JP4830724B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の複写機、FAX、プリンター等に用いられるトナーに関するものである。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材(記録媒体)にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱等により、前記トナー画像を定着する定着工程とを有している。
上記のような電子写真法に用いられるトナーは、通常、樹脂成分と、着色剤とを含む材料で構成されたトナー粒子を多数含むものである。
そして、トナー粒子の流動性を向上させたり、トナー粒子の帯電特性を制御する等の目的で、トナー粒子として、上記のような材料で構成されたトナー母粒子の表面に、外添剤を付与したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。外添剤は、一般に、ヘンシェルミキサーのような紛体用混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合することにより、トナー母粒子に外添される。
しかしながら、従来のトナー、特に、高画質(転写効率向上、中抜け防止)のために球形化したトナーにおいては、外添剤の機能を十分に発揮させるのが困難であった。すなわち、従来のトナーにおいては、耐久を通じトナー母粒子の表面付近に外添剤を確実に保持させておくのが困難であり、印字初期には、適度に保持していた外添剤が、規制ブレード下や現像ローラ/供給ローラの間を通過することにより、外力によりトナー表面に埋め込まれ不足するか、掻き落とされトナー母粒子から離脱した外添剤(遊離外添剤)が多くなる。このような遊離外添剤が多量に含まれると、外添剤の機能が十分に発揮されないだけでなく、遊離外添剤が凝集し、トナーを適用する画像形成装置の構成部材に悪影響を及ぼすこともある。また、外添剤の遊離を防止するために、トナー母粒子と外添剤との混合を、比較的大きな剪断力をかけることも考えられるが、このような場合、最初からトナー母粒子の内部に外添剤が埋没してしまい、また剪断力による発熱によりトナー母粒子が変形、融着してしまい、結果として、外添剤としての機能を十分に発揮させることができない。
特開2000−137348号公報(段落番号0062〜0067)
本発明の目的は、遊離した外添剤による悪影響の発生を十分に防止しつつ、外添剤の機能が十分に発揮されるトナーを提供することにある。特に、耐久を通じ、トナーとしての高転写効率を維持しつつ、中抜けの発生しない、外添剤の機能が発揮されるトナーを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のトナーは、トナー母粒子の表面付近に外添剤が付与されたトナーであって、
前記トナー母粒子は、複数個の微粒子を接合して形成されたものであり、
前記微粒子の接合面の外周部にくびれ部を有したトナー母粒子を主成分とし、
前記外添剤は、前記くびれ部に偏在しており、
トナーを構成する前記トナー母粒子全体に対し、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が20〜80個数%であり、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が5〜45個数%であり、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率のほうが、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率よりも大きく、
トナーを構成するトナー母粒子全体において、前記微粒子が接合していないもの(単一の前記微粒子で構成されたトナー母粒子)の占める割合は、50個数%以下であることを特徴とする。
これにより、遊離した外添剤による悪影響の発生を十分に防止しつつ、外添剤の機能が十分に発揮されるトナーを提供することができる。
本発明のトナーでは、前記くびれ部は、前記接合面の法線を軸として、前記トナー母粒子の全周にわたって設けられたものであることが好ましい。
これにより、遊離した外添剤による悪影響の発生をより効果的に防止しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる
本発明のトナーでは、前記外添剤の平均粒径が10〜500nmであることが好ましい。
これにより、外添剤をトナー母粒子の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーは、前記トナー母粒子100重量部に対し、前記外添剤を1.0〜5.0重量部含むものであることが好ましい。
これにより、遊離した外添剤が過剰に発生するのを防止しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、前記トナー母粒子の平均粒径が2.0〜10.0μmであることが好ましい。
これにより、外添剤の機能をより確実に発揮させることができるとともに、トナーを用いて形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる
本発明のトナーでは、前記トナー母粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.92〜0.98であることが好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、外添剤をトナー母粒子の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図、図2は、軟化点の求め方を説明するための図、図3は、外添工程で用いる外添処理槽の中央断面図、図4は、図3に示す外添処理槽が有する混合羽根の一例を示す平面図である。
<トナー>
トナーは、多数個のトナー粒子1で構成されている。
トナー粒子1は、トナー母粒子11と、外添剤12とを有するものである。
本発明のトナーは、転写効率向上、中抜け防止のためにトナー母粒子の球形化をすすめると、外添剤が埋め込み、もしくは、遊離が多くなり、外添剤の機能が発揮されがたい点を鑑みて発明されたものである。
すなわち、トナー母粒子において、同程度のサイズの2つ以上の微粒子111を接合して形成せしめ、微粒子の接合面112の外周部にくびれ部113を有している点を特徴とするトナー母粒子である。
このトナー母粒子と外添剤を例えば、後述するような方法により、トナー母粒子11上において、全体平均より、くびれ部113周辺に外添剤が多く偏在しさせることができる。その結果初期の遊離外添剤量を少なくすることができる。さらに、トナー粒子11にブレード等により比較的大きな外力が加わった場合においても、外添剤が偏在しているくびれ部113はブレード等にはこすられることなく、外添剤12をトナー母粒子上に確実に保持することができ、この偏在した外添剤は、現像機内中においては、他のトナーと攪拌されることにより、擦り取られた部分に再付着し、トナー全体の外添剤を適度な状態に保持することが可能となる。その結果、外添剤の遊離による悪影響の発生を十分に防止しつつ、外添剤の機能を十分に発揮させることができる。
すなわち、くびれ部は、外添剤によるトナー母粒子の被覆率を制御する機能を発揮し、その結果、外添剤の遊離による悪影響の発生を十分に防止しつつ、外添剤の機能を十分に発揮させることができる。また、くびれ部に外添剤が偏在することで外力が加わった場合でも外添剤の埋め込まれはほとんど無く、流動性は保持され、耐久性が十分に保持される。
また、トナー母粒子11が微粒子111の接合体として存在することにより、画像形成の際、トナー母粒子11と転写体との接点は、球形トナーとほぼ同じ点接触を維持していることから、このトナーは転写効率が高く、また記録媒体における細線の中抜けがほとんど発生しないトナーとすることができる。
また、トナー母粒子11が微粒子111の接合体として存在することにより、より穏やかな条件で、記録媒体にトナーを好適に定着させることができる。より詳しく説明すると、粒径の割りにトナー母粒子11の比表面積が大きく、全体を比較的均一に加熱することができ、トナー母粒子11内での温度のばらつきを抑制することができるため、比較的小さなエネルギーで確実にトナーを定着させることができる。
[トナー母粒子]
トナー母粒子11は、後に詳述するように、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー母粒子11が微粒子111の接合体として存在することにより、後述するような製造方法において、洗浄工程(洗浄処理)や脱溶剤処理工程(脱溶剤処理)を効率良く行うことができ、トナー中における揮発性有機化合物の含有量を抑制することができる。
トナー母粒子11を構成する微粒子111の平均粒径は、特に限定されないが、1.0〜8.5μmであるのが好ましく、2.5〜7.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。なお、本明細書で、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の50%粒径のことを指す。
また、トナー母粒子11の平均粒径をL[μm]、微粒子111の平均粒径をL[μm]としたとき、0.50≦L/L≦0.85の関係を満足するのが好ましく、0.55≦L/L≦0.80の関係を満足するのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、微粒子111の平均粒径L[μm]と、トナー母粒子11の投影形状における微粒子111の接合面112の平均長さL[μm]との差(L−L)は、0.7〜5.0μmであるのが好ましく、1.0〜2.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、トナー母粒子11の投影形状における微粒子111の接合面112の平均長さは、0.3〜6.0μmであるのが好ましく、1.5〜5.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
くびれ部113は、トナー母粒子11上(隣接する微粒子111同士の接合面112の外周部)の少なくとも一部に設けられたものであればよいが、接合面112の法線を軸として、トナー母粒子11のほぼ全周にわたって設けられたものであるのが好ましい。これにより、遊離した外添剤12による悪影響の発生をより効果的に防止しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
n個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11は、Rで表すことができる(ただし、nは2以上の数値)。例えば、2個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11はRで表すことができ、3個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11はRで表すことができ、4個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11はRで表すことができる。
トナーを構成するトナー母粒子11全体に対し、2個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11(R)の比率は、20〜80個数%であるのが好ましく、25〜75個数%であるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、トナーを構成するトナー母粒子11全体に対し、3〜6個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11の比率(R、R、R、およびRの比率の和)は、5〜45個数%であるのが好ましく、7〜40個数%であるのがより好ましい。
