JP4826384B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が広く用いられている。ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。
このような問題を解決するために、複数種の樹脂を組み合わせて用いる試みがある。このような場合、ガラス転移温度が低く分子量の小さい樹脂と、ガラス転移温度が高く分子量の大きい樹脂とが組み合わせて用いられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のように複数種の樹脂を用いた場合、ガラス転移温度の低い樹脂中には、比較的多量の未反応原料(モノマー等)が残存している。このような未反応原料は、トナーの定着時等において、揮発性有機化合物として揮発することとなり、悪臭等の原因になるとともに、環境への悪影響が懸念されている。
本発明のトナーの製造方法は、組成の異なる複数種のポリエステル系樹脂成分を含む材料で構成されたトナーの製造方法であって、
前記ポリエステル系樹脂成分と、着色剤と、水よりも沸点の低い有機溶剤とを含む材料で構成された分散質が、主として水で構成された分散媒中に分散した分散液を調製する乳化懸濁液調製工程と、
複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
減圧により、前記分散液中に含まれる前記有機溶剤を除去する脱溶剤工程と、
固液分離によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分の水中への再分散および固液分離をすることによりトナー粒子の洗浄を行う洗浄工程とを有し、
前記ポリエステル系樹脂成分として、構成成分として多価エポキシ化合物を含むポリエステルAと、構成成分として多価エポキシ化合物を含まず前記ポリエステルAよりも重量平均分子量が小さくかつ前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むことを特徴とする。
これにより、定着良好域(良好な定着が可能な温度範囲)が広く、低温での定着が可能で(低温限界オフセット温度が低く)、揮発性有機化合物(TVOC)量の少ないトナーを提供することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記ポリエステルAは、構成成分としてモノエポキシ化合物を含むものであり、
前記ポリエステルBは、構成成分としてモノエポキシ化合物を含まないものであることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法では、前記ポリエステルAは、モノエポキシ化合物としてアルキルグリシジルエステルを含むものであることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法では、前記アルキルグリシジルエステルは、ネオデカン酸グリシジルエステルであることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法では、前記ポリエステルAは、構成成分としてアジピン酸を含むものであり、
前記ポリエステルBは、構成成分としてアジピン酸を含まないものであることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法では、前記有機溶剤としてメチルエチルケトンを用いることが好ましい。
これにより、揮発性有機化合物量を十分に少ないものとしつつ、定着良好域を特に広いものとすることができる。
これにより、保存時等におけるトナー粒子の不本意な凝集等を防止しつつ、低温でのトナーの定着性(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)が40〜70℃であることが好ましい。
これにより、保存時等におけるトナー粒子の不本意な凝集等を防止しつつ、低温でのトナーの定着性(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
これにより、保存時等におけるトナー粒子の不本意な凝集等を防止しつつ、低温でのトナーの定着性(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
これにより、揮発性有機化合物量を十分に少ないものとしつつ、定着良好域を特に広いものとすることができる。
これにより、揮発性有機化合物量を十分に少ないものとしつつ、定着良好域を特に広く、保存性の良好なトナーとすることができる。
<トナー>
まず、本発明のトナーについて説明する。
トナーは、多数個のトナー粒子で構成されている。
《トナー粒子の構成材料》
トナー粒子は、樹脂成分と、着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー粒子は、樹脂成分(バインダー樹脂)として、ポリエステル系樹脂を含むものである。ポリエステル系樹脂は、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上で有利である。
そして、本発明において、トナー粒子は、ポリエステル系樹脂(ポリエステル系樹脂成分)として、ポリエステルAと、ポリエステルAよりも重量平均分子量Mwが小さくかつポリエステルAよりもガラス転移温度Tgの高いポリエステルBとを含むものである。言い換えると、トナー粒子は、ポリエステルBに比べて「高Mwかつ低Tg」のポリエステルAと、ポリエステルAに比べて「低Mwかつ高Tg」のポリエステルBとを含むものである。これにより、定着良好域(良好な定着が可能な温度範囲)を十分に広いものとしつつ、揮発性有機化合物(TVOC)量(特に、定着時における揮発性有機化合物の発生量)を少なくすることができる。すなわち、ガラス転移温度の低いポリエステルAと、ガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むことにより、比較的低い温度領域から比較的高い温度領域にわたって優れた定着性を発揮することができるとともに、ガラス転移温度の低いポリエステルAの重量平均分子量Mwを大きいものとすることによりポリエステルAによる揮発性有機化合物(TVOC)量を少なくし、また、重量平均分子量Mwの小さいポリエステルBのガラス転移温度を高いものとすることによりポリエステルBによる揮発性有機化合物(TVOC)量を少なくすることができ、結果として、トナー全体としての揮発性有機化合物(TVOC)量を少なくすることができる。
ポリエステルAの重量平均分子量Mw(A)は、ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)よりも大きいものであれば特に限定されないが、10万〜40万であるのが好ましく、12万〜25万であるのがより好ましい。ポリエステルAの重量平均分子量Mw(A)が前記範囲内の値であると、高温領域でのオフセットの発生をより効果的に防止するとともに、揮発性有機化合物量を特に少ないものとすることができる。
ポリエステル系樹脂は、一般に、多塩基酸と多価アルコールとが脱水縮合した構成を有している。
また、ポリエステルAは、構成成分として、多価エポキシ化合物を含むものであってもよい。これにより、ポリエステルAを好適な架橋構造を有するものとすることができる。多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体(共重合体を含む)、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルが好ましい。
ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)は、ポリエステルAの重量平均分子量Mw(B)よりも小さいものであれば特に限定されないが、2000〜10000であるのが好ましく、3000〜8000であるのがより好ましい。ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)が前記範囲内の値であると、揮発性有機化合物量を十分に少ないものとしつつ、低温でのトナーの定着性(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
ポリエステルBを構成する多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの多塩基酸の中でも、芳香族カルボン酸を使用するのが好ましい。
すなわち、ポリエステルAの重量平均分子量Mw(A)と、ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)との比率Mw(A)/Mw(B)は、25〜60であるのが好ましく、28〜45であるのがより好ましい。これにより、揮発性有機化合物量を十分に少ないものとしつつ、定着良好域を特に広いものとすることができる。
トナー粒子を構成する着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー粒子には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
本発明において、トナー粒子は、上述したようなポリエステルAおよびポリエステルBとを含む材料で構成されたものであればよく、いかなる構造を有するものであってもよいが、以下、トナー粒子の構造の一例について説明する。
図2は、本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図である。
トナー粒子1は、コア領域(芯部、核)11と、コア領域11を被覆するシェル領域(外殻)12とを有するものである。
コア領域11は、樹脂成分と上述したような着色剤とを含む材料で構成されたものである。
コア領域11は、樹脂成分(バインダー樹脂)として、上述したポリエステルAおよびポリエステルBを含むものである。これにより、トナー全体としての定着良好域を特に広いものとすることができる。
また、コア領域11の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
また、トナー粒子1中においてコア領域11の占める割合は、40〜99.5vol%であるのが好ましく、60〜95vol%であるのがより好ましい。コア領域11の占める割合が前記範囲内の値であると、トナー粒子1の保存性、耐久性等を十分に優れたものとしつつ、コア領域11の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができる。
シェル領域12は、コア領域11を被覆するように設けられたものである。
シェル領域12は、常温(25℃)において、コア領域11よりも強度の高いものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子1全体としての強度を高いものとしつつ、シェル領域12を構成する材料の特性を効果的に発揮させることができる。
また、シェル領域12は、ポリエステルAおよびポリエステルBよりも、ガラス転移温度Tgの高い樹脂成分で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナーの耐久性、保存性等を優れたものとすることができ、保存時等におけるトナー粒子の凝集等を効果的に防止することができる。
また、シェル領域12は、ポリエステルAおよびポリエステルBよりも、軟化温度T1/2の高い樹脂成分で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナーの耐久性、保存性等を優れたものとすることができ、保存時等におけるトナー粒子の凝集等を効果的に防止することができる。
また、シェル領域12の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1.5μmであるのが好ましく、0.02〜1.0μmであるのがより好ましい。シェル領域12の厚さが前記範囲内の値であると、トナーの定着良好域を十分に広いものとしつつ、トナーの耐久性、保存性等を優れたものとすることができる。
上記のようなトナー粒子1の平均粒径は、特に限定されないが、3〜10μmであるのが好ましい。トナー粒子1の平均粒径が前記範囲内の値であると、高解像度の画像形成に好適に適用することができるとともに、低温定着性の向上に有利であり、また、コア領域11の構成材料の特性およびシェル領域12の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。なお、本明細書で、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。
トナーを構成するトナー粒子は、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものであるのが好ましい。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー粒子の粒径の標準偏差(σ(DT))をトナー粒子の平均粒径(DT)で除した数値(σ(DT)/DT)×100として表されるトナー粒子の粒径についての変動係数は、24.0以下であるのが好ましく、22.0以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布は特にシャープなものとなり、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。また、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等のばらつきを特に小さいものとすることができ、トナー全体としての信頼性を特に優れたものとすることができる。また、例えば、トナーの製造時においては、トナーの乾燥を容易かつ確実に行うことができ、トナー中の含水量を抑制することができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)を用いた測定により求めることができる。
このようなトナーは、以下のような条件を満足するのが好ましい。
トナー500mgを200℃で5分間加熱した際の揮発性有機化合物(TVOC:Total volatile organic compounds)の濃度が50ppm以下であるのが好ましく、40ppm以下であるのがより好ましい。これにより、揮発性有機化合物による問題の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として用いられるものであってもよいし、二成分型現像剤として用いられるものであってもよい。また、本発明のトナーは、乾式トナーとして用いられるものであってもよいし、液体現像剤に用いられるものであってもよい。
次に、上述したようなトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成された分散質が分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る工程(合一工程)と、合一粒子の表面を、合一粒子を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する工程(被覆工程)とを有する。
