JP2008040095A - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

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Hitoshi Takayanagi
均 高柳
Yoshihiro Sato
義浩 佐藤
Takayuki Ito
孝之 伊東
Kenichi Hirabayashi
憲一 平林
Akira Yoshimuta
晃 吉牟田
Hiroyuki Mariko
浩之 鞠子
Hiroyuki Onishi
弘幸 大西
Toshiaki Yamagami
利昭 山上
Masaya Shibatani
正也 柴谷
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Abstract

【課題】トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを提供すること、また、トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを製造することができるトナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】トナー粒子1は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域11と、コア領域11を被覆し、コア領域11とは異なる組成のシェル領域12とを有し、単一のトナー粒子1内に、複数のコア領域11を有し、隣接するコア領域11−コア領域11間にシェル領域12と同一の材料で構成された隔壁13を有している。常温において、シェル領域12の強度は、コア領域11の強度よりも高いものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナーおよびトナーの製造方法に関するものである。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材(記録媒体)にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱等により、前記トナー画像を定着する定着工程とを有している。
また、トナーとしては、粉砕法により製造されるトナーや、液相において粒成長を行うことにより得られるいわゆるケミカルトナー(例えば、分散液中において複数の分散質を合一させる乳化凝集法により得られるトナー等)がある。
粉砕法は、主成分である樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう。)と、着色剤とを含む原料を混練して混練物を得、その後、前記混練物を冷却、粉砕する方法である。このような粉砕法は、比較的容易にトナーを製造することができる点で優れている。しかしながら、粉砕法で得られるトナーは、粉砕可能な樹脂に限られ、破断面に内添材料が露出しやすい。また、その各粒子間での形状のばらつきが大きく、その粒径分布も広くなり易いという欠点を有している。その結果、各トナー粒子間での特性が大きく異なる結果となり、トナー全体としての転写効率が低下したり、帯電特性が低下する等の問題があった。また、近年、より解像度の高い画像を得るために、トナー粒子の小粒径化が求められているが、粉砕法では、この要求に十分に応えるのが困難である。すなわち、粉砕法では、一般に、粉砕物の粒径が比較的小さくなると、急激に粉砕の効率が低下し、また、粉砕とともに微粉の凝集が進行する。このため、粉砕法では、比較的粒径の小さいトナー粒子(例えば、平均粒径6μm以下のトナー粒子)を製造する場合、粉砕に要するエネルギーが非常に大きなものとなり、省エネルギーの観点等からも好ましくない。また、粉砕のために大きなエネルギーを与えると、混練物の構成材料が熱等により変性し易くなる。このため、目的とする特性のトナーを得るのが困難となり、トナーの信頼性が低下する。特に、低温定着性を得るため低軟化点樹脂を採用した場合ではこの凝集、変性が顕著になる。
一方、ケミカルトナーの製造は、液相中等で粒成長を行うため、トナー粒子の形状を、比較的真球度の高いものにしたり、トナー粒子間での形状のばらつきを抑制することができるという点等で優れている。
また、ケミカルトナーでは、凝集粒子からなる芯粒子(コア領域)と、芯粒子とは異なる材料で構成され、芯粒子を被覆する層(シェル領域)とを有する「カプセル型」の構造とすることができる(例えば、特許文献1参照)。これにより、芯粒子と被覆する層とでの機能分離を図ることができる。例えば、芯粒子の構成材料としてガラス転移温度が比較的低い材料を用いるとともに、被覆する層の構成材料として芯粒子よりもガラス転移温度の高い材料を用いることにより、低温領域での定着性(低温定着性)の向上を図るとともに、保存時におけるトナー粒子の凝集等を防止し、トナーの保存性を向上させることが考えられる。
しかしながら、上記のようなカプセル型のトナーでは、芯粒子の構成材料の特性と、被覆する層の構成材料の特性とを、両立させるのが困難であった。例えば、上記のようなガラス転移温度の条件を満足するカプセル型のトナーでは、被覆する層の厚さが比較的大きくないと、トナーの機械的強度を十分に高めることができなかった。これを解決するために、被覆する層の厚さを比較的大きいものとした場合には、トナー粒子中に占める芯粒子の割合が低下し、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度を確保することが困難となったり、トナー粒子の粒径が大きくなり、解像度の高い画像の形成に用いることが困難になる等の問題があった。
特開平10−26842号公報
本発明の目的は、トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを提供すること、また、トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを製造することができるトナーの製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のトナーは、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、前記コア領域を被覆し、前記コア領域とは異なる組成のシェル領域とを有するトナーであって、
単一のトナー粒子内に、複数の前記コア領域を有し、隣接する前記コア領域間に前記シェル領域と同一の材料で構成された隔壁を有することを特徴とする。
これにより、トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを提供することができる。
本発明のトナーでは、前記隔壁は、前記トナー粒子内部に三次元構造体として存在するものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子を構成する各材料の特性をより効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、常温において、前記シェル領域の構成材料の強度は、前記コア領域の構成材料の強度よりも高いものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子全体としての強度を高いものとしつつ、シェル領域を構成する材料の特性を効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、前記シェル領域は樹脂成分を含むものであり、
前記シェル領域を構成する樹脂成分のガラス転移温度が、前記コア領域を構成する樹脂成分のガラス転移温度よりも高いものであることが好ましい。
これにより、トナーの低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーの保存性、耐久性等を特に優れたものとすることができる。
本発明のトナーでは、前記シェル領域は樹脂成分を含むものであり、
前記シェル領域を構成する樹脂成分の軟化温度が、前記コア領域を構成する樹脂成分の軟化温度よりも高いものであることが好ましい。
これにより、トナーの低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーの保存性、耐久性等を特に優れたものとすることができる。
本発明のトナーでは、前記コア領域の平均粒径が1〜4μmであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、コア領域の構成材料の特性およびシェル領域の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、前記トナー粒子の平均粒径が3〜10μmであることが好ましい。
これにより、高解像度の画像形成に好適に適用することができるとともに、コア領域の構成材料の特性およびシェル領域の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、前記コア領域の平均粒径をD[μm]、前記トナー粒子の平均粒径をD[μm]としたとき、0.1≦D/D≦0.5の関係を満足することが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、コア領域の構成材料の特性およびシェル領域の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。
本発明のトナーでは、前記トナー粒子は、O/W型の乳化液中に含まれる複数個の分散質を合一させることにより製造されたものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の強度を特に優れたものとすることができるとともに、より容易にトナー粒子の形状を所望の形状とすることができる。
本発明のトナーでは、前記隔壁の平均厚さが0.05〜1μmであることが好ましい。
これにより、トナー粒子を構成する各材料の特性をより効果的に発揮させることができる。また、保存時等におけるトナー粒子の形状の安定性(耐久性)を十分に優れたものとしつつ、定着時においてはトナー粒子(トナー画像)を記録媒体により確実に定着させることができる。
本発明のトナーでは、前記トナー粒子中において前記コア領域の占める割合が50〜95vol%であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の保存性、耐久性等を十分に優れたものとしつつ、コア領域の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができる。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、前記コア領域を被覆し、前記コア領域とは異なる組成のシェル領域とを有するトナーを製造する方法であって、
樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成された分散質が分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
前記分散質の表面を、前記分散質を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する被覆工程と、
前記被膜で被覆された複数個の分散質を合一させる合一工程とを有することを特徴とする。
これにより、トナー粒子を構成する各材料の特性が十分に発揮されたトナーを製造することができるトナーの製造方法を提供することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記分散液調製工程において電解質を添加することが好ましい。
これにより、所望の粒径の分散質が分散した分散液を得ることができる。その結果、所望の大きさのコア領域を有するトナー粒子を、より確実に製造することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記被覆工程において電解質を添加することが好ましい。
これにより、所望の厚さの被膜を、より効率良く形成することができる。
本発明のトナーの製造方法では、前記合一工程において電解質を添加することが好ましい。
これにより、所望の大きさの合一粒子(複数個の分散質が合一してなる合一粒子)を、より効率良く形成することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図である。
<トナー>
まず、本発明のトナーについて説明する。
トナーは、多数個のトナー粒子1で構成されている。
トナー粒子1は、コア領域(芯部、核)11と、コア領域11を被覆するシェル領域(外殻)12とを有するものである。また、単一のトナー粒子1内には、複数のコア領域11が設けられており、隣接するコア領域11の間には、隔壁13が設けられている。
[コア領域]
コア領域11は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
コア領域11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。また、コア領域11がポリエステル樹脂で構成されたものであると、後述するような製造方法において、容易かつ確実に所望の特性を有するトナーを製造することができる。
コア領域11がポリエステル樹脂を含む材料で構成されるものである場合、当該ポリエステル樹脂の酸価は、1〜30KOHmg/gであるのが好ましく、3〜20KOHmg/gであるのがより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が前記範囲内の値であると、トナー粒子1の帯電特性を安定したものとしつつ、紙等の記録媒体への定着強度を特に優れたものとすることができる。また、後述するような製造方法において、粗大粒子が発生するのをより効果的に防止することができ、トナー粒子1の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。
