JP2005266449A - 着色樹脂組成物の脱溶剤方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

着色樹脂組成物の脱溶剤方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂を結着樹脂とする着色樹脂組成物中の溶剤量を低減するための優れた脱溶剤方法を提供する。また、前記脱溶剤方法を用いた着色樹脂組成物の製造方法を提供する。更に、ポリエステル樹脂を結着樹脂とする湿式法トナーの製造方法において、製造時に使用した有機溶剤を効率的に除去する新規な製造方法を提供する。
【解決手段】メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(A)を含有する着色樹脂組成物中から前記有機溶剤(A)を除去する脱溶剤方法であって、前記着色樹脂組成物がポリエステル樹脂中に着色剤を分散した樹脂組成物であり、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を含有する液媒体中に前記着色樹脂組成物を浸積することにより前記着色樹脂組成物を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)と共に前記有機溶剤(A)を除去する脱溶剤方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着色樹脂組成物の脱溶剤方法及びそれを用いた静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。特に、複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられ、更にはトナージェット方式のプリンター等にも用いられる、溶剤の含有率を極力低減した静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式による複写物やプリント物は、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成した後、トナーを用いて現像し、紙等の転写材に転写した後、加熱ヒートロール等の定着手段を用いて固定化するものである。この際、加熱されたトナーから様々な揮発成分が発生し、環境保全、労働衛生上悪影響を与えるため、該揮発成分は極力抑制することが必要となっている。一方、近年では高画質なカラー画像の要求が高まる中、従来の粉砕法と異なる、重合法に代表される様々な湿式によるトナーの製法が提案されている。中でも、ポリエステル樹脂を用いた湿式法によるトナーは、ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いることから、低温定着性、定着強度、発色性に優れている。これまで、ポリエステル樹脂を結着樹脂とした湿式法によるトナーの製造方法に関する多くの技術が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかし、ここで開示されている製法では、有機溶剤の使用が不可欠であり、該有機溶剤を十分に除去しないと、定着時に揮発分となって大気中に拡散するため好ましくない。該有機溶剤は、湿式媒体中から固液分離した後、乾燥工程で除去することは可能であるが、多大の時間とエネルギーを消費するため、生産性の面で大きな問題となっている。
特開平8−211655号公報(実施例) 特開2003−122051号公報(実施例)
したがって、本発明の目的は、ポリエステル樹脂を結着樹脂とする着色樹脂組成物中の溶剤量を低減するための優れた脱溶剤方法を提供するものである。また、本発明の他の目的は、前記脱溶剤方法を用いた着色樹脂組成物の製造方法を提供するものである。更に、本発明の他の目的は、ポリエステル樹脂を結着樹脂とする湿式法トナーの製造方法において、製造時に使用した有機溶剤を効率的に除去する新規な製造方法を提供するものである。
本発明は、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(A)を含有する着色樹脂組成物中から前記有機溶剤(A)を除去する脱溶剤方法であって、前記着色樹脂組成物がポリエステル樹脂中に着色剤を分散した樹脂組成物であり、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を含有する液媒体中に前記着色樹脂組成物を浸積することにより前記着色樹脂組成物を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)と共に前記有機溶剤(A)を除去することを特徴とする脱溶剤方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の脱溶剤方法を用いた着色樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、下記(i)〜(v)の工程
(i) メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(A)中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解あるいは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
(ii)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液を製造する工程、又は前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)の微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程、
(iii)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、(a)前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(D)を形成させ、更に該微粒子(D)の合一体(E)を形成させる工程、又は(b)前記微粒子(C)の合一体(F)を製造する工程、
(iv)前記有機溶剤(A)の80%以上を除去した後、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を添加して前記合一体(E)又は前記合一体(F)を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)及び前記有機溶剤(A)を除去する工程、
(v)前記合一体(E)又は前記合一体(F)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
を順次行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、ポリエステル樹脂を結着樹脂とする着色樹脂組成物中の溶剤を効率良く除去することができる。特に、本発明は、ポリエステル樹脂を結着樹脂とする湿式法によるトナーの製造方法において、使用した有機溶剤を効率的に除去することができ、トナー粒子内に内包された有機溶剤であっても容易に除去することが可能である。したがって、トナー粒子の乾燥工程での負荷を低減し、多大の時間とエネルギーを削減でき、生産性を向上させる上で十分な効果を示す。
以下、本発明を湿式法によるトナーの製造方法を例として詳しく説明する。
本発明の脱溶剤方法を用いた湿式法によるトナーの製造方法は以下の工程からなる。
第一工程:原材料としてカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を有機溶剤(A)中に溶解あるいは分散させて樹脂溶液を製造する工程(i)を行い、その後、前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液を製造する工程、又は前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)の微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程(ii)を行う。
