JP2006038915A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造後長時間経過した後であっても当初の溶解状態、或いは分散状態を維持し、更に安定的な粒子形成が可能なミルベースを用いたケミカルトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】(i)ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を製造する工程
(ii)前記溶液の微粒子(A)が水中に懸濁した液を製造する工程、
(iii)次いで、微粒子(A)の合一体(B)を製造する工程、
(iv)有機溶剤を除去する工程、
を順次行う静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記ポリエステル樹脂が、全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上使用した架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%である静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】 なし




Description

本発明は、複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられ、更にはトナージェット方式のプリンター等にも用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
トナー用のバインダー樹脂としては、種々の樹脂が使用可能であるが、低温定着性に優れ、定着後の画像が強靱であり、比較的高いガラス転移温度を有するビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を主成分として含有したポリエステル樹脂が好適に用いられている。しかしながら、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を主原料として使用する既存のポリエステル樹脂は、低温定着性と広い温度領域での耐オフセット性のバランスが不足すること、また、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を製造する際に残留する微量のビスフェノールAが、環境ホルモンとして影響することが懸念されること、更に、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は高価であり、したがって、そのような原料を使用した樹脂を用いたトナーは高コストとなること、等が問題である。
これを改善する目的で、脂肪族多価アルコールを主成分として用いた新規なポリエステル樹脂が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
一方、これまで乳化分散法や重合法等の湿式法によるトナー(以下、ケミカルトナーという)の開発が活発に行われてきた。特に、乳化分散法は、トナーの小粒径化や球形化が容易であることに加え、重合法と比較して、(1)バインダー樹脂の種類の選択幅が広くなり、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等の縮合系樹脂が使用できる、(2)残留モノマーの低減が容易であり、低VOC化に有利である、(3)着色剤等の濃度を低濃度から高濃度まで任意に変化させることができる、などの利点を有している。さらに、湿式中で顔料等の分散を行うため分子鎖の切断がなく、樹脂本来の広い領域での耐オフセット性、低温定着性、ガラス転移温度の保持による良好な耐熱保存性、等の利点を活かすことが可能である。
乳化分散法を用いたトナーの製造方法に関する従来の技術としては、例えば、着色剤とアニオン型自己水分散性樹脂となるポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化することによりトナー粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。また、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の使用量を極力抑え、多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主成分として反応させたポリエステル樹脂と着色剤を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化することによりトナー粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。更に、着色剤とポリエステル樹脂を有機溶剤中に分散させ、その後、転相乳化を行い、更に合一工程を行うことにより粒度分布がシャープなトナーを高収率で製造する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
ところで、最近においては、トナーによる印刷画像の解像性や階調性の向上等、印刷画像品質のさらなる向上が望まれている。それに伴い、ケミカルトナーの分野においては、より粒度分布のシャープなトナーを製造する方法の開発が必要となってきている。特に、シャープな粒度分布を有し、加えて、環境に対する安全性、良好な低温定着性、広い温度領域での耐オフセット性、低コスト化等の要求を満足するトナーの開発が強く望まれている。
このような要求を満足するためのトナーとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の換わりに、脂肪族多価アルコールを原料として用いたポリエステル樹脂を使用したケミカルトナーがある。ところで、ケミカルトナーの製造においては、樹脂の組成が有機溶剤への溶解安定性、更には、水性媒体中での粒子形成挙動に微妙に作用し、製品として得られるトナーの粒度分布、形状、収率等に大きく影響を及ぼす。すなわち、樹脂の溶解安定性は、樹脂と顔料や離型剤等を溶解、分散させた有機溶剤溶液(ミルベース)の安定性に影響を及ぼす。ケミカルトナーの製造工程においては、製造直後のミルベースを水性媒体中に分散させる場合もあれば、製造後しばらく保存したミルベースを使用する場合もある。したがって、常に一定の条件の下でケミカルトナーを製造するためには、ミルベースは製造後長時間経過した後であっても当初の溶解状態、或いは分散状態を維持している必要がある。更には、水性媒体中で粒子が形成される過程において、シャープな粒度分布を得るためには、均一な粒子形成挙動の確保が必要となる。しかしながら、前記の従来技術においては、そのようなケミカルトナーを製造する場合の樹脂組成と有機溶剤への溶解安定性、更には、粒子形成挙動に関する技術については、十分な検討が為されていない。したがって、シャープな粒度分布を有し、且つ、環境に対する安全性、良好な低温定着性、広い温度領域での耐オフセット性、低コスト化等を満足するケミカルトナーの製造方法については、未だ満足できるレベルの技術が見出されていない。
特開平11−15199号公報(実施例) 特開2001−60018号公報(実施例) 特開2001−272817号公報(実施例) 特開平8−211655号公報(実施例) 特開2002−287424号公報(実施例) 特開2003−122051号公報(実施例)
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、水性媒体中における粒子形成過程において、安定的な粒子形成が可能なケミカルトナーの製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記課題を解決し、粒度分布がシャープなケミカルトナーを高収率で製造するための新規な製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記課題を解決し、球形〜略球形であり、且つ環境に対する安全性、良好な低温定着性、広い温度領域での耐オフセット性、低コスト化等を満足するケミカルトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する脂肪族アルコール化合物をアルコール成分として反応させたポリエステル樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の工程
(i)有機溶剤中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
(ii)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤の微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程、
(iii)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記微粒子(A)の合一体(B)を製造する工程、
(iv)前記有機溶剤を除去する工程、
(v)前記合一体(B)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
を順次行う静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記ポリエステル樹脂が、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
該架橋型ポリエステル樹脂(I)が
(1)2価以上の多塩基酸又はその誘導体と、
(2)全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上含有する脂肪族多価アルコール、
(3)多価エポキシ化合物、
を反応させて得られる樹脂であり、
該直鎖型ポリエステル樹脂(II)が
(1)全酸成分に対して30mol%以上のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する2価の多塩基酸類、
(2)2価の脂肪族アルコール、
を反応させて得られる樹脂であり、
前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、下記(i)、(ii-2)、(iii-2)、(iv)及び(v-2)の工程
(i)有機溶剤中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
(ii-2)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液を製造する工程、
