JP4894450B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
トナーおよびトナーの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4894450B2 JP4894450B2 JP2006288139A JP2006288139A JP4894450B2 JP 4894450 B2 JP4894450 B2 JP 4894450B2 JP 2006288139 A JP2006288139 A JP 2006288139A JP 2006288139 A JP2006288139 A JP 2006288139A JP 4894450 B2 JP4894450 B2 JP 4894450B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester
- toner
- resin
- component
- particles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Description
トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が広く用いられている。ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。
しかしながら、従来のトナーにおいては、トナーの構成材料として複数種の樹脂を用いた場合、トナーを構成する複数の樹脂の特性を十分に発揮させることが困難であった。すなわち、トナーを構成する複数種の樹脂の特性が平均化されてしまい、低温定着性と、高温領域でのオフセットの防止との両立等が困難であった。
本発明のトナーは、乳化合一法により製造され、組成の異なる複数種のポリエステル系樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子を含むトナーであって、
前記ポリエステル系樹脂として、ポリエステルAと、前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含み、
前記ポリエステルBは、その構成成分として、炭素数が100〜1000の炭化水素基を備えた高分子量成分を含むものであることを特徴とする。
これにより、トナー粒子を構成する複数種の樹脂の特性が十分に発揮されたトナーを提供することができる。
前記コア領域が、前記ポリエステルAを含むものであり、
前記シェル領域が、前記ポリエステルBを含むものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子を構成する複数種の樹脂の特性がより効果的に発揮されたトナーを提供することができる。
これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を優れたものとしつつ、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記ポリエステルBの酸価AV(B)は、前記ポリエステルAの酸価AV(A)よりも大きいものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記トナー粒子中における前記ポリエステルBの含有率が1〜20wt%であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
前記ポリエステル系樹脂および有機溶剤を含む分散質が、分散媒中に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
前記分散液に電解質を添加し、複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を形成する合一工程と、
前記有機溶剤を除去する工程とを有し、
前記トナー粒子は、前記ポリエステル系樹脂として、ポリエステルAと、前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むものであり、
前記ポリエステルBは、その構成成分として、炭素数が100〜1000の炭化水素基を備えた高分子量成分を含むものであることを特徴とする。
これにより、トナー粒子を構成する複数種の樹脂の特性が十分に発揮されたトナーを製造することができるトナーの製造方法を提供することができる。
これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
着色剤と前記第1の樹脂成分との混練物を、前記第2の樹脂成分、前記第3の樹脂成分、および前記有機溶剤と混合することにより調製された着色樹脂液を、水系媒体と混合することにより、前記分散液を調製することが好ましい。
これにより、分散液(乳化懸濁液)中において、ポリエステルAを含む材料で構成された分散質中に着色剤をより確実に内包させることができ、その結果、所望の着色濃度のトナー粒子を容易かつ確実に製造することができる。
<トナー>
まず、本発明のトナーについて説明する。
トナーは、多数個のトナー粒子で構成されている。
《トナー粒子の構成材料》
トナー粒子は、樹脂成分と、着色剤とを含む材料で構成されたものである。
トナー粒子は、樹脂成分(バインダー樹脂)として、ポリエステル系樹脂を含むものである。ポリエステル系樹脂は、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上で有利である。
そして、本発明において、トナー粒子は、ポリエステル系樹脂(ポリエステル系樹脂成分)として、ポリエステルAと、ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むものである。言い換えると、トナー粒子は、ポリエステルBに比べてガラス転移温度の低いポリエステルAと、ポリエステルAに比べてガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むものである。
ポリエステルAは、そのガラス転移温度Tg(A)が、後述するポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)よりも低いものである。
ポリエステルAは、単独の樹脂成分で構成されるものであってもよいし、2種以上の樹脂成分で構成されるものであってもよい。
ポリエステルAは、後述するポリエステルBとは、異なる組成を有するものである。より詳しく説明すると、ポリエステルAは、ポリエステルBの構成成分である炭化水素基を備えた高分子量カルボン酸成分を含まない組成を有するものである。
ポリエステルAを構成する多塩基酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの多塩基酸の中でも、芳香族カルボン酸を使用するのが好ましい。
また、ポリエステルAは、構成成分として、多価エポキシ化合物を含むものであってもよい。これにより、ポリエステルAを好適な架橋構造を有するものとすることができる。多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体(共重合体を含む)、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルが好ましい。
ポリエステルBは、そのガラス転移温度Tg(B)が、前述したポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)よりも高いものであり、かつ、後に詳述するようなる高分子量成分を含むものである。
ポリエステルBは、単独の樹脂成分で構成されるものであってもよいし、2種以上の樹脂成分で構成されるものであってもよい。