第二工程:次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、(a)前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(D)を形成させ、更に該微粒子(D)の合一体(E)を形成させる工程、又は(b)前記微粒子(C)の合一体(F)を製造する工程(iii)を行う。
第三工程:前記有機溶剤(A)の80%以上を除去した後、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を添加して前記合一体(E)又は前記合一体(F)を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)及び前記有機溶剤(A)を除去する工程(iv)を行う。
第四工程:前記合一体(E)又は前記合一体(F)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程(V)
の上記4工程からなる。
なお、本明細書では、下記の(1)及び(2)
(1)前記工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液に電解質を添加することで、溶解しているポリエステル樹脂を塩析し、又はその溶解状態を不安定化させ、該ポリエステル樹脂からなる微粒子(D)を析出させ、更に、複数の該微粒子(D)を一体化させること、及び
(2)前記工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤(A)からなる微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液に電解質を添加することで、該微粒子(C)を塩析し、又は不安定化させ、更に複数の該微粒子(C)を一体化させること、
を「合一」と言い、前記工程(iii)を「合一工程」と言う。また、工程(iii)により形成される粒子を「合一体」と言う。更に、合一工程を経てトナーを製造する方法を「合一法」による製造方法と言う。
第一工程では、有機溶剤(A)中にポリエステル樹脂を投入して溶解あるいは分散することにより、ポリエステル樹脂と有機溶剤(A)を含む樹脂溶液を調整する。この場合、必要に応じて離型剤または着色剤、あるいはその他の添加物をポリエステル樹脂等と共に用いることができるが、いずれもトナー粒径以下に微分散あるいは溶解される必要がある。
有機溶剤(A)中にポリエステル樹脂及び必要に応じて添加する、離型剤、着色剤等の各種添加剤を溶解あるいは分散させる手段としては、以下の方法を用いることが好ましい。
(1)上記のポリエステル樹脂と離型剤、着色剤等の各種添加剤を含む混合物を加圧ニーダー、加熱2本ロール、2軸押し出し混練機などを用いて、使用する樹脂の軟化点以上、且つ熱分解温度以下の温度に加熱して混練する。その後、得られた混練チップをデスパー等の攪拌機あるいはメディアを用いた分散機等により有機溶剤(A)中に溶解、ないし分散する。この場合、離型剤や着色剤等はあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター混練チップを調整した後に混合しても良い。あるいは、
(2)ポリエステル樹脂と離型剤、着色剤等の各種添加剤を有機溶剤(A)と混合し、これをボールミル等により湿式混練する。この場合、離型剤や着色剤等はあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター溶液を調整した後に混合しても良い。
上記(2)の、より具体的な手段としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、連続式ビーズミル等のメディアを用いた混合・分散機中に、予め有機溶媒(A)にポリエステル樹脂を溶解した樹脂溶液、及び離型剤や着色剤を加え、攪拌・分散させることによりマスター溶液とし、更に希釈用のポリエステル樹脂、追加の有機溶剤(A)を混合することにより有機溶媒中に離型剤や着色剤等が微分散した樹脂溶液を製造する方法がある。以上のような(2)の製造方法によれば、ポリエステル樹脂の高分子成分(ゲル成分)が切断されないため、溶融混練により分散する(1)の方法よりも好ましい。
ポリエステル樹脂を溶解あるいは分散させるための有機溶剤(A)としては、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤を使用する。これらの溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解あるいは分散するものであり、毒性が比較的低く、かつ後工程で脱溶剤し易い低沸点のものが好ましく、そのような溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチルが好ましく、特にメチルエチルケトンが最も好ましい。
次に、ポリエステル樹脂と有機溶剤(A)を含む混合物を水と混合する。この場合、上記の方法で調整された樹脂溶液を、塩基性中和剤の存在下で水と混合する。この工程においては、塩基によりポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和した樹脂溶液に水を徐々に添加する方法が好ましい。
工程(ii)においては、有機溶剤(A)と添加した水の合計量に対する水の比率が30〜80質量%となるように水を添加する。より好ましくは35〜70質量%であり、特に40〜70質量%であることが好ましい。使用する水は脱イオン水であることが好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であり、該カルボキシル基を中和することにより水中での分散が容易となる(以下、自己水分散性という)、あるいは水溶性となるポリエステル樹脂である。本発明で使用する自己水分散性あるいは水溶性のポリエステル樹脂の酸価は1〜30KOHmg/gであることが好ましく、3〜20KOHmg/gであることがより好ましい。樹脂酸価が1未満だと工程(ii)における、ポリエステル樹脂と有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液の製造、又はポリエステル樹脂と有機溶剤(A)の微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液の製造がスムーズに行かず、粗大粒子が発生するため好ましくない。一方、酸価が30より高いと、各種環境下における帯電量が安定しないため好ましくない。酸価が1〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加して分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散あるいは溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基が用いられる。中でも、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。ポリエステル樹脂を水中、あるいは水が主成分であり有機溶剤を含む媒体(以下、水性媒体という)中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤等の分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となる。その結果、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになるため好ましくない。また、ゲル分を含有するような高粘性樹脂の場合には、更に不均一な粒度分布となり、実用上限界がある。したがって、本発明では自己水分散性あるいは水溶性の樹脂を用い、該樹脂が有するカルボキシル基を塩基性化合物により中和する。
