JPH0875692A - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents

接触燃焼式ガスセンサ

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JPH0875692A
JPH0875692A JP28624894A JP28624894A JPH0875692A JP H0875692 A JPH0875692 A JP H0875692A JP 28624894 A JP28624894 A JP 28624894A JP 28624894 A JP28624894 A JP 28624894A JP H0875692 A JPH0875692 A JP H0875692A
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gas sensor
gas
temperature
catalytic combustion
support
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JP28624894A
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English (en)
Inventor
Takeshige Ichimura
剛重 市村
Yasuyuki Kawada
泰之 河田
Koichi Tsuda
孝一 津田
Junko Numata
純子 沼田
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高感度で選択性が良好である上に信頼性にも優
れる一酸化炭素ガス用接触燃焼式ガスセンサを提供す
る。 【構成】ホィートストンブリッジ回路の枝辺にガス検知
部と温度補償部とを組み込む。ガス検知部は熱の不良導
体である支持体2に巻回された金属線条1と、金属線条
1を被覆する酸化燃焼層3からなるもので酸化燃焼層3
は金を担持した酸化第二鉄担体で構成する。温度補償部
は熱の不良導体である支持体に巻回された金属線条から
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は一酸化炭素ガスを選択
的に検出する接触燃焼式ガスセンサに係り、特に感度と
機械的な強度に優れる接触燃焼式ガスセンサの構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素ガスを検出するセンサとして
は現在、赤外線ガスセンサ,半導体式ガスセンサ,接触
燃焼式ガスセンサが知られている。赤外線ガスセンサは
赤外線のガス吸収を利用するものであり、高精度で信頼
性が高いが高価である。半導体式ガスセンサは酸化スズ
半導体のガス吸着を利用するものであり、かなり高感度
ではあるがガスの選択性に欠け安定性が悪い。接触燃焼
式ガスセンサは一酸化炭素ガスの燃焼熱を利用するもの
である。
【0003】図16は従来の接触燃焼式ガスセンサのガ
ス検知素子を示す要部破断斜視図である。白金コイル3
1の周囲に貴金属の担持されたアルミナ担体32が固着
される。図17は従来の接触燃焼式ガスセンサの検出回
路を示す結線図である。R1,2,はそれぞれ固定抵抗の
抵抗値であり、R3,4,はそれぞれ補償素子34とガス
検知素子33の抵抗値を示す。補償素子34はガス検知
素子33と同一の構造であるがガス検知素子の貴金属に
替えて酸化銅CuO が担持されている。
【0004】この検出回路には1.6ないし2Vの電圧
が印加されガス検知素子と補償素子は300ないし40
0℃に加熱される。可燃性ガスが存在しないときはホィ
ートストンブリッジ回路はバランスして、R1 ×R4
2 ×R3 の状態にあり、負荷35の示す電圧は0Vで
ある。雰囲気にアルコールを除く可燃性ガスが含まれる
とガス検知素子33において可燃性ガスが燃焼し、白金
コイルの温度が上昇しその抵抗値R4,が増大する。これ
に対し補償素子34においてはアルコールを除く可燃性
ガスは燃焼せずその抵抗値R3,は変化しない。このよう
にしてホィートストンブリッジ回路の平衡が破れて負荷
35に出力が発生する。
【0005】雰囲気にアルコールガスが含まれると、ア
ルコールガスはガス検知素子33と補償素子34の両方
で燃焼する。そのために抵抗R3,4,はともに増大して
ホィートストンブリッジ回路のバランスは崩れず出力を
生じない。このようにしてアルコールガスに対する補償
が行われる。白金コイルに固着するアルミナAl2O3 は補
償素子とガス検知素子の燃焼熱を保持して両者を同一の
温度に維持する。
【0006】またこの補償素子34は温度に対する補償
も行う。室温の変化により補償素子34またはガス検知
素子33の白金コイルの温度がそれぞれ変化しても両者
が同一の温度にあるかぎり温度係数が同一であるために
ホィートストンブリッジ回路の平衡は崩れない。このよ
うな従来の接触燃焼式ガスセンサのガス検知素子および
補償素子は次のようにして調製される。
【0007】直径0.06mmの白金線を用い外径0.
