JP2008040464A - トナー製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系のワックスエマルジョン、結着樹脂、着色剤及び有機溶剤を原料として使用し、ワックスエマルジョンの凝集を防止して、トナー粒子表面へのワックスの露出がない静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】静電荷像現像用トナーの製造方法において、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられ、さらにはトナージェット方式のプリンター等にも用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真式の複写機、プリンター、ファックス等の画像出力装置においては、印刷画像品質の高解像度化、階調性の向上、廃トナー量の削減、定着温度の低温度化による消費エネルギーの低下、フルカラー画像における画像特性の向上等の要求から、画像形成に用いるトナー粒子は、粉砕によって小粒径粒子を製造する粉砕法に代えて重合法や乳化分散法等が利用されている。
重合法によるトナーの製造方法では、結着樹脂がラジカル重合可能なビニル重合体に限られているので、ポリエステル樹脂を原料としてトナーを製造することはできない。また、重合法では、未反応モノマーなどからなる揮発性有機化合物が残留するという問題があった。
そこで、ポリエステル樹脂等を結着樹脂として乳化分散した後、得られた微粒子を凝集させ、更に加温して融着させて会合体を形成する方法が提案されているが、凝集した後に融着させるため、高温で長時間攪拌する必要があるという問題点があった。
また、乳化分散により微粒子を製造した後に、該微粒子を凝集させる工程と凝集した微粒子同士を融着させる工程を同時に行う方法が提案されているが、分散安定剤や電解質を使用せず、高剪断力下での粒子間の衝突により合一を行っている。このため合一が不均一となりやすく、凝集物の発生が避けらなかった。一方、剪断力下で乳化分散を行い、引き続き同条件下で粒子の凝集を行うため、合一とともに解砕が競争的に生じ、そのため微粒子の発生が多くなり、生成するトナー粒子の粒度分布を狭くすることに限界があった。
これらの方法に対して、ポリエステル樹脂等の結着樹脂、ワックス、着色剤等を有機溶中に溶解または分散させ、得られた油相成分を水性媒体中に分散造粒するトナー製造方法が提案されている。この方法では、乳化損失を減少させて粒度分布がシャープなものを得るために、油相成分を水性媒体中に乳化させて、水性媒体中に該混合物の微粒子を形成させる乳化工程、次いで分散安定剤を添加し、更に電解質を順次添加することで該微粒子を合一させる合一工程を経てトナーを製造するものである(例えば、特許文献1、2参照)。この製造方法では、ワックスを強制的にメディアを用いて湿式分散によりトナー粒子の粒径以下に微分散したワックス微粒子を用いることが検討されているが、ワックス微粒子の形状がポテト状から針状又は紡錘状であるため、ワックス微粒子の粒度分布は広く、得られたトナー粒子の表面からワックスが露出して、トナーの現像耐久性が低下するという問題があった。
一方、中和により自己水分散性となりうる樹脂と、着色剤と、ワックスエマルジョンと、有機溶剤を必須成分とする混合物を、前記樹脂を自己水分散性とするに足る量の中和剤の存在下に、水性媒体に加えて転相乳化するか、該混合物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に着色剤とワックス微粒子がカプセル化された自己水分散性樹脂の粒子を生成させた後、当該粒子を分離し、それを乾燥するカプセル型トナーの製造法が検討された(例えば、特許文献3参照)。この製造法では、粒度分布が狭く形状が略球形のワックスエマルジョンを使用することで、トナー粒子表面へのワックス露出は低減されるが、水系のワックスエマルジョンを結着樹脂、有機溶剤及び着色剤と混練するとワックスエマルジョンが凝集するために、ワックス添加量に制限があった。
特開2003−122051号公報 特開2004−198598号公報 特開平10−186714号公報
本発明は、水系のワックスエマルジョン、結着樹脂、着色剤及び有機溶剤が原料として使用される静電荷像現像用トナーの製造方法において、トナー粒子表面へのワックスの露出、ワックスエマルジョンの凝集という問題を解決することを課題とするものである。
本発明は、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が5〜8μmの静電荷像現像用トナーの製造方法である。
本発明の好ましい実施態様では、体積平均粒径が5〜8μmの静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれる。
本発明は、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンを、品温35℃以下、比エネルギー量0.5〜3.0kWh/kg、滞留時間15分以上の条件で攪拌し、ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれるワックスマスター溶液を調製する工程、当該ワックスマスター溶液、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーの製造方法である。
本発明の好ましい実施態様では、体積平均粒径が1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、有機溶剤に結着樹脂を溶解して得た樹脂溶液にワックスエマルジョンを微分散させてワックスマスター溶液を調製する。
本発明の好ましい別の実施態様では、静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、樹脂溶液にワックスエマルジョンをビーズミルにて微分散させる。
本発明の好ましい別の実施態様では、静電荷像現像用トナーの上記製造方法において、結着樹脂がポリエステル樹脂である。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の製造方法は以下の工程からなる。
第一工程:着色樹脂溶液調製工程
結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程である。
第二工程:乳化工程
着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程である。
第三工程:合一工程
調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程を少なくとも1回行った後、目標粒径到達時点で合一を停止させる工程である。
第四工程:分離・乾燥工程
減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させてトナー母粒子とする工程である。
まず、第一工程について説明する。第一工程では、有機溶剤中に結着樹脂と着色剤を投入して溶解または分散させることで着色樹脂組成物を調製し、その後、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されたワックスマスター溶液を着色樹脂組成物に投入して着色樹脂溶液を得る。
結着樹脂及び着色剤は、高速攪拌機により有機溶剤中に溶解あるいは分散することが好ましい。この場合、着色剤は予め予備分散を行ってマスター混練チップを調製し、作成するトナー粒径以下に微分散したものを用いてもよい。
ワックスエマルジョンは、ワックスを乳化剤の存在下で乳化して得られる。乳化剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、アルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の乳化剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩型の乳化剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸型の乳化剤を挙げることができる。ワックスエマルジョンの平均粒径は0.05μm〜3μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることが更に好ましく、0.2〜1.2μmであることが特に好ましい。ワックスエマルジョンの平均粒径は日機装(株)製マイクロトラックMT−3000IIを用いて測定することができる。次いで、結着樹脂を高速攪拌機により有機溶剤中に溶解した後、ワックスエマルジョンを添加し、更に高速攪拌機により分散させワックスマスタープレ分散溶液を調整する。その後、メディア分散機にて微分散することによりワックスマスター溶液を調整する。ここで使用されるメディア分散機は特に限定されないが、例えば、アシザワファインテック(株)製LMZ10、三井鉱山(株)SCミル、アイガー社製アイガーモーターミルM−1000などのビーズミルを使用することができる。
ワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロフィッシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の中から選択される離型剤を挙げることができる。中でも、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類、高アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィッシャートロフィッシュワックス等の炭化水素系ワックス類が好適である。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5、WEP−7(日本油脂製)が挙げられる。ワックスの含有量はトナー全体に対して1〜40質量%の範囲が好ましい。ワックスの含有量がトナー全体に対して1質量%未満であると離型性が不十分となり、40質量%を超えるとトナー粒子表面にワックスが露出し易くなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなる。
体積平均粒径1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーが製造されるとき、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンは、品温35℃以下、比エネルギー量0.5〜3.0kWh/kgで15分以上攪拌される。更に、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンが上記条件で攪拌されて得られるワックスマスター溶液の媒体に含まれるメチルエチルケトンの濃度は22質量%〜51質量%であり、当該ワックスマスター溶液に含まれるワックスの濃度は9質量%〜15質量%の範囲である。
着色樹脂溶液調製工程においては、デスパー(アサダ鉄工所(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)などの高速攪拌機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、8〜25m/sであることがより好ましい。上記高速攪拌機を用いることで、結着樹脂の有機溶剤への溶解を効率よく行えると共に、着色剤の結着樹脂溶液中での均一微分散を達成できる。すなわち、予め微分散された着色剤の状態を高速攪拌することで、結着樹脂溶液中においても保持することができる。
翼先端速度が4m/sより低いと、結着樹脂溶液中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと剪断による発熱が大きくなり、溶剤の揮発と相まって均一攪拌が困難となるため好ましくない。また、溶解あるいは分散する場合の温度は20〜60℃の範囲が好ましく、30〜50℃の範囲がより好ましい。
有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が0.1〜30質量%であるものが好ましく、0.1〜25質量%であるものがより好ましい。また、常圧における沸点は、水の沸点よりも低いものが好ましい。このような有機溶剤として、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルのようなエステル類が用いられる。 有機溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、結着樹脂を溶解するものであり、後工程で脱溶剤しやすいため低沸点のものが好ましい。
有機溶剤中に、結着樹脂、着色剤及びワックスマスター溶液と共に、乳化剤を投入してもよい。
合一工程において乳化剤が機能するためには、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の乳化剤などがある。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩型の乳化剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸型の乳化剤を挙げることができる。
上述した乳化剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。すなわち、本発明の製造方法では、乳化剤の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、好ましい粒度分布が得られる。
使用する乳化剤の量は、固形分含有量に対し0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることが特に好ましい。使用する乳化剤の量が固形分含有量に対し0.1質量%より少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られない。また、使用する乳化剤の量が固形分含有量に対し3.0質量%より多いと、電解質の量が増加しても乳化懸濁液中の分散質の合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存して収率が低下する。
次いで、第二工程の乳化工程において、着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる。ここで、塩基性化合物によって結着樹脂のカルボキシル基が中和されている着色樹脂溶液に水を徐々に添加することが好ましい。カルボキシル基が中和されることで結着樹脂の親水性が向上し、水との親和性が向上する。
添加された水は結着樹脂のカルボキシル基部分に水和され、攪拌効果と相まって結着樹脂が溶解あるいは微細に分散される。一方、結着樹脂は水性媒体に介在して酸−塩基相互作用が強まり、水の添加に伴って着色樹脂溶液を含む系の粘度が上昇する。一定量の水を添加すると粘度が低下していく点があり、いわゆる転相点と称する。この直前まで粘度が上昇し、粘度が最大値に達する。粘度上昇は、塩基性化合物の添加量と相関があり、添加量が増加するほど粘度上昇も大きくなる。
一方、塩基性化合物の量は第二工程の乳化工程のみならず、後述する第三工程の合一工程における着色樹脂微粒子生成時の均一性、速度にも影響を及ぼし、結着樹脂のカルボキシル基に対して1〜3当量の範囲が好ましい。また、1〜2当量の範囲が更に好ましい。このように結着樹脂のカルボキシル基の全部を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、合一工程において異形の粒子が生成することを防止することができ、また、トナー粒子の粒度分布を狭い範囲とすることができる。
乳化工程終了後の有機溶剤の有機溶剤と水の合計量に対する比率は20〜35質量%の範囲が好ましく、20〜30質量%の範囲がより好ましい。上述したように転相点までの水の量は、着色樹脂溶液調製工程における有機溶剤量が少ないほど減少し、塩基性化合物の量が多いほど増加する。転相点では乳化液の粘度が高いこともあり、着色樹脂溶液が完全に水性媒体中に微分散していない場合もあるため、更に水を添加することが好ましい。水の量は、転相点までに添加した水の量と転相点までに使用した水の合計の50〜80質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いられる結着樹脂は特に限定されないが、酸価が3〜30KOHmg/gのポリエステル樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂の酸価は5〜20KOHmg/gであることがより好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が3未満であると、トナー粒子を製造することができない。一方、ポリエステル樹脂の酸価が30より大きいと、トナー使用環境下における帯電量が安定しない。酸価が3〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加し安定に溶解あるいは分散させることができる。
中和用の塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が用いられる。特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基の水溶液が好ましい。
上記した方法で製造した乳化懸濁液は、着色樹脂溶液が水性媒体中に乳化した状態で存在する。その状態は、有機溶剤の種類、使用量、結着樹脂の酸価、塩基性化合物の使用量、攪拌条件等で異なるが、樹脂油滴、ワックス分散質、着色剤分散質等の分散質が粒径1μm未満の油滴として乳化していることが好ましい。このような状態であれば、乳化懸濁液の安定性、後の工程における合一の安定性、着色樹脂微粒子の粒度分布等が良好になり好ましい。
次に、第三工程である合一工程について説明する。電解質を添加することにより、分散質が塩析又は不安定化され、分散質同士が一体化されることにより合一が進行し着色樹脂微粒子が製造される。
ここで用いられる電解質としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等も電解質として有効に用いることができる。合一させるために添加するこれらの電解質は、単独でも、あるいは2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのごとき1価のカチオンの硫酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。
また、得られる着色樹脂微粒子は溶剤によって膨潤しており、電解質を添加することによって粒子の水和状態が不安定な状態となっているため、低剪断力の攪拌により粒子同士を衝突させて合一を進行させることが好ましい。着色樹脂微粒子の分裂が起きずに合一のみが進行するような低剪断力下で合一を進行させることが好ましい。
均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重量であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼(登録商標、住友重機械工業製)、半月翼等が用いられる。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような低回転であっても均一混合性が優れる大型翼を用いることが好ましい。
均一な合一体を生成させるための攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/sの低剪断での攪拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。攪拌翼の周速が10m/sよりも大きいと微粒子が残存するため好ましくない。一方、周速が0.2m/sより小さいと攪拌が不均一になり粗大粒子が発生するため好ましくない。上述した条件であれば、着色樹脂微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、着色樹脂微粒子が解離、分散することがない。特に、合一工程では微小粒子の発生が少なく、かつ狭い粒度分布とすることができる。
すなわち、着色樹脂溶液調製工程、及び、乳化工程ではデスパー等の高速攪拌機により攪拌を行うことが好ましく、合一工程ではマックスブレンド翼等の低速で均一混合可能な大型翼が好適となる。このため乳化工程で得られた乳化懸濁液を大型翼付属の別の容器に移送して合一工程を実施することが好ましい。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%であることがより好ましく、1〜6質量%であることが特に好ましい。電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しない。15質量%より多いと、後工程の停止水が多量に必要になったり、洗浄、乾燥に時間がかかるなど生産性を低下させるので、好ましくない。
また、電解質溶液の濃度は1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。1質量%より少ないと、電解質の効果が十分に発揮されず、塩析や合一させるために多量の電解質が必要となるため好ましくない。または、着色樹脂微粒子が生成できない場合がある。また、一方15質量%より高いと、系内にムラが発生しやすく、特に合一初期の着色樹脂微粒子の生成時に凝集物の発生や、粗大粒子が発生しやすいため好ましくない。
合一工程では、電解質溶液を添加する際には、電解質を均一にすばやく系内に混合するため攪拌速度を上げることが好ましい。また、合一時の温度は10〜50℃の範囲内が好ましい。より好ましくは20〜40℃の範囲内であり、20〜35℃であることが特に好ましい。温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるため好ましくない。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。本発明の製造法では、例えば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による直植樹し微粒子の生成が可能である。
合一は、有機溶剤により膨潤された着色樹脂微粒子が衝突して、微粒子同士が融着することで粒子が成長していく。
また、粒子成長は、一定条件下ではほぼ一定の成長速度を保持するため、時間と粒径からブロットされた粒子成長曲線を作成することで表すことができる。その結果、その曲線より目標粒径の到達時間を推定することができる。また、水を添加することで合一を停止させることが好ましい。
脱溶剤を低温条件下で速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。脱溶剤に当たっては消泡剤の添加が好ましい。消泡剤としてはシリコーン系のエマルジョン形態のものが好ましい。シリコーン系の消泡剤としては、BY22−517、SH5503、SM5572F、BY28−503(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)、KM75、KM89、KM98、KS604、KS538(信越化学工業社製)等がある。なかでも、物性への影響が少なく、消泡効果が高いものとしてBY22−517が好ましい。消泡剤量は、固形分に対し30〜100ppmが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるトナー粒子は、着色剤やワックスなどが結着樹脂に内包されていることが特徴であり、透過型電子顕微鏡等で観察することにより、着色剤やワックスなどを粒子内に内包されてほぼ均一に分散されていることが確認できる。
また、合一工程で得られる着色樹脂微粒子の形状は、粒子像分析装置(シスメックス製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000)などによって求められ、円形度は、観察した粒子像の投影面積に相当する円の周囲の長さと観察した粒子の投影像の周囲の長さとの比で表した数値の平均値である平均円形度として表される。
トナー粒子の形状は、平均円形度は0.95以上であることが好ましく、0.96以上であることがより好ましく、0.97以上であることが更に好ましい。これは、平均円形度を0.97以上の略球形あるいは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率が向上する。
次に、第四工程である分離・乾燥工程においては、着色樹脂微粒子を分離し、洗浄、脱水する。水性媒体からの分離は、遠心分離器、フィルタープレス、あるいはベルトフィルター等の分離手段で行うことができる。次いで、粒子を乾燥させることによりトナー母粒子を得ることができる。乾燥は、リボコーン型乾燥機(大川原製作所)、ナウタミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機、流動層乾燥装置(大川原製作所)、振動流動層乾燥機(中央加工機)等の流動層型乾燥機で実施されるが、これらの乾燥機に限定されない。
トナーの粒度分布については、ベックマンコールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。これは、1.25以下であると良好な画像が得られやすくなるためである。
トナーの好ましい体積平均粒径は8μm以下である。ワックスマスター溶液の調整条件が規定されると、トナーの体積平均粒径は1.5〜4μmの範囲にされる。トナーの粒径が小さくなると、解像性と階調性は向上し、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、定着に必要な熱量が減少し、同時にトナー消費量は減少する。
本発明では、結着樹脂は特に限定されないが、ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。本発明で使用されるポリエステル樹脂は、架橋型ポリエステル樹脂、直鎖型ポリエステル樹脂であり、以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって得られる。
架橋型ポリエステルは、2価塩基酸またはその誘導体と、2価アルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、2価塩基酸またはその誘導体と、2価脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、2価塩基酸類と2価アルコールとを反応させることによって製造する。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に使用する2価塩基酸類としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。
また、2価脂肪族アルコール成分としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドープロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリングリセリントリグリシジルエステル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2 (P−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリン・トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株〉製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラツグ型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−660、N−665、N−667、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695などが、フェノールノボラシク型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−740、N−770、N−775、N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体あるいは共重合体としては、グリシジル(メタ)アタリレートのホモポリマーあるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはカージュラE (シェルジャパン社製ネオデカン酸グリシジルエステル)が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを適宜使用することができる。
本発明で架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂の混合物が使用される場合、その混合比は特に限定されないが、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40が好ましく、10/90〜40/60であることがより好ましく、20/80〜40/60であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂の比率が5質量%よりも少ないと、耐ホットオフセット性、合一速度、ワックスや着色剤などの分散性が低下するので好ましくない。また、架橋型ポリエステル樹脂の比率が60質量%よりも多いと、溶融粘度(T1/2温度)が上昇し、低温定着性が低下するので好ましくない。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、40〜85℃であることが好ましく、60〜80℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が40℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、35〜70℃であることが好ましく、50〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が35℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)が生じやすい。また、ガラス転移温度 (Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点は特に限定されないが、150℃以上となっていることが好ましく、150℃〜220℃であることがより好ましく、170℃〜190℃であることが特に好ましい、これは、軟化点が150℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、220℃を越える場合は、定着性が悪化しやすくなるためである。
また、直鎖型ポリエスデル樹脂の軟化点は特に限定されないが、90℃以上となっていることが好ましく、90℃〜130℃であることがさらに好ましく、90℃〜110℃であることが特に好ましい。これは、架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が90℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、130℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
本発明におけるポリエステル樹脂の軟化点は、定荷重押出し形細管式レオメータ(島津製作所製フローテスタCFT−500)を用いて測定されるT1/2温度である。測定は、ピストン断面積1cm2、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料質量1.5gの条件下で行った。
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、DSC(島津製作所製DSC−60A)を用いて測定される。アルミ製クリンプセルに試料20mgを入れ、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温、180℃から降温速度10℃/minで常温まで冷却し、再度昇温速度10℃/minで180℃まで昇温、セカンドランの値をTgとする。
着色樹脂溶液は帯電制御剤を混合して調製することができる。正帯電性電荷制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン染料、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物等が使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性電荷制御剤としての効果があり、本発明の正帯電性電荷制御剤として、単独で、あるいは前記正帯電性電荷制御剤と併用して用いることができる。また、用途によっては、これら正帯電性電荷制御剤にアゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負電荷制御剤を少量併用することも可能である。また、負帯電性電荷制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはスルホニル基を含有する樹脂、等が挙げられる。帯電制御剤の含有量はトナー全体に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色樹脂溶液調製工程において添加することができる着色剤の例を挙げると、黒色系着色剤としては、C.I.Pigment Black11等の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black12等の鉄−チタン複合酸化物系顔料、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue1、2、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15、16、17:1、27、28、29、56、60、63等があげられる。これらの中でも、C.I.Pigment Blue15:3、15、16、60が好ましく、C.I.Pigment Blue15:3、60がより好ましい。
黄色系着色剤としては、C.I.Pigment Yellow1、3、4、5、6、12、13、14、15、16、17、18、24、55、65、73、74、81、83、87、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、113、116、117、120、123、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、156、168、169、170、171、172、173、180、184、185等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Pigment Yellow17、74、93、97、110、155、180、184が好ましく、C.I.Pigment Yellow74、93、97、180がより好ましく、C.I.Pigment Yellow93、97、180、184が更に好ましい。
赤色系着色剤としては、C.I.Pigment Red1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、17、18、22、23、31、37、38、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、65、66、67、68、81、83、88、90、90:1、112、114、115、122、123、133、144、146、147、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、184、185、187、188、189、190、193、194、202、208、209、214、216、220、221、224、242、243、243:1、245、246、247等が挙げられる。これらの中でも、C.I.Pigment Red48:1、48:2、48:3、48:4、53:1、57:1、122、184、209が好ましく、C.I.Pigment Red57:1、122、184、209が更に好ましい。
着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましく、2〜18質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることが更に好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法によって製造したトナー粒子は、シリカ、チタニア等の微粒子、あるいはそれらを疎水化処理したものを外添剤として添加して、流動性、静電性等を調製することができる。また、得られたトナー粒子は一成分トナーとして用いることができるが、キャリアを混合することによって二成分トナーとしても利用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(架橋型ポリエステル樹脂の合成)
テレフタル酸 221質量部
イソフタル酸 95質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 62質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 7質量部
(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂 エポキシ当量170g/eq)
カージュラE 3質量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル エポキシ当量250g/eq)
以上の原料をステンレス製50Lの反応釜に入れ、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応は、ASTM・E28-517 に規定される軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が175℃であった。該重合体を以下「H1」と呼ぶ。
(直鎖型ポリエステル樹脂の合成)
テレフタル酸 315質量部
ネオペンチルグリコール 21質量部
エチレングリコール 12質量部
プロピレングリコール 122質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をステンレス製50Lの反応釜に入れ、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応は、ASTM・E28-517 に規定される軟化点により追跡し、該軟化点が100℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスターによる軟化点(T1/2)が102℃であった。該重合体を以下「L2」と呼ぶ。
(ワックスエマルジョンの調製)
カルナウバワックス1号(加藤洋行輸入品)30質量部を120℃に加熱して溶融させ、イオン交換水57質量部に乳化剤ネオゲンSC−F(第一工業(株)製)を0.11質量部添加して90℃に加温した乳化剤混合温水中に溶融されたカルナウバワックスを投入して強制乳化装置TKホモミクサー(プライミクス(株)製)にて乳化した。その後、攪拌しながら30℃以下になるまで冷却し、固形分35質量%になるように調製しワックスエマルジョン(WE1)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製1)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 70質量部をメチルエチルケトン85.6質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)87.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、アイガーモーターミル(米国アイガー社製M−1000)で、表1−実施例1に示す条件下、湿式分散しワックスマスター溶液(WM1)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製2)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.0質量部をメチルエチルケトン11.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.26質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例2に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM2)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製3)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.2質量部をメチルエチルケトン10.5質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.3質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例3に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM3)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製4)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.5質量部をメチルエチルケトン12.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.46質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例4に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM4)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製5)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 10.8質量部をメチルエチルケトン7.0質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)13.2質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例5に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM5)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製6)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 7.5質量部をメチルエチルケトン14.3質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)9.2質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−実施例6に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM6)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製7)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.9質量部をメチルエチルケトン11.2質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例1に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM7)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製8)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 9.0質量部をメチルエチルケトン18.4質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)11.0質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例2に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM8)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製9)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 19.5質量部をメチルエチルケトン26.3質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)23.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例3に示す条件下、ビーズミルLMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM9)を得た。
(ワックスマスター溶液の調製10)
直鎖型ポリエステル樹脂L2 8.9質量部をメチルエチルケトン11.1質量部中にデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を用いて750min-1の回転数にて60分間分散させた後、ワックスエマルジョン(WE1)10.9質量部を投入して、デスパーにて750min-1の回転数にて5分間分散予備混合した後、表1−比較例4に示す条件下、LMZ10ビーズミル(アシザワ(株)製)で湿式分散しワックスマスター溶液(WM10)を得た。
Figure 2008040464
(着色剤マスターチップの調製)
Ket Blue 111(大日本インキ化学工業(株)製シアン顔料、C.I.Pgiment B−15:3)2000質量部と直鎖型ポリエステル樹脂L2 2000質量部をST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)へ投入し、698min-1で2分間攪拌し混合物を得た。該混合物をニーデックスMOS140−800(三井鉱山(株)製オープンロール連続押出混練機)を用いて溶融混練しマスターチップを作成した。
(実施例1)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
(着色樹脂溶液(MB−1)の調製)
着色剤マスターチップ42質量部、架橋型ポリエステル樹脂H1 49.8質量部、直鎖型ポリエステル樹脂L2 108.2質量部及びメチルエチルケトン159.9質量部を40〜45℃の範囲で翼径9インチのデスパー(アサダ鉄工所(株)製)を使用して777min-1で1時間混合し、溶解・分散を行った。
得られた混合物には、更にメチルエチルケトンを加え、固形分含有量を65質量%に調製し、ドデシルベンゼンスルホン酸系乳化剤ネオゲンSC−F(第一工業製薬(株)製)1.1質量部を添加、溶解分散し、その後、上記ワックスマスター溶液(WM1)243.6質量部を投入しデスパーにて30分間分散を行い、着色樹脂溶液(MB−1)を調製した。
(乳化工程)
攪拌翼として翼径230mmのデスパーを有する円筒型の容器に着色樹脂溶液(MB−1)603.5質量部(固形分300.8質量部)を仕込み、次いで1規定アンモニア水40質量部を加えて777min-1で攪拌した後、温度を35℃に調整した。次いで、攪拌速度を1100min-1に変更して534.7質量部の脱イオン水を20質量部/minで滴下して乳化懸濁液を作製した。この時の攪拌翼の周速は13.2m/sであった。脱イオン水を添加していくにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ攪拌混合は均一であった。脱イオン水を200質量部添加した後、粘度の急激な低下が観測された(転相乳化)。さらに残りの脱イオン水を所定量添加した後、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料とワックスの微粒子が分散している状態が観察された。未乳化物は観察されなかった。顔料、ワックスの微粒子は水性媒体中に安定に分散していることから、微粒子表面には樹脂が吸着していると考えられる。この時、系内の全溶液中のメチルエチルケトン比率は27.7質量%であった。
(合一工程)
次いで、翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標、住友重機械工業製)付属の円筒容器に、上記乳化縣濁液を移送した後、攪拌速度を85min-1に保持したまま、温度を26℃に調整した。その後回転数を120min-1に調整し、3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液120質量部を、10質量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間攪拌し、47min-1で20分間攪拌を継続した。このときの撹拌翼の周速は0.47m/sであった。引き続き、回転数を120min-1に調整し、濃度5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を10質量部/minで2質量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間攪拌し、47min-1で20分間攪拌を継続した。その後、濃度5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を滴下して攪拌する操作を3回繰り返し、粒径が5.8μmに成長した段階で希釈水を添加して合一操作を終了した。
(分離・乾燥工程)
消泡剤BY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を0.068質量部添加後、減圧下、真空度が4kPaとなるまでメチルエチルケトン及び水を留去した。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と再分散による洗浄を繰り返した後、バスケット型遠心分離器により脱溶剤した着色樹脂微粒子分散液を得た。その後、ナウタミキサ(ホソカワミクロン(株)製)にて乾燥しトナー母粒子得た。このトナー母粒子の50%体積平均粒径5.0μm、50%体積平均粒径/50%個数平均粒径は1.07、平均円形度は0.980であった。
(外添工程)
トナー母粒子100質量部に対してシリカH13TM(クラリアントジャパン社製)を1質量部添加し、ヘンシェルミキサーにより35m/secいて5分間処理して静電荷像現像用トナーを得た。
(実施例2)
以下のようにして、トナーを製造した。なお、温度条件が記載されていない工程(処理)については、室温(25℃)で行った。
(着色樹脂溶液(MB−2)の調製)
ステンレス容器にメチルエチルケトン8.6質量部を仕込み、撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー翼径230mm)の回転数500min-1(翼先端速度:5.5m/秒)で撹拌しながら樹脂H1(希釈樹脂)4.48質量部を加えた。その後、撹拌翼の回転数を777min-1(翼先端速度:8.5m/秒)にし、着色剤マスターチップを3.78質量部、樹脂L2(希釈樹脂)を9.74質量部、ワックスマスター分散液(上記ワックスマスター溶液の調製2)を20.15質量部、及び、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.1質量部を、この順序で、容器内に投入することにより、各成分の溶解・分散を行った。さらに、その後、固形分含有量が65質量%となるように、メチルエチルケトンを追加投入し、ミルベース(MB−2)を得た。なお、撹拌時における材料温度は、30〜40℃に保持した。
(乳化工程)
翼径230mmの撹拌翼を有する撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー)を備えた円筒型の容器に着色樹脂溶液(MB−2)46.85質量部(固形分27重量部)を仕込み、次いで塩基性化合物として、1規定アンモニア水5質量部を加えて、777min-1にて充分に撹拌した後、温度を30℃に調整した。
次いで、撹拌速度を1100min-1に変更して35.77質量部の水を1.5質量部/minの速度で滴下した。この時の撹拌翼の翼先端速度は13.2m/sであった。水を添加して行くにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、撹拌混合を均一に行えた。上記のようにして、乳化健濁液を得た。
(合一工程)
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記乳化懸濁液を移送した後、撹拌速度(回転数)を85min-1として撹拌を行いながら、温度を25℃に調整した。その後、回転数を120min-1に調整し、3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液10.8質量部を、1質量部/minで滴下し、滴下終了5分後、回転数85min-1で5分間、65min-1で5分間撹拌し、47min-1で20分間撹拌を継続して行った。このときの撹拌翼の翼先端速度は0.47m/sであった。引き続き、撹拌翼の回転数を120min-1に調整し、5.0質量%の硫酸ナトリウム水溶液を1質量部/minで2.5質量部滴下し、滴下終了5分後、撹拌翼の回転数を85min-1で5分間、65min-1で5分間撹拌した。その後、撹拌翼の回転数を47min-1として撹拌を継続し、粒径3.60μmになったところで、撹拌翼の回転数を85min-1として30分間撹拌し、目的とする合一粒子が分散した着色樹脂微粒子分散液を得た。なお、粒径の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマンコールター社製)により行った。
(脱溶剤工程)
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製BY22−517)0.068質量部を添加し、反応に用いた容器を密閉し、真空ポンプを取り付けた。
次に、室温(25℃)にて、真空ポンプを用いて真空度2.7kPaの圧力で30分間減圧を行い、脱溶剤を行った。
次に、圧力を下げながら、反応に用いた容器を90分間かけて加温していき、内部の材料温度を4℃/時の速度で減圧容器内の材料温度が21℃になるまで昇温した。90分後、内部の材料温度が21℃になったら、同じ温度を維持しつつ、引き続き同じ圧力で減圧を行った。減圧にて留去した液体が、用いたメチルエチルケトンが138体積%になるまで、減圧を行い、着色樹脂微粒子スラリーを得た。このとき、最終的な圧力は1.0kPaであった。
(脱分散媒工程)
上記のようにして得られたスラリーに対し、バスケット型遠心分離機を用いて、周速1250min-1にて、脱分散媒を行った。脱分散媒を行った後、引き続きバスケット型遠心分離機を同周速で回転させながら、スラリーにある固形分の6倍量(質量換算)の水を加え、簡易的に洗浄(以下、リンスという)を行い、水を振り切って、着色樹脂微粒子ケーキを得た。
(洗浄、脱水工程)
撹拌装置の撹拌槽内に着色樹脂微粒子ケーキを入れた。撹拌槽にある着色樹脂微粒子ケーキ中の固形分含有量が、15〜20質量%になるように水を加え、水温が30℃になるように温度制御を行った。この状態で、撹拌翼としてエッジドタービン翼を用い、撹拌翼の翼先端速度が8.2m/sとなるようにして、30分間、撹拌を行い、再分散スラリーを得た。
次に、再分散スラリーについて、脱分散媒工程と同様に脱水、リンスを行った。このとき、リンスに用いる水は、再分散スラリーの固形分の3倍量(質量換算)とした。
この操作を計3回行い、洗浄された合一粒子のウェットケーキを得た。なお、最後の簡易洗浄に用いた水は、再分散スラリーの固形分の6倍量(質量換算)とした。該ウエットケーキの含水率は35質量%であった。
また、今回用いた攪拌槽の内径D(cm)と攪拌翼の翼径d(cm)との比d/Dは0.37であり、混合物:1Lあたりの攪拌エネルギーは、0.25(Wh/L)であった。
(乾燥工程)
その後、真空乾燥機を用いて、25℃(室温)で24時間、ウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子は、樹脂成分と着色剤とを含むコア領域と、着色剤を含まないシェル領域とを有するものであることが確認された。また、トナー母粒子の50%体積粒径をDvは2.98μm、Dvと50%個数粒径Dnの比Dv/Dnは1.06であった。トナー母粒子の平均円形度Rは0.985であった。
(外添工程)
トナー母粒子100質量部に対して、外添剤として大粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX50)1.0質量部、小粒径のシリカ(日本アエロジル(株)製RX200)1.0質量部、酸化チタン(チタン工業(株)製STT30S)0.5質量部を添加した。このトナー母粒子を10Lヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)に投入して羽先端周速30m/sで2分間混合し、トナーを得た。
(実施例3〜6)
上記ワックスマスターの調整条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
(比較例1〜4)
上記ワックスマスターの調整条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にしてトナーを製造した。
表2に実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたトナー母粒子の評価結果を示す。表2に示される各物性の測定方法は下記のとおりである。
(体積平均粒径)
コールターマルチサイザーII(コールターベックマン社製)の100ミクロンアパーチャーチューブを用いて50%体積平均径を求めた。
(光学顕微鏡観察によるワックス内包性)
トナー母粒子を水中に懸濁させた上記試料を光学顕微鏡で観察した。ワックスがトナー母粒子に内包されていたものを○、ワックスがトナー母粒子の表面にわずかに露出していたものを△、ワックスがトナー母粒子の表面に明らかに露出していたものを×で示す。
(全反射FT−IR法によるワックス内包性)
トナー5gを50トンプレス機((株)島津製作所製)にて9tの荷重で1分間プレスして50mmφ(厚さ2.5mm)のペレットを作製した。ペレット表面をFTIR600Plus、IRT−30(日本分光(株)製顕微FT−IR)により測定した(吸光度Abs使用)。用いた対物鏡はATR−30−G45であり、直径100μmのゲルマニウム結晶で測定を行った。この時の入射角度は45°、積算回数はオート(積算回数95〜97回)であった。得られたワックス由来のピーク(2859cm-1)の強度をトナー表面近傍の相対的なワックス量とした。また、トナー中のワックス存在状態を確認するため、透過型電子顕微鏡により観察したところ、トナー表面近傍に分散している状態とワックス由来のピーク強度に相関があることが確認されている。この結果より、ワックス由来ピーク値が7以上だとワックスのトナー表面からの露出が多く、5以下であるとトナー表面からの露出が少ないと言える。
(耐久印字性能)
カラーレーザープリンタLP−9000(セイコーエプソン(株)製)を使用して耐久印字試験を行った。良好に印刷できた枚数が5000枚以上の場合○、2000枚以上5000枚未満(実用下限)の場合△、1000枚以下(実用できない)の場合×で示す。
Figure 2008040464
本発明の製造方法である実施例1〜6で得られたトナー粒子は、ワックスがトナー粒子内部に内包され耐久印字性能が高い。一方、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンが攪拌される際の比エネルギー量が小さすぎる比較例1、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンが攪拌される際のメチルエチルケトン濃度が高すぎる比較例2、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンが攪拌される際のワックス濃度が高すぎる比較例3、結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンが攪拌される際の温度が高すぎる比較例4で得られたトナー粒子は、ワックスの内包性が低く、耐久印字性能も低い。

Claims (6)

  1. 結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンから調製されるワックスマスター溶液と、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、
    着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、
    調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、
    減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が5〜8μmの静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれる、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 結着樹脂、有機溶剤及びワックスエマルジョンを、品温35℃以下、比エネルギー量0.5〜3.0kWh/kg、滞留時間15分以上の条件で攪拌し、ワックスマスター溶液の媒体にメチルエチルケトンが22質量%〜51質量%の範囲で含まれ、ワックスマスター溶液にワックスが9質量%〜15質量%の範囲で含まれるワックスマスター溶液を調製する工程、
    当該ワックスマスター溶液、結着樹脂及び着色剤を有機溶剤中に溶解あるいは分散させて着色樹脂溶液を得る工程、
    着色樹脂溶液に塩基性化合物、水を順次添加して、水性媒体中に着色樹脂溶液を乳化させる工程、
    調製した乳化懸濁液に電解質水溶液を添加し、当該乳化懸濁液中の分散質を合一させることにより着色樹脂微粒子を生成させて粒子形成を行う工程、
    減圧下で有機溶剤を除去した後に、着色樹脂微粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させる工程が行われる、体積平均粒径が1.5〜4μmの静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 有機溶剤に結着樹脂を溶解して得た樹脂溶液にワックスエマルジョンを微分散させてワックスマスター溶液を調製する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 樹脂溶液にワックスエマルジョンをビーズミルにて微分散させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 結着樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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