、第1の実施形態と同一の方法で形成することができる。
断熱層6は、図2(b)に示すように、感応部2全体を覆い、且つこの感応部2の表面に接触するように形成する。この断熱層6は、感応部2とシリコントラップ層3との間に介在させて設ける。断熱層6は、シリコントラップ層3を通過した気体を更に感応部2まで通過させる機能と、感応部2とシリコントラップ層3との間の熱の移動を抑制する機能とを有する。
断熱層6は、アルミナ(γ−アルミナ等)やシリカ等からなる無機多孔質体にて形成することができる。
断熱層6の形成方法の一例は、次の通りである。アルミナゾル、コロイダルシリカ等の無機酸化物粉体のゾルに、必要に応じて有機物微粒子を混入する。このゾルを、感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、好ましくは300〜400℃で焼成することにより、断熱層6を形成することができる。
上記有機物微粒子は、断熱層6の気孔率を調整するために必要に応じて用いられる。有機物微粒子としては、断熱層6の形成過程における焼成で炭化消失するものが用いられる。具体的には酢酸セルロース等の材質からなるものを用いることができる。有機物微粒子の粒径及び使用量は、断熱層6に要求される気孔率に応じて適宜設定されるが、例えば粒径1μm程度のものを使用し、この有機微粒子の混合率を適宜調整することで、断熱層6の気孔率が10〜50%程度となるようにすることができる。
断熱層6の形成方法の他の一例は、次の通りである。アルミナ(γアルミナ等)、シリカ等の無機酸化物粉体に、水及びバインダーを混合し、更に必要に応じて有機物微粒子を混合し、ペースト状の混合物を調製する。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、300〜400℃で焼成することにより、断熱層6を形成することができる。
ここで、前記バインダーとしてはアルミナゾル、シリカゾル等の無機酸化物粉体のゾルを用いることができる。このバインダーの添加量は前記ペースト状の混合物を感応部2に塗布可能であり、且つこの混合物を焼結させて得られる断熱層6の形状を保持可能な程度に、適宜調整される。但し、この添加量が過剰であると断熱層6中の細孔が塞がれて多孔質構造を維持できなくなるおそれがある。このため、バインダーの添加量は、必要最小限の量であることが好ましい。
この場合の上記有機物微粒子も、断熱層6の気孔率を調整するために必要に応じて用いられ、上記と同様のものが用いられる。有機物微粒子の粒径及び使用量は、断熱層6に要求される気孔率に応じて適宜設定される。
このような断熱層6の気孔率及び寸法は、感応部2とシリコントラップ層3との間の熱の移動を十分に抑制することができる範囲で決定される。例えば気孔率を10〜50%の範囲とし、外径寸法を0.2〜0.3mmの範囲とすれば、十分な断熱作用を発揮する。
シリコントラップ層3は、第1の実施形態では、図1(b)に示すように、発熱抵抗体4のみからなる感応部2全体を覆い、且つこの感応部2の表面に接触するように形成するのに対して、第2の実施形態では、図2(c)に示すように、断熱層6全体を覆い、且つこの断熱層6の表面に接触するように形成するものである。このため、感応部2とシリコントラップ層3との間には断熱層6が介在する。この相違点を除けば、シリコントラップ層3は、第1の実施形態におけるシリコントラップ層3と同一の機能及び同一の構造を有し、第1の実施形態と同一の方法にて形成することができる。この場合のシリコントラップ層3の寸法は、断熱層6とシリコントラップ層3を合わせた外径寸法が0.3〜0.7mmの範囲となるようにすることが好ましい。シリコントラップ層3の寸法が大きい程、シリコントラップ層3によるシリコン化合物を捕捉・除去する能力が向上する。
上記のように構成される検知用素子1に加え、本実施形態に係る水素ガスセンサは、第1の実施形態と同様に、図3〜5に示すように、ステム10a,10b、ベース11及び保護キャップ12を備え、ステム10a,10b間に測定回路が接続されている。水素ガス測定時には、測定回路は、感応部2の温度が水素ガス感度の低下が生じない範囲となるように発熱抵抗体4に電圧を印加する。この温度が高すぎると、感応部2から伝達される熱にてシリコントラップ層3の温度が上昇し、それに起因する悪影響が生じる場合がある。
しかしながら、本実施形態では、断熱層6により発熱抵抗体4からシリコントラップ層3への熱の伝達が抑制されるため、シリコントラップ層3の温度上昇が抑制される。このため、本実施形態では、第1の実施形態の場合よりも感応部2の温度を高温にしても、シリコントラップ層3の温度上昇に起因する水素ガス感度の低下を抑制することができる。
