JP4356600B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、使用環境の変化に伴い、複写機、プリンター等のカラー化率は年々増加傾向にある。同時に、高解像・高階調の高画像品質の要求から、トナーの小粒径化及び分布のシャープ化による均一性向上が必須となってきている。このような状況下トナーの製造方法においても、従来の粉砕法から、いわゆる「ケミカルトナー」と呼ばれる乳化分散法や重合法等の湿式法による各種トナーの製造方法が注目されている。中でも、乳化分散法は、トナーの小粒径化や球形化が容易であることに加え、重合法と比較して、バインダー樹脂の種類の選択幅が広くなり、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等の縮合系樹脂を主結着樹脂として使用できる。そのため、樹脂本来の広い領域での耐オフセット性、低温定着性、ガラス転移温度の保持による良好な耐熱保存性、等の利点を活かすことが可能である。
乳化分散法を用いたトナーの製造方法に関する従来の技術としては、例えば、着色剤とアニオン型自己水分散性樹脂となるポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化することによりトナー粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。更に、着色剤とポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化を行い、次いで合一工程を行うことにより粒度分布がシャープなトナーを高収率で製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、乳化分散法においては、疎水性有機溶剤を使用して結着樹脂であるポリエステル樹脂を溶解もしくは縣濁させて有機層を調整し、次いで、水性媒体中で粒子を形成するため、得られたトナー粒子(着色剤含有樹脂粒子と以下称する)中には有機溶剤が含有されている。本製法では、水性媒体中で粒子を形成した後、脱溶剤を行い、水性媒体中に含有された疎水性有機溶剤の一部を除去した後、固液分離・洗浄を行い、得られた含水着色剤含有樹脂粒子から、乾燥工程で水分と残留している疎水性有機溶剤を除去する必要がある。該着色樹脂粒子中には溶剤が残存しており、ガラス転移温度が低下しているため、乾燥温度を上げると融着物が発生するため、本製法では低温乾燥が必須条件となる。
乾燥工程における乾燥方法としては、リボコーン(大河原製作所)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機を用いて乾燥を行う例が開示されている(例えば、特許文献3〜5参照)。上記混合真空乾燥機を用いて含水着色剤含有樹脂粒子を乾燥する場合、伝熱面を有した間接加熱方式であるため、スケールアップを行うと真空容器内に仕込まれた該樹脂粒子に対する伝熱面積の割合が大スケールになるほど低下するというデメリットがあり、長時間の乾燥が必要になる。さらに、メカニカルな稼働部を有しているため、稼働部での発熱による融着、あるいは攪拌翼による圧縮専断による融着、あるいは攪拌摩擦による蓄熱による融着物が発生し、画像特性を低下させるという問題を有している。また、混合真空方式による乾燥方法において乾燥時間を短縮する目的で、真空乾燥に入る前段階で流動層、あるいはフラッシュジェットドライヤー(セイシン企業)等により水分を除去する方法も提案されているが、融着物の問題は依然として解決されていない(例えば、特許文献6参照)。一方、乾燥気流を用いた流動層による乾燥方法についても開示されている(例えば、特許文献7〜10参照)。流動層による乾燥では、熱気流による直接的な熱交換を行うため、効率よく水分を除去できるが、温度を高くすることができないため、粒子内に残存した有機溶剤を一定値以上に除去することができない。
上記乾燥方法では、いずれもまず水分を除去した後、残存する有機溶剤等を除去する方法であるが、機械的振動と調湿された気流を用いて流動層を形成し、平衡含水状態で有機溶剤をまず除去し、次いで、乾燥気流下で水分を除去する乾燥方法が開示されている(例えば、特許文献11参照)。
流動層は、粉粒体中にエアを吹き込み、固体粒子を浮遊・縣濁させ、流体に似た状態(噴流性)で乾燥を行う。従来の流動層はエアの風量により流動性を確保するため、粉体の大きさに限界があった。粉体間の凝集を防ぐのは風量しかなく、効率的な乾燥ができない。本公報の流動層では、振動方式が導入されており、「振動+風量」により、流動化を行っている。両者の相乗効果により、安定的な流動層を確保可能となり(凝集を防ぐ効果大)、さらに少ないエア量で流動化可能となる。その結果、より均一な「固−気」の接触が可能となり、乾燥効率が向上する。
本公報の流動層では、「振動+風量」による流動化と、「調湿エア」による有機溶剤成分同伴効果を組み合わせることにより、効率的な有機溶剤除去プロセスが構築されている。ちなみに、該流動層では、最初に湿潤環境下に調湿エアによる有機溶剤除去を行い、その後乾燥エアによる水分除去を行うが、乾燥エアによる水分除去効率も上記特性により、通常の流動層に比べ良好であることが推測される。
特開平8−211655号公報 特開2002−287424号公報 特開平11−295927号公報 特開2001−235900号公報 特開2004−117782号公報 特開2002−6552号公報 特開平8−179562号公報 特開平11−344831号公報 特開2000−330335号公報 特開2004−226445号公報 特許03439796号公報
しかしながら、特許文献11では、主に食品や医薬品に関する晶析時に用いる有機溶剤、あるいは洗浄に用いる有機溶剤の除去に限定されている。使用される有機溶剤は、メタノールやアセトン等の主に水溶性の有機溶剤であり、被乾燥物に対し溶解性を有しないものとなっている。一方、乳化分散法で使用されるような、樹脂を溶解・懸濁可能な、樹脂と有機溶剤との親和性の高い、かつ、水に対する溶解度の低い疎水性有機溶剤に関しての情報、また、着色剤を含有した樹脂粒子中に内包された疎水性有機溶剤の除去に関しての情報、については何ら開示されていない。さらに、流動層においては被乾燥物の粉体流動性、すなわち粉体特性が重要となるが、該着色剤含有樹脂粒子の粒径、粒度分布、形状に関する情報も何ら開示されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、疎水性有機溶剤と着色剤と結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む有機層を調製した後、水性媒体中における粒子形成工程を経て得られる静電荷像現像用トナーの製法において、得られた含水着色剤含有樹脂粒子中から効率的に水分と疎水性有機溶剤を除去するための新規な製造方法を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、「振動+風量」による流動化と、「調湿エア」による有機溶剤成分同伴効果を組み合わせた、流動層乾燥機を用いることにより、湿式中で得られた含水着色剤含有樹脂粒子中から、水分と使用した疎水性有機溶剤を効率よく、かつ大幅に低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤と該ポリエステル樹脂を溶解又は分散可能な疎水性有機溶剤とを含む混合物を、水性媒体中に乳化又は懸濁させて着色剤含有樹脂粒子の懸濁液とし、該着色剤含有樹脂粒子を洗浄、脱水して含水着色剤含有樹脂粒子を得る第1工程、該含水着色剤含有樹脂粒子を流動層乾燥機中で、機械的振動と、相対湿度が70〜100%に調湿された気体(I)の送入と、により浮遊懸濁させて、流動層状態とし、流動層状態となった該含水着色剤含有樹脂粒子に残存する該疎水性有機溶剤を気体(I)の水分と置換した後、残存する水分を相対湿度が60%以下に調湿された気体(II)で置換する第2工程、を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、結着樹脂であるポリエステル樹脂と親和性の高い、疎水性溶剤を内包した、含水着色剤含有樹脂粒子中から、該疎水性有機溶剤と水分を効率的に、かつ大幅に低減した、静電荷像現像用のトナーを製造することができる。