コア領域11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、30〜55℃であるのが好ましく、35〜50℃であるのがより好ましい。コア領域11を構成する樹脂成分のガラス転移温度が前記範囲内の温度であると、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、コア領域11が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記ガラス転移温度Tg[℃]は、下記連立方程式の解として求められるTgの値を採用することができる。
100/T=w1/T1+w2/T2+・・・
Tg=T−273
ただし、上記式中、コア領域11を構成する各樹脂成分(第1の成分、第2の成分、・・・)のガラス転移温度を、それぞれ、絶対温度表示でT1[K]、T2[K]、・・・とし、コア領域11を構成する樹脂成分全体に占める各成分(第1の成分、第2の成分、・・・)の含有率を、それぞれ、w1[wt%]、w2[wt%]、・・・とする。
また、コア領域11を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)の軟化温度は、特に限定されないが、60〜150℃であるのが好ましく、80〜120℃であるのがより好ましい。コア領域11を構成する樹脂成分の軟化温度が前記範囲内の温度であると、トナーとしての低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、本明細書で、軟化温度とは、特に断りのない限り、定荷重押出し形細管式レオメータであるフローテスター(島津製作所製、CFT−500)において、ピストン断面積:1cm、シリンダ圧力:0.98MPa、ダイ穴長さ:1.0mm、ダイ穴径1.0mm、測定開始温度:50℃、昇温速度:6℃/min、試料重量:1.5gの条件で測定されるT1/2温度のことを指す。また、コア領域11が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記T1/2温度としては、これらの各成分についてのT1/2温度の加重平均値を、コア領域11を構成する樹脂成分のT1/2温度(軟化温度)として採用することができる。
コア領域11を構成する着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、コア領域11には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、ベンジル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、含金属ビスアゾ染料、カッリクスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、トリメチルエタン系化合物、カテコールの金属塩、ニグロシン化合物、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、オニウム化合物、トニフェニルメタン系化合物、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、コア領域11の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
コア領域11の平均粒径は、特に限定されないが、1〜4μmであるのが好ましく、2〜3μmであるのがより好ましい。コア領域11の平均粒径が前記範囲内の値であると、トナー粒子1の大きさが特に小さいものであっても、後述する隔壁13の厚さ、シェル領域12の厚さを十分に確保することができる。その結果、トナー粒子1の各構成材料の特性を十分に発揮させつつ、より解像度の高い画像の形成に適用することができる。なお、本明細書で、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。
また、コア領域11の平均粒径をD[μm]、トナー粒子1の平均粒径をD[μm]としたとき、0.1≦D/D≦0.5の関係を満足するのが好ましく、0.2≦D/D≦0.4の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、トナー粒子1の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子1の構成材料(コア領域11の構成材料の特性、シェル領域12の構成材料の特性等)を、より確実に発揮させることができる。
また、トナー粒子1中においてコア領域11の占める割合は、50〜95vol%であるのが好ましく、60〜85vol%であるのがより好ましい。コア領域11の占める割合が前記範囲内の値であると、トナー粒子1の保存性、耐久性等を十分に優れたものとしつつ、コア領域11の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができる。
なお、トナー粒子1を構成する複数のコア領域11は、実質的に同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。
[シェル領域]
シェル領域12は、コア領域11を被覆するように設けられたものである。
シェル領域12は、常温(25℃)において、コア領域11よりも強度の高いものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子1全体としての強度を高いものとしつつ、シェル領域12を構成する材料の特性を効果的に発揮させることができる。
また、シェル領域12の厚さは、特に限定されないが、0.05〜1μmであるのが好ましく、0.1〜0.8μmであるのがより好ましい。シェル領域12の厚さが前記範囲内の値であると、コア領域11の構成材料の特性およびシェル領域12の構成材料の特性を、より効果的に発揮させることができる。特に、トナー粒子1においては、後に詳述するような隔壁13が設けられているため、シェル領域12の厚さを比較的薄いものとした場合であっても、トナー粒子1の保存性、耐久性等を十分に優れたものとすることができ、トナー粒子1の凝集等を確実に防止することができる。その結果、トナー粒子1中におけるコア領域11の占める割合を比較的大きいもの(例えば、上述したような範囲の数値範囲)とすることができ、コア領域11の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができ、例えば、発色性の向上、低温定着性の向上等の効果が得られる。
また、シェル領域12は、コア領域11とは異なる組成を有するものである。
シェル領域12は、いかなる材料で構成されるものであってもよいが、通常、樹脂成分を含む材料で構成されている。これにより、トナー粒子1の定着性を優れたものとすることができる。
シェル領域12を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエステル樹脂は、低温領域での定着性のし易さ(低温定着性)の向上に有利であり、また、透明性が高くかつ高グロスの画像を形成する上でも有利である。
シェル領域12を構成する樹脂成分のガラス転移温度は、コア領域11を構成する樹脂成分のガラス転移温度よりも高いものであるのが好ましい。これにより、トナーの低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーの保存性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
シェル領域12を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、45〜85℃であるのが好ましく、55〜75℃であるのがより好ましい。シェル領域12を構成する樹脂成分のガラス転移温度が前記範囲内の温度であると、トナーの保存性、耐久性を特に優れたものとしつつ、トナーとしての低温定着性、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、シェル領域12が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記ガラス転移温度Tg[℃]は、下記連立方程式の解として求められるTgの値を採用することができる。
100/T=w1/T1+w2/T2+・・・
Tg=T−273
ただし、上記式中、シェル領域12を構成する各樹脂成分(第1の成分、第2の成分、・・・)のガラス転移温度を、それぞれ、絶対温度表示でT1[K]、T2[K]、・・・とし、シェル領域12を構成する樹脂成分全体に占める各成分(第1の成分、第2の成分、・・・)の含有率を、それぞれ、w1[wt%]、w2[wt%]、・・・とする。
また、コア領域11とシェル領域12は、互いに部分相溶または非相溶の樹脂であっても良い。互いに非相溶であることで、シェルとしてのバリアー性が強化されるため好ましい。例えば、有機溶剤として、メチルエチルケトンの50wt%樹脂溶液を重量比で1/1の比率で混合し、二層に分離しない程度の相溶性が好ましい。二層に分離すると、界面が剥離しやすく、好ましくない。
また、コア領域11の構成樹脂とシェル領域12の構成樹脂とを比較した場合、コア領域11の構成樹脂よりも、シェル領域12の構成樹脂の方が酸価が高いのが好ましい。界面が水性媒体であると、より界面に移行しやすくなり、シェルとしてのバリアー性が強化されるため好ましい。
また、シェル領域12を構成する樹脂成分の軟化温度は、コア領域11を構成する樹脂成分の軟化温度よりも高いものであるのが好ましい。これにより、トナーの低温定着性を特に優れたものとしつつ、トナーの保存性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、シェル領域12を構成する樹脂成分は、架橋構造を有しているのが好ましい。架橋構造を有することで、強度、耐久性に格段に優れたものとすることができる。
シェル領域12を構成する樹脂成分(バインダー樹脂)の軟化温度は、特に限定されないが、140〜220℃であるのが好ましく、150〜200℃であるのがより好ましい。シェル領域12を構成する樹脂成分の軟化温度が前記範囲内の温度であると、トナーの保存性、耐久性を特に優れたものとしつつ、トナーとしての低温定着性、トナーを用いて記録媒体上に形成される画像(定着画像)の定着強度等を十分に優れたものとすることができる。なお、シェル領域12が複数種の樹脂成分を含むものである場合、上記軟化温度としては、これらの各成分についての軟化温度の加重平均値を、シェル領域12を構成する樹脂成分の軟化温度として採用することができる。
また、シェル領域12には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、着色剤、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。着色剤、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末としては、例えば、コア領域11の構成材料として例示したものを用いることができる。また、シェル領域12の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物、脂肪酸、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等を用いてもよい。これらの材料を添加することで、フィラー効果による強度の向上が期待できる。
なお、シェル領域12の組成は、全体として、コア領域11と異なるものであればよく、例えば、シェル領域12とコア領域11とは、共通の構成成分を含むものであってもよい。
[隔壁]
トナー粒子1内部において、隣接するコア領域11−コア領域11間には、隔壁13が設けられている。
隔壁13は、前述したシェル領域12と同一の材料で構成されたものである。このような隔壁13を有することにより、シェル領域12の厚さを比較的薄いものとした場合であっても、トナー粒子1の保存性、耐久性等を十分に優れたものとすることができ、トナー粒子1の凝集等を確実に防止することができる。その結果、トナー粒子1中におけるコア領域11の占める割合を比較的大きいもの(例えば、上述したような範囲の数値範囲)とすることができ、コア領域11の構成材料の特性をより効果的に発揮させることができる。
隔壁13は、隣接するコア領域11−コア領域11間に設けられたものであればよいが、トナー粒子1内部に三次元構造体として存在するものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子1を構成する各材料の特性をより効果的に発揮させることができる。また、トナー粒子1中において隔壁13の占める割合(体積率)が比較的小さい場合であっても、トナー粒子1としての形状の安定性(耐久性)を十分に優れたものとすることができる。
また、例えば、コア領域11のガラス転移温度以上の環境下において、該コア領域11が温度により膨張したり、収縮したりしても、隔壁13により(当然ながら、隔壁13のガラス転移温度以下の環境下)耐熱保存性が改善される。すなわち、トナー粒子が隔壁を有さない場合に比べて、隔壁の存在により、該膨張、収縮による構造破壊に対する強度が高くなる。
隔壁13の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜1μmであるのが好ましく、0.1〜0.8μmであるのがより好ましい。隔壁13の平均厚さが前記範囲内の値であると、トナー粒子1を構成する各材料の特性をより効果的に発揮させることができる。また、隔壁13の平均厚さが前記範囲内の値であると、保存時等におけるトナー粒子1の形状の安定性(耐久性)を十分に優れたものとしつつ、定着時においてはトナー粒子1(トナー画像)を記録媒体により確実に定着させることができる。
[トナー粒子のその他の構成]
