JP4853349B2 - トナーの製造方法およびトナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーの製造方法およびトナーに関するものである。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材(記録媒体)にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱等により、前記トナー画像を定着する定着工程とを有している。
また、トナーとしては、粉砕法により製造されるトナーや、液相において粒成長を行うことにより得られるいわゆるケミカルトナーがある。
粉砕法は、主成分である樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう。)と、着色剤とを含む原料を混練して混練物を得、その後、前記混練物を冷却、粉砕する方法である。このような粉砕法は、比較的容易にトナーを製造することができる点で優れている。しかしながら、粉砕法で得られるトナーは、粉砕可能な樹脂に限られ、破断面に内添材料が露出しやすい。また、その各粒子間での形状のばらつきが大きく、その粒径分布も広くなり易いという欠点を有している。その結果、各トナー粒子間での特性が大きく異なる結果となり、トナー全体としての転写効率が低下したり、帯電特性が低下する等の問題があった。また、近年、より解像度の高い画像を得るために、トナー粒子の小粒径化が求められているが、粉砕法では、この要求に十分に応えるのが困難である。すなわち、粉砕法では、一般に、粉砕物の粒径が比較的小さくなると、急激に粉砕の効率が低下し、また、粉砕とともに微粉の凝集が進行する。このため、粉砕法では、比較的粒径の小さいトナー粒子を製造する場合、粉砕に要するエネルギーが非常に大きなものとなり、省エネルギーの観点等からも好ましくない。また、粉砕のために大きなエネルギーを与えると、混練物の構成材料が熱等により変性し易くなる。このため、目的とする特性のトナーを得るのが困難となり、トナーの信頼性が低下する。特に、低温定着性を得るため低軟化点樹脂を採用した場合ではこの凝集、変性が顕著になる。
一方、ケミカルトナーの製造は、液相中等で粒成長を行うため、粉砕トナーに比べて、トナー粒子の形状を、比較的真球度の高いものにしたり、トナー粒子間での形状のばらつきを抑制することができるという点等で優れている。ケミカルトナーの製造方法としては、例えば、特許文献1に記載されたような方法が提案されている。このような方法は、粉砕トナーに比べて、トナー粒子間の形状のばらつきを抑制でき、トナー粒子の形状も比較的真球度の高いものである。また、製造時において、比較的低温でトナー粒子を製造することができることから、省エネルギーであり、環境に優しいトナーの製造方法である。
しかしながら、上述したようなトナーの製造方法は、得られたトナー粒子は、ワックスを好適に内包することが困難であった。このため、トナー粒子表面にワックスが露出する結果、保存時において、トナー粒子同士が凝集してしまう問題があった。このため、このようなトナーを用いて画像形成を行った場合、かすれ等のない、鮮明なトナー画像を安定して得ることが難しい問題があった。
特に、比較的小粒径(例えば、4μm以下)のトナー粒子を製造する際に、上記のような問題は、顕著に表れていた。
特開2003−12051号公報
本発明の目的は、トナー粒子のワックスの内包性に優れ、保存性に優れたトナーを生産性よく製造できるトナーの製造方法、および、トナー粒子のワックスの内包性に優れ、トナー粒子同士の凝集等が少ない、保存性に優れたトナーを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂材料と、ワックスと、有機溶剤とを含む分散質が、水系分散媒中に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
前記分散液を撹拌翼で撹拌しつつ、前記分散液に電解質の添加を行い、複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を形成する合一工程と、
前記合一粒子から前記有機溶剤を除去する脱溶剤工程とを有し、
前記合一は、前記分散液に水系液体を添加することによって停止させるものであり、
前記合一工程での前記撹拌翼の最大の周速度をSMAX[m/s]、最小の周速度をSMIN[m/s]としたとき、0.55≦SMIN/SMAX<0.98であることを特徴とする。
これにより、トナー粒子のワックスの内包性に優れ、保存性に優れたトナーを生産性よく製造できるトナーの製造方法を提供できる。
本発明のトナーの製造方法では、樹脂材料と、ワックスと、有機溶剤とを含む樹脂液を調製する樹脂液調製工程を有し、前記樹脂液調製工程では、前記ワックスの粒子が水性分散媒中に分散したワックス分散液を用いるものであり、前記樹脂液は、分散液の調製に用いるものであることが好ましい。
これにより、ワックスの内包性に特に優れたトナーを製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記合一工程は、前記分散液を撹拌しつつ、前記分散液に前記電解質を添加する第1の処理と、前記分散液を撹拌しつつ、合一粒子の粒径を大きくする第2の処理とを行い、前記第1の処理での前記撹拌翼の平均周速度は、前記第2の処理での前記撹拌翼の平均周速度よりも高いものであることが好ましい。
これにより、粒度分布が特に狭く、保存性に特に優れたトナーを製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記合一工程は、前記合一工程での前記撹拌翼の周速度の前記最小値よりも高い平均周速度で撹拌を行う熟成処理を行うものであることが好ましい。
これにより、ワックスの内包性に特に優れたトナーを製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記合一工程での前記撹拌翼の最大の周速度SMAX[m/s]は、1.1〜3.0m/sであることが好ましい。
これにより、ワックスの内包性に特に優れたトナーを特に生産性よく製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記合一工程で添加する前記電解質の量は、前記分散液の固形分に対し、1.4〜5.0wt%であることが好ましい。
これにより、最終的な合一粒子の粒径をより確実に制御できるとともに、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができ、粒度分布が特に狭く、保存性が特に優れたトナーを製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記樹脂材料は、ポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。また、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものであると、容易かつ確実に所望の特性を有するトナーを製造することができる。
本発明のトナーは、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、トナー粒子のワックスの内包性に優れ、トナー粒子同士の凝集等が少ない、保存性に優れたトナーを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<トナーの製造方法>
まず、本発明のトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態のトナーの製造方法は、樹脂材料(樹脂成分)と、ワックスと、有機溶剤とを含む樹脂液を調製する工程(樹脂液調製工程)と、樹脂材料および有機溶剤を含む材料で構成された分散質が、水性分散媒中に分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(分散液調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を形成する工程(合一工程)と、合一粒子から有機溶剤を除去する工程(脱溶剤工程)とを有する。
[着色樹脂液調整工程(樹脂液調整工程)]
まず、樹脂液調整工程について説明する。
樹脂液(以下、着色樹脂液とも言う。)は、いかなる方法で調整してもよいが、例えば、樹脂成分と着色剤とワックスと有機溶剤とを含む材料を、高速攪拌機等の攪拌機により混合することにより得ることができる。また、着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤とワックスとを含む組成物を予め混練しておき、混練により得られた混練物と、有機溶剤とを混合することにより、調製してもよい。着色樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/sであるのが好ましく、10〜25m/sであるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分およびワックスの有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、ワックス、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、有機溶剤の組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤、ワックスは、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、着色樹脂液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する乳化懸濁液中における分散質の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
また、着色樹脂液の調製においては、調製すべき着色樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
例えば、ワックスと、樹脂成分と、有機溶剤とを含む材料を混合し、ワックスマスターを得、このワックスマスターを、着色剤マスター、追加樹脂としての樹脂成分および有機溶剤と混合することにより、着色樹脂液を調製ししてもよい。また、ワックスマスターの調製においては、ワックスの粒子が水性分散媒中に分散したワックス分散液(いわゆる、ワックスエマルジョン)を用いることが好ましい。このように、ワックスマスターの調整に、ワックス分散液を用いることにより、微粒のワックス粒子を着色樹脂液中に特に好適に分散させることができる。
また、例えば、着色剤と樹脂成分とを混練し、混練物としての着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、追加樹脂としての樹脂成分と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。
また、樹脂成分が重量平均分子量の異なる少なくとも3種の樹脂成分を含む場合、すなわち、樹脂成分が、第1の樹脂成分と、前記第1の樹脂成分よりも重量平均分子量の大きい第2の樹脂成分と、前記第1の樹脂成分よりも重量平均分子量の小さい第3の樹脂成分とを含むものである場合、前記第1の樹脂成分を着色剤マスターの調製に用い、当該着色剤マスターを、前記第2の樹脂成分、前記第3の樹脂成分、および有機溶剤と混合することにより、着色樹脂溶液を調製してもよい。これにより、乳化懸濁液中において、樹脂成分を含む材料で構成された分散質中にワックスおよび着色剤をより確実に内包させることができる。その結果、所望の着色濃度で、ワックスが特に好適に内包されたトナー粒子を容易かつ確実に製造することができる。
次に、分散液(乳化懸濁液)を構成する各成分について説明する。
