JP4830724B2 - トナー - Google Patents
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Description
そして、トナー粒子の流動性を向上させたり、トナー粒子の帯電特性を制御する等の目的で、トナー粒子として、上記のような材料で構成されたトナー母粒子の表面に、外添剤を付与したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。外添剤は、一般に、ヘンシェルミキサーのような紛体用混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合することにより、トナー母粒子に外添される。
本発明のトナーは、トナー母粒子の表面付近に外添剤が付与されたトナーであって、
前記トナー母粒子は、複数個の微粒子を接合して形成されたものであり、
前記微粒子の接合面の外周部にくびれ部を有したトナー母粒子を主成分とし、
前記外添剤は、前記くびれ部に偏在しており、
トナーを構成する前記トナー母粒子全体に対し、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が20〜80個数%であり、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が5〜45個数%であり、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率のほうが、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率よりも大きく、
トナーを構成するトナー母粒子全体において、前記微粒子が接合していないもの(単一の前記微粒子で構成されたトナー母粒子)の占める割合は、50個数%以下であることを特徴とする。
これにより、遊離した外添剤による悪影響の発生を十分に防止しつつ、外添剤の機能が十分に発揮されるトナーを提供することができる。
これにより、遊離した外添剤による悪影響の発生をより効果的に防止しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
これにより、外添剤をトナー母粒子の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーは、前記トナー母粒子100重量部に対し、前記外添剤を1.0〜5.0重量部含むものであることが好ましい。
これにより、遊離した外添剤が過剰に発生するのを防止しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
これにより、外添剤の機能をより確実に発揮させることができるとともに、トナーを用いて形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、外添剤をトナー母粒子の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
図1は、本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図、図2は、軟化点の求め方を説明するための図、図3は、外添工程で用いる外添処理槽の中央断面図、図4は、図3に示す外添処理槽が有する混合羽根の一例を示す平面図である。
トナーは、多数個のトナー粒子1で構成されている。
トナー粒子1は、トナー母粒子11と、外添剤12とを有するものである。
本発明のトナーは、転写効率向上、中抜け防止のためにトナー母粒子の球形化をすすめると、外添剤が埋め込み、もしくは、遊離が多くなり、外添剤の機能が発揮されがたい点を鑑みて発明されたものである。
すなわち、トナー母粒子において、同程度のサイズの2つ以上の微粒子111を接合して形成せしめ、微粒子の接合面112の外周部にくびれ部113を有している点を特徴とするトナー母粒子である。
また、トナー母粒子11が微粒子111の接合体として存在することにより、より穏やかな条件で、記録媒体にトナーを好適に定着させることができる。より詳しく説明すると、粒径の割りにトナー母粒子11の比表面積が大きく、全体を比較的均一に加熱することができ、トナー母粒子11内での温度のばらつきを抑制することができるため、比較的小さなエネルギーで確実にトナーを定着させることができる。
トナー母粒子11は、後に詳述するように、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー母粒子11が微粒子111の接合体として存在することにより、後述するような製造方法において、洗浄工程(洗浄処理)や脱溶剤処理工程(脱溶剤処理)を効率良く行うことができ、トナー中における揮発性有機化合物の含有量を抑制することができる。
また、トナー母粒子11の投影形状における微粒子111の接合面112の平均長さは、0.3〜6.0μmであるのが好ましく、1.5〜5.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、トナーを構成するトナー母粒子11全体に対し、3〜6個の微粒子111が接合してなるトナー母粒子11の比率(R3、R4、R5、およびR6の比率の和)は、5〜45個数%であるのが好ましく、7〜40個数%であるのがより好ましい。
また、トナー母粒子11の平均粒径は、2.0〜10.0μmであるのが好ましく、3.0〜8.0μmであるのがより好ましい。これにより、外添剤12の機能をより確実に発揮させることができるとともに、トナーを用いて形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
