JP4813680B2 - ガスクッション式分配マイクロシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液をミクロリットルやミクロリットル以下のレンジの極めて微量な液量で分配するガスクッション式分配マイクロシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
公知の液分配システムにおいて、ピペットと、ディスペンサーと、多機能分配器とはおおまかに区別が為される。ピペットは吸い込んだ液をワンステップで吐き出す。ディスペンサーの場合吸い込んだ液の吐出は段階的に行われる。多機能分配器は吐き出し操作はワンステップ式モードと、段階式モードのいずれも可能である。システムタイプのものはすべて多重チャンネル設計になっていて、複数箇所で同時に同様の分配操作を行うことができる。
【0003】
従来の往復ピストン式ピペットは、液量固定型もしくは調節可能に設計されており、1μlより幾分少なめから約10mlまでのレンジで操作される。ピストンをシリンダー内で変位させることによって、「ガスクッション」を移動させて、液体試料をピペットチップ部分に吸い込む、もしくは、ピペットチップ部分から吐き出す。この構成の場合、液は、ピペットチップを汚すだけであって往復式ピストンピペットには接触しないという利点がある。そこで、ピペットチップは大抵が、特にプラスチック製とした消耗品(使い捨て式)として設計され、使用後、清潔なピペットチップに交換される。
【0004】
往復動ピストン式ピペットによる液分配には、様々なシステム関連のエラーが付きまとう。液量調節可能な往復動ピストンピペットにおいて、ピペッティングエラーは、液柱の重量がガスクッションへ「掛けられて」、ガスクッションを液量調節度合に応じて様々に引き伸ばすという事実から発生する。また特に、分配される液量が小さめの場合、分配中の液でピペットチップが濡れていることから、分配精度に重大な影響がある。更に、往復動ピストンピペットは、分配される液量が小さい場合オープンジェット(開放噴流)の利用が不可能か、もしくは、制限された範囲内のみで可能である。分配される液量が数ミクロリットル以下の場合オープンジェットでの完全な液吐出は、まだ達成されていない。また、分配される液量が小さい場合、液の受け入れが、ピペットチップの液への浸漬深さと、往復動ピストンピペットの位置関係(アラインメント)とに相当左右される。このことは、特に手動操作式ピペットの場合に重大なエラー発生源となり得る。従って、従来の往復動ピストンピペットは、小さな液量をピペッティング可能ではあるが、限られた範囲だけであり、精度の低さや不正確さの度合が比較的高い。
【0005】
従来通り設計された直接変位原理に基づいて動作する分配システムには、「シリンジ」と呼ばれるチップ部分と、この分配システムの駆動装置に連結する一体的なピストンとを備えている。この分配システムは、約1μlから50μlまでの液量レンジで用いられる。ガスクッションは無く、ピストンはピペッティングされる試料と直接接触状態となるので、特に蒸気圧や粘度、密度などが高い液体を分配する場合には、直接変位装置が用いられる。このタイプのシステムの場合は、先に述べたガスクッションが様々に引き伸ばされる場合のエラーを避けることができる。但し、小さめの液量の分配を、求められた精度をもって行うことが可能 であるのはせいぜい約1μlまでである。また、このような液量をオープンジェットで分配し得る直接変位シリンジは比較的高価である。
【0006】
WO99/10099号公報から知られる分配マイクロシステムは、貯留部と、貯留部へ入り口が接続される膜マイクロポンプと、膜マイクロポンプの出口へ入り口が接続されるオープンジェット分配器と、オープンジェット分配器の出口に接続される分配ポートと、膜マイクロポンプとオープンジェット分配器への操作連通部に取り付ける分配制御部とから構成される。膜マイクロポンプは貯留部からオープンジェット分配器へ液のポンピングを行う。オープンジェット分配器はポンピングで取り込んだ液をオープンジェットで分配できる。オープンジェット性能は、高い分配精度のもとに1ナノリットルから数ミクロリットルのレンジでキャリオーバー無く分配中の液量の分配を可能とする。別の液体を分配しなければならなくなった場合、この直接変位式分配マイクロシステムは、キャリオーバーを避け得るよう洗浄するか、清潔な分配マイクロシステムと交換する必要がある。
【0007】
前記公報に開示されたマイクロ分配装置は、膜ミクロポンプを有しており、このマイクロポンプが補助的な液体の液柱を変位させ、これにより、ピペットピストンによって分配ポートを介してピペットチップへ液を引き込み、また、ピペットチップから液を吐き出す。望みの分配量は、膜ミクロポンプにおける公知のストローク量の制御により達成される。分配操作の後、ピペットチップと、補助液体の液柱の幾分かは放棄される。このシステムにおいて、液は分配ポートを通って流れ去り、下地に溜まる。液をオープンジェットで吐出することは不可能である。また、エラーが、特に、濡れることが原因となって、そしてまた、浸漬深さや、アラインメントが異なることにより発生する。それゆえに、このシステムの、 極端に小さな液分量での分配への利用可能性が制限される。更に、ピペットチッ プと、前記した下地とが互いに接触することから、汚染の危険性もある。
【0008】
従って、本発明の目的は、精度高く、また、汚染やキャリオーバーのリスク少な く、ミクロリットルレンジ及びそれ以下のレンジの極めて小さな分量で液を分配する分配マイクロシステムを創出することである。
前記目的は、特許請求の範囲請求項1に記載のガスクッション式分配マイクロシステムにより達成される。本発明システムの有利な点は従属の請求項に示してある。
【0009】
ミクロリットルレンジとそれ以下のレンジの液分量で分配する本発明ガスクッション式分配マイクロシステムは、
1.1 分配中の液の貯蔵スペースを含んだ液貯留部であって、この貯留部の境界線へ、外方向に伸びる液通路と、ガス通路とが通じているもの、
1.2 ガスをポンピングするマイクロポンプと、前記ガス通路への接続部とを持ったガス変位システム、そして
1.3 マイクロポンプとの操作連通部に取り付ける分配制御部であって、マイクロポンプを作動させることにより負圧もしくは正圧を発生させ、この負圧もしくは正圧を液貯留部に掛けて、液通路を介し貯蔵スペースへ液を受け入れ、もしくは、貯蔵スペースから液を吐出するもの
を備えている。
【0010】
本願での意味合いにおける分配マイクロシステムは、ミクロリットルレンジと、それ以下のレンジ(約50μlから、約1ナノリットルまで)の小さな液分量で 分配する役目をする分配システムである。この分配マイクロシステムにおいて特徴的なことは、マイクロシステム技術によって設計されるマイクロポンプである。このマイクロポンプの、マイクロシステム技術による製造には、半導体及び・またはプラスチック及び・またはガラス及び・またはセラミック及び・または金属などの材料が利用される。これらの材料を、マイクロシステム技術の適当な製 造方法によって処理するか、もしくは、例えば、(半導体用の)リソグラフ及びエッチングプロセスや、(金属、プラスチック、セラミック用の)LIGAプロセ スなどのように前記材料を微小構造化することにより処理する。
【0011】
ここで謂うマイクロポンプは具体的には、膜ミクロポンプで良い。本願における意味合いでの膜ミクロポンプは、アクチュエータ(駆動体)と協働する少なくとも一枚の膜によって形成される空隙を備えたポンプである。アクチュエータは圧電式のもので良い。他の形式のアクチュエータ、例えば、熱作用アクチュエータなども採用できる。膜ミクロポンプは、バルブを設けないで、ストロークの間に容積を変位させる変位装置として作用するものでも良いが、バルブを形成して、膜の連続的な数回のストロークにより容積流を生み出すようバルブを切り替えるようにしても良い。加える圧力によって制御する受動レスポンスバルブは普通、膜ミクロポンプの一方向操作、すなわち、一方向のみの容積流を許す。また、制御装置により目的に合わせて切り替え可能な能動レスポンスバルブは、膜ミクロポンプの双方向操作、すなわち、別の方向へも容積流を許す。
【0012】
他の設計方法によるマイクロポンプ、特に、ギヤ式、インペラー式、拡散空気式のマイクロポンプも採用できる。
【0013】
本発明は、負圧ガス排出もしくは正圧ガス排出によるガスクッション(特に、エアクッション)の変位に基づいている。そのために、分配マイクロシステムにおいて、ガス吐出用マイクロポンプを用いて、100ミリバール程度の負圧もしくは正圧によって、ガス貯留部を「発生させる」。この負圧もしくは正圧は、マイクロポンプのポンピング速度(すなわち、吐出された容積流量)もしくはポンピングにより変位する容積によって正確に制御できる。ポンピング速度もしくは変位する容積が、マイクロポンプ作動に左右されることは、公知であり、また、他の設計方法のマイクロポンプについてもこのような従属性が見られる。
【0014】
概して述べると、マイクロポンプで生じる負圧や正圧は直接的に液貯留部に作用する。ガス変位システムと液量との接続は、この場合、バルブ手段を何ら持たない設計とする、すなわち、不変的に連続していて良い。そして、負圧もしくは正圧をマイクロポンプの作動により液貯留部へ掛ける。この場合、マイクロポンプはバルブ無し、もしくは、バルブを備えた設計でよい。高い正圧もしくは負圧は、特に、マイクロポンプの(例えば、一枚乃至数枚の膜など)適当なサイズの有効変位エリア(例えば、膜エリア)により得られる。前記接続部分にバルブ手段を有することが好ましい。特に高い負圧もしくは正圧は、バルブ手段をブロックし、マイクロポンプを作動させることにより展開できる。バルブ手段を開くと、液貯留部へ負圧もしくは正圧により作用が掛かり、これにより液の液貯留部への受入もしくは液貯留部からの排出を生じさせる。前記接続部内側のバルブ手段もしくは接続部から分岐する換気ダクトのバルブ手段は、同時にミクロポンプの能動レスポンスバルブで良い。