高分子量成分を構成する炭化水素基は、前述したような炭化水素基を有するカルボン酸成分(高分子量カルボン酸成分)であるのが好ましい。すなわち、ポリエステルBは、その構成成分として、多価アルコール成分、多塩基酸成分に加えて、前述したような炭化水素基を備え、かつ、前記多価塩基酸とは組成の異なる高分子量カルボン酸成分を有するものであるのが好ましい。これにより、ポリエステルAで構成された相と、ポリエステルBで構成された相とをより確実に分離させることができ、ポリエステルAおよびポリエステルBの特性をより効果的に発揮させることができる。また、ポリエステルBの合成時においては、容易かつ確実に、所望の割合の高分子量成分を含むポリエステルBを合成することができる。なお、ポリエステルBの合成に用いる高分子量カルボン酸成分は、カルボキシル基を有するカルボン酸であってもよいが、対応するカルボン酸の塩やエステル(例えば、活性エステル、酸無水物)等であってもよい。
高分子量成分は、特に限定されないが、ポリエステルBの側鎖を構成するものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
また、ポリエステルBは、構成成分として、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸成分、および/または、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコール成分を含むものであってもよい。
すなわち、ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)と、ポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)との差Tg(B)−Tg(A)は、5〜45℃であるのが好ましく、10〜35℃であるのがより好ましい。これにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
また、ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)は、ポリエステルAの重量平均分子量Mw(A)よりも大きいものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとするとともに、高温領域でのオフセットをより確実に防止することができる。
トナー粒子を構成する着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー粒子には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、トナー粒子は、例えば、上記のような材料で構成されたトナー母粒子の表面付近に、外添剤が付与されたものであってもよい。外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、外添剤としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
本発明において、トナー粒子は、上述したようなポリエステルAおよびポリエステルBとを含む材料で構成されたものであればよく、いかなる構造を有するものであってもよいが、以下、トナー粒子の構造の一例について説明する。
図2は、本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図である。
トナー粒子1は、コア領域(芯部、核)11と、コア領域11を被覆するシェル領域(外殻)12とを有するものである。
コア領域11は、ポリエステルAと上述したような着色剤とを含む材料で構成されたものである。これにより、トナー全体としての定着良好域を特に広いものとすることができる。
また、コア領域11には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ポリエステルAおよびポリエステルB以外の樹脂成分、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
また、コア領域11の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
シェル領域12は、コア領域11を被覆するように設けられたものである。
シェル領域12は、常温(25℃)において、コア領域11よりも強度の高いものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子1全体としての強度を高いものとしつつ、シェル領域12を構成する材料の特性を効果的に発揮させることができる。特に、高温領域でのオフセットを確実に防止し、トナー粒子の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
また、シェル領域12には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ポリエステルAおよびポリエステルB以外の樹脂成分、着色剤、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。また、シェル領域12の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のようなトナー粒子1の平均粒径は、特に限定されないが、3〜10μmであるのが好ましい。トナー粒子1の平均粒径が前記範囲内の値であると、高解像度の画像形成に好適に適用することができるとともに、低温定着性の向上に有利であり、また、コア領域11の構成材料の特性およびシェル領域12の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。なお、本明細書で、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。
具体的には、下記式(I)で表されるトナー粒子についての平均円形度Rは、0.95〜0.99であるのが好ましい。平均円形度Rが前記範囲内の値であると、トナーの転写効率を特に優れたものとしつつ、画像形成装置内におけるクリーニング性を十分に優れたものとすることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー粒子の粒径の標準偏差(σ(DT))をトナー粒子の平均粒径(DT)で除した数値(σ(DT)/DT)×100として表されるトナー粒子の粒径についての変動係数は、24.0以下であるのが好ましく、22.0以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布は特にシャープなものとなり、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。また、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等のばらつきを特に小さいものとすることができ、トナー全体としての信頼性を特に優れたものとすることができる。また、例えば、トナーの製造時においては、トナーの乾燥を容易かつ確実に行うことができ、トナー中の含水量を抑制することができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)を用いた測定により求めることができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として用いられるものであってもよいし、二成分型現像剤として用いられるものであってもよい。また、本発明のトナーは、乾式トナーとして用いられるものであってもよいし、液体現像剤に用いられるものであってもよい。
次に、上述したようなトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成された分散質が分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る工程(合一工程)と、合一粒子の表面を、合一粒子を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する工程(被覆工程)とを有する。