ポリエステル樹脂のカルボキシル基を塩基で中和する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、有機顔料、離型剤および有機溶剤(A)を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法、あるいは(2)水又は水性媒体中に予め塩基性中和剤を混合しておき、工程(ii)を行う際に前記混合物に含まれるポリエステル樹脂の酸性基を中和する方法、が挙げられる。
塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量である。また、1〜2倍に相当する量であることがより好ましい。このようにポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、異形の粒子が生成するのを防止することができ、トナーの真球性を向上させ、また、合一工程における粒度分布をシャープにすることができる。
工程(ii)においては、デスパー(アサダ鉄工株式会社)、ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みづほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタテイックミキサー(ノリタケカンパニー)などの高シェア乳化分散機や連続式乳化分散機等が使用できる。また、その時の温度は、特に制限はないが、温度が高いと、転相水量が多くなるため好ましくない。また、低温だとポリエステル樹脂および有機溶剤を含む混合物の粘度が上昇し、粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。工程(ii)の温度範囲としては10〜50℃が好ましい。さらに好ましくは20〜45℃の範囲である。
第二工程では、第一工程で得られた樹脂溶液の水溶液あるいは微粒子(C)から合一体を生成させ、所望の粒径のトナー粒子を形成させる。
合一法では、第一工程で得られた水溶液、あるいは微粒子(C)の分散液を水で希釈し溶剤量を調整する。その後、分散安定剤を添加し、分散安定剤の存在下に電解質の水溶液を滴下することで合一を進め、所定粒径の合一体を得る。この場合、前記の通り、工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液に電解質を添加することで、溶解しているポリエステル樹脂が塩析され、又はその溶解状態が不安定化して、該ポリエステル樹脂からなる微粒子(D)が析出し、更に、複数の該微粒子(D)が一体化することにより合一が進行し、合一体(E)を得る。又は、工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤(A)からなる微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液に電解質を添加することで、該微粒子(C)が塩析され、又は不安定化され、更に複数の該微粒子(C)が一体化することにより合一が進行し、合一体(F)を得る。
第一工程で得られた水溶液、あるいは微粒子(C)の分散液は、カルボン酸塩による電離作用により水性媒体中で安定に溶解、あるいは分散している。第二工程では、微粒子が分散している水性媒体中にその電離状態を破壊、あるいは縮小させる電解質を添加することで、粒子を析出、あるいは不安定化させる。本発明で用いることのできる電解質としては、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸水素アンモニュウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等も電解質として有効に用いることができる。これらの電解質は、単独でも、あるいは2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニュウムのごとき1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。本発明の製造方法では、第二工程で得られる合一体は溶剤により膨潤しており、かつ電解質の添加により粒子の電離状態が不安定な状態となっているため、低シェアー(低剪断力)の攪拌による粒子同士の衝突でも容易に合一が進行する。
ところで、電解質等の添加だけでは、系内の合一体の分散安定性が不安定になっているため、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物が発生する。電解質や酸性物質により生成した合一体が、再合一を繰り返して、目的とする粒子径以上の凝集体を形成するのを防止するためには、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤やイオン性、あるいはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。使用する分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する分散安定剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等、あるいは各種プルロニック系等のノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤等がある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があり、好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。以上に記載した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となり、その結果、シャープな粒度分布が得られ、それに伴い、収率の向上が達成される。
また、均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重要である。例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等を使用することが好ましい。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような均一混合性に優れた大型翼がさらに好ましい。均一な合一体を生成させるための該攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアで攪拌しながら水を滴下する方法がより好ましい。特に好ましくは0.2〜6m/sである。攪拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存しなり好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、攪拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となり好ましくない。上記の条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離・分散することはない。特に、合一法では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつシャープな粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