(iii-2)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(C)を形成させ、更に該微粒子(C)の合一体(D)を形成させる工程、
(iv)前記有機溶剤を除去する工程、
(v-2)前記合一体(D)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
を順次行う静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記ポリエステル樹脂が、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
該架橋型ポリエステル樹脂(I)樹脂が
(1)2価以上の多塩基酸又はその誘導体と、
(2)全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上含有する脂肪族多価アルコール、
(3)多価エポキシ化合物、
を反応させて得られる樹脂であり、
該直鎖型ポリエステル樹脂(II)が
(1)全酸成分に対して30mol%以上のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する2価の多塩基酸類、
(2)2価の脂肪族アルコール、
を反応させて得られる樹脂であり、
前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
トナーは結着樹脂が構成原材料の80〜90%を占めている。したがって、結着樹脂は、環境に対する安全性、コスト、熱特性に対し大きな影響を及ぼすことは周知の通りである。前記特許文献4、特許文献5、及び特許文献6に記載されたケミカルトナーの製造方法においては、非常にシャープな粒度分布を得ることが記載されている。しかしながら、本発明者らが検討したところによると、単に脂肪族アルコール化合物を主成分として用いたポリエステル樹脂を使用しただけで、上記製造方法によるケミカルトナーの製造を試みると、ミルベース製造後の樹脂溶液の経時的な粘度変化が激しく、シャープな粒度分布の粒子が得られないばかりか、実用上安定した製造を行うことができないことが判明した。更に、粒子形成過程で不均一な粒子形成が生じ、粗大粒子が混在してしまうことが判明した。
本発明者等は、この原因を鋭意検討した。本発明では、良好な低温定着性、及び広い温度領域での耐オフセット性を得るために、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂を組み合わせて使用するが、架橋型ポリエステル樹脂は分子量が大きく、また、高度に分岐していることから、有機溶剤に対する溶解性が悪い。これを改良するには、アルコール成分としてプロピレングリコールを使用することが必要であり、特に、架橋型ポリエステル樹脂を製造する際に使用するアルコール成分の60mol%以上をプロピレングリコールが占めるようにすることにより、有機溶剤に対する溶解安定性が増し、長期的なミルベースの安定性が得られ、更に、粒子形成過程における安定性が増加することが判った。また、更に良好なミルベースの安定性、及び粒子形成過程における安定性を得るためには、架橋型ポリエステル樹脂のアルコール成分の改良のみではなく、併用する直鎖型ポリエステル樹脂のアルコール成分も含めて、本発明で使用するポリエステル樹脂の全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用比率を5〜35mol%とすることにより前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の製造方法によれば、特定の組成を有する架橋型樹脂と直鎖型樹脂を混合して使用することにより、有機溶剤へのポリエステル樹脂の溶解安定性が格段に向上し、その結果、製造後長時間経過した後であっても、樹脂と顔料や離型剤等の当初の溶解状態、或いは分散状態を維持することが可能なミルベースを得ることができる。更に、粒子形成過程において均一な粒子形成が可能となるため、それにより、粒度分布がシャープなケミカルトナーを製造することができる。更に、球形〜略球形であり、且つ環境に対する安全性、良好な低温定着性、広い温度領域での耐オフセット性、低コスト化等を満足するケミカルトナーを製造することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の製造方法は以下の工程からなる。
第一工程:原材料としてカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程(i)を行い、その後、前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤の微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程(ii)を行う。
第二工程:次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記微粒子(A)の合一体(B)を製造する工程(iii)を行い、その後、有機溶剤を除去する工程(iv)を行う。
第三工程:脱溶剤後の前記合一体を水性媒体から分離し、乾燥させ、トナーを製造する工程(v)、
の上記3工程、若しくは、
第一工程:原材料としてカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程(i)を行い、その後、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液を製造する工程(ii-2)を行う。
第二工程:次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(C)を形成させ、更に該微粒子(C)の合一体(D)を形成させる工程(iii-2)を行い、その後、有機溶剤を除去する工程(iv)を行う。
第三工程:脱溶剤後の前記合一体を水性媒体から分離し、乾燥させ、トナーを製造する工程(v)、
の上記3工程からなる。
なお、本明細書では、下記の(1)及び(2)
(1)前記工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤からなる微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液に電解質を添加することで、該微粒子(A)を塩析し、又は不安定化させ、更に複数の該微粒子(A)を一体化させること、及び
(2)前記工程(ii-2)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液に電解質を添加することで、溶解しているポリエステル樹脂を塩析し、又はその溶解状態を不安定化させ、該ポリエステル樹脂からなる微粒子(C)を析出させ、更に、複数の該微粒子(C)を一体化させること、
を「合一」と言い、前記工程(iii)及び(iii-2)を「合一工程」と言う。また、工程(iii)及び(iii-2)により形成される粒子を「合一体」と言う。更に、合一工程を経てトナーを製造する方法を「合一法」による製造方法と言う。
第一工程では、有機溶剤中にポリエステル樹脂を投入して溶解或いは分散することにより、ポリエステル樹脂と有機溶剤を含む樹脂溶液を調整する。この場合、必要に応じて離型剤または着色剤、或いはその他の添加物をポリエステル樹脂等と共に用いることができるが、いずれもトナー粒径以下に微分散或いは溶解される必要がある。
有機溶剤中にポリエステル樹脂及び必要に応じて添加する、離型剤、着色剤等の各種添加剤を溶解或いは分散させる手段としては、以下の方法を用いることが好ましい。
(1)上記のポリエステル樹脂と離型剤、着色剤等の各種添加剤を含む混合物を加圧ニーダー、加熱2本ロール、2軸押し出し混練機などを用いて、使用する樹脂の軟化点以上、且つ熱分解温度以下の温度に加熱して混練する。その後、得られた混練チップをデスパー等の攪拌機或いはメディアを用いた分散機等により有機溶剤中に溶解、ないし分散する。この場合、離型剤や着色剤等はあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター混練チップを調整した後に混合しても良い。或いは、
(2)ポリエステル樹脂と離型剤、着色剤等の各種添加剤を有機溶剤と混合し、これをボールミル等により湿式混練する。この場合、離型剤や着色剤等はあらかじめ別々に予備分散を行ってマスター溶液を調整した後に混合しても良い。
上記(2)の、より具体的な手段としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、連続式ビーズミル等のメディアを用いた混合・分散機中に、予め有機溶剤にポリエステル樹脂を溶解した樹脂溶液、及び離型剤や着色剤を加え、攪拌・分散させることによりマスター溶液とし、更に希釈用のポリエステル樹脂、追加の有機溶剤を混合することにより有機溶媒中に離型剤や着色剤等が微分散した樹脂溶液を製造する方法がある。以上のような(2)の製造方法によれば、ポリエステル樹脂の高分子成分(ゲル成分)が切断されないため、溶融混練により分散する(1)の方法よりも好ましい。
ポリエステル樹脂を溶解或いは分散させるための有機溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、石油エーテルのごとき炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素のごときハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのごときケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルのごときエステル類、などが用いられる。これらの溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解或いは分散するものであり、毒性が比較的低く、かつ後工程で脱溶剤し易い低沸点のものが好ましい。前記ポリエステル樹脂(I)を溶解する有機溶剤として、溶解、分散性に優れ、特に適しているものは、メチルエチルケトン、酢酸エチルである。特にメチルエチルケトンが最も好ましい。
次に、ポリエステル樹脂と有機溶剤を含む混合物を水と混合する。この場合、上記の方法で調整された樹脂溶液を、塩基性中和剤の存在下で水と混合する。この工程においては、塩基によりポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和した樹脂溶液に水を徐々に添加する方法が好ましい。