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。
本工程で調製する乳化懸濁液は、トナー粒子1のコア領域11の形成に用いるものである。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、ポリエステルAと着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる。
また、有機溶剤(有機溶媒)としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、ポリエステル系樹脂(ポリエステルA)の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
着色樹脂液中におおける固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子1の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
なお、着色樹脂液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
例えば、着色剤と樹脂成分とを混練し、混練物としての着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。得られる合一粒子(着色樹脂微粒子)は、製造すべきトナー粒子1のコア領域11に対応するものである。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
複数個の分散質を合一させる方法は、特に限定されないが、分散液中に、電解質を添加する方法が好ましい。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子(着色樹脂微粒子)の粒径を制御することができる。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液の固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.2〜10重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程は、分散液を攪拌した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を挙げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25wt%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、トナー製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適なトナーを製造することができる。
次に、上記のような合一粒子(着色樹脂微粒子)の表面に、当該合一粒子を構成する樹脂成分とは異なる樹脂成分で構成された被膜を形成する(被覆工程)。本工程で形成する被膜は、形成すべきトナー粒子1のシェル領域12に対応するものである。このような工程を有することにより、高温領域でのオフセットを確実に防止し、得られるトナー粒子1の耐久性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を十分に優れたものとしつつ、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)を特に優れたものとすることができる。
被膜を構成する樹脂成分としては、前述したシェル領域12の構成材料としてのポリエステルBまたはその前駆体(例えば、プレポリマー、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等)を用いることができる。
被膜形成用液を構成する有機溶剤としては、例えば、前述した着色樹脂液の構成材料として例示したものを用いることができる。
また、被膜形成用液は、例えば、樹脂成分を含む材料で構成された分散質が、水性の分散媒(水性媒体)中に微分散した分散液であってもよい。これにより、被膜の形成を容易かつ確実に行うことができるとともに、形成される被膜の厚さの均一性を高めることができる。
また、被膜形成用液を構成する樹脂成分は、中和剤により中和されたものであってもよい。これにより、例えば、被膜が形成された状態での合一粒子(分散質)の分散性を特に優れたものとすることができる。
合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により合一粒子が分散した分散液に剪断を加えつつ、合一粒子が分散した分散液中に被膜形成用液を徐々に添加(滴下)することにより行うのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、均一な厚さの被膜を形成することができる。
合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合においては、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、膜厚のばらつきの小さい被膜を、効率良く形成することができる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
また、合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合時に、電解質を添加してもよい。これにより、被膜の形成を促進することができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、被膜の厚さを制御することができる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液(合一粒子が分散した分散液と被膜形成用液との混合液)全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー粒子1が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、被膜を構成する樹脂成分(最終的に得られるトナー粒子でのシェル領域を構成する樹脂成分)のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
次に、トナー粒子1の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことにより、行うことができる。固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、最終的なトナーを得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
また、本工程での処理温度は、シェル領域を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて、外添剤を付与する外添工程を有していてもよい。
図3は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図4は、図3の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図5は、図3の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図6は、図5の定着装置の要部断面図である。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
なお、両面印刷の場合には、定着装置190を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て、二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置190により加熱加圧され定着される。