(樹脂成分)
本発明に用いることのできる樹脂成分(バインダー樹脂)としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。また、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものであると、製造時において、ワックスを好適にトナー粒子内に内包でき、容易かつ確実に所望の特性を有するトナーを製造することができる。
また、樹脂成分としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂は構成成分として、炭素数が100〜1000の炭化水素基を備えた高分子量成分を含むもの(特に高分子量成分がポリエステル樹脂の側鎖を構成するもの)であってもよい。これにより、得られるトナーは、定着良好域が特が広く、低温定着性、長期保存性、耐熱保存性が特に優れたものとなる。
樹脂成分がポリエステル樹脂を含む材料で構成されるものである場合、当該ポリエステル樹脂の酸価は、5〜15KOHmg/gであるのが好ましく、7〜14KOHmg/gであるのがより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が前記範囲内の値であると、後述する合一工程において、粗大粒子が発生するのをより効果的に防止しつつ、合一粒子の成長速度を特に容易に制御できる。このため、特に粒度分布の狭い所望の大きさの合一粒子を容易かつ確実に得ることができる。また、トナーの製造における生産性を特に優れたものとできる。このため、得られるトナー粒子の帯電特性、保存性(耐熱保存性、長期保存性等)を特に優れたものとすることができる。
樹脂成分のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、30〜85℃であるのが好ましく、35〜75℃であるのがより好ましい。樹脂成分のガラス転移温度が前記範囲内の温度であると、得られるトナーは、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、樹脂成分として、複数種の樹脂を含むものである場合、上記ガラス転移温度としては、これらの各樹脂についてのガラス転移温度の加重平均値を、樹脂成分のガラス転移温度(Tg)として採用することができる。
また、樹脂成分の軟化温度T1/2は、特に限定されないが、60〜215℃であるのが好ましく、80〜190℃であるのがより好ましい。樹脂成分の軟化温度T1/2が前記範囲内の温度であると、得られるトナーは、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、本明細書で、軟化温度T1/2とは、特に断りのない限り、定荷重押出し形細管式レオメータであるフローテスター(島津製作所製、CFT−500)を用いて、以下のようにして求められる値のことを指す。すなわち、図1(a)に示すようにノズル径Dが1.0mmでノズル長さ(深さ)Lが1.0mmのノズル6を有するシリンダ7に、試料8(重量1.5g)を充填し、ノズル6と反対の側から単位面積(cm)当たり10kgの荷重をかけ、その状態で毎分6℃の昇温速度で加熱したときの、荷重面9のストロークS(荷重面9の沈み値)を測定することにより、昇温した温度とストロークSとの関係を図1(b)に示すようにして求め、ノズル6からの試料8の流出が始まって急激にストロークSが大きくなり、カーブが立ち上がったときの温度をTfb[℃]とし、また、ノズル6からの試料8の流出がほぼ終了してカーブがねたときの温度をTend[℃]としたとき、TfbでのストロークSfbとTendでのストロークSendとの中間値となるS1/2での温度を、本明細書では軟化温度T1/2として採用している。
また、樹脂成分の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、10,000〜180,000であるのが好ましく、20,000〜150,000であるのがより好ましい。これにより、高温領域でのオフセットの発生をより効果的に防止するとともに、揮発性有機化合物量を特に少ないものとすることができる。
また、樹脂成分として、前述したような第1の樹脂成分、第2の樹脂成分、および、第3の樹脂成分を含むものを用いる場合、それぞれの樹脂の混合体全体として前述の重量平均分子量の範囲に入ることが好ましく、各樹脂成分の重量平均分子量は、以下のような条件を満足するものであるのがより好ましい。すなわち、第1の樹脂成分の重量平均分子量は、5,500〜100,000であるのが好ましく、7,000〜80,000であるのがより好ましい。また、第2の樹脂成分の重量平均分子量は、100,000〜300,000であるのが好ましく、120,000〜280,000であるのがより好ましい。また、第3の樹脂成分の重量平均分子量は、1,000〜5,500であるのが好ましく、1,500〜5,000であるのがより好ましい。これらの条件を満足することにより、乳化懸濁液中において、樹脂成分を含む材料で構成された分散質中にワックスおよび着色剤をより確実に内包させることができ、定着性、ワックスの内包性に特に優れ、所望の着色濃度のトナー粒子をより確実に製造することができる。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ワックスとしては、ワックスの粒子が水性分散媒中に分散したワックス分散液を用いることが好ましい。これにより、微粒のワックス粒子を確実かつ容易に着色樹脂液中に分散させることができる。このため、得られるトナー粒子は、特にワックスの内包性に優れたものとなる。
(着色剤)
着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(有機溶剤)
有機溶剤(有機溶媒)としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、40重量部以下であるのが好ましく、30重量部以下であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
(その他の成分)
また、分散液(特に、分散液の調製に用いられる着色樹脂液)には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとすることができ、合一工程において、不本意な合一による、粗大粒子の発生を確実に防ぐことができる。また、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとすることができ、合一工程において、不本意な合一による、粗大粒子の発生を確実に防ぐことができる。また、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
使用する乳化剤の量は、固形分含有量に対し0.05〜3.0wt%であるのが好ましく、0.05〜2.0wt%であるのがより好ましく、0.10〜0.50wt%であるのがさらに好ましい。使用する乳化剤の量が前記下限値未満であると、粗大粒子発生に対する防止効果が十分に得られない可能性がある。一方、使用する乳化剤の量が前記上限値を超えると、後述する合一工程において、分散質の合一が十分に進行せず、所定粒径より小さい微粒子が残存し、合一粒子の収率が低下する可能性がある。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、ベンジル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、含金属ビスアゾ染料、カッリクスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、トリメチルエタン系化合物、カテコールの金属塩、ニグロシン化合物、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、オニウム化合物、トニフェニルメタン系化合物、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、分散液の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
また、分散液の構成材料(成分)としては、上述した樹脂成分の前駆体(例えば、プレポリマー、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等)を含んでいてもよい。
[乳化懸濁液調製工程(分散液調製工程)]
次に、乳化懸濁液調製工程について説明する。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂材料(樹脂成分)と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、乳化懸濁液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂成分が有する官能基(カルボキシル基)を中和することができ、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。また、中和剤を用いることにより、乳化剤の使用量を抑制したり、乳化剤等を用いなくても、分散質の分散性を十分に優れたものとすることができるため、乳化剤等を用いることによる不都合の発生を防止することができる。例えば、比較的多量の乳化剤等を用いた場合、乳化懸濁液の調製時において、比較的高い剪断力が必要となり、これにより、粗大粒子(粗大な分散質)の発生、分散質の粒度分布が広がる等の問題が発生し易いが、中和剤による中和を行うことにより、このような問題の発生を防止することができる。
中和剤は、例えば、着色樹脂液に添加されるものであってもよいし、水性媒体に添加されるものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、塩基性化合物の使用量は、樹脂成分が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)が好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
本工程で得られた乳化懸濁液において水を滴下した後の水(乳化のために使用した水、ワックスマスターの調製に用いたワックス分散液(いわゆる、ワックスエマルジョン)からの水、中和塩基等を加えた水の全量)と有機溶媒との比率は、体積比で、50:50〜80:20であるのが好ましく、60:40〜80:20であるのがより好ましい。これにより、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。また、分散質中に特に均一にワックスの微粒子を内包させることができる。
着色樹脂液と水性媒体との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により着色樹脂液に剪断を加えつつ、着色樹脂液中に水性媒体を徐々に添加(滴下)することにより行い、最終的に、水性媒体中に、着色樹脂液由来の分散質が分散した分散液を得るのが好ましい。これにより、例えば、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を、容易かつ確実に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/sであるのが好ましく、10〜25m/sであるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、乳化懸濁液中の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜1.0μmであるのが好ましく、0.05〜0.3μmであるのがより好ましい。分散質の平均粒径が前記範囲内の値であると、最終的に得られるトナー粒子の粒度分布を特に狭いものとすることができる。また、後述する合一工程において、合一粒子の粒径の制御が特に容易になる。なお、本明細書で、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