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。
本工程で調製する乳化懸濁液は、トナー粒子1のコア領域11を形成に用いるものである。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂成分(ポリエステルAおよびポリエステルB)と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としては、前述したコア領域11の構成材料としての樹脂成分またはその前駆体(例えば、プレポリマー、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等)を用いることができる。また、着色剤としては、前述したコア領域11の構成材料として例示したものを用いることができる。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分(特に、ポリエステル系樹脂)の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤は、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂液中におおける固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子1の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
なお、着色樹脂液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。得られる合一粒子(着色樹脂微粒子)は、製造すべきトナー粒子1のコア領域11に対応するものである。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液の固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.2〜10重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程は、分散液を攪拌した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を挙げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25wt%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、トナー製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適なトナーを製造することができる。
次に、上記のような合一粒子(着色樹脂微粒子)の表面に、当該分散質を構成する樹脂成分とは異なる樹脂成分で構成された被膜を形成する(被覆工程)。
本工程で形成する被膜は、形成すべきトナー粒子1のシェル領域12に対応するものである。
被膜を構成する樹脂成分としては、前述したシェル領域12の構成材料としての樹脂成分またはその前駆体(例えば、プレポリマー、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等)を用いることができる。
被膜形成用液を構成する有機溶剤と、前述した着色樹脂液を構成する有機溶剤とは、実質的に同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよいが、少なくとも、共通の成分を含むものであるのが好ましい。これにより、合一粒子の表面に、効率良く被膜を形成することができる。
また、被膜形成用液を構成する樹脂成分は、中和剤により中和されたものであってもよい。これにより、例えば、被膜が形成された状態での合一粒子(分散質)の分散性を特に優れたものとすることができる。
合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により合一粒子が分散した分散液に剪断を加えつつ、合一粒子が分散した分散液中に被膜形成用液を徐々に添加(滴下)することにより行うのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、均一な厚さの被膜を形成することができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質の不本意な合一を確実に防止しつつ、均一な厚さの被膜を効率良く形成することができる。
また、合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合時に、電解質を添加してもよい。これにより、被膜の形成を促進することができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、被膜の厚さを制御することができる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液(合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合液)全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー粒子1が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、トナー粒子1の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことにより、行うことができる。固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、最終的なトナーを得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
また、本工程での処理温度は、シェル領域を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて、外添剤を付与する外添工程を有していてもよい。
図3は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図4は、図3の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図5は、図3の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図6は、図5の定着装置の要部断面図である。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここではイエロー用現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
図3において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
図5において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
例えば、前述した実施形態では、トナー粒子を構成するコア領域が、複数個の微粒子が合一した合一粒子で構成されるものとして説明したが、コア領域は、合一粒子で構成されたものでなくてもよい。