【0015】
好ましくは、ガス変位システムのガス貯留部は、マイクロポンプにより負圧もしくは正圧によって「充填」される。ガス貯留部は特に、マイクロポンプに、及び・またはマイクロポンプとは別体にして形成して良い。充填は液受入もしくは排出に先立って行う。この充填が膜ミクロポンプの数回の膜ストロークにより達成されることが好ましい。ガス変位システムと液貯留部との間の接続部に配置するバルブ手段が、ガス貯留部と液貯留部とを分離し、液貯留部への圧力排出を制御する。
【0016】
従来のエアクッション式分配システムとは異なり、周辺条件が特に有利なように選んでありそれらに正確に固定できるので、極めて高い精度での分配が可能である。すなわち、負圧もしくは正圧のレベルと、それについての正確な制御が可能であることによって、液の受入と排出に際し固有の圧が負圧もしくは正圧に比べて小さくなる濡れ状態や細管効果が確実に解消され、それゆえ、液受入、排出が損なわなれないようにすることが可能である。更に、正圧を制御することによって、液排出がオープンジェットの形で為され、まさに吐出の必要な液量が吐出されるようにすることが出来る。ガス排出により生じさせるガス充填温度自体の固有のバリエーションは、(差圧だけが受入と排出を生じさせるので)周囲環境に対し決定的なものではない。また、これにより、汚染とキャリオーバーも避けられる。なぜなら、このシステムがガスクッションにより作用し、排出が下地への接触無くオープンジェットで為されるからである。
【0017】
分配における精度に関しては、このシステムが、液貯留部への負圧もしくは正圧の適用の際の正確な時間制御を可能とし、それにより、液受入もしくは液排出のための好都合な条件が生み出されることが有利である。バルブ手段を用いないシステムの場合は、分配の精度はマイクロポンプの制御により達成される。バルブ手段を用いるシステムにおいては、圧力適用の開始が、バルブ手段を開くことにより正確に制御される。負圧もしくは正圧の停止もしくは解放をとくに、バルブ手段を閉じることにより可能している理由は、液量の上方になおも残ったままの少ない量のガスクッションについての圧力補償が、極めて迅速に行われるし、また、分配中の容積の定量もしくは制御において考慮されるからである。尚、好ましくは、負圧もしくは正圧は、ガス変位システムの周囲環境への換気接続部におけるバルブ手段を開いて解放してよい。更に、液量に対して作用している負圧もしくは正圧を、(ポンプにより、もしくは、適当な「充填済」ガス貯留部をつないで適用する)反対に作用する負圧もしくは正圧によって開放することも可能である。
【0018】
液貯留部へ急激に負圧もしくは正圧を掛けることや、負圧もしくは正圧を突然に解放して、有用な圧力条件が分配操作の始めから終わりまで広がることを達成可能にすることは望ましい。圧力条件の急激な適用や解放は、特に、急激な膜の変形や、バルブ手段の急激な開閉により行っても良い。また、負圧もしくは正圧ガス排出はパルス状に行うことが好ましく、従ってこれを「パルス圧力法」とも呼ぶ。パルス圧力法は、正しく決定できる時間によりレベルを正確に制御可能な高い負圧もしくは正圧を採用することにより、分配における高い精度を可能にできる。
【0019】
負圧もしくは正圧を急激に解放した後、液量の慣性力に対抗する力により、液の吸引、排出の急激な停止が生じる。これに貢献するのは、液量に作用する液貯留部の容器壁部における摩擦力と、液貯留部の境界部分と液量とのあいだの界面力である。これは特に、液貯留部の材料の配座、寸法、選択により得られる。但し、慣性力に対抗する追加的な負圧もしくは正圧をポンプやガス貯留部を介して適用することにより、吸引もしくは排出の急激な停止を生じさせることも可能である。すなわち、急激に負圧を解放し、正圧を加えることにより吸引を急に止めることができ、また、急激に正圧を解放して、負圧を掛けることにより、排出を止めることができる。液量が停止した時点で、追加の分の正圧もしくは負圧を解放すればよい。
【0020】
従って、(特に0.1〜10μlの)ミクロリットルやそれ以下のレンジの極く微量の液分量を、(例えば分配精度1%などの)高い精度のガスクッションシステムにより、ピペッティングし、分配し、扱えるようになったのは初めてである。
【0021】
液は液貯留部に接触するだけなので、この液貯留部は、使用後、清潔な液貯留部と交換できて、キャリオーバーを避けられる比較的シンプルな使い捨てタイプとして有利に設計することができる。ところで、オープンジェットによる液排出により、システムと下地との間で接触無しに液移送が可能になり、汚染が避けられる。従って、冒頭で述べたクラシコ−メカニカルピペット及び分配器や、最初に説明した分配マイクロシステムに比べて、試薬の消費が相当に減少させられる。本発明はミクロ滴定プレートへ極端に小さな量の液を受け入れ充填することや、(例えば細管電気泳動など)分析用ミクロ流体システムへ試料供給することや、バイオチップへ試薬を入れることなど種々の応用を可能にする。
【0022】
このシステムは液量の受入と排出の両方に利用できるようにしている。但し有益な方法において、例えば、所定の液量をシステムでの処理のために行き先を定めたり、別の形でシステムへ入るようにした場合など、液量の受入のみもしくは排出のみに用いられるようにさせる。従って、本発明には前記応用方法の両方もしくは一方だけを可能にするシステムをそれぞれ含んでいる。
【0023】
受け入れられ、もしくは、排出される液分量はそれぞれ、様々な方法で測定され制御される。すなわち、それは、(例えば、負圧もしくは正圧のレベル、バルブ手段を切換える時点、マイクロポンプの操作と休止、マイクロポンプのポンピング率や容積変位率などのような)種々のシステム条件のもとで或る液が或る量、受け入れられ、また、このシステムにより排出されることを試験することにより決定することが可能である。このシステムは、同一のシステム条件で操作されれば液分量の受入と排出を高精度に繰り返す。
【0024】
従って、例えば、ガス変位システムにおける負圧および・またはバルブ手段が所望の液量のピペッティングのために開く時点は、所望の液量が受け入れられるように、制御可能である。更に、その正圧と、バルブ手段開放時点は、その液量が安全にオープンジェットで排出できるように制御される。この点に関連して、正圧は、当該液量が完全に排出されるまで付加し続ける。但し、ガス貯留部の負圧並びにバルブ手段の開放時期を、少なくとも受け入れるべき液分量が受入られるような形で制御し、その後に正圧と、バルブ手段開放時期を、プレセットした液量がまさに排出されるような形で制御することも可能である。後者の方法は、排出されるべきすべての液量の少なくとも総量を当初受け入れる必要がある分配プロセスにおいて行えば良い。更に、いくつかの決定された液量もしくは数種類の液についての決定された量に関する受け入れもしくは排出のためのシステム条件を発見し、それらを、適切な液量の正確なる受入、排出のために参照することも可能である。
【0025】
有益な態様に従って、このシステムの備える圧力センサーは、望ましくは温度が補償されて、(分配制御部と操作連通する)ガス変位システムにおける圧力を検出し、受入もしくは排出される液量を定量、測定し、もしくは、それを予め設定した値となるよう制御する。すなわち、この圧力センサーは、バルブ手段が開かれた後負圧もしくは正圧の変化を定量し、且つ、受入もしくは排出される液量に対応するガス量の変化を計算するために分配マイクロシステムにおけるガスの流れの状況を表現する方程式とともにボイルの法則やその他のガス条件方程式を利用しつつ、分配制御部を用いる。だが、このような液量の測定は、システムにおけるガス量の製造関連の変化、つまりは、未知の変化に影響される可能性がある。測定された液量の受入と排出のためのシステム条件に関する検査による測定結果に基づいた前述の側面にしたがい、上記の側面は受け入れもしくは排出にだけ関連するかもしくは、測定された液量の受け入れと排出に関連性をもつ。
【0026】
特に有用な側面に寄れば、分配制御部は、ガス変位システムに拡がる圧力を圧力センサーで検出し、マイクロポンプのポンピング率もしくは容積変位を予め之設定値へ制御することにより、液の吸引もしくは排出時のガス変位システムの負圧もしくは正圧を調整し、且つ、その圧において知られているマイクロポンプのポンピング率または容積変位によって受入もしくは排出される液量を測定する。この側面は、ガス変位システムの負圧もしくは正圧を一定に保つためマイクロポンプにより吐出されるガス量が極めて正確に、受け入れられる液量に対応することを考慮したものである。これにより、受け入れられもしくは排出される液量それぞれの測定もしくは制御のため、負圧もしくは正圧の予め之設定値への調整を有効に利用可能となる。この点に関連して、分配における精度は基本的に圧力センサーによる圧力検出の精度により決まる。前述の各側面によれば上記の側面も受入もしくは排出のみに関連するか、もしくは、測定された液量の受け入れと排出に関連性を有する。
【0027】
受入もしくは排出されるべき液量はきっちりと予め決定しておいても良いし、また、調節可能としても良い。
【0028】
別の有用な側面によれば、液貯留部がノズルとして形成される液通路を持つ。ノズルはオープンジェットの形成につながる出口速度の達成に有利である。更に、貯蔵空間の断面の寸法は、液流がそこで基本的に栓の輪郭を持ち、残余の液を貯蔵空間の壁へ固着してとどまらせることが無い大きさを持たせる。更に、負圧もしくは正圧を開放した場合液の慣性力に勝り、液の更なる受入もしくは排出を抑制し得る増強した摩擦力がノズル領域の液に作用する。更にまた、特にノズル部分での液貯留部の出口ポートは横断面を小さく設計して、表面が疎水性である場合細管力により、単なる液への浸漬だけによって液の出口ポートへの、重大な浸漬深さまでの侵入を防止する。これにより、液受入を浸漬深さと無関係にできるので、ポータブルユニットにとっては満足な状態となる。更に、疎水面により、液排出時ノズルで生じ得る固着を避けられる。
【0029】
