JP2008040464A - トナー製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静電荷像現像用トナーの製造方法において、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる。
【選択図】なし
Description
そこで、ポリエステル樹脂等を結着樹脂として乳化分散した後、得られた微粒子を凝集させ、更に加温して融着させて会合体を形成する方法が提案されているが、凝集した後に融着させるため、高温で長時間攪拌する必要があるという問題点があった。
本発明の好ましい実施態様では、体積平均粒径が5〜8μmの静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれる。
本発明の好ましい実施態様では、体積平均粒径が1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、有機溶剤に結着樹脂を溶解して得た樹脂溶液にワックスエマルジョンを微分散させてワックスマスター溶液を調製する。
本発明の好ましい別の実施態様では、静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、樹脂溶液にワックスエマルジョンをビーズミルにて微分散させる。
本発明の好ましい別の実施態様では、静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、結着樹脂がポリエステル樹脂である。
第一工程:着色樹脂溶液調製工程
結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程である。
第二工程:乳化工程
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程である。
第三工程:合一工程
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程を少なくとも1回行った後、目標粒径到達時点で合一を停止させる工程である。
第四工程:分離・乾燥工程
減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させてトナー母粒子とする工程である。
結着樹脂及び着色剤は、高速攪拌機により有機溶剤中に溶解あるいは分散することが好ましい。この場合、着色剤は予め予備分散を行ってマスター混練チップを調製し、作成するトナー粒径以下に微分散したものを用いてもよい。
翼先端速度が4m/sより低いと、結着樹脂溶液中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと剪断による発熱が大きくなり、溶剤の揮発と相まって均一攪拌が困難となるため好ましくない。また、溶解あるいは分散する場合の温度は20〜60℃の範囲が好ましく、30〜50℃の範囲がより好ましい。
合一工程において乳化剤が機能するためには、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の乳化剤などがある。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩型の乳化剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸型の乳化剤を挙げることができる。
上述した乳化剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。すなわち、本発明の製造方法では、乳化剤の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、好ましい粒度分布が得られる。
添加された水は結着樹脂のカルボキシル基部分に水和され、攪拌効果と相まって結着樹脂が溶解あるいは微細に分散される。一方、結着樹脂は水性媒体に介在して酸−塩基相互作用が強まり、水の添加に伴って着色樹脂溶液を含む系の粘度が上昇する。一定量の水を添加すると粘度が低下していく点があり、いわゆる転相点と称する。この直前まで粘度が上昇し、粘度が最大値に達する。粘度上昇は、塩基性化合物の添加量と相関があり、添加量が増加するほど粘度上昇も大きくなる。
ここで用いられる電解質としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等も電解質として有効に用いることができる。合一させるために添加するこれらの電解質は、単独でも、あるいは2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのごとき1価のカチオンの硫酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。
すなわち、着色樹脂溶液調製工程、及び、乳化工程ではデスパー等の高速攪拌機により攪拌を行うことが好ましく、合一工程ではマックスブレンド翼等の低速で均一混合可能な大型翼が好適となる。このため乳化工程で得られた乳化懸濁液を大型翼付属の別の容器に移送して合一工程を実施することが好ましい。
また、電解質溶液の濃度は1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。1質量%より少ないと、電解質の効果が十分に発揮されず、塩析や合一させるために多量の電解質が必要となるため好ましくない。または、着色樹脂微粒子が生成できない場合がある。また、一方15質量%より高いと、系内にムラが発生しやすく、特に合一初期の着色樹脂微粒子の生成時に凝集物の発生や、粗大粒子が発生しやすいため好ましくない。
また、粒子成長は、一定条件下ではほぼ一定の成長速度を保持するため、時間と粒径からブロットされた粒子成長曲線を作成することで表すことができる。その結果、その曲線より目標粒径の到達時間を推定することができる。また、水を添加することで合一を停止させることが好ましい。
また、合一工程で得られる着色樹脂微粒子の形状は、粒子像分析装置(シスメックス製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000)などによって求められ、円形度は、観察した粒子像の投影面積に相当する円の周囲の長さと観察した粒子の投影像の周囲の長さとの比で表した数値の平均値である平均円形度として表される。
トナー粒子の形状は、平均円形度は0.95以上であることが好ましく、0.96以上であることがより好ましく、0.97以上であることが更に好ましい。これは、平均円形度を0.97以上の略球形あるいは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率が向上する。
トナーの好ましい体積平均粒径は8μm以下である。ワックスマスター溶液の調整条件が規定されると、トナーの体積平均粒径は1.5〜4μmの範囲にされる。トナーの粒径が小さくなると、解像性と階調性は向上し、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、定着に必要な熱量が減少し、同時にトナー消費量は減少する。
架橋型ポリエステルは、2価塩基酸またはその誘導体と、2価アルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、2価塩基酸またはその誘導体と、2価脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、2価塩基酸類と2価アルコールとを反応させることによって製造する。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはカージュラE (シェルジャパン社製ネオデカン酸グリシジルエステル)が挙げられる。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを適宜使用することができる。