工程(ii)においては、有機溶剤と添加した水の合計量に対する水の比率が20〜80質量%となるように水を添加する。より好ましくは30〜70質量%であり、特に35〜65質量%であることが好ましい。使用する水は脱イオン水であることが好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であり、該カルボキシル基を中和することにより水中での分散が容易となる(以下、自己水分散性という)、或いは水溶性となるポリエステル樹脂である。本発明で使用する自己水分散性或いは水溶性のポリエステル樹脂の酸価は1〜30KOHmg/gであることが好ましく、3〜20KOHmg/gであることがより好ましい。樹脂酸価が1未満だと工程(ii)における、ポリエステル樹脂と有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液の製造、又はポリエステル樹脂と有機溶剤の微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液の製造がスムーズに行かず、粗大粒子が発生するため好ましくない。一方、酸価が30より高いと、各種環境下における帯電量が安定しないため好ましくない。酸価が1〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加して分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散或いは溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基が用いられる。中でも、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。ポリエステル樹脂を水中、或いは水が主成分であり有機溶剤を含む媒体(以下、水性媒体という)中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤等の分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となる。その結果、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになるため好ましくない。また、ゲル分を含有するような架橋型ポリエステル樹脂の場合には、更に不均一な粒度分布となり、実用上限界がある。したがって、本発明では自己水分散性或いは水溶性の樹脂を用い、該樹脂が有するカルボキシル基を塩基性化合物により中和する。
ポリエステル樹脂のカルボキシル基を塩基で中和する方法としては、例えば、(1)カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、有機顔料、離型剤および有機溶剤を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法、或いは(2)水又は水性媒体中に予め塩基性中和剤を混合しておき、工程(ii)を行う際に前記混合物に含まれるポリエステル樹脂の酸性基を中和する方法、が挙げられる。
塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹脂の全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量である。また、1〜2倍に相当する量であることがより好ましい。このようにポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、異形の粒子が生成するのを防止することができ、トナーの真球性を向上させ、また、合一工程における粒度分布をシャープにすることができる。
工程(ii)においては、デスパー(アサダ鉄工株式会社)、ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)、或いはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みづほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタテイックミキサー(ノリタケカンパニー)などの高シェア乳化分散機や連続式乳化分散機等が使用できる。また、その時の温度は、特に制限はないが、温度が高いと、転相水量が多くなるため好ましくない。また、低温だとポリエステル樹脂および有機溶剤を含む混合物の粘度が上昇し、粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。工程(ii)の温度範囲としては10〜50℃が好ましい。さらに好ましくは20〜45℃の範囲である。
第二工程では、第一工程で得られた樹脂溶液の水溶液或いは微粒子(C)から合一体を生成させ、所望の粒径のトナー粒子を形成させる。
合一法では、第一工程で得られた水溶液、或いは微粒子(A)の分散液を水で希釈し溶剤量を調整する。その後、分散安定剤を添加し、分散安定剤の存在下に電解質の水溶液を滴下することで合一を進め、所定粒径の合一体を得る。この場合、前記の通り、工程(ii-2)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液に電解質を添加することで、溶解しているポリエステル樹脂が塩析され、又はその溶解状態が不安定化して、該ポリエステル樹脂からなる微粒子(C)が析出し、更に、複数の該微粒子(C)が一体化することにより合一が進行し、合一体(D)を得る。又は、工程(ii)で製造するポリエステル樹脂と有機溶剤からなる微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液に電解質を添加することで、該微粒子(A)が塩析され、又は不安定化され、更に複数の該微粒子(A)が一体化することにより合一が進行し、合一体(B)を得る。
第一工程で得られた水溶液、或いは微粒子(A)の分散液は、カルボン酸塩による水和作用により水性媒体中で安定に溶解、或いは分散している。第二工程では、微粒子が分散している水性媒体中にその水和状態を破壊、或いは減少させる電解質を添加することで、粒子を析出、或いは不安定化させる。本発明で用いることのできる電解質としては、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸水素アンモニュウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等も電解質として有効に用いることができる。これらの電解質は、単独でも、或いは2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニュウムのごとき1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。本発明の製造方法では、第二工程で得られる合一体は溶剤により膨潤しており、かつ電解質の添加により粒子の水和状態が不安定な状態となっているため、低シェアー(低剪断力)の攪拌による粒子同士の衝突でも容易に合一が進行する。
ところで、電解質等の添加だけでは、系内の合一体の分散安定性が不安定になっているため、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物が発生する。電解質や酸性物質により生成した合一体が、再合一を繰り返して、目的とする粒子径以上の凝集体を形成するのを防止するためには、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤やイオン性、或いはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。使用する分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する分散安定剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等、或いは各種プルロニック系等のノニオン型の乳化剤、或いはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤等がある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があり、好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。以上に記載した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となり、その結果、シャープな粒度分布が得られ、それに伴い、収率の向上が達成される。
また、均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重要である。例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等を使用することが好ましい。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような均一混合性に優れた大型翼がさらに好ましい。均一な合一体を生成させるための該攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアで攪拌しながら水を滴下する方法がより好ましい。特に好ましくは0.2〜6m/sである。攪拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存しなり好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、攪拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となり好ましくない。上記の条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離・分散することはない。特に、合一法では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつシャープな粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