マイクロポンプとは別に、本システムにおける一つ乃至数種類のコンポーネント、例えば、ガス貯留部、バルブ手段、分配制御部、圧力センサー、別のバルブ手段、液貯留部、コンポーネント間の接続部すべて、コンポーネントと周囲環境との接続部すべてなどを、ミクロシステム技術で設計できる。これによりシステムの微小化と、コスト効果の高い連続生産が可能になる。その上、ミクロシステム技術設計により、コンポーネントが望みとおりの迅速さで稼動することが保証される。また、ミクロシステム技術設計の極めて精巧な構造が、求められた精度で製造可能である。また、特に、システムのコンポーネントのうち一つまたはそれ以上を、コンポーネント間のまたは周囲環境との接続部を備えたミクロ流体ボードに配置することも有益である。
【0030】
例えばミクロシステム技術設計による、システムにおけるガス運搬コンポーネントの微小化も以下の理由により有益である。すなわち、負圧もしくは正圧を液貯留部に付加すると、負圧もしくは正圧が、ガス変位システムから液貯留部へ拡がるため、突然急激に低下する。この圧力低下は最終的に可能な限り小さくなる。更にまた、ガス貯留部を容積が小さくなるよう設計することも、液受入、排出による負圧もしくは正圧の変化についての圧力センサーによる検出が容易であり、受入、排出される液量の測定と制御が一層正確に行えるので、有用である。これらの理由により、絶対的容積すなわちシステムにおける複数のコンポーネントに拡がるエアクッション容積は、受け入れられるべき最大液容積にほぼ等しい数量とすることが好ましい。
【0031】
【発明の実施の態様】
本発明を以下実施例の図面を参照しながら更に詳細に説明する。
以下の各実施例の説明において、同様の態様についてはそれぞれ同じ符号により示す。また、ここで説明しているマイクロポンプに代えて、現在入手可能なもしくは今後開発されるその他のマイクロポンプも適用される。
【0032】
1.総論
各実施例は以下の考え方及び目的に基づいている。
このミクロ・システム技術を用いることにより、極端に小さな液分量で分配が行える。分配における不正確さの度合を低くし、そして、高速での分配を達成するために、時間ダイナミクスと、排出率に対する強い要望に合致するミクロ流体 コンポーネントを採用する。
【0033】
実施例はすべて、液を、交換可能なピペットチップとして設計できる液貯留部(1)とだけ接触させておいて、分配される液分量に対しての負圧もしくは正圧によるパルス状のガス排出によるエアクッションの変位に基づいている。
【0034】
この原理を、図1の実施例を参照しながら説明する。液貯留部(1)を(例えば膜ミクロポンプなどの)ミクロポンプ(2)につなぐ。負圧もしくは正圧をガス貯留部(3)に膜ミクロポンプ(2)により形成した後、ガス貯留部(3)をバルブ手段(4)により突然に液貯留部(1)へつなぐ。この時点で、ガス貯留部(3)の容積はほぼ、液貯留部(1)の容積に等しくなるので、仮に圧力が容積の二倍で補償されるとすると、正圧もしくは負圧は半分まで減る。従ってこの場 合、従来技術の機械的エアクッションピペットにおける静止圧の出現とは対照的 に、ガス貯留部(3)と液貯留部(1)との間でバルブ手段(4)を切り替えることにより動圧力補償が為される。
【0035】
更に、圧力の動的調整がガス変位システムにおいて為される。そのために、図1のように、圧力センサー(5)をガス貯留部(3)と液貯留部(1)の間の接続チャネル(6)へつないでいる。静止圧力平衡に至る前の液の受け入れと排出は、バルブ手段(4)の切換により停止できる。これらの操作は、圧力調整コントローラから成る分配制御部(7)により制御される。
【0036】
各実施例において、液の受け入れと排出についての測定は、移動させる液の固まりの時間従属的慣性力ではなくて、液の粘度と流れ形態とに影響される摩擦力によって行われる。この摩擦力は、甚だしい圧力降下を避けるため、実質的に液貯留部(1)における領域(1'')に限定される。
【0037】
それらは、図2によれば、液貯留部(1)が貯蔵空間(1')に隣接して、貯蔵空間(1')とノズル(1'')との間に速度増加比を生み出すための液通路として出口ポート(1''')を備えたノズル(1'')を有するという事実により達成される。この流体増加比は、一方では、(1'')において約1〜2m/秒の流速のオープンジェットで排出するための十分速いスピードを生み出す役目をする。また、一方で、例えば細管などの形態で設ける貯蔵空間(1')における高すぎる吐出圧を避ける役目もする。更に、負圧もしくは正圧が瞬間的にガス通路(1'''')へ解放される場合、ノズル(1'')で高くなった摩擦力が、液の受け入れと排出 の即時停止を助ける。
【0038】
例えば膜ミクロポンプ(2)は現在のところ、約300〜500ミリバールのガス圧を発生させることが出来るが、この値は、ガス貯留部(3)から液貯留部(1)への圧力補償の間に減らされ、例えば、半分に削減される。ノズルの直径 を0.1mmとして、長さ50mmの液貯留部からオープンジェットで液を排出するためには、ガスの正圧を約100ミリバールとして、約25μl/秒の容積 流が発生する。
【0039】
ノズル(1'')の出口(1''')の直径は、掛かる圧力に応じた容積流によって決まる。この容積流は、膜ミクロポンプ(2)の排出率によっても決まるし、ま た、制御回路の時間動力学によっても決まる。従って、液貯留部のノズル領域での断面経路は、膜ミクロポンプの吐出特性と直接に相関関係を持つ。
【0040】
受け入れ時における制御の時間レスポンスは、以下の説明的な計算で示される。約50ミリバールの圧力差が、直径100μml長さ1mm、そして、(Vrが ノズルに隣接する貯蔵空間における速度、Vdがノズルの出口ポートでの速度とした場合)速度増加比Vr/Vdが64のノズルに7μl/秒の容積流(アクア・バイデスト)を生み出す。従って、1μlの容積が143ms(ミリセカンド)以内に受け取られる。1%の精度は、1.4ms以内に受け取られる10nlの容積増加に対応する。従って、精度1%での1μlの容積の分配は、すべてのコンポーネントの時間動力学と、システムにおけるデッドな容積(すなわち、ガスクッション)の、ミリセカンドレンジの、圧力補償レスポンスとを、前提条件としている。
【0041】
このミクロシステム技術の各コンポーネントは、特にそれらを一体的且つ平面的な構成方法(閉鎖チャネル。SMD技術(「表面取り付けデバイス」技術)による。)でミクロ流体ボードにより、相互接続した場合、前述の時間動力学に対しての要望に応えることが出来る。
【0042】
液の受入が、スピードを決定するノズル(1'')により、圧力差にほぼ比例する形で、一定の高速度で行われるので、(例えば、手で保持することによる)ノズル(1'')のアラインメントによる影響や、濡れることの効果などは、一時的な、それゆえに、かすかな圧力差による静止圧補償と引き比べ、無視できる。しかし、本発明の受入れメカニズムにおいて、摩擦力が、粘度に応じた液の動きを生み出す。但し、本来的にそれは、この分配マイクロシステムで測定され考慮され、従って、自動的にこのシステムによって補償される(第2節参照)。粘度の違いは、実質的に大きいが、それは、負圧もしくは正圧の増加で補償され、受け入れ及び排出の時間が長くなることを避けられるので、液貯留部(1)は単一のデザインだけで5〜10倍程度までの粘度を広くカバーできる。それ以上のレンジの粘度については、液貯留部(1)のノズル断面積を、流量条件や圧力条件を基本的に等しくできるよう粘度に応じて決める。
【0043】
圧力センサー(5)を有益に用い、液貯留部(1)と液との接触を検出できる。この場合、ポンプ(2)により、永続的なガス流が液貯留部(1)から追い出される。出口(1''')が液表面に接触するとすぐに、液貯留部(1)の圧力が上昇する。この圧力上昇は圧力センサー(5)で検出され、液量の受入開始に用いられる。
【0044】
出口ポート(1''')にできる小さな気泡が原因となる液量受入エラーを避けるために、形成されている正圧を(図5の(10)の)換気用接続部から解放するか、もしくは、ガス流を、できている気泡が霧散するまで流し続ける。気泡の霧散により圧力が跳ね上がるが、それは検出可能であり、液量受入の開始のために利用される。
【0045】
ノズル(1'')もしくは液貯留部(1)全体に液撥水表面を設け、高い細管効果により液受入を可能とする(この場合の液受入は浸漬深さに左右されない。)ことが望ましい。従って、約15ミリバールの細管押し下げは、液受入無しに、約0.15mの浸漬深さに相応する。更に、液撥水表面により、液が、(ノズル(1'')の毛管力により液量が残って固着することも無く、)何も残らず排除される。
【0046】
ノズル(1'')を備えた液貯留部(1)は、特に(例えば長さ50ミリのガラ ス製の)プルアウト形細管を浸漬プロセスでシリコンコーティングにより疎水性 にしたものにより形成できる。この細管は、PP、PC、PSなどのプラスチックで製造し、ミクロ射出成形プロセスや、(例えば、レーザードリルプロセスなどの)連続的な機械加工操作により所要のノズル寸法を持たせることが望ましい。
2.制御パルス圧法
【0047】
液の受入、排出と、圧力決定の調整についての動力学的プロセスに関して以下、詳細に説明する。図1によれば、ガス変位システムの圧力を圧力センサー(5)によって測定し、また、膜ミクロポンプ(2)(この場合は膜ミクロポンプ)のポンピング率、すなわち、ポンピングで吐出されるガス流量に基づき分配制御部(7)によりガス変位システムの圧力を調整する。
【0048】
2.1 受入時の制御回路の操作モード
液貯留部(1)における一定の負圧が液受入の時定数容積流を発生させる。膜ミクロポンプ(2)が、受入により発生し圧力センサー(5)で測定される制御回路の負圧を補償する。
【0049】
図3aによると所定の開始時間t1における液貯留部(1)への負圧のパルス 状の適用により、受入が、極めて低い不正確さで起きる。膜ミクロポンプ(2)は、液貯留部(1)が基本的にいつでも値p2(2.2節参照)を維持するよう な形で、制御部(7)により作動される。膜ミクロポンプ(2)の公知の圧力従属的な排出率に沿ったポンピング率を、時間に対して積分すると、ポンピングされるガス量、つまりは、液貯留部(1)へ受け入れられる液量が得られる。同時に、液貯留部(1)への液受入の時間レスポンスは、受け入れられた液の粘度の目安となる。