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。本発明の製造方法は、以下の第1工程及び第2工程を備えている。
第1工程:ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤と該ポリエステル樹脂を溶解又は分散可能な疎水性有機溶剤とを含む混合物を、水性媒体中に乳化又は懸濁させて着色剤含有樹脂粒子の懸濁液とし、該着色剤含有樹脂粒子を洗浄、脱水して含水着色剤含有樹脂粒子を得る。
第2工程:該含水着色剤含有樹脂粒子を流動層乾燥機中で、機械的振動と相対湿度が70〜100%に調湿された気体(I)の送入と、により浮遊懸濁させて、流動層状態とし、流動層状態となった含水着色剤含有樹脂粒子に残存する疎水性有機溶剤を気体(I)の水分と置換した後、残存する水分を相対湿度が60%以下に調湿された気体(II)で置換する。
なお、着色剤含有樹脂粒子は、
(1)着色剤とポリエステル樹脂が溶解または分散した疎水性有機溶剤の微粒子、
(2)着色剤の微粒子に水性媒体中に溶解したポリエステル樹脂が付着した状態の乳化型の微粒子、
または、
(3)着色剤の微粒子に疎水性有機溶剤により膨潤したポリエステル樹脂のミクロエマルジョンが付着した乳化型の微粒子
の形態のいずれかの微粒子、またはそれらの形態の混合微粒子であっても良い。
後記の合一法によりトナーを製造する場合は、上記(2)または(3)の状態である着色剤含有樹脂粒子の懸濁液を製造することが好ましい。
まず、第1工程について詳しく説明する。第1工程では、まず疎水性有機溶剤中にポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤とを投入して、溶解または分散させることで、混合物を調整する(工程1−i)。必要に応じて、離型剤や他の添加剤を混合物と共に用いることができるが、いずれにおいてもトナー粒径以下に微分散または溶解される必要がある。
結着樹脂と着色剤は、高速攪拌機により疎水性有機溶剤中に溶解または分散することが好ましい。この場合、離型剤のような添加剤などはあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター混練チップを調整した後に混合しても良い。第1工程においては、DESPA(アサダ鉄工株式会社)、ホモミクサ(特殊機化工業株式会社)などの高速攪拌機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、10〜25m/sであることが特に好ましい。上記高速攪拌機を用いることで、結着樹脂の疎水性有機溶剤への溶解を効率よく行えると共に、着色剤の結着樹脂溶液中での均一微分散を達成できる。すなわち、あらかじめ微分散された着色剤の状態を高速攪拌することで、結着樹脂溶液中においても保持することができる。翼先端速度が4m/sより低いと、結着樹脂溶液中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと、専断による発熱が大きくなり、溶剤の揮発と相まって均一攪拌が困難となるため好ましくない。
疎水性有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜25質量%であることが特に好ましい。このような疎水性有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、などが用いられる。これらの疎水性有機溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、疎水性有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解または分散するものであり、毒性が比較的低く、かつ後の工程で脱溶剤しやすいために低沸点のものが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂を溶解する有機溶剤としては、溶解、分散性に優れている、メチルエチルケトン、酢酸エチルを用いている。特にメチルエチルケトンを用いることがもっとも好ましい。
次いで、得られた混合物を、水性媒体中に乳化又は懸濁させて、着色剤含有樹脂粒子の懸濁液を調製する(工程1−ii)。好ましくは、塩基性化合物である塩基性中和剤の存在下で水と混合して懸濁または溶解し、着色剤含有樹脂粒子(微粒子(A))の懸濁液を調製する。ここで、塩基性化合物の塩基によってポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和した着色剤含有樹脂液に水を徐々に添加することが好ましい。水を滴下終了した後の水と有機溶剤の比率は50:50〜80:20が好ましく60:40〜80:20がより好ましい。
本発明で用いるポリエステルは、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であれば、カルボキシル基を中和することにより水中で容易に分散するか(以下、自己水分散性という)、または水溶性となる。又、自己水分散性または水溶性のポリエステル樹脂の酸価は、1〜30KOHmg/gが好ましく、3〜20KOHmg/gであることがより好ましい。
これは、ポリエステル樹脂の酸価が1未満であると、ポリエステル樹脂と有機溶剤とが水と均一に溶解もしくは混合した水溶液の製造、またはポリエステル樹脂と有機溶剤との微粒子が水中に懸濁した懸濁液の製造がスムーズに行われず、粗大粒子が発生するので好ましくない。
一方、ポリエステル樹脂の酸価が30より大きいと、各種環境下における帯電量が安定しないため好ましくない。酸価が1〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加し、分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散または溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が用いられる。特に、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基が好ましい。ポリエステル樹脂を水中または水が主成分で有機溶剤を含む媒体(水性媒体)中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤などの分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となってしまう。これにより、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになることから好ましくない。また、ゲル分を含有するような架橋型ポリエステル樹脂の場合には、さらに不均一な粒度分布となり、実用上限界がある。したがって、本発明では、自己水分散性または水溶性であるポリエステル樹脂を用い、ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基を、塩基性化合物により中和する。
ポリエステル樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物の塩基で中和する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、有機顔料、離型剤及び有機溶剤等を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法や、(2)水または水性媒体中にあらかじめ塩基性中和剤を混合しておき、第2工程を行う際に前記混合物に含まれるポリエステル樹脂の酸性基を中和する方法などが挙げられる。