6mm,巻回数10ターン,長さ1.5mmのコイルを
製造する。白金コイルにアルミナ粉末とアルミナゾルの
混合したペーストを付着させ800℃で焼成してアルミ
ナ担体を白金コイルに固着させる。アルミナ担体に酸化
パラジウムと酸化白金の混合触媒溶液を含浸し、500
℃で加熱分解して、酸化パラジウムと酸化白金の混合触
媒をアルミナ担体に担持してガス検知素子33を製造し
た。
【0008】白金コイルにアルミナ粉末とアルミナゾル
の混合したペーストを付着させ800℃で焼成してアル
ミナ担体を白金コイルに固着させる。アルミナ担体に硫
酸銅溶液を含浸し、加熱分解して補償素子34を製作し
た。上述のような従来の接触燃焼式ガスセンサは動作原
理が簡単なこと、長期の安定性に優れていること、周囲
温度や湿度による影響が少ない等の特徴を有し、爆発災
害防止用として約300mWの消費電力で0.1ないし
1.0%の濃度範囲のガス検知に広く使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら近年、一
酸化炭素ガス成分については数100ppmレベルのガ
ス濃度の検出が要求されるに至り、従来の接触燃焼式ガ
スセンサではこの要求を満たすことができないという問
題があった。さらに従来の接触燃焼式ガスセンサでは白
金コイルで素子を保持しているために機械的な強度が小
さく接触燃焼式ガスセンサの落下に際して素子が破損す
るという問題があった。
【0010】この発明は上述の点に鑑みてなされ、その
目的は新規な接触燃焼式ガスセンサの構成を開発するこ
とにより、感度に優れる上に機械的な強度にも優れる一
酸化炭素ガス用接触燃焼式ガスセンサを提供することに
ある。さらに上記のガスセンサにおいて高感度化が容易
なガスセンサの構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的はホィートス
トンブリッジ回路の枝辺に組み込まれたガス検知部と温
度補償部を有し、ガス検知部は第1の支持体に巻回され
た金属線条と、金属線条を被覆する酸化燃焼層からなる
もので、前記酸化燃焼層は酸化第二鉄担体に金を担持し
たものであり、温度補償部は第2の支持体に巻回された
金属線条であるとすることにより達成される。
【0012】また上記の接触燃焼式ガスセンサにおい
て、第1と第2の支持体は同一の支持体からなりこの異
なる部分に近接してガス検知部と温度補償部を有すると
することにより達成される。さらに酸化燃焼層は金を担
持した酸化第二鉄の担体をコロイダルシリカにより結着
してなるとすることにより達成される。
【0013】また上記の接触燃焼式ガスセンサにおい
て、第1または第2の支持体に巻回された金属線条はア
ルミナ皮膜で被覆され支持体に固定されているものとす
る。また上記の接触燃焼式ガスセンサにおいて、ガス検
知素子と温度補償素子は金網とフィルタで囲まれてお
り、フィルタはガラス繊維濾紙または石英ガラス繊維濾
紙とポリフロンフィルタとを重ねたものである。
【0014】また上記の接触燃焼式ガスセンサにおい
て、金を担持した酸化第二鉄の粉末は200〜500メ
ッシュであることとする。
【0015】
【作用】支持体はガス検知部と温度補償部を機械的に強
固に固定する。酸化燃焼層は可燃性ガスを所定温度で選
択的に燃焼させ、金属線条の温度を上昇させる。ホィー
トストンブリッジ回路の出力Sは金属線条の示す抵抗変
化ΔRにほぼ比例する。金属線条が示す抵抗温度係数を
α、温度変化をΔT、ガス検知部の熱容量をC、燃焼に
よる発熱量をΔH、ガス検知部により決まる定数をa、
雰囲気ガス濃度をm、分子燃焼熱をQとすると、出力S
は次式で示される。
【0016】
【数1】 S∝ΔR=α・ΔT=α・ΔH/C=α・a・m・Q/C (1) ガス検知素子の中に占める支持体の熱容量は小さくする
ことができる上にその熱伝導も小さいから支持体の存在
によってガス検知素子の感度が影響を受けることは少な
い。
【0017】一方ガスセンサの感度はガス検知部と温度
補償部の示すノイズNの影響を受け、ガスセンサの感度
はS/Nによって左右される。ガスセンサの感度を向上
させるためにはS/Nを大きくする必要がある。接触燃