【0050】
従って、膜ミクロポンプ(2)は、運ばれるガス量が、運ばれる液量に変換されることから、この制御回路における容積検出器として作用する。従って、受け入れられる液量と、圧力センサー(5)と組み合わせた膜ミクロポンプ(2)による量の検出とをカプリングすることにより、製造時無害の許容度となる液貯留部(1)の容積とは独立した受け入れが許される。流量条件が可変であることは分配プロセスの時間に影響するだけであるから、受け入れられたもしくは排出された液量は、粘度や、ノズル直径の許容度、更には、流量を可変にするパラメータに、左右されない。
【0051】
膜ミクロポンプ(2)の増加的な排出特性により、受入中の液量とその正確さを、圧力、ポンプストローク、ポンピング頻度に依存させる。例えば、(図4の)圧力pに依存する膜ミクロポンプ(2)のポンピング率Fは、それを圧力上昇法により準備開始プロセスの公知の容積に変換することにより決定される。受入プロセス毎の所定時間どおりの圧力降下によって決定される粘度は、所定圧力p2における受入及び排出の時間へと、釣り合い良く推移する。受入時間と排出時 間が等しい場合、従って例えば粘度が二倍になる場合、圧力を適宜減じるか増加させ、例えば、p2からp3までは、2×p2(図3参照)とし、この結果へ、必 要に応じ、膜ミクロポンプの直列接続を介在させる。
【0052】
4以後の所定の液量受入に続く液の停止が、t4とt5の間の通常の大気に対 するパルス状の負圧解放によって行われる(図3a参照)。慣性力に比べ相当に強い摩擦力が、液貯留部(1)における液の逸脱により即座の停止を生じさせる。支援手段として、負圧パルスをt5とt6(図3c参照)の間の吸引ミクロポンプにより追加的に介在させても良い。細管力による液の追いかけは適当な負圧によって継続的に防止できる。
【0053】
2.2 受入時の圧力−時間レスポンス
図3aによると、時間t1までにガス貯留部(3)と液貯留部(1)の間で圧 力補償が起きる。容積とチャネル長さが小さく短いことから、圧力補償はミリセカンド以下のレンジで発生し、それゆえ十分に速い。圧力p2はこのシステムに おいてt1で自ら調整し、受け入れるべき液分量と、液の粘度に適合させられる 。従って、負圧p2は、受け入れる液分量が少なめの場合低めとなり、受入流量 もしくは流速を低下させ、所定時間どおりの調整すなわち容積受入の正確さが維持される。液の吸引により、時間t2に、圧力がボトム圧力閾値p2まで降下させられる。この圧力降下のための時間の余裕は液の粘度に比例する。従って、ポンプの増加ストローク、すなわち、膜ミクロポンプ(2)の一回もしくは数回の膜ストロークにより、圧力降下の補償が生じる。補償は、圧力p2が時間t2'で達 成されたときに完了する。このメカニズムであるから、粘度は時間経路に影響するだけであるので、受入中の液分量は粘度に左右されない。
【0054】
そして更に、この操作を、(圧力降下の補償を常に、時間t3およびt4におけるポンプの増加ストロークによって行い)、数回繰り返す。
ポンプのストロークを合計し、調整したポンピング量に達していれば液受入を停止させる。
【0055】
2.2 排出
液排出は液受入と同様であって、一定の正圧が、公知の方向−依存性液流抵抗を備え得る液貯留部(1)の公知の粘度と公知の寸法により排出を生じる。調整は受け入れ時と同様に、膜ミクロポンプ(2)が圧力降下を補償するというかたちで行える。所定の時間通りの調整も、このシステムが液受入の間に獲得するデータの助けを借りることにより、可能である。
【0056】
t1の後、液貯留部(1)へ正圧をパルス状に適用することにより、オープンジェットを即座に形成させる。ピペットモードでの排出は完全な吹き出しにより、液の停止無く行われる。そして、受け入れられた液量が決定されていて、完全な吹き出しが、例えば、所定時間通りの制御により確保されるという場合、ポンピング量の決定は無くとも良い。
【0057】
最小圧力は通常、オープンジェットでの排出のため、存在する必要があるので、制御回路はおそらく、高めの時間動力学のための(小さな液分量用の)分配モードでの時間制御を備えるよう設計されなければならない。t4の後、所定の容 積受入に続く液の停止は、通常の大気に対するパルス状の正圧解放により、同様な形で行われ、慣性力に比べ比較的高い摩擦力が液逸脱により即座に停止を生じさせる。
【0058】
リミットは、約100ナノリットルの容積での液固有の表面張力(この場合、オープンジェット条件下での排出時間は約4ミリセカンドである。)との関連から、排出モードで排出される最小の容積に設定する。それ以上に小さい分量での液の排出は、1〜2メートル毎秒のオープンジェット速度の場合の運動エネルギーがそのような小滴の表面エネルギーにほぼ一致するので、この場合問題がある。
【0059】
3.有益な効果
パルス圧法の場合は、連続的なオープンジェットがt1の後すぐに圧力p2で形成されるので、小滴がむやみに形成されることが無い。
【0060】
分配操作時の小滴の、定義される逸脱が、特に流体増加比による正圧もしくは負圧の突然の解放によって達成される。
負圧もしくは正圧の蓄積は、特に以後の分配操作に遅れを生じないように、例えば移送、受入もしくは排出操作の間に為される。
【0061】
低いレベルでの不正確さが、受入の時間t1の定義される開始により、達成さ れる。
前記の不正確さは液貯留部の出口ポートもしくはピペットチップの直径に対し相関関係を持たない。
受け入れられるもしくは排出される液量は、測定における不正確さ、すなわち、圧力センサーの測定の不正確さのよってのみ、制限される。
受入および排出の速度は粘度と圧力にほぼ比例する値とする。
【0062】
ノズル出口の多様な断面値(例えば、100〜300μm)を、個別の粘度に合わせて用いることができる。等しい圧力条件下では、ノズル直径は、(受入及び排出の速度を一定にしておきたい場合)粘度が10倍になる場合100〜180μmまで、そして、粘度が100倍に成る場合は100〜320μmまで大きくする必要がある。
【0063】
ノズルの寸法が決定されている液貯留部により、粘度に5〜10倍の違いがある個々の液分量の分配が可能になっている。
【0064】
4.別の実施例
図5の示す実施例において、液貯留部(1)は、ガス変位システムの接続チャネル(6)に脱着可能なジョイント(8)を備える。ガス変位システムに対して負圧ガス貯留部(3)または正圧ガス貯留部(3')が交互に適用され、三方向/二方弁(4)により切り替えられる。ガス貯留部(3)にはフィルター(9)を介して一方向膜ミクロポンプ(2)の吸引側端部が接続され、前記ミクロポンプ(2)の圧力側端部は周囲環境へつなげられている。ガス貯留部(3')へは(フィルター(9)を介して雰囲気を吸い込む)一方向膜ミクロポンプ(2')における圧力側端部が接続される。
【0065】
接続チャネル(6)は横方向に換気チャネル(10)を周囲環境へつないでいる。換気チャネル(10)は二方向/二方弁(11)により閉じられ、開かれる。
【0066】
接続チャネル(6)はまた、横方向に圧力センサー(5)を周囲環境へつないでいる。圧力センサー(5)が周囲環境に対する差圧を検出する。
分配制御部(7)が膜ミクロポンプ(2、2')、バルブ(4、11)を制御し、圧力センサー(5)の信号を処理する。
【0067】
このシステムは調整パルス圧法により操作される。液の吸引のためには、まず負圧を、バルブ(4)をポジション(b)にしてガス貯留部(3)に、膜ミクロポンプ(2)により形成する。そして、バルブ(4)をポジション(a)へ切換えるとともに、バルブ(11)を閉じ、これにより、負圧が突然に液貯留部(1)に掛かり、液貯留部(1)がノズル(1'')から液を吸い込む。液吸引時、圧力センサー(5)がガス変位システム内の圧力を連続的に決定し、分配制御部 (7)がそのガス変位システム内の圧力を、膜ミクロポンプ(2)により決定値に調整する。液吸引は、バルブ(11)を開き、膜ミクロポンプ(2)をスイッチオフし、更に必要に応じて、バルブ(4)をbポジションに切り替えることにより突然に終了させられる。
【0068】
液の排出のためには、バルブ(4)をまず、aポジションに移動させ、ガス貯留部(3')に膜ミクロポンプ(2')により正圧を形成する。バルブ(4)をbポジションに切換え、且つ、バルブ(11)を閉じて、正圧を液貯留部(1)へパルス状に掛ける。その結果、受け入れられている液がノズル(1′)からオープンジェットにより排出される。この時点で、正圧が、圧力センサー(5)により永続的に決定され、分配制御部(7)により決定値へ調整される。所望の液量の排出時、バルブ(11)が再度開かれ、膜ミクロポンプ(2')がスイッチオフされ、必要に応じて、同時にバルブ(4)がbポジションへ切換られて、周囲環境へ正圧が解放される。
【0069】
図6aの実施例は図5と比べて、三方向/二方弁(4)だけを設ける。この三方向/二方弁(4)は接続チャネル(6)における換気チャネル(10)の接続部位に着座させる。ポンプ(2,2')はそれぞれ共通のガス貯留部(3)へつなぐ。圧力センサー(5)も同じくガス貯留部(3)に接続される。
【0070】
バルブ(4)がaポジションのとき、ガス貯留部(3)が充填される。そのために、ポンプ(2,2')それぞれには、ガス貯留部(3)へもう一方のポンプ(2'、2)が形成した圧力を維持する特性を備えている。ガス貯留部(3)内の圧力は圧力センサー(5)により、そしてまた、分配制御部(図示せず)により調整される。
【0071】
吸引もしくは排出のために、バルブ(4)は、bポジションへ移動される。吸引もしくは排出の停止には、バルブ(4)をaポジションへ戻す。
【0072】
この実施例は、バルブ手段(3)一つだけを使うので、コストが比較的低いが、前記ポンプ(2,2')のかわりに、方向的に操作するポンプ(2)を単独で用いれば、このコストは更に減らせる。