具体的には、シリコントラップ層3が白金を含有するシリカ粒子の焼結体である場合には、測定回路は、感応部2の温度(設定温度)が110〜400℃の範囲となる条件で、感応部2に電圧を印加することが好ましい。また、シリコントラップ層3がシリコントラップ物質として活性炭を含有する場合には、測定回路は、感応部の温度(設定温度)が110〜250℃の範囲となる条件で、感応部2に電圧を印加することが好ましい。
感応部2の設定温度が110〜400℃の範囲となる条件、及び110〜250℃の範囲となる条件とは、単独の感応部2、すなわちシリコントラップ層3に覆われていない状態の感応部2に、20℃の不活性雰囲気下で電圧を印加した場合に、感応部2の温度が前記範囲となる条件をいう。従って、感応部2の設定温度は、水素ガスセンサを実際に使用する場合の感応部2の現実の温度とは異なる。
この状態で、保護キャップ12の通気孔13から保護キャップ12の内部に、検知対象のガスを導入する。この検知対象のガスは、シリコントラップ層3及び断熱層6を通過して感応部2に到達する。このとき、検知対象のガス中にシリコン化合物の蒸気が含まれている場合には、このシリコン化合物がシリコントラップ層3で捕捉されて除去され、感応部2がシリコン化合物にて被毒されることが防止される。このため、感応部2がシリコン化合物に被毒されて検知感度が低下することを抑制することができる。
そして、検知対象のガス中に水素ガスが含まれていると、この水素ガスが発熱抵抗体4に到達し、発熱抵抗体4の表面の触媒作用によって、水素ガスが燃焼する。この時、水素ガスの燃焼熱によって発熱抵抗体4の温度が上昇する。この温度上昇に応じて発熱抵抗体4の電気抵抗が増加する。測定回路はこの発熱抵抗体4の電気抵抗の変化量を測定すると共に、この電気抵抗の変化量に基づいて水素ガスのガス濃度を導出する。
本実施形態では、上記のように断熱層6を形成しているため、断熱層6により検知対象のガスの通過が阻害される面はあるが、感応部2の温度を高温にすることができるため、感応部2の温度を高温にした場合には感応部2における水素燃焼効率を向上することができ、高い検知感度が期待できる。
(第3の実施形態)
上記のような各実施形態において、水素ガスセンサには、検知用素子1に加えて、補償用素子15を設けることができる。本実施形態は、第1及び第2の実施形態のようにビーズ型の検知用素子1を設けた場合において、図6に示すように、補償用素子15を設けたものである。
この補償用素子15は、感応部2に代えて、加熱された状態で水素ガスを燃焼させる機能を有しない(水素燃焼触媒活性を有しない)以外は感応部2と同一の構造を有する非感応部を有する以外は、この水素ガスセンサに設けられている検知用素子1と同一の構造を有している。
すなわち、第1の実施形態又は第2の実施形態の場合は、各実施形態における発熱抵抗体4に、水素ガスに対する燃焼活性を無くすための処理を施す。例えば白金線等からなる発熱抵抗体4の表面を事前にシリコン蒸気で被毒したり、発熱抵抗体4の表面に適当量の塩化金酸液を塗布して発熱抵抗体4の表面の白金を金と合金化するなどして、白金の水素燃焼触媒活性を低下させる処理を施す。それ以外は検知用素子1と同一の構造及び寸法を有する補償用素子15を設ける。
この補償用素子15は水素ガスに対する燃焼活性を無くしているので、補償用素子15を検知用素子1と同じ温度に加熱したとしても補償用素子15において水素ガスが燃焼することはないから、燃焼熱による温度上昇が発生しない。また補償用素子15は検知用素子1と同一の材料で形成されているので、検知用素子1と同一の温度−抵抗特性を有している。このため、補償用素子15の抵抗値を用いて雰囲気温度変化等の雰囲気条件を補正することで、燃焼熱による検知用素子1の抵抗値変化をより正確に測定することができ、水素ガスの検知精度が向上する。
本実施形態では、三本のステム10a,10b,10cを設けている。検知用素子1の端子部7と補償用素子15の端子部16は、それぞれ二つのステム10a,10b,10cに接続される。このとき、検知用素子1の一方の端子部7と、補償用素子15の一方の端子部16とは、それぞれ別のステム10a,10cに接続されているが、検知用素子1の他方の端子部7と、補償用素子15の他方の端子部16とは、同一のステム10bに接続されている。検知用素子1の端子部7及び補償用素子15の端子部16は、これらのステム10a,10b,10cを介して測定回路に接続される。
尚、本実施形態では発熱抵抗体42と補償用素子15とを同じケースの内部に収納しているので、検知用素子1と補償用素子15の雰囲気条件をほぼ同じにでき、補償用素子15の抵抗値を用いて検知用素子1の出力を正確に補正することが可能であるが、検知用素子1と補補償用素子15との雰囲気条件をほぼ同じにできるのであれば、別々のケースに収納しても良い。
(測定回路)
上記各実施形態に適用できる測定回路の例を、図7に示す。