トナー粒子1は、少なくとも、上述したような複数のコア領域11と、シェル領域12と、隔壁13とを有するものであればよく、さらに他の構成を有するものであってもよい。例えば、トナー粒子1は、コア領域11と、シェル領域12と、隔壁13とを有する母粒子に、外添剤が付与されたものであってもよい。外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、外添剤としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
[トナー粒子の全体構成]
上記のようなトナー粒子1の平均粒径は、特に限定されないが、3〜10μmであるのが好ましく、4〜6μmであるのがより好ましい。トナー粒子1の平均粒径が前記範囲内の値であると、高解像度の画像形成に好適に適用することができるとともに、コア領域11の構成材料の特性およびシェル領域12の構成材料の特性を、より確実に発揮させることができる。
トナーを構成するトナー粒子は、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものであるのが好ましい。
具体的には、下記式(I)で表されるトナー粒子についての平均円形度Rは、0.95〜0.99であるのが好ましい。平均円形度Rが前記範囲内の値であると、トナーの転写効率を特に優れたものとしつつ、画像形成装置内におけるクリーニング性を十分に優れたものとすることができる。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー粒子についての円形度の標準偏差は、0.04以下であるのが好ましい。このように、円形度の標準偏差が十分に小さいと、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
また、トナー粒子の粒径の標準偏差(σ(D))をトナー粒子の平均粒径(D)で除した数値(σ(D)/D)として表されるトナー粒子の粒径についての変動係数は、0.30以下であるのが好ましく、0.20以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布は特にシャープなものとなり、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。また、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等のばらつきを特に小さいものとすることができ、トナー全体としての信頼性を特に優れたものとすることができる。また、例えば、トナーの製造時においては、トナーの乾燥を容易かつ確実に行うことができ、トナー中の含水量を抑制することができる。
また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.25であるのが好ましく、1.00〜1.20であるのがより好ましい。これにより、トナーを用いて形成される画像を、より良好なものとすることができる。
なお、Dv(50)、Dn(50)、変動係数の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)や日機装社製マイクロトラックMT3000を用いた測定により求めることができる。
上記のようなトナー粒子は、後述するような方法により、容易かつ確実に得ることができる。
トナー粒子1は、O/W型の乳化液中に含まれる複数個の分散質を合一させることにより製造されたものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子1の強度を特に優れたものとすることができるとともに、より容易にトナー粒子の形状を所望の形状とすることができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として用いられるものであってもよいし、二成分型現像剤として用いられるものであってもよい。また、本発明のトナーは、乾式トナーとして用いられるものであってもよいし、液体現像剤に用いられるものであってもよい。
<トナーの製造方法>
次に、上述したようなトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成された分散質(着色樹脂微粒子)が分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液調製工程)と、分散質の表面を、分散質を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する工程(被覆工程)と、被膜で被覆された複数個の分散質を合一させる工程(合一工程)とを有する。
[乳化懸濁液調製工程(分散液調製工程)]
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。
本工程で調製する乳化懸濁液中の分散質(着色樹脂微粒子)は、形成すべきトナー粒子1のコア領域11に対応するものである。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂成分と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)を、水性媒体と混合することにより調製することができる。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としては、前述したコア領域11の構成材料としての樹脂成分またはその前駆体(例えば、プレポリマー、オリゴマー等)を用いることができる。また、着色剤としては、前述したコア領域11の構成材料として例示したものを用いることができる。
また、有機溶剤(有機溶媒)としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、30重量部以下であるのが好ましく、25重量部以下であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分(特に、ポリエステル樹脂)の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤と有機溶剤とを含む材料を、高速攪拌機等の攪拌機により混合することにより得ることができる。また、着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤とを含む組成物を予め混練しておき、混練により得られた混練物と、有機溶剤とを混合することにより、調製してもよい。着色樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、ホモデスパー(プライミクス社製)等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分の有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤は、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂液中におおける固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜65wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質(着色樹脂微粒子)を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子1の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、着色樹脂液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。本発明において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)が増大するのを効果的に防止することができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的なトナー中に乳化剤が残存した場合であっても、トナー粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、VOC(揮発性有機化合物)が増大するのをより効果的に防止することができる。
なお、着色樹脂液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
また、着色樹脂液の調製においては、調製すべき着色樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。例えば、着色剤と樹脂成分とを混合(混練)し、着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。また、着色樹脂液の構成成分としてワックス(特に、液状のワックスで、着色樹脂液中において分散質となるエマルジョンワックス)を用いる場合、例えば、ワックス(特に、エマルジョンワックス)と、樹脂成分と、有機溶剤とを含む材料を混合し、ワックスマスターを得、このワックスマスターを、着色剤マスター、樹脂成分(追加樹脂)および有機溶剤と混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。
上記のような着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより乳化懸濁液を調製する。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、乳化懸濁液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい。これにより、例えば、着色樹脂液を構成する樹脂成分が、酸性官能基、塩基性官能基等の官能基を有するもの(例えば、ポリエステル樹脂)である場合に、前記官能基を中和することができ、調製される乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の形状、大きさの均一性、分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を特に優れたものとすることができる。また、中和剤を用いることにより、乳化剤の使用量を抑制したり、乳化剤等を用いなくても、分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を十分に優れたものとすることができるため、乳化剤等を用いることによる不都合の発生を防止することができる。例えば、比較的多量の乳化剤等を用いた場合、乳化懸濁液の調製時において、比較的高い剪断力が必要となり、これにより、粗大粒子(粗大な分散質)の発生、分散質の粒度分布が広がる等の問題が発生し易いが、中和剤による中和を行うことにより、このような問題の発生を防止することができる。
中和剤は、例えば、着色樹脂液に添加されるものであってもよいし、水性媒体に添加されるものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質(着色樹脂微粒子)が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としてポリエステル樹脂を用いる場合、中和剤としては、塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物(中和剤)としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、樹脂成分としてポリエステル樹脂を用いる場合、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)であるのが好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)であるのがより好ましい。これにより、異形の分散質(着色樹脂微粒子)が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
本工程で得られた乳化懸濁液において、水を滴下終了した後の水(乳化のために使用した水、エマルジョンワックスからの水、中和塩基等を加えた水の全量)と有機溶剤に比率は、50:50〜80:20であるのが好ましく、60:40〜80:20であるのがより好ましい。これにより、調製される乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の形状、大きさの均一性、分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を特に優れたものとすることができる。
着色樹脂液と水性媒体との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により着色樹脂液に剪断を加えつつ、着色樹脂液中に水性媒体を徐々に添加(滴下)することにより行い、最終的に、水性媒体中に、着色樹脂液由来の分散質(着色樹脂微粒子)が分散した分散液を得るのが好ましい。これにより、例えば、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を、容易かつ確実に得ることができる。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、ホモデスパー(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質(着色樹脂微粒子)の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質(着色樹脂微粒子)の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