【0073】
当該の圧力を維持し得る一方向ポンプ(2,2')が図6a実施例のために利用できない場合は、図6bに従い、三方向/二方弁を備えた装置(2'')をポンプ(2)出口とポンプ(2'')入口の下流へ介装して良い。三方向/二方弁の切換え位置に従って、ポンプ(2または2')が周囲環境に接続され、もう一方のポンプは遮断される。これにより、圧力が所望のとおりに確実に維持される。
【0074】
バルブ手段(4)もしくは装置(2'')として三方向/二方弁が利用できない場合、これらをそれぞれ、二方向/二方弁に代えても良い。
【0075】
図7の実施例と、図5との違いは、三方向/二方弁(4)の替わりに、ニ方向/二方弁をふたつ(4'、4'')用いた点であり、更に、ガス貯留部(3、3')の間に圧力センサー(5)を介装している。
【0076】
負圧もしくは正圧は、バルブ(4'、4''、11)の切換により液貯留部(1)へ掛けるもしくは液貯留部(1)から抜かれる。ガス貯留部(3又は3')の圧力は、接続されているポンプ(2'、2)を介してもう一方のガス貯留部 (3'、3)を換気することにより大気圧を参考にして、圧力センサー(5)により測定される。
【0077】
図8の実施例と図7のものとの違いは、ガス変位システムの形態にある。この実施例では単一の一方向膜ミクロポンプ(1)の吸引側をフィルター(9)を介して負圧ガス貯留部(3)につなぎ、圧力側をじかに正圧ガス貯留部(3')へつないでいる。ガス貯留部(3,3')はそれぞれ、二方向/二方弁(4'、4'')を介して液貯留部(1)の接続チャネル(6)に接続している。負圧ガス貯留部(3)は、二方向/二方弁(11)を持った換気チャネル(10)を接続している。膜ミクロポンプ(2)とフィルター(9)とは更なる差圧センサー(12)へ分岐している。
【0078】
膜ミクロポンプ(2)、バルブ(4'、4''、11)、センサー(5,12)は分配制御部(7)へ接続しているが、理解しやすいように、接続状態の詳細は割愛してある。
【0079】
負圧をガス貯留部(3)に膜ミクロポンプ(1)を作動させることにより形成する。所望の負圧の達成は圧力センサー(5)でモニターできる。圧力センサー(12)は差圧により得られるポンピング率を検出する役目をする。バルブ(4')をひらくことにより、負圧を急激に切換えて液貯留部(1)へ掛ける。負圧の調整は先に説明したように行われる。バルブ(11)は吸引停止のために開ける。
【0080】
負圧を形成中の場合に、ガス貯留部(3')へ既に正圧が掛けられていても良い。また、それは、バルブ(11)を開にした状態で膜ミクロポンプ(1)を開いても可能である。所望の正圧の達成を圧力センサー(12)によりモニターできる。正圧をバルブ(4'')により液貯留部(1)へ急激に掛けて、液貯留部 (1)から液を排出できる。正圧の調整は前述のように行う。液の排出はバルブ(4'、11)を開けて止める。
【0081】
図9の実施例は、図8の実施例に対し実質的にバルブが相違する。この実施例の場合、負圧ガス貯留部(3)と、正圧ガス貯留部(3')と、液貯留部(1)への接続部(6)とのあいだに三方向/二方弁(4)がある。更に、三方向/二方弁(11')がガス貯留部(3)と、フィルター(9)と、換気チャネル(10)との間に配置される。
【0082】
ガス貯留部(3)への負圧の形成は、バルブ(11')をaポジションにした状態でバルブ(4)により閉じたガス貯留部(3)に膜ミクロポンプ(1)を作用させることにより行う。その場合、バルブ(4)をaポジションに切換えれば負圧を急激に液貯留部(1)へ掛けることができる。液受入の停止のためには、バルブをaポジションから移し、バルブ(11'')をbポジションに移動させて、ポンプ(2)により換気を行えばよい。
【0083】
ガス貯留部(3')への正圧の形成には、バルブ(11'')をbポジションに切換え、バルブ(4)をaポジションに移し、膜ミクロポンプ(1)を作動させる。液排出のためには、バルブ(4)をbポジションへ切換える。操作の停止に はバルブ(11')を周囲環境のほうへ開き、必要ならばバルブ(4)をaポジ ションへ変える。
【0084】
図10の本発明システムは、ミクロ流体ボード(13)により有効に具体化できる。それについては図10のシステム図に示しているが、その構造は図5のものとほぼ等しい。ミクロ流体ボード(13)は(例えば接続チャネル(6)などの)様々なチャネルと、ガス貯留部(3,3'など)とを集積したものであって、射出成形やエンボス技術により少なくとも一つのボード体として形成し、チャネルやガス貯留部を閉じて製造している。
【0085】
種々のコンポーネント(例えば膜ミクロポンプ(2,2')、バルブ(4)、圧力センサー(5)など)を混成の組立体に取り付けて互いに溶接し、ミクロ流体ボード(13)の中でじかにチャネル(6など)やガス貯留部(3,3')へ接続している。
【0086】
更に、ミクロ流体ボード(14)の表面に電気導体(14,14')をプリントしている。電気的/電子機械的コンポーネント(2、2'、4、5)は結合プロセスにより、プリントされた導体(14,14')へ電気的に接続され、正規化バスシステムによりアドレスされる。
【0087】
ミクロ流体ボード(13)は、標準化した電気及び液圧式インターフェースにより、電子圧力制御部(7)と、交換式ピペットチップ収容・固定装置とに接続される。
【0088】
ミクロ流体ボード(13)は特に、本発明システムの絶対容積の最小化を可能にするという有効性を有している。負圧もしくは正圧が、液貯留部へ付加されている最中に、レベルの半分だけ降下するよう意図されている場合、ガス貯留部 (3)へ結合されるべきシステム容積は、ガス貯留部(3)とほぼ同じ容積である必要がある。従来のフレキシブルチューブ接続部と、標準的−機械的ポンプ及びバルブは嵩が大きすぎ受動的すぎる。従って、ミクロ流体ボード(13)とミクロシステム技術コンポーネントとによって具体化されるこの実施例は特に有益である。
【0089】
図11によれば、複数のコンポーネント搭載ミクロ流体ボード(13)を、正規化した格子ピッチで隣り合うよう平行に配置し、多チャンネル式分配装置を形成する。ミクロ流体ボード(13)を、ピペットチップ形の液貯留部(1)へ、横方向に伸びる接続ボード(15)によって結合する。接続ボード(15)は、液貯留部(1)への接続部を実現するという目的をもった接続チャネル(6)の連続部(6')を備えている。液貯留部(1)の格子ピッチはミクロ流体ボード(13)の格子ピッチとは異ならせて、例えば滴定プレートの格子ピッチなどの格子ピッチを維持する。接続ボード(15)には液貯留部(1)へ離脱可能に取り付ける収容・固定装置を設けても良い。
【0090】
ミクロ流体ボード(13)と接続ボード(15)を用いたシステムのモジュラー構造により、液貯留部(1)で個々の液分量を混ぜ合わせる、もしくは、分離させるなどの別途の作用を実行可能である。このために、必要に応じ、接続ボード(15)に、例えばバルブを備えた別途の情報分配システムを形成して良い。更に、別の、空気圧式接続部(6'')によりボード(13、15)間の複合的連結や機能が可能になる。
【0091】
図12に示したミクロ流体ボード(13)は、横方向に伸びる接続ボード(15)により、平行に並んだ数本の液貯留部へ接続している。従って、平行な液貯留部(1)それぞれを介した液の受入と排出は単一のミクロ流体ボード(13)により生じさせる。このシステムには、ミクロ流体ボード(13)に接続チャネル(6)もしくは接続ボード(15)に接続チャネル連絡部(6')があり、それらに対しミクロシステム技術バルブ手段が一体化される。このバルブ手段により、単一もしくは複数の液貯留部の目的に合わせた作動が為される。
【0092】
図13によれば、ピペットチップの形態の液貯留部(1)を平行に並べた状態のマガジンからミクロ流体ボード(13)まで案内することが出来る。最後にもう一点、ピペットチップ(1)はミクロ流体ボード(13)と平行に、取り付け部へ変位させるようにしている。このシステムではLED(発光ダイオード) (17)を例えばミクロ流体ボード(13)または接続ボード(15)に取り付けることが出来る。LEDにより光が、おそらく放射の逆転により、底部の穴として光が通過するピペットチップのガス通路(1)''''へ軸方向に集められ、ライ トポインターとしてノズル(1'')から出て行く。この場合、ピペットチップは光導体として働く。前記したライトポインターは、ノズル(1'')(特にガラス製の場合)と、分配場所との位置表示器として使える。このことは特に、システムがポータブルなユニットとして設計されている場合に有益である。更に、光検出器(17')が測定する(液表面に接触している)光の反射レスポンスの変化が液接触の検出に用いることが出来る。
【0093】
図14によると、本発明システムが分配システム(18)を備える。分配システム(18)の供給チャネル(19)から小さなサイドアーム(20)が複数本(n本)分岐している。n本のサイドアームはそれぞれ出口のあるノズルを有する。分配システム(18)の内側面は、サイドアーム(20)部分を親水性の設計とし、サイドアームへの液充填を補助している。この分配システム(18)は、チップから受け入れた液をゆっくりと排出して、チャネル(19)でのオープンジェットを避けるので、液のサイドアーム(20)の中までの拡がりを可能にする。本発明の正圧の適用は、液をノズルからおそらくオープンジェットで連続的に排出する助けとなる。
【0094】
図15によれば2本の液貯留部(22、22')の平行配置により、二つの液の混合と、受入中の液をガス泡により分断することとが可能である。このため、混合プロセスにおいては、予め受け入れている液を液貯留部(22')から排出し、(別の液の場合の様に)同時に液貯留部(22)へ受け入れる。(22')からの液量が(22)に完全に受け入れられることを意図しているので、少なくとも同一の液量が(22)に受け入れられなければならない。続いて、第三の液を(22')に受け入れる。そして、全部の液の混合が為され、これらが(22,22')から排出される。この構成において、液貯留部(22,22')の出口(22''、22''')は互いに出来るだけ近く配置して、液の「クロスオーバー」をしやすくしている。液貯留部はピペットチップに組み込んでも良いし、また、使い捨てタイプとして設計しても良い。