この測定回路では、検知用素子1と補償用素子15と固定抵抗17,18とでブリッジ回路を形成し、ブリッジ回路の出力端子c,d間の電圧Vcを測定することによって発熱抵抗体4の抵抗値変化を求め、この抵抗値変化から水素ガス濃度を検出できる。
補償用素子15は、上記のように温度特性および湿度特性は検知用素子1と略同じであるが、水素燃焼触媒活性を有しないため水素ガスには反応しない。図示のブリッジ回路では、端子a,b間に検知用素子1および補償用素子15の直列回路と、固定抵抗17,18の直列回路とをそれぞれ接続してある。また端子a,b間に平衡調整用の可変抵抗19を接続し、この可変抵抗19の中間タップを固定抵抗17,18の中間点に接続している。また端子a,b間には可変抵抗20とスイッチSWとを介して直流電源E1を接続してあり、可変抵抗20の抵抗値を調整することで、端子a,b間に印加する電圧を調整している。
而して、この測定回路では可変抵抗20の抵抗値を調整することによって、感応部2に流れる電流が変化してその発熱量が調整されるから、雰囲気中に水素ガスが存在しない状態で可変抵抗20の抵抗値を調整して、感応部2の設定温度が所定の温度となるような電圧を感応部2に印加する。この状態で可変抵抗19を調整して、ブリッジ回路の平衡状態を維持させる。その後、感応部2に水素ガスが到達すると水素ガスが燃焼し、感応部2の電気抵抗が増加する。一方、補償用素子15は水素燃焼触媒活性を有しないため、補償用素子15では水素ガスは燃焼せず、補償用素子15の電気抵抗は変化しない。したがって、検知用素子1と補償用素子15との間で金属線の電気抵抗に抵抗差が発生し、出力端子c,d間にブリッジ電圧が発生する。このブリッジ電圧は水素ガスのガス濃度に比例して出力されるので、このブリッジ電圧を検出することによって水素ガスのガス濃度を検出することができる。
上記のように本発明の実施形態を挙げたが、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、本発明は、添付クレームにおいて限定した以外は、特定の実施形態に制約されるものではない。
以下、本発明を実施例にて更に詳述する。
(実施例1)
線径20μmの白金線を、コイル径200μm、コイル長450μm、ターン数10のコイル状に成形して、発熱抵抗体4のみからなる感応部2を形成した。この発熱抵抗体4の表面には、濃度30g/Lの塩化白金酸水溶液を塗布し、800℃程度で焼成することにより、発熱抵抗体4の表面の触媒活性を向上させた。
一方、粒径を0.3〜3μmの範囲に分級したシリカゲル粉末(比表面積600m2/g、細孔径10nm)を1.0g秤量し、塩化白金酸水溶液を白金換算で0.2g秤量した。このシリカゲル粉末と塩化白金酸水溶液を混合し、この混合物から水分を蒸発させた後、電気炉にて600℃で10分間焼成した。得られた焼成物を乳鉢で粉砕した後、シリカゾル0.3cm3と適量の水を加え、ペースト状の混合物を調製した。
このようにして調製された混合物を、上記感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆った。これを風乾した後、電気炉で600℃で5分間焼成して、外径が0.6mmの球状で、白金含有量17重量%のシリコントラップ層3を形成した。
以上のようにして第1の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例2〜5)
上記シリカゲル粉末として、実施例2では細孔径が3nm、実施例3では6nm、実施例4では30nm、実施例5では60nmのものをそれぞれ用い。それ以外は、実施例1と同様にして、第1の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例6)
感応部2は、実施例1と同一のものを形成した。
アルミナゾルに、有機物微粒子として粒径1μm程度の酢酸セルロースを50重量%の割合で混入し、混合物を調製した。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、1000℃で焼成することにより、気孔率50%、短径0.3mm、長径0.5mmの断熱層6を形成した。
この断熱層6の外面に、実施例1と同一の手法により、白金と活性炭とを含むシリコントラップ層3を形成し、外径0.85mmの球状とした。
以上のようにして第2の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例7)
感応部2は、実施例1と同一のものを形成した。