合一体を製造する場合には、工程(ii)におけるポリエステル樹脂と前記有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液、又は前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤の微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液を水でさらに希釈することが好ましい。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。或いは、分散安定剤及び電解質、或いはそのどちらかの水溶液を添加することで分散液中の溶剤量を調整し、所定粒径の粒子を得る手順を採ることが好ましい。電解質を添加する前の系中に含まれる溶剤量としては、15〜45質量%の範囲内であることが好ましい。また、18〜30質量%の範囲内がより好ましい。溶剤量が15質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなり好ましくない。また、溶剤量が45質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるため好ましくない。
使用する分散安定剤の量は、例えば固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内が好ましい。0.3〜2.0質量%の範囲内がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲内が特に好ましい。0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られない。一方、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子(A)又は微粒子(C)が残存してしまい収率を低下させるため好ましくない。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%の範囲内であることが好ましい。1〜12質量%の範囲内であることがより好ましく、1〜10質量%の範囲内であることが特に好ましい。電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないため好ましくない。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるため好ましくない。
また、合一時の温度は10〜50℃の範囲内が好ましい。より好ましくは20〜40℃の範囲内であり、20〜35℃であることが特に好ましい。温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるため好ましくない。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。本発明の製造方法では、たとえば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一体の生成が可能である。
ところで、摩擦帯電性能を良好に保持するためには、着色剤等がトナー粒子表面に露出しないようにすること、すなわち着色剤等がトナー粒子に内包されたトナー構造とするのが有効である。トナーの小粒径化に伴う帯電性の悪化は、含有する着色剤やその他の添加物(通常離型剤など)の一部がトナー粒子表面に露出することも原因になっている。すなわち、着色剤等の含有率(質量%)が同じであっても、小粒径化によりトナー粒子の表面積が増大し、トナー粒子表面に露出する着色剤や離型剤等の比率が増大し、その結果トナー粒子表面の組成が大きく変化し、トナー粒子の摩擦帯電性能が大きく変わり適正な帯電性が得られにくくなる。
上記の製造方法により製造されるトナー粒子は、着色剤や離型剤等がポリエステル樹脂に内包されていることが特徴である。トナー粒子表面に着色剤や離型剤等が露出していないことは、例えば、粒子の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより容易に判定できる。より具体的には、トナー粒子を樹脂包埋してミクロトームで切断した断面を、必要ならば酸化ルテニウム等で染色し、TEMで観察すると、着色剤や離型剤等が粒子内に内包されてほぼ均一に分散していることが確認できる。
第二工程で得られる合一体の形状は、合一の程度により不定形から球形まで変化させることができる。例えば、平均円形度で表現すれば、0.94〜0.99まで変化させることが可能である。なお、この平均円形度は、最終的に得られたトナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することなどによっても求められるが、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000を使用すると容易に得られるため、本明細書ではこの装置で測定した値を平均円形度としている。
トナー粒子の形状は、平均円形度が0.96以上であることが好ましい。より好ましくは0.97以上の略球形或いは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率の向上がみられ、トナーとして用いる場合には上記範囲とすることが好ましい。特に、粒径が小さくなるにつれ、球形と不定形では、粉体流動性、転写効率、トナー消費量の面での差は大きくなる。
次に、第二工程において得られた合一体を含む水性媒体から有機溶剤を除去する。第二工程で得られた合一体は有機溶剤を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。
第三工程では、第二工程で得られた合一体を水性媒体から分離し、乾燥する。水性媒体からの分離は、遠心分離機、或いはフィルタープレス、ベルトフィルター等の公知慣用の手段で行うことができる。ついで粒子を乾燥させることによりトナー粒子を得ることができる。乳化剤や分散安定剤を用いて製造されたトナー粒子は、より十分に洗浄することが好ましい。
乾燥方法としては、公知慣用の方法がいずれも採用可能であるが、例えば、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で、常圧下または減圧下で乾燥させる方法、凍結乾燥させる方法、などが挙げられる。また、スプレードライヤー等を用いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時に行う方法も挙げられる。特に、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で加熱しながら、減圧下で、粉体を攪拌して乾燥させる方法や、加熱乾燥空気流を用いて瞬時に乾燥させるというフラッシュジェットドライヤー(セイシン企業株式会社)などを使用する方法が、効率的であり好ましい。
トナーの粒度分布については、コールター社製マルチサイザーTAII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であること好ましく、より好ましくは1.20以下である。1.25以下であると良好な画像を得られやすく好ましい。また、GSDは1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、コールター社製マルチサイザーTAII型による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。
トナーの体積平均粒径として、得られる画像品質などの点から1〜13μmの範囲にあるものが好ましく、3〜10μm程度が現行のマシンとのマッチングが得やすいことなどもあってより好ましい。カラートナーにあっては、体積平均粒径が3〜8μmとなる範囲が好適である。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現され好ましい。
本発明で使用するバインダー樹脂は、ポリエステル樹脂であり、以下の原料の中から選択される化合物を反応することにより得られる。
本発明では、前記ポリエステル樹脂が、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
該架橋型ポリエステル樹脂(I)が
(1)2価以上の多塩基酸又はその誘導体と、
(2)全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上含有する脂肪族多価アルコール、
(3)多価エポキシ化合物、
を反応させて得られる樹脂であり、
該直鎖型ポリエステル樹脂(II)が
(1)全酸成分に対して30mol%以上のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する2価の多塩基酸類、
(2)2価の脂肪族アルコール、
を反応させて得られる樹脂であり、
前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%であることを特徴とするポリエステル樹脂を使用する。
架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)を製造する際に使用する酸成分としては、以下の2価の塩基酸類を使用することができる。例えば、2価の塩基酸化合物としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、プロピレングリコール以外に、以下のアルコール類を使用することができる。2価の脂肪族アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオール等のジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)としては、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂(I)を製造する際には、更に架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、或いは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、或いは共重合体、半乾性若しくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物等が挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520等が、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-660,N-665,N-667,N-670,N-673,N-680,N-690,N-695等が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-740,N-770,N-775,N-865等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、或いは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、或いはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上記エポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用しうるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェルジャパン製が挙げられる。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)は、上記の原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸等を適宜使用する事が出来る。