また、微粒子2個接合したトナー母粒子の割合は、3個以上が接合した母粒子の割合より多いことが好ましい。2個接合した母粒子は、回転軸を1つもち、くびれ部が接合部の外周全周に渡り存在することになり、くびれ部の効果が十分に発揮することができる。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、トナー母粒子11の平均粒径は、2.0〜10.0μmであるのが好ましく、3.0〜8.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12の機能をより確実に発揮させることができるとともに、トナーを用いて形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
トナー母粒子11は、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものであるのが好ましい。
具体的には、下記式(I)で表されるトナー母粒子に11ついての平均円形度Rは、0.92〜0.98であるのが好ましい。平均円形度Rが前記範囲内の値であると、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができ、トナーの転写効率を特に優れたものとし、画像形成装置内におけるクリーニング性を十分に優れたものとすることができる。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー母粒子11についての円形度の標準偏差は、0.04以下であるのが好ましい。このように、円形度の標準偏差が十分に小さいと、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
また、トナー母粒子11についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.25であるのが好ましく、1.00〜1.20であるのがより好ましい。これにより、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)や日機装社製マイクロトラックMT3000を用いた測定により求めることができる。
トナー母粒子11は、O/W型の乳化液中に含まれる複数個の分散質を合一(接合)させることにより製造されたものであるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の強度を特に優れたものとすることができるとともに、より容易にトナー母粒子11の形状を所望の形状とすることができる。
以下、トナー母粒子11の構成材料について詳細に説明する。
トナー母粒子11(微粒子111)は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー母粒子11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。また、トナー母粒子11がポリエステル樹脂で構成されたものであると、後述するような製造方法において、容易かつ確実に所望の特性を有するトナーを製造することができる。
トナー母粒子11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、30〜85℃であるのが好ましく、35〜75℃であるのがより好ましい。トナー母粒子11を構成する樹脂成分のガラス転移温度が前記範囲内の温度であると、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、トナー母粒子11が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記ガラス転移温度としては、これらの各成分についてのガラス転移温度の加重平均値を、トナー母粒子11を構成する樹脂成分のガラス転移温度(Tg)として採用することができる。
また、トナー母粒子11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)の軟化温度T1/2は、特に限定されないが、60〜215℃であるのが好ましく、80〜190℃であるのがより好ましい。トナー母粒子11を構成する樹脂成分の軟化温度T1/2が前記範囲内の温度であると、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、本明細書で、軟化温度T1/2とは、特に断りのない限り、定荷重押出し形細管式レオメータであるフローテスター(島津製作所製、CFT−500)を用いて、以下のようにして求められる値のことを指す。すなわち、図2(a)に示すようにノズル径Dが1.0mmでノズル長さ(深さ)Lが1.0mmのノズル6を有するシリンダ7に、試料8(重量1.5g)を充填し、ノズル6と反対の側から単位面積(cm)当たり10kgの荷重をかけ、その状態で毎分6℃の昇温速度で加熱したときの、荷重面9のストロークS(荷重面9の沈み値)を測定することにより、昇温した温度とストロークSとの関係を図2(b)に示すようにして求め、ノズル6からの試料8の流出が始まって急激にストロークSが大きくなり、カーブが立ち上がったときの温度をTfb[℃]とし、また、ノズル6からの試料8の流出がほぼ終了してカーブがねたときの温度をTend[℃]としたとき、TfbでのストロークSfbとTendでのストロークSendとの中間値となるS1/2での温度を、本明細書では軟化温度T1/2として採用している。
本発明においては、トナー母粒子11がポリエステル樹脂を含む材料で構成されることが、好適である。当該ポリエステル樹脂の酸価は、1〜30KOHmg/gであるのが好ましく、3〜20KOHmg/gであるのがより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が前記範囲内の値であると、トナー粒子1の帯電特性を安定したものとしつつ、紙等の記録媒体への定着強度を特に優れたものとすることができる。また、後述するような製造方法において、粗大粒子が発生するのをより効果的に防止することができ、トナー粒子1の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。
ポリエステル樹脂としては、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物であることが好ましく、以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって得られるものが好ましい。
架橋型ポリエステルは、二塩基酸またはその誘導体と、2価のアルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、二塩基酸またはその誘導体と、2価の脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、二塩基酸類と、2価のアルコールとを反応させることによって製造する。特に、二塩基酸類と、2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に使用する酸成分としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸またはその誘導体またはそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。
多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノールーアセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラツク型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロンN−660,N−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695などが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業製エピクロンN−740,N−770,N−775,N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキシド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。
具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(シェルジャパン製カージュラE)が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、150〜300℃で2〜24時間とすることができる。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを使用することができる。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との使用比率は、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40とすることができる。また、10/90〜40/60あるいは20/80〜40/60としても良い。架橋型ポリエステル樹脂の比率の調整によって、耐高温オフセット性、溶融粘度(T1/2温度)、低温定着性等を調整することができる。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜85℃であることが好ましく、40〜75℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が40℃より低いとトナーが保存、運搬、あるいは画像形成装置内部で高温下に曝された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、35〜70℃であることが好ましく、35〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が35℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいは画像形成装置内部で高温下に曝された場合にブロッキング現象すなわち熱凝集を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、150℃以上であることが好ましく、なかでも、150℃〜220℃であることが好ましい。ここで、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、150℃〜200℃であることがより好ましく、150℃〜190℃であることが特に好ましい。軟化点が150℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなり画像形成に支障をきたす可能性がある。また、220℃を超える場合は、定着性が悪化しやすくなる。また、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点は、85℃以上であることが好ましく、なかでも、85℃〜130℃であることが好ましい。ここで、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、85℃〜120℃であることがより好ましく、85℃〜110℃であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が85℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなり、130℃を超える場合には定着性が悪化しやすくなる。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃であることが好ましい。軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなり、150℃を超える場合には定着性が悪化しやすくなる。
トナー母粒子11を構成する着色剤としては、例えば、黒色系着色剤としては、カーボンブラック、C.I.Pigment Black11などの鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black12などの鉄−チタン複合酸化物系顔料、あるいは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