ここで、塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量が好ましく、また、1〜2倍に相当する量であることがより好ましい。このようにポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、異形の粒子が生成するのを防止することができ、また、合一工程における粒度分布をシャープにすることができる。
工程1−iiおいては、DESPA(アサダ鉄工株式会社)、ホモミクサ(特殊機化工業株式会社)あるいはスラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、などの高速攪拌機、あるいは高速分散機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、10〜25m/sであることが特に好ましい。上記高速攪拌機、あるいは高速分散機を用いることで、混合物の水性媒体中への縣濁液を効率よく得られると共に、該混合物に含まれる着色剤の水性媒体中における均一微分散を達成できる。すなわち、あらかじめ工程1−iで微分散された着色剤の状態を高速攪拌することで水性媒体中においても保持することができる。翼先端速度が4m/sより低いと、水性媒体中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと、飛散が激しくなり不溶解物が混在する傾向が見られるため好ましくない。また、その時の温度は、特に制限はないが、温度が高いと、転相水量が多くなるため好ましくない。また、低温だとポリエステル樹脂及び有機溶剤を含む混合物の粘度が上昇し、粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。また、工程1−iiの温度範囲としては10℃〜50℃であることが好ましく、20℃〜45℃であることが特に好ましい。
次いで、前記懸濁液に分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記着色剤含有樹脂粒子(微粒子(A))の合一体(B)を製造する(工程1−iii)。
合一法では、着色剤含有樹脂粒子(微粒子(A))の懸濁液を水で希釈して溶剤量を調整し、その後、分散安定剤を添加する。そして、分散安定剤の存在下で電解質の水溶液を滴下することで合一を進めて合一体を得る。微粒子(A)の懸濁液に電解質を添加することで、微粒子が塩析または不安定化され、さらに複数の微粒子が一体化することによって合一が進行し、合一体を得ることができる。なお、電解質を添加することにより、微粒子(A)同士が合一するばかりでなく、水性媒体中に溶解しているポリエステル樹脂が塩析または不安定化することによりポリエステル樹脂の微粒子が析出し、微粒子(A)の表面または既に合一した微粒子(A)の合一体に付着して、或いは、水性媒体中に溶解しているポリエステル樹脂が塩析または不安定化することにより、直接、微粒子(A)の表面または既に合一した微粒子(A)の合一体に付着することにより、合一が進行し、合一体を得る。
工程1−iiで得られた微粒子(A)の懸濁液は、微粒子(A)の近傍に存在するポリエステル樹脂のカルボン酸塩等による水和作用により水性媒体中で安定して分散している。工程1−iiiでは、微粒子が分散している水性媒体中にその水和状態を破壊あるいは減少させる電解質を添加することで、粒子を析出あるいは不安定化させる。ここで用いられる電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの有機、無機の水溶性の塩なども電解質として有効に用いることができる。これらの電解質は、単独でも、2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのような1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。ここで得られる合一体は溶剤によって膨潤しており、かつ電解質を添加することによって粒子の水和状態が不安定な状態となっているため、低シェアー(低剪断力)の攪拌により粒子同士を衝突させて合一を進行させることが好ましい。高剪断条件下で合一工程を行うと、合一が行われた粒子の分裂と合一が同時に行われるため好ましくない。分裂が起きずに合一のみが進行するような低シェア条件下で合一工程をコントロールすることが好ましい。
ところで、電解質などの添加だけでは、系内の合一体の分散が不安定になっているため、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物が発生することがある。このように電解質の添加により生成した合一体が不均一な合一を繰り返すことによって目的とする粒子径以上の凝集体を形成するのを防止するためには、電解質を添加する前に、ヒドロキシアパタイトなどの無機分散安定剤やイオン性あるいはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。工程1−iiiにおいて用いられる分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤などがある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があるので好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。上述した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、シャープな粒度分布が得られると共に、収率の向上が達成される。
また、均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重要であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼などが用いられている。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような均一混合性に優れた大型翼を用いることが好ましい。均一な合一体を生成させるための攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアでの攪拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。攪拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存するため好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、攪拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となるので好ましくない。上述した条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離、分散することがない。特に、合一法では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつシャープな粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
合一体を形成する場合には、系中のメチルエチルケトン量を調整することが好ましい。そのため、必要に応じて系中の懸濁液または水溶液を水でさらに希釈することが好ましい。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。電解質を添加する前の系中に含まれる溶剤量は、12〜45質量%が好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。溶剤量が12質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなるので好ましくない。また、溶剤量が45質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるので好ましくない。