【0095】
前述の液貯留部(22、22')の別の応用方法は、ガス泡によりチャネル (22)の液を分断することである。分断は、(液を(22')へ受け入れつつ)(22')からエアを排出させることによって生じさせる。この点は、特に、個々の液分量がサイドアーム(20)における液量より少ない場合に、図14の分配システムの操作に有利である。
【0096】
上記の各実施例においてミクロポンプとして採用され得るのは特には、膜ミクロポンプである。一方向のみの設計の場合に、これらの膜ミクロポンプの入口と出口の両方にフラップバルブなどの受動レスポンスバルブを設けてよい。また、一方向のみの設計の場合に、入口と出口の両方に能動レスポンスバルブを設けても良い。特に、それらは圧電式アクチュエータを備えた膜バルブなどの電気的に制御可能なバルブで良い。
【0097】
前記アクチュエータは膜ミクロポンプと別体に設計してもよいし、また、ミクロシステム技術により膜ミクロポンプに一体的に形成しても良い。例えば、膜ミクロポンプの膜もしくは膜バルブには、支持層と、その層に重ねる圧電フィルムとを設けても良い。電圧をこの圧電アクチュエータへ、圧電フィルムの上側と下側の表面接触部を介して掛ける。
【0098】
自動充填式膜ミクロポンプ(製造者:ザ・インスティチュート・ファー・ミクロテクニク・マインツ・ゲーエムベーハー、住所:カール−ツアイス−ストラッセ 18−20、ディー−55129、マインツ−ヘクトハイム)を、一方向膜ミクロポンプとして採用してよい。その膜ミクロポンプは技術紙「自動充填式低コストタイプ膜ミクロポンプ」標題「エムイーエムエス(ミクロエレクトロメカニカルシステム)手順」(ケー・ピー・ケムパー、ジェー・デパー、ヴェー・アーフェルト、エス・オーバァベック共著、1998年ハイデルバーグ刊行、432〜437頁参照。)この膜ミクロポンプの膜は直径約10ミリである。
【0099】
以下の実施例における膜ミクロポンプは、一体的な圧電式アクチュエータ(膜圧電柔軟部材)を持った一枚もしくは数枚の膜を備えている。膜圧電柔軟部材はツインタイプのセラミック製の膜であって、電圧を掛けると、屈曲して球形椀状に空洞を形成するか、もしくは、電圧の極性に応じて逆方向に動作する。電圧を切った後、膜は、弾性回復力により当初位置へ戻される。この構造をもった公知の膜ミクロポンプは、前述の一方向膜ミクロポンプとは、特に、膜の直径が約30ミリであるという点で相違している。膜は、深さ約70μmの空隙において変形可能である。更に、(例えば、ミリセカンド以下のレンジにおいて)膜の急速変形が可能である。
【0100】
使用されるバルブは例えば、フォルシュングスツェーントラン・カルルスルーエ/フリードリヒ・ビュールケルトの、ニ方向/ツーウェイ圧電ミクロバルブ (活性操作コンポーネントとして、10ミリの膜圧電柔軟部材を備える。)である。
【0101】
図16によると、前述したタイプの膜ミクロポンプ(2)を、ガス貯留部(3)と、接続チャネル(6)を介して、液貯留部(1)へ接続する。ガス貯留部 (3)の場合も、部分的にもしくは完全に容積変位装置(2'')へ一体化できる。液貯留部(1)は、永久的にもしくは脱着可能に、接続チャネル(6)へ接続してよい。
【0102】
二方向/二方弁(4)を接続チャネル(6)に一体化する。更に、二方向/二方弁で開閉可能な換気チャネル(10)が、接続チャネル(6)から周囲環境のほうへ分岐している。周囲環境との差圧を測定する圧力センサー(5)を、バルブ(4)と液貯留部(1)との間に接続する。
【0103】
液吸引のため、バルブ(4)をまず閉じ、その後、バルブ(11)を開く。膜ミクロポンプ(2'')の二枚の膜を駆動して、互いに近づく方向へ屈曲させる。それから、バルブ(11)を閉じ、膜ミクロポンプ(2'')を駆動して、圧力の膜を解放するか、膜どおしを互いに離反する方向に屈曲させる。これにより、ガス貯留部(3)に負圧が生じる。
【0104】
液貯留部(1)を一つの孔の液に漬けて、バルブ(4)を突然に開く。その結果、負圧が液を液貯留部(1)へ引き込ませる。時間tに対する圧力pの経過は図17のとおりである。最高の負圧pから始まって、一方で、バルブ(4)が開き 、システムの圧力が低下していく。これは、圧力センサー(5)でモニターされる。受け入れられる液量は、ガス条件方程式により、圧力の経過から計算できる。目標の量に達すると、バルブ(11)が開かれ、液の受け入れが停止される。細管力が液を液貯留部(1)内に保持する。必要な場合、膜同士が相互にわずかに屈曲されるならば膜により圧力補償をさせても良い。
【0105】
圧力の膜を解放するために、バルブ(4)を開けて、膜ミクロポンプ(2'')の圧力をオフにしても良い。但し、液排出のためには、排出が始まるとき膜どおしが互いに離れるように曲げられるようにすれば有益である。
【0106】
液排出のため、バルブ(4)と(11)を閉じる。その後、膜を互いに近づく方向に曲げ、ガス貯留部(3)に正圧を生じさせる。排出のためには、バルブ (4)を突然に開き、これにより、正圧が、液を液貯留部(1)から吐出させる。液排出時の圧力の経過は圧力センサー(5)によりモニターされる。それに基づいて、排出量が計算され、目標値が達成されるとバルブ(11)が急激に開かれる。バルブ(4、11)はあとで開いて、圧力の膜を解放するようにしても良い。
【0107】
更に、所定の時間の圧力補償経過を用いて、分配される液の粘度を測定しても良い。
【0108】
図18によると、圧力センサー(5)は図16とは異なりガス貯留部(3)へつなぐ。バルブは液を吸引し、排出しながら、ほぼ図16のように駆動される。しかし、図16のマイクロ分配システムにおいて、ガス貯留部の圧力は、膜ミクロポンプ(2'')を作動させ、バルブ(4、11)を駆動することにより、ほぼ一定の値に調節される。すなわち、吸引や排出の間に負圧もしくは正圧があるレベルまで低下すると、バルブ(4)が閉じられ、バルブ(11)は開かれ、膜どおしは、互いに近づく方向に、また、離れる方向に、曲げられる。その後、バルブ(11)が閉じられ、膜どおしが曲げられて離れて負圧を生じ、また、一緒に曲げられて負圧を生じる。それから、バルブ(4)が開かれ、吸引もしくは排出が続く。この操作は、ガス貯留部にほぼ一定の圧力が存在するよう、素早く行われる。
【0109】
これは図19に示している。従って、受入が為される場合、負圧pが、時間t1 までガス貯留部(3)に形成される。バルブ(4)が開かれる場合、圧力は急激に低いレベルまで降下する。この実施例において、膜ミクロポンプ(2'')は、圧力センサー(6)で測定されている負圧を理由として再度調整され、これにより、負圧pは液受入のあいだじゅうほぼ一定のままになる。膜ミクロポンプ(2 '')により変位させられる容積は知れるので、受け入れられる液量が測定できる。これに関連して、受け入れられる液の粘度も測定できる。
【0110】
液排出のあいだ、排出圧力を同じような形で調整して、排出される液量を膜ミクロポンプ(2'')について知られている変位量により測定できる。
【0111】
図20は、図16、図18に対し、圧力センサー(5)がバルブ(4)を跨ぐということで相違している。受け入れられもしくは排出される液の量は図16についての説明と同様に調整される。更に、液貯留部(1)の容積は膜ミクロポンプ(2'')における圧力p(図21参照)の解放から計算できる。この目的のために、圧力解放に先立って、大気圧に対して環境へ開いている液貯留部(1)を介して圧力を測定する。更に、バルブ(11)が開かれた後、そして、液貯留部(1)が液へ漬けられた後、大気圧に対して圧力が測定される。
【0112】
別の形態として、バルブ(4)を跨ぐセンサー(5)に替わる液貯留部(1)や膜ミクロポンプ(2'')における圧力センサーが別の形で圧力を測定する。
【0113】
図22は、図18に対し、二つの二方向/二方弁(4、11)に替えて、一つの三方向/二方弁(4)を用いるという点で相違する。三方向/二方弁(4)は接続チャネル(6)と換気チャネル(10)の両方を閉じることが出来る。液貯留部(6)はこの場合大気圧とは単に、膜ミクロポンプ(2'')を介しての間接的な接触しかない。従って、膜を適当に逆に制御することによって、大気圧による風変わりな圧力補償が生じる。液量は図18のように調整される。圧力センサー(5)を図16と同様に接続チャネル(6)に取り付けて然るべく容積調整を行うようにしても良い。
【0114】
図23によれば、膜ミクロポンプ(2'')は、バルブ手段の無い場合でも接続チャネル(6)により液貯留部(1)へ接続する。その理由は、変位させる大きな容積と、急速な時間レスポンスが、圧力の蓄積やバルブ手段が無くとも、液の受入と排出を目的としてガスをパルス状に変位させることを可能にするからである。
【0115】
液が受け入れられ、もしくは、排出されるとき、その容積が、接続チャネル (6)につながれた圧力センサー(5)により調整できる。図16に従った容積調整のためには、圧力と絶対容積に対応する膜ミクロポンプ(2'')のポンピング特性/変位特性を知る必要がある。これは、図18による容積調整には当てはまらない。
【0116】
図23による実施例については、膜圧電屈曲部材を複数用いて、変位させる容積を増大させることが有効である。
【0117】
図24によれば、膜ミクロポンプ(2'')が、ガス貯留部(3)と、複数の平行な接続チャネル(6)とにより、複数の平行な液貯留部(1)へ接続される。接続チャネル(6)は内部に活性レスポンスバルブ(4)を配置している。更に、内部に活性レスポンスバルブ(11)を配置した換気チャネル(10)がガス貯留部(3)から分岐される。液の受入と排出は、膜ミクロポンプ(2'')のポンピング率がわかっていれば、圧力センサー無しで達成される。更に、図16、18、20に基づく操作が、圧力センサー(5)を適当な配置で完成させることを必要とはするが、可能である。尚、液貯留部(1)は平行にもしくは個別に用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス貯留部を備えたガスクッション式分配ミクロシステムの基本設計を示す概略説明図である。