また、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.Pigment Blue15:3,15,16,60が好ましく、C.I.Pigment Blue15:3,60がより好ましい。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.Pigment Yellow17,74,93,97,110,15.5,180が好ましく、C.I.Pigment Yellow74,93,97,180がより好ましく、C.I.Pigment Yellow93,97,180が更に好ましい。
また、赤色系の着色剤としては、C.I.Pigment Red1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112311・4,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,184,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.Pigment Red48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122,184及び209が好ましく、C.I.Pigment Red57:1,122,184及び209がより好ましい。これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー母粒子11には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5、WEP−7(日本油脂製)が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、ベンジル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、含金属ビスアゾ染料、カッリクスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、トリメチルエタン系化合物、カテコールの金属塩、ニグロシン化合物、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、オニウム化合物、トニフェニルメタン系化合物、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、トナー母粒子11の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物、脂肪酸、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
[外添剤]
上述したように、トナー粒子1においては、トナー母粒子11の表面付近に、外添剤12が存在している。特に、外添剤12は、くびれ部113付近に偏在している。
外添剤12は、例えば、トナー粒子1全体としての耐久性の向上、帯電性の制御、流動性の向上、環境安定性の向上、クリーニング性の向上等の機能を有するものである。
外添剤12としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、外添剤12としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
外添剤12の平均粒径は、10〜500nmであるのが好ましく、20〜300nmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、100重量部のトナー母粒子11に対する、外添剤12の含有率は、1.0〜5.0重量部であるのが好ましく、1.5〜3.5重量部であるのがより好ましい。これにより、遊離した外添剤12が過剰に発生するのを防止しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、トナー中に含まれる外添剤12のうち、トナー母粒子11から遊離したもの(遊離外添剤)の割合は、たとえば、PT1000(横河電機社製)を用いて測定した値を用いることができる。本装置は、トナー粒子をプラズマ中で燃焼させ、トナー母粒子中の炭素原子の発光ピークと、外添剤に使用した特定金属元素(たとえばシリカの場合Si)の発光ピークとの時間差を測定し、同時発光の場合は付着、時間差がある場合は遊離と判断するものであり、特定元素における(遊離発光数)/(遊離発光数+同時発光数)の割合を遊離個数%とする。この割合は、5個数%以下であるのが好ましく、3個数%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような本発明による効果が、より顕著に発揮される。
上記のような本発明のトナーは、一成分系現像剤として用いられるものであってもよいし、二成分型現像剤として用いられるものであってもよい。また、本発明のトナーは、乾式トナーとして用いられるものであってもよいし、液体現像剤に用いられるものであってもよい。
上記のようなトナー粒子は、後述するような方法により、容易かつ確実に得ることができる。
<トナーの製造方法>
次に、上述したようなトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。本発明のトナーの製造方法は以下の工程からなる。
(1)着色樹脂溶液調製工程
本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程である。
(2)乳化懸濁液調製工程
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化懸濁させる工程である。
(3)着色樹脂微粒子分散液調製工程
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させ、着色樹脂微粒子を生成させる工程である。
(4)合一工程
着色樹脂微粒子分散液に電解質水溶液を添加し、複数個の分散質(着色樹脂微粒子)を合一させることにより粒子形成を行い、トナー母粒子11に対応する合一粒子の分散液を得る工程である。
(5)脱溶剤工程
減圧下で有機溶剤を除去する工程である。
(6)分離・洗浄工程
着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄する工程である。
(7)乾燥工程
トナー母粒子11を乾燥させる工程である。
(8)外添工程
トナー母粒子11に外添剤12を付与する工程である。
[着色樹脂溶液調製工程]
着色樹脂溶液調製工程では、最初に有機溶剤中に本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を投入して溶解あるいは分散させる。
本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤は、高速攪拌機により有機溶剤中に溶解あるいは分散することが好ましい。この場合、着色剤は予め予備分散を行ってマスター混練チップを調製し、作製するトナー粒径以下に微分散したものを用いてもよい。ワックスも予めマスター混練チップを調製した後で混合してよい。あるいは、メディアを用いて湿式分散によりトナー粒径以下に微分散したワックスマスター溶液を用いてもよい。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、30重量部以下であるのが好ましく、25重量部以下であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解または分散するものであり、後の工程で脱溶剤しやすいために低沸点のものが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂を溶解する有機溶剤としては、溶解、分散性に優れている、メチルエチルケトン、酢酸エチルを用いることが好ましい。特にメチルエチルケトンを用いることが好ましい。
着色樹脂溶液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製:T.K.ホモディスパー2.5型翼)等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、8〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分の有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂溶液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂溶液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、有機溶剤の組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
得られる着色樹脂溶液中において、樹脂成分、着色剤、及び、ワックスは、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂溶液中におおける固形分と有機溶剤の比率は、特に限定されないが、固形分100重量部に対し、有機溶剤は33〜100重量部であるのが好ましく、40〜82重量部であるのがより好ましい。有機溶剤比率が低いと粘度が高く、撹拌が困難となり、樹脂成分、着色剤、ワックスの溶解または分散が悪くなる。また、有機溶剤比率が高くなると粘度は低下し、樹脂成分は溶解し易くなるが、剪断がかからず着色剤、ワックスの分散は必ずしも十分にはならない可能性がある。また、全体量が増え、生産性が低下する方向にある。
また、着色樹脂溶液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する着色樹脂微粒子分散液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、着色樹脂微粒子分散液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、着色樹脂微粒子分散液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
なお、着色樹脂溶液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
また、着色樹脂溶液の調製においては、調製すべき着色樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。例えば、着色剤と樹脂成分とを混合(混練)し、着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂溶液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂溶液を、より確実に得ることができる。また、着色樹脂溶液の構成成分としてワックスを用いる場合、例えば、ワックスと、水と、有機溶剤と、樹脂成分と、有機溶剤とを含む材料を混合し、ワックスマスターを得、このワックスマスターを、着色剤マスター、樹脂成分(追加樹脂)および有機溶剤と混合することにより、着色樹脂溶液を調製してもよい。これにより、ワックス粒子が微分散した着色樹脂溶液を得ることができる。また、このような場合、ワックスマスターの調製には、乳化剤を用いてもよい。これにより、ワックスマスター中、着色樹脂溶液中等におけるワックス粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、乳化剤としては、前述したようなものを用いることができるが、中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。このような乳化剤を用いることにより、ワックスマスター中、着色樹脂溶液中等におけるワックス粒子の分散性をさらに向上させることができるとともに、微分散するワックス粒子の大きさのばらつきを特に小さいものとすることができる。
[乳化懸濁液調製工程]
乳化懸濁液調製工程では、上記の着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化懸濁させる。
ここで、塩基性化合物によって本発明のトナーの樹脂成分であるポリエステル樹脂のカルボキシル基が中和されている着色樹脂溶液に水を徐々に添加することが好ましい。カルボキシル基が中和されることで、本発明のトナーの樹脂成分であるポリエステル樹脂の親水性が向上し、水との親和性が向上する。