また、使用する分散安定剤の量は、例えば固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることが特に好ましい。これは、0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られないためである。また、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存してしまい収率を低下させるためである。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。これは、電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないためである。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるためである。
また、合一時の温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。これは、温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるためである。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるためである。本発明の製造方法では、例えば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一体の生成が可能である。
ところで、摩擦帯電性能を良好に保持するためには、着色剤などがトナー粒子表面に露出しないようにすること、すなわち着色剤などがトナー粒子に内包されたトナー構造とすることが有効である。トナーの小粒径化に伴う帯電性の悪化は、含有する着色剤やその他の添加物(通常離型剤など)の一部がトナー粒子表面に露出することも原因になっている。すなわち、着色剤などの含有率(質量%)が同じであっても、小粒径化によりトナー粒子の表面積が増大し、トナー粒子表面に露出する着色剤や離型剤などの比率が増大し、その結果トナー粒子表面の組成が大きく変化し、トナー粒子の摩擦帯電性能が大きく変わり適正な帯電性が得られにくくなる。
上記の製造方法により製造されるトナー粒子は、着色剤や離型剤などがポリエステル樹脂に内包されていることが特徴である。トナー粒子表面に着色剤や離型剤などが露出していないことは、例えば、粒子の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより容易に判定できる。より具体的には、トナー粒子を樹脂包埋してミクロトームで切断した断面を、必要ならば酸化ルテニウムなどで染色し、TEMで観察することで、着色剤や離型剤などが粒子内に内包されてほぼ均一に分散していることが確認できる。
工程1−iiiで得られる合一体の形状は、合一の程度により不定形から球形まで変化させることができる。例えば、平均円形度で表現すれば、0.94〜0.99まで変化させることが可能である。なお、この平均円形度は、最終的に得られたトナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、画像解析装置(ルーゼックスAP 株式会社ニレコ製)などで計算することで求められるが、シスメックス(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000を使用すると容易に得られるため、本明細書ではこの装置で測定した値を平均円形度としている。
トナー粒子の形状は、平均円形度が0.96以上であることが好まく、0.97以上であることがより好ましい。これは、平均円形度を0.97以上の略球形あるいは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率の向上がみられ、トナーとして用いる場合には上記範囲とすることが好ましい。特に、粒径が小さくなるにつれ、球形と不定形では、粉体流動性、転写効率、トナー消費量の面での差は大きくなる。
次に、合一工程において得られた合一体を含む水性媒体から有機溶剤を除去する(工程1−iv)。合一工程で得られた合一体は有機溶剤を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。
次に、合一体(B)を水性媒体から分離し、洗浄、脱水する(工程1−v)。水性媒体からの分離は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルターなどの公知慣用の手段で行うことができる。ついで粒子を乾燥させることによりトナー粒子を得ることができる。ここで、工程1−iiiにおいて分散安定剤を用いている場合、より十分に洗浄することが好ましい。
上記工程により得られた合一体(B)(含水着色剤含有樹脂粒子)を、以下の第2工程に供する。
トナーの粒度分布については、コールター社製マルチサイザーTAII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。これは、1.25以下であると良好な画像が得られやすくなるためである。また、GSD(幾何標準偏差)は1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、コールター社製マルチサイザーTAII型による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。また、このようなシャープな粒度分布を有することで、第1工程終了後の含水率が低減できると共に、第2工程における流動性が向上するため好ましい。
トナーの体積平均粒径として、得られる画像品質などの点から1〜13μmの範囲にあるものが好ましく、3〜10μm程度が現行のマシンとのマッチングが得やすいことなどもあってより好ましい。カラートナーにあっては、体積平均粒径が3〜8μmとなる範囲が好適である。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現されるからである。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物であることが好ましく、以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって得られる。
架橋型ポリエステルは、2価の多塩基酸またはその誘導体と、2価のアルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、2価の多塩基酸またはその誘導体と、2価の脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、2価の多塩基酸類と、2価のアルコールとを反応させることによって製造する。特に、2価の多塩基酸類と、2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に使用する酸成分としては、以下の2価の塩基酸類を使用することができる。例えば、2価の塩基酸化合物としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸またはその誘導体またはそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、以下のアルコール類を使用することができる。