具体的には、下記式(I)で表されるトナー母粒子に11ついての平均円形度Rは、0.92〜0.98であるのが好ましい。平均円形度Rが前記範囲内の値であると、外添剤12をトナー母粒子11の表面付近に確実に保持しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができ、トナーの転写効率を特に優れたものとし、画像形成装置内におけるクリーニング性を十分に優れたものとすることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー母粒子11についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.25であるのが好ましく、1.00〜1.20であるのがより好ましい。これにより、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)や日機装社製マイクロトラックMT3000を用いた測定により求めることができる。
トナー母粒子11は、O/W型の乳化液中に含まれる複数個の分散質を合一(接合)させることにより製造されたものであるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の強度を特に優れたものとすることができるとともに、より容易にトナー母粒子11の形状を所望の形状とすることができる。
トナー母粒子11(微粒子111)は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー母粒子11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。また、トナー母粒子11がポリエステル樹脂で構成されたものであると、後述するような製造方法において、容易かつ確実に所望の特性を有するトナーを製造することができる。
架橋型ポリエステルは、二塩基酸またはその誘導体と、2価のアルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、二塩基酸またはその誘導体と、2価の脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、二塩基酸類と、2価のアルコールとを反応させることによって製造する。特に、二塩基酸類と、2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。
具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(シェルジャパン製カージュラE)が挙げられる。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを使用することができる。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃であることが好ましい。軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなり、150℃を超える場合には定着性が悪化しやすくなる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5、WEP−7(日本油脂製)が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー母粒子11の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物、脂肪酸、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上述したように、トナー粒子1においては、トナー母粒子11の表面付近に、外添剤12が存在している。特に、外添剤12は、くびれ部113付近に偏在している。
外添剤12は、例えば、トナー粒子1全体としての耐久性の向上、帯電性の制御、流動性の向上、環境安定性の向上、クリーニング性の向上等の機能を有するものである。
また、100重量部のトナー母粒子11に対する、外添剤12の含有率は、1.0〜5.0重量部であるのが好ましく、1.5〜3.5重量部であるのがより好ましい。これにより、遊離した外添剤12が過剰に発生するのを防止しつつ、外添剤12の機能をより効果的に発揮させることができる。
上記のようなトナー粒子は、後述するような方法により、容易かつ確実に得ることができる。
次に、上述したようなトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。本発明のトナーの製造方法は以下の工程からなる。
(1)着色樹脂溶液調製工程
本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程である。
(2)乳化懸濁液調製工程
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化懸濁させる工程である。
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させ、着色樹脂微粒子を生成させる工程である。
(4)合一工程
着色樹脂微粒子分散液に電解質水溶液を添加し、複数個の分散質(着色樹脂微粒子)を合一させることにより粒子形成を行い、トナー母粒子11に対応する合一粒子の分散液を得る工程である。
減圧下で有機溶剤を除去する工程である。
(6)分離・洗浄工程
着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄する工程である。
(7)乾燥工程
トナー母粒子11を乾燥させる工程である。
(8)外添工程
トナー母粒子11に外添剤12を付与する工程である。
着色樹脂溶液調製工程では、最初に有機溶剤中に本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を投入して溶解あるいは分散させる。
本発明のポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス及び着色剤は、高速攪拌機により有機溶剤中に溶解あるいは分散することが好ましい。この場合、着色剤は予め予備分散を行ってマスター混練チップを調製し、作製するトナー粒径以下に微分散したものを用いてもよい。ワックスも予めマスター混練チップを調製した後で混合してよい。あるいは、メディアを用いて湿式分散によりトナー粒径以下に微分散したワックスマスター溶液を用いてもよい。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、30重量部以下であるのが好ましく、25重量部以下であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、8〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分の有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂溶液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂溶液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、有機溶剤の組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
着色樹脂溶液中におおける固形分と有機溶剤の比率は、特に限定されないが、固形分100重量部に対し、有機溶剤は33〜100重量部であるのが好ましく、40〜82重量部であるのがより好ましい。有機溶剤比率が低いと粘度が高く、撹拌が困難となり、樹脂成分、着色剤、ワックスの溶解または分散が悪くなる。また、有機溶剤比率が高くなると粘度は低下し、樹脂成分は溶解し易くなるが、剪断がかからず着色剤、ワックスの分散は必ずしも十分にはならない可能性がある。また、全体量が増え、生産性が低下する方向にある。
また、着色樹脂溶液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する着色樹脂微粒子分散液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
なお、着色樹脂溶液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
乳化懸濁液調製工程では、上記の着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化懸濁させる。
ここで、塩基性化合物によって本発明のトナーの樹脂成分であるポリエステル樹脂のカルボキシル基が中和されている着色樹脂溶液に水を徐々に添加することが好ましい。カルボキシル基が中和されることで、本発明のトナーの樹脂成分であるポリエステル樹脂の親水性が向上し、水との親和性が向上する。
また、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、8〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂溶液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
本工程で調製する着色樹脂微粒子分散液中の分散質(着色樹脂微粒子)は、トナー母粒子11を構成する微粒子111に対応するものである。
上記で得られた乳化懸濁液に攪拌しつつ電解質を添加することにより、乳化懸濁液中の分散質が塩析又は不安定化される。このとき乳化懸濁液を攪拌することにより、分散質同士が衝突を起こし一体化する。分散質である均一に分散された微細な、樹脂油滴、ワックス分散質、着色剤分散質等が一体化し着色樹脂微粒子となる。その後さらに、この着色樹脂微粒子同士が衝突し、合一が進行し、より大きな着色樹脂微粒子が生成する。これにより、着色樹脂微粒子はほぼ組成の揃った粒子となる。この合一の速度をコントロールすることで、所望のサイズと粒度分布の着色樹脂微粒子(微粒子111に対応する大きさ)を得ることができる。
電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
また、攪拌翼による攪拌時における材料温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。
次に、複数個の分散質(着色樹脂微粒子に対応する大きさ)を合一させ、合一粒子を得る。得られる合一粒子は、製造すべきトナー母粒子11に対応するものである。分散質(着色樹脂微粒子)の合一は、通常、着色樹脂微粒子分散液調製工程同様に電解質水溶液を滴下し、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
合一工程で使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15wt%が好ましく、1〜12wt%であることがより好ましく、1〜6wt%であることが特に好ましい。電解質の量が少なすぎると、合一が十分に進行しない。電解質の量が多すぎると、後工程の停止水が多量に必要になり、洗浄、乾燥に時間がかかるなど生産性を低下させるので、好ましくない。
本工程における攪拌翼の翼先端速度は、前述した着色樹脂微粒子分散液調製での翼攪拌速度よりも小さいものであるのが好ましく、着色樹脂微粒子分散液調製での翼攪拌速度の30〜80%であるのが好ましく、35〜70%であるのがより好ましい。これにより、分散質(着色樹脂微粒子)をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を挙げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質(着色樹脂微粒子)の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加する水は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水の総量が、400重量部以上となるように加えるのが好ましく、500重量部以上となるように加えるのがより好ましい。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー母粒子11の分散液が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。脱溶剤に当たっては消泡剤の添加が好ましい。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、トナー母粒子11の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
その後、乾燥処理を施す(乾燥工程)。これにより、最終的なトナー中の水分量を低いものとすることができ、トナーの帯電特性、安定性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
乾燥工程は、例えば、凍結乾燥機による真空乾燥機、リボコーン型乾燥機(大川原製作所)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機、流動層乾燥機(大川原製作所)、振動流動層乾燥機(中央化工機)等の流動層型乾燥機で乾燥される。
また、本工程での処理温度は、トナー母粒子11を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
その後、外添処理により、トナー母粒子11に対して、外添剤12を付与する(外添工程)。これにより、最終的なトナーが得られる。
外添処理は、いかなる方法で行うものであってもよいが、トナー母粒子11の変形(凝集、分解等を含む)を効果的に防止しつつ、効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができることから、以下のような方法により行うのが好ましい。
図3に示すように、外添処理槽E1は、水平円板状の槽底E2と、槽底E2の中心を垂直に貫く駆動軸E3とを有し、駆動軸E3には、攪拌羽根(タービン羽根)E5が取り付けられている。攪拌羽根E5にはその上部に補強と流路の確保を目的とするドーナツ状円板E4が取り付けられている。
また、ドーナツ状円板E4の外径と水平状の槽底E2の直径との比は、0.50〜1.20であるのが好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、ドーナツ状円板E4の内径と外径との比は、0.5〜0.95であるのが好ましく、0.7〜0.8であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、攪拌羽根E5の先端の周速度(π×羽根の最外径×回転数/時間)は、20〜100m/秒であるのが好ましく、40〜70m/秒であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
また、混合処理時間は、0.5〜10分であるのが好ましく、1〜5分であるのがより好ましい。これにより、トナー母粒子11の変形を効果的に防止しつつ、より効率良く外添剤12をくびれ部113付近に偏在させることができる。
次に、上述した本発明のトナーが適用される画像形成装置について説明する。
図5は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図6は、図5の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図7は、図5の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図8は、図7の定着装置の要部断面図である。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
図5において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
図7において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
例えば、本発明において、トナー粒子は、コア領域(芯部)と、当該コア領域を被覆するシェル領域(外殻)とを有する、いわゆるコアシェル構造を有するものであってもよい。このような場合、コア領域が複数個の微粒子が結合して形成されたものであればよい。
また、本発明のトナーは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法(着色樹脂溶液調製工程と乳化懸濁液調製工程と着色樹脂微粒子分散液調製工程と合一工程と脱溶剤工程と洗浄工程と乾燥工程と外添工程とを有する方法)により製造されたものに限定されない。
また、本発明のトナーは、くびれ部を有するトナー母粒子を主成分とするものであればよく、例えば、くびれ部を有していないトナー母粒子を含んでいてもよい。このような場合、トナー母粒子全体に占めるくびれ部を有するトナー母粒子の割合は、50個数%以上であるのが好ましく、80個数%以上であるのがより好ましく、90個数%以上であるのがさらに好ましい。
トナーの製造に先立ち、樹脂(樹脂R−1、樹脂R−2)の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター(ワックスマスター1)、着色剤マスター(着色剤マスターC、着色剤マスターM、着色剤マスターY)、着色樹脂溶液(着色樹脂溶液MB−1、着色樹脂溶液MB−2)の調製を行った。
テレフタル酸:221重量部
イソフタル酸:95重量部
ネオペンチルグリコール:104重量部
エチレングリコール:62重量部
テトラブチルチタネート:2.5重量部
エピクロン830:7.0重量部
カージュラE:3.0重量部
テレフタル酸:315重量部
ネオペンチルグリコール:21重量部
エチレングリコール:12重量部
プロピレングリコール:122重量部
テトラブチルチタネート:2.5重量部
高速乳化機T.K.ロボミックス(プライミクス社製、T.K.ホモミクサMARKII2.5型)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111:C.I.Pigment B−15:3):2000重量部と、樹脂R−2:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−Cを得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−Cを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B:C.I.Pigment R−184)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Mを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Mを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG:C.I.Pigment Y−180)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Yを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Yを樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
高速分散機T.K.ロボミクス(プライミクス社製、T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):95.5重量部を仕込み、さらに、樹脂R−1(希釈樹脂):99.6重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C:42重量部、樹脂R−2(希釈樹脂):58.4重量部、ワックスマスターWM−1:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.1重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が65wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、着色樹脂溶液MB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
上記着色樹脂溶液(ミルベース)MB−1:520.5重量部(固形分:300重量部)に、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が35℃となるように調整した。
次に、乳化懸濁液中に、電解質を添加することにより、分散質を粒子成長させた。すなわち、電解質を添加することにより、組成の異なる複数種の分散質(固形分の主成分が樹脂成分である樹脂分散質、固形分の主成分が着色剤である着色剤分散質、固形分の主成分がワックスであるワックス分散質)を一体化させ、着色樹脂微粒子を形成した。電解質の添加は、以下のようにして行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液(一段目の電解質):120重量部を10重量部/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を0.54m/秒に調整し、分散質(着色樹脂微粒子)の粒径が3.2μmになるまで攪拌を継続した。分散質の粒径が3.2μmになった時点でマックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液(二段目の電解質):20重量部を10重量部/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を0.54m/秒に調整し分散質(着色樹脂微粒子)の粒径が5.5μmになるまで攪拌を継続した。分散質の粒径が5.5μmになった時点で、翼先端速度を1.53m/秒で30分間保持し、分散質(着色樹脂微粒子)の粒度分布、形状を整え、着色樹脂微粒子が分散した着色樹脂微粒子分散液を得た。以上のような処理により形成された着色樹脂微粒子は、顔料微粒子、ワックス微粒子が微分散した状態で取り込まれたものであった。
上記着色樹脂微粒子の調製を行った2L円筒容器内において、脱イオン水を50重量部添加し、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を10重量部/分で滴下し、滴下終了後、翼先端速度を0.34m/秒に減速してさらに攪拌を10分間継続した。ここで、この分散液について、観察を行った。その結果、着色樹脂微粒子が、複数個合一した合一粒子が多数確認された。その後、水(脱イオン水):500重量部を添加し、翼先端速度を0.54m/秒に調整した状態で攪拌することにより、分散質の合一を停止させ、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この時の50%体積粒径は8.0μmであった。
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.05重量部を脱イオン水30重量部に希釈して添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《分離・洗浄工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子の着色樹脂微粒子ケーキを得た。
その後、真空乾燥機を用いて、着色樹脂微粒子ケーキを乾燥することにより、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、複数個の微粒子(着色樹脂微粒子)が接合し、微粒子の接合面の外周部にくびれ部が設けられた構成を有するものであった。また、トナー母粒子が有するくびれ部は、微粒子の接合面の法線を軸として、トナー母粒子の全周にわたって設けられたものであった。また、くびれ部の重心は、トナー母粒子の重心とほぼ一致するものであった(くびれ部の重心とトナー母粒子の重心との距離は0.1μm以下)。また、トナー母粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)(L0)は、7.0μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.10であった。
また、トナー母粒子を構成する微粒子の平均粒径L1は5.0μmであった。トナー母粒子の投影形状における微粒子同士の接合面の平均長さL2は3.5μmであった。
なお、粒径、粒度分布等の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。また、トナー母粒子の平均円形度Rは0.958であった。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、平均円形度を求めた。
上記のようにして得られたトナー母粒子:100重量部に対し、一段目の外添剤として、平均粒径:40nmのシリカRX50(大粒径シリカ:日本アエロジル(株)製):1.0重量部、平均粒径:12nmのシリカRX200(小粒径シリカ:日本アエロジル(株)製):1.0重量部、図3、図4に示す外添処理装置に投入し、羽先端周速:40m/秒で2分間混合し、次いで2段目として、平均粒径:30nmの酸化チタンSTT30S(チタニア:チタン工業(株)製):母粒子に対し、0.5重量部を添加し、50m/秒で2分30秒混合し、次いで3段目として平均粒径:40nmのシリカNA50H(正帯電シリカ:日本アエロジル(株)製)を同じく0.5重量部を添加し、40m/秒で2分間混合し、最終的なトナー(シアントナー)を得た。なお、筒状部材E7の容器内部での長さは、容器内部のドーナツ状円板E4からの高さの1/4であった。また、水平状の槽底E2の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.70であった。また、ドーナツ状円板E4の外径と水平状の槽底E2の直径との比は、0.85であった。また、攪拌羽根E5の直径と外添処理槽E1の直径との比は、0.70であった。また、ドーナツ状円板E4の内径と外径との比は、0.80であった。また、外添処理槽E1への被処理物の仕込み量は、処理槽の容積に対する比で、0.45であった。
また、得られたトナーにおいては、トナー母粒子から遊離した外添剤(遊離外添剤)をパーティクルアナライザーPT1000(横河電機(株)製)により測定した。遊離外添剤の割合は、シリカについては1.7個数%、チタニアについては3.0個数%であった。なお、外添処理によるトナー母粒子の形状、大きさの変化は認められなかった。
実施例1同様に着色樹脂溶液及び乳化懸濁液の調製を行い、一段目の電解質を滴下し、3.5μmになるまで撹拌を継続した。次の合一工程において、脱イオン水を50重量部添加し、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を10重量部/分で滴下し、滴下終了後、翼先端速度を0.34m/秒に減速してさらに攪拌を10分間継続した。その後、水(脱イオン水):500重量部を添加し、翼先端速度を0.54m/秒に調整し、粒子成長を停止させた。さらに、実施例1同様にして、脱溶剤、洗浄、乾燥工程を行い、トナー母粒子を得た。トナー母粒子の50%体積粒径は4.9μm、円形度は0.951のくびれ部を有している粒子が多く確認された。
その後、実施例1と同様にして外添処理を施すことにより、トナーを得た。
各工程(着色樹脂微粒子分散液調製工程、合一工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、各工程における攪拌条件、外添剤の添加量を調整することにより、トナーの構成を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例11)
着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターMを用いた以外は、前記実施例2同様にしてトナーを製造した。
(実施例12)
着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターYを用いた以外は、前記実施例2同様にしてトナーを製造した。
樹脂R−1:180重量部、樹脂R−2:235重量部、着色剤マスターPM−C:70重量部、および、カルナバワックス(日本ワックス社製):15重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合後、二軸の押し出し混練機で溶融混練した。混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて粗砕し、さらにジェットミルで微粉砕後、風力分級機で分級し、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は異形状(非球形)をなすものであり、トナー母粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、7.5μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.25であった。また、トナー母粒子の平均円形度Rは0.931であった。
着色樹脂微粒子分散液調製工程において、実施例1同様に電解質の使用量、翼先端速度を同じにして、着色樹脂微粒子が5.8μmになるまで撹拌を継続した。その後、合一工程を省略、脱イオン水を500重量部添加し、粒子成長を停止した。さらに、実施例1同様に、脱溶剤、洗浄、乾燥工程を行い、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、ほとんどがくびれ部を有していないものであった。また、トナー母粒子の50%体積粒径は5.0μm、円形度は0.987であった。このようにして得られたトナー母粒子は、各実施例でのトナー母粒子が有しているようなくびれ部を有していなかった。
その後、上記のようにして得られたトナー母粒子に対して、前記実施例1と同様にして外添処理を施すことにより、トナーを得た。
前記各実施例および各比較例で得られたトナーについて、以下のような評価を行った。
[2.1]流動性の保持
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、記録媒体(セイコーエプソン社製カラーレーザープリンタ用コート紙A4)に、所定パターンの印字(5%印字)を連続して3000枚行った。印字前のトナーの見かけ密度(D0[g/cm3])、および、3000枚印字後のトナーの見かけ密度(D1[g/cm3])から、見かけ密度の低下率([1−(D1/D0)]×100)を求め、以下の4段階の基準に従い評価した。見かけ密度の低下率が小さいほど、流動性を保持しているといえる。
◎:見かけ密度の低下率が5%未満。
○:見かけ密度の低下率が5%以上10%未満。
△:見かけ密度の低下率が10%以上15%未満。
×:見かけ密度の低下率が15%以上。
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、記録媒体(セイコーエプソン社製、カラーレーザープリンタ用コート紙A4)に、所定パターンの印字(5%印字)を連続して5000枚行い、記録媒体上に印字される画像におけるカスレの発生状況を確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎:1〜5000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、5001〜6000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
○:1〜3000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、3001〜5000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
△:1〜2000枚目の印字物においてはカスレの発生が認められないが、2001〜3000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
×:1〜2000枚目の印字物においてカスレの発生が認められる。
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した。この画像形成装置において、べた画像の形成を行い、感光ドラム(像担持体)への現像工程直後(転写前)の感光ドラム上のトナーと、転写後(印刷後)の感光ドラム上に残ったトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光ドラム上のトナー重量をWb[g]、転写後の感光ドラム上のトナー重量をWa[g]としたとき、(Wb−Wa)×100/Wbとして求められる値を、転写効率として求めた。数値が大きいほど、転写効率が良いと言える。
図5〜図8に示すような画像形成装置の現像装置(図6参照)のハウジング内にトナーを充填した後、連続6000枚印字(5%印字)を行い、クリーニング性を以下の3段階の基準に従い評価した。
○:中間転写ベルト表面の拭き残しが全く認められない。
△:印字の初期の段階では、中間転写ベルト表面の拭き残しがほとんど認められない
が、徐々にクリーニング不良が増大し、5000枚印字終了時には、明らかなク
リーニング不良が認められる。
×:印字の初期の段階から、明らかなクリーニング不良が認められる。
図5〜図8に示すような画像形成装置を用いて、エプソン製コート紙へ、たて横の1ドットラインから、10ドットラインまでの印字を行い、そのライン端付近での中抜けの有無を目視および光学顕微鏡(×100倍)で観察し、以下の3段階の基準に従い評価した。
○:目視および顕微鏡による観察で、中抜けが認められない。
△:目視のよる観察では中抜けが認められないが、顕微鏡による観察では中抜けが認
められる。
×:目視による観察で、中抜けが認められる。
これらの結果を表3に示した。
これに対し、各比較例のトナーでは、満足な結果が得られなかった。
より具体的には、粉砕法により得られた比較例1のトナーでは、トナー母粒子の表面付近に微小な凹凸が設けられていたが、各粒子(トナー母粒子)間での形状のばらつきが大きく、また、耐久試験後は、トナーの角がとれたり、微粉量が増え、満足できるものではなかった。
また、くびれ部を有していない比較例2のトナーでは、耐久性評価後において、外添剤がトナー母粒子の内部に埋め込まれており、さらに、削り取られたと思われる数μmサイズの外添剤の集合体が観察され、流動性の低下が著しかった。また、比較例2のトナーでは、耐久性評価後、転写効率が極端に低下した。また、クリーニング性は初期から非常に悪いものであった。また、比較例2のトナーでは、外添剤の凝集が顕著に認められ、トナー母粒子から離脱した外添剤も多量に認められた。これは、比較例2のトナーでは、外添剤がトナー母粒子の特定の部位に安定的に保持されていないため、外添剤が、凝集する傾向が顕著になるためであると考えられる。
Claims (6)
- トナー母粒子の表面付近に外添剤が付与されたトナーであって、
前記トナー母粒子は、複数個の微粒子を接合して形成されたものであり、
前記微粒子の接合面の外周部にくびれ部を有したトナー母粒子を主成分とし、
前記外添剤は、前記くびれ部に偏在しており、
トナーを構成する前記トナー母粒子全体に対し、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が20〜80個数%であり、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率が5〜45個数%であり、2個の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率のほうが、3個以上の前記微粒子が接合してなる前記トナー母粒子の比率よりも大きく、
トナーを構成するトナー母粒子全体において、前記微粒子が接合していないもの(単一の前記微粒子で構成されたトナー母粒子)の占める割合は、50個数%以下であることを特徴とするトナー。 - 前記くびれ部は、前記接合面の法線を軸として、前記トナー母粒子の全周にわたって設けられたものである請求項1に記載のトナー。
- 前記外添剤の平均粒径が10〜500nmである請求項1または2に記載のトナー。
- トナーは、前記トナー母粒子100重量部に対し、前記外添剤を1.0〜5.0重量部含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナー母粒子の平均粒径が2.0〜10.0μmである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナー母粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.92〜0.98である請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー母粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
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