焼式ガスセンサにおけるノイズは主としてガス検知部と
温度補償部の温度差によって起こる。即ちガス検知部と
温度補償部は加熱した状態で使用されるがこのとき各素
子からは熱伝導,対流,熱放射によって熱が失われる。
この熱損失はガス検知部と温度補償部により形状や表面
状態が微妙に異なるために熱伝導や熱放射に差異を生じ
ガス検知部と温度補償部の温度は通常0ないし3℃の差
異をみせる。
【0018】この温度差のばらつきがセンサ出力のノイ
ズNとなる。例えばホィートストンブリッジ回路の電圧
を1.0V,白金コイルを金属線条として使用すると、
上記の温度差が3℃の場合にノイズは3mVとなる。こ
のノイズの大きさは一酸化炭素ガス濃度で1000pp
mに相当する。さらに、支持体に巻回された金属線条を
担体より粒度の細かいアルミナで被覆固定するので、金
属線条への酸化燃焼層からの熱伝達は良くなり、ガスセ
ンサの感度は向上し、さらに、その後の製造工程中や使
用中に緩むことがなくなり、ノイズは増加しない。
【0019】この発明では酸化第二鉄担体に金を担持し
た酸化燃焼層を用いるので室温付近(−10〜50℃)
でガス検知部と温度補償部を駆動することができ、対
流,熱放射を小さくしてガス検知部と温度補償部の温度
差を0.15℃以内にしその結果としてノイズNを0.
15mVよりも小さくすることができる。また、金を担
持した酸化第二鉄担体は真空凍結乾燥後または熱処理後
に粉砕を強く行わず粒度を500メッシュより大きいま
まにしておくことにより、細かく粉砕することによる触
媒活性の低下を防止できる。
【0020】ガス検知素子と温度補償素子を囲むガラス
繊維濾紙または石英ガラス繊維濾紙とポリフロンフィル
タは大気中の被毒物質を吸着し、被毒物質がガス検知素
子に届かないようにしている。
【0021】
【実施例】次にこの発明の実施例を図面に基づいて説明
する。 実施例1 図1はこの発明の実施例に係る接触燃焼式ガスセンサの
ガス検知部を示す要部破断斜視図である。
【0022】電気絶縁性で且つ熱伝導率の小さい材料で
ある例えば石英,フッ素樹脂,無機ガラス,塩化ビニ
ル,ポリエチレン樹脂等の有機材料等からなる支持体2
の上に金属線条である直径20μm以下の白金,ニッケ
ル,ニッケル系合金が30ないし100μmの間隔で巻
回される。金属線条の線径と長さは金属線条の抵抗値が
20ないし100Ωになるように調整される。20μm
の白金線を用いる場合は長さ60mmないし300mm
が適当である。本実施例ではコイルの形状はコイル径が
0.5mmでピッチ50μm,50ターンである。
【0023】巻回の終了した金属線条を低温に調整した
バーナであぶり焼鈍した。この際コイルの両端には10
mm程度のリード線部分を残しておく。焼鈍することで
巻き戻りやコイルの位置ずれや白金同志の接触を防止す
ることができる。ガスバーナであぶったことによりコイ
ルの表面には炭素が付着しているので電気炉で温度80
0℃で10分熱処理して炭素を除去する。このコイルは
約25Ωの電気抵抗を有する。これは従来技術の15倍
の抵抗値である。
【0024】焼鈍に替えて接着剤を用いることもでき
る。接着剤は巻回したコイルの巻回部両端に塗布して用
いることができる。支持体2は金属線条1と酸化燃焼層
3を空気中に保持し、機械的強度を付与するとともに可
燃性ガスの燃焼で発生した熱の散逸を極力小さくする。
支持体の熱伝導を小さくするために支持体の断面積は機
械的強度を損なわない範囲で小さくする。熱伝導係数と
断面積と長さから見積もられる熱抵抗を104 /W以上
にする。このとき断面積は0.01ないし0.40mm
2 となる。
【0025】図2はこの発明の実施例に係るガスセンサ
の支持体につき(a)は円形の場合、(b)は表面が荒
らされた円形の場合、(c)は円形の支持体を三本束ね
た場合を示す断面図である。(a)は構造が単純である
こと、(b)は金属線条の接合性が良好であること、
(c)は断面積が小さいこと等の特徴がある。
【0026】酸化燃焼層3は以下の方法で調製した。特
開昭60−238148号公報に開示された方法に従
い、硝酸第二鉄5水塩109gと塩化金酸4水塩12.