2価の脂肪族アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−660,N−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695などが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−740,N−770,N−775,N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェルジャパン製が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを適宜使用することができる。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との使用比率は、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40が好ましく、10/90〜40/60であることがより好ましく、15/85〜30/70であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂の比率が5質量%よりも少ないと、耐ホットオフセット性が低下するので好ましくない。また、合一速度が低下し、ワックスや着色剤などの分散性が低下するので好ましくない。また、60質量%よりも多いと、溶融粘度(T1/2温度)が上昇し、低温定着性が低下するので好ましくない。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60〜85℃であることが好ましく、60〜75℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が60℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましく、55〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が50℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、160℃以上となっていることが好ましく、中でも、160℃〜220℃であることが好ましい。ここで、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、170℃〜200℃であることがより好ましく、170℃〜190℃であることが特に好ましい。これは、軟化点が160℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、220℃を越える場合は、定着性が悪化しやすくなるためである。
また、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃以上となっていることが好ましく、中でも、90℃〜130℃であることが好ましい。ここで、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃〜120℃であることがより好ましく、95℃〜110℃であることが特に好ましい。これは、架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が90℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、130℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃となっていることが好ましい。ここで、混合物の軟化点は、110℃〜140℃であることがより好ましく、110℃〜135℃であることが特に好ましい。これは、上述と同様に、軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、150℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
ポリエステル樹脂の軟化点は、定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスタでの測定条件は、ピストン断面積1cm 、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料質量1.5gの条件で行った。
本発明の製造方法では、離型剤を用いることができる。その場合に離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックス類の中から選択した離型剤が用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類が好適に用いられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5(日本油脂社製)が好適に用いられる。離型剤の含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。
また、帯電制御剤を用いることができる。正帯電性帯電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物などが使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックスなどの重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/またはスルホニル基を含有する樹脂などが挙げられる。
帯電制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色剤については、特に制限はなく、公知慣用のものが用いられる。黒色系着色剤としては、カーボンブラック、C.I.Pigment Black 11などの鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12などの鉄−チタン複合酸化物系顔料が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
また、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63などが挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,15,16,60が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 17,74,93,97,110,155及び180が挙げられ、より好ましくはC.I.Pigment Yellow 74,93,97,180が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 93,97,180が好ましい。
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122及び209が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Red 57:1,122及び209が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜18質量%であることがさらに好ましく、2〜15質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
次に、第2工程について詳しく説明する。まず、第1工程で得られたれた該含水着色剤含有樹脂粒子を流動層乾燥機中で、機械的振動と相対湿度が70〜100%に調湿された気体(I)の送入と、により浮遊懸濁させて、流動層状態とし、流動層状態となった含水着色剤含有樹脂粒子に残存する疎水性有機溶剤を気体(I)の水分と置換する。