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、DSC(島津製作所製DSC−60A)を用いて測定される。アルミ製クリンプセルに試料20mgを入れ、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温、180℃から降温速度10℃/minで常温まで冷却し、再度昇温速度10℃/minで180℃まで昇温、セカンドランの値をTgとする。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
テレフタル酸 221質量部
イソフタル酸 95質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 7質量部
(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂 エポキシ当量170g/eq)
カージュラE 3質量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル エポキシ当量250g/eq)
以上の原料をステンレス製50Lの反応釜に入れ、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応は、ASTM・E28-517 に規定される軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が175℃であった。該重合体を以下「H1」と呼ぶ。
テレフタル酸 315質量部
ネオペンチルグリコール 21質量部
エチレングリコール 12質量部
プロピレングリコール 122質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をステンレス製50Lの反応釜に入れ、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応は、ASTM・E28-517 に規定される軟化点により追跡し、該軟化点が100℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が102℃であった。該重合体を以下「L2」と呼ぶ。
カルナウバワックス1号(加藤洋行輸入品)30質量部を120℃に加熱して溶融させ、イオン交換水57質量部に乳化剤ネオゲンSC−F(第一工業(株)製)を0.11質量部添加して90℃に加温した乳化剤混合温水中に溶融されたカルナウバワックスを投入して強制乳化装置TKホモミクサー(プライミクス(株)製)にて乳化した。その後、攪拌しながら30℃以下になるまで冷却し、固形分35質量%になるように調製しワックスエマルジョン(WE1)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 70質量部をメチルエチルケトン85.6質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)87.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、アイガーモーターミル(米国アイガー社製M−1000)で、表1−実施例1に示す条件下、湿式分散しワックスマスター溶液(WM1)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.0質量部をメチルエチルケトン11.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.26質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例2に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM2)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.2質量部をメチルエチルケトン10.5質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.3質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例3に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM3)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.5質量部をメチルエチルケトン12.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.46質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例4に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM4)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 10.8質量部をメチルエチルケトン7.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)13.2質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例5に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM5)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 7.5質量部をメチルエチルケトン14.3質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)9.2質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例6に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM6)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.9質量部をメチルエチルケトン11.2質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例1に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM7)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.0質量部をメチルエチルケトン18.4質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.0質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例2に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM8)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 19.5質量部をメチルエチルケトン26.3質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)23.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例3に示す条件下、ビーズミルLMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM9)を得た。
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.9質量部をメチルエチルケトン11.1質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例4に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM10)を得た。
Ket Blue 111(大日本インキ化学工業(株)製シアン顔料、C.I.Pgiment B−15:3)2000質量部と直鎖型ポリエステル樹脂L2 2000質量部をST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)へ投入し、698min-1で2分間攪拌し混合物を得た。該混合物をニーデックスMOS140−800(三井鉱山(株)製オープンロール連続押出混練機)を用いて溶融混練しマスターチップを作成した。
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
(着色樹脂溶液(MB−1)の調製)
着色剤マスターチップ42質量部、架橋型ポリエステル樹脂H1 49.8質量部、直鎖型ポリエステル樹脂L2 108.2質量部及びメチルエチルケトン159.9質量部を40〜45℃の範囲で翼径9インチのデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を使用して777min-1で1時間混合し、溶解・分散を行った。
得られた混合物には、更にメチルエチルケトンを加え、固形分含有量を65質量%に調製し、ドデシルベンゼンスルホン酸系乳化剤ネオゲンSC−F(第一工業製薬(株)製)1.1質量部を添加、溶解分散し、その後、上記ワックスマスター溶液(WM1)243.6質量部を投入しデスパーにて30分間分散を行い、着色樹脂溶液(MB−1)を調製した。
攪拌翼として翼径230mmのデスパーを有する円筒型の容器に着色樹脂溶液(MB−1)603.5質量部(固形分300.8質量部)を仕込み、次いで1規定アンモニア水40質量部を加えて777min-1で攪拌した後、温度を35℃に調整した。次いで、攪拌速度を1100min-1に変更して534.7質量部の脱イオン水を20質量部/minで滴下して乳化懸濁液を作製した。この時の攪拌翼の周速は13.2m/sであった。脱イオン水を添加していくにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ攪拌混合は均一であった。脱イオン水を200質量部添加した後、粘度の急激な低下が観測された(転相乳化)。さらに残りの脱イオン水を所定量添加した後、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料とワックスの微粒子が分散している状態が観察された。未乳化物は観察されなかった。顔料、ワックスの微粒子は水性媒体中に安定に分散していることから、微粒子表面には樹脂が吸着していると考えられる。この時、系内の全溶液中のメチルエチルケトン比率は27.7質量%であった。
次いで、翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標、住友重機械工業製)付属の円筒容器に、上記乳化縣濁液を移送した後、攪拌速度を85min-1に保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120min-1に調整し、3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液120質量部を、10質量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間攪拌し、47min-1で20分間攪拌を継続した。このときの撹拌翼の周速は0.47m/sであった。引き続き、回転数を120min-1に調整し、濃度5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を10質量部/minで2質量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間攪拌し、47min-1で20分間攪拌を継続した。その後、濃度5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を滴下して攪拌する操作を3回繰り返し、粒径が5.8μmに成長した段階で希釈水を添加して合一操作を終了した。
消泡剤BY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を0.068質量部添加後、減圧下、真空度が4kPaとなるまでメチルエチルケトン及び水を留去した。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と再分散による洗浄を繰り返した後、バスケット型遠心分離器により脱溶剤した着色樹脂微粒子分散液を得た。その後、ナウタミキサ(ホソカワミクロン(株)製)にて乾燥しトナー母粒子得た。このトナー母粒子の50%体積平均粒径5.0μm、50%体積平均粒径/50%個数平均粒径は1.07、平均円形度は0.980であった。
トナー母粒子100質量部に対してシリカH13TM(クラリアントジャパン社製)を1質量部添加し、ヘンシェルミキサーにより35m/secいて5分間処理して静電荷像現像用トナーを得た。
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
(着色樹脂溶液(MB−2)の調製)
ステンレス容器にメチルエチルケトン8.6質量部を仕込み、撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー翼径230mm)の回転数500min-1(翼先端速度:5.5m/秒)で撹拌しながら樹脂H1(希釈樹脂)4.48質量部を加えた。その後、撹拌翼の回転数を777min-1(翼先端速度:8.5m/秒)にし、着色剤マスターチップを3.78質量部、樹脂L2(希釈樹脂)を9.74質量部、ワックスマスター分散液(上記ワックスマスター溶液の調製2)を20.15質量部、及び、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.1質量部を、この順序で、容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が65質量%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベース(MB−2)を得た。なお、撹拌時における材料温度は、30〜40℃に保持した。
翼径230mmの撹拌翼を有する撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー)を備えた円筒型の容器に着色樹脂溶液(MB−2)46.85質量部(固形分27重量部)を仕込み、次いで塩基性化合物として、1規定アンモニア水5質量部を加えて、777min-1にて充分に撹拌した後、温度を30℃に調整した。
次いで、撹拌速度を1100min-1に変更して35.77質量部の水を1.5質量部/minの速度で滴下した。この時の撹拌翼の翼先端速度は13.2m/sであった。水を添加して行くにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、撹拌混合を均一に行えた。上記のようにして、乳化健濁液を得た。
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記乳化懸濁液を移送した後、撹拌速度(回転数)を85min-1として撹拌を行いながら、温度を25℃に調整した。その後、回転数を120min-1に調整し、3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液10.8質量部を、1質量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間撹拌し、47min-1で20分間撹拌を継続して行った。このときの撹拌翼の翼先端速度は0.47m/sであった。引き続き、撹拌翼の回転数を120min-1に調整し、5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を1質量部/minで2.5質量部滴下し、滴下終了5分後、撹拌翼の回転数を85min-1で5分間、65min-1で5分間撹拌した。その後、撹拌翼の回転数を47min-1として撹拌を継続し、粒径3.60μmになったところで、撹拌翼の回転数を85min-1として30分間撹拌し、目的とする合一粒子が分散した着色樹脂微粒子分散液を得た。なお、粒径の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製BY22−517)0.068質量部を添加し、反応に用いた容器を密閉し、真空ポンプを取り付けた。
次に、室温(25℃)にて、真空ポンプを用いて真空度2.7kPaの圧力で30分間減圧を行い、脱溶剤を行った。
次に、圧力を下げながら、反応に用いた容器を90分間かけて加温していき、内部の材料温度を4℃/時の速度で減圧容器内の材料温度が21℃になるまで昇温した。90分後、内部の材料温度が21℃になったら、同じ温度を維持しつつ、引き続き同じ圧力で減圧を行った。減圧にて留去した液体が、用いたメチルエチルケトンが138体積%になるまで、減圧を行い、着色樹脂微粒子スラリーを得た。このとき、最終的な圧力は1.0kPaであった。
上記のようにして得られたスラリーに対し、バスケット型遠心分離機を用いて、周速1250min-1にて、脱分散媒を行った。脱分散媒を行った後、引き続きバスケット型遠心分離機を同周速で回転させながら、スラリーにある固形分の6倍量(質量換算)の水を加え、簡易的に洗浄(以下、リンスという)を行い、水を振り切って、着色樹脂微粒子ケーキを得た。
撹拌装置の撹拌槽内に着色樹脂微粒子ケーキを入れた。撹拌槽にある着色樹脂微粒子ケーキ中の固形分含有量が、15〜20質量%になるように水を加え、水温が30℃になるように温度制御を行った。この状態で、撹拌翼としてエッジドタービン翼を用い、撹拌翼の翼先端速度が8.2m/sとなるようにして、30分間、撹拌を行い、再分散スラリーを得た。
次に、再分散スラリーについて、脱分散媒工程と同様に脱水、リンスを行った。このとき、リンスに用いる水は、再分散スラリーの固形分の3倍量(質量換算)とした。
この操作を計3回行い、洗浄された合一粒子のウェットケーキを得た。なお、最後の簡易洗浄に用いた水は、再分散スラリーの固形分の6倍量(質量換算)とした。該ウエットケーキの含水率は35質量%であった。
また、今回用いた攪拌槽の内径D(cm)と攪拌翼の翼径d(cm)との比d/Dは0.37であり、混合物:1Lあたりの攪拌エネルギーは、0.25(Wh/L)であった。
その後、真空乾燥機を用いて、25℃(室温)で24時間、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有するものであることが確認された。また、トナー母粒子の50%体積粒径をDvは2.98μm、Dvと50%個数粒径Dnの比Dv/Dnは1.06であった。トナー母粒子の平均円形度Rは0.985であった。
トナー母粒子100質量部に対して、外添剤として大粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX50)1.0質量部、小粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX200)1.0質量部、酸化チタン(チタン工業(株)製STT30S)0.5質量部を添加した。このトナー母粒子を10Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)に投入して羽先端周速30m/sで2分間混合し、トナーを得た。
上記ワックスマスターの調整条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
上記ワックスマスターの調整条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
コールターマルチサイザーII(コールターベックマン社製)の100ミクロンアパーチャーチューブを用いて50%体積平均径を求めた。
トナー母粒子を水中に懸濁させた上記試料を光学顕微鏡で観察した。ワックスがトナー母粒子に内包されていたものを○、ワックスがトナー母粒子の表面にわずかに露出していたものを△、ワックスがトナー母粒子の表面に明らかに露出していたものを×で示す。
トナー5gを50トンプレス機((株)島津製作所製)にて9tの荷重で1分間プレスして50mmφ(厚さ2.5mm)のペレットを作製した。ペレット表面をFTIR600Plus、IRT−30(日本分光(株)製顕微FT−IR)により測定した(吸光度Abs使用)。用いた対物鏡はATR−30−G45であり、直径100μmのゲルマニウム結晶で測定を行った。この時の入射角度は45°、積算回数はオート(積算回数95〜97回)であった。得られたワックス由来のピーク(2859cm-1)の強度をトナー表面近傍の相対的なワックス量とした。また、トナー中のワックス存在状態を確認するため、透過型電子顕微鏡により観察したところ、トナー表面近傍に分散している状態とワックス由来のピーク強度に相関があることが確認されている。この結果より、ワックス由来ピーク値が7以上だとワックスのトナー表面からの露出が多く、5以下であるとトナー表面からの露出が少ないと言える。
(耐久印字性能)
カラーレーザープリンタLP−9000(セイコーエプソン(株)製)を使用して耐久印字試験を行った。良好に印刷できた枚数が5000枚以上の場合○、2000枚以上5000枚未満(実用下限)の場合△、1000枚以下(実用できない)の場合×で示す。
Claims (6)
- 結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、
減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が5〜8μmの静電荷像現像用トナーの製造方法。 - ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれる、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンを、品温35℃以下、比エネルギー量0.5〜3.0kWh/kg、滞留時間15分以上の条件で攪拌し、ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれるワックスマスター溶液を調製する工程、
当該ワックスマスター溶液、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、
減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 有機溶剤に結着樹脂を溶解して得た樹脂溶液にワックスエマルジョンを微分散させてワックスマスター溶液を調製する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 樹脂溶液にワックスエマルジョンをビーズミルにて微分散させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 結着樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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