合一体を製造する場合には、工程(ii)におけるポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液、又は前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)の微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液を水でさらに希釈することが好ましい。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。あるいは、分散安定剤及び電解質、あるいはそのどちらかの水溶液を添加することで分散液中の溶剤量を調整し、所定粒径の粒子を得る手順を採ることが好ましい。電解質を添加する前の系中に含まれる溶剤量としては、15〜45質量%の範囲内であることが好ましい。また、18〜30質量%の範囲内がより好ましい。溶剤量が15質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなり好ましくない。また、溶剤量が45質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるため好ましくない。
使用する分散安定剤の量は、例えば固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内が好ましい。0.3〜2.0質量%の範囲内がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲内が特に好ましい。0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られない。一方、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子(C)又は微粒子(D)が残存してしまい収率を低下させるため好ましくない。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%の範囲内であることが好ましい。1〜12質量%の範囲内であることがより好ましく、1〜10質量%の範囲内であることが特に好ましい。電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないため好ましくない。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるため好ましくない。
また、合一時の温度は10〜50℃の範囲内が好ましい。より好ましくは20〜40℃の範囲内であり、20〜35℃であることが特に好ましい。温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるため好ましくない。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。本発明の製造方法では、たとえば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一体の生成が可能である。
ところで、摩擦帯電性能を良好に保持するためには、着色剤等がトナー粒子表面に露出しないようにすること、すなわち着色剤等がトナー粒子に内包されたトナー構造とするのが有効である。トナーの小粒径化に伴う帯電性の悪化は、含有する着色剤やその他の添加物(通常離型剤など)の一部がトナー粒子表面に露出することも原因になっている。すなわち、着色剤等の含有率(質量%)が同じであっても、小粒径化によりトナー粒子の表面積が増大し、トナー粒子表面に露出する着色剤や離型剤等の比率が増大し、その結果トナー粒子表面の組成が大きく変化し、トナー粒子の摩擦帯電性能が大きく変わり適正な帯電性が得られにくくなる。
上記の製造方法により製造されるトナー粒子は、着色剤や離型剤等がポリエステル樹脂に内包されていることが特徴である。トナー粒子表面に着色剤や離型剤等が露出していないことは、例えば、粒子の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより容易に判定できる。より具体的には、トナー粒子を樹脂包埋してミクロトームで切断した断面を、必要ならば酸化ルテニウム等で染色し、TEMで観察すると、着色剤や離型剤等が粒子内に内包されてほぼ均一に分散していることが確認できる。
第二工程で得られる合一体の形状は、合一の程度により不定形から球形まで変化させることができる。例えば、平均円形度で表現すれば、0.94〜0.99まで変化させることが可能である。なお、この平均円形度は、最終的に得られたトナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することなどによっても求められるが、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000を使用すると容易に得られるため、本明細書ではこの装置で測定した値を平均円形度としている。
トナー粒子の形状は、平均円形度が0.96以上であることが好ましい。より好ましくは0.97以上の略球形あるいは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率の向上がみられ、トナーとして用いる場合には上記範囲とすることが好ましい。特に、粒径が小さくなるにつれ、球形と不定形では、粉体流動性、転写効率、トナー消費量の面での差は大きくなる。
第三工程では、第二工程において得られた合一体を含む水性媒体から有機溶剤(A)を除去する。第二工程で得られた合一体は有機溶剤(A)を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。この場合、有機溶剤(A)の80%以上を除去することが好ましく、90%以上除去することがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。その後、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を添加して前記合一体(E)又は前記合一体(F)を膨潤させる。この場合、合一体(E)又は合一体(F)の膨潤率が10%〜30%となるように有機溶剤(B)を選択し、添加量を調製する。膨潤率が10%〜30%にすることにより、合一体中に内包された有機溶剤(A)を効率的に抽出し、あるいは置換することができる。ここで用いる膨潤率は下記式により算出した値である。
膨潤率(%)={(Dv50-2)3−(DV50-1)3}×100/(DV50-1)3
(DV50-1):第二工程において得られた合一体を含む水性媒体から有機溶剤(A)を除去した後の合一体の50%体積粒径(μm)
(DV50-2):有機溶剤(B)を添加したときの合一体の50%体積粒径(μm)
なお、ここで用いた50%体積粒径は、コールター社製マルチサイザーTAII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定値を用いた。
また、使用する有機溶剤(B)としては、アセトンであることが特に好ましい。有機溶剤(A)を乾燥工程で効率的に除去するためには、膨潤率は15%〜30%であることがより好ましく、20%〜30%であることが特に好ましい。膨潤率が上記範囲であれば、有機溶剤(B)が合一体に適度に浸透し、合一体中に内包される有機溶剤(A)を十分に抽出、あるいは置換することができる。その結果、乾燥工程での効率的な有機溶剤(A)の除去が可能となり、好ましい。また、有機溶剤(B)の合一体中への浸透が適度であるため、有機溶剤(B)を除去する際に、トナー中から揮発しやすく、合一体中に多量の有機溶剤(B)が残存することがなく、好ましい。
更に、水に対する有機溶剤(B)の使用比率(有機溶剤(B)/水)は、10/90〜30/70であることが好ましく、10/90〜25/75であることがより好ましく、10/90〜20/80であることが特に好ましい。有機溶剤(B)と水の比率が上記範囲であれば、有機溶剤(B)が合一体に適度に浸透し、合一体中に内包される有機溶剤(A)を十分に抽出、あるいは置換することができる。その結果、乾燥工程での効率的な有機溶剤(A)の除去が可能となり、好ましい。また、有機溶剤(B)の添加による合一体の凝集が発生し難いので好ましい。有機溶剤(B)を添加して、有機溶剤(A)を抽出、あるいは置換する際の温度は20〜35℃の範囲が好ましい。