また、着色樹脂液と水性媒体とを混合した後、電解質を添加してもよい。これにより、乳化懸濁液中の分散質を、容易かつ確実に、所望の大きさに調整することができる。より具体的には、電解質を添加することにより、分散質を効率良く粒成長させ、所望の大きさ(コア領域11に対応する大きさ)の着色樹脂微粒子にすることができる。また、着色樹脂液と水性媒体との混合液として、組成の異なる複数種の分散質(例えば、固形分の主成分が樹脂成分である樹脂分散質、固形分の主成分が着色剤である着色剤分散質、固形分の主成分がワックスである(他の分散質に比べてワックス含有率の高い)ワックス分散質等)を含むものを用いた場合においては、電解質を添加することにより、組成の異なる複数種の分散質を一体化させ、所望の大きさの着色樹脂微粒子が分散した乳化懸濁液を得ることができる。このようにして形成される着色樹脂微粒子は、各粒子間での組成のばらつきの小さいものとなる。すなわち、乳化懸濁液調製工程が、着色樹脂液と水性媒体とを混合し、樹脂成分が乳化した分散液を得る乳化工程と、前記分散液に電解質を添加することにより、分散質を粒成長させる粒成長工程とを有するものであることにより、上記のような優れた効果が得られる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、着色樹脂液と水性媒体との混合液の固形分100重量部に対し、0.1〜3.0重量部であるのが好ましく、0.2〜2.0重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程において電解質を添加する場合、電解質は、攪拌翼による攪拌を行いつつ、添加するのが好ましい。また、電解質を添加する直前までに、乳化剤を添加しておくことが好ましい。本工程で用いる攪拌翼としては、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等が挙げられるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、着色樹脂微粒子を、各粒子間での大きさ、組成のばらつきが特に小さいものとして形成することができる。特に、乳化懸濁液調製工程の前段工程(電解質添加前)において上述したような攪拌機(特に、高速攪拌機)を用い、後段工程(電解質添加時以降)において上記のような攪拌翼を用いることにより、着色樹脂微粒子を、各粒子間での大きさ、組成のばらつきが特に小さいものとして形成することができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、着色樹脂微粒子を、各粒子間での大きさ、組成のばらつきが特に小さいものとして形成することができる。
また、攪拌翼による攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。
[被覆工程]
次に、上記のような分散液(乳化懸濁液)の分散質(着色樹脂微粒子)の表面に、当該分散質を構成する樹脂成分とは異なる樹脂成分で構成された被膜を形成する(被覆工程)。
本工程で形成する被膜は、形成すべきトナー粒子1の隔壁13およびシェル領域12に対応するものである。
被膜の形成は、例えば、被膜を構成する樹脂成分と、有機溶剤とを含む液体である被膜形成用液と、前述した乳化懸濁液とを混合することにより、行うことができる。
被膜を構成する樹脂成分としては、前述したシェル領域12の構成材料としての樹脂成分またはその前駆体(例えば、プレポリマー、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等)を用いることができる。
被膜形成用液を構成する有機溶剤としては、例えば、前述した着色樹脂液の構成材料として例示したものを用いることができる。
被膜形成用液を構成する有機溶剤と、前述した着色樹脂液を構成する有機溶剤とは、実質的に同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよいが、少なくとも、共通の成分を含むものであるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液の分散質(着色樹脂微粒子)の表面に、効率良く被膜を形成することができる。
また、被膜形成用液は、例えば、樹脂成分を含む材料で構成された分散質が、水系の分散媒(水系媒体)中に微分散した分散液であってもよい。これにより、被膜の形成を容易かつ確実に行うことができるとともに、形成される被膜の厚さの均一性を高めることができる。
また、被膜形成用液を構成する樹脂成分は、中和剤により中和されたものであってもよい。これにより、例えば、被膜が形成された状態での分散質(着色樹脂微粒子)の分散性を特に優れたものとすることができる。
中和剤の種類、添加量、添加方法等の各種条件は、例えば、前述した乳化懸濁液調製工程で説明したのと同様とすることができる。これにより、上述したのと同様の効果が得られる。
乳化懸濁液と被膜形成用液との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により乳化懸濁液に剪断を加えつつ、乳化懸濁液中に被膜形成用液を徐々に添加(滴下)することにより行うのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、均一な厚さの被膜を形成することができる。
乳化懸濁液と被膜形成用液との混合においては、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、膜厚のばらつきの小さい被膜を、効率良く形成することができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質の不本意な合一を確実に防止しつつ、均一な厚さの被膜を効率良く形成することができる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。
また、乳化懸濁液と被膜形成用液とを混合した後に、電解質を添加してもよい。これにより、被膜の形成を促進することができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、被膜の厚さを制御することができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、被膜形成用液の固形分100重量部に対し、0.1〜3重量部であるのが好ましく、0.2〜2重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに混合液(乳化懸濁液と被膜形成用液との混合液)全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
[合一工程]
次に、被膜で被覆された複数個の分散質(着色樹脂微粒子)を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。得られる合一粒子は、着色樹脂液による複数の分散質(着色樹脂微粒子)を有し、隣接する着色樹脂微粒子の間、および、外表面に被膜が設けられたものである。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
複数個の分散質を合一させる方法は、特に限定されないが、分散液(被膜で被覆された分散質が分散した分散液)中に、電解質を添加する方法が好ましい。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径を制御することができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液(被膜が形成された分散質が分散した分散液)の固形分100重量部に対し、0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.2〜5.0重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程における処理温度は、特に限定されないが、10〜50℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、合一の進行が遅くなり、トナーの生産性が低下する場合がある。一方、処理温度が前記上限値を超えると、不本意な凝集物や粗大粒子が発生し易くなる。
本工程は、分散液を攪拌した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
本工程では、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、分散質(着色樹脂微粒子)を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質(着色樹脂微粒子)をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、攪拌が不均一となり、必要以上に粗大化した粗大粒子が発生し易くなる。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、合一粒子の形成に寄与しない微粒子が残存し易くなる傾向がある。
合一粒子が所望の粒径に達したら、合一を停止させる。これにより、所望の粒径の合一粒子を確実に得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を挙げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒径を有し、粒度分布がシャープなトナーを確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加する水は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水の総量が、400重量部以上となるように加えるのが好ましく、500重量部以上となるように加えるのがより好ましい。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25wt%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、トナー製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適なトナーを製造することができる。
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、トナー粒子1が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、被膜を構成する樹脂成分(最終的に得られるトナー粒子でのシェル領域を構成する樹脂成分)のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系媒体が除去されてもよい。
なお、本工程(脱溶剤工程)においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する洗浄工程、乾燥工程において残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
[洗浄工程]
次に、トナー粒子1の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程は、例えば、固液分離(水性媒体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離(水性媒体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことにより、行うことができる。固形分(トナー)の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、最終的なトナーを得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機等を用いて行うことができる。
また、本工程での処理温度は、シェル領域を構成する樹脂成分のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本発明のトナーの製造方法においては、必要に応じて、外添剤を付与する外添工程を有していてもよい。
次に、上述した本発明のトナーが適用される画像形成装置について説明する。
図2は、本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図3は、図2の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図4は、図2の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図5は、図4の定着装置の要部断面図である。
画像形成装置10の装置本体20内には、感光体ドラムからなる像担持体30が配設され、図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。この像担持体30の周囲には、その回転方向に沿って、像担持体(感光体)30を一様に帯電するための帯電装置40、像担持体30上に静電潜像を形成するための露光装置50、静電潜像を現像するためのロータリー現像装置60、像担持体30上に形成された単色のトナー像を一次転写するための中間転写装置70が配設されている。
ロータリー現像装置60は、イエロー用現像装置60Y、マゼンタ用現像装置60M、シアン用現像装置60Cおよびブラック用現像装置60Kが支持フレーム600に装着され、支持フレーム600は図示しない駆動にモータより回転駆動される構成になっている。これらの複数の現像装置60Y、60C、60M、60Kは、像担持体30の1回転毎に選択的に一つの現像装置の現像ローラ604が像担持体30に対向するように回転移動するようにされている。なお、各現像装置60Y、60C、60M、60Kには、各色のトナーが収納されたトナー収納部が形成されている。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