含水着色剤含有樹脂粒子のウェットケーキを、撹拌翼を有するヘンシェルミキサー等の撹拌機を用いて解砕する。さらに、好ましくはBET表面積が30〜200、特に好ましくは50〜150の無機酸化物を添加して解砕を続け、嵩比が好ましくは0.2〜0.8g/ml、更に好ましくは0.3〜0.6g/mlの解砕物とする。嵩比が0.2よりも低いと良好な流動層が形成されず、溶剤と水の置換が効率的に進まず好ましくない。また、嵩比が0.8よりも高くなると、流動性が高いためにバグフィルターの目詰まりを起こし、その結果、圧損が高くなるため好ましくない。無機酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニュウム、等の無機酸化物、及びそれらをシリコーンオイル、シランカップリング剤などの疎水化処理剤で表面処理したもの等が上げられる。得られた解砕物を流動層乾燥機に投入して浮遊懸濁させ、流動層状態とする。
かかる流動層乾燥機の一例を図1に示す。加湿器2と加熱・冷却器3の下流側に振動流動層装置4が接続され、加湿器2、加熱・冷却器3の上流側には流量計5,6が接続されており、流量計5、6の上流側には空気圧縮機7が接続されている。振動流動層装置4は、スプリング8を介して機台9に支持された機枠10と、それに取付けられた振動モータ11と、機枠10の上部に載置固定された密閉容器12と、密閉容器12の下部に介装された分散板13と、密閉容器12に周設された熱媒体の流通可能なジャケット14,14と、密閉容器12の蓋体に開設された粉粒体投入口15及び排気口16と、分散板13の上部において密閉容器12の下部に開設された粉粒体排出口18と、排気口16から密閉容器12の内部へ挿入された筒状フィルタ20とを備えている。
振動モータ11を回転させて、密閉容器12に振動を加えつつ、空気圧縮機7から各バルブの開度を調節することにより所定流量に制御した空気を流動層乾燥機1へ送入し、ここで調湿調温した後、調湿調温した空気(気体(I))を分散板13を介して密閉容器12へ送入する。粉粒体投入口15から密閉容器12に投入した疎水性有機溶剤を含有する含水着色剤含有樹脂粒子は、風量、湿度、温度が調整された空気の流入と振動によって、浮遊しつつ激しく混合撹拌する流動層状態となる。この流動層状態で、ジャケット14,14へ熱媒体を流通させることにより密閉容器12の雰囲気を所定温度に保持しつつ、粉粒体の疎水性有機溶剤と調湿調温気体の水分とを効率的に置換させ、置換した疎水性有機溶剤を該調湿調温気体と共に排気口16から系外へ排気する。
気体(I)の相対湿度は、70〜100%、特に80〜100%であることが好ましい。70%未満では、含水着色剤含有樹脂粒子中の水分が先に除去されてしまい、疎水性有機溶剤との置換が不十分となる。また、気体(I)の温度は、40℃以下であることが好ましい。40℃超では、含水着色剤含有樹脂粒子が融着し、凝集体が発生する可能性が高くなる。風量は、嵩比0.2〜0.8g/ml、平均粒径1〜13μmの含水着色剤含有樹脂粒子において、1.2m/min・m〜16m/min・m、特に2.5m/min・m〜5m/min・mであることが好ましい。風量が1.2m/min・mよりも少ないと、含水着色剤含有樹脂粒子が浮遊を開始できないため好ましくない。また、16m/min・mよりも大きいと流動状態が乱れ送入気流のチャンネリングが起こり、効率的な溶剤の除去ができなくなり、好ましくない。さらに、振動は、1000回/sec以上、特に1200回/sec以上とすることが好ましい。1000回/sec以上とすることにより、含水着色剤含有樹脂粒子を密閉容器内で効率的に流動層状態とすることができる。
このように、流動層状態となった含水着色剤含有樹脂粒子は、疎水性有機溶剤が気体(I)の水分と効率的に置換され、脱溶剤される。
処理時間に特に制限はないが、例えば、1〜20時間が好ましい。
次いで、残存する水分を、相対湿度が60%以下、好ましくは50%以下に調湿された気体(II)で置換することにより、着色剤含有樹脂粒子の乾燥粉を得ることができる。相対湿度が60%以下の気体(II)を用いることにより、含水着色剤含有樹脂粒子中の水分を効率よく乾燥させることができる。気体(II)の温度は、30℃以上であることが好ましい。30℃未満では、水分の除去を効率よく行うことができない。風量は、1.2m/min・m〜16m/min・m、特に2.5m/min・m〜10m/min・mであることが好ましい。さらに、振動は、1000回/sec以上、特に1200回/sec以上とすることが好ましい。1000回/sec以上とすることにより、含水着色剤含有樹脂粒子を密閉容器内で効率的に流動層状態とすることができ、水分の除去を効率よく行うことができる。処理時間に特に制限はないが、例えば、1〜20時間が好ましい。
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として公知慣用の無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタンなどの無機微粒子、あるいは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性などの物理的特性を改良する効果がある。外添剤の種類は、各種シリコーンオイル、あるいはシランカップリング剤で処理された疎水性シリカなどが好適に用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α―メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッソ変性シリコーンオイル、及びオレフィン変性シリコーンオイルなどで処理された疎水性シリカが挙げられる。外添方法は、公知慣用の機種を用いて処理される。
上記のトナー粒子にキャリアを混合することによって、二成分静電荷像現像剤とすることができる。静電荷像現像剤は、本発明の製造方法により製造されたトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
静電荷像現像剤に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形など、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜200μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜110μmが好ましい。
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。
これらの中でも、特にシリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度などに優れ、より好適に使用できる。また、トナー粒子とキャリアとからなる現像剤の帯電特性は、シリコンなどのコート剤のコート量の調整、帯電制御剤の添加、カーボンに代表される導電物質の添加などにより調整できる。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであり、場合により、コート剤中に帯電制御剤、カーボンなどを添加して帯電特性を調整することが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されたトナーは、通常の非磁性一成分現像方式の印刷装置、あるいは二成分現像方式の印刷装置、磁性一成分現像方式の印刷装置などに使用できる。また、現像剤担持ロールと層規制部材とを有する非磁性一成分現像装置などを用いて摩擦帯電された粉体トナーを、トナー通過量などを調節する機能の電極を周囲に有するフレキシブルプリント基板上の穴を通して、背面電極上の紙に直接吹き付けて画像を形成する方式の、いわゆるトナージェット方式のプリンタなどにも好適に使用できる。本発明の製造方法により製造されたトナーは、潜像保持体上に静電荷像を形成させ、得られた静電荷像を、現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像し、前記荷像保持体上に形成されたトナー像を紙やフィルムなどの転写材上に転写し、該転写材上のトナー像をヒートロールにより熱定着する画像形成方法により印刷を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例・比較例では、特に表示がない限り部は質量部、水は脱イオン水の意である。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