図3において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
図5において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
例えば、前述した実施形態では、トナー粒子が、コア領域とシェル領域とを有するものとして説明したが、本発明において、トナー粒子は、このような構成を有していないものであってもよい。
また、本発明のトナーは、前述したような方法(乳化懸濁液調製工程、合一工程および被覆工程を有する方法)により製造されたものでなくてもよい。例えば、本発明のトナーは、混練粉砕法等により製造されたものであってもよい。
トナーの製造に先立ち、樹脂の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製を行った。
<樹脂R−1(直鎖型ポリエステル系樹脂)の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、下記の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で11時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が87℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 79.7重量部
エチレングリコール 26.0重量部
ネオペンチルグリコール 43.7重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は5200であった。
各原材料の使用量(使用比率)、常圧での加熱温度、常圧での加熱時間を表1に示すようにするとともに、反応終了時点の基準とする軟化点(ASTM E28−517に基づく軟化点)を表1に示すようにした以外は、前記樹脂R−1の合成と同様にして反応を行い、3種の樹脂R−2、R−3、R−4を得た。
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、下記の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が159℃に達した時点で反応を終了した。
イソフタル酸 90.7重量部
アジピン酸 17.1重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9.8KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)40℃、軟化点(T1/2)が176℃であった。また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量は176000であった。
各原材料の使用量(使用比率)、常圧での加熱温度、常圧での加熱時間を表1に示すようにするとともに、反応終了時点の基準とする軟化点(ASTM E28−517に基づく軟化点)を表1に示すようにした以外は、前記樹脂R−5の合成と同様にして反応を行い、2種の樹脂R−6、R−7を得た。
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、エチレングリコール:35.6重量部、ネオペンチルグリコール:39.8重量部、エピクロン830(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq):4.6重量部を仕込み、攪拌装置による攪拌を行いつつ、1時間かけて反応系内の温度を120℃まで昇温した。
その後、さらに反応釜内に、テレフタル酸:103.8重量部、イソフタル酸:45.8重量部を加え、精製する水を留去しつつ、12時間かけて、反応系内の温度を240℃まで昇温した。
得られた樹脂R−8は、無色の固体であり、酸価16.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)63℃、軟化点(T1/2)が182℃であった。また、樹脂R−1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量は237000であった。
高分子量カルボン酸成分の種類、各原材料の使用量(使用比率)を表2に示すようにした以外は、前記樹脂R−8の合成と同様にして反応を行い、5種の樹脂R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−14を得た。
<樹脂R−15(高分子量カルボン酸成分を含まないポリエステル系樹脂)の合成>
高分子量カルボン酸成分を用いた反応を省略した以外は、前記樹脂R−8の合成と同様にして反応を行い、樹脂R−15を得た。
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、エチレングリコール:35.6重量部、ネオペンチルグリコール:39.8重量部、エピクロン830(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq):4.6重量部を仕込み、攪拌装置による攪拌を行いつつ、1時間かけて反応系内の温度を120℃まで昇温した。
その後、さらに反応釜内に、テレフタル酸:103.8重量部、イソフタル酸:45.8重量部、および、高分子量カルボン酸成分:6.0重量部を加え、精製する水を留去しつつ、12時間かけて、反応系内の温度を240℃まで昇温した。
上記のようにして合成した各樹脂についての合成条件、物性等を表1、表2にまとめて示す。
高速乳化機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
高速乳化機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111):2000重量部と、樹脂R−1:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−C1を得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−C1を樹脂R−1およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111):2000重量部と、樹脂R−2:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−Cを得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−C2を樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C1と同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−M1を得た。また、得られた着色剤マスターPM−M1を樹脂R−1およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C2と同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−M2を得た。また、得られた着色剤マスターPM−M2を樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C1と同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Y1を得た。また、得られた着色剤マスターPM−Y1を樹脂R−1およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C2と同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Y2を得た。また、得られた着色剤マスターPM−Y2を樹脂R−2およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):179.4重量部を仕込み、さらに、樹脂R−5(希釈樹脂):49.8重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C1:42重量部、樹脂R−1(希釈樹脂):108.2重量部、ワックスマスターWM−1:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.09重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が55wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。また、作製したミルベースMB−1の配合順序、配合量、攪拌条件を表3に示す。