図3に示すように現像装置60Yでは、その内部にトナーTを収容するハウジング601に供給ローラ603および現像ローラ604が軸着されており、当該現像装置60Yが上記した現像位置に位置決めされると、「トナー担持体」として機能する現像ローラ604が像担持体(感光体)30と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ603、604が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転するように構成されている。この現像ローラ604は、現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。
また、現像装置60Yでは現像ローラ604の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード605が配置されている。この規制ブレード605は、ステンレスやリン青銅などの板状部材605aと、板状部材605aの先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材605bとで構成されている。この板状部材605aの後端部はハウジング601に固着されており、現像ローラ604の回転方向D3において、板状部材605aの先端部に取り付けられた弾性部材605bが板状部材605aの後端部よりも上流側に位置するように配設されている。
中間転写装置70は、駆動ローラ90および従動ローラ100と、両ローラにより図示矢印方向に駆動される中間転写ベルト110と、ベルト110の裏面で像担持体30に対向して配設された一次転写ローラ120と、ベルト110上の残留トナーを除去する転写ベルトクリーナ130と、駆動ローラ90に対向して配設され、中間転写ベルト110に形成された4色フルカラー像を記録媒体(紙等)上に転写するための二次転写ローラ140とからなっている。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
上記構成からなる画像形成装置の作用について説明する。図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、像担持体30、現像装置60の現像ローラ604および中間転写ベルト110が回転駆動し、先ず、像担持体30の外周面が帯電装置40によって一様に帯電され、一様に帯電された像担持体30の外周面に、露光装置50によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が形成される。
一方、現像装置60Yでは、2つのローラ603、604が接触しながら回転することで、イエロートナーが現像ローラ604の表面に擦り付けられて所定の厚みのトナー層が現像ローラ604の表面に形成される。そして、規制ブレード605の弾性部材605bが現像ローラ604の表面に弾性的に当接して、現像ローラ604の表面上のトナー層を、所定の厚みに規制する。
像担持体30上に形成された潜像位置には、イエロー用現像装置60Yが回動してその現像ローラ604が当接し、これによってイエローの静電潜像のトナー像が像担持体30上に形成され、次に、像担持体30上に形成されたトナー像は一次転写ローラ120により中間転写ベルト110上に転写される。このとき、二次転写ローラ140は中間転写ベルト110から離間されている。
上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対して、像担持体30と中間転写ベルト110の1回転による潜像形成、現像、転写が繰り返され、画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写ベルト110上において重ねられて転写される。そして、このフルカラー画像が二次転写ローラ140に達するタイミングで、記録媒体が搬送路170から二次転写ローラ140に供給され、このとき、二次転写ローラ140が中間転写ベルト110に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写される。そして、この記録媒体上に転写されたトナー像は定着装置190により加熱加圧され定着される。中間転写ベルト110上に残留しているトナーは転写ベルトクリーナ130によって除去される。
なお、両面印刷の場合には、定着装置190を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て、二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置190により加熱加圧され定着される。
図2において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結び線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
次に定着装置190について、詳細に説明する。
図4において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
図5において、定着ローラ210は、内部にハロゲンランプ等の熱源210aを有する金属製の筒体210b、筒体210bの外周に設けられたシリコンゴム等からなる弾性層210cと、弾性層210cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばパーテトラフロロエチレン(PTFE))よりなる表層(図示せず)と、筒体210bに固定された回転軸210dとから構成されている。
加圧ローラ220は、金属製の筒体220bと、筒体220bに固定された回転軸220dと、回転軸220dを軸支持する軸受250と、定着ローラ210と同様に、筒体220bの外周に設けられた弾性層220cと、弾性層220cの表面に被覆されたフッ素ゴム、フッ素樹脂よりなる表層(図示せず)とから構成されている。定着ローラ210の弾性層210cの厚みは、加圧ローラ220の弾性層220cの厚みより極端に小さくし、これにより加圧ローラ220側が凹状にへこむような定着ニップ部が形成されている。
図4および図5に示すように、ハウジング240の両側面には、支持軸290、300が設けられており、この支持軸290、300にそれぞれ定着ローラ210側の剥離部材310と加圧ローラ220側の剥離部材320が回動自在に装着されている。これにより、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向で定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320が配設されることになる。
本実施形態では、図4および図5に示すように、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸方向でニップ部の記録媒体搬送方向下流側に剥離部材310、320を配設している。定着ローラ210側の剥離部材310の先端は、ニップ部の出口に向けて傾斜するように配置され、定着ローラ210に非接触でかつ近接されている。加圧ローラ220側の剥離部材320の先端は、定着ローラ210側の剥離部材310の先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置されている。
両面印刷の場合、片面に印刷された記録媒体は定着ローラ210側の剥離部材310により剥離された後、記録媒体の後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着ローラ210により加熱加圧され定着され、このとき、加圧ローラ220に付着し巻き付いてしまう記録媒体は、加圧ローラ220側の剥離部材320により剥離されることになる。
上記のように、本実施形態の定着装置では、定着ローラおよび加圧ローラの軸方向かつ定着ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に、定着ローラおよび加圧ローラに近接して配設される剥離部材を備え、前記定着ローラ側の剥離部材の位置決めは定着ローラ表面で行い、前記加圧ローラ側の剥離部材の位置決めは加圧ローラの軸受表面で行うので、定着ローラおよび加圧ローラからの記録媒体の剥離性を向上させることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、トナー粒子は、シェル領域の外表面側に、シェル領域、隔壁の構成材料とは異なる組成の材料で構成された外層を有するものであってもよい。このような構造のトナーは、例えば、上述したような製造方法において、合一工程の後に、上述したような被覆工程と同様の方法により、合一粒子の外表面上に、外層の構成材料(ただし、前述した被膜とは異なる組成の材料)で構成された膜を形成する工程を経ることにより製造することができる。
また、本発明のトナーは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、上述したような方法(乳化懸濁液調製工程、被覆工程および合一工程を有する方法)により製造されたものに限定されない。
[1]トナーの製造
トナーの製造に先立ち、樹脂(樹脂H1、樹脂H2、樹脂H3、樹脂L2、樹脂L3)の合成を行い、さらに、合成された樹脂を用いて、ワックスマスター(ワックスマスターWM−1、)、着色剤マスター(着色剤マスターPM−C、着色剤マスターPM−M、着色剤マスターPM−Y)、ミルベース(ミルベースMB−1、ミルベースMB−2、ミルベースMB−3)、無着色樹脂分散液(無着色樹脂分散液NRD−1、無着色樹脂分散液NRD−2)の調製を行った。
<樹脂H1(高分子量樹脂(架橋型ポリエステル樹脂))の合成>
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 9.06重量部
イソフタル酸 3.90重量部
エチレングリコール 2.54重量部
ネオペンチルグリコール 4.26重量部
テトラブチルチタネート 0.1 重量部
エピクロン830 0.3 重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1 重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)65℃、軟化温度(T1/2)が178℃であった。なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC60−A)を用いて、測定温度領域:20〜150℃、昇温速度:6℃/min、試料質量:20mgの条件で、セカンドランの昇温時の曲線を、オンセット法により解析することにより求めた。また、以下に説明する他の樹脂についても同様にして、ガラス転移温度を求めた。
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃・溶媒:テトラヒドロフラン・溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm・流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算し分子量を求めた。結果として、重量平均分子量は230000であった。
<樹脂H2(高分子量樹脂(架橋型ポリエステル樹脂))の合成>
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 1.94重量部
イソフタル酸 9.07重量部
アジピン酸 1.71重量部
エチレングリコール 2.54重量部
ネオペンチルグリコール 4.26重量部
テトラブチルチタネート 0.1 重量部
エピクロン830 0.3 重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1 重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9.8KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)40℃、軟化点(T1/2)は178℃であった。また、重量平均分子量は176000であった。
<樹脂H3(高分子量樹脂(架橋型ポリエステル樹脂))の合成>
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が130℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 3.9 重量部
イソフタル酸 9.06重量部
エチレングリコール 2.54重量部
ネオペンチルグリコール 4.26重量部
テトラブチルチタネート 0.1 重量部
エピクロン830 0.3 重量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1 重量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)59℃、軟化点(T1/2)が138℃であった。また、重量平均分子量は85000であった。
<樹脂L2(低分子量樹脂(直鎖型ポリエステル樹脂))の合成>
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が87℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 5.31重量部
イソフタル酸 7.97重量部
エチレングリコール 2.6 重量部
ネオペンチルグリコール 4.37重量部
テトラブチルチタネート 0.1 重量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)46℃、軟化点(T1/2)が95℃であった。また、重量平均分子量は5200であった。
<樹脂L3(低分子量樹脂(直鎖型ポリエステル樹脂))の合成>
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が104℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 7.97重量部
イソフタル酸 5.31重量部
エチレングリコール 2.6 重量部
ネオペンチルグリコール 4.37重量部
テトラブチルチタネート 0.1 重量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)56℃、軟化点(T1/2)が106℃であった。また、重量平均分子量は8000であった。