また、トナー粒子は、コア領域およびシェル領域以外の構成を有するものであってもよい。例えば、本発明のトナーは、単一のトナー粒子内に、複数のコア領域を有し、隣接するコア領域間にシェル領域と同一の材料で構成された隔壁を有するものであってもよい。これにより、例えば、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができるとともに、トナーの保存性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、このような構成であると、シェル領域の厚さが比較的薄い場合であっても、トナー粒子の耐久性、保存性を特に優れたものとすることができるため、トナー粒子中に占めるコア領域の割合を高めることができる。その結果、コア領域の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができ、例えば、低温定着性や発色性等を特に優れたものとすることができる。
また、本発明のトナーは、前述したような方法(乳化懸濁液調製工程、合一工程および被覆工程を有する方法)により製造されたものでなくてもよい。例えば、本発明のトナーは、混練粉砕法等により製造されたものであってもよい。
トナーの製造に先立ち、樹脂Aとして(R−1、R−6、R−7、R−8、R−9) 樹脂Bとして(R−2、R−3、R−4、R−5、R−10、R−11)の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター(WM−1)、着色剤マスター(PM−C、PM−M、PM−Y)、ミルベース(MB−1)、無着色樹脂分散液(NRD−1)の調製を行った。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.6重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は250000であった。また、樹脂R−1についてのTVOC量は、27ppmであった。TVOC量(サンプル500mgを200℃で5分間加熱した際のTVOC量)は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製 GC−17A)により、以下のようにして求めた。まず、サンプル500mgを27mlのヘッドスペースバイアブルに秤量し、栓をした。このバイアルを200℃で5分間加熱した。加熱したバイアルを取り出し上部よりマイクロシリンジにてガス0.8mlを吸引しガスクロマトグラフィーに注入し測定を行った。そして、得られたチャートにおいて、面積の300以下をカット、トルエン換算しTVOC値を求めた。ガスクロマトグラフィーの測定条件は、カラムとしてCBP10−S50−050(島津製作所社製、長さ:50m、内径:0.33mm、膜厚:0.5μm)を用い、カラム入り口圧を64kPa、スプリット比を1:40、気化室温度を250℃、検出器温度を270℃とし、検出器としてFIDを用いる。また、測定時における温度プログラムは、測定温度範囲を50〜240℃とし、50℃で7分間保持した後、3℃/分で昇温、240℃で15分間保持するというものとした。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が95℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 53.1重量部
エチレングリコール 28.6重量部
ネオペンチルグリコール 48.0重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量7740であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、25ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で11時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が87℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量5200であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、142ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が82℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量4000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、359ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で11.5時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が90℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量5450であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、97ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12.5時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 39.0重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量250000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、8ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が159℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.7重量部
アジピン酸 17.1重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量176000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、41ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.7重量部
アジピン酸 26.3重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量250000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、38ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が148℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.7重量部
アジピン酸 17.1重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量100000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、52ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で9時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が70℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量3000であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、566ppmであった。