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):179.4重量部を仕込み、さらに、樹脂R−6(希釈樹脂):49.8重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C2:42重量部、樹脂R−3(希釈樹脂):108.2重量部、ワックスマスターWM−2:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.09重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が55wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−2を得た。
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):367重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂R−8:300重量部を徐々に添加した。その後、翼先端速度:7.6m/秒、材料温度:30〜50℃に設定し、この条件で攪拌を行うことにより、各成分の溶解・分散を行った。その後、材料温度を40℃にし、1Nのアンモニア水:80重量部を添加し、翼先端速度を16.5m/秒まで上昇させ、この攪拌条件下、水:701重量部を、20重量部/分の速度で滴下することにより、無着色樹脂分散液(乳化液)NRD−1を得た。得られた無着色樹脂分散液NRD−1の固形分含有量は20.72wt%、メチルエチルケトン含有量は31.95wt%であった。
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
ミルベースMB−1を調製した同一容器に引き続き、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が30℃以下となるように調整した。
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、翼先端速度:1.09m/秒に保持した状態で、温度を25℃に調整した。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液:120重量部を10g/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を15分間かけて、1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに、0.54m/秒で20分間攪拌を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:10重量部を滴下し、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で10分間攪拌する処理を、さらに、2回繰り返し行った(計3回)。
上記合一工程を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、無着色樹脂分散液NRD−1:289.6重量部を5g/分の速度で滴下した。滴下終了後に、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒から0.85m/秒に減速し、翼先端速度を保持した状態で、さらに、20分間攪拌を行った。その後、翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を滴下した。その後、15分間かけて翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、翼先端速度を保持した状態で、20分間攪拌を行った。これにより、合一粒子の表面に、被膜が形成された。形成された被膜の厚さは、0.13μmであった。また、被膜を有する分散質(合一粒子)について、その粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.35μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.068重量部を添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有するものであることが確認された。また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.1μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。また、トナー粒子の平均円形度Rは0.98であった。また、トナー粒子を構成するシェル領域の平均厚さは0.12μmであった。また、トナー粒子中において、コア領域の占める割合は、83.3vol%であった。
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製に用いる樹脂の種類、使用量を調整するとともに、各工程(合一工程、被覆工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
ミルベースMB−1の代わりにミルベースMB−2を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例12)
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベースの調製に用いる樹脂の種類、使用量を変更し、合一工程における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、各工程での攪拌条件を調整するとともに、被覆工程を省略することにより、トナー粒子の構成を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例13)
ミルベースMB−2のR−6の樹脂の替わりに、R−5の樹脂を用いた以外は実施例11と同様にしてトナーを製造した。
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製に用いる樹脂の種類、使用量を調整するとともに、各工程(合一工程、被覆工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベース、無着色樹脂分散液の調製に用いる樹脂の種類、使用量を調整するとともに、各工程(合一工程、被覆工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
被覆工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例5)
ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベースの調製に用いる樹脂の種類、使用量を変更し、合一工程における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、各工程での攪拌条件を調整するとともに、被覆工程を省略することにより、トナー粒子の構成を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