上記のようにして合成した各樹脂の物性等を表1にまとめて示す。
Figure 2008040095
<ワックスマスターWM−1の調製>
高速乳化機(プライミクス社製、T.K.ホモミクサMARKII2.5型)付属の3L円筒容器に、水:1300重量部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:25.7重量部を添加して、温度を95℃に調整し、翼先端速度:16.7m/秒の攪拌下に、さらに、予め融解しておいたカルナバワックス:700重量部を添加して、ワックスの乳化物を得た。冷却後、固形分の含有率が35wt%となるように、水を加え、第1のワックス分散液を得た。
次に、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼)付属の3L円筒容器に、メチルエチルケトン:856重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂L3:700重量部を徐々に添加して、樹脂L3が均一に溶解したことを確認した後、上記第1のワックス分散液:878.6重量部を添加して、予備混合液の調製を行った。次いで、該予備混合液をスターミル(アシザワファインテック社製、LMZ−10)で混合を行い、固形分含有量45.0wt%のワックスマスターWM−1を得た。得られたワックスマスターWM−1の組成は、重量比で、樹脂L3:ワックス:メチルエチルケトン:水=31.3:13.4:0.3:29.5:25.5であった。
<着色剤マスターPM−Cの調製>
シアン顔料(大日本インキ化学工業社製、KET BLUE 111):2000重量部と、樹脂L3:2000重量部とを、ST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、翼先端速度:10m/秒で2分間攪拌し、混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス MOS140−800)を用いて溶融混練し、着色剤マスターPM−Cを得た。着色マスターCの組成は、重量比で、着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターPM−Cを樹脂L3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−Mの調製>
シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(クラリアントジャパン社製、Permanent Rubine F6B)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Mを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Mを樹脂L3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<着色剤マスターPM−Yの調製>
シアン顔料の代わりにイエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Toner Yellow HG)を用いた以外は、前記着色剤マスターPM−Cと同様にして、混合、混練を行い、着色剤マスターPM−Yを得た。また、得られた着色剤マスターPM−Yを樹脂L3およびメチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に微分散している様子が認められた。
<ミルベースMB−1の調製>
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):179.4重量部を仕込み、さらに、樹脂H1(希釈樹脂):49.8重量部を加えた。この状態で、翼先端速度:7.5m/秒で攪拌した。攪拌した状態で、着色剤マスターPM−C:42重量部、樹脂L3(希釈樹脂):108.2重量部、ワックスマスターWM−1:223.9重量部、および、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1.09重量部を、この順序で、前記円筒容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が55wt%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB−1を得た。なお、攪拌時における材料温度は、30〜40℃に保持されるようにした。
<ミルベースMB−2の調製>
メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン)、樹脂H2(希釈樹脂)、着色剤マスターPM−C、樹脂L2(希釈樹脂)、ワックスマスターWM−1、および、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合比率(ただし、重量比)を、179.4:49.8:42:108.2:223.9:1.09とした以外は、前記ミルベースMB−1の調製と同様に攪拌を行い、ミルベースMB−2を得た。得られたミルベースMB−2の固形分含有量は、55wt%であった。
<ミルベースMB−3の調製>
原料としてメチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン)、樹脂H2(希釈樹脂)、着色剤マスターPM−C、樹脂L2(希釈樹脂)、ワックスマスターWM−1、および、乳化剤としてのモノゲンY−100(第一薬品工業(株)社製のアルキル硫酸エステル塩)を用い、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン)、樹脂H2(希釈樹脂)、着色剤マスターPM−C、樹脂L2(希釈樹脂)、ワックスマスターWM−1、および、モノゲンY−100の配合比率(ただし、重量比)を、179.4:49.8:42:108.2:223.9:0.75とした以外は、前記ミルベースMB−1の調製と同様に攪拌を行い、ミルベースMB−3を得た。得られたミルベースMB−3の固形分含有量は、55wt%であった。
各ミルベース(MB−1、MB−2、MB−3)について、原料の配合順序、配合量等を表2に示す。
Figure 2008040095
<無着色樹脂分散液NRD−1の調製>
高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼)付属の2L円筒容器(ディスパー翼の翼径40mm)に、メチルエチルケトン(希釈メチルエチルケトン):367重量部を仕込み、攪拌下に、樹脂H1:300重量部を徐々に添加した。その後、翼先端速度:7.6m/秒、材料温度:30〜50℃に設定し、この条件で攪拌を行うことにより、各成分の溶解・分散を行った。その後、材料温度を40℃にし、1Nのアンモニア水:80重量部を添加し、翼先端速度を16.5m/秒まで上昇させ、この攪拌条件下、水:701重量部を、20重量部/分の速度で滴下することにより、無着色樹脂分散液(乳化液)NRD−1を得た。得られた無着色樹脂分散液NRD−1の固形分含有量は20.72wt%、メチルエチルケトン含有量は31.95wt%であった。
<無着色樹脂分散液NRD−2の調製>
樹脂H1の代わりに樹脂H3を用いた以外は、前記無着色樹脂分散液NRD−1と同様の方法、条件により、無着色樹脂分散液NRD−2(乳化液)を調製した。
(実施例1)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
MB−1のミルベースを調製した同一容器に、引き続き、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が30℃以下となるように調整した。
その後、翼先端速度:16.5m/秒に変更し、この状態で、350重量部の水(脱イオン水)を20重量部/分の速度で滴下し、分散液を調製した。脱イオン水を添加するにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合は均一であった。脱イオン水を200重量部添加した段階で粘度の低下が観察された(転相点)。さらに残りの脱イオン水を所定量滴下した後(350重量部の脱イオン水を滴下した後)、希釈水として185重量部の水を一括で添加した。この段階での分散液中におけるメチルエチルケトン(有機溶剤)の含有率は、27.65wt%であった。また、この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
次に、分散液中に、電解質を添加することにより、分散質を粒成長させた。電解質の添加は、以下のようにして行った。
まず、マックスブレンド翼(翼径65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、翼先端速度:1.09m/秒に保持した状態で、温度を25℃に調整した。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液:120重量部を10g/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を15分間かけて、1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに、0.54m/秒で20分間攪拌を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を20重量部滴下し、その後、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに0.54m/秒で10分間攪拌を行い、このときの分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、1.83μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.07であった。また、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子、ワックス微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。なお、粒径、粒度分布の測定は、マイクロトラックMT−3000(日機装社製粒度分布測定装置)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し30分間攪拌を行い、乳化懸濁液を得た。また、得られた乳化懸濁液について、分散質の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.01μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.07であった。分散質の平均円形度Rは0.982であった。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、平均円形度を求めた。
《被覆工程》
上記乳化懸濁液の調製を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、無着色樹脂分散液NRD−1:289.6重量部(コア粒子100重量部に対して20wt%)を5g/分の速度で滴下した。滴下終了後に、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒から0.85m/秒に減速し、翼先端速度を保持した状態で、さらに、20分間攪拌を行った。その後、翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を滴下した。その後、15分間かけて翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、翼先端速度を保持した状態で、20分間攪拌を行った。これにより、乳化懸濁液の分散質の表面に、被膜が形成された。形成された被膜の厚さは、0.05μmであった。また、被膜を有する分散質について、その粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.37μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。被膜を有する分散質の平均円形度Rは0.981であった。
《合一工程》
被膜の形成を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を滴下し、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で10分間攪拌を行った。ここで、この分散液について、光学顕微鏡による状態観察を行った。その結果、被膜を有する分散質が、複数個合一した合一粒子が多数確認された。合一粒子の50%体積粒径(Dv(50))は、3.31μmであった。また、この段階での合一粒子の平均円形度Rは0.961であった。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.54m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を滴下し、翼先端速度を1.54m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で10分間攪拌する処理を、さらに、2回繰り返し行った(計3回)。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.02m/秒に調整した状態で、30分間攪拌を行い、さらに、水:400重量部を添加し、分散質の合一を停止されることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この分散液を構成する分散質としての合一粒子について、粒径測定を行った。なお、ここでの粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.84μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.10であった。合一粒子の平均円形度Rは0.983であった。