[合一工程]
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。
複数個の分散質の合一は、分散液を撹拌しながら、分散液に電解質を添加することにより行う。これにより、合一粒子を得ることができる。
分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。また、電解質を添加することにより、分散質と分散媒との界面を不安定にさせることができ、分散質同士の合一を促進させることができる。
ところで、電解質を加えた場合であっても、撹拌翼の周速度を一定として撹拌しつつ、合一を進行させ、合一粒子を得た場合には、ワックスの内包性に優れ、保存性に優れたトナー粒子を得ることができない。すなわち、合一時において、好適に合一粒子中にワックスを内包させることができず、得られるトナーは、トナー粒子表面にワックスが露出したものとなる。特に、比較的小粒径(例えば、4μm以下)のトナーを製造した場合、このような問題は顕著に表れる。
このため、本発明者らは、問題を解決すべく鋭意検討した結果、合一工程での撹拌翼の最大の周速度をSMAX[m/s]、最小の周速度をSMIN[m/s]としたとき、0.55≦SMIN/SMAX<0.98の関係を満足するように撹拌を行うことで、上記の問題を解決できることを見出した。このように、合一工程での撹拌翼の周速度を一定の範囲内とすることで、合一粒子中にワックスを好適に内包しつつ、効率よく合一粒子を成長させることができる。これは、以下のように考えられる。撹拌翼の周速度を高くして撹拌を行った場合、合一粒子同士は、衝突したときに合一せずに再分離することができる。このとき、合一粒子中に含まれるワックスや顔料は、樹脂成分よりも硬いものとなっている。このため、合一粒子同士が、衝突することにより、ワックスや、顔料が合一粒子中に押し込まれ、内包されるものと考えられる。また、撹拌翼の周速度を低くして撹拌を行った場合、合一粒子の粒成長を好適に促進させることができる。このように、撹拌速度を所定の範囲内で変化させて合一粒子を成長させることで、ワックスや顔料が合一粒子中に好適に押し込まれ、かつ、効率よく合一粒子を成長させることができる。このため、得られるトナーは、ワックスの内包性、保存性に優れたものとなる。これに対し、SMIN/SMAXが前記下限値未満だと、好適な撹拌条件を満足できず、ワックスを合一粒子中に内包できない。例えば、撹拌翼の最大の周速度が高すぎて、撹拌による剪断力で合一粒子が分断され、ワックスが合一粒子表面に露出しやすくなる。また、例えば、撹拌翼の最小の周速度が低すぎて、ワックスが合一粒子表面に露出しやすくなる。一方、SMIN/SMAXが前記上限値を超えると、合一工程での撹拌翼の周速度が一定に近いものとなる。このような場合、撹拌翼の周速度が高いものであると、合一が好適に進まず、微粒の分散質が残存しやすくなる。また、撹拌による剪断力が、常に合一粒子に加えられるため、合一粒子が壊れやすくなり、合一粒子表面にワックスが露出しやすいものとなる。また、撹拌翼の周速度が低いものであると、合一粒子の運動エネルギーが低いものとなり、合一粒子同士が衝突した場合であっても、ワックスや顔料が好適に合一粒子内に押し込まれない。また、SMIN/SMAXは、上記関係を満たすものであれば良いが、0.60≦SMIN/SMAX<0.90であるのが好ましく、0.60≦SMIN/SMAX<0.85であるのがより好ましく、上述しような効果をより顕著に得ることができる。
なお、本発明において、周速度S[m/s]は、撹拌翼を軸方向から平面視した際において、撹拌翼の翼径をd[m]、撹拌翼の回転数をR[min−1]としたとき、下記式(I)にて求めることができる。
S[m/s]=d・R・π/60 ・・・・(I)
また、上述したような効果は、ワックスとして、ワックス分散液(ワックスエマルジョン)を用いた場合、顕著に得ることができる。これは、以下のように考えることができる。ワックスエマルジョンを用いた場合、ワックスの微粒子は、分散液の合一粒子中に分散することができる。合一粒子中において、ワックスの微粒子は、通常、合一粒子に含まれる樹脂成分よりも比較的硬いものである。このため、合一粒子同士が衝突した際に、ワックスの微粒子は、容易に合一粒子内にもぐりこみ、合一粒子中により確実に内包されることができる。このため、得れらるトナーは、ワックス内包性に特に優れたものとなり、保存性に特に優れたものとなる。
また、撹拌翼の最大の周速度SMAX[m/s]は、上記の関係を満足するものであれば良いが、具体的には、1.1〜3.0m/sであることが好ましく、1.3〜2.5m/sであることがより好ましい。これにより、不本意な合一が急激に起こり、粗大粒子が発生することを確実に防止しつつ、合一工程の生産性を高いものとすることができる。これに対し、撹拌翼の最大の周速度SMAX[m/s]が前記下限値未満だと、撹拌装置の構成によっては、均一に分散液を撹拌することができず、分散液中における電解質濃度のむらが発生し、分散液中において、合一が不均一に起こったり、凝集が発生する場合がある。一方、撹拌翼の最大の周速度周速度SMAX[m/s]が前記上限値を超えると、撹拌装置の構成によっては、撹拌によって泡立ち、分散液の飛び散りが発生し、粗大粒子が発生しやすく、合一が不均一に起こる場合がある。
また、撹拌翼の最小の周速度SMIN[m/s]は、上記の関係を満足するものであれば良いが、具体的には、具体的には、0.85〜2.0m/sであることが好ましく、1.1〜1.5m/sであることがより好ましい。これにより、合一粒子中にワックスを特に効率よく内包させつつ、合一の速度を高いものとすることができる。このため、得られるトナーは、ワックス内包性、保存性に特に優れたものとなる。
また、本工程における処理温度は、特に限定されないが、10〜50℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのが好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、合一の進行が遅くなり、トナーの生産性が低下する場合がある。一方、処理温度が前記上限値を超えると、不本意な凝集物や粗大粒子が発生し易くなる。
また、本工程では、攪拌装置として、攪拌槽の内径をD[cm]、攪拌翼の翼径をd[cm]としたとき、1.3≦D/d≦3.0の関係を満足する物を用いることが好ましく、1.5≦D/d≦2.5の関係を満足する物を用いることがより好ましい。これにより、効率よく分散液を撹拌できるとともに、撹拌時における泡等の発生を防ぐことができ、容易かつ確実に、所望の粒径で粒度分布の特に狭い合一粒子を効率よく得ることができる。
また、本工程では、分散液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子(着色樹脂微粒子)が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
また、本工程では、分散液を撹拌しつつ、分散液に電解質を添加する第1の処理と、分散液を撹拌しつつ、合一粒子を成長させる第2の処理とを有することが好ましい。これにより、粒度分布が狭く、保存性が特に優れたトナーを容易に製造することができる。
加えて、本実施形態では、合一工程は、第2の処理を行った後に、本工程での最小の撹拌速度SMINよりも、撹拌翼の平均周速度を高くして撹拌を行う、熟成処理を有する。
以下、合一工程における各処理について、詳細に説明する。
(第1の処理)
まず、第1の処理では、分散液を撹拌しつつ、電解質を添加する。
本処理における撹拌翼の平均周速度は、第2の処理における撹拌翼の平均周速度よりも高いことが好ましい。このように、電解質の添加時において、比較的高い周速度で撹拌を行うことにより、添加された電解質をよりすばやく、分散液中に拡散でき、分散液中の電解質の濃度むらを防ぐことができる。また、分散質の急激な合一を防止することができるため、粗大粒子および分散質の軟凝集体が発生することを防止することができる。
本処理では、撹拌時における攪拌翼の平均周速度は、具体的には、1.1〜3.0m/sであることが好ましく、1.3〜2.0m/sであるのがより好ましい。撹拌翼の平均周速度が前記範囲内の値であると、添加した電解質を均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのを確実に防止することができる。その結果、粗大粒子および軟凝集体の発生を確実に防止しつつ、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。このため、所望の粒径で、粒度分布が特に狭いトナーを得ることができる。
また、本処理では、撹拌は、撹拌翼の最大の周速度SMAX[m/s]を有するように行うことが好ましい。これにより、電解質を添加した際に、分散液に電解質の濃度むらが発生することを容易かつ確実になくすことができる。また、このように高い撹拌速度で撹拌を行うことにより、分散質の軟凝集(フロキュレーション)の発生、急激な合一を確実に防止しつつ、合一の速度を特に適度なものとすることができる。このため、得られるトナーは、粒度分布が特に狭いものとなり、保存性、ワックスの内包性が特に優れたものとなる。
また、本処理では、撹拌は、分散液に対し、平均所要動力を、0.25〜2.50kW/m与えるように行うことが好ましい。これにより、添加した電解質を速やかに分散液に拡散させることができ、濃度むらの発生を防ぐことができるとともに、合一粒子の成長速度を容易かつ確実に制御できる。また、軟凝集体、粗大粒子の発生を防止できる。このため、所望の粒径で、粒度分布の狭いトナー粒子を容易かつ確実に得られる。
また、本処理では、撹拌行いながら、電解質を添加する。
合一工程で添加される電解質の量は、電解質が添加される分散液に含まれる固形分に対し、1.4〜5.0wt%であるのが好ましく、2.0〜4.0wt%であるのがより好ましい。添加される電解質の量が前記範囲内であると、容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、効率よく合一粒子を成長させることができる。また、軟凝集体の発生や、急激な合一による粗大粒子の発生を確実に防止することができる。このため、粒度分布が特に狭く、保存性が特に優れたトナーを製造することができる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加することが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。このため、分散質の軟凝集の発生を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2.5〜4.5wt%であることが好ましく、2.7〜4.0wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際における分散液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、合一粒子の粒径をより確実に制御できるとともに、不本意な合一粒子の合一、軟凝集の発生を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液で添加する場合、電解質水溶液の添加の速度は、電解質水溶液が添加される分散液に含まれる固形分:100重量部に対し、2〜20重量部/分であるのが好ましく、3〜10重量部/分であるのがより好ましい。これにより、分散液中で、電解質の濃度のむらが発生することを防止することができ、粗大粒子が発生することを確実に防ぐことができる。また、合一粒子の粒度分布は特に狭いものとなる。さらに、このような速度で電解質を添加することで、合一の速度を特に容易に制御でき、合一粒子の平均粒径を制御することが特に容易になるとともに、トナーの生産性を特に優れたものとすることができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の成長速度を制御できるため、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御でき、得られる合一粒子の粒度分布を狭いものとできる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。このため、得られるトナー粒子の平均粒径を特に容易に所望の大きさとし、粒度分布を特に狭いものとすることができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