合一法では、実質的に第一、第二工程で粒径、粒度分布が決定される。本製法で使用されるポリエステル樹脂は、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、該架橋型ポリエステル樹脂(I)は、全アルコール成分にたいしプロピレングリコールを60mol%以上含有させた、多価エポキシ化合物により架橋された架橋型のポリエステル樹脂である。プロピレングリコールの含有量が60mol%よりも少ないと、第一工程の工程(i)で得られる樹脂溶液が、樹脂溶液の製造直後、或いは経時変化により結晶化等を引き起こし易くなる。そのようにポリエステル樹脂が不溶化すると溶液全体の粘度が変化する。その結果、工程(ii)及び(ii-2)において安定した水溶液或いは懸濁液を生成することができず、第2工程での粒度分布がブロードになってしまう。また、合一速度が低下し、均一な合一が進行しないため、後述するワックス微粒子や着色剤微粒子のポリエステル樹脂微粒子内における分散状態が偏ってしまい、良好な色相、透明性、或いは帯電特性が得られなくなる。プロピレングリコールが60mol%以上含有されると、樹脂溶液中での結晶化等による不溶化が抑制されるため樹脂溶液の安定性が顕著に改善されるとともに、合一速度が速くなり、均一な粒子生成が可能となるため、ワックス微粒子や着色剤微粒子の分散性が向上し、かつ粒度分布のシャープな粒子を得ることができる。プロピレングリコールの含有量は、好ましくは60〜90mol%の範囲である。更に好ましくは60〜80mol%の範囲である。プロピレングリコールの含有量が多くなると反応速度が低下する傾向のため、好ましくない。
また、本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂(I)の酸成分においても、全酸成分に対して10〜60mol%のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有してもよい。10〜60mol%のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有することにより、ポリエステル樹脂の対称性が低下するため、有機溶剤への溶解安定性がさらに向上し、好ましい。イソフタル酸又はその低級アルキルエステルの含有量は、好ましくは20〜50mol%であり、特に好ましい範囲としては、20〜40mol%である。イソフタル酸又はその低級アルキルエステルの含有量が10mol%よりも少ないと、対称性の低下効果が少なく、溶解安定性の向上が見られないため好ましくない。又、60mol%よりも多いと、ガラス転移温度が低下するため好ましくない。
また、直鎖型ポリエステル樹脂(II)は、全酸成分中にイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを30mol%以上含有し、かつ、2価の脂肪族アルコール成分からなるポリエステル樹脂である。直鎖型ポリエステル樹脂(II)は、直鎖状のポリエステル樹脂であるため、モノマー組成によっては結晶性となりやすく、有機溶剤への溶解性、溶解安定性が劣るため、全酸成分中にイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを30mol%以上含有する必要がある。30mol%よりも含有量が少ないと、溶解性、溶解安定性が不足し、工程(ii)及び(ii-2)において安定した水溶液或いは懸濁液を生成することができない。含有量が30mol%以上であれば、樹脂の対称性が低下するため、溶解性、溶解安定性が向上する。全酸成分中におけるイソフタル酸又はその低級アルキルエステルの含有量は、好ましくは30〜80mol%であり、特に好ましい範囲としては、40〜60mol%である。含有量が80mol%を越えるとガラス転移温度が低下し、好ましくない。
更に、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)からなるポリエステル樹脂を製造する際に使用する全アルコール成分中に含まれるプロピレングリコールが5〜35mol%である。好ましくは10〜30mol%の範囲である。プロピレングリコールが35mol%より多く含有させると、有機溶剤への溶解性、溶解安定性は向上するが、合一工程おける粒子の安定性が不安定になり、粗大粒子が発生しやすくなる。原因としては、明確ではないが、有機溶剤と水からなる水性媒体中での溶解性が高いため粒子界面が不安定となり、粒子間同士の凝集が進みやすくなるためと推測される。また、5mol%よりも少ないと、溶解安定性が低下するため好ましくない。
本発明の製法では、架橋型ポリエステル樹脂(I)を製造する際に使用するアルコール成分中に一定量以上のプロピレングリコールを含有することが必須であり、また、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)からなるポリエステル樹脂の全アルコール成分中に含まれるプロピレングリコールの含有量についても一定範囲内であることが必須である。直鎖型ポリエステル樹脂(II)にプロピレングリコールを含有してもよいが、該ポリエステル樹脂の全アルコール成分中に含まれるプロピレングリコールの含有量が5〜35mol%の範囲内にあることが必要である。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の使用比率は、(I)/(II)質量比率=5/95〜35/65の範囲である。好ましくは10/90〜30/70、特に好ましくは15/85〜30/70の範囲である。架橋型ポリエステル樹脂(I)の比率が5質量%よりも少ないと、耐ホットオフセット性が低下し好ましくない。また、合一速度が低下し、ワックスや着色剤等の分散性が低下するため好ましくない。また、35質量%よりも多いと、溶融粘度(T1/2温度)が上昇し、低温定着性が低下するため好ましくない。
架橋型ポリエステル樹脂(I)のガラス転移温度(Tg)は60〜85℃のものが好ましいが、中でも、そのTgが60〜75℃のものが特に好ましい。Tgが60℃より低いと、トナーが保存、運搬、或いはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。直鎖型ポリエステル樹脂(II)のガラス転移温度(Tg)は50〜70℃のものが好ましいが、中でも、そのTgが50〜65℃のものが特に好ましい。Tgが50℃より低いと、トナーが保存、運搬、或いはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂(I)の軟化点としては、160℃以上、中でも、160℃〜220℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、170℃〜200℃、特に好ましくは170〜190℃の範囲である。軟化点が160℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、220℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。また、直鎖型ポリエステル樹脂(II)の軟化点としては、90℃以上、中でも、90℃〜130℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、90℃〜120℃、特に好ましくは95〜110℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、130℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
また、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物の軟化点は、100℃〜150℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、110℃〜140℃、特に好ましくは110〜130℃の範囲である。軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、150℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
ポリエステル樹脂の軟化点は定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスターでの測定条件は、ピストン断面積1cm 、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50゜C、昇温速度6゜C/min、試料質量1.5gの条件で行った。
本発明の製造方法では、離型剤を用いることができる。その場合に離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の中から選ばれた離型剤が用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックス等の天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類が好適に用いられる。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP-5(日本油脂社製)が好適に用いられる。離型剤の含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。