有機溶剤(B)を、合一体を含む水性媒体に添加する際は、有機溶剤(B)を水で希釈して添加することが好ましい。水で希釈する時の比率は有機溶剤(B)/水=50/50〜80/20の範囲が好ましい。有機溶剤(B)を直接水性媒体に添加すると、合一体の凝集体が発生するため好ましくない。
有機溶剤(B)を添加した後、有機溶剤(A)を抽出、あるいは置換するために10minから1hr攪拌を行い、その後減圧下に脱溶剤を行い、有機溶剤(B)を除去、回収する。この際、抽出された有機溶剤(A)も同時に除去される。
第三工程における有機溶剤(B)による抽出、あるいは置換操作は、「有機溶剤(B)の添加→攪拌→脱溶剤」となるが、必要に応じて、本プロセスを繰り返し実施することにより、より効率的に、有機溶剤(A)を抽出、あるいは置換できるため、乾燥工程での負荷が低減でき、効率的な乾燥を行えるため、好ましい。
第四工程では、第三工程で得られた合一体を水性媒体から分離し、乾燥する。水性媒体からの分離は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルター等の公知慣用の手段で行うことができる。ついで粒子を乾燥させることによりトナー粒子を得ることができる。乳化剤や分散安定剤を用いて製造されたトナー粒子は、より十分に洗浄することが好ましい。
乾燥方法としては、公知慣用の方法がいずれも採用可能であるが、例えば、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で、常圧下または減圧下で乾燥させる方法、凍結乾燥させる方法、などが挙げられる。また、スプレードライヤー等を用いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時に行う方法も挙げられる。特に、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で加熱しながら、減圧下で、粉体を攪拌して乾燥させる方法や、加熱乾燥空気流を用いて瞬時に乾燥させるというフラッシュジェットドライヤー(セイシン企業株式会社)などを使用する方法が、効率的であり好ましい。いずれの方法においても、第三工程において粒子内に内包された有機溶剤(A)を削減することで、乾燥工程における生産性は大幅に改善される。
トナーの粒度分布については、コールター社製マルチサイザーTAII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であること好ましく、より好ましくは1.20以下である。1.25以下であると良好な画像を得られやすく好ましい。また、GSDは1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、コールター社製マルチサイザーTAII型による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。
トナーの体積平均粒径として、得られる画像品質などの点から1〜13μmの範囲にあるものが好ましく、3〜10μm程度が現行のマシンとのマッチングが得やすいことなどもあってより好ましい。カラートナーにあっては、体積平均粒径が3〜8μmとなる範囲が好適である。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現され好ましい。
ポリエステル樹脂を製造する際に使用する酸成分としては、以下の多塩基酸類を使用することができる。例えば、二価の多塩基酸化合物としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が、また、例えば架橋樹脂を得るための架橋剤として、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
また、アルコール成分としては、以下の脂肪族多価アルコールが使用できる。二価の脂肪族アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオール等のジオールが、また、例えば架橋樹脂を得るための架橋剤として、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、等の三官能以上の多価アルコールが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、脂肪族多価アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋ポリエステル樹脂を製造する際には、架橋剤として多価エポキシ化合物も使用できる。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物等が挙げられる。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、架橋樹脂であることが好ましく、特に架橋剤として多価エポキシ化合物を用いた架橋樹脂であることが好ましい。架橋剤として使用するエポキシ化合物としては、上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520等が、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-660,N-665,N-667,N-670,N-673,N-680,N-690,N-695等が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-740,N-770,N-775,N-865等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上記エポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用しうるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェルジャパン製が挙げられる。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、上記の原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸等を適宜使用する事が出来る。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50〜85℃のものが好ましいが、中でも、そのTgが55〜75℃のものが特に好ましい。Tgが50℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。また、ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃以上、中でも、90℃〜180℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜160℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、180℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、軟化点の異なる複数の樹脂をブレンドすることが好ましい。軟化点の異なる複数の樹脂をブレンドすることにより、単一樹脂に比べ、広い温度領域での耐オフセット性、良好な低温定着性のバランスを得ることができる。高軟化点の樹脂としては架橋樹脂が好ましく、軟化点が150〜230℃、好ましくは160〜200℃の範囲であることが好ましい。一方、低軟化点の樹脂としては直鎖樹脂が好ましく、軟化点としては80〜130℃、好ましくは90〜120℃の範囲である。高軟化点樹脂と低軟化点樹脂の使用比率(質量比率)は20/80〜70/30、好ましくは30/70〜60/40の範囲である。