4gの混合水溶液1500mlを炭酸ナトリウム57.
2gの水溶液1000mlに攪拌しながら10分間で添
加し、添加終了後も2h攪拌を続けた。攪拌後得られた
沈殿物を数回遠心分離器で洗浄し、所定のpHに調整し
た。その後吸引濾過し、真空凍結乾燥を行い、10h乾
燥した。得られた粉末を電気炉で温度400℃で4h熱
処理した。得られた一酸化炭素ガス燃焼触媒はαFe2O3
にAuが担持された形である。
【0027】得られた一酸化炭素ガス燃焼触媒にコロイ
ダルシリカを40重量%になるように添加し、ペースト
にした。このコロイダルシリカはペーストに適当な粘度
と表面張力を付与し塗布の作業を容易にするという目的
と難焼結性の触媒を低温で焼結しやすくするという働き
がある。コロイダルシリカを含まない場合は高い焼成温
度約800℃が必要であり、触媒である金粒子の粒径が
増大して触媒活性が低下する。
【0028】得られたペーストを金属線条を被覆するよ
うに塗布して、室温で2h程度乾燥する。乾燥後に電気
炉で300ないし400℃の温度で3ないし5h熱処理
を行う。コロイダルシリカバインダの働きにより、充分
な機械的強度を有する焼結ができる。図3はこの発明の
実施例に係る温度補償部につき(a)は被覆層を有する
場合、(b)は被覆層のない場合を示す斜視図である。
【0029】被覆層は以下の方法で調製した。硝酸第二
鉄5水塩48.47gを600mlの超純水に攪拌しな
がら添加し、添加終了後も70℃の温度で2h攪拌し
た。続いて炭酸ナトリウム29.04gを400mlの
超純水に溶解し70℃の温度で1h攪拌した。硝酸第二
鉄5水塩が溶解した水溶液を炭酸ナトリウム水溶液中に
攪拌しながら添加し、添加終了後も2h攪拌を続けた。
攪拌後得られた沈殿物を数回遠心分離器で洗浄し、所定
のpHに調整した。その後吸引濾過し、真空凍結乾燥を
行い、10h乾燥した。得られた粉末を電気炉で温度4
00℃で4h熱処理した。
【0030】このようにして得られた酸化鉄の粉末にコ
ロイダルシリカを40重量%の割合で添加し、ペースト
にした。得られたペーストを支持体2Xに巻回された金
属線条1Xの上に塗布し、室温で2h乾燥させた。乾燥
後電気炉を用いて300ないし400℃で3ないし5h
熱処理した。上述の例では金属線条の上に被覆層4を形
成しているが図3(b)に示すように被覆層4を形成し
なくてもよい。
【0031】図5はこの発明の実施例に係るガスセンサ
につき、(a)はガス検知部の支持構造、(b)は温度
補償部の支持構造を示す要部破断斜視図である。ガス検
知部と温度補償部の金属線条はベース5に固定されたス
テム6,6に接続される。支持体2,2Xはベース5に
支持される。図6はこの発明の実施例に係るガスセンサ
(イ)につき一酸化炭素ガスCO変換率の温度依存性を
コロイダルシリカを含まないガスセンサ(ロ)の特性と
対比して示す線図である。コロイダルシリカを添加した
場合は高温度で焼結することがないので触媒活性が維持
され温度−30℃以上の温度で一酸化炭素ガスの変換率
が100%に達していることがわかる。これに対しコロ
イダルシリカを添加しない場合は高温度約800℃で焼
結するので触媒の活性が低下しており一酸化炭素ガスの
変換率が低い。触媒の機能の点からは−30℃以上の温
度が必要であることがわかる。
【0032】図7はこの発明の実施例に係るガスセンサ
につきセンサ出力のセンサ温度依存性を示す線図であ
る。一酸化炭素ガスの濃度は500ppmである。ホィ
ートストンブリッジ回路には1Vの電圧が印加され各金
属線条には10mWの電力がかかっている。ガス検知部
と温度補償部の温度はそれぞれ室温付近にある。センサ
出力は−10℃以上で飽和しており、ガスセンサの出力
は−10℃以上の温度でセンサ温度に依存しない。
【0033】触媒の一酸化炭素ガス変換率特性にみられ
るような一酸化炭素ガス変換率が100%になる温度で
ある−30℃と上記−10℃との差は一酸化炭素ガス雰
囲気中に存在する水分のガスセンサにおける結露が関係