添加された水はポリエステル樹脂のカルボキシル基部分に水和され、攪拌効果と相まって本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂が微細に分散される。一方、水の添加に伴って着色樹脂溶液を含む系の粘度が上昇する。一定量の水を添加すると粘度が低下していく点があり、いわゆる転相点と称する。この直前まで粘度が上昇し、粘度が最大値に達する。粘度上昇は、塩基性化合物の添加量と相関があり、添加量が増加するほど粘度上昇も大きくなる。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂溶液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂溶液(中和剤が添加された着色樹脂溶液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂溶液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
塩基性化合物(中和剤)としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
乳化工程終了後の有機溶剤の有機溶剤と水の合計量に対する比率は20〜35wt%の範囲が好ましく、20〜30wt%の範囲がより好ましい。上述したように転相点までの水の量は、着色樹脂溶液調製工程における有機溶剤量が少ないほど減少し、塩基性化合物の量が多いほど増加する。転相点では乳化懸濁液の粘度が高いこともあり、着色樹脂溶液が完全に水性媒体中に微分散していない場合もあるため、更に水を添加することが好ましい。
着色樹脂溶液と水性媒体との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により着色樹脂溶液に剪断を加えつつ、着色樹脂溶液中に水性媒体を徐々に添加(滴下)することにより行い、最終的に、水性媒体中に、着色樹脂溶液由来の分散質が分散した分散液を得るのが好ましい。これにより、例えば、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を、容易かつ確実に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、ホモミクサ(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、8〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂溶液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
[着色樹脂微粒子分散液調製工程(着色樹脂微粒子生成工程)]
本工程で調製する着色樹脂微粒子分散液中の分散質(着色樹脂微粒子)は、トナー母粒子11を構成する微粒子111に対応するものである。
上記で得られた乳化懸濁液に攪拌しつつ電解質を添加することにより、乳化懸濁液中の分散質が塩析又は不安定化される。このとき乳化懸濁液を攪拌することにより、分散質同士が衝突を起こし一体化する。分散質である均一に分散された微細な、樹脂油滴、ワックス分散質、着色剤分散質等が一体化し着色樹脂微粒子となる。その後さらに、この着色樹脂微粒子同士が衝突し、合一が進行し、より大きな着色樹脂微粒子が生成する。これにより、着色樹脂微粒子はほぼ組成の揃った粒子となる。この合一の速度をコントロールすることで、所望のサイズと粒度分布の着色樹脂微粒子(微粒子111に対応する大きさ)を得ることができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、着色樹脂溶液と水性媒体との混合液の固形分100重量部に対し、0.1〜6.0重量部であるのが好ましく、0.3〜5.3重量部であるのがより好ましい。また、電解質溶液の濃度は1〜15wt%が好ましく、3〜10wt%であることがより好ましい。濃度が低すぎると、電解質の効果が十分に発揮されず、塩析や合一させるために多量の電解質が必要となるため好ましくない。一方、濃度が高すぎると、系内にムラが発生しやすく、凝集物の発生や、粗大粒子が発生しやすいため好ましくない。
電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程において電解質を添加する場合、電解質は、攪拌翼による攪拌を行いつつ、添加するのが好ましい。本工程で用いる攪拌翼としては、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等が挙げられるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、着色樹脂微粒子を、各粒子間での大きさ、組成のばらつきが特に小さいものとして形成することができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.2〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.3〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、着色樹脂微粒子を、各粒子間での大きさ、組成のばらつきが特に小さいものとして形成することができる。
また、攪拌翼による攪拌時における材料温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。
[合一工程]
次に、複数個の分散質(着色樹脂微粒子に対応する大きさ)を合一させ、合一粒子を得る。得られる合一粒子は、製造すべきトナー母粒子11に対応するものである。分散質(着色樹脂微粒子)の合一は、通常、着色樹脂微粒子分散液調製工程同様に電解質水溶液を滴下し、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
複数個の分散質(着色樹脂微粒子)を合一させる方法は、特に限定されないが、分散液中に、電解質を添加し調節する方法が好ましい。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径を制御することができる。
合一工程で使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15wt%が好ましく、1〜12wt%であることがより好ましく、1〜6wt%であることが特に好ましい。電解質の量が少なすぎると、合一が十分に進行しない。電解質の量が多すぎると、後工程の停止水が多量に必要になり、洗浄、乾燥に時間がかかるなど生産性を低下させるので、好ましくない。
また、電解質溶液の濃度は1〜15wt%が好ましく、3〜10wt%であることがより好ましい。電解質溶液の濃度が低すぎると、電解質の効果が十分に発揮されず、塩析や合一させるために多量の電解質が必要となるため好ましくない。または、着色樹脂微粒子が生成できない場合がある。一方、電解質溶液の濃度が高すぎると、系内にムラが発生しやすく、特に合一初期の着色樹脂微粒子の生成時に凝集物の発生や、粗大粒子が発生しやすいため好ましくない。
本工程における処理温度は、10〜50℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、合一の進行が遅くなり、トナーの生産性が低下する場合がある。一方、処理温度が前記上限値を超えると、不本意な凝集物や粗大粒子が発生し易くなる。
本工程における攪拌翼の翼先端速度は、前述した着色樹脂微粒子分散液調製での翼攪拌速度よりも小さいものであるのが好ましく、着色樹脂微粒子分散液調製での翼攪拌速度の30〜80%であるのが好ましく、35〜70%であるのがより好ましい。これにより、分散質(着色樹脂微粒子)をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
本工程における攪拌翼の翼先端速度の具体的な値は、例えば、0.1〜8m/秒であるのが好ましく、0.2〜6.5m/秒であるのがより好ましく、0.2〜5m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質(着色樹脂微粒子)をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、攪拌が不均一となり、必要以上に粗大化した粗大粒子が発生し易くなる。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、合一粒子の形成に寄与しない微粒子が残存し易くなる傾向がある。
合一粒子が所望の粒径に達したら、合一を停止させる。これにより、所望の粒径の合一粒子を確実に得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を挙げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質(着色樹脂微粒子)の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加する水は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水の総量が、400重量部以上となるように加えるのが好ましく、500重量部以上となるように加えるのがより好ましい。
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー母粒子11の分散液が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、トナー母粒子11を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。合一粒子は、水性媒体中と共に有機溶剤を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。
そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。脱溶剤に当たっては消泡剤の添加が好ましい。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。特に、シリコーン系のエマルジョン形態のものが好ましい。シリコーン系の消泡剤としては、BY22−517、SH5503、SM5572F、BY28−503(東レ・ダウコ一二ング・シリコーン社製)、KM75、KM89、KM98、KS604、KS538(信越化学工業製)等がある。なかでも、物性への影響が少なく、消泡効果の高いものとしてBY22−517が好ましい。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系媒体が除去されてもよい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
[分離・洗浄工程]
次に、トナー母粒子11の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)によりトナー母粒子11を分離し、さらにその後、固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からのトナー母粒子11の分離)をすることにより行うことにより、行うことができる。固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。水性媒体からの分離は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルターなどの分離手段で行うことができる。
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施す(乾燥工程)。これにより、最終的なトナー中の水分量を低いものとすることができ、トナーの帯電特性、安定性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