また、本処理では、電解質を添加した後に、一定時間、同条件で撹拌を保持し、合一粒子の粒成長を行ってもよい。これにより、分散液中に残存する微粒の分散質を少なくすることができ、第2の処理において、これらの微粒の分散質が急激に凝集して粗大粒子や軟凝集体が形成することを確実に防止することができる。
また、合一工程において加える電解質のうち、その90wt%以上を本処理で添加することが好ましく、その95wt%以上を本処理で添加することがより好ましく、その全量を本処理で添加することがさらに好ましい。これにより、合一工程において、分散液中での電解質の濃度むらの発生を防止することができる。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特に狭いものとなり、粗大粒子が特に少ないものとなる。
(第2の処理)
次に、分散液の撹拌を行いながら、合一粒子の粒成長を行う。本処理における撹拌翼の平均周速度は、第1の処理における撹拌翼の平均周速度よりも低いことが好ましい。このように、第1の処理を経た後に、比較的低い周速度で撹拌を行うことにより、粗大粒子の発生を防止しつつ、合一の発生頻度を高いものとでき、効率よく合一粒子の粒径を大きくすることができる。すなわち、第1の処理において、微粒の分散質の合一が進行しているため、分散液中には、残存している微粒の分散質は少ないものとなっている。また、加えるべき電解質の大部分を第1の処理で添加するため、本処理においては、分散液中での電解質の濃度むらの発生は極めて少ないものとなっている。このため、本処理では、比較的撹拌条件を穏やかにした場合であっても、軟凝集体、粗大粒子の発生を防止しつつ、合一粒子を効率よく成長させることができる。この結果、合一粒子の粒成長を容易に制御することができるとともに、得られる合一粒子の粒度分布を得に狭いものとすることができる。
本処理では、撹拌時における攪拌翼の平均周速度は、具体的には、0.85〜2.0m/sであることが好ましく、1.1〜1.5m/sであるのがより好ましい。平均周速度が前記範囲内の値であると、急激な合一によって粗大粒子が発生することを確実に防止しつつ、ワックスを合一粒中に好適に内包させることができる。また、効率よく合一粒子を成長させることができる。また、得られるトナー粒子は、粒度分布が特に狭く、粗大粒子が特に少ないものとなる。
また、本処理において、撹拌は、撹拌翼の最小の周速度SMIN[m/s]を有するように行うことが好ましい。これにより、第2の処理において、特に効率よく合一粒子の粒成長を行うことができるとともに、ワックスをより確実に合一粒子内に内包させることができる。
また、本処理では、撹拌は、分散液に対し、平均所要動力を、0.05〜2.00kW/m与えるように行うことが好ましい。これにより、粗大粒子の発生を確実に防止しつつ、所望の粒径の合一粒子を特に効率よく得ることができる。
(熟成処理)
次に、合一粒子が所望の大きさに近くなった段階で、撹拌翼の平均周速度を、最小の周速度SMINよりも高くして撹拌を行う。このような処理を有することで、合一粒子同士の衝突回数を増やすことができ、顔料の不本意な流出を防止しつつ、合一粒子表面にワックスが露出することを確実に防止することができる。また、合一粒子は、第1、第2の処理において粒径が大きくなっているため、安定化し、合一しにくくなっている。これに加え、このように高い周速度で撹拌を行うことにより、合一粒子の粒成長を極端に遅くすることができ、目的の粒径よりも大きくなることを確実に防止することができる。これにより、所望の粒径で、粒度分布の狭いトナーを容易かつ、確実に得られる。また、得られるトナーは、ワックスの内包性に特に優れ、保存時における凝集の発生等が特に少ないものとなり、保存性に特に優れたものとなる。また、このトナーを用いて画像形成し、得られるトナー画像は、特に色再現性に優れ、鮮明なもとなる。
本処理では、撹拌時における攪拌翼の平均周速度は、撹拌翼の最小の周速度SMINよりも高いものであればよいが、具体的には、1.1〜3.0m/sであることが好ましく、1.3〜2.5m/sであるのがより好ましい。撹拌翼の平均周速度が前記範囲内の値であると、好適にワックス、顔料を合一粒子中に特に効率よく内包できるとともに、撹拌によって泡の発生等のトラブルが起こることを確実に防止できる。
また、本処理では、撹拌は、分散液に対し、平均所要動力を、0.25〜2.50kW/m与えるように行うことが好ましい。撹拌の平均仕事率が前記範囲内の値であると、好適にワックス、顔料を合一粒子中に特に効率よく内包できるとともに、撹拌によって泡の発生等のトラブルが起こることを確実に防止できる。
合一粒子が所望の粒径に達したら、合一を停止させる。これにより、所望の粒径の合一粒子を確実に得ることができる。
本発明では、分散液中に水性媒体を添加することにより、合一を停止させる。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水性媒体を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水性媒体により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
また、添加する水性媒体は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水性媒体の総量が、150〜500重量部となるように加えるのが好ましく、200〜400重量部となるように加えるのがより好ましい。添加する水性媒体の量が前記範囲内であると、合一を確実に停止することができ、合一粒子の変形を確実に防止することができるとともに、後述する脱溶剤工程における有機溶剤の除去を効率よく行うことができる。また、合一粒子の変形を防止することができるため、合一粒子は、ワックスを内包した状態で確実に保持することができる。このため、後述する洗浄、乾燥工程において、トナー粒子が変形、凝集することを確実に防止でき、最終的に得られるトナーは、粒度分布が特に狭く、円形度が特に高いものとなる。
また、水性媒体の添加は、分散液中の固形分の含有率が17〜25wt%となるように、水性媒体を加えるのが好ましい。これにより、トナー製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適なトナーを製造することができる。
また、水性媒体の添加は、分散液を撹拌しながら行うことが好ましい。これにより、すばやく合一を停止することができ、合一粒子の粒成長を確実に止めることができる。
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー粒子が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水性媒体が除去されてもよい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
[洗浄工程]
次に、トナー粒子の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤、未反応原料(モノマー等)等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナーにおける、揮発性有機化合物(VOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことにより、行うことができる。固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
また、本工程での処理温度は、トナー粒子の樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて、外添剤を付与する外添工程を有していてもよい。
<トナー>
次に、上記のような方法により製造される本発明のトナーについて説明する。
トナーは、多数個のトナー粒子(トナー母粒子)で構成されている。
《トナー粒子の構造》
トナーを構成するトナー粒子は、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものであるのが好ましい。
また、トナー粒子の粒径の標準偏差(σ(D))をトナー粒子の平均粒径(D)で除した数値(σ(D)/D)×100として表されるトナー粒子の粒径についての変動係数は、24.0以下であるのが好ましく、20.0以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布は特にシャープなものとなり、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。また、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等のばらつきを特に小さいものとすることができ、トナー全体としての信頼性を特に優れたものとすることができる。また、例えば、トナーの製造時においては、トナーの乾燥を容易かつ確実に行うことができ、トナー中の含水量を抑制することができる。
また、トナー粒子の50%体積粒径Dv(50)[μm]は、特に限定されないが、1.0〜5.0μmであるのが好ましく、1.5〜4.0μmであるのがより好ましい。トナー粒子の50%体積粒径が前記範囲内の値であると、高解像度の画像形成に好適に適用することができるとともに、低温定着性の向上に有利である。上述したような製造方法において、トナー粒子を特に効率よく得ることができる。
また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.15であるのが好ましく1.00〜1.10であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子同士の接触、衝突を少なくすることができ、摩擦等における帯電量の低下、トナー粒子同士の凝集を確実に防止することができる。このため、得られるトナーの保存性を特に優れたものとすることができる。また、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)を用いた測定により求めることができる。
本発明のトナーにおいて、下記式(II)で表されるトナー粒子についての円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94以上であるのが好ましく、0.97〜0.99であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(II)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
このように、トナー粒子の円形度が十分に大きいものであることにより、転写工程におけるトナーの転写効率を十分に優れたものとすることができる。また、トナー粒子の円形度が十分に大きいものであることにより、例えば、画像形成装置(特に、現像装置)内において、トナー粒子に長期間にわたって応力が加わった場合においても、トナー粒子の不可逆的な変形を防止することができる。これにより、トナーを、長期間にわたって安定した特性を発揮することができるものとすることができる。