軟化点の異なる複数の樹脂をブレンドする場合、高軟化点樹脂は多価エポキシ化合物で架橋されたポリエステル樹脂を使用することが好ましい。ポリエステル樹脂の軟化点は定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスターでの測定条件は、ピストン断面積1cm 、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50゜C、昇温速度6゜C/min、試料質量1.5gの条件で行った。
本発明の製造方法では、離型剤を用いることができる。その場合に離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の群の中から選ばれた離型剤が用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックス等の天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類が好適に用いられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP-5(日本油脂社製)が好適に用いられる。離型剤の含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。
また、帯電制御剤を用いることができる。正帯電性帯電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物等が使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはスルホニル基を含有する樹脂、等が挙げられる。帯電制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色剤については、特に制限はなく、公知慣用のものが用いられる。例えば、本発明のトナーに使用できる黒の着色剤としては製造方法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11等の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12等の鉄−チタン複合酸化物系顔料、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63等が挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,15,16,60が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 17,74,93,97,110,155,および180が挙げられ、より好ましくはC.I.Pigment Yellow 74,93,97,180が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 93,97,180が好ましい。
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122および209が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Red 57:1,122および209が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜18質量%であることが更に好ましく、2〜15質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として公知慣用の無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタン等の無機微粒子、あるいは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性等の物理的特性を改良する効果がある。外添剤の種類は、各種シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ等が好適に用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α―メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッソ変性シリコーンオイル、及びオレフィン変性シリコーンオイル等で処理された疎水性シリカが挙げられる。外添方法は、公知慣用の機種を用いて処理される。
上記のトナー粒子にキャリアを混合することによって、二成分静電荷像現像剤とすることができる。静電荷像現像剤は、本発明の製造方法により製造されたトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
静電荷像現像剤に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜200μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜110μmが好ましい。
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
これらの中でも、特にシリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。また、トナー粒子とキャリアからなる現像剤の帯電特性は、シリコン等のコート剤のコート量の調整、帯電制御剤の添加、カーボンに代表される導電物質の添加等により調整できる。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであり、場合により、コート在中に帯電制御剤、カーボン等を添加して帯電特性を調整することが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されたトナーは、通常の非磁性一成分現像方式の印刷装置、あるいは二成分現像方式の印刷装置、磁性一成分現像方式の印刷装置等に使用できる。また、現像剤担持ロールと層規制部材とを有する非磁性一成分現像装置等を用いて摩擦帯電された粉体トナーを、トナー通過量等を調節する機能の電極を周囲に有するフレキシブルプリント基板上の穴を通して、背面電極上の紙に直接吹き付けて画像を形成する方式の、いわゆるトナージェット方式のプリンター等にも好適に使用できる。本発明の製造方法により製造されたトナーは、潜像保持体上に静電荷像を形成させ、得られた静電荷像を、現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像し、前記荷像保持体上に形成されたトナー像を紙やフィルム等の転写材上に転写し、該転写材上のトナー像をヒートロールにより熱定着する画像形成方法により印刷を行うことができる。
なお、本発明の脱溶剤方法及び該脱溶剤方法を用いた着色樹脂組成物の製造方法は、上記の静電荷像現像用トナーの製造方法以外でも、粉体塗料や成型用樹脂組成物等、種々の着色樹脂組成物を製造する場合において好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例・比較例では、特に表示がない限り部は質量部、水は脱イオン水の意である。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 200質量部
イシフタル酸 133質量部
エピクロンN−695 7質量部
エピクロン720 10質量部
カージュラE 3質量部
ジエチレングリコール 21質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部

*エピクロンN-695(大日本インキ化学工業(株)製)
;1分子中に有するエポキシ基の数に分布があり、1分子中に有するエポキシ基の数が2個以上であり、平均が5個以上である多官能クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量220(g/eq)
エピクロン720(大日本インキ化学工業(株)製)
;ネオペンチルグリコールを基本骨格としたアルコールエーテル型のエポキシ化合物、エポキシ当量150(g/eq)