【図2】流量を示す液貯留部の縦断面図である。
【図3】粘度を持つ液体の調整回路における圧力の時間レスポンスを示すもので、図3aは二倍の粘度を持つ液体についてのもの、図3bは、液停止が負圧パルスにより支持される場合であり、図3cは時間−圧力図である。
【図4】典型的な膜ミクロポンプの対抗圧への排出率の依存性を示す排出率−圧力図である。
【図5】二つの膜ミクロポンプによる圧力調整を用いるガスクッション分配ミクロシステムの概略図である。
【図6】図5のシステムからそれたバルブ手段(図6a)と別途の圧力維持装置(図6b)とを用いるガスクッション分配ミクロシステムを示す。
【図7】図5のシステムからそれたバルブ手段を使うガスクッション分配ミクロシステムを示す。
【図8】単一の膜ミクロポンプによる圧力調整を用いるガスクッション分配ミクロシステムの概略図である。
【図9】図6のシステムからそれたバルブ手段を用いるガスクッション分配ミクロシステムを示す。
【図10】ミクロ流体ボードの概略断面図である。
【図11】複数のミクロ流体ボードと接続ボードを含むモジュラーミクロ流体システムの概略断面図である。
【図12】一枚のミクロ流体ボードと、平行な液貯留部のための接続ボードを含んだモジュラーミクロ流体システムの概略断面図である。
【図13】液貯留部保管部を含む分配ミクロシステムのマガジン式供給体の概略縦断面図である。
【図14】分配システムの概略縦断面図である。
【図15】混合システムの概略縦断面図である。
【図16】接続ダクトに活性レスポンス弁と、圧力センサーとを持つエアクッションマイクロ分配システムを示す概略図である。
【図17】図16のシステムにより液を受け入れるときの圧力の時間レスポンスを示すグラフである。
【図18】ガス貯留部に活性レスポンスバルブと、圧力センサーを持つ膜ミクロポンプを備えたエアクッションマイクロ分配システムを示す概略図である。
【図19】図18のシステムにより液を受け入れるときの圧力の時間レスポンスを示すグラフである。
【図20】活性レスポンス弁と、差圧測定装置をもつ膜ミクロポンプを備えたエアクッションマイクロ分配システムを示す概略図である。
【図21】図20のシステムにより液が受け入れられるときの圧力の時間レスポンスを示す。
【図22】活性レスポンスを一つだけ持つ膜ミクロポンプを備えたエアクッションマイクロ分配システムを示す概略図である。
【図23】バルブ手段を持たない膜ミクロポンプを備えたエアクッションマイクロ分配システムを示す概略図である。
【図24】膜マイクロポンプと、平行接続した複数の液貯留部とを備えたエアクッションマイクロ分配システムを示す。
【符号の説明】
1 液貯留部
2 膜ミクロポンプ
3 ガス貯留部
4 バルブ手段

Claims (50)

  1. ミクロリットル及びそれ以下のレンジの液分量で液を分配するガスクッション式分配マイクロシステムであって、
    1.1 分配中の液の貯蔵空間(1’)であって、この貯蔵空間(1’)の境界線へ、外方向に伸びる液通路(1’’)と、ガス通路(1’’’’)とが通じている液貯留部(1)と、
    1.2 ガスをポンピングするミクロポンプ(2)と、ガス通路(1'''')への接続部(6)とを持つガス変位システムと、
    1.3 ミクロポンプ(2)及びバルブ手段(4)と操作連通するように配置される分配制御部(7)であって、バルブ手段(4)を閉じ、ガス貯留部(3)に負圧もしくは正圧を発生させ、バルブ手段(4)の作動によりガス貯留部(3)からの負圧もしくは正圧を液貯留部(1)に付加して、液通路(1’’)を介して貯蔵空間(1’)に液を受け入れるかもしくは前記空間から液を吐出するものとを備えたことを特徴とするガスクッション式分配マイクロシステム。
  2. ガス変位システムが、ミクロポンプ(2)に接続されるガス貯留部(3)を有するものである請求項1記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  3. ガス変位システムが、ガス通路(1’’’’)を備えた接続部(6)を開閉するバルブ手段(4)を持ち、且つ、ミクロポンプ(2)とバルブ手段(4)が分配制御部(7)と操作連通しており、分配制御部(7)がバルブ手段(4)を閉じ、ミクロポンプ(2)の作動により負圧もしくは正圧を生じさせ、また、バルブ手段(4)を作動させることにより液貯留部(1)へ負圧もしくは正圧を付加するものである請求項1又は2記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  4. ガス変位システムの圧力を検出する圧力センサー(5)を持ち、圧力センサー(5)と分配制御部(7)が操作連通して、受入もしくは排出される液量を測定するか、もしくは、液量を予め設定された値に制御するものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  5. 分配制御部(7)が、液吸引もしくは分配時のガス変位システムにおける負圧もしくは正圧を、ガス変位システムに拡がった圧を圧力センサー(5)によって検出しミクロポンプ(2)のポンピング率や変位させる容積を予めの設定値や一連の値に制御することによって調整し、且つ、ミクロポンプ(2)のポンピング率や変位させる容積により受け入れられるもしくは排出される液量を測定するかもしくは液量を予め設定した値に制御するものである請求項4記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  6. 分配制御部(7)が、ポンピング率を時間に対して積分することにより、受入もしくは排出される液量を測定もしくは制御するものである請求項5記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  7. 分配制御部(7)が、ミクロポンプ(2)のポンピング率の圧力依存性に関するデータを測定及び/または斟酌するものである請求項5又は6記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  8. 分配制御部(7)が、液の吸引もしくは分配時のガス変位システムにおける負圧もしくは正圧を圧力センサー(5)により検出し、受け入れもしくは排出される液量をボイルの法則やその他の気体の状態方程式の助けを借りて測定するか、もしくは、液量を予め設定された値に制御するものである請求項4記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  9. 粘度の異なる液を受入もしくは分配するための分配制御部(7)がミクロポンプ(2)を様々に作動し、ガス変位システムに種々の負圧又は正圧を生じさせるものである請求項1乃至8のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  10. 分配制御部(7)が、負圧もしくは正圧の制御の時間レスポンスにより、分配中の液の粘度を測定するものである請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  11. 分配制御部(7)が、正しい時間における所定の液量受入の時間経過についてのデータに基づいてミクロポンプ(2)を作動することにより、液量の排出を予めの設定値に制御するものである請求項1乃至10のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  12. 大気へのガス変位システムの換気接続部(10)を開閉する更なるバルブ手段(11)を含んでおり、また、分配制御部(7)がこの更なるバルブ手段(11)と操作連通して、前記更なるバルブ手段(11)により負圧もしくは正圧を解放しつつ、一方で、前記更なるバルブ手段(11)により大気に対する換気接続部(10)を開くことによって、液の受入もしくは排出を停止するものである請求項1乃至11のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  13. 液通路(1’’)または出口ポート(1’’’)の横断面の寸法が、液通路(1’’)の液が自らをオープンジェットで外部へ出させるに十分な速さの速度に到る寸法であり、また、分配制御部(7)が、ガス貯留部(3)の正圧を、液通路(1’’)の液が自らをオープンジェットで外部へ出させるに十分な速さの速度に到るようにミクロポンプ(2)を作動させることにより制御するものである請求項1乃至12のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  14. 液通路(1’’)および/または貯蔵空間(1’)の横断面の寸法を、負圧もしくは正圧が解放される場合摩擦力が移動される液の慣性力に勝り、液の更なる受入もしくは排出を抑圧する寸法としたものである請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  15. 液通路(1’’)をノズルの形態としているものである請求項1乃至14のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  16. 負圧もしくは正圧が解放される場合、分配制御部(7)が、ガス変位システムに接続されたミクロポンプ(2)および/またはガス貯留部と連通するバルブ手段を、慣性力に対抗する負圧もしくは正圧を付加する形で制御するものである請求項1乃至15のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  17. 