する。水分が、ガスセンサ中で結露すると一酸化炭素ガ
スの燃焼熱が有効にガスセンサの温度上昇につながらな
い。
【0034】図8はこの発明の実施例に係るガスセンサ
につきセンサ温度上昇分のセンサ消費電力依存性を示す
線図である。センサ温度上昇分はセンサ消費電力とリニ
ヤの関係にあることがわかる。このセンサ温度上昇分は
可燃性ガスが存在しない定常状態での温度上昇を示す。
図9はこの発明の実施例に係るガスセンサのクリーニン
グ特性を示し、(a)は印加電圧のパルス、(b)はパ
ルス電圧印加時のセンサ温度の経時変化を示す線図であ
る。t1 はクリーニング時間であり、t2 は可燃性ガス
の無検知時間であり、t3 −t2 はガス検知時間を示
す。一例としてはt1 は30sであり、t 2 は90sで
あり、t3 −t2 は3510sである。室温近傍で動作
するガスセンサは使用により干渉成分が吸着しガスセン
サの性能が低下する。クリーニングによってガスセンサ
は再活性化される。一酸化炭素ガスの低濃度領域で一酸
化炭素ガスの検出を行うので無検知時間中に一酸化炭素
ガスが到達しても5分以内に警報を発することができ、
一酸化炭素ガスセンサとして必要な機能を有している。
【0035】図10はこの発明の実施例に係るガスセン
サの一酸化炭素ガス(ハ)に対する検量関係を他の干渉
ガスの特性とともに示す線図である。ホィートストンブ
リッジ回路に印加される電圧は1Vであり、0ないし1
000ppmの濃度範囲で出力はガス濃度に比例するこ
とがわかる。干渉ガスであるエタノール(ニ)や水素
(ホ)の出力は小さく殆ど妨害がないことがわかる。こ
のようにして高感度で選択的な一酸化炭素ガス用ガスセ
ンサが得られる。
【0036】またこの発明のガスセンサは支持体を使用
しているために落下に際しても破損を生じることがなく
信頼性の高いセンサとなっている。さらに本センサは支
持体を使用するために金属線条の太さを細くして抵抗を
大きくすることができ印加電圧も小さくして室温付近で
動作させるのでゼロ点変動が小さくなりS/N比に優れ
るガスセンサが得られる。 実施例2 図4はこの発明の異なる実施例に係るガスセンサを示
し、(a)は温度補償部が被覆層4を有するセンサ、
(b)は温度補償部が被覆層を有しないセンサの断面図
である。
【0037】この実施例においては同一の支持体2Aに
ガス検知部と温度補償部とが併設される。ガス検知部と
温度補償部は近接して設けられる。ガス検知部と温度補
償部とはそのために温度をほぼ等しくすることができそ
の結果ノイズを低減することができる。さらにまたガス
検知部と温度補償部とが同一の支持体2Aに設置される
から製造容易でありガスセンサの製造コストを低減する
ことができる。
【0038】温度補償部に被覆層が存在する場合はガス
検知部との温度差がさらに僅少になる。また被覆層がな
い場合は製造の工数がより短縮される長所がある。 実施例3 実施例1と同様に製造された接触燃焼式ガスセンサの一
酸化炭素ガス燃焼触媒を軽く粉砕し、200および50
0メッシュの篩を用いて粒度調整してからバインダーと
混合し、被覆層を形成した。図11は、200〜500
メッシュの粉末を用いた被覆層のガス検知部のCO濃度
に対するブリッジ出力線図である。比較のため、細かく
粉砕して600メッシュの篩を用いて粒度調整してから
バインダーと混合し、被覆層を形成したガス検知部と同
様のブリッジ出力線を加えた。点線ホは200〜500
メッシュの粉末を用いた場合、実線ヘは800メッシュ
程度の粉末を用いた場合である。
【0039】ホィートストンブリッジ回路には1Vの電
圧を印加し、測温抵抗体コイルには0.01Wの電力が
かかっており素子の温度はほぼ常温である。触媒を軽く
粉砕した場合の素子は、触媒を粉砕して作製した素子の
1.7倍の出力であることが判る。これは粉砕による触
媒の損傷の有無によって起こると推定される。 実施例4 図12にこの発明に係る接触燃焼式ガスセンサの要部破
断斜視図を示す。センサを形成する土台となる支持体2
は直径0. 5mmで長さ18mmの石英棒とした。支持
体2の中央部には長さ2mmにわたって直径20μmの
白金からなる金属線条1を50μmの間隔で巻き回数4
0ターン巻き付けた。支持体2に巻き付けてある金属線
条1はアルミナ被膜7で固定されている。この被膜は熱
膨張率が小さく、熱伝導が良い絶縁物であればアルミナ
に限定されるものではない。白金からなる金属線条11
上にはこれを覆うように酸化第二鉄担体に金触媒を担持
した一酸化炭素ガス酸化燃焼層3が固着されている。
【0040】アルミナ被膜7以外の製造方法は実施例1
に同じなので、アルミナ被膜7についてのみ説明する。
支持体2に巻き付けたコイルにアルミナゾルを塗布し電
気炉で550℃で30分熱処理する。この結果コイル表
面にアルミナ被膜7が形成される。コイル表面にアルミ
ナ被膜7を形成することにより、コイルは支持体に固定
され、コイルの巻き戻りやコイルの位置ずれを防止する
ことができ、さらに温度ドリフトによるノイズレベルも
小さくすることが出来る。このコイルはほぼ25Ωの抵
抗値を有し、従来技術で作製されるものより、20倍以
上の抵抗値である。コイルの両端は電極とのリード線と
して約10mmアルミナ皮膜を付着させない。補償素子
についても同様にアルミナ被膜を形成する。
【0041】図13はこの発明の実施例に係るコイルを
アルミナ皮膜で被覆した接触燃焼式ガスセンサのブリッ
ジ出力の経時変化の線図である。比較のため、何も被覆
しない場合のセンサの出力の経時変化も加えた。この発
明の接触燃焼式ガスセンサは常時はぼ常温であり、大気
中の水蒸気などを吸着し、ガス感度が低下することがあ
るので、5h毎に、定常電流の7倍の大電流を流し、吸
着物質の脱着を行い、ガス感度を一定値に維持した。実
線トはコイルをアルミナ皮膜で被覆した場合の出力で、
点線チはコイルに何も被覆しない場合の出力である。コ
イルをアルミナ被膜で被覆した場合は被覆しない場合に
比べ出力が高くなる。また経時変化は初期は両方とも出
力が低下するもののアルミナ被膜でコイルを被覆したも
のはその後の出力の低下はなくなり安定となる。アルミ
ナ皮膜で被覆したものの方が出力が高くなるのは触媒を
直接コイルに塗布した場合に比べ触媒とコイルの中間に
アルミナ被膜があることにより接触が多くなり触媒の燃
焼熱の伝達量が増えるためである。
【0042】また、常時室温使用なので、時々ガス検出
素子に大電流を流すことによって、吸着している大気中
の水蒸気などを脱着し、ガス感度を回復させることによ
り、ガス感度を長期間維持することができる。 実施例5 図14はこの発明の実施例に係る金網とガラス繊維濾紙
およびポリフロンフィルタよりなるカバーの斜視図であ
る。2枚の金網8の間にガラス繊維濾紙9とポリフロン
フィルタ10を挟んである。ガス検出部と補償部とを組
み込んだベースにこのカバーを被せガスセンサとする。
【0043】図15は、この発明の実施例に係るカバー
を被せた接触燃焼式ガスセンサのブリッジ出力の経時変
化の線図である。比較のため、カバーを被せない素子の
出力の経時変化を加えてある。曲線リはカバーを被せた
素子、曲線ヌはカバーを被せない素子のブリッジ出力の
経時変化である。カバーを被せたセンサは被せないもの
に比べ、若干初期出力が低下するが、経時変化をみる
と、カバーを被せないものは出力が低下するがカバーを
被せたものは安定である。このガラス繊維濾紙とポリフ
ロンカバーを重ねたカバーはセンサに対して大気中の水
分による影響と大気中の微粒子の影響を受けないように
することが出来る。またセンサへの被毒物質の影響を少
なくし、風によるゼロ点変動をなくすことが出来る。
【0044】
【発明の効果】この発明によれば、ホィートストンブリ
ッジ回路の枝辺に組み込まれたガス検知部と温度補償部
を有し、ガス検知部は熱の不良導体である第1の支持体
に巻回された金属線条と、金属線条を被覆する酸化燃焼
層からなるもので、前記酸化燃焼層は酸化第二鉄担体に
金を担持したものであり、温度補償部は熱の不良導体で
ある第2の支持体に巻回された金属線条とからなるとす
るので、ガス検知部における発熱が不良導体である第1
と第2の支持体によって損失することが少ない。さらに
金属線条が支持体の上に巻回されるので金属線条の線径
を細くすることができ、ホィートストンブリッジ回路の
印加電圧も小さくして消費電力を少なくして室温付近で
動作させるときはゼロ点変動を抑えてノイズを小さくす
ることができる。このようにして感度に優れるガスセン
サが得られる。
【0045】酸化燃焼層の金を担持した酸化第二鉄担体
は一酸化炭素ガスに選択性の高い触媒であり、一酸化炭
素ガスを選択性良く検出することができる。さらに本ガ
スセンサはガス検知部と温度補償部とが支持体の上に設
けられ,金属線条はアルミナ皮膜により支持体に固着さ
れるので機械的な強度に優れ落下によっても破損するこ
とがなく、信頼性に優れるガスセンサが得られる。
【0046】また第1と第2の支持体は同一の支持体の
異なる部分であるので第1と第2の支持体を近接して設
けることができガス検知部と温度補償部の温度差を少な
くしてノイズを少なくすることができる。また酸化燃焼
層は金を担持した酸化第二鉄の担体をコロイダルシリカ
により結着してなるのでガスセンサに前記触媒を適用す
るに際し触媒の活性を高度に維持した状態で一酸化炭素
ガスの検出センサとして動作させることができる。
【0047】また、金を担持した酸化第二鉄担体は真空
凍結乾燥後または熱処理後に粉砕を強く行わず粒度を大
きいままにしておくことにより、ガス感度は向上する。
またガス検知部と温度補償部にガラス繊維濾紙とポリフ
ロンフィルタよりなるカバーを被せたのでガス検出感度
を長期にわたり維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る接触燃焼式ガスセンサ
のガス検知部を示す要部破断斜視図
【図2】この発明の実施例に係るガスセンサの支持体に
つき(a)は円形の場合、(b)は表面が荒らされた円
形の場合、(c)は円形の支持体を三本束ねた場合を示
す断面図
【図3】この発明の実施例に係る温度補償部につき
(a)は被覆層を有する場合、(b)は被覆層のない場
合を示す斜視図
【図4】この発明の異なる実施例に係るガスセンサを示
し、(a)は温度補償部に被覆層を有するセンサ、
(b)は温度補償部が被覆層を有しないセンサの断面図
【図5】この発明の実施例に係るガスセンサにつき、
(a)はガス検知部の支持構造、(b)は温度補償部の
支持構造を示す要部破断斜視図
【図6】この発明の実施例に係るガスセンサ(イ)につ
き一酸化炭素ガスCO変換率の温度依存性をコロイダル
シリカを含まないガスセンサ(ロ)の特性と対比して示
す線図
【図7】この発明の実施例に係るガスセンサにつきセン
サ出力のセンサ温度依存性を示す線図
【図8】この発明の実施例に係るガスセンサにつきセン
サ温度上昇分のセンサ消費電力依存性を示す線図
【図9】この発明の実施例に係るガスセンサのクリーニ
ング特性を示し、(a)は印加電圧のパルス、(b)は
パルス電圧印加時のセンサ温度の経時変化を示す線図
【図10】この発明の実施例に係るガスセンサの一酸化
炭素ガスに対する検量関係を他の干渉ガスの特性ととも
に示す線図
【図11】この発明の実施例に係る200〜500メッ
シュの粉末を用いた被覆層のガス検知部のCO濃度に対
するブリッジ出力線図
【図12】この発明の実施例に係る接触燃焼式ガスセン
サのガス検知素子の要部破断斜視図
【図13】この発明の実施例に係るコイルをアルミナで
被覆した接触燃焼式ガスセンサのブリッジ出力の経時変
化の線図
【図14】この発明の実施例に係る金網とガラス繊維濾
紙およびポリフロンフィルタよりなるカバーの斜視図
【図15】この発明の実施例に係るカバーを被せた接触
燃焼式ガスセンサのブリッジ出力の経時変化の線図
【図16】従来の接触燃焼式ガスセンサのガス検知素子
を示す要部破断斜視図
【図17】従来の接触燃焼式ガスセンサの検出回路を示
す結線図
【符号の説明】