[2.1]定着良好域、低温定着性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着良好域、低温定着性の評価を行った。
まず、定着装置を有していない以外は、図3、図4に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上にトナー像が転写された未定着の画像サンプルを採取した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.5/cm2に調整した。
◎:定着良好域の幅が50℃以上である。
○:定着良好域の幅が40℃以上50℃未満である。
△:定着良好域の幅が30℃以上40℃未満である。
×:定着良好域の幅が30℃未満である。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着強度の評価を行った。
まず、図3〜図6に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上に、所定のパターンのトナー像を転写、定着し、定着トナー画像を得た。この画像形成装置においては、トナーがニップ部を通過するのに要する速度を150mm/s、定着ローラの表面の設定温度を150℃に設定した。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、温度:20〜28℃の環境下に、8ヵ月間静置した。その後、トナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の凝集がまったく認められない。
○:トナー粒子の凝集がほとんど認められない。
△:トナー粒子の凝集がわずかに認められる。
×:トナー粒子の凝集がはっきりと認められる。
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナー:10gをガラスビンに投入し、恒温槽で55℃、12時間、保管し、トナー粒子の凝集を目視にて観察し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の凝集がまったく認められない。
○:トナー粒子の凝集がほとんど認められない。
△:トナー粒子の凝集がわずかに認められる。
×:トナー粒子の凝集がはっきりと認められる。
各実施例、および各比較例にて製造したトナーを用いて、示差走査熱量分析(DSC測定法)により、ガラス転移温度の測定を行った。トナー粒子中において、異なる樹脂で構成された複数種の相が分離(相分離)している場合(複数種の樹脂が相溶していない場合)、これらの樹脂に対応する複数のガラス転移温度のピークが、別々に観察される。このことから、以下の3段階の基準に従って、トナー粒子中における相分離の程度を評価した。
転移温度に対応するピークとが、独立したピークとして別々に観察された。
△:ポリエステルAのガラス転移温度に対応するピークと、ポリエステルBのガラス
転移温度に対応するピークとが観察されたが、その一部が重なり合っていた(一
方の樹脂のガラス転移温度に対応するピークにおいて、他方の樹脂に対応するピ
ークがショルダーピークとして観察された)。
×:1つのピークしか確認されなかった。
実施例1〜11および比較例1〜3で得られたトナー粒子に関して、四酸化オスミウムを用いてトナー粒子断面の染色を行い、透過型電子顕微鏡にてトナー粒子断面の観察を行い、以下の3段階の基準に従って、トナー粒子中におけるコア領域とシェル領域との分離(相分離)の程度を評価した。
。
△:コア領域周囲の一部において、コア領域とシェル領域との明確な境界が確認でき
ない部分があった。
×:コア領域とシェル領域との明確な境界が確認できなかった。
これらの結果を表5に示した。また、表5には、定着良好域の下限値も示した。この下限値が低いほど、低温定着性に優れている。
また、コア領域のTgをより低Tgに設計した実施例1,2,3,7,9,10,13は、定着領域の下限値、定着良好域とも良好であり、かつシェル領域の効果と相まって、長期保存性、耐熱保存性に優れていることが確認された。
Claims (16)
- 乳化合一法により製造され、組成の異なる複数種のポリエステル系樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子を含むトナーであって、
前記ポリエステル系樹脂として、ポリエステルAと、前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含み、
前記ポリエステルBは、その構成成分として、炭素数が100〜1000の炭化水素基を備えた高分子量成分を含むものであることを特徴とするトナー。 - 前記トナー粒子は、コア領域と、前記コア領域の外周を被覆し、前記コア領域とは異なる組成のシェル領域とを有するものであり、
前記コア領域が、前記ポリエステルAを含むものであり、
前記シェル領域が、前記ポリエステルBを含むものである請求項1に記載のトナー。 - 非芳香族ジオールからなる多価アルコール成分と多塩基酸成分とを構成成分として有する直鎖型ポリエステル系樹脂を、前記ポリエステルAとして含む請求項1または2に記載のトナー。
- 架橋型ポリエステル系樹脂、および、非芳香族ジオールからなる多価アルコール成分と多塩基酸成分とを構成成分として有する直鎖型ポリエステル系樹脂を、前記ポリエステルAとして含む請求項1または2に記載のトナー。
- 前記高分子量成分は、前記ポリエステルBの側鎖を構成するものである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)が30〜50℃である請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)が50〜85℃である請求項1ないし6のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルBのガラス転移温度Tg(B)と、前記ポリエステルAのガラス転移温度Tg(A)との差Tg(B)−Tg(A)が5〜45℃である請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)が、15万〜45万である請求項1ないし8のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルBの酸価AV(B)は、前記ポリエステルAの酸価AV(A)よりも大きいものである請求項1ないし9のいずれかに記載のトナー。
- 前記ポリエステルBの重量平均分子量Mw(B)は、前記ポリエステルAの重量平均分子量Mw(A)よりも大きいものである請求項1ないし10のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナー粒子中における前記ポリエステルBの含有率が1〜20wt%である請求項1ないし11のいずれかに記載のトナー。
- トナー中に含まれる前記ポリエステルAの含有量α[wt%]、トナー中に含まれる前記ポリエステルBの含有量β[wt%]との比率α/βが3〜10である請求項1ないし12のいずれかに記載のトナー。
- 組成の異なる複数種のポリエステル系樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子を含むトナーを製造する方法であって、
前記ポリエステル系樹脂および有機溶剤を含む分散質が、分散媒中に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
前記分散液に電解質を添加し、複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を形成する合一工程と、
前記有機溶剤を除去する工程とを有し、
前記トナー粒子は、前記ポリエステル系樹脂として、ポリエステルAと、前記ポリエステルAよりもガラス転移温度の高いポリエステルBとを含むものであり、