<架橋型ポリエステル樹脂の合成例>
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 252 質量部
イソフタル酸 63 質量部
プロピレングリコール 122 質量部
ネオペンチルグリコール 21 質量部
エチレングリコール 12 質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 9.4質量部
カージュラE 9.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.8、DSC測定法によるガラス転移温度74℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が180℃であった。
*エピクロン830:大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂
エポキシ当量170(g/eq)
*カージュラE(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)
エポキシ当量250(g/eq)
<直鎖型ポリエステル樹脂の合成例>
(樹脂合成例2)
テレフタル酸 189質量部
イソフタル酸 126質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.2、DSC測定法によるガラス転移温度56℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が106℃であった。樹脂合成例1、2のモノマー組成等を表1に示す。
Figure 0004356600
表中の表示は以下の通り。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
PG:プロピレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
(離型剤マスター分散液の調製例)
カルナバワックス「カルナバワックス 1号」(加藤洋行輸入品)50部と直鎖型ポリエステル樹脂(樹脂合成例2)50部とメチルエチルケトン150部とをデスパーで予備混合した後、スターミルLMZ-10(アシザワファインテック社製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%の離型剤微分散液W―1を調製した。
(着色剤マスターの調製例)
着色顔料と低粘性ポリエステル樹脂とを有機溶剤(メチルエチルケトン)中に添加し、デスパーにてプレ分散を行った後、スターミルLMZ-10(アシザワファインテック社製)で湿式分散を行い、各着色剤のマスター溶液を調製した。表3に着色剤マスター溶液の配合、分散条件、最終的に得られたマスター溶液の固形分含有量を示した。また、得られたマスター溶液を合成例2の樹脂及びMEKで希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察し、粗大粒子がなく、均一に微分散しているものを○、3μm以下の粗大粒子が若干残存しているものを△、5μm以上の粗大粒子が多数残存しているものを×として、表2に示した。
Figure 0004356600
表2に使用した着色剤は以下の通りである。
シアン:大日本インキ化学工業(株)社製シアン顔料「Ket-111」
(Pigment Blue 15:3)
(ミルベースの調製例)
上記離型剤分散液、着色剤マスター溶液、あるいは着色剤マスターチップ、希釈樹脂(追加樹脂)、メチルエチルケトンを、固形分含有量が55%、温度条件が30〜40℃の範囲でT.K.ホモディスパー翼(T.K.ロボミックス:特殊機化工業株式会社)の3600rpmにより3時間の間混合し、溶解・分散を行った。得られた混合物は、固形分含有量を55%に再調整してミルベースとした。作製したミルベースの配合を表3に示す。
Figure 0004356600
(トナー母粒子の調製例)
攪拌翼としてデスパー翼を有する円筒型の2LセパラブルフラスコにミルベースMB−1を545.5部(固形分300部)仕込み、次いで1規定アンモニア水52部を加えて、T.K.ホモディスパー翼(T.K.ロボミックス:特殊機化工業株式会社)により3600rpmにて十分に攪拌した後、温度を23℃に調製した。ついで、攪拌速度を7000rpmに変更して370部の脱イオン水を5g/minで滴下して乳化分散体を作製した。この時の攪拌翼の周速は14.7m/sであった。また、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。次に、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
次いで、攪拌速度を3600rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC-F(第一工業製薬社製)2.2部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を400rpmに調整し、3.0%の硫酸アンモニュウム水溶液(一段目の電解質)200部を、5g/minで滴下し、その後、回転数を158rpmに調整し、粒径が4μmになるまで攪拌を継続した。引き続き、硫酸アンモニュウムの濃度を4.0%に変更した硫酸アンモニュウム水溶液(二段目の電解質)を5g/minで50部滴下し、その後攪拌を継続して粒径が7.8μmに成長した段階で希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、電解質の固形分に対する添加量は2.7%であった。その後、減圧下、真空度が4kPaとなるまでメチルエチルケトンを留去した。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返した後、着色剤樹脂粒子のウットケーキを得た。該ウエットケーキの含水率は30%、ウエットケーキ中に含まれる溶剤は1000PPM、体積平均粒径は7.7μm、体積平均粒径/個数平均粒径=1.10、平均円径度0.977であった。
なお、上記性状は下記評価装置にて測定を行った。
1)粒径、粒度分布測定
乾燥後の母トナーを、界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いでコールターカウンターマルチサイザーTAIIを用いて該母トナーの粒径、粒度分布を測定した。
2)平均円形度の測定
平均円形度は、トナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することによっても求めることができるが、本発明においては、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000により求める。フロー式粒子像分析装置FPIP−1000とは、トナー粒子等の微粒子の大きさや形状を撮像する装置であり、粒子の撮像は以下の通りに行われる。
まず、乾燥後の母トナーの少量を界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いで、この試料をフロー式粒子像分析装置FPIP−1000中に設けられた、透明且つ扁平なセル中に流下させる。このセルの片側にはパルス光を発する光源が設置されており、更に、セルを挟んで反対側にはその光源に正対するように撮像用カメラが設けられている。FPIP−1000のセル中を流下する試料中のトナー粒子は、パルス光が照射されることにより、セルを夾んで光源と正対するカメラにより静止画像として捉えられる。