液空間(1’)またはノズル(1’’)の横断面の寸法が、液空間(1’)の液が、貯蔵空間(1’)における液流分離や貯蔵空間(1’)の壁への残余の液の滞留につながる速度を超えない寸法であり、また、分配制御部(7)が、ガス貯留部(3)の正圧を、液空間(1’)の液が貯蔵空間(1’)における液流分離や貯蔵空間(1’)の壁への残余の液の滞留につながる速度を超えないように、ミクロポンプ(2)を作動させることにより制御するものである請求項1乃至16のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  18. 分配制御部(7)が、バルブ手段(4)を作動させることおよび/またはミクロポンプ(2)を作動させることにより、ガスを液通路(1’’)から出させ、そして、圧力センサー(5)により検出される圧力の変化により液への浸漬を確認するものである請求項1乃至17のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  19. 分配制御部(7)が、確認された浸漬操作を理由にして、液貯留部(1)への液の受入を自動的に開始するものである請求項18記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  20. 液貯蔵部(1)が、分配中の液に関して内側および/又は外側に、液撥水表面を有するものである請求項1乃至19のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  21. 液貯留部(1)がピペットチップである請求項1乃至20のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  22. 液貯留部(1)がガラス製および/またはプラスチック製である請求項1乃至21のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  23. 液貯留部(1)が、ガス貯留部(3)を備える接続部(6)へ脱着可能に結合されるものである請求項1乃至22のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  24. 液貯留部(1)が使い捨てタイプである請求項1乃至23のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  25. 入口を負圧ガス貯留部(3)とバルブ手段(4)を介して接続部(6)に結合するミクロポンプ(2)を含み、また、正圧ガス貯留部(3’)とバルブ手段(4)を介して接続部(6)へ結合する別のミクロポンプ(2’)を含むものである請求項1乃至24のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  26. 入口を負圧ガス貯留部(3)とバルブ手段(4’)を介して接続部(6)へ結合し、出口を正圧ガス貯留部(3’)とバルブ手段(4’’)を介して接続部(6)へ結合するミクロポンプ(2)を含んでいるものである請求項1乃至25のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  27. 少なくとも双方向にポンピングする一つのミクロポンプ(1)及び/または一方向にポンピングする少なくとも一つのミクロポンプ(1、1’)を含むものである請求項1乃至26のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  28. 少なくとも一つのミクロポンプ(2)が膜ミクロポンプであるものである請求項1乃至27のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  29. 膜ミクロポンプ(2)が、バルブを持たないかもしくは、受動レスポンスバルブまたは能動レスポンスバルブを有するものである請求項28記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  30. 膜ミクロポンプ(2'')の能動レスポンスバルブが、接続部(6)におけるおよび/または換気接続部(10)におけるバルブ手段(4,11)である請求項28又は29記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  31. 膜ミクロポンプ(2’’)および/または能動レスポンスバルブ(4、11)が、一体的な圧電アクチュエータを備えた少なくとも一枚の膜を有しているものである請求項28乃至30のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  32. ミクロポンプ(2)を差圧センサー(13)が跨いでいるものである請求項1乃至31のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  33. ミクロポンプ(2)がフィルター(9)からガスを吐出するものである請求項1乃至32のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  34. 換気接続部(10)が、接続部(6)もしくはガス貯留部(3)から分岐しているものである請求項1乃至33のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  35. 接続部(6)が接続チャネルを持ち、及び/または、換気接続部(10)が換気チャネルを持つものである請求項1乃至34のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  36. 接続部 (6)が、液貯留部(1)のノズル(1’’)が液に関して持っている流れ抵抗とせいぜい同じ程度のガス流抵抗を有するものである請求項1乃至35のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  37. ミクロポンプ(2)及び/またはバルブ手段(4)及び/または更なるバルブ手段が、受動レスポンス及び/または能動レスポンス(11)フラップバルブを有しているものである請求項1乃至36のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  38. 圧力センサー(12)が接続部(6)の圧力を測定するものである請求項1乃至37のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  39. ミクロポンプ(2)及び/またはバルブ手段(4)及び/または更なるバルブ手段(11)及び/または圧力センサー(12)および/またはガス貯留部(3)及び/または接続部(6)及び/または換気接続部(10)及び/または液貯留部(2)及び/または分配制御部(7)が、ミクロ流体ボード(13)に配置されているものである請求項1乃至38のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  40. 少なくとも一つのミクロ流体ボード(13)が接続ボード(15)に結合されるものである請求項1乃至39のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  41. 複数のガス変位システムが並列に配置され、少なくとも一つの液貯留部(2)に接続され、及び/または、複数の液貯留部(1)が並列に配置され、少なくともひとつのガス変位システムへ接続されるものである請求項1乃至40のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  42. 液貯留部が、供給チャネル(19)と、そこから分岐する複数のサイドアーム(20)を含んだ液分配システム(18)を有するものである請求項1乃至41のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  43. 隣接する出口(22’’、22)を備えた隣接する液貯留部(22、22’)と、少なくとも一つの分配制御部(7)を備え液貯留部(22、22’)と協働する少なくとも一つのガス変位システムとを有するものである請求項1乃至42のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  44. 分配制御部(7)が、一つの液貯留部(22’)からの液の排出と他の液貯留部(22)への液の受入との同時操作、及び/または、二つの液貯留部(22,22’)からの液の同時排出を制御するものである請求項43記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  45. 携帯用ユニットもしくは据付用ユニットとして設計されているものである請求項1乃至44のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  46. 液通路(1’’)と平行もしくは同心状に並べる光ビームを有しているものである請求項1乃至45のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  47. 光学経路を介して液貯留部(1)へ接続され、液貯留部(1)の液接触を検出する光センサー(17’)を有しているものである請求項46記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  48. 交換可能な液貯留部(1)のためのマガジンと、供給および/または落下手段とを有しているものである請求項1乃至47のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
  49. 請求項1乃至48のいずれか1項に記載のガスクッション式分配マイクロシステムを複数有する多チャンネル型エアクッション式分配ミクロシステム。
  50. 隣接する液通路(1’’)間の間隔がミクロ滴定プレートにおける隣接する取り付け部間の間隔に相応するものである請求項44記載のガスクッション式分配マイクロシステム。
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