乾燥工程は、例えば、凍結乾燥機による真空乾燥機、リボコーン型乾燥機(大川原製作所)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機、流動層乾燥機(大川原製作所)、振動流動層乾燥機(中央化工機)等の流動層型乾燥機で乾燥される。
また、本工程での処理温度は、トナー母粒子11を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
[外添工程]
その後、外添処理により、トナー母粒子11に対して、外添剤12を付与する(外添工程)。これにより、最終的なトナーが得られる。
外添処理は、いかなる方法で行うものであってもよいが、トナー母粒子11の変形(凝集、分解等を含む)を効果的に防止しつつ、効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができることから、以下のような方法により行うのが好ましい。
本実施形態では、外添処理を、図3、図4に示すような外添処理槽を用いて行う。
図3に示すように、外添処理槽E1は、水平円板状の槽底E2と、槽底E2の中心を垂直に貫く駆動軸E3とを有し、駆動軸E3には、攪拌羽根(タービン羽根)E5が取り付けられている。攪拌羽根E5にはその上部に補強と流路の確保を目的とするドーナツ状円板E4が取り付けられている。
本工程において、被処理物であるトナー母粒子11および外添剤12は、攪拌羽根E5による遠心力により外添処理槽E1内壁に沿って上向きに放出される。外添処理槽E1内部には筒状部材E7が配置され、攪拌羽根E5によって放出される被処理物を筒状部材E7の外壁面で受け止めた後、落下させる。被処理物は、ドーナツ状円板E4の中心孔と駆動軸E3との間から攪拌羽根E5に再供給され、以上を繰り返すことで分散混合が進む。
また、外添処理槽E1は水平状の槽底E2を有する球形とされ、上下に2分割されるように中央部にフランジE8が備えられ、また、球形部全体はジャケットE9が設けられて2重構造とされ、熱媒体が流されて被処理物を加熱または冷却可能とされる。外添処理槽E1の上部には、被処理物の投入孔を兼ねた筒状部材E7が設けられており、また、下部には外添処理済みの被処理物としてのトナー粒子1の排出口(図示せず)が適宜設けられている。
駆動軸E3には上述のごとく槽底側近傍に攪拌羽根E5が外部動力により回転可能に取り付けられ、その先端は、図3、図4に示すようにドーナツ状円板E4の外周と槽壁との間に位置するように配置されている。また、攪拌羽根E5の下側のエッジは、図3に示すように外添処理槽E1の球面状の内壁に沿った弧状とされ、回転することにより被処理物を矢印のごとく外添処理槽内面の曲面に沿って外添処理槽頂部に向けて放出可能な形状とされている。シールエア孔E6は、高温となる駆動軸部分に被処理物が溶着することを防止するためのエアー供給孔であり、また、供給されたエアーは筒状部材E7から排出される。
被処理物の均一処理性、供給されたエアーの排出性の観点から、筒状部材E7の容器内部での長さは、容器内部のドーナツ状円板E4からの高さの1/20以上の長さとするのが好ましく、1/3以上の長さとするのがより好ましい。また、筒状部材E7の容器内部での長さの上限は、被処理物を静置した時の粉面に接触しない程度の長さとするとよい。また、筒状部材E7は円筒形状以外でもシールエアが抜ける構造であればよく、例えばスリットを有した構造でもよい。
また、水平状の槽底E2の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.25〜0.80であるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、ドーナツ状円板E4の外径と水平状の槽底E2の直径との比は、0.50〜1.20であるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、攪拌羽根E5の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.50〜0.90であるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、ドーナツ状円板E4の内径と外径との比は、0.5〜0.95であるのが好ましく、0.7〜0.8であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、外添処理槽E1への被処理物の仕込み量は、処理槽の容積に対する比で、0.1〜0.9であるのが好ましく、0.3〜0.5であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、攪拌羽根E5の先端の周速度(π×羽根の最外径×回転数/時間)は、20〜100m/秒であるのが好ましく、40〜70m/秒であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、混合処理時間は、0.5〜10分であるのが好ましく、1〜5分であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、温度上昇を避けるために、もしくは、外添剤の機能を十分発揮させるため、付着順を規定するために、複数の外添剤を複数回に分けて混合してもよい。このような場合、1回の混合処理時間を前述の範囲にすることが望ましい。なお、トナー母粒子11と外添剤12との混合処理に際して周速度が遅すぎたり、混合処理時間が短すぎると、混合処理が不十分となる可能性がある。一方、周速度が速すぎたり、混合処理時間が長すぎると、溶着が発生し、収率が低下する可能性がある。
外添処理槽E1では、ヘンシェルミキサーのような従来から広く用いられている混合装置に比べて、被処理物の急激な立ち上がりを解消することができるため、被処理物であるトナー母粒子11と外添剤12とを曲面状の槽壁に沿って高速で流動させることができ、また、被処理物が流動する壁面距離が長く、トナー母粒子11が転がりやすくなり短時間での均一な外添処理が可能である。また、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、効率良く外添剤12を全体に付着させつつくびれ部113付近に偏在させることができる。さらに、外添処理槽の天井まで被処理物を移動させた後、槽底の攪拌羽根に供給され再処理されるので、重力に依存していた被処理物の上下動が円筒形状の混合装置に比べて、よりダイナミックとなり、また、上羽根を設ける必要がないという利点を有する。また、槽内に凸部を設けて乱流を発生させてもよい。これにより、外添剤12の凝集をより確実に防止することができる。
<画像形成装置>
次に、上述した本発明のトナーが適用される画像形成装置について説明する。
図5は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図6は、図5の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図7は、図5の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図8は、図7の定着装置の要部断面図である。
画像形成装置10の装置本体20内には、感光体ドラムからなる像担持体30が配設され、図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。この像担持体30の周囲には、その回転方向に沿って、像担持体(感光体)30を一様に帯電するための帯電装置40、像担持体30上に静電潜像を形成するための露光装置50、静電潜像を現像するためのロータリー現像装置60、像担持体30上に形成された単色のトナー像を一次転写するための中間転写装置70が配設されている。
ロータリー現像装置60は、イエロー用現像装置60Y、マゼンタ用現像装置60M、シアン用現像装置60Cおよびブラック用現像装置60Kが支持フレーム600に装着され、支持フレーム600は図示しない駆動にモータより回転駆動される構成になっている。これらの複数の現像装置60Y、60C、60M、60Kは、像担持体30の1回転毎に選択的に一つの現像装置の現像ローラ604が像担持体30に対向するように回転移動するようにされている。なお、各現像装置60Y、60C、60M、60Kには、各色のトナーが収納されたトナー収納部が形成されている。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
図6に示すように現像装置60Yでは、その内部にトナーTを収容するハウジング601に供給ローラ603および現像ローラ604が軸着されており、当該現像装置60Yが上記した現像位置に位置決めされると、「トナー担持体」として機能する現像ローラ604が像担持体(感光体)30と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ603、604が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転するように構成されている。この現像ローラ604は、現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。
また、現像装置60Yでは現像ローラ604の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード605が配置されている。この規制ブレード605は、ステンレスやリン青銅などの板状部材605aと、板状部材605aの先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材605bとで構成されている。この板状部材605aの後端部はハウジング601に固着されており、現像ローラ604の回転方向D3において、板状部材605aの先端部に取り付けられた弾性部材605bが板状部材605aの後端部よりも上流側に位置するように配設されている。
中間転写装置70は、駆動ローラ90および従動ローラ100と、両ローラにより図示矢印方向に駆動される中間転写ベルト110と、ベルト110の裏面で像担持体30に対向して配設された一次転写ローラ120と、ベルト110上の残留トナーを除去する転写ベルトクリーナ130と、駆動ローラ90に対向して配設され、中間転写ベルト110に形成された4色フルカラー像を記録媒体(紙等)上に転写するための二次転写ローラ140とからなっている。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
上記構成からなる画像形成装置の作用について説明する。図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、像担持体30、現像装置60の現像ローラ604および中間転写ベルト110が回転駆動し、先ず、像担持体30の外周面が帯電装置40によって一様に帯電され、一様に帯電された像担持体30の外周面に、露光装置50によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が形成される。
一方、現像装置60Yでは、2つのローラ603、604が接触しながら回転することで、イエロートナーが現像ローラ604の表面に擦り付けられて所定の厚みのトナー層が現像ローラ604の表面に形成される。そして、規制ブレード605の弾性部材605bが現像ローラ604の表面に弾性的に当接して、現像ローラ604の表面上のトナー層を、所定の厚みに規制する。
像担持体30上に形成された潜像位置には、イエロー用現像装置60Yが回動してその現像ローラ604が当接し、これによってイエローの静電潜像のトナー像が像担持体30上に形成され、次に、像担持体30上に形成されたトナー像は一次転写ローラ120により中間転写ベルト110上に転写される。このとき、二次転写ローラ140は中間転写ベルト110から離間されている。
上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対して、像担持体30と中間転写ベルト110の1回転による潜像形成、現像、転写が繰り返され、画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写ベルト110上において重ねられて転写される。そして、このフルカラー画像が二次転写ローラ140に達するタイミングで、記録媒体が記録媒体搬送路170から二次転写ローラ140に供給され、このとき、二次転写ローラ140が中間転写ベルト110に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写される。そして、この記録媒体上に転写されたトナー像は定着装置190により加熱加圧され定着される。中間転写ベルト110上に残留しているトナーは転写ベルトクリーナ130によって除去される。