このようにして撮像されたトナー粒子の像を基にして、画像解析装置により各トナー粒子の輪郭が抽出され、トナー粒子像の投影面積や周囲長(トナー粒子投影像の周長)が算出される。更に、算出されたトナー粒子像の投影面積から、それと同等の面積を有する円の円周の長さ(トナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長)が算出される。上記の平均円形度は、このように算出されたトナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長をトナー粒子投影像の周長で除したものである。
上記装置で測定する際の条件は以下の通り。
(1)トナー粒子の懸濁液の作製
水20gに対し界面活性剤(エルクリヤー(中外写真薬品(株)製)0.1gを添加し、更に試料である母トナー0.04gを添加し、超音波分散機でトナー粒子を水中に懸濁させる。
(2)測定条件
測定温度;25℃
測定湿度;60%
測定トナー粒子数;5000±2000個
(3)残存溶剤量
ガラス製のスクリュー瓶に試料を約250mg精秤し、THFを加えて全量を4460mg程度(5μL相当)とする。1時間放置した後、よく振って試料を溶解する。マイクロシリンジで試料溶液1μLをとり、GC/MSに導入して、メチルエチルケトンの定量を行った。定量値は、GC/MSのSIMモードで、MEK(m/z57)とsec-Butyl acetone(m/z56)で検量線を作成したものから求めた。
(4)含水率
試料約0.5gを精秤し、140℃―40min加熱乾燥し、デシケーター中で冷却した後再度精秤し、加熱減分から含水率を算出した。
(調温調湿空気による脱疎水性有機溶剤)
トナー母粒子の調製例で得られた着色剤含有樹脂粒子のウエットケーキ3000部を、CK翼を有する20Lヘンシェルミキサーに投入して30m/sで3分間攪拌し、一旦停止した後更に同条件で3分間攪拌して、解砕を行った。次いで、シリカH13TM(クラリアントジャパン社製シリカ、BET比表面積130)を15部添加して10m/sで1分間攪拌を行った。得られたウエットケーキの解砕物の傘比は0.45g/ccであった。次いで、該解砕物3000部を図1に記載した処理装置に投入し、40℃で相対湿度が80%の調湿調温された空気(気体I)を、5m/min・mの風量で8時間処理した。この時、処理装置は1500回/secの振動を付与し、ウエットケーキは良好な流動層を形成していた。なお、今回使用した処理装置の振動版は、直径が180mmであった。この後、40℃の乾燥空気(気体II)に切り替えて、気体Iと同様の風量で3時間処理することで、水分を除去して、着色剤含有樹脂粒子の乾燥粉を得た。また、処理装置のジャケット温度は送入する空気と同じ温度とした。
気体Iの相対湿度を変える以外は同様の操作で実施例2を行った。
(比較例1、2)
気体Iの相対湿度を変える以外は同様の操作で比較例1、2を行った。
かく実施例、比較例の条件と評価結果を表4に示す。
なお、実施例2、比較例1,2において、風量は実施例1と同様の条件で行った。
Figure 0004356600
表4における、含水率と残存MEK量の関係を見ると、含水率の高い状態でMEKが効率よく低減していることがわかる。特に、実施例における高湿気流下では、原料は高湿状態を保持しており、MEKが有効に除去されている。一方、比較例における低湿気流下では、原料は徐々に乾燥が進行し、含水率が顕著に低下している。特に含水率が減少してくる5hr以降ではMEKの低減効果が小さくなり、有効に除去されなくなっていることがわかる。また、気体IIの送入による乾燥工程では、水分は有効に除去されるが、MEKはほとんど除去されないことがわかる。
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等トナーを使用するOA機器等に利用することができる。
本発明に用いる流動層乾燥機の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 流動層乾燥機
2 加湿器
3 加熱・冷却器
4 振動流動層装置
7 空気圧縮機
10 機枠
12 密閉容器
15 粉粒体投入口
18 粉粒体排出口

Claims (10)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と着色剤と該ポリエステル樹脂を溶解又は分散可能な疎水性有機溶剤とを含む混合物を、水性媒体中に乳化又は懸濁させて着色剤含有樹脂粒子の懸濁液とし、該着色剤含有樹脂粒子を洗浄、脱水して含水着色剤含有樹脂粒子を得る第1工程、該含水着色剤含有樹脂粒子を流動層乾燥機中で、機械的振動と、相対湿度が70〜100%に調湿された気体(I)の送入と、により浮遊懸濁させて、流動層状態とし、流動層状態となった該含水着色剤含有樹脂粒子に残存する該疎水性有機溶剤を気体(I)の水分と置換した後、残存する水分を相対湿度が60%以下に調湿された気体(II)で置換する第2工程、を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記気体(I)の相対湿度が、80〜100%である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記気体(I)の温度が、40℃以下である請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法
  4. 前記気体(I)の風量が、1.2m/min・m〜16m/min・mである請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 第1工程が、下記(1−i)、(1−ii)、(1−iii)、(1−iv)及び(1−v)の工程からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
    (1−i)疎水性有機溶剤中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂及び着色剤を溶解又は分散させて混合物を製造する工程、
    (1−ii)前記混合物を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記着色剤と前記疎水性有機溶剤の微粒子(A)(着色剤含有樹脂粒子)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程、
    (1−iii)次いで、前記懸濁液に分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記微粒子(A)の合一体(B)を製造する工程、
    (1−iv)前記疎水性有機溶剤を除去する工程、
    (1−v)前記合一体(B)を前記水性媒体から分離し、洗浄、脱水する工程。
  6. 前記疎水性有機溶剤の25℃における水に対する溶解度が、0.1〜30質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記第1工程終了後、前記含水着色剤含有樹脂粒子にBET比表面積が30〜200の無機酸化物を添加し、次いで、前記第2工程を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記結着樹脂が、架橋型樹脂と直鎖型樹脂からなる樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  9. 前記混合物が、前記結着樹脂と前記着色剤とを、前記疎水性有機溶剤中に高速攪拌機を用いて溶解又は分散させた混合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  10. 前記混合物を水性媒体中に乳化又は懸濁させて着色剤含有樹脂粒子の懸濁液とする工程を、高速撹拌機を用いて行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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