《脱溶剤工程》
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.068重量部を添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《洗浄工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。トナー粒子については、TEM(透過型電子顕微鏡)による構造観察、および粒径の測定を行った。なお、粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。その結果、得られたトナー粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有し、単一のトナー粒子内に、複数のコア領域を有し、隣接するコア領域間にシェル領域と同一の材料で構成された隔壁を有するものであることが確認された。また、隔壁は、トナー粒子内部に三次元構造体として存在するものであった。また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.2μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.11であった。また、トナー粒子の平均円形度Rは0.982であった。また、トナー粒子を構成するコア領域の平均粒径は2.0μm、シェル領域の平均厚さは0.05μm、隔壁の平均厚さは0.08μmであった。また、トナー粒子中において、コア領域の占める割合は、83vol%であった。
(実施例2)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
《乳化懸濁液調製工程》
MB−2のミルベースを調製した同一容器に、引き続き、1Nアンモニア水:50重量部を加え、翼先端速度:7.5m/秒にて攪拌した後、温度が30℃以下となるように調整した。
その後、翼先端速度:16.5m/秒に変更し、この状態で、350重量部の水(脱イオン水)を20重量部/分の速度で滴下し、分散液を調製した。脱イオン水を添加するにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合は均一であった。脱イオン水を200重量部添加した段階で粘度の低下が観察された(転相点)。さらに残りの脱イオン水を所定量滴下した後(350重量部の脱イオン水を滴下した後)、希釈水として143.5重量部の水を一括で添加した。この段階での分散液中におけるメチルエチルケトン(有機溶剤)の含有率は、29.0wt%であった。また、この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
次に、分散液中に、電解質を添加することにより、分散質を粒成長させた。電解質の添加は、以下のようにして行った。
まず、マックスブレンド翼(翼径65mm)およびコンデンサー付属の2L円筒容器に、上記分散液を移送した後、翼先端速度:1.09m/秒に保持した状態で、温度を25℃に調整した。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、3.5wt%の硫酸ナトリウム水溶液:120重量部を10g/分で滴下した。滴下終了後、翼先端速度を15分間かけて、1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに、0.54m/秒で20分間攪拌を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液を5重量部滴下し、その後、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、さらに0.54m/秒で10分間攪拌を行い、このときの分散質(着色樹脂微粒子)の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、1.89μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.11であった。また、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子、ワックス微粒子は、微分散した状態で取り込まれていた。
なお、粒径、粒度分布の測定は、マイクロトラックMT−3000(日機装社製粒度分布測定装置)により行った。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、粒径、粒度分布の測定を行った。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整し30分間攪拌を行い、乳化懸濁液を得た。また、得られた乳化懸濁液について、分散質の粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.02μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.10であった。分散質の平均円形度Rは0.982であった。なお、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。また、以下に説明する他の粒子についても同様にして、平均円形度を求めた。
《被覆工程》
上記乳化懸濁液の調製を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、無着色樹脂分散液NRD−1:289.6重量部(コア粒子100重量部に対して20Wt%)を5g/分の速度で滴下した。滴下終了後に、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒から0.85m/秒に減速し、翼先端速度を保持した状態で、さらに、20分間攪拌を行った。その後、翼先端速度を1.53m/秒に調整し、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:10重量部を滴下した。その後、15分間かけて翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒まで減速し、翼先端速度を保持した状態で、20分間攪拌を行った。これにより、乳化懸濁液の分散質の表面に、被膜が形成された。形成された被膜の厚さは、0.05μmであった。また、被膜を有する分散質について、その粒径の測定を行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、2.12μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.09であった。被膜を有する分散質の平均円形度Rは0.981であった。
《合一工程》
被膜の形成を行った2L円筒容器内において、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.53m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:10重量部を滴下し、翼先端速度を1.53m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で10分間攪拌を行った。ここで、この分散液について、光学顕微鏡による観察を行った。その結果、被膜を有する分散質が、複数個合一した合一粒子が多数確認された。合一粒子の50%体積粒径(Dv(50))は、4.01μmであった。また、この段階での合一粒子の平均円形度Rは0.963であった。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.54m/秒に調整した状態で、5.0wt%の硫酸ナトリウム水溶液:10重量部を滴下し、翼先端速度を1.54m/秒から0.54m/秒に、15分間かけて減速し、さらに、0.54m/秒で粒径が5.8μmに成長するまで攪拌をおこなった。
その後、マックスブレンド翼の翼先端速度を1.02m/秒に調整した状態で、30分間攪拌を行い、さらに、水:400重量部を添加し、分散質の合一を停止されることにより、目的とする合一粒子が分散した分散液を得た。この分散液を構成する分散質としての合一粒子について、粒径測定を行った。なお、粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。その結果、50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.82μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.11であった。合一粒子の平均円形度Rは0.980であった。
《脱溶剤工程》
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22−517):0.068重量部を添加し、減圧により、固形分含有量が23wt%以上となるまで、メチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、スラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。
《洗浄工程》
上記のようにして得られたスラリーに対し、固液分離を行い、さらに、水中への再分散、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(着色樹脂微粒子ケーキ)を得た。
《乾燥工程》
その後、真空乾燥機を用いて、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。トナー粒子については、TEM(透過型電子顕微鏡)による構造観察、および粒径の測定を行った。なお、粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。その結果、得られたトナー粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有し、単一のトナー粒子内に、複数のコア領域を有し、隣接するコア領域間にシェル領域と同一の材料で構成された隔壁を有するものであることが確認された。また、隔壁は、トナー粒子内部に三次元構造体として存在するものであった。また、トナー粒子についての50%体積粒径をDv(50)[μm]、50%個数粒径をDn(50)[μm]としたときの、Dv(50)は、5.3μm、Dv(50)/Dn(50)は、1.10であった。また、トナー粒子の平均円形度Rは0.980であった。また、トナー粒子を構成するコア領域の平均粒径は2.0μm、シェル領域の平均厚さは0.05μm、隔壁の平均厚さは0.08μmであった。また、トナー粒子中において、コア領域の占める割合は、83vol%であった。
(実施例3〜6)
各工程(乳化懸濁液調製工程、被覆工程、合一工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量を表3に示すようにするとともに、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表4に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。なお、実施例3においては、母粒子トナー500mgを30mlのガラス瓶に精秤した後、200℃−5minの間加熱し、揮発成分をGC−MSで分析したところ、乳化剤の分解物である1−ドデカノールが100ppm以上残存していることが確認された。
(実施例7〜12)
乳化懸濁液調製工程で用いるミルベースの種類、被覆工程で用いる無着色樹脂分散液の種類、各工程(乳化懸濁液調製工程、被覆工程、合一工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量を表3に示すようにするとともに、各工程での攪拌条件を調整することにより、トナー粒子の構成を表4に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例1)
被覆工程を省略した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。すなわち、乳化懸濁液調製工程の後、引き続いて、合一工程を行った以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
(比較例2)
乳化懸濁液調製工程の後に、合一工程を行い、その後に被覆工程を行った以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。すなわち、被覆工程と、合一工程の順序を逆にした以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。本比較例で得られたトナー粒子は、単一のコア領域(合一粒子で構成されたコア領域)の外表面に、シェル領域が設けられた構成を有するものであり、隔壁を有してはいなかった。
(比較例3)
合一工程における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量、攪拌条件を変更することにより、コア領域の粒径、シェル領域の厚さを、表4に示すように変更した以外は、前記比較例2と同様にしてトナーを製造した。
(比較例4)
被覆工程を省略し、粒径調製のために、電解質量を変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。すなわち、乳化懸濁液調製工程の後、引き続いて、電解質量を調整して合一工程を行った以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
(比較例5)