*カージュラE(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)
エポキシ当量250(g/eq)
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が163℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、酸価10.5、DSC測定によるガラス転移温度は64℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)は182℃であった。
(樹脂合成例2)
テレフタル酸 200質量部
イシフタル酸 133質量部
ジエチレングリコール 21質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で8時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が104℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、酸価10.0、DSC測定によるガラス転移温度は57℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)は106℃であった。
(離型剤分散液の調製)
カルナバワックス「カルナバワックス 1号」(加藤洋行輸入品)50部、合成例2で得られたポリエステル樹脂50部とメチルエチルケトン150部をデスパーでプレ分散後、モーターミルM-1000(米国アイガー社製)で湿式分散を行い、カルナバワックスのマスター溶液を調製した。固形分含有量はメチルエチルケトンで調整し40%とした。
(着色剤マスター溶液の調製)
シアン顔料「Ket-111」(大日本インキ化学工業(株)社製)50部、合成例2で得られたポリエステル樹脂50部とメチルエチルケトン82部をデスパーでプレ分散を行った後、モーターミルM-1000(米国アイガー社製)で湿式分散を行い、シアン顔料のマスター溶液を調製した。固形分含有量はメチルエチルケトンで調整し50%とした。
(ミルベースMoの調製)
上記離型剤マスター溶液を25部、着色剤マスター溶液を16部、メチルエチルケトン(有機溶剤A)を58.8部、合成例2の樹脂を45.6部、合成例1の樹脂を36.4部仕込み、温度条件が30〜40℃の範囲でデスパーにより3時間の間混合し、溶解・分散を行った。得られた混合物は、固形分含有量を55%に調整してミルベースMoとした。
(ミルベースM1の調製)
上記離型剤マスター溶液を25部、着色剤マスター溶液を16部、酢酸エチル(有機溶剤A)を43.7部、合成例2の樹脂を45.6部、合成例1の樹脂を36.4部仕込み、温度条件が30〜40℃の範囲でデスパーにより3時間の間混合し、溶解・分散を行った。得られた混合物は、固形分含有量を60%に調整してミルベースM1とした。
(合一法による合一体Woの製造)
攪拌翼としてデスパー翼を有する円筒型の2LセパラブルフラスコにミルベースMoを545.5部仕込み、次いで1規定アンモニア水51.88部を加えて、デスパーにより3600rpmにて十分に攪拌した後、温度を23℃に調製した。ついで、攪拌速度を7000rpmに変更して370部の脱イオン水を滴下して微粒子分散体を作製した。この時の攪拌翼の周速は14.7m/sであった。次に、脱イオン水176部を加えて溶剤量を調整した。
次いで、攪拌速度を3600rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるエマール0(花王社製)2.8部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を158rpmに調整し、4.5%の硫酸アンモニュウムの水溶液を、合一体の粒径が5.5μmに成長するまで滴下し、その後、同条件で粒径が7μmに成長するまで攪拌を続け合一操作を終了した。また、このときの攪拌翼の周速は0.54m/sであった。その後、減圧下、真空度が5kPaとなるまでメチルエチルケトンを留去した。脱溶剤後の合一体を含む水性媒体をWoと略記する。Woに含まれる合一体の50%体積粒径は7.55μm、Dv/Dn=1.13、5μm以下の個数%は12.0%、平均円形度は0.973であった。また、固形分含有量は23.6%であった。
(合一法による合一体W1の製造)
攪拌翼としてデスパー翼を有する円筒型の2LセパラブルフラスコにミルベースM1を500部仕込み、次いで1規定アンモニア水51.88部を加えて、デスパーにより3600rpmにて十分に攪拌した後、温度を23℃に調製した。ついで、攪拌速度を7000rpmに変更して370部の脱イオン水を滴下して微粒子分散体を作製した。この時の攪拌翼の周速は14.7m/sであった。次に、脱イオン水76部を加えて溶剤量を調整した。
次いで、攪拌速度を3600rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるエマール0(花王社製)2.8部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を300rpmに調整し、4.5%の硫酸アンモニュウムの水溶液を、合一体の粒径が5.5μmに成長するまで滴下し、その後、同条件で粒径が7μmに成長するまで攪拌を続け合一操作を終了した。また、このときの攪拌翼の周速は1.03m/sであった。その後、減圧下、真空度が5kPaとなるまで酢酸エチルを留去した。脱溶剤後の合一体を含む水性媒体をW1と略記する。W1に含まれる合一体の50%体積粒径は7.65μm、Dv/Dn=1.15、5μm以下の個数%は18.0%、平均円形度は0.971であった。また、固形分含有量は23.6%に調整した。
(実施例1)
Wo750部に対し、アセトン(有機溶剤B)/水=109部/47部に調製した含水溶剤を滴下し、温度を30℃に調整して1時間の攪拌を行った。滴下後の合一体の50%体積粒径は8.11μmであり、膨潤率は24%であった。その後、減圧下で脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い、実施例1のトナーを得た。
(実施例2)
Wo750部に対し、アセトン(有機溶剤B)/水=109部/47部に調製した含水溶剤を滴下し、温度を30℃に調整して1時間の攪拌を行った。滴下後の合一体の50%体積粒径は8.11μmであり、膨潤率は24%であった。その後、減圧下で脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、アセトン(有機溶剤B)/水=109部/47部に調製した含水溶剤を滴下し、上記と同様の操作を行うことにより2回目の抽出、置換操作を行った。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い、実施例2のトナーを得た。
(実施例3)
Wo750部に対し、アセトン(有機溶剤B)/水=67部/29部に調製した含水溶剤を滴下により添加し、温度を30℃に調整して1時間の間攪拌を行った。滴下後の合一体の50%体積粒径は8.09μmであり、膨潤率は23%であった。その後、減圧下で脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い、実施例3のトナーを得た。
(実施例4)
有機溶剤をイソプロピルアルコールに換えた以外は実施例1と同様の操作を行い実施例4のトナーを得た。
(実施例5)
W1750部に対し、アセトン(有機溶剤B)/水=109部/47部に調製した含水溶剤を滴下し、温度を30℃に調整して1時間の攪拌を行った。滴下後の合一体の50%体積粒径は8.23μmであり、膨潤率は24.5%であった。その後、減圧下で脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い、実施例5のトナーを得た。
(比較例1)