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で13時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が97℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 19.4重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量9500であった。また、TVOCもR−1と同様に測定した結果、70ppmであった。
上記のようにして合成した各樹脂についての合成条件、物性等を表1にまとめて示す。
高速乳化機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111):2000重量部と、樹脂R−3:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−Cを得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−Cを樹脂R−3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Mを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Mを樹脂R−3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Yを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Yを樹脂R−3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):179.4重量部を仕込み、さらに、樹脂R−7(希釈樹脂):49.8重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C:42重量部、樹脂R−3(希釈樹脂):108.2重量部、ワックスマスターWM−1:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.09重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が55wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。また、作製したミルベースMB−1の配合順序、配合量、攪拌条件を表2に示す。
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):367重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂R−6:300重量部を徐々に添加した。その後、翼先端速度:7.6m/秒、材料温度:30〜50℃に設定し、この条件で攪拌を行うことにより、各成分の溶解・分散を行った。その後、材料温度を40℃にし、1Nのアンモニア水:80重量部を添加し、翼先端速度を16.5m/秒まで上昇させ、この攪拌条件下、水:701重量部を、20重量部/分の速度で滴下することにより、無着色樹脂分散液(乳化液)NRD−1を得た。得られた無着色樹脂分散液NRD−1の固形分含有量は20.72wt%、メチルエチルケトン含有量は31.95wt%であった。
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
MB−1ミルベースを調整した同一容器に引き続き、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が30℃以下となるように調整した。
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、翼先端速度:1.09m/秒に保持した状態で、温度を25℃に調整した。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液:120重量部を10g/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を15分間かけて、1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに、0.54m/秒で20分間攪拌を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:10重量部を滴下し、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で10分間攪拌する処理を、さらに、2回繰り返し行った(計3回)。
上記合一工程を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、無着色樹脂分散液NRD−1:289.6重量部を5g/分の速度で滴下した。滴下終了後に、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒から0.85m/秒に減速し、翼先端速度を保持した状態で、さらに、20分間攪拌を行った。その後、翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を滴下した。その後、15分間かけて翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、翼先端速度を保持した状態で、20分間攪拌を行った。これにより、合一粒子の表面に、被膜が形成された。形成された被膜の厚さは、0.13μmであった。また、被膜を有する分散質(合一粒子)について、その粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.35μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.068重量部を添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《洗浄工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有するものであることが確認された。また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.1μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。また、トナー粒子の平均円形度Rは0.98であった。また、トナー粒子を構成するシェル領域の平均厚さは0.12μmであった。また、トナー粒子中において、コア領域の占める割合は、85vol%であった。
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製に用いる樹脂の種類、使用量を調整するとともに、各工程(合一工程、被覆工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
ワックスマスター、着色剤マスターの調製に用いる樹脂の種類、使用量を変更し、合一工程における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、各工程での攪拌条件を調整するとともに、被覆工程を省略することにより、トナー粒子の構成を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製に用いる樹脂の種類、使用量を調整するとともに、各工程(合一工程、被覆工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