粒径を0.3〜3μmの範囲に分級したシリカゲル粉末(比表面積600m2/g、細孔径10nm)を1.0g秤量し、塩化白金酸水溶液を白金換算で0.2g秤量した。このシリカゲル粉末と塩化白金酸水溶液を混合し、この混合物から水分を蒸発させた後、電気炉にて600℃で10分間焼成した。得られた焼成物を乳鉢で粉砕した後、シリカゾル0.3cm3と適量の水を加え、ペースト状の混合物Aを調製した。。
また、塩化白金酸水溶液の使用量を白金換算で0.5gとした以外は混合物Aと同様にして、ペースト状の混合物Bを調製した。
上記混合物Aを、上記実施例1と同様の感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆った。これを風乾した後、電気炉で600℃で5分間焼成して、短径0.3mm、長径0.4mm、白金含有量17重量%の第一層を形成した。
次いで、混合物Bを上記第一層の周囲に塗布してこの第一層の全体を覆った。これを風乾した後、電気炉で600℃で5分間焼成して、白金含有量33重量%の第二層を形成した。これにより、第一層と第二層とからなる、外径が0.6mmの球状のシリコントラップ層3を形成した。
以上のようにして第1の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例8)
感応部2は、実施例1と同一のものを形成した。
比表面積が1000m2の粒状活性炭を乳鉢ですりつぶして微粉状に粉砕した。この微粉状活性炭に、水とアルミナゾルとを加えて、ペースト状の混合物を調製した。
この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、350℃で焼成した。これにより、外径0.85mmの球状で、活性炭の含有量が95重量%以上のシリコントラップ層3を形成した。
以上のようにして第1の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例9)
感応部2は、実施例1と同一のものを形成した。
比表面積が1000m2の粒状活性炭を乳鉢ですりつぶして微粉状にした。この微粉状活性炭に塩化白金酸水溶液を加え、水分を除去した後、350℃で加熱することにより、微粉状活性炭に白金を担持させた。次に、この白金を担持させた微粉状活性炭に水とアルミナゾルとを加えて、ペースト状の混合物を調整した。
この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、350℃で焼成した。これにより、外径が1mmの球状で、白金含有量が5重量%のシリコントラップ層3を形成した。
以上のようにして第1の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(実施例10)
感応部2は、実施例1と同一のものを形成した。
アルミナゾルに、有機物微粒子として粒径1μm程度の酢酸セルロースを50重量%の割合で混入し、混合物を調製した。この混合物を感応部2の周囲に塗布してこの感応部2の全体を覆い、1000℃で焼成することにより、気孔率50%、短径0.3mm、長径0.5mmの断熱層6を形成した。
この断熱層6の外面に、実施例9と同一の手法により、白金と活性炭とを含むシリコントラップ層3を形成し、外径0.85mmの球状とした。
以上のようにして第2の実施形態に示す構造を有する検知用素子1を形成した。
(比較例1)
シリコントラップ層3を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、検知用素子1を形成した。すなわち、実施例1における感応部2のみで検知用素子1を形成した。
(水素検知感度評価試験)
各実施例並びに比較例1でそれぞれ得られた検知用素子1を、図7に示す測定回路に接続した。この測定回路において、検知用素子1と補償用素子抵抗にそれぞれ0.2Vの電圧がかかるようにしながら可変抵抗19を調整して、ブリッジ回路の平衡状態を維持させた。この場合の感応部2の設定温度は約110℃となる。
上記のような各実施例及び比較例における検知用素子1と補償用素子抵抗を、水素ガスを含む検知対象のガスに曝露し、水素濃度に対するブリッジ電圧(ブリッジ出力)の変化を測定した。その結果を図9及び図10に示す。
この結果、各実施例における水素ガスの検知感度は、比較例1の検知感度と同等であった。
(耐シリコン被毒性評価試験)
各実施例並びに比較例1でそれぞれ得られた検知用素子1を、図7に示す測定回路に接続した。この測定回路において、検知用素子1と補償用素子抵抗にそれぞれ0.2Vの電圧がかかるようにしながら可変抵抗19を調整して、ブリッジ回路の平衡状態を維持させた。この場合、検知用素子1の感応部2と補償用素子抵抗の設定温度は、約120℃となる。
上記のような各実施例及び比較例における検知用素子1と補償用素子抵抗を、通電状態のまま、ヘキサメチルジシロキサンを1000ppm、水素を5000ppm含むガス中に10日間曝露して検知用素子1をシリコン被毒させた。この間、一日につき一回、検知用素子1を水素ガスを10000ppm含み、ヘキサメチルジシロキサンを含まないガス中に暴露させた。尚、本試験では、ヘキサメチルジシロキサンと水素を含む雰囲気と、ヘキサメチルジシロキサンを含まないと共に水素を含む雰囲気とを交互に置換したものであるが、ヘキサメチルジシロキサンと水素を含む雰囲気へ置換する場合、雰囲気中のヘキサメチルジシロキサンの濃度は2〜3時間程度で100ppm程度まで低下したため、当該雰囲気中の実際のヘキサメチルジシロキサンの濃度は、平均100ppm程度であったと推察される。このときのブリッジ電圧を測定した。その結果を図11及び図12に示す。
この結果、比較例1では水素検知感度はほぼ瞬時に大きく低下して水素の検知が殆ど不可能なレベルにまで至ったのに対して、実施例1〜10では、顕著な水素検知感度の低下は認められなかった。
また、シリコントラップ層3の形成に用いたシリカゲル粉末の細孔径を変えた実施例1〜5のうち、細孔径が3〜30nmの範囲である実施例1〜4では、細孔径が60nmである実施例5と比較して、水素検知感度の低下幅が小さかった。
(温度特性評価)
実施例8〜10について、検知用素子1と補償用素子抵抗にそれぞれ0.4Vの電圧がかかるようにした以外は、上記水素検知感度評価試験と同一の試験を行った。この場合、検知用素子1の感応部2と補償用素子抵抗の設定温度は約240℃となる。
この結果を、実施例8〜10における上記水素検知感度評価試験の結果と共に、図13に示す。この図13において、動作電圧が0.2Vの場合の結果には(低温)と記入し、動作電圧が0.4Vのものについては(高温)と記入している。
この結果、実施例8〜10では、いずれも動作電圧が0.4Vの場合の方が検知出力の値及び勾配が大きく、高い水素検知感度が得られた。
また、実施例1,6,8〜10について、0.2V(設定温度約120℃)、0.3V(設定温度約180℃)、0.4V(設定温度約240℃)、0.5V(設定温度約320℃)、0.6V(設定温度約420℃)で動作させた。この状態で、それぞれ上記耐シリコン被毒性評価試験を行った。
実施例1の結果を図14に、実施例6の結果を図15に、実施例8の結果を図16に、実施例9の結果を図17に、実施例10の結果を図18に、それぞれ示す。
この結果、実施例1では動作電圧0.5Vまではシリコン被毒を受けないが、0.6Vからはシリコン被毒を受け始める。これは感熱部2で発生した熱でシリコントラップ層3中の白金成分が変質したために、シリコントラップ層3の能力が低下したと考えられる。これに対して、断熱層6を設けた実施例6では、供給電圧0.6Vでも検知感度の顕著な低下は認められなかった。
また、実施例8,9では、動作電圧0.4Vからシリコン耐久性が落ち始める。これは活性炭が熱変質したために、シリコントラップ層の能力が低下したと考えられる。これに対して、断熱層6を設けた実施例10では、動作電圧0.4Vの場合でもシリコン被毒による影響は認められず、動作電圧0.5Vとなってから、シリコン耐久性が落ち始めた。

Claims (5)

  1. 接触燃焼式の水素ガスセンサであって、以下の感応部とシリコントラップ層とを備える検知用素子を具備する。
    感応部、この感応部は、表面が水素燃焼触媒活性を有する貴金属コイルからなる発熱抵抗体のみで形成されたものであり、且つ、通電によるジュール熱で加熱される機能と、加熱された状態で水素ガスを燃焼させる機能と、水素ガスの燃焼熱による温度上昇に応じて電気抵抗が変化し、この電気抵抗の変化を水素ガスの濃度検知信号として出力する機能とを、備える。
    前記感応部を覆うシリコントラップ層、このシリコントラップ層は、シリコントラップ層を通過する気体中からシリコン化合物を捕捉する機能を有するシリコントラップ物質として白金を含有する、シリカ粒子の焼結体からなる無機多孔質体であり、前記感応部の表面と接触している。
  2. 請求項1に記載の水素ガスセンサにおいて、
    前記シリカ粒子の細孔径が、3〜30nmの範囲である。
  3. 請求項1又はに記載の水素ガスセンサにおいて、
    感応部の設定温度が110〜350℃の範囲となるように感応部に電圧を印加する測定回路を具備する。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水素ガスセンサにおいて、
    シリコントラップ層中に白金が5〜30重量%の範囲で含有されている。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水素ガスセンサにおいて、
    シリコントラップ層の外径寸法が0.3〜1mmの範囲である。
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