また、トナー粒子についての円形度の標準偏差は、0.04以下であるのが好ましい。このように、円形度の標準偏差が十分に小さいと、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として用いられるものであってもよいし、二成分型現像剤として用いられるものであってもよい。また、本発明のトナーは、乾式トナーとして用いられるものであってもよいし、液体現像剤に用いられるものであってもよい。
次に、上述した本発明のトナーが適用される画像形成装置について説明する。
図2は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図3は、図2の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図4は、図2の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図5は、図4の定着装置の要部断面図である。
画像形成装置10の装置本体20内には、感光体ドラムからなる像担持体30が配設され、図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。この像担持体30の周囲には、その回転方向に沿って、像担持体(感光体)30を一様に帯電するための帯電装置40、像担持体30上に静電潜像を形成するための露光装置50、静電潜像を現像するためのロータリー現像装置60、像担持体30上に形成された単色のトナー像を一次転写するための中間転写装置70が配設されている。
ロータリー現像装置60は、イエロー用現像装置60Y、マゼンタ用現像装置60M、シアン用現像装置60Cおよびブラック用現像装置60Kが支持フレーム600に装着され、支持フレーム600は図示しない駆動にモータより回転駆動される構成になっている。これらの複数の現像装置60Y、60C、60M、60Kは、像担持体30の1回転毎に選択的に一つの現像装置の現像ローラ604が像担持体30に対向するように回転移動するようにされている。なお、各現像装置60Y、60C、60M、60Kには、各色のトナーが収納されたトナー収納部が形成されている。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
図3に示すように現像装置60Yでは、その内部にトナーTを収容するハウジング601に供給ローラ603および現像ローラ604が軸着されており、当該現像装置60Yが上記した現像位置に位置決めされると、「トナー担持体」として機能する現像ローラ604が像担持体(感光体)30と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ603、604が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転するように構成されている。この現像ローラ604は、現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。
また、現像装置60Yでは現像ローラ604の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード605が配置されている。この規制ブレード605は、ステンレスやリン青銅などの板状部材605aと、板状部材605aの先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材605bとで構成されている。この板状部材605aの後端部はハウジング601に固着されており、現像ローラ604の回転方向D3において、板状部材605aの先端部に取り付けられた弾性部材605bが板状部材605aの後端部よりも上流側に位置するように配設されている。
中間転写装置70は、駆動ローラ90および従動ローラ100と、両ローラにより図示矢印方向に駆動される中間転写ベルト110と、ベルト110の裏面で像担持体30に対向して配設された一次転写ローラ120と、ベルト110上の残留トナーを除去する転写ベルトクリーナ130と、駆動ローラ90に対向して配設され、中間転写ベルト110に形成された4色フルカラー像を記録媒体(紙等)上に転写するための二次転写ローラ140とからなっている。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
上記構成からなる画像形成装置の作用について説明する。図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、像担持体30、現像装置60の現像ローラ604および中間転写ベルト110が回転駆動し、先ず、像担持体30の外周面が帯電装置40によって一様に帯電され、一様に帯電された像担持体30の外周面に、露光装置50によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が形成される。
一方、現像装置60Yでは、2つのローラ603、604が接触しながら回転することで、イエロートナーが現像ローラ604の表面に擦り付けられて所定の厚みのトナー層が現像ローラ604の表面に形成される。そして、規制ブレード605の弾性部材605bが現像ローラ604の表面に弾性的に当接して、現像ローラ604の表面上のトナー層を、所定の厚みに規制する。
像担持体30上に形成された潜像位置には、イエロー用現像装置60Yが回動してその現像ローラ604が当接し、これによってイエローの静電潜像のトナー像が像担持体30上に形成され、次に、像担持体30上に形成されたトナー像は一次転写ローラ120により中間転写ベルト110上に転写される。このとき、二次転写ローラ140は中間転写ベルト110から離間されている。
上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対して、像担持体30と中間転写ベルト110の1回転による潜像形成、現像、転写が繰り返され、画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写ベルト110上において重ねられて転写される。そして、このフルカラー画像が二次転写ローラ140に達するタイミングで、記録媒体が搬送路170から二次転写ローラ140に供給され、このとき、二次転写ローラ140が中間転写ベルト110に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写される。そして、この記録媒体上に転写されたトナー像は定着装置190により加熱加圧され定着される。中間転写ベルト110上に残留しているトナーは転写ベルトクリーナ130によって除去される。
なお、両面印刷の場合には、定着装置190を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て、二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置190により加熱加圧され定着される。
図2において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
次に定着装置190について、詳細に説明する。
図4において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
図5において、定着ローラ210は、内部にハロゲンランプ等の熱源210aを有する金属製の筒体210b、筒体210bの外周に設けられたシリコンゴム等からなる弾性層210cと、弾性層210cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE))よりなる表層(図示せず)と、筒体210bに固定された回転軸210dとから構成されている。
加圧ローラ220は、金属製の筒体220bと、筒体220bに固定された回転軸220dと、回転軸220dを軸支持する軸受250と、定着ローラ210と同様に、筒体220bの外周に設けられた弾性層220cと、弾性層220cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂よりなる表層(図示せず)とから構成されている。定着ローラ210の弾性層210cの厚みは、加圧ローラ220の弾性層220cの厚みより極端に小さくし、これにより加圧ローラ220側が凹状にへこむような定着ニップ部が形成されている。
図4および図5に示すように、ハウジング240の両側面には、支持軸290、300が設けられており、この支持軸290、300にそれぞれ定着ローラ210側の剥離部材310と加圧ローラ220側の剥離部材320が回動自在に装着されている。これにより、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向で定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320が配設されることになる。
本実施形態では、図4および図5に示すように、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向でニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320を配設している。定着ローラ210側の剥離部材310の先端は、ニップ部の出口に向けて傾斜するように配置され、定着ローラ210に非接触でかつ近接されている。加圧ローラ220側の剥離部材320の先端は、定着ローラ210側の剥離部材310の先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されている。
両面印刷の場合、片面に印刷された記録媒体は定着ローラ210側の剥離部材310により剥離された後、記録媒体の後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着ローラ210により加熱加圧され定着され、このとき、加圧ローラ220に付着し巻き付いてしまう記録媒体は、加圧ローラ220側の剥離部材320により剥離されることになる。
上記のように、本実施形態の定着装置では、定着ローラおよび加圧ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、定着ローラおよび加圧ローラに近接して配設される剥離部材を備え、前記定着ローラ側の剥離部材の位置決めは定着ローラ表面で行い、前記加圧ローラ側の剥離部材の位置決めは加圧ローラの軸受表面で行うので、定着ローラおよび加圧ローラからの記録媒体の剥離性を向上させることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、合一工程において、第2の処理、熟成処理では電解質を添加しないこととして説明したが、電解質を添加してもよい。
また、例えば、第1の処理と第2の処理は、繰り返し行われるものであっても良い。これにより、容易かつ確実にトナー粒子の粒径を制御することができる。
また、例えば、合一工程において、熟成処理を有していなくてもよい。
また、例えば、合一工程後に、合一粒子に被膜を形成する工程を有していてもよい。このような工程を経て得られるトナー母粒子は、合一粒子からなる芯粒子(コア領域)と、芯粒子とは異なる材料で構成され、芯粒子を被覆する層(シェル領域)とを有する「カプセル型」の構造とすることができる。これにより、芯粒子と被覆する層とでの機能分離を図ることができる。例えば、芯粒子の構成材料としてガラス転移温度が比較的低い材料を用いるとともに、被覆する層の構成材料として芯粒子よりもガラス転移温度の高い材料を用いることにより、低温領域での定着性(低温定着性)の向上を図るとともに、保存時におけるトナー粒子の凝集等を防止し、トナーの保存性を向上させることできる。
[1]トナーの製造
トナーの製造に先立ち、樹脂の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター、着色剤マスター、ミルベースの調製を行った。
<樹脂L1(直鎖型ポリエステル系樹脂)の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、下記の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が95℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 79.7重量部
イソフタル酸 53.1重量部
エチレングリコール 28.6重量部
ネオペンチルグリコール 48.0重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9.8KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)55℃、軟化点(T1/2)が107℃であった。
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は7,740であった。
<樹脂L2、L3(直鎖型ポリエステル系樹脂)の合成>
各原材料の使用量(使用比率)、常圧での加熱温度、常圧での加熱時間を表1に示すようにするとともに、反応終了時点の基準とする軟化点(ASTM E28−517に基づく軟化点)を表1に示すようにした以外は、前記樹脂L1の合成と同様にして反応を行い、2種の樹脂L2、L3を得た。
<樹脂H1(架橋型ポリエステル系樹脂)の合成>
精留塔、攪拌装置、窒素ガス導入口、温度計を備え付けた50リットルの反応釜に、下記の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が159℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 90.6重量部
イソフタル酸 39.0重量部
エチレングリコール 25.4重量部
ネオペンチルグリコール 42.6重量部
テトラブチルチタネート 1.0重量部
エピクロン830 3.0重量部
(大日本インキ化学工業製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 1.0重量部
(シェルジャパン製、アルキルグリシジルエステル、エポキシ当量250(g/eq))
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)63℃、軟化点(T1/2)が175℃であった。また、樹脂L1の分子量の測定に用いたGPC測定装置を用いて同様にして測定したところ、重量平均分子量は359,900であった。
<樹脂H2、H3(架橋型ポリエステル系樹脂)の合成>
各原材料の使用量(使用比率)、常圧での加熱温度、常圧での加熱時間を表1に示すようにするとともに、反応終了時点の基準とする軟化点(ASTM E28−517に基づく軟化点)を表1に示すようにした以外は、前記樹脂H1の合成と同様にして反応を行い、2種の樹脂H2、H3を得た。
上記のようにして合成した各樹脂についての合成条件、物性等を表1にまとめて示す。
Figure 0004853349
<ワックスマスターWM−1の調製>
高速乳化機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、水:1308重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:17.5重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
次に、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、メチルエチルケトン:856重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂L1:700重量部を徐々に添加して、樹脂L1が均一に溶解したことを確認した後、上記第1のワックス分散液:878.6重量部を添加して、予備混合液の調製を行った。次いで、該予備混合液をスターミル(アシザワファインテック社製、LMZ−10)で混合を行い、固形分含有量45.0wt%のワックスマスターWM−1を得た。得られたワックスマスターWM−1の組成は、重量比で、樹脂L1:ワックス:乳化剤:メチルエチルケトン:水=31.3:13.4:0.3:29.5:25.5であった。
<ワックスマスターWM−2〜3の調製>
樹脂L1の代わりにL2またはL3を用いた以外は、前記ワックスマスターWM−1と同様にして、ワックスマスターWM−2、3を得た。
<着色剤マスターPM−C1の調製>
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111):2000重量部と、樹脂L1:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、混練物を得た。
得られた混練物:16000重量部と、メチルエチルケトン:19000重量部とを、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器内に投入し、60分間予備混合した後、スターミル(アシザワファインテック社製、LMZ−10)で、外径:222mmのディスクピン、直径:0.5mmのジルコニアビーズを用いて、翼先端速度:12.5m/sで90分間混合を行い、着色剤の微細化を行った。着色剤が微細化された混合物を容器内から取り出し、さらに、メチルエチルケトン:5000重量部で洗い出し、これを取り出した混合物と混合することにより、固形分含有量40wt%の着色剤マスターPM−C1を得た。得られた着色剤マスターPM−Cについて、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−M1の調製>
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C1と同様にして、着色剤マスターPM−M1を得た。また、得られた着色剤マスターPM−M1について、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−C2、PM−C3の調製>
樹脂L1の代わりにL2またはL3を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−C1と同様にして、着色剤マスターPM−C2、PM−C3を得た。
得られた着色剤マスターPM−C2、PM−C3について、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<ミルベースMB−1の調製>
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):73.5重量部と、着色剤マスターPM−C1:225.0重量部を仕込み、翼先端速度:7.54m/sで攪拌した。攪拌した状態で、樹脂H1(希釈樹脂):98.4重量部、樹脂L1(希釈樹脂):81.6重量部、ワックスマスターWM−1:67.2重量部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.64重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が55wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。また、作製したミルベースMB−1の配合順序、配合量を表2に示す。
Figure 0004853349
<ミルベースMB−2〜MB−6の調製>
ミルベースの組成が、表2に示すようになるように、着色剤マスター、ワックスマスター及び樹脂の種類、乳化剤使用量等を適宜変更した以外は、前記ミルベースMB−1と同様にして、5種のミルベースMB−2〜MB−6を調製した。
上記ミルベースMB−1〜MB−6の組成を表2にまとめて示す。なお、表中、メチルエチルケトンを「MEK」、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを「DBS」で示した。
(実施例1)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
ミルベースMB−1を調製した容器をウォーターバスに漬けることにより、系内温度が30℃以下に保持した状態で、引き続き、撹拌翼の周速度:7.54m/sにて攪拌しつつ、1Nアンモニア水:67.62重量部を20重量部/分の速度で加えた。
その後、撹拌翼の周速度を14.65m/sに変更し、この状態で、505.9重量部の水(脱イオン水)を20重量部/分の速度で滴下し、分散液を調製した。脱イオン水を添加するにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合は均一であった。脱イオン水を360重量部添加した段階で粘度の低下が観察された(転相点)。さらに残りの脱イオン水を所定量滴下した後(505.9重量部の脱イオン水を滴下した後)、更に消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.05重量部を脱イオン水:10重量部に希釈して添加することにより、乳化懸濁液を得た。得られた乳化懸濁液を光学顕微鏡で観察したところ、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
《合一工程》
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、攪拌翼の回転数を320rpm、周速度を1.09m/sに保持した状態で、温度を25℃に調整した。
<第1の処理>
その後、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sに調整した。続いて同条件で撹拌を行いながら、3.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を350重量部滴下し、さらに10分間攪拌を行った。本処理において、周速度は、本工程で最大であり、最大の周速度SMAXは、1.53m/sであった。また、本処理の平均周速度は、1.53m/s、平均撹拌単位動力は、1.10Kw/mであった。
<第2の処理>
次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sから320rpm、1.09m/sまで減速し、撹拌回転数320rpm、周速度1.09m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数、周速度を320rpm、1.09m/sから300rpm、1.02m/sまで減速し、300rpm、1.02m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を300rpm、1.02m/sから280rpm、0.95m/sまで減速し、280rpm、0.95m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を280rpm、0.95m/sから270rpm、0.92m/sまで減速した。
次に、攪拌回転数、周速度を270rpm、0.92m/sで26分間攪拌を行い、その時点で、分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]とした時の、Dv(50)は、2.94μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、本処理において、周速度は、本工程で最小であり、最小の周速度SMINは、0.92m/sであった。また、本処理の平均周速度は、0.97m/s、平均撹拌単位動力は、0.26Kw/mであった。なお、粒径、粒度分布の測定は、50μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAIII(ベックマンコールター社製)により行った。また、光学顕微鏡(倍率:600倍)で観察したところ、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子、ワックス微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。また、合一粒子の平均円形度Rは0.978であった。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。
<熟成処理>
その後直ちに、マックスブレンド翼の攪拌回転数、周速度を350rpm、1.19m/sに引き上げ30分間攪拌を行った。次に、マックスブレンド翼の攪拌回転数を400rpm、周速度を1.36m/sに引き上げた状態で60分間攪拌を行った。また、本処理での、攪拌翼の平均周速度は、1.30m/sであった。
<合一の停止>
その後、脱イオン水:565重量部を添加し、分散質の合一を停止させることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この分散液を構成する分散質としての合一粒子について、粒径測定を行った。その結果、Dv(50)は、3.00μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、合一粒子の平均円形度Rは0.986であった。
また、合一工程において、攪拌槽(2L円筒容器)の内径をD[cm]、攪拌翼の翼径をd[cm]としたとき、D/dは、2.0であった。
《脱溶剤工程》
その後、合一工程で得られた分散液(合一粒子が分散した分散液)に対し、消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.05重量部を脱イオン水:35重量部で希釈して添加した。
次に、消泡剤を添加した分散液を3Lナス型フラスコに採取し、ロータリーエバポレーターを用いた減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《洗浄工程、乾燥工程》
上記のようにして得られたスラリーを、635メッシュの篩にかけることによる固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子を得た。また、トナー母粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、3.00μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、トナー母粒子の平均円形度Rは0.985であった。
《外添工程》
トナー母粒子:100重量部に対して、外添剤として大粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX50):1.0重量部、小粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX200):1.0重量部、酸化チタン(チタン工業(株)製STT30S):0.5重量部を添加した。このトナー母粒子を10Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)に投入して羽先端周速30m/sで2分間混合し、トナーを得た。
(実施例2)
まず、実施例1と同様に、乳化懸濁液を調整した。
《合一工程》
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、撹拌翼の攪拌回転数を320rpm、周速度を1.09m/sに保持した状態で、温度を25℃に調整した。
<第1の処理>
その後、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sに調整した。続いて、3.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を400重量部滴下し、10分間攪拌を行った。また、本処理の平均周速度は、1.53m/s、平均撹拌単位動力は、1.08Kw/mであった。
<第2の処理>
次に、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sから400rpm、1.36m/sまで減速し、撹拌回転数、周速度をそれぞれ、400rpm、1.36m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を400rpm、周速度を1.36m/sから380rpm、1.29m/sまで減速し、380rpm、1.29m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を380rpm、1.29m/sから360rpm、1.22m/sまで減速し、360rpm、1.22m/sの撹拌条件で10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を360rpm、1.22m/sから340rpm、1.16m/sまで減速した。攪拌回転数:340rpm、周速度:1.16m/sで26分間攪拌を行い、その時点で、分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]とした時の、Dv(50)は、2.95μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、本処理において、周速度は、本工程で最小であり、最小の周速度SMINは、1.16m/sであった。また、本処理の平均周速度は、1.22m/s、平均撹拌単位動力は、0.50Kw/mであった。また、光学顕微鏡(倍率:600倍)で観察したところ、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子、ワックス微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。 また、合一粒子の平均円形度Rは0.976であった。
<熟成処理>
その後直ちに、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sに引き上げ50分間攪拌を行った。次に、マックスブレンド翼の攪拌回転数を500rpm、周速度を1.70m/sに引き上げた状態で40分間攪拌を行った。また、本処理において、周速度は、本工程で最大であり、最大の周速度SMAXは、1.60m/sであった。
<合一の停止>
その後、脱イオン水:565重量部を添加し、分散質の合一を停止させることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この分散液を構成する分散質としての合一粒子について、粒径測定を行った。その結果、Dv(50)は、3.00μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、合一粒子の平均円形度Rは0.985であった。
また、本工程において、攪拌槽(2L円筒容器)の内径をD[cm]、攪拌翼の翼径をd[cm]としたとき、D/dは、2.0であった。
その後、得られた分散液について、実施例1と同様に、脱溶剤工程、洗浄工程、乾燥工程、外添工程を行い、トナーを得た。
(実施例3〜10)
用いるミルベースの種類、撹拌条件、電解質の添加条件を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。また、実施例9では、熟成処理を行わなかった。
(実施例11)
まず、実施例1と同様に、乳化懸濁液を調整した。
《合一工程》
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、撹拌回転数:320rpm、周速度:1.09m/sに保持した状態で、温度を25℃に調整した。
<第1の処理>
その後、マックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を450rpm、1.53m/sに調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液:120重量部を10重量部/分で滴下した。本処理において、周速度は、本工程で最大であり、最大の周速度SMAXは、1.53m/sであった。また、本処理の平均周速度は、1.53m/s、平均撹拌単位動力は、1.18Kw/mであった。
<第2の処理>
滴下終了後、撹拌回転数、周速度を15分間かけて、450rpm、1.53m/sから280rpm、0.95m/sまで減速し、さらに、280rpm、0.95m/sで20分間攪拌を行った。
<第1の処理(2)>
その後、マックスブレンド翼の撹拌回転数、周速度を450rpm、1.53m/sに調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を10重量部滴下した。
<第2の処理(2)>
その後、撹拌回転数、周速度を、280rpm、0.95m/sまで減速し、さらに280rpm、0.95m/sで10分間攪拌を行い、このときの分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]としたときの、Dv(50)が3.0μmを超えていない場合は、同様の操作を繰り返した。すなわち、2回目の第1の処理、第2の処理と同様の操作を繰り返した。また、本処理において、周速度は、本工程で最小であり、最小の周速度SMINは、0.95m/sであった。また、本処理の平均周速度は、1.20m/s、平均撹拌単位動力は、0.24Kw/mであった。またなお、粒径、粒度分布の測定は、マイクロトラックMT3000(日機装社製)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。
Dv(50)が3.0μmを超えたところで、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.02m/sに調整した状態で、30分間攪拌を行った。
<合一の停止>
その後、脱イオン水:565重量部を添加し、分散質の合一を停止させることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、3.02μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.06であった。
また、本工程において、攪拌槽(2L円筒容器)の内径をD[cm]、攪拌翼の翼径をd[cm]としたとき、D/dは、2.0であった。
その後、得られた分散液について、実施例1と同様に、脱溶剤工程、洗浄工程、乾燥工程、外添工程を行い、トナーを得た。
(比較例1)
まず、実施例1と同様に、乳化懸濁液を調整した。
《合一工程》
次に、マックスブレンド翼(翼径:65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、攪拌回転数320rpm、周速度:1.09m/sに保持した状態で、温度を25℃に調整した。
<第1の処理>
その後、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sに調整した。続いて、マックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sに調整した状態で、3.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を260重量部滴下し、10分間攪拌を行った。
<第2の処理>
次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を450rpm、周速度を1.53m/sから320rpm、1.09m/sまで減速し、320rpm、1.09m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を320rpm、周速度を1.09m/sから300rpm、1.02m/sまで減速し、300rpm、1.02m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を300rpm、周速度を1.02m/sから280rpm.0.95m/sまで減速し、280rpm、0.95m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を280rpm、周速度を0.95m/sから260rpm、0.88m/sまで減速し、260rpm、0.88m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数をrpm260、周速度を0.88m/sからrpm250、0.85m/sまで減速し、250rpm、0.85m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数、周速度を250rpm、0.85m/sから240rpm、0.82m/sまで減速し、240rpm、0.82m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を240、周速度を0.82m/sから230rpm、0.78m/sまで減速し、230rpm、0.78m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を230rpm、周速度を0.78m/sから220rpm、0.75m/sまで減速し、220rpm、0.75m/sで10分間攪拌を行った。次にマックスブレンド翼の攪拌回転数を220rpm、翼先端速度を0.75m/sから210rpm、0.71m/sまで減速した。210rpm、0.71m/sで14分間攪拌を行い、その時点で、分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]とした時の、Dv(50)は、2.92μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.04であった。
また、光学顕微鏡(倍率:600倍)で観察したところ、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子、ワックス微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。 また、合一粒子の平均円形度Rは0.978であった。
<熟成処理>
その後直ちに、マックスブレンド翼の攪拌回転数を350rpm、周速度を1.19m/sに引き上げ90分間攪拌を行った。
<合一の停止>
その後、脱イオン水:565重量部を添加し、分散質の合一を停止させることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この分散液を構成する分散質としての合一粒子について、粒径測定を行った。その結果、Dv(50)は、3.05μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.05であった。また、合一粒子の平均円形度Rは0.986であった。
また、本工程において、攪拌槽(2L円筒容器)の内径をD[cm]、攪拌翼の翼径をd[cm]としたとき、D/dは、2.0であった。
(比較例2〜5)
用いるミルベースの種類、撹拌条件、電解質の添加条件を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。なお、比較例4では、合一粒子を成長させることができず、トナーを得ることができなかった。
(比較例6)
撹拌条件、電解質の添加条件を表3に示すように変更した以外は、前記実施例11と同様にしてトナーを製造した。
Figure 0004853349
[2]評価
[2.1]ワックス内包性
(全反射FT−IR法によるワックス内包性)
トナー5gを50トンプレス機((株)島津製作所製)にて9tの荷重で1分間プレスして50mmφ(厚さ2.5mm)のペレットを作製した。ペレット表面をFTIR600Plus、IRT−30(日本分光(株)製顕微FT−IR)により測定した。用いた対物鏡はATR−30−G45であり、直径100μmのゲルマニウム結晶で測定を行った。この時の入射角度は45°、積算回数はオート(積算回数95〜97回)であった。得られたワックス由来のピーク(2859cm−1)の高さから、ワックスの内包性に関して、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:ワックス由来のピークの高さが、1.80未満。
○:ワックス由来のピークの高さが、1.80以上2.00未満。
△:ワックス由来のピークの高さが、2.00以上2.20未満。
×:ワックス由来のピークの高さが、2.20以上。
なお、透過型電子顕微鏡により観察した結果、トナー表面近傍に分散しているワックスの頻度と、ワックス由来のピーク高さに相関があることが確認されている。
[2.3]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、温度:20〜28℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、トナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー母粒子の凝集がまったく認められない。
○:トナー母粒子の凝集がほとんど認められない。
△:トナー母粒子の凝集がわずかに認められる。
×:トナー母粒子の凝集がはっきりと認められる。
[2.4]生産時間
前記各実施例および前記各比較例での合一工程にかかる時間を、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:実施例1と比較して、合一工程にかかる時間が105%未満であった。
○:実施例1と比較して、合一工程にかかる時間が105%以上、110%未満であった。
△:実施例1と比較して、合一工程にかかる時間が110%以上、115%未満であった。
×:実施例1と比較して、合一工程にかかる時間が115%以上であった。
これらの結果を表4に示した。
Figure 0004853349
表4から明らかなように、本発明のトナーの製造方法は、生産性に優れていた。また、各実施例で得られたトナーは、保存性、ワックスの内包性に優れたものであった。
これに対し、比較例のトナーの製造方法では、満足な結果が得られなかった。
また、着色剤として、シアン顔料の代わりに、マゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)、の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG)、ブラック顔料(キャボット社製、ELFTEX−8)を用いた以外は、上記と同様にトナーの製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
軟化点の求め方を説明するための図であり、(a)は、測定に用いる装置を模式的に示す速断面図、(b)は、測定結果から軟化点(T1/2)を求める方法を説明するためのグラフである。 本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図である。 図2の画像形成装置が有する現像装置の断面図である。 図2の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図である。 図4の定着装置の要部断面図である。
符号の説明
6…ノズル 7…シリンダ 8…試料 9…荷重面 10…画像形成装置 20…装置本体 30…像担持体 40…帯電装置 50…露光装置 60…ロータリー現像装置 600…支持フレーム 601…ハウジング 603…供給ローラ 604…現像ローラ 605…規制ブレード 605a…板状部材 605b…弾性部材 60Y…イエロー用現像装置 60M…マゼンタ用現像装置 60C…シアン用現像装置 60K…ブラック用現像装置 70…中間転写装置 90…駆動ローラ 100…従動ローラ 110…中間転写ベルト 120…一次転写ローラ 130…転写ベルトクリーナ 140…二次転写ローラ 150…給紙カセット 160…ピックアップローラ 170…記録媒体搬路 190…定着装置 200…排紙トレイ 210…定着ローラ(加熱定着部材) 210a…熱源 210b…筒体 210c…弾性層 210d…回転軸 220…加圧ローラ(加圧部材) 220b…筒体 220c…弾性層 220d…回転軸 230…両面印刷用搬送路 240…ハウジング 250…軸受 260…加圧レバー 270…加圧スプリング 290…支持軸 300…支持軸 310…剥離部材 320…剥離部材 T…トナー

Claims (8)

  1. 樹脂材料と、ワックスと、有機溶剤とを含む分散質が、水系分散媒中に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
    前記分散液を撹拌翼で撹拌しつつ、前記分散液に電解質の添加を行い、複数個の前記分散質を合一させ、合一粒子を形成する合一工程と、
    前記合一粒子から前記有機溶剤を除去する脱溶剤工程とを有し、
    前記合一は、前記分散液に水系液体を添加することによって停止させるものであり、
    前記合一工程での前記撹拌翼の最大の周速度をSMAX[m/s]、最小の周速度をSMIN[m/s]としたとき、0.55≦SMIN/SMAX<0.98であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 樹脂材料と、ワックスと、有機溶剤とを含む樹脂液を調製する樹脂液調製工程を有し、前記樹脂液調製工程では、前記ワックスの粒子が水性分散媒中に分散したワックス分散液を用いるものであり、前記樹脂液は、分散液の調製に用いるものである請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記合一工程は、前記分散液を撹拌しつつ、前記分散液に前記電解質を添加する第1の処理と、前記分散液を撹拌しつつ、合一粒子の粒径を大きくする第2の処理とを行い、前記第1の処理での前記撹拌翼の平均周速度は、前記第2の処理での前記撹拌翼の平均周速度よりも高いものである請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記合一工程は、前記合一工程での前記撹拌翼の周速度の前記最小値よりも高い平均周速度で撹拌を行う熟成処理を行うものである請求項1ないし3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. 前記合一工程での前記撹拌翼の最大の周速度SMAX[m/s]は、1.1〜3.0m/sである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  6. 前記合一工程で添加する前記電解質の量は、前記分散液の固形分に対し、1.4〜5.0wt%である請求項1ないし5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. 前記樹脂材料は、ポリエステル樹脂を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするトナー。
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