前記ポリエステルBは、その構成成分として、炭素数が100〜1000の炭化水素基を備えた高分子量成分を含むものであることを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記合一工程の後に、前記合一粒子の表面に前記ポリエステルBを含む材料で構成された被膜を形成する被覆工程を有する請求項14に記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAは、第1の樹脂成分と、前記第1の樹脂成分よりも重量平均分子量の大きい第2の樹脂成分と、前記第1の樹脂成分よりも重量平均分子量の小さい第3の樹脂成分とを含むものであり、
着色剤と前記第1の樹脂成分との混練物を、前記第2の樹脂成分、前記第3の樹脂成分、および前記有機溶剤と混合することにより調製された着色樹脂液を、水系媒体と混合することにより、前記分散液を調製する請求項14または15に記載のトナーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006288139A JP4894450B2 (ja) | 2006-10-23 | 2006-10-23 | トナーおよびトナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006288139A JP4894450B2 (ja) | 2006-10-23 | 2006-10-23 | トナーおよびトナーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008107423A JP2008107423A (ja) | 2008-05-08 |
JP4894450B2 true JP4894450B2 (ja) | 2012-03-14 |
Family
ID=39440837
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006288139A Expired - Fee Related JP4894450B2 (ja) | 2006-10-23 | 2006-10-23 | トナーおよびトナーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4894450B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2309334A4 (en) * | 2008-07-31 | 2013-05-01 | Canon Kk | TONER CYAN |
JP5427559B2 (ja) * | 2008-12-03 | 2014-02-26 | 花王株式会社 | 正帯電性粉砕トナー |
JP5495028B2 (ja) * | 2010-01-19 | 2014-05-21 | 株式会社リコー | トナー、現像剤、及び画像形成方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3219688B2 (ja) * | 1995-06-15 | 2001-10-15 | キヤノン株式会社 | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 |
JPH09146303A (ja) * | 1995-11-17 | 1997-06-06 | Canon Inc | 静電荷像現像用トナー |
JP3920677B2 (ja) * | 2002-03-25 | 2007-05-30 | 三洋化成工業株式会社 | 静電荷像現像トナー用荷電制御剤、トナーバインダー組成物及び静電荷像現像用トナー |
-
2006
- 2006-10-23 JP JP2006288139A patent/JP4894450B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008107423A (ja) | 2008-05-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5011926B2 (ja) | トナー | |
JP2008089918A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP2008129282A (ja) | トナー | |
JP2008089919A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
KR20020018931A (ko) | 정전하상 현상용 토너 및 그 제조 방법 | |
JP4894450B2 (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP6024420B2 (ja) | 電子写真用トナー、及び、画像形成方法、画像形成装置並びにプロセスカートリッジ。 | |
JP4826384B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP2008089908A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP2014178421A (ja) | トナー | |
JP2012255930A (ja) | トナー、該トナーを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び該トナーの製造方法 | |
JP3935273B2 (ja) | 画像形成方法 | |
JP2008040095A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP2008089913A (ja) | トナー | |
JP2008083258A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP4978270B2 (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2008139338A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2008158360A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2008089912A (ja) | トナー | |
JP4830724B2 (ja) | トナー | |
JP2000235277A (ja) | 乾式トナー及び画像形成方法 | |
JP2008233432A (ja) | トナーおよびトナーの製造方法 | |
JP2008063426A (ja) | ポリエステル樹脂粒子水分散液およびその製造方法、静電荷現像用トナーおよびその製造方法、静電荷現像用現像剤 | |
JP2008203370A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP4853349B2 (ja) | トナーの製造方法およびトナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090714 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110519 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110524 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110719 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111129 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111212 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |