JP2006178054A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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憲一 平林
Hitoshi Takayanagi
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Abstract

【課題】 水性媒体中への乳化と合一工程を経て得られる湿式トナー製法において、微小粒子や粗大粒子の発生を極力抑え、粒度分布が狭いトナーを製造することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】 バインダー樹脂と着色剤を含有する混合物の有機溶剤溶液を製造し、次いで、該溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化させることにより該樹脂溶液の微粒子を形成し、その後、分散安定剤及び電解質を順次添加することで該微粒子の合一体を形成させる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂として、高い酸価を有する樹脂Aと低い酸価を有する樹脂Bを使用し、その酸価の差が10〜30であり、該樹脂Aのバインダー樹脂全体に対する使用量が1〜20質量%である静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は複写機、プリンター、ファックス等に好適に用いられ、さらにはトナージェット式のプリンターなどにも用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式の複写機やプリンター等の市場では高画質化の要求が強まり、高解像度、高階調性に必要とされる粒度分布の狭い小粒径トナーを得る為に、乳化分散法や重合法等の各種湿式製法の開発が進められてきた。このうち特に乳化分散法はトナー小粒径化や球形化が容易なことに加えて、重合法と比較して、バインダー樹脂種の選択幅が広がる、残留モノマーの低減が容易、等の利点を有している。
カルボキシル基含有樹脂を用いた乳化分散法によるトナーの従来製法としては、例えば、ポリエステル樹脂、有機溶剤等の混合物を水性媒体中で転相乳化させてトナー粒子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。更にポリエステル樹脂、有機溶剤等の混合物を水性媒体中で乳化後、合一工程を経て粒度分布の狭いトナーを高収率で得る方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
一方、複写機やプリンター市場ではカラー化が進行している。カラートナーには高着色力、高鮮明性等が要求され、種々の着色剤が検討されている。更に、近年のカラートナーにおいては小粒径化も検討され、それに伴いトナー単位重量当たりの保持電荷が増大している。そのため現像量が減少するといった問題が発生し、これを解決する目的でトナー中の着色剤の含有濃度を上昇させることが試みられている。
また、シナージストと高分子分散剤とによって分散安定性を向上させた着色剤を用いた乳化分散法によるトナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。当該文献の実施例5には、酸価が12.6及び10.8の2種のポリエステル樹脂と高分子分散剤として酸価が20の1,2−ヒドロキシステアリン酸重合体を用いた例が、また、実施例6には、酸価が20.3及び17.5の2種のポリエステル樹脂と高分子分散剤としてMw(重量平均分子量)が2000のポリカプロラクトンを用いた例が記載されている。重量平均分子量が2000のポリカプロラクトンの酸価は記載されていないが、数平均分子量が1000だとすると、当該樹脂の酸価は56.1であると推定される。このように特許文献4には、ポリエステル樹脂と高分子分散剤の酸価の差が10未満、及び36以上の例が記載されている。
特開平8‐211655号公報 特開2003‐122051号公報 特開2004‐198598号公報 特開平11−231572号公報(請求の範囲、実施例)
しかしながら、上記公報に記載されている方法において、トナーの小粒径化及び着色剤の含有濃度の増加を検討すると、乳化工程又は合一工程における乳化安定性が不安定となり、微小粒子や粗大粒子の発生が増加して、トナーの粒度分布が広くなるといった問題が発生することが判った。特に、着色剤の塩基性が強い場合や着色剤の凝集力が強い場合には、水性媒体と混合した時や合一工程中に着色剤が凝集を起こし、トナーの粒度分布が悪化する。着色剤濃度を増加するとこれらの現象は更に顕著となる。
したがって、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、水性媒体中への乳化と合一工程を経て得られる湿式トナー製法において、微小粒子や粗大粒子の発生を極力抑え、粒度分布が狭いトナーを製造することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。特に、本発明の目的は、着色剤濃度を高くしても、微小粒子や粗大粒子が発生させず、粒度分布が狭いトナーを製造することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。更に、本発明の他の目的は、上記課題を解決する静電荷像現像用カラートナーの製造方法を提供することである。
本発明者らは、乳化工程又は合一工程における乳化安定性が不安定となる原因は、着色剤の分散安定性が不良であるためであると推定し、公知の顔料分散剤を種々検討した。その結果、製造後のトナーの粒度分布を向上させる材料を見出したが、更にそれらを詳細に調査すると、トナーのバインダー樹脂の酸価よりも高い酸価を有する材料が効果的であることが判った。しかもバインダー樹脂の酸価よりも高いだけでは不十分であり、バインダー樹脂として主として使用する樹脂よりも高い酸価を有し、且つ酸価が一定の範囲にある樹脂を用いることがより効果的であることを見出した。なお、そのような樹脂はトナーのバインダー樹脂として使用できるものであるのが好ましい。
即ち、本発明は、カルボキシル基を有するバインダー樹脂と着色剤を含有する混合物を、有機溶剤中に溶解又は分散させて着色剤が分散する樹脂溶液を製造し、次いで、該樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化させることにより該樹脂溶液の微粒子を形成し、その後、分散安定剤及び電解質を順次添加することで該微粒子の合一体を形成させ、更に、該合一体中の有機溶剤を除去後、該合一体を該水性媒体から分離し乾燥する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂として酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂を使用し、該酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂の中で、高い酸価を有するバインダー樹脂Aの酸価と低い酸価を有するバインダー樹脂Bの酸価の差が10〜30であり、該バインダー樹脂Aのバインダー樹脂全体に対する使用量が1〜20質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
水性媒体中でカルボキシル基を有するバインダー樹脂と着色剤の有機溶剤溶液又は分散液の微粒子が安定に分散し、乳化するためには、バインダー樹脂のカルボキシル基が塩基により中和され、生成したカルボン酸の塩が微粒子の周囲の電気二重層を形成するために有効に機能することが必要である。しかしながら、着色剤に塩基性部分がある場合、その塩基性部分にバインダー樹脂中のカルボキシル基がイオン的に結合して、微粒子の分散安定性に寄与しうるカルボン酸の塩の量が減少してしまう。本発明で使用する上記バインダー樹脂Aは、主成分として使用するバインダー樹脂Bよりも高酸価であるため、着色剤の塩基性部分により消費されたバインダー樹脂Bのカルボキシル基を補填し、微粒子が水性媒体中で安定に存在するためのカルボン酸の塩の絶対量を確保するために有効に働くものと推測される。したがって、本発明で使用するバインダー樹脂Aは、着色剤の分散安定剤として機能するものではなく、バインダー樹脂と着色剤の有機溶剤溶液又は分散液の微粒子が水性媒体中で安定に分散し、乳化するために機能するものであると考えられる。
本発明の製造方法によれば、着色剤の種類や着色剤の濃度の上昇に影響されることなく、粒度分布の狭いトナーを製造することができる。特に、着色剤の塩基性が強い場合に本発明の効果は顕著であり、黄色顔料を使用したイエロートナーを製造する場合に好適である。また、粒度分布が狭いトナーは帯電の均質性に優れカブリが少なく高解像性、高階調性等の優れた性能を有している。
以下、本発明にかかる静電荷像現像用トナーの製造方法の一実施例を説明する。本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、以下の第一工程から第四工程を備えている。
第一工程:カルボキシル基含有バインダー樹脂と顔料を含有する混合物を、有機溶剤中に溶解或いは分散させて混合物溶液を製造する。
第二工程:この混合物溶液を塩基性化合物の存在下で水と混合することによって、混合物微粒子の懸濁液を製造する。
第三工程:前記微粒子懸濁液に分散安定剤、及び必要に応じて消泡剤を添加後、電解質水溶液を滴下することで合一体を製造し、該合一体懸濁液から有機溶剤を除去する。
第四工程:脱溶剤後の前記合一体懸濁液から、合一体を分離し、乾燥させ、トナーを製造する。
まず第一工程について詳細に説明する。
本発明に使用するバインダー樹脂A及びバインダー樹脂Bとはカルボキシル基含有樹脂であり、該カルボキシル基を中和することにより自ら水分散性を持つ樹脂(以下自己水分散性樹脂と表現する)である。本発明に使用するバインダー樹脂成分の中で、バインダー樹脂Aのバインダー樹脂全体に対する使用量は、3〜18質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。また、バインダー樹脂Aの酸価は13〜60であることが好ましく、20〜50であることがより好ましく、20〜40であることが特に好ましい。バインダー樹脂Bの酸価は3〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、5〜15であることが特に好ましい。バインダー樹脂Aとバインダー樹脂Bの酸価の差は15〜25であることが好ましい。
本発明に使用するバインダー樹脂A及びバインダー樹脂Bとしては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限なく使用できる。具体的にはポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、またはポリスチレン樹脂やスチレンアクリル樹脂のようなビニル系共重合樹脂、等を挙げることができるが、定着性、耐オフセット性、透明性等のバランスがよいことから、ポリエステル樹脂が特に好適に使用できる。バインダー樹脂A及びバインダー樹脂Bが共にポリエステル樹脂であることが特に好ましい。
本発明で使用するバインダー樹脂Bは2種以上の樹脂の混合物であっても良く、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物であることが特に好ましい。バインダー樹脂A及びバインダー樹脂Bがポリエステル樹脂である場合、これらの樹脂は以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって製造することができる。
架橋型ポリエステルは、2価の多塩基酸またはその誘導体と2価の脂肪族アルコールと多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。また直鎖型ポリエステル樹脂は2価の多塩基酸類と2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に用いる酸成分としては、以下の2価の塩基酸類を使用することができる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸、またはその誘導体、あるいはそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、以下のアルコール類を使用することができる。2価の脂肪族アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロラクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。そのような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−660,N−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695などが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−740,N−770,N−775,N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェルジャパン製が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを適宜使用することができる
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との使用比率は、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40が好ましく、10/90〜40/60であることがより好ましく、15/85〜30/70であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂の比率が5質量%よりも少ないと、耐ホットオフセット性が低下するので好ましくない。また、合一速度が低下し、ワックスや着色剤などの分散性が低下するので好ましくない。また、60質量%よりも多いと、溶融粘度(T1/2温度)が上昇し、低温定着性が低下するので好ましくない。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60〜85℃であることが好ましく、60〜75℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が60℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましく、55〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が50℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、160℃以上となっていることが好ましく、中でも、160℃〜220℃であることが好ましい。ここで、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、170℃〜200℃であることがより好ましく、170℃〜190℃であることが特に好ましい。これは、軟化点が160℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、220℃を越える場合は、定着性が悪化しやすくなるためである。
また、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃以上となっていることが好ましく、中でも、90℃〜130℃であることが好ましい。ここで、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃〜120℃であることがより好ましく、95℃〜110℃であることが特に好ましい。これは、架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が90℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、130℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃となっていることが好ましい。ここで、混合物の軟化点は、110℃〜140℃であることがより好ましく、110℃〜135℃であることが特に好ましい。これは、上述と同様に、軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなるので保存時や印字の際にトラブルになりやすく、150℃を越える場合には定着性が悪化しやすくなるためである。
ポリエステル樹脂の軟化点は、定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスタでの測定条件は、ピストン断面積1cm、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料質量1.5gの条件で行った。
本発明に使用する着色剤については、特に制限はなく、公知慣用のものが用いられる。例えば、本発明のトナーに使用できる黒の着色剤としては製造方法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック、あるいは、C.I.Pigment Black 11などの鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12などの鉄−チタン複合酸化物系顔料が挙げられる。
また、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63などが挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,15,16,60が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 17,74,93,97,110,155及び180が挙げられ、より好ましくはC.I.Pigment Yellow 74,93,97,180が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 93,97,180が好ましい。
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247などが挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122及び209が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Red 57:1,122及び209が挙げられる。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも4〜18質量%であることがさらに好ましく、6〜15質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の製造方法は、マゼンタ顔料、及び黄色顔料を用いたイエロートナーを製造するのに適している。他の色の着色剤においても本発明の効果、つまり粒度分布が狭いトナーを製造することが可能であるが、マゼンタ顔料、及び黄色顔料を用いた場合、本発明の効果は顕著に現れる。中でも、本発明の製造方法は、黄色顔料を用いたイエロートナーを製造するのに特に適しており、黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 93等の縮合アゾ系顔料を使用した場合、本発明の効果はより顕著である。
本発明の製造方法では、ワックスを用いることができる。その場合にワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックス類の中から選択したものが用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類が好適に用いられる。ワックスの含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。これらのワックスは1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の製造方法では、帯電制御剤を用いることができる。正帯電性帯電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用のニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物などが使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックスなどの重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/またはスルホニル基を含有する樹脂などが挙げられる。
帯電制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。これらの帯電制御剤は1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
カルボキシル基含有バインダー樹脂、顔料、及び必要に応じて添加するワックスや帯電制御剤等の各種添加剤を、有機溶剤中に投入して溶解或いは分散させる手段としては、以下の方法を用いることが望ましい。
顔料、ワックス、帯電制御剤等の各種添加剤のうちいずれか、或いは二種類以上と、バインダー樹脂の混合物を、加熱及び冷却機能を有するオープンロール型連続混練機、加圧ニーダー、加熱二本ロール、二軸押し出し混練機などを用いて溶融混練分散処理する。この時、マスターバッチとして処理してもよい。こうして得られた溶融分散混練物と残る添加剤を、デスパー等による攪拌下で、有機溶剤中に投入して溶解或いは分散させる。
顔料、ワックス、帯電制御剤等の各種添加剤のうちいずれか、或いは二種類以上と、バインダー樹脂、有機溶剤を混合し、これをボールミルを含むメディアミルを用いて湿式分散処理する。この時、マスターバッチとして処理してもよい。こうして得られた湿式分散物と残る添加剤を、デスパー等による攪拌下で、有機溶剤中に投入して溶解或いは分散させる。
カルボキシル基含有バインダー樹脂、顔料、及び必要に応じて添加するワックスや帯電制御剤等の各種添加剤を、溶解或いは分散させるための有機溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類や、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類や、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、などが用いられる。これらの有機溶剤は、二種類以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から同一種類の溶剤の単独使用が好ましい。また、有機溶剤はバインダー樹脂を溶解または分散するものであり、毒性が比較的低く溶剤除去に有利な低沸点のものが好ましい。ここでバインダー樹脂を溶解する有機溶剤としては、溶解性、分散性に優れるメチルエチルケトン、酢酸エチルを用いている。特にメチルエチルケトンを用いることがもっとも好ましい。
次に第二工程について詳細に説明する。上記で得られた混合物溶液を、水性媒体、好ましくは塩基性化合物である塩基性中和剤の存在下で水と混合して懸濁または溶解し、混合物微粒子の懸濁液を製造する。ここで、塩基性化合物の塩基によってバインダー樹脂のカルボキシル基を中和した混合物に水を徐々に添加することが好ましい。添加する水の比率は、有機溶剤及び添加した水の合計量に対して50〜80質量%が好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。また、添加する水は、脱イオン水であることが好ましい。
バインダー樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加し、分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散または溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が用いられる。特に、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基が好ましい。樹脂を水中または水が主成分で有機溶剤を含む媒体(水性媒体)中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤などの分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となってしまう。これにより、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになることから好ましくない。また、ゲル分を含有するような架橋型樹脂の場合には、さらに不均一な粒度分布となり、実用上限界がある。したがって、本実施例では、カルボキシル基を含有する自己水分散性または水溶性となるバインダー樹脂を用い、塩基性化合物により中和する。
上記バインダー樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物の塩基で中和する方法としては、例えば、(1)バインダー樹脂と顔料を含有する混合物を、有機溶剤中に溶解或いは分散させた混合物溶液を製造した後、塩基で中和する方法や、(2)水または水性媒体中にあらかじめ塩基性中和剤を混合しておき、第二工程を行う際に中和する方法などが挙げられる。
ここで、塩基性化合物の使用量は、バインダー樹脂の全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.5〜3倍に相当する量が好ましく、また、1〜2倍に相当する量であることがより好ましい。バインダー樹脂のカルボキシル基を中和するために要する量よりも過剰に添加することによって、異形の粒子が生成するのを防止することができ、トナー組成の均一性を向上させ、また、合一工程における粒度分布をシャープにすることができる。
第二工程においては、デスパ(アサダ鉄工株式会社)、ホモミクサ(特殊機化工業株式会社)あるいはスラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザ(マイクロフルイデックス社)、マントン・ゴーリンホモジナイザ(ゴーリン社)、ナノマイザ(ナノマイザ株式会社、登録商標)、スタテイックミキサ(ノリタケカンパニー)などの高シェア乳化分散機や連続式乳化分散機などの高速攪拌機が使用できる。前記混合物微粒子の懸濁液を製造する時の、該攪拌機の翼先端速度は2〜20m/sが好ましく、8〜18m/sがより好ましい。翼先端速度を20m/sより上げると攪拌機能力上の限界や混合物の発熱、飛散などの問題が生じる。一方、翼先端速度を2m/sよりも下げると、混合物と水との攪拌混合が不十分となり、混合物微粒子の粒径にばらつきが生じ好ましくない。また、この時の温度には特に制限はないが、温度が高いと転相水量が多くなるため好ましくない。また、低温だと混合物の粘度が上昇し、粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。また、第二工程の温度範囲としては10℃〜50℃であることが好ましく、20℃〜45℃であることが特に好ましい。
次に第三工程について詳細に説明する。第三工程では、上記懸濁液あるいは上記水溶液から微粒子の合一体を製造し、この合一体中の有機溶剤を除去する。本発明の製造方法では、実質的に第一〜第三工程で粒径、粒度分布が決定される。
本発明の製造方法では、混合物微粒子の懸濁液を水で希釈して溶剤量を調整し、その後、分散安定剤を添加する。そして、分散安定剤の存在下で電解質の水溶液を滴下することで合一を進めて合一体を得る。混合物微粒子の懸濁液に電解質を添加することで、微粒子が塩析または不安定化され、さらに複数の微粒子が一体化することによって合一が進行し、合一体を得ることができる。なお、電解質を添加することにより混合物微粒子同士が合一するばかりでなく、水性媒体中に溶解していたバインダー樹脂も塩析または不安定化することにより水性媒体中に微粒子として析出し、混合物微粒子または混合物微粒子の合一体に付着して合一を進行させる。
第二工程で得られた混合物微粒子の懸濁液は、混合物微粒子の表面近傍に存在するバインダー樹脂のカルボン酸塩による水和作用によって水性媒体中に安定して分散している。第三工程では、微粒子が分散している水性媒体中にその水和状態を破壊あるいは減少させる電解質を添加することで、粒子を析出あるいは不安定化させる。ここで用いられる電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの有機、無機の水溶性の塩なども電解質として有効に用いることができる。これらの電解質は、単独でも、2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのような1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。ここで得られる合一体は溶剤によって膨潤しており、かつ電解質を添加することによって粒子の水和状態が不安定な状態となっているため、低シェアー(低剪断力)の攪拌により粒子同士を衝突させて合一を進行させることが好ましい。高剪断条件下で合一工程を行うと、合一が行われた粒子の分裂と合一が同時に行われるため好ましくない。分裂が起きずに合一のみが進行するような低シェア条件下で合一工程をコントロールすることが好ましい。
ところで、電解質の添加だけでは、系内の合一体の分散が不安定になっているため、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物が発生することがある。このように電解質の添加により生成した合一体が、不均一な合一を繰り返すことによって目的とする粒子径以上の凝集体を形成するのを防止するためには、電解質の添加前に、ヒドロキシアパタイトなどの無機分散安定剤やイオン性あるいはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。第三工程で用いられる分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤などがある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があるので好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。上述した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、シャープな粒度分布が得られると共に、収率の向上が達成される。
また、均一な合一を進める上では、合一時の攪拌条件が重要であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼などが用いられている。中でも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような均一混合性に優れた大型翼を用いることが好ましい。均一な合一体を生成させるための攪拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアでの攪拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。攪拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存するため好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、攪拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となるので好ましくない。上述した条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離、分散することがない。特に、合一法では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつシャープな粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
合一体を形成する場合には、系中の溶剤量を調整することが好ましい。そのため、必要に応じて系中の懸濁液または水溶液を水でさらに希釈することが好ましい。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。電解質を添加する前の系中に含まれる溶剤量は、10〜40質量%が好ましく、13〜27質量%であることがより好ましい。溶剤量が10質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなるので好ましくない。また、溶剤量が40質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるので好ましくない。
また、使用する分散安定剤の量は、例えば固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.2〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.0質量%であることが特に好ましい。これは、0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られないためである。また、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存してしまい収率を低下させるためである。
使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。これは、電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないためである。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるためである。
合一時の温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。これは、温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるためである。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるためである。本発明の製造方法では、例えば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一体の生成が可能である。
なお、第三工程において、分散安定剤を添加する際に、消泡剤も併せて添加することが好ましい。特に、バインダー樹脂Bの酸価が高い場合、具体的には、酸価が8以上である場合、シリコーン系の消泡剤を使用することが好ましい。消泡剤を添加することにより液面での発泡を抑えることができ、合一時に粗大粒子の発生を減少させ、粒度分布をシャープにすることができる。シリコーン系の消泡剤としては、BY22−517、SH5503、SM5572F、BY28−503(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KM75、KM89、KM98、KS604、KS538(信越化学工業株式会社製)等がある。
第三工程で得られる合一体の形状は、合一の進行程度により不定形から球形まで変化させることができる。例えば、平均円形度で表現すれば、0.94〜0.99まで変化させることが可能である。なお、この平均円形度は、最終的に得られたトナー粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、それを測定し計算することなどによっても求められるが、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像分析装置FPIP−1000を使用すると容易に得られる。
トナー粒子の形状は、平均円形度が0.95以上であることが好まく、0.96以上であることがより好ましい。これは、平均円形度を0.96以上の略球形あるいは球形の形状とすることで粉体流動性の向上、転写効率の向上がみられるためである。特に、粒径が小さくなるにつれ、球形と不定形では、粉体流動性、転写効率、トナー消費量の面での差は大きくなる。
次に、合一工程において得られた合一体を含む水性媒体から有機溶剤を除去する。合一工程で得られた合一体は有機溶剤を内包し、膨潤しているため高温条件下では凝集しやすい。そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。
次に、第四工程について詳細に説明する。第四工程では、第三工程で得られた合一体を水性媒体から分離し、乾燥させ、トナーを製造する。水性媒体からの分離は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルターなどの公知慣用の手段で行うことができる。ついで粒子を乾燥させることによりトナー粒子を得ることができる。ここで、第三工程において分散安定剤を用いている場合、より十分に洗浄することが好ましい。
乾燥方法としては、公知慣用の方法がいずれも採用可能であるが、例えば、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で、常圧下または減圧下で乾燥させる方法や、凍結乾燥させる方法などが挙げられる。また、スプレードライヤーなどを用いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時に行う方法を用いることもできる。特に、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で加熱しながら、減圧下で、粉体を攪拌して乾燥させる方法や、加熱乾燥空気流を用いて瞬時に乾燥させるというフラッシュジェットドライヤー(セイシン企業株式会社)などを使用する方法が効率的であるので好ましい。
トナーの粒度分布については、コールター社製マルチサイザーTAIII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径(Dv50)/50%個数粒径(Dn50)が1.25以下が好ましく、1.20以下であることがより好ましい。これは、1.25以下であると良好な画像が得られやすくなるためである。また、GSD(幾何標準偏差)は1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、コールター社製マルチサイザーTAIII型による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。
トナーの体積平均粒径として、得られる画像品質などの点から1〜13μmの範囲にあるものが好ましく、3〜10μm程度が現行のマシンとのマッチングが得やすいことなどもあってより好ましい。カラートナーにあっては、体積平均粒径が3〜8μmとなる範囲が好適である。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現されるからである。
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として公知慣用の無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタンなどの無機微粒子、あるいは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性などの物理的特性を改良する効果がある。外添剤の種類は、各種シリコーンオイルで処理された疎水性シリカなどが好適に用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α―メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッソ変性シリコーンオイル、及びオレフィン変性シリコーンオイルなどで処理された疎水性シリカが挙げられる。外添方法は、公知慣用の機種を用いて処理される。
上記のトナー粒子にキャリアを混合することによって、二成分静電荷像現像剤とすることができる。静電荷像現像剤は、本発明の製造方法により製造されたトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
静電荷像現像剤に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形など、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜200μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜110μmが好ましい。
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。
これらの中でも、特にシリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度などに優れ、より好適に使用できる。また、トナー粒子とキャリアとからなる現像剤の帯電特性は、シリコンなどのコート剤のコート量の調整、帯電制御剤の添加、カーボンに代表される導電物質の添加などにより調整できる。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコン樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであり、場合により、コート剤中に帯電制御剤、カーボンなどを添加して帯電特性を調整することが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されたトナーは、通常の非磁性一成分現像方式の印刷装置、あるいは二成分現像方式の印刷装置、磁性一成分現像方式の印刷装置などに使用できる。また、現像剤担持ロールと層規制部材とを有する非磁性一成分現像装置などを用いて摩擦帯電された粉体トナーを、トナー通過量などを調節する機能の電極を周囲に有するフレキシブルプリント基板上の穴を通して、背面電極上の紙に直接吹き付けて画像を形成する方式の、いわゆるトナージェット方式のプリンタなどにも好適に使用できる。本発明の製造方法により製造されたトナーは、潜像保持体上に静電荷像を形成させ、得られた静電荷像を、現像剤担持体上に担持された現像剤を用いて現像し、前記荷像保持体上に形成されたトナー像を紙やフィルムなどの転写材上に転写し、該転写材上のトナー像をヒートロールにより熱定着する画像形成方法により印刷を行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本比較例では、特に表示がない限り、「部」は質量部、「水」は脱イオン水の意味である。最初にトナーを調整するに当たって用いたバインダー樹脂の合成例を以下に示す。
<架橋型ポリエステル樹脂>
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 252質量部
イソフタル酸 63質量部
プロピレングリコール 122質量部
ネオペンチルグリコール 21質量部
エチレングリコール 12質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
エピクロン830 9.4質量部
カージュラE 9.0質量部
ここで、エピクロン830は、大日本インキ化学工業株式会社製のビスフェノールF型エポキシ樹脂であって、エポキシ当量が170(g/eq)となっている。また、カージュラEは、シェルジャパン製のアルキルグリシジルエステルであって、エポキシ当量が250(g/eq)となっている。
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が160℃に達した時に反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、DSC測定法によるガラス転移温度73℃、フローテスタによる軟化点(T1/2)が181℃であった。
<直鎖型ポリエステル樹脂>
(樹脂合成例2)
テレフタル酸 189質量部
イソフタル酸 126質量部
ネオペンチルグリコール 83質量部
エチレングリコール 83質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価12.3、DSC測定法によるガラス転移温度56℃、フローテスタによる軟化点(T1/2)が107℃であった。
<高酸価直鎖型ポリエステル樹脂>
(樹脂合成例3)
テレフタル酸 189質量部
イソフタル酸 126質量部
ネオペンチルグリコール 83質量部
エチレングリコール 83質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応後、エステル交換により酸性基を更に導入するためにテレフタル酸を追加し、樹脂酸価を調整した。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が104℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価30.8、DSC測定法によるガラス転移温度57℃、フローテスタによる軟化点(T1/2)が106℃であった。
(ワックスマスター分散液の調製例)
カルナバワックス「カルナバワックス1号」(加藤洋行輸入品)50部と直鎖型ポリエステル樹脂(樹脂合成例2)50部とメチルエチルケトン150部とをデスパーで予備混合した後、スターミルLMZ−10(アシザワファインテック社製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%のワックス微分散液を調製した。
(顔料マスター溶液の調製例)
着色顔料50部と直鎖型ポリエステル樹脂(樹脂合成例2)50部とを有機溶剤(メチルエチルケトン)200部中に添加し、デスパにてプレ分散を行った後、スターミルLMZ−10(アシザワファインテック社製)で湿式分散を行い、固形分含有量30%の各顔料のマスター溶液を調製した。ここで、各マスター溶液の顔料種、配合を、表1に示す。
Figure 2006178054
(ミルベースの調製)
上述したワックス分散液、顔料マスター溶液、追加バインダー樹脂、メチルエチルケトンを、固形分含有量が55%、温度条件が20〜40℃の範囲でデスパの3600rpmにより1時間混合し、溶解、分散を行った。得られた混合物溶液は、固形分含有量を55%に再調整してミルベースとした。ここで、作製したミルベースの配合を表2に示す。なお、表2において、MEKはメチルエチルケトンを示している。
Figure 2006178054
<合一法による母トナーの製造例>
(実施例1)
円筒型の2LセパラブルフラスコにミルベースMB−1を545.5部(固形分300部)仕込み、ついで1規定アンモニア水84.8部を加えて、室温(25℃)条件下、T.K.ホモディスパー翼(T.K.ロボミックス:特殊機化工業株式会社)により3000rpmにて5min攪拌した。ついで、攪拌速度を7000rpmに変更して370部の脱イオン水を5g/minで滴下して乳化分散体を作製した。この時の攪拌翼先端速度は14.7m/sであった。また、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、3.5%の硫酸アンモニウム水溶液120部を、更に4.0%の硫酸アンモニウム水溶液115部を、5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.5μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。この時の攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は2.9%であった。その後、減圧下、スラリーが1350部になるまで脱溶剤を行った。脱溶剤したスラリーを635メッシュのふるいに通した後、濾液の一部を140℃―40分間乾燥し固形分を算出、仕込んだ固形分に対する収率を算出したところ、98%であった。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返し、得られたウェットケーキを凍結乾燥機にて乾燥を行い、母トナー粒子を得た。
(実施例2)
実施例1におけるミルベースMB−1をMB−2とする以外は、実施例1と同様に乳化分散体を作製した。この際の攪拌翼先端速度は実施例1と同様に14.7m/sであった。スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、4.2%の硫酸アンモニウム水溶液215部を、5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.8μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は3.2%であった。その後、減圧下、スラリーが1350部になるまで脱溶剤を行った。脱溶剤したスラリーを635メッシュのふるいに通した後、濾液の一部を140℃―40分間乾燥し固形分を算出、仕込んだ固形分に対する収率を算出したところ、98%であった。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返し、得られたウェットケーキを凍結乾燥機にて乾燥を行い、母トナー粒子を得た。
(比較例1)
実施例1におけるミルベースMB−1をMB−3とし、1規定アンモニア水77.4部を加える以外は実施例1と同様に乳化分散体を作製した。この際の攪拌翼先端速度は実施例1と同様に、14.7m/sであった。スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、3.05%の硫酸アンモニウム水溶液200部を、更続いて4.0%の硫酸アンモニウム水溶液50部を、更に5.0%の硫酸アンモニウム水溶液30部を5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.8μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は3.2%であった。
(比較例2)
実施例1におけるミルベースMB−1をMB−4とする以外は実施例1と同様に乳化分散体を作製した。この際の攪拌翼先端速度は実施例1と同様に、14.7m/sであった。スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、4.2%の硫酸アンモニウム水溶液195部を、更に5.2%の硫酸アンモニウム水溶液20部を、5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.9μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は3.1%であった。その後、減圧下、スラリーが1350部になるまで脱溶剤を行った。
(実施例3)
実施例1におけるミルベースMB−1をMB−5とし、1規定アンモニア水83.9部を加える以外は、実施例1と同様に乳化分散体を作製した。この際の攪拌翼先端速度は実施例1と同様に14.7m/sであった。スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、3.2%の硫酸アンモニウム水溶液300部を、5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.8μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は3.2%であった。その後、減圧下、スラリーが1350部になるまで脱溶剤を行った。脱溶剤したスラリーを635メッシュのふるいに通した後、濾液の一部を140℃―40分間乾燥し固形分を算出、仕込んだ固形分に対する収率を算出したところ、96%であった。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返し、得られたウェットケーキを凍結乾燥機にて乾燥を行い、母トナー粒子を得た。
(比較例3)
実施例1におけるミルベースMB−1をMB−6とし、1規定アンモニア水76.4部を加える以外は、実施例1と同様に乳化分散体を作製した。この際の攪拌翼先端速度は実施例1と同様に、14.7m/sであった。スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、顔料と離型剤の微粒子が分散している状態が観察された。その後、脱イオン水200部を加えて溶剤量を調整した。
ついで、攪拌速度を3000rpmに変更して、アニオン型乳化剤であるネオゲンSC−F(第一工業製薬社製)2.22部と消泡剤であるBY22−517(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)0.05部を水30部に希釈して添加した。その後、攪拌翼をマックスブレンド翼に変更して、温度を25℃に、また回転数を450rpmに調整し、3.2%の硫酸アンモニウム水溶液240部を、5g/minで滴下した。続いて、回転数を158rpmに調整し、粒径が7.8μmになるまで攪拌を継続した後、希釈水を添加して合一操作を終了した。このときの攪拌翼の周速は0.34m/sであった。また、固形分含有量に対する添加した電解質量は2.6%であった。その後、減圧下、スラリーが1350部になるまで脱溶剤を行った。脱溶剤したスラリーを635メッシュのふるいに通した後、濾液の一部を140℃―40分間乾燥し固形分を算出、仕込んだ固形分に対する収率を算出したところ、97%であった。脱溶剤後のスラリーは、固液分離と洗浄を繰り返し、得られたウェットケーキを凍結乾燥機にて乾燥を行い、母トナー粒子を得た。
このようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜3の母トナー粒子に対して、以下の方法で粒径を測定し、粒度分布の評価を行った。
<評価方法>
脱溶剤後の母トナー懸濁液を水で希釈して試料を作製する。ついでコールターカウンターマルチサイザーTAIIIを用いて該母トナーの粒径、粒度分布を測定した。この測定結果を表4に示す。
Figure 2006178054

Dv/Dn;50%体積粒径(Dv50)/50%個数粒径(Dn50
<5μm(個数%);5μm以下の粒子の個数%
>10μm(体積%);10μm以上の粒子の体積%
表3の実施例1,2と比較例1,2、或いは実施例3と比較例3を比較すると、いずれも実施例の母トナー粒子の粒度分布がシャープに改善されていることがわかる。

Claims (6)

  1. カルボキシル基を有するバインダー樹脂と着色剤を含有する混合物を、有機溶剤中に溶解又は分散させて着色剤が分散する樹脂溶液を製造し、次いで、該樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化させることにより該樹脂溶液の微粒子を形成し、その後、分散安定剤及び電解質を順次添加することで該微粒子の合一体を形成させ、更に、該合一体中の有機溶剤を除去後、該合一体を該水性媒体から分離し乾燥する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂として酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂を使用し、該酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂の中で、高い酸価を有するバインダー樹脂Aの酸価と低い酸価を有するバインダー樹脂Bの酸価の差が10〜30であり、該バインダー樹脂Aのバインダー樹脂全体に対する使用量が1〜20質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記バインダー樹脂Aの酸価が13〜60である請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記バインダー樹脂Bの酸価が3〜30である請求項1又は2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記バインダー樹脂A及び前記バインダー樹脂Bがポリエステル樹脂である請求項1、2又は3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記着色剤が黄色顔料である請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記黄色顔料の使用量がトナー全体に対して6〜15質量%である請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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