JP2006308374A - 液体分注装置及び液体分注方法 - Google Patents
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【解決手段】 ノズル先端から液滴を飛翔させる方式の液体分注装置において、背圧を発生させるためのポンプと、背圧の変化を検出するための圧力センサと、高速で開閉することができるバルブと、前記バルブの先端に取設されたノズルとからなり、前記ポンプと圧力センサと高速バルブは共通の管路で接続されており、ノズルからの液滴の飛翔により生じた背圧の変化を前記圧力センサにより検出し、その背圧変化をフィードバックして予め設定した背圧値になるように前記ポンプを駆動させる制御機構を有することを特徴とする液体分注装置。
【選択図】 図1
Description
(a)ピペットチップ先端を目的の液体に浸し、ピペットを操作して所定量を吸引する;
(b)ピペットチップ先端を分注対象のウェルなどの上空またはその中に移動する;及び
(c)ピペットを操作して所定量をウエル内に吐出する。
ピペットの代わりに電動のシリンジポンプなどを用いて自動化することもできる。
(イ)自重による液滴の落下が困難になる;
(ロ)ピペットチップ先端に液が付着して残り、そのため吐出量が不安定になる;
(ハ)ピペットチップ先端に付着して残った液を除去する為、チップタッチを行う必要が出てくるが、その場合も、コンタミネーションが問題となる;及び
(ニ)液質(粘度や表面張力)や周囲環境(温度や湿度)によって、吐出量が変化する。
本発明の別の目的は、吐出される液滴1滴毎の容量をリアルタイムで制御することができる液体分注方法を提供することである。
(a)前記高速バルブを閉じて前記ポンプの吐出側圧力を予め設定された圧力となるように前記ポンプを駆動させるステップと、
(b)前記設定圧力を維持した状態で、前記高速バルブを短時間開き、その後閉じるステップと、
(c)前記高速バルブの開閉により生じた圧力変化を前記圧力センサにより検出して前記制御機構にフィードバックするステップと、
(d)前記フィードバックされた信号に基づき、前記ポンプを駆動して圧力を前記設定圧力にまで戻すステップと、
(e)前記ステップ(d)におけるポンプ駆動のピストン又はプランジャーの移動量から、吐出された液滴の容量を算出するステップとを有することを特徴とする液滴容量検出方法である。
(1)先ず、開閉バルブ15を開き、一方、高速バルブ17を閉じ、プランジャーポンプ9を動作させて管路21からリザーバー5内のシステムリキッド3を吸引し、管路21,23にシステムリキッド3を満たす。その後、開閉バルブ15を閉じ、一方、高速バルブ17を開き、ノズル13の内腔を洗浄する。ノズル洗浄後、再び、管路21,23にシステムリキッド3を満たす。
(2)開閉バルブ15を閉じる。
(3)ノズル13を移動機構により目的とするサンプルや試薬類が充填されている液溜容器27又は29に移動させ、容器内の液体に浸し、プランジャーポンプ9を吸引動作させ、指定量を吸引する。吸引量は1回の吐出量よりも遙かに多い量とすることが好ましい。高速バルブ17の位置当たりまで吸引することが好ましい。この吸引により、目的とするサンプルや試薬類などの液体とシステムリキッド3との接触界面で液−液拡散が起こるが、ノズル13の先端部付近にまで拡散が起こるには長大な時間が掛かるので吸引から吐出までの時間を短くすれば、この接触界面における液−液拡散の悪影響は無視可能である。所望により、接触界面にエアーギャップを存在させることもできる。
(4)高速バルブ17を閉じる。
(5)プランジャーポンプ9を動作させ、管路25及び23内に背圧を発生させる。圧力センサ11の示度が所定の設定値に達したらプランジャーポンプ9を停止させるか、又は、圧力制御を実行し続けることもできる。
(6)ノズル13を移動機構により分注対象物(例えば、マイクロチップ100のウエル106)の上空に移動する。
(7)高速バルブ17を高速に1度開閉させ、液滴31を飛翔させる。
(8)液滴31の飛翔により管路23内の圧力が低下するので、この圧力低下を圧力センサ11で検出し、制御装置19により、低下した圧力を元の設定値にまで回復させるためにプランジャーポンプ9を動作させる。
(9)必要に応じて前記(7)と(8)の操作を繰り返し、目的の回数だけ分注操作を繰り返す。
(10)全ての吐出が終了した後は、開閉バルブ15により背圧を大気開放する。更に、必要に応じて、高速バルブ17を開いた状態でプランジャーポンプ9を吐出動作させ、排液と同時にノズル13や途中の管路21,23,25内を洗浄する。