なお、両面印刷の場合には、定着装置190を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て、二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置190により加熱加圧され定着される。
図5において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
次に定着装置190について、詳細に説明する。
図7において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
図8において、定着ローラ210は、内部にハロゲンランプ等の熱源210aを有する金属製の筒体210b、筒体210bの外周に設けられたシリコンゴム等からなる弾性層210cと、弾性層210cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE))よりなる表層(図示せず)と、筒体210bに固定された回転軸210dとから構成されている。
加圧ローラ220は、金属製の筒体220bと、筒体220bに固定された回転軸220dと、回転軸220dを軸支持する軸受250と、定着ローラ210と同様に、筒体220bの外周に設けられた弾性層220cと、弾性層220cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂よりなる表層(図示せず)とから構成されている。定着ローラ210の弾性層210cの厚みは、加圧ローラ220の弾性層220cの厚みより極端に小さくし、これにより加圧ローラ220側が凹状にへこむような定着ニップ部が形成されている。
図7および図8に示すように、ハウジング240の両側面には、支持軸290、300が設けられており、この支持軸290、300にそれぞれ定着ローラ210側の剥離部材310と加圧ローラ220側の剥離部材320が回動自在に装着されている。これにより、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向で定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320が配設されることになる。
本実施形態では、図7および図8に示すように、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向でニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320を配設している。定着ローラ210側の剥離部材310の先端は、ニップ部の出口に向けて傾斜するように配置され、定着ローラ210に非接触でかつ近接されている。加圧ローラ220側の剥離部材320の先端は、定着ローラ210側の剥離部材310の先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されている。
両面印刷の場合、片面に印刷された記録媒体は定着ローラ210側の剥離部材310により剥離された後、記録媒体の後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着ローラ210により加熱加圧され定着され、このとき、加圧ローラ220に付着し巻き付いてしまう記録媒体は、加圧ローラ220側の剥離部材320により剥離されることになる。
上記のように、本実施形態の定着装置では、定着ローラおよび加圧ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、定着ローラおよび加圧ローラに近接して配設される剥離部材を備え、前記定着ローラ側の剥離部材の位置決めは定着ローラ表面で行い、前記加圧ローラ側の剥離部材の位置決めは加圧ローラの軸受表面で行うので、定着ローラおよび加圧ローラからの記録媒体の剥離性を向上させることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明において、トナー粒子は、コア領域(芯部)と、当該コア領域を被覆するシェル領域(外殻)とを有する、いわゆるコアシェル構造を有するものであってもよい。このような場合、コア領域が複数個の微粒子が結合して形成されたものであればよい。
また、本発明のトナーは、トナー母粒子として、複数個の微粒子が接合し、微粒子の接合面の外周部にくびれ部を有するもの主成分として含むものであればよく、一部、単一の微粒子(接合していない微粒子)を含むものであってもよい。このような場合、トナー母粒子全体において、単一の微粒子で構成されたトナー母粒子の占める割合は、50個数%以下であるのが好ましく、30個数%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果が十分に発揮させる。
また、本発明のトナーは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法(着色樹脂溶液調製工程と乳化懸濁液調製工程と着色樹脂微粒子分散液調製工程と合一工程と脱溶剤工程と洗浄工程と乾燥工程と外添工程とを有する方法)により製造されたものに限定されない。
また、本発明のトナーは、くびれ部を有するトナー母粒子を主成分とするものであればよく、例えば、くびれ部を有していないトナー母粒子を含んでいてもよい。このような場合、トナー母粒子全体に占めるくびれ部を有するトナー母粒子の割合は、50個数%以上であるのが好ましく、80個数%以上であるのがより好ましく、90個数%以上であるのがさらに好ましい。
[1]トナーの製造
トナーの製造に先立ち、樹脂(樹脂R−1、樹脂R−2)の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター(ワックスマスター1)、着色剤マスター(着色剤マスターC、着色剤マスターM、着色剤マスターY)、着色樹脂溶液(着色樹脂溶液MB−1、着色樹脂溶液MB−2)の調製を行った。
<樹脂R−1の合成>
テレフタル酸:221重量部
イソフタル酸:95重量部
ネオペンチルグリコール:104重量部
エチレングリコール:62重量部
テトラブチルチタネート:2.5重量部
エピクロン830:7.0重量部
カージュラE:3.0重量部
以上の原料をガラス製2Lの四つ口フラスコに入れ、温度計、攪拌棒および窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて、240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応は、ASTM・E28−517に規定される軟化温度により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸化11.0KOHmg/g、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、フローテスターによる軟化温度(T1/2)が175℃であった。ただし、「エピクロン830」は、大日本インキ化学工業社製のビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、このエポキシ当量は170g/eqである(以下、同様)。また、「カージュラE」は、シェルジャパン社製アルキルグリシジルエステルであり、このエポキシ当量は250g/eqである(以下、同様)。
<樹脂R−2の合成>
テレフタル酸:315重量部
ネオペンチルグリコール:21重量部
エチレングリコール:12重量部
プロピレングリコール:122重量部
テトラブチルチタネート:2.5重量部
以上の原料をガラス製2Lの四つ口フラスコに入れ、温度計、攪拌棒および窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて、240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。途中で酸価を測定し、酸化が目的値に到達するまで、イソフタル酸を添加して、樹脂酸価を調整した。反応は、ASTM・E28−517に規定される軟化温度により追跡し、該軟化点が100℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸化10.0KOHmg/g、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスターによる軟化温度(T1/2)が102℃であった。
<ワックスマスターWM−1の調製>
高速乳化機T.K.ロボミックス(プライミクス社製、T.K.ホモミクサMARKII2.5型)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
次に、高速分散機T.K.ロボミックス(プライミクス社製、T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、メチルエチルケトン:856重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂R−2:700重量部を徐々に添加して、樹脂R−2が均一に溶解したことを確認した後、上記第1のワックス分散液:878.6重量部を添加して、予備混合液の調製を行った。次いで、該予備混合液をスターミル(アシザワファインテック社製、LMZ−10)で混合を行い、固形分含有量45.0wt%のワックスマスター1を得た。得られたワックスマスター1の組成は、重量比で、樹脂R−2:ワックス:乳化剤:メチルエチルケトン:水=31.3:13.4:0.3:29.5:25.5であった。
<着色剤マスターPM−Cの調製>
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111:C.I.Pigment B−15:3):2000重量部と、樹脂R−2:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−Cを得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−Cを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−Mの調製>
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B:C.I.Pigment R−184)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Mを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Mを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−Yの調製>
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG:C.I.Pigment Y−180)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Yを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Yを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色樹脂溶液MB−1の調製>
高速分散機T.K.ロボミクス(プライミクス社製、T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):95.5重量部を仕込み、さらに、樹脂R−1(希釈樹脂):99.6重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C:42重量部、樹脂R−2(希釈樹脂):58.4重量部、ワックスマスターWM−1:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.1重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が65wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、着色樹脂溶液MB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。
(実施例1)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
上記着色樹脂溶液(ミルベース)MB−1:520.5重量部(固形分:300重量部)に、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が35℃となるように調整した。
その後、翼先端速度:14.7m/秒に変更し、この状態で、316.6重量部の水(脱イオン水)を20重量部/分の速度で滴下し、分散液を調製した。脱イオン水を添加するにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合は均一であった。脱イオン水を200重量部添加した段階で粘度の低下が観察された(転相点)。その後、さらに残りの脱イオン水を所定量滴下し、乳化懸濁液を得た。この段階での分散液中におけるメチルエチルケトン(有機溶剤)の含有率は、27.6wt%であった。また、この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
《着色樹脂微粒子調製工程:着色樹脂微粒子作製工程》
次に、乳化懸濁液中に、電解質を添加することにより、分散質を粒子成長させた。すなわち、電解質を添加することにより、組成の異なる複数種の分散質(固形分の主成分が樹脂成分である樹脂分散質、固形分の主成分が着色剤である着色剤分散質、固形分の主成分がワックスであるワックス分散質)を一体化させ、着色樹脂微粒子を形成した。電解質の添加は、以下のようにして行った。
まず、上記乳化懸濁液の入った2L円筒容器にマックスブレンド翼(翼径:65mm)を取り付け、翼先端速度:0.85m/秒に保持した状態で、温度を25℃に調整した。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質):120重量部を10重量部/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を0.54m/秒に調整し、分散質(着色樹脂微粒子)の粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。分散質の粒径が3.2μmになった時点でマックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質):20重量部を10重量部/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を0.54m/秒に調整し分散質(着色樹脂微粒子)の粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。分散質の粒径が5.5μmになった時点で、翼先端速度を1.53m/秒で30分間保持し、分散質(着色樹脂微粒子)の粒度分布、形状を整え、着色樹脂微粒子が分散した着色樹脂微粒子分散液を得た。以上のような処理により形成された着色樹脂微粒子は、顔料微粒子、ワックス微粒子が微分散した状態で取り込まれたものであった。
《合一工程:合一粒子作製工程》
上記着色樹脂微粒子の調製を行った2L円筒容器内において、脱イオン水を50重量部添加し、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を10重量部/分で滴下し、滴下終了後、翼先端速度を0.34m/秒に減速してさらに攪拌を10分間継続した。ここで、この分散液について、観察を行った。その結果、着色樹脂微粒子が、複数個合一した合一粒子が多数確認された。その後、水(脱イオン水):500重量部を添加し、翼先端速度を0.54m/秒に調整した状態で攪拌することにより、分散質の合一を停止させ、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この時の50%体積粒径は8.0μmであった。
《脱溶剤工程》
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.05重量部を脱イオン水30重量部に希釈して添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《分離・洗浄工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子の着色樹脂微粒子ケーキを得た。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、着色樹脂微粒子ケーキを乾燥することにより、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、複数個の微粒子(着色樹脂微粒子)が接合し、微粒子の接合面の外周部にくびれ部が設けられた構成を有するものであった。また、トナー母粒子が有するくびれ部は、微粒子の接合面の法線を軸として、トナー母粒子の全周にわたって設けられたものであった。また、くびれ部の重心は、トナー母粒子の重心とほぼ一致するものであった(くびれ部の重心とトナー母粒子の重心との距離は0.1μm以下)。また、トナー母粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)(L)は、7.0μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.10であった。
また、トナー母粒子を構成する微粒子の平均粒径Lは5.0μmであった。トナー母粒子の投影形状における微粒子同士の接合面の平均長さLは3.5μmであった。
なお、粒径、粒度分布等の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。また、トナー母粒子の平均円形度Rは0.958であった。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、平均円形度を求めた。
《外添工程》
上記のようにして得られたトナー母粒子:100重量部に対し、一段目の外添剤として、平均粒径:40nmのシリカRX50(大粒径シリカ:日本アエロジル(株)製):1.0重量部、平均粒径:12nmのシリカRX200(小粒径シリカ:日本アエロジル(株)製):1.0重量部、図3、図4に示す外添処理装置に投入し、羽先端周速:40m/秒で2分間混合し、次いで2段目として、平均粒径:30nmの酸化チタンSTT30S(チタニア:チタン工業(株)製):母粒子に対し、0.5重量部を添加し、50m/秒で2分30秒混合し、次いで3段目として平均粒径:40nmのシリカNA50H(正帯電シリカ:日本アエロジル(株)製)を同じく0.5重量部を添加し、40m/秒で2分間混合し、最終的なトナー(シアントナー)を得た。なお、筒状部材E7の容器内部での長さは、容器内部のドーナツ状円板E4からの高さの1/4であった。また、水平状の槽底E2の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.70であった。また、ドーナツ状円板E4の外径と水平状の槽底E2の直径との比は、0.85であった。また、攪拌羽根E5の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.70であった。また、ドーナツ状円板E4の内径と外径との比は、0.80であった。また、外添処理槽E1への被処理物の仕込み量は、処理槽の容積に対する比で、0.45であった。
10000倍のSEM観察を行ったところ、得られたトナーは、2個粒子が接合した母粒子が大半を占め、そのトナー母粒子のくびれ部以外にはほぼ均等均一に外添剤が付着しているが、くびれ部には多くの外添剤が付着したもの、すなわち、トナー母粒子のくびれ部に外添剤が偏在したものであった。
また、得られたトナーにおいては、トナー母粒子から遊離した外添剤(遊離外添剤)をパーティクルアナライザーPT1000(横河電機(株)製)により測定した。遊離外添剤の割合は、シリカについては1.7個数%、チタニアについては3.0個数%であった。なお、外添処理によるトナー母粒子の形状、大きさの変化は認められなかった。
表1に10000倍のSEM観察を500個のトナーを観察し、微粒子が接合していない1個のトナー母粒子の比率をR[個数%]、2個の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]、3個の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]、4個以上の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]として表した。
(実施例2)
実施例1同様に着色樹脂溶液及び乳化懸濁液の調製を行い、一段目の電解質を滴下し、3.5μmになるまで撹拌を継続した。次の合一工程において、脱イオン水を50重量部添加し、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を10重量部/分で滴下し、滴下終了後、翼先端速度を0.34m/秒に減速してさらに攪拌を10分間継続した。その後、水(脱イオン水):500重量部を添加し、翼先端速度を0.54m/秒に調整し、粒子成長を停止させた。さらに、実施例1同様にして、脱溶剤、洗浄、乾燥工程を行い、トナー母粒子を得た。トナー母粒子の50%体積粒径は4.9μm、円形度は0.951のくびれ部を有している粒子が多く確認された。
その後、実施例1と同様にして外添処理を施すことにより、トナーを得た。
(実施例3〜10)
各工程(着色樹脂微粒子分散液調製工程、合一工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、各工程における攪拌条件、外添剤の添加量を調整することにより、トナーの構成を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例11)
着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターMを用いた以外は、前記実施例2同様にしてトナーを製造した。
(実施例12)
着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターYを用いた以外は、前記実施例2同様にしてトナーを製造した。
(比較例1)
樹脂R−1:180重量部、樹脂R−2:235重量部、着色剤マスターPM−C:70重量部、および、カルナバワックス(日本ワックス社製):15重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合後、二軸の押し出し混練機で溶融混練した。混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて粗砕し、さらにジェットミルで微粉砕後、風力分級機で分級し、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は異形状(非球形)をなすものであり、トナー母粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、7.5μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.25であった。また、トナー母粒子の平均円形度Rは0.931であった。
上記のようにして得られたトナー母粒子に対して、前記実施例1と同様にして外添処理を施すことにより、トナーを得た。得られたトナー粒子では、トナー母粒子の表面付近に微小な凹凸が設けられていたが、各粒子(トナー母粒子)間での形状のばらつきが大きく、外添剤の付着が少ない母粒子と、多量の外添剤が付着した母粒子とが混在していた。また、多くの凹凸が設けられた母粒子と、凹凸がほとんど設けられていない粒子母粒子とが混在していた。また、各粒子(トナー母粒子)間での凹凸の深さのばらつきも大きかった。
(比較例2)
着色樹脂微粒子分散液調製工程において、実施例1同様に電解質の使用量、翼先端速度を同じにして、着色樹脂微粒子が5.8μmになるまで撹拌を継続した。その後、合一工程を省略、脱イオン水を500重量部添加し、粒子成長を停止した。さらに、実施例1同様に、脱溶剤、洗浄、乾燥工程を行い、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、ほとんどがくびれ部を有していないものであった。また、トナー母粒子の50%体積粒径は5.0μm、円形度は0.987であった。このようにして得られたトナー母粒子は、各実施例でのトナー母粒子が有しているようなくびれ部を有していなかった。
その後、上記のようにして得られたトナー母粒子に対して、前記実施例1と同様にして外添処理を施すことにより、トナーを得た。
表1には、トナーの主な構成をまとめて示し、表2には、外添処方をまとめて示した。なお、表1中、トナーを構成する前記トナー母粒子全体に対し、表1に10000倍のSEM観察を500個のトナーを観察し、微粒子が接合していないトナー母粒子(1個の微粒子からなるトナー母粒子)の比率をR[個数%]、2個の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]、3個の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]、4個以上の微粒子が接合してなるトナー母粒子の比率をR[個数%]として表した。また、実施例1〜12のトナーにおいては、外添剤は、トナー母粒子のくびれ部に偏在していた。また、各実施例および各比較例のトナーを構成する樹脂成分は、原料として用いた樹脂と同一のガラス転移温度、軟化温度、平均分子量を示すものであった。
Figure 0004830724
Figure 0004830724
[2]評価
前記各実施例および各比較例で得られたトナーについて、以下のような評価を行った。
[2.1]流動性の保持
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、記録媒体(セイコーエプソン社製カラーレーザープリンタ用コート紙A4)に、所定パターンの印字(5%印字)を連続して3000枚行った。印字前のトナーの見かけ密度(D[g/cm])、および、3000枚印字後のトナーの見かけ密度(D[g/cm])から、見かけ密度の低下率([1−(D/D)]×100)を求め、以下の4段階の基準に従い評価した。見かけ密度の低下率が小さいほど、流動性を保持しているといえる。
◎:見かけ密度の低下率が5%未満。
○:見かけ密度の低下率が5%以上10%未満。
△:見かけ密度の低下率が10%以上15%未満。
×:見かけ密度の低下率が15%以上。
[2.2]耐久性
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、記録媒体(セイコーエプソン社製、カラーレーザープリンタ用コート紙A4)に、所定パターンの印字(5%印字)を連続して5000枚行い、記録媒体上に印字される画像におけるカスレの発生状況を確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:1〜6000枚目の印字物においてカスレが認められない。
◎:1〜5000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、5001〜6000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
○:1〜3000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、3001〜5000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
△:1〜2000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、2001〜3000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
×:1〜2000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
[2.3]転写効率
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した。この画像形成装置において、べた画像の形成を行い、感光ドラム(像担持体)への現像工程直後(転写前)の感光ドラム上のトナーと、転写後(印刷後)の感光ドラム上に残ったトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光ドラム上のトナー重量をW[g]、転写後の感光ドラム上のトナー重量をW[g]としたとき、(W−W)×100/Wとして求められる値を、転写効率として求めた。数値が大きいほど、転写効率が良いと言える。
[2.4]クリーニング性
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、連続6000枚印字(5%印字)を行い、クリーニング性を以下の3段階の基準に従い評価した。
○:中間転写ベルト表面の拭き残しが全く認められない。
△:印字の初期の段階では、中間転写ベルト表面の拭き残しがほとんど認められない
が、徐々にクリーニング不良が増大し、5000枚印字終了時には、明らかなク
リーニング不良が認められる。
×:印字の初期の段階から、明らかなクリーニング不良が認められる。
[2.5]中抜け
図5〜図8に示すような画像形成装置を用いて、エプソン製コート紙へ、たて横の1ドットラインから、10ドットラインまでの印字を行い、そのライン端付近での中抜けの有無を目視および光学顕微鏡(×100倍)で観察し、以下の3段階の基準に従い評価した。
○:目視および顕微鏡による観察で、中抜けが認められない。
△:目視のよる観察では中抜けが認められないが、顕微鏡による観察では中抜けが認
められる。
×:目視による観察で、中抜けが認められる。
これらの結果を表3に示した。
Figure 0004830724
表3から明らかなように、本発明のトナーは、経時的な流動性の低下が効果的に防止されており、流動性を好適に保持することができるものであった。また、本発明のトナーは、耐久性、転写効率、クリーニング性に優れていた。このようなことから、本発明のトナーでは、外添剤の機能が効果的に発揮されていることが分かる。
これに対し、各比較例のトナーでは、満足な結果が得られなかった。
より具体的には、粉砕法により得られた比較例1のトナーでは、トナー母粒子の表面付近に微小な凹凸が設けられていたが、各粒子(トナー母粒子)間での形状のばらつきが大きく、また、耐久試験後は、トナーの角がとれたり、微粉量が増え、満足できるものではなかった。
また、くびれ部を有していない比較例2のトナーでは、耐久性評価後において、外添剤がトナー母粒子の内部に埋め込まれており、さらに、削り取られたと思われる数μmサイズの外添剤の集合体が観察され、流動性の低下が著しかった。また、比較例2のトナーでは、耐久性評価後、転写効率が極端に低下した。また、クリーニング性は初期から非常に悪いものであった。また、比較例2のトナーでは、外添剤の凝集が顕著に認められ、トナー母粒子から離脱した外添剤も多量に認められた。これは、比較例2のトナーでは、外添剤がトナー母粒子の特定の部位に安定的に保持されていないため、外添剤が、凝集する傾向が顕著になるためであると考えられる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図である。 軟化点の求め方を説明するための図であり、(a)は、測定に用いる装置を模式的に示す速断面図、(b)は、測定結果から軟化点(T1/2)を求める方法を説明するためのグラフである。 外添工程で用いる外添処理装置の中央断面図である。 図3に示す外添処理装置が有する混合羽根の一例を示す平面図である。 本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図である。 図5の画像形成装置が有する現像装置の断面図である。 図5の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図である。 図7の定着装置の要部断面図である。
符号の説明
1…トナー粒子 11…トナー母粒子 111…微粒子 112…接合面 113…くびれ部 12…外添剤 E1…外添処理槽 E2…水平円板状の槽底 E3…駆動軸 E4…ドーナツ状円板 E5…攪拌羽根(タービン羽根) E6…シールエア孔 E7…シールエアを逃す筒状部材 E8…フランジ E9…ジャケット 10…画像形成装置 20…装置本体 30…像担持体 40…帯電装置 50…露光装置 60…ロータリー現像装置 600…支持フレーム 601…ハウジング 603…供給ローラ 604…現像ローラ 605…規制ブレード 605a…板状部材 605b…弾性部材 60Y…イエロー用現像装置 60M…マゼンタ用現像装置 60C…シアン用現像装置 60K…ブラック用現像装置 70…中間転写装置 90…駆動ローラ 100…従動ローラ 110…中間転写ベルト 120…一次転写ローラ 130…転写ベルトクリーナ 140…二次転写ローラ 150…給紙カセット 160…ピックアップローラ 170…記録媒体搬送路 190…定着装置 200…排紙トレイ 210…定着ローラ(加熱定着部材) 210a…熱源 210b…筒体 210c…弾性層 210d…回転軸 220…加圧ローラ(加圧部材) 220b…筒体 220c…弾性層 220d…回転軸 230…両面印刷用搬送路 240…ハウジング 250…軸受 260…加圧レバー 270…加圧スプリング 290…支持軸 300…支持軸 310…剥離部材 320…剥離部材 6…ノズル 7…シリンダ 8…試料 9…荷重面 T…トナー

Claims (6)

  1. トナー母粒子の表面付近に外添剤が付与されたトナーであって、
    前記トナー母粒子は、複数個の微粒子を接合して形成されたものであり、
    前記微粒子の接合面の外周部にくびれ部を有したトナー母粒子を主成分とし、
    前記外添剤は、前記くびれ部に偏在しており、
    トナーを構成する前記トナー母粒子全体に対し、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が20〜80個数%であり、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が5〜45個数%であり、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率のほうが、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率よりも大きく、
    トナーを構成するトナー母粒子全体において、前記微粒子が接合していないもの(単一の前記微粒子で構成されたトナー母粒子)の占める割合は、50個数%以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記くびれ部は、前記接合面の法線を軸として、前記トナー母粒子の全周にわたって設けられたものである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記外添剤の平均粒径が10〜500nmである請求項1または2に記載のトナー。
  4. トナーは、前記トナー母粒子100重量部に対し、前記外添剤を1.0〜5.0重量部含むものである請求項1ないしのいずれかに記載のトナー。
  5. 前記トナー母粒子の平均粒径が2.0〜10.0μmである請求項1ないしのいずれかに記載のトナー。
  6. 前記トナー母粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.92〜0.98である請求項1ないしのいずれかに記載のトナー。
    R=L/L・・・(I)
    (ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
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