また、帯電制御剤を用いることができる。正帯電性帯電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物等が使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはスルホニル基を含有する樹脂、等が挙げられる。
帯電制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色剤については、特に制限はなく、公知慣用のものが用いられる。例えば、本発明のトナーに使用できる黒の着色剤としては製造方法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11等の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12等の鉄−チタン複合酸化物系顔料、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63等が挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,15,16,60が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 17,74,93,97,110,155,および180が挙げられ、より好ましくはC.I.Pigment Yellow 74,93,97,180が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 93,97,180が好ましい。
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122および209が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Red 57:1,122および209が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜18質量%であることが更に好ましく、2〜15質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として公知慣用の無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタン等の無機微粒子、或いは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性等の物理的特性を改良する効果がある。外添剤の種類は、各種シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ等が好適に用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α―メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッソ変性シリコーンオイル、及びオレフィン変性シリコーンオイル等で処理された疎水性シリカが挙げられる。外添方法は、公知慣用の機種を用いて処理される。
上記のトナー粒子にキャリアを混合することによって、二成分静電荷像現像剤とすることができる。静電荷像現像剤は、本発明の製造方法により製造されたトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
静電荷像現像剤に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜200μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜110μmが好ましい。
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂或いはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
これらの中でも、特にシリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。また、トナー粒子とキャリアからなる現像剤の帯電特性は、シリコン等のコート剤のコート量の調整、帯電制御剤の添加、カーボンに代表される導電物質の添加等により調整できる。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、或いはマグネタイトを用い、シリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであり、場合により、コート在中に帯電制御剤、カーボン等を添加して帯電特性を調整することが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されたトナーは、通常の非磁性一成分現像方式の印刷装置、或いは二成分現像方式の印刷装置、磁性一成分現像方式の印刷装置等に使用できる。また、現像剤担持ロールと層規制部材とを有する非磁性一成分現像装置等を用いて摩擦帯電された粉体トナーを、トナー通過量等を調節する機能の電極を周囲に有するフレキシブルプリント基板上の穴を通して、背面電極上の紙に直接吹き付けて画像を形成する方式の、いわゆるトナージェット方式のプリンター等にも好適に使用できる。本発明の製造方法により製造されたトナーは、潜像保持体上に静電荷像を形成させ、得られた静電荷像を、現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像し、前記荷像保持体上に形成されたトナー像を紙やフィルム等の転写材上に転写し、該転写材上のトナー像をヒートロールにより熱定着する画像形成方法により印刷を行うことができる。
なお、本発明の脱溶剤方法及び該脱溶剤方法を用いた着色樹脂組成物の製造方法は、上記の静電荷像現像用トナーの製造方法以外でも、粉体塗料や成型用樹脂組成物等、種々の着色樹脂組成物を製造する場合において好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例・比較例では、特に表示がない限り部は質量部、水は脱イオン水の意である。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
<架橋型ポリエステル樹脂(I)>
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 252 質量部
イソフタル酸 63 質量部
プロピレングリコール 122 質量部
ネオペンチルグリコール 21 質量部
エチレングリコール 12 質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 9.4質量部
カージュラE 9.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価12.1、DSC測定法によるガラス転移温度75℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が180℃であった。
*エピクロン830:大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂
エポキシ当量170(g/eq)
*カージュラE(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)
エポキシ当量250(g/eq)
以下、樹脂合成例1と同様な操作にて、表1に記載の樹脂合成例12の架橋型樹脂を合成した。
(樹脂合成例2)
テレフタル酸 221質量部
イソフタル酸 95質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 7.0質量部
カージュラE 3.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が162℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.3、DSC測定法によるガラス転移温64℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が183℃であった。
(樹脂合成例3)
テレフタル酸 252 質量部
イソフタル酸 63 質量部
プロピレングリコール 61 質量部
ネオペンチルグリコール 63 質量部
エチレングリコール 37 質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 9.4質量部
カージュラE 9.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.7、DSC測定法によるガラス転移温度67℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が180℃であった。
(樹脂合成例4)
テレフタル酸 252 質量部
イソフタル酸 63 質量部
プロピレングリコール 91 質量部
ネオペンチルグリコール 42 質量部
エチレングリコール 25 質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 9.4質量部
カージュラE 9.0質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価12.8、DSC測定法によるガラス転移温度70℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が181℃であった。
<直鎖型ポリエステル樹脂(II)>
(樹脂合成例5)
テレフタル酸 189質量部
イソフタル酸 126質量部
プロピレングリコール 122質量部
ネオペンチルグリコール 21質量部
エチレングリコール 12質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部

以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価12.7、DSC測定法によるガラス転移温度59℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が107℃であった。
(樹脂合成例6)
テレフタル酸 189質量部
イソフタル酸 126質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.2、DSC測定法によるガラス転移温度56℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が106℃であった。
(樹脂合成例7)