Wo750部に対し、水を156部添加し、温度を30℃に調整して1時間の間攪拌を行った。その後、減圧下で追加の脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
有機溶剤をメタノールに換えた以外は比較例1と同様の操作を行い比較例2のトナーを得た。
(比較例3)
有機溶剤をエタノールに換えた以外は比較例1と同様の操作を行い比較例3のトナーを得た。
(比較例4)
有機溶剤をテトラヒドロフランに換えた以外は比較例1と同様の操作を行い比較例4のトナーを得た。
(比較例5)
W1750部に対し、水を156部添加し、温度を30℃に調整して1時間の間攪拌を行った。その後、減圧下で追加の脱溶剤を行い、真空度が4kPaとなった時点で終了した。その後、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて48hr乾燥を行い比較例5のトナーを得た。
(評価方法)
(有機溶剤Aの削減率)
各実施例、比較例のサンプル500mgを密閉された硝子瓶に秤量し、200℃で5minの加熱を行った。その時の揮発成分を採取し、ガスクロマトグラフィーにより有機溶剤(A)を定量した。比較例1のトナーにおける有機溶剤(A)の残存量を分母にして、実施例1〜4、比較例2〜4のトナー中に残存する有機溶剤(A)の残存量を除して削減率とした。結果を表2に示す。また、比較例5のトナーにおける有機溶剤(A)の残存量を分母にして、実施例5のトナー中に残存する有機溶剤(A)の残存量を除して削減率とした。結果を表3に示す。
(有機溶剤Bの残存率)
各実施例、比較例のサンプル500mgを硝子瓶に秤量し、密閉した後、200℃で5minの条件で加熱を行い揮発成分を採取、ガスクロマトグラフィーにより有機溶剤(B)を定量した。比較例1のトナーにおける有機溶剤(A)の残存量を分母にして、実施例1〜4、比較例2〜4のトナー中に残存する有機溶剤(B)の残存量を除して削減率とした。結果を表2に示す。また、比較例5のトナーにおける有機溶剤(A)の残存量を分母にして、実施例5のトナー中に残存する有機溶剤(B)の残存量を除して削減率とした。結果を表3に示す。
(乾燥後の粒子性状)
48hr乾燥後の各粒子をNL-250(ノニオン型乳化剤/第一工業製薬株式会社製)を用いて水中に分散した後、光学顕微鏡の500倍で、粒子状態を目視で観察した。比較例1に対し実施例1〜4、比較例2〜4の各サンプルについて顔料分散状態、粒子均一性に変化のないものを○、顔料分散性の劣化、あるいは粒子の均一性劣化が見られるものを×とした。また、比較例5に対し実施例5のサンプルの状態を同様に評価した。
なお、比較例1及び比較例5で得られたサンプルはいずれも顔料の分散状態は良好で、かつ粒子の状態も均一であった。また、平均円形度については、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像解析装置FPIA-1000を使用して測定した値を記載した。
Figure 2005266449
Figure 2005266449
Figure 2005266449
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表1及び2の評価結果から、有機溶剤(B)としてアセトンを用いた場合、効率よく有機溶剤(A)(メチルエチルケトン)が除去されるため、同一乾燥条件下での削減効果が大きいことがわかる。さらに、本操作を繰り返すことで削減効果は更に顕著になることがわかる。一方、合一体中に残存する有機溶剤(B)(アセトン)は微量であり、トータルの有機溶剤削減量としては大幅な削減効果があることがわかる。膨潤率の低い比較例2及び3は、削減率が低い。また、膨潤率の高い比較例4では有機溶剤(B)の増加率が高くなり、トータルでの有機溶剤削減効果が見られないため好ましくないことがわかる。本発明の製造方法に因れば、乾燥工程での有機溶剤除去にかかる負荷を大幅に削減でき、生産性の大幅な向上を期待できることがわかる。また、表3から有機溶剤(A)を酢酸エチルとしたときも同様に、有機溶剤Bとしてアセトンを使用することで、有機溶剤Aの含有量を大幅に削減できることがわかる。

Claims (7)

  1. メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(A)を含有する着色樹脂組成物中から前記有機溶剤(A)を除去する脱溶剤方法であって、前記着色樹脂組成物がポリエステル樹脂中に着色剤を分散した樹脂組成物であり、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を含有する液媒体中に前記着色樹脂組成物を浸積することにより前記着色樹脂組成物を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)と共に前記有機溶剤(A)を除去することを特徴とする脱溶剤方法。
  2. 前記有機溶剤(A)の含有量を低減した着色樹脂組成物の製造方法であって、請求項1記載の脱溶剤方法を用いたことを特徴とする着色樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記着色樹脂組成物が静電荷像現像用トナーである請求項2記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  4. 静電荷像現像用トナーの製造方法であって、下記(i)〜(v)の工程
    (i) メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(A)中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解あるいは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
    (ii)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)が水と均一に溶解もしくは混合した水溶液を製造する工程、又は前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤(A)の微粒子(C)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程、
    (iii)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、(a)前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(D)を形成させ、更に該微粒子(D)の合一体(E)を形成させる工程、又は(b)前記微粒子(C)の合一体(F)を製造する工程、
    (iv)前記有機溶剤(A)の60%以上を除去した後、アセトン及びイソプロピルアルコールから選択される1種又は2種以上の有機溶剤(B)を添加して前記合一体(E)又は前記合一体(F)を膨潤させ、その後、前記有機溶剤(B)及び前記有機溶剤(A)を除去する工程、
    (v)前記合一体(E)又は前記合一体(F)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
    を順次行うことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 水に対する有機溶剤(B)の使用比率(有機溶剤(B)/水)が、10/90〜30/70である請求項4記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 有機溶剤(A)がメチルエチルケトンである請求項4又は5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 有機溶剤(B)がアセトンである請求項4、5又は6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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