高速バルブ17はメモリ39に記憶された高速バルブ制御プログラムに従って開閉制御される。例えば、高速バルブの開時間が5ミリ秒とプログラムされている場合、この命令がMPU41からデジタルI/Oインターフェース43を介してバルブドライバー45に出される。バルブ開命令はソレノイド47とバルブ機構49により実行される。
高速バルブ17の開閉により生じた系内の圧力変化は圧力センサ11により検出される。圧力センサ11の圧力値はアナログデータとして制御装置19に送られる。制御装置19内のデータ処理装置37は、このアナログデータをA/D変換器51によりデジタルデータとして内部に取り込む。メモリ39に記憶されたポンプ制御プログラムにより、圧力設定値と取り込んだ圧力センサの圧力値(現在値)との差を比較する。この比較はMPU41により行う。差を縮める方向に、通信インターフェース53を介してパルス発生器55にパルス出力要求を出す。この操作はMPU41が行う。パルス発生器55はモータードライバー57にパルスを出す。モータードライバー57はそのパルスに応じてステッピングモータ59を駆動する。ステッピングモータ59の駆動とプランジャー移動機構61によりプランジャー7が移動し、その結果、圧力変化が起こる。この動作を数ミリ秒で繰り返し、圧力を設定値に戻す。
A/D変換には時間がかかり、その間MPUが何もしないで待っていることは時間の無駄になるので、A/D変換器51が単独で変換処理を行い、結果が出るとA/D変換器51からMPU41に割り込みを掛け、それを合図にMPU41がA/D変換器51からデータを読み込むこともできる。A/D変換のタイミングは色々あるが、一般的には一定間隔(例えば、10ミリ秒毎)で変換するようにセットする。その結果、割り込みもほぼその間隔で発生する。変換データの内容(ゼロか否かなど)によって割り込みを発生するケースは少ないかもしれない。
(イ)ポンプの圧力制御を開始し、目的の背圧に達すると、ポンプのプランジャーはほぼ一定の場所を維持する。まずその位置を記憶しておく。
(ロ)一定の背圧を維持した状態(圧力制御を実行している状態でも良いし、ポンプのプランジャーを停止させた状態でも良い)で、高速バルブを瞬間的に開閉し、目的の量の液滴を飛翔させる。ポンプの機械的応答性は高速バルブより劣る為、圧力制御が間に合わず、液滴の飛翔に伴い背圧が低下する。この背圧の低下は、一定の背圧を維持するために圧力制御を実行している状態とポンプのプランジャーを停止させた状態との間で殆ど差は無い。しかし、液滴の量に比べポンプ内部容積や配管ボリュームは格段に大きく(通常数100倍以上)、また、弾力性のある樹脂製の配管チューブなどを使用することにより、圧力の変動は抑えられ、液滴の飛翔には影響しない。(適度な圧力低下が起こるように配管することが肝要である。)
(ハ)液滴の飛翔が完了した後、圧力制御が有効に働き、僅かな時間遅れで背圧は元に戻って安定する。この時のプランジャー位置を記憶する。
(ニ)分注前のプランジャー位置と分注後のプランジャー位置との差を求め、その分に相当する液量を計算すると、それがすなわち分注された液滴の量に等しいことになる。
尚、圧力制御中はプランジャー位置が絶えず移動し、停止しない場合がある。圧力を一定に維持していても、プランジャーはある位置を中心に、その前後を小刻みに絶え間なく移動する、いわゆるハンチング現象を起こす場合がある。そのような時は、プランジャー位置の時間平均を求め、それを代表値として使用する。これらの計算や処理は制御装置19内のテ゛ータ処理装置43(図2参照)で行う。
(1)プランジャーポンプ:ポンプ内容積100μL、プランジャー移動分解能0.119nL/パルス。
(2)ノズル:微細孔径127μm(サファイア製)、ノズル全長9mm。
(3)圧力センサ:ハネウエル社製で測定可能圧力範囲が−200KPa〜+200KPaのものを使用した。
(4)分注対象液体:水
(5)システムリキッド:蒸留水
(6)制御装置:
比例制御(比例ゲインG=50μL/分/KPa、制御周期5ミリ秒)。
圧力偏差をKPa(キロパスカル)の単位とし、モーターへの速度指令を流量に換算してμL/分とした。
(7)高速バルブ:LEE社製のバルブを用いた。
(8)ポンプ以外の配管ボリューム:約100μL(配管は内径250μmのテフロンチューブを使用した)。
(a)システムリキッドで管路内、ポンプ内及びノズル内を洗浄した後、ノズル内容積がほぼ液体で満たされた状態で、ポンプを駆動させ、圧力制御を開始した。
(b)背圧の設定値を100KPaとしたところ、100±0.1KPaでほぼ圧力が安定した。その時のプランジャー位置をポンプ残量に換算して記憶した(84.13μL)。
(c)高速バルブを5ミリ秒間開いた後、再び閉じた。液滴が飛翔した後、系内の背圧が約50KPaにまで低下した。