[2.1]定着良好域、低温定着性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着良好域、低温定着性の評価を行った。
まず、定着装置を有していない以外は、図3、図4に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上にトナー像が転写された未定着の画像サンプルを採取した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.5/cm2に調整した。
◎:定着良好域の幅が50℃以上である。
○:定着良好域の幅が40℃以上50℃未満である。
△:定着良好域の幅が30℃以上40℃未満である。
×:定着良好域の幅が30℃未満である。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着強度の評価を行った。
まず、図3〜図6に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上に、所定のパターンのトナー像を転写、定着し、定着トナー画像を得た。この画像形成装置においては、トナーがニップ部を通過するのに要する速度を150mm/s、定着ローラの表面の設定温度を150℃に設定した。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製 GC−17A)を用いて、以下のようにして揮発性有機化合物(TVOC)の発生量の評価を行った。
まず、トナー500mgを27mlのヘッドスペースバイアブルに秤量し、栓をした。このバイアルを200℃で5分間加熱した。加熱したバイアルを取り出し上部よりマイクロシリンジにてガス0.8mlを吸引しガスクロマトグラフィーに注入し測定を行った。そして、得られたチャートにおいて、面積の300以下をカット、トルエン換算しTVOC値を求めた。ガスクロマトグラフィーの測定条件は、カラムとしてCBP10−S50−050(島津製作所社製、長さ:50m、内径:0.33mm、膜厚:0.5μm)を用い、カラム入り口圧を64kPa、スプリット比を1:40、気化室温度を250℃、検出器温度を270℃とし、検出器としてFIDを用いる。また、測定時における温度プログラムは、測定温度範囲を50〜240℃とし、50℃で7分間保持した後、3℃/分で昇温、240℃で15分間保持するというものとした。
これらの結果を表4に示した。また、表4には、定着良好域の下限値も示した。この下限値が低いほど、低温定着性に優れている。
また、図3〜図6に示すような画像形成装置の現像装置(図4参照)にトナーを30gセットした後、無補給でエージングを行い、現像ローラへのフィルミングが発生するまでの時間を測定することにより、前記各トナーについて現像耐久性の評価を行ったところ、本発明のトナーはいずれも優れた現像耐久性を示した。特に、コア領域とシェル領域とを有する実施例1〜8のトナーについては、特に優れた現像耐久性を示した。
また、着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターM、着色剤マスターYを用いた以外は、上記と同様にトナーの製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (12)
- 組成の異なる複数種のポリエステル系樹脂成分を含む材料で構成されたトナーの製造方法であって、
前記ポリエステル系樹脂成分と、着色剤と、水よりも沸点の低い有機溶剤とを含む材料で構成された分散質が、主として水で構成された分散媒中に分散した分散液を調製する乳化懸濁液調製工程と、
複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
減圧により、前記分散液中に含まれる前記有機溶剤を除去する脱溶剤工程と、
固液分離によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分の水中への再分散および固液分離をすることによりトナー粒子の洗浄を行う洗浄工程とを有し、
前記ポリエステル系樹脂成分として、構成成分として多価エポキシ化合物を含むポリエステルAと、構成成分として多価エポキシ化合物を含まず前記ポリエステルAよりも重量平均分子量が小さくかつ前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むことを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記ポリエステルAは、前記多価エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むものである請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAは、構成成分としてモノエポキシ化合物を含むものであり、
前記ポリエステルBは、構成成分としてモノエポキシ化合物を含まないものである請求項1または2に記載のトナーの製造方法。 - 前記ポリエステルAは、モノエポキシ化合物としてアルキルグリシジルエステルを含むものである請求項3に記載のトナーの製造方法。
- 前記アルキルグリシジルエステルは、ネオデカン酸グリシジルエステルである請求項4に記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAは、構成成分としてアジピン酸を含むものであり、
前記ポリエステルBは、構成成分としてアジピン酸を含まないものである請求項1ないし5のいずれかに記載のトナーの製造方法。 - 前記有機溶剤としてメチルエチルケトンを用いる請求項1ないし6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)[℃]と前記ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)[℃]との差(Tg(B)−Tg(A))をΔTg、前記ポリエステルBの軟化温度T1/2(B)[℃]と前記ポリエステルAの軟化温度T1/2(A)[℃]との差(T1/2(A)−T1/2(B))をΔT1/2としたとき、ΔT1/2−ΔTgが60℃以上である請求項1ないし7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)と、前記ポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)との差Tg(B)−Tg(A)が5〜35℃である請求項1ないし8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記トナー中に含まれる前記ポリエステルAの含有量α[wt%]、前記トナー中に含まれる前記ポリエステルBの含有量β[wt%]との比率α/βが0.1〜1である請求項1ないし9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記合一工程の後であって前記脱溶剤工程の前に、さらに、前記合一粒子の表面を、前記合一粒子を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する被覆工程を有する請求項1ないし10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記シェル領域の構成材料のガラス転移温度がコア領域の構成材料のガラス転移温度より高い請求項1ないし11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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