1 金属線条 1A 金属線条 1X 金属線条 2 支持体 2A 支持体 2B 支持体 2C 支持体 2X 支持体 4 被覆層 5 ベース 6 ステム 7 アルミナ被覆 8 金網 9 ガラス繊維濾紙 10 ポリフロンフィルタ 31 白金コイル 32 アルミナ担体 33 ガス検知素子 34 補償素子 35 負荷 36 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沼田 純子 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホィートストンブリッジ回路の枝辺に組み
    込まれたガス検知部と温度補償部を有し、 ガス検知部は熱の不良導体である第1の支持体に巻回さ
    れた金属線条と、金属線条を被覆する酸化燃焼層からな
    るもので、前記酸化燃焼層は酸化第二鉄担体に金を担持
    したものであり、 温度補償部は熱の不良導体である第2の支持体に巻回さ
    れた金属線条に酸化第二鉄が被覆されたものであること
    を特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサに
    おいて、第1と第2の支持体は同一の支持体からなりこ
    の異なる部分に近接してガス検知部と温度補償部を有す
    ることを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  3. 【請求項3】請求項1ないし2に記載の接触燃焼式ガス
    センサにおいて、酸化燃焼層は金を担持した酸化第二鉄
    の担体をコロイダルシリカにより結着してなることを特
    徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3に記載の接触燃焼式ガス
    センサにおいて、第1または第2の支持体に巻回された
    金属線条はアルミナで被覆され支持体に固定されている
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4に記載の接触燃焼式ガス
    センサにおいて、ガス検知素子と温度補償素子は金網と
    フィルタで囲まれており、フィルタはガラス繊維濾紙ま
    たは石英ガラス繊維濾紙とポリフロンフィルタとを重ね
    たものであることを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。
  6. 【請求項6】請求項3に記載の接触燃焼式ガスセンサに
    おいて、金を担持した酸化第二鉄の粉末は粒度が500
    メッシュ以下であることを特徴とする接触燃焼式ガスセ
    ンサ。
JP28624894A 1994-07-05 1994-11-21 接触燃焼式ガスセンサ Pending JPH0875692A (ja)

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JP15314394 1994-07-05
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7269993B2 (en) 2004-06-29 2007-09-18 Honda Motor Co., Ltd. Gas detecting apparatus, gas detecting method and fuel cell vehicle
JP2010008248A (ja) * 2008-06-27 2010-01-14 Honda Motor Co Ltd ガスセンサ
KR200469683Y1 (ko) * 2011-02-28 2013-10-29 이종도 가스 센서 소자 고정구
CN118160800A (zh) * 2024-05-14 2024-06-11 云南农业大学 一种高压co2处理冷冻茶膏的方法及其在制备茶膏中的应用

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