被覆工程を省略し、粒径調製のために、電解質量を変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。すなわち、乳化懸濁液調製工程の後、引き続いて、電解質量を調整して合一工程を行った以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
表3には、乳化懸濁液調製工程で用いるミルベースの種類、被覆工程で用いる無着色樹脂分散液の種類、各工程(乳化懸濁液調製工程、被覆工程、合一工程)における硫酸ナトリウム水溶液の使用量、被覆工程における無着色樹脂分散液の使用量をまとめて示した。また、表4には、トナー粒子の主な構成をまとめて示した。なお、各実施例および各比較例のトナーを構成する樹脂成分は、原料として用いた樹脂と同一のガラス転移温度、軟化温度、平均分子量を示すものであった。
Figure 2008040095
Figure 2008040095
[2]評価
[2.1]トナー粒子の強度
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、トナー粒子の強度の評価を行った。トナー粒子の強度は、微小圧縮試験機(島津製作所社製、MCT−W500)を用い、上部加圧圧子:50μm径フラット圧子、下部加圧板:SKS平板、負荷速度:0.473988N/秒、温度:25℃、湿度:50%という条件の測定により得られる、試験力−変位グラフから、5%変位時の荷重、最初にみられる変曲点での荷重および変位量の値により評価した。5%変位時の荷重、最初にみられる変曲点での荷重の値が大きいほど、また、最初にみられる変曲点での変位量の値が大きいほど、優れた強度を有していると判断することができる。
また、前記各実施例について、それぞれ、トナー粒子のコア領域の構成材料で構成されたトナー粒子(以下、「コア材料トナー」という)、シェル領域の構成材料で構成されたトナー粒子(以下、「シェル材料トナー」という)を製造し、コア材料トナーとシェル材料トナーについても、上記と同様に、トナー粒子の強度の評価を行った。その結果、いずれの実施例においても、コア材料トナーよりも、シェル材料トナーのほうが、優れた強度を示した。なお、コア材料トナー、シェル材料トナーとしては、互いに、同一の大きさ、形状のものを用いた。また、コア材料トナー、シェル材料トナーの製造は、それぞれに対応するミルベース、無着色樹脂分散液を用いることにより行った。
[2.2]現像耐久性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして現像耐久性の評価を行った。
まず、上記のようにして得られたトナー100重量部に対し、1.0重量部の小シリカ(日本アエロジル社製RX200)、1.0重量部の大シリカ(日本アエロジル社製RX50)、0.5重量部のチタニア(チタン工業社製 STT30S)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて攪拌羽集速30m/sで室温3分間混合し、現像用トナーとした。
図2〜図5に示すような画像形成装置の現像装置(図3参照)にトナー(現像用トナー)を130gセットした後、無補給でエージングを行い、現像ローラへのフィルミングが発生するまでの時間を測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:エージング開始後、90分以上経過しても、フィルミングの発生は認められな
かった。
○:エージング開始後、60分以上90分未満でフィルミングが発生。
△:エージング開始後、30分以上60分未満でフィルミングが発生。
×:エージング開始後、30分未満でフィルミングが発生。
[2.3]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、35℃、相対湿度65%の環境下に、6ヶ月間放置した。その後、トナーの様子を観察し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の凝集が全く認められない。
○:トナー粒子の凝集がほとんど認められない。
△:トナー粒子の凝集がわずかに認められる。
×:トナー粒子の凝集が顕著に認められる。
[2.4]定着良好域、低温定着性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着良好域、低温定着性の評価を行った。
まず、定着装置を有していない以外は、図2、図3に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上にトナー像が転写された未定着の画像サンプルを採取した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.5g/cmに調整した。
次に、画像形成装置を構成する定着装置の定着ローラの表面温度を所定温度に設定した状態で、上記の未定着のトナー像が転写された記録媒体を、図4、図5に示すような定着装置の内部に導入することにより、トナー像を記録媒体に定着させ、定着後におけるオフセットの発生の有無を目視で確認した。この定着装置では、トナーがニップ部を通過する際の記録媒体の搬送速度を150m/秒に設定した。
同様に、定着ローラの表面の設定温度を100〜220℃の範囲で順次変更していき、各温度でのオフセットの発生の有無を確認し、オフセットが発生しなかった温度範囲を、「定着良好域」として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:定着良好域の幅が50℃以上である。
○:定着良好域の幅が40℃以上50℃未満である。
△:定着良好域の幅が30℃以上40℃未満である。
×:定着良好域の幅が30℃未満である。
[2.5]定着強度
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにして定着強度の評価を行った。
まず、図2〜図5に示すような構成を有する画像形成装置(カラープリンタ)を用意した。この画像形成装置を用いて、記録媒体(セイコーエプソン社製、上質普通紙)上に、所定のパターンのトナー像を転写、定着し、定着トナー画像を得た。この画像形成装置においては、トナーがニップ部を通過する際の記録媒体の搬送速度を150m/秒、定着ローラの表面の設定温度を170℃に設定した。
上記のようにして得られた記録媒体上の定着トナー画像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.0kgfで1回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
これらの結果を表5に示した。また、表5には、定着良好域の下限値も示した。この下限値が低いほど、低温定着性に優れている。
Figure 2008040095
表5から明らかなように、本発明のトナーは、トナー粒子の強度、現像耐久性、保存性等に優れるとともに、定着良好域が広く、優れた低温定着性を有していた。また、本発明のトナーは、定着強度にも優れていた。このように、本発明のトナーでは、コア領域の構成材料の特長、および、シェル領域の構成材料の特長が、十分に発揮されていた。また、本発明のトナーは、粗大粒子の存在が抑制され、粒度分布がシャープなものであった。
これに対し、各比較例のトナーでは、満足な結果が得られなかった。
より具体的には、トナー粒子がシェル領域を有していない比較例1では、トナー粒子の強度、現像耐久性、保存性が低いものであった。また、比較例1のトナーでは、粗大粒子の存在割合も高かった。これは、トナー粒子がシェル領域を有していないため、トナー粒子間での凝集が進行したためであると考えられる。
また、トナー粒子が隔壁を有していない比較例2では、トナー粒子の強度は、比較例1に比べて向上はしているものの、不十分であった。
また、シェル領域の厚さが比較的大きい(トナー粒子中におけるシェル領域の占める割合が比較的大きい)比較例3では、トナー粒子の強度の向上は認められるものの、トナー粒子中におけるコア領域の占める割合が低いため、コア領域の構成材料の機能が十分に発揮されておらず、低温定着性、定着強度に劣るものであった。
上記のように、トナー粒子がコア領域とシェル領域とを有するものであっても、隔壁を有していない場合には、コア領域の構成材料の特性、および、シェル領域の構成材料の特性を十分に発揮させることができなかったのに対し、本発明のトナーでは、各構成材料の特性が十分に発揮されている。
また、着色剤マスターCの代わりに、着色剤マスターM、着色剤マスターYを用いた以外は、上記と同様にトナーの製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の好適な実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明のトナーが適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図である。 図2の画像形成装置が有する現像装置の断面図である。 図2の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図である。 図4の定着装置の要部断面図である。
符号の説明
1…トナー粒子 11…コア領域(芯部、核) 12…シェル領域(外殻) 13…隔壁 10…画像形成装置 20…装置本体 30…像担持体 40…帯電装置 50…露光装置 60…ロータリー現像装置 600…支持フレーム 601…ハウジング 603…供給ローラ 604…現像ローラ 605…規制ブレード 605a…板状部材 605b…弾性部材 60Y…イエロー用現像装置 60M…マゼンタ用現像装置 60C…シアン用現像装置 60K…ブラック用現像装置 70…中間転写装置 90…駆動ローラ 100…従動ローラ 110…中間転写ベルト 120…一次転写ローラ 130…転写ベルトクリーナ 140…二次転写ローラ 150…給紙カセット 160…ピックアップローラ 170…記録媒体搬送路 190…定着装置 200…排紙トレイ 210…定着ローラ(加熱定着部材) 210a…熱源 210b…筒体 210c…弾性層 210d…回転軸 220…加圧ローラ(加圧部材) 220b…筒体 220c…弾性層 220d…回転軸 230…両面印刷用搬送路 240…ハウジング 250…軸受 260…加圧レバー 270…加圧スプリング 290…支持軸 300…支持軸 310…剥離部材 320…剥離部材 T…トナー

Claims (15)

  1. 樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、前記コア領域を被覆し、前記コア領域とは異なる組成のシェル領域とを有するトナーであって、
    単一のトナー粒子内に、複数の前記コア領域を有し、隣接する前記コア領域間に前記シェル領域と同一の材料で構成された隔壁を有することを特徴とするトナー。
  2. 前記隔壁は、前記トナー粒子内部に三次元構造体として存在するものである請求項1に記載のトナー。
  3. 常温において、前記シェル領域の構成材料の強度は、前記コア領域の構成材料の強度よりも高いものである請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記シェル領域は樹脂成分を含むものであり、
    前記シェル領域を構成する樹脂成分のガラス転移温度が、前記コア領域を構成する樹脂成分のガラス転移温度よりも高いものである請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記シェル領域は樹脂成分を含むものであり、
    前記シェル領域を構成する樹脂成分の軟化温度が、前記コア領域を構成する樹脂成分の軟化温度よりも高いものである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記コア領域の平均粒径が1〜4μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記トナー粒子の平均粒径が3〜10μmである請求項1ないし6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記コア領域の平均粒径をD[μm]、前記トナー粒子の平均粒径をD[μm]としたとき、0.1≦D/D≦0.5の関係を満足する請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記トナー粒子は、O/W型の乳化液中に含まれる複数個の分散質を合一させることにより製造されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載のトナー。
  10. 前記隔壁の平均厚さが0.05〜1μmである請求項1ないし9のいずれかに記載のトナー。
  11. 前記トナー粒子中において前記コア領域の占める割合が50〜95vol%である請求項1ないし10のいずれかに記載のトナー。
  12. 樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、前記コア領域を被覆し、前記コア領域とは異なる組成のシェル領域とを有するトナーを製造する方法であって、
    樹脂成分と着色剤とを含む材料で構成された分散質が分散した分散液を調製する分散液調製工程と、
    前記分散質の表面を、前記分散質を構成する樹脂成分とは異なる組成の樹脂成分で構成された被膜で被覆する被覆工程と、
    前記被膜で被覆された複数個の分散質を合一させる合一工程とを有することを特徴とするトナーの製造方法。
  13. 前記分散液調製工程において電解質を添加する請求項12に記載のトナーの製造方法。
  14. 前記被覆工程において電解質を添加する請求項12または13に記載のトナーの製造方法。
  15. 前記合一工程において電解質を添加する請求項12ないし14のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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