テレフタル酸 215質量部
イソフタル酸 63質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価12.0、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が106℃であった。
Figure 2006038915

表中の表示は以下の通り。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
PG:プロピレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
(離型剤分散液の調製例1)
カルナバワックス「カルナバワックス 1号」(加藤洋行輸入品)30部とポリエステル樹脂(樹脂合成例4)70部とメチルエチルケトン150部とをデスパーで予備混合した後、ナノミル(浅田鉄工社製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%の離型剤微分散液W−1を調製した。
(離型剤分散液の調製例2)
フィッシャートロプシュワックス「LUVAX−1121」(日本精蝋(株)輸入品)30部とポリエステル樹脂(樹脂合成例4)70部とメチルエチルケトン150部とをデスパーで予備混合した後、ナノミル(浅田鉄工社製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%の離型剤微分散液W−2を調製した。
同様の方法で下記組成の離型剤微分散液を調製した。
Figure 2006038915
(着色剤マスター溶液の調製例)
着色顔料と低粘性ポリエステル樹脂とを有機溶剤(メチルエチルケトン)中に添加し、デスパーにてプレ分散を行った後、モーターミルM-1000(米国アイガー社製)で湿式分散を行い、各着色剤のマスター溶液を調製した。表3に各着色剤マスター溶液の配合、分散条件、最終的に得られたマスター溶液の固形分含有量を示した。
Figure 2006038915

表3に使用したした着色剤は以下の通りである。
シアン:大日本インキ化学工業(株)社製シアン顔料「Ket-111」(Pigment Blue 15:3)
イエロー:チバスペシャリティケミカルズ社製イエロー顔料「Cromophtal Yellow 3G」(Pigment Yellow 93)
マゼンタ:大日本インキ化学工業(株)社製マゼンタ顔料「Magenta R」(Pigment Red 122)
(カーボンブラックマスターチップの調製例)
カーボンブラックと低粘性ポリエステル樹脂(合成例6)を30/70の質量比率でプレ混合した後、ニーダーで溶融混練を行い、カーボンブラック顔料のマスターチップP−5を作製した。なお、ここで使用したカーボンブラックは、キャボット社製カーボンブラック「Elftex-8」である。
(ミルベースの調製)
上記離型剤分散液、着色剤マスター溶液あるいはカーボンブラックマスターチップ、希釈樹脂(追加樹脂)、メチルエチルケトンを、固形分含有量が55%、温度条件が30〜40℃の範囲でデスパーにより3時間の間混合し、溶解・分散を行った。得られた混合物は、固形分含有量を55%に再調整してミルベースとした。作製したミルベースの配合を表4−1、表4−2、表4−3に示す。
Figure 2006038915
Figure 2006038915
Figure 2006038915
<合一法による母トナーの製造例>
(実施例1)
攪拌翼としてデスパー翼を有する円筒型の2LセパラブルフラスコにミルベースMB−3(MB作製から2日後のものを使用)を545.5部(固形分300部)仕込み、次いで1規定アンモニア水55部を加えて、デスパーにより3600rpmにて十分に攪拌した後、温度を23℃に調製した。ついで、攪拌速度を7000rpmに変更して370部の脱イオン水を5g/minで滴下して乳化分散体を作製した。この時の攪拌翼の周速は14.7m/sであった。また、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。次に、脱イオン水176部を加えて溶剤量を調整した。
次いで、攪拌速度を3600rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるエマール0(花王社製)1.4部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を100rpmに調整し、3.5%の硫酸アンモニュウム水溶液(一段目の電解質)200部を、5g/minで滴下し、その後粒径が4μmになるまで攪拌を継続した。引き続き、硫酸アンモニュウムの濃度を5.5%に変更した硫酸アンモニュウム水溶液(二段目の電解質)を5g/minで60部滴下し、その後攪拌を継続して粒径が7.5μmに成長した段階で希釈水を添加して合一操作を終了した。また、このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。その後、減圧下、真空度が4kPaとなるまでメチルエチルケトンを留去した。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返した後、得られたウットケーキを凍結乾燥機にて乾燥を行い、母トナー粒子を得た。その他の実施例、比較例の母トナー粒子についても、同様の操作で調製した。母トナーの性状を表5に示した。
<ミルベース安定性の評価方法>
表4−1、表4−2の配合で得られた各種ミルベースの安定性は、作製直後のミルベース粘度をB型粘度計で測定した値をA、その後、15℃で2日間静置した後に、ミルベース粘度を再度B型粘度計で測定した値をB、としたときB/A×100の値が100〜120のものを◎、120を越えて150のものを○、150〜200のものを△、B型粘度計で測定不可、あるいは200を越えるものを×とした。なお、B型粘度計による測定は、ミルベースの温度を30℃に調整した後、回転数30rpm、ローター:No.4を用いて測定した。評価結果を表5に示した。
<トナー性状の評価方法>
1)粒径、粒度分布測定
乾燥後の母トナーを界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いでコールターカウンターマルチサイザーTAIIを用いて該母トナーの粒径、粒度分布を測定した。測定結果を表6−1、表6−2に示した。
2)平均円形度の測定
平均円形度は、トナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することによっても求めることができるが、本発明においては、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000により求める。フロー式粒子像分析装置FPIP−1000とは、トナー粒子等の微粒子の大きさや形状を撮像する装置であり、粒子の撮像は以下の通りに行われる。
まず、乾燥後の母トナーの少量を界面活性剤を含む水の中に懸濁させることにより試料を作製する。次いで、この試料をフロー式粒子像分析装置FPIP−1000中に設けられた、透明且つ扁平なセル中に流下させる。このセルの片側にはパルス光を発する光源が設置されており、更に、セルを挟んで反対側にはその光源に正対するように撮像用カメラが設けられている。FPIP−1000のセル中を流下する試料中のトナー粒子は、パルス光が照射されることにより、セルを夾んで光源と正対するカメラにより静止画像として捉えられる。
このようにして撮像されたトナー粒子の像を基にして、画像解析装置により各トナー粒子の輪郭が抽出され、トナー粒子像の投影面積や周囲長(トナー粒子投影像の周長)が算出される。更に、算出されたトナー粒子像の投影面積から、それと同等の面積を有する円の円周の長さ(トナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長)が算出される。上記の平均円形度は、このように算出されたトナー粒子投影面積と同じ面積の円の周長をトナー粒子投影像の周長で除したものである。
上記装置で測定する際の条件は以下の通り。
(1)トナー粒子の懸濁液の作製
水20gに対し界面活性剤(エルクリヤー(中外写真薬品(株)製))0.1gを添加し、更に試料である母トナー0.04gを添加し、超音波分散機でトナー粒子を水中に懸濁させる。
(2)測定条件
測定温度;25℃
測定湿度;60%
測定トナー粒子数;5000±2000個
測定結果を表6に示した。
3)粒子の状態(合一挙動及び粗大粒子の混在)
合一挙動については、一段目の電解質を添加した後のスラリーを透過型の光学顕微鏡の200倍で観察し、50μm以上の微粒子凝集体が観察されるものを×、10〜20μm
の微粒子凝集体が観察されるものを△、凝集体が見られないものを○とした。
粗大粒子については、脱溶剤終了後のスラリーを透過型の光学顕微鏡の200倍で観察し、30μm以上の粗大粒子が視野内に多数観察されるものを×、30μm以上の粗大粒子が視野を変えることで1−2個観察されるものを△、視野を変えても30μm以上の粗大粒子が観察されないものを○とした。
4)トナー合一速度の評価方法
実施例1において、硫酸アンモニュウムの濃度を5.5%に変更した硫酸アンモニュウム水溶液を5g/minで60部滴下し終わってから粒径が7.5μmに成長した段階で希釈水を添加して合一操作を終了した時点までの時間を基準(T1)に、下記式で算出した値で示した。合一速度が1の場合を基準に、1よりも小さいほど合一速度が速いことを、また、1よりも大きいほど合一速度が遅いことを示す。
合一速度:Tx/T1(Txは各実施例、比較例における合一時間)
<トナー転写効率の評価方法>
実施例、比較例で得られた各母トナーに対し、疎水性シリカを、母トナー100質量部に対し、1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添した後、シリコン樹脂被覆フェライトキャリア97部に対し、該トナー3部からなる現像剤を調整後、転写効率を比較した。転写効率は、市販の複写機を用いて、ベタ画像を現像し、感光体上のベタ画像が転写部を50%通過したところで複写機を停止させる。その後、感光体上の未転写画像・転写後の画像をそれぞれテープにて完全に剥離し、未転写画像のトナー量と転写後のトナー量を測定し、下記式より転写効率を算出する。
転写効率(%)=(100―転写後のトナー量/未転写画像のトナー量)×100
その結果、95%以上の転写効率を○、90%以上95%未満の転写効率を△、90%未満の転写効率を×とした。評価結果を表6−1、表6−2に示した。
<トナー熱特性の評価方法>
1)溶融粘度の測定