(d)ポンプを駆動させ、背圧が再び元の100±0.1KPaでほぼ安定した時のプランジャー位置をポンプ残量に換算して記憶した(83.62μL)。
(e)液滴の飛翔前後のポンプ残量の差は84.13−83.62=0.51μLであった。
(f)一方、同様の分注操作を5回繰り返し、同一のスライドガラス上に液滴を5個飛翔させた。スライドガラスの重量を精密電子天秤(分解能0.1mg)を用いて、液滴を飛翔する前と後で測定し、その差を求めると2.5mgであった。よって、液滴1個当たりの重量は0.5mgと推測される。また、水の比重は1であり、水1mLは1gである。すなわち、0.5mgの水の体積は0.5μLであり、上記の液滴の計測結果0.51μLとほぼ一致した。
3 システムリキッド
5 リザーバー
7 プランジャー
9 プランジャーポンプ
11 圧力センサ
13 ノズル
15 開閉バルブ
17 高速バルブ
19 制御装置
21,23,25 管路
27,29 液溜容器
31 液滴
33 CRT
35 キーボード
37 データ処理装置モータードライバー
39 メモリ
41 MPU
43 デジタルI/Oインターフェース
45 バルブドライバー
47 ソレノイド
49 バルブ機構
51 A/D変換器
53 通信インターフェース
55 パルス発生器
57 モータードライバー
59 ステッピングモーター
61 プランジャー移動機構
100 マイクロチップ
102 基板
104 マイクロチャネル
106 ポート
108 対面基板
110 ピペット
Claims (7)
- ノズル先端から液滴を飛翔させる方式の液体分注装置において、背圧を発生させるためのポンプと、背圧の変化を検出するための圧力センサと、高速で開閉することができるバルブと、前記バルブの先端に取設されたノズルとからなり、前記ポンプと圧力センサと高速バルブは共通の管路で接続されており、ノズルからの液滴の飛翔により生じた背圧の変化を前記圧力センサにより検出し、その背圧変化をフィードバックして予め設定した背圧値になるように前記ポンプを駆動させる制御機構を有することを特徴とする液体分注装置。
- 前記ポンプは、電気的又は機械的に進退させることができるピストンを有するポンプであることを特徴とする請求項1記載の液体分注装置。
- 前記ポンプは、電気的又は機械的に進退可能なプランジャーを有するプランジャーポンプであることを特徴とする請求項1記載の液体分注装置。
- 前記共通管路に、システムリキッドを貯留するためのリザーバータンクから延びる別の管路が開閉バルブを介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体分注装置。
- 前記ノズルは少なくとも先端表面部分を低表面エネルギー樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の液体分注装置。
- 背圧を発生させるためのポンプと、背圧の変化を検出するための圧力センサと、高速で開閉することができるバルブと、前記バルブの先端に取設されたノズルとからなり、前記ポンプと圧力センサと高速バルブは共通の管路で接続されており、ノズルからの液滴の飛翔により生じた背圧の変化を前記圧力センサにより検出し、その背圧変化をフィードバックして予め設定した背圧値になるように前記ポンプを駆動させる制御機構を有する液体分注装置を用いてノズル先端から吐出された液滴の容量を検出する方法において、
(a)前記高速バルブを閉じて前記ポンプの吐出側圧力を予め設定された圧力となるように前記ポンプを駆動させるステップと、
(b)前記設定圧力を維持した状態で、前記高速バルブを短時間開き、その後閉じるステップと、
(c)前記高速バルブの開閉により生じた圧力変化を前記圧力センサにより検出して前記制御機構にフィードバックするステップと、
(d)前記フィードバックされた信号に基づき、前記ポンプを駆動して圧力を前記設定圧力にまで戻すステップと、
(e)前記ステップ(d)におけるポンプ駆動のピストン又はプランジャーの移動量から、吐出された液滴の容量を算出するステップとを有することを特徴とする液滴容量検出方法。 - (f)前記ステップ(e)において前記ピストン又はプランジャーの移動量により吐出された液滴の容量を求めると共に、その求めた容量と予め設定した吐出量とを比較し、その誤差に基づいて次回以降の分注時に前記ポンプの設定圧力及び/又は前記高速バルブの開時間を補正するステップを更に有することを特徴とする請求項6記載の液滴容量検出方法。
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