トナー溶融粘度「T1/2温度」は、乾燥後得られた母トナーを前述したように島津製作所製フローテスタ(CFT−500)を用いて、ノズル径1.0mmΦ×1.0mm、単位面積(cm2 )当たりの荷重0.98MPa、毎分6℃の昇温速度で測定した。測定結果を表7に示した。
2)ガラス転移温度の測定
ガラス転移温度である「Tg」(℃)は 、島津製作所製示差走査熱量計(DSC−50)を用い、セカンドラン法により毎分10℃の昇温速度で測定した。測定結果を表7に示した。
3)耐熱保存性の測定
耐熱保存性は、実施例、比較例で得られた各母トナーに対し、疎水性シリカを、母トナー100質量部に対し、1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添した後、トナー粒子10質量部を100ccの硝子製容器に入れ、密閉した後、55℃の環境下に12時間静置した後、取り出して凝集性の有無を判断した。堅い凝集体のある物を×、指でほぐれる程度の凝集体がある物を△、凝集体のない物を○とした。評価結果を表7に示した。
4)定着特性の測定
オフセット幅、及び定着開始温度については、予め、実施例および比較例のトナー母粒子100質量部に対し、疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添し、ついでシリコン樹脂被覆フェライトキャリアとを混合することで現像剤を調整した。ついで市販複写機改造機にてA−4紙サイズの未定着画像サンプルを作製し、印刷紙を90mm/秒のスピードで、リコーイマジオDA−250のヒートロールに通して定着を行った。
オフセット幅については、オフセットを発生しない上限値と下限値との温度範囲によって示した。また、定着開始温度は、定着後の画像にセロテープを貼り、剥離後のID(画像濃度)が元のIDの90%以上であって、かつオフセットの発生が見られないときのヒートロールの表面温度で示した。評価結果を表7に示した。
Figure 2006038915
ミルベースの安定性は、樹脂の全アルコール成分中にプロピレングリコールを含有したものを用いることで改善され、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)共にプロピレングリコールを含有しない比較例3においては実用上粒子を安定して製造することができない。また、ミルベースの安定性は、架橋型樹脂のプロピレングリコール含有量に大きく依存する。架橋型樹脂は分子量も大きく、分岐していることから、プロピレングリコールの含有と相まって、溶解性が高く、直鎖型樹脂と相溶して、安定性に大きく寄与する。
Figure 2006038915
Figure 2006038915
平均円形度の高い粒子はいずれも転写効率、粉体流動性が良好である。粒子形状をある一定値以上保持することは、上記結果から現像特性に有利であることがわかる。
架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)からなるポリエステル樹脂のアルコール成分中の該プロピレングリコールの含有量が50mol%を越える比較例1、2、4、5については、実施例1と比較すると合一速度が速く、合一初期に微粒子の凝集体が発生するため、最終的なトナースラリー中には粗大粒子が混入してしまう。また、その影響で粒度分布もブロードになる傾向が見られる。比較例3は、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)共にプロピレングリコールを含有しないため、合一速度が遅くなる。合一挙動はプロピレングリコールを含有していないため、凝集体は発生しないが、ミルベースの安定性に劣るため、乳化、合一過程での粗大粒子の発生が見られ、最終的には粗大粒子が混在してしまう。比較例6は、架橋型樹脂の溶解性、安定性が劣るため、ブレンドしたミルベースの安定性が保持できず、粗大粒子が発生する。また、比較例7は、直鎖型樹脂の結晶性が高く、溶剤安定性が低下し、架橋型樹脂をブレンドしたミルベースにおいても経時変化が激しく、粗大粒子が発生する。各比較例に対し、実施例はいずれも、ミルベース安定性、及び合一時の安定性に優れ、シャープな分布のトナー粒子を得ることができる。
Figure 2006038915
実施例の各サンプルは、各熱特性のバランスが達成されており、特に定着開始温度は良好であることがわかる。比較例においては、粗大粒子が発生しており、配合と乖離した熱特性となっているものが見られる。樹脂の配合を熱特性に反映させるためには、シャープ成生度分布を有するトナーを作製する必要がある。また、比較例7において保存性が低下しているが、ワックスの内包性が不十分のためと考えられ、ワックスを内包するためには、ミルベースの安定化、合一挙動の安定化による粒子形成過程の安定化が必須である。なお、ワックスの内包性については、トナー粒子を樹脂中に内包した後、ミクロトームにより薄片を作製し、場合に応じてルテニュウム酸により染色した後、TEM(透過型電子顕微鏡)にて観察することで確認される。

Claims (6)

  1. 下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の工程
    (i)有機溶剤中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
    (ii)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤の微粒子(A)が水中に懸濁した懸濁液を製造する工程、
    (iii)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記微粒子(A)の合一体(B)を製造する工程、
    (iv)前記有機溶剤を除去する工程、
    (v)前記合一体(B)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
    を順次行う静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    前記ポリエステル樹脂が、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
    該架橋型ポリエステル樹脂(I)が
    (1)2価以上の多塩基酸又はその誘導体と、
    (2)全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上含有する脂肪族多価アルコール、
    (3)多価エポキシ化合物、
    を反応させて得られる樹脂であり、
    該直鎖型ポリエステル樹脂(II)が
    (1)全酸成分に対して30mol%以上のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する2価の多塩基酸類、
    (2)2価の脂肪族アルコール、
    を反応させて得られる樹脂であり、
    前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記架橋型ポリエステル樹脂(I)における、2価以上の多塩基酸又はその誘導体が、全酸成分に対して10〜60mol%のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の使用質量比率が、5/95〜35/65である請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 下記(i)、(ii-2)、(iii-2)、(iv)及び(v-2)の工程
    (i)有機溶剤中に、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂を溶解或いは分散させて樹脂溶液を製造する工程、
    (ii-2)前記樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合させることにより、前記ポリエステル樹脂と前記有機溶剤が水と均一に溶解若しくは混合した水溶液を製造する工程、
    (iii-2)次いで分散安定剤を添加し、その後電解質を添加することにより、前記水溶液中に均一に溶解している前記ポリエステル樹脂を析出させて微粒子(C)を形成させ、更に該微粒子(C)の合一体(D)を形成させる工程、
    (iv)前記有機溶剤を除去する工程、
    (v-2)前記合一体(D)を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程、
    を順次行う静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    前記ポリエステル樹脂が、架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の混合物であり、
    該架橋型ポリエステル樹脂(I)樹脂が
    (1)2価以上の多塩基酸又はその誘導体と、
    (2)全アルコール成分に対してプロピレングリコールを60mol%以上含有する脂肪族多価アルコール、
    (3)多価エポキシ化合物、
    を反応させて得られる樹脂であり、
    該直鎖型ポリエステル樹脂(II)が
    (1)全酸成分に対して30mol%以上のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する2価の多塩基酸類、
    (2)2価の脂肪族アルコール、
    を反応させて得られる樹脂であり、
    前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と前記直鎖型ポリエステル樹脂(II)の製造時に使用する全アルコール成分に対するプロピレングリコールの使用割合が5〜35mol%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記架橋型ポリエステル樹脂(I)における、2価以上の多塩基酸又はその誘導体が、全酸成分に対して10〜60mol%のイソフタル酸又はその低級アルキルエステルを含有する請求項4記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記架橋型ポリエステル樹脂(I)と直鎖型ポリエステル樹脂(II)の使用質量比率が、5/